JP2009151215A - 光学フィルムおよびその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】複屈折性の制御が容易な低レターデーションの光学フィルムおよびその用途を提供する。
【解決手段】本発明は、ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有する繰り返し単位を35モル%以上含有する脂環式構造含有重合体を含んでなる溶融押出し法によって形成された光学フィルムであって、当該フィルムを機械方向(MD)に倍率3倍で延伸して得られる延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)が、2nm以下である、光学フィルムである。
【選択図】なし

Description

本発明は、レターデーションの低い、光学用途に好適な光学フィルムに関する。また、本発明は、この光学フィルムを用いてなるプロセスフィルムおよび偏光子保護フィルム、ならびに表示装置に関する。
液晶表示装置などの偏光板保護フィルムなどの用途に使用される光学フィルムとして、光学等方性が高い、すなわちレターデーションが低いものが要求されている。
特許文献1には、エチレンとノルボルネンとからなる共重合体の立体規則性を制御することによって、高光学等方性を付与させた光学フィルムが開示されている。また、特許文献2には、炭酸ストロンチウムの針状結晶微粒子を環状オレフィンの樹脂に添加することによって、延伸処理したときに顕在化する配向複屈折を抑える技術が開示されている。
特開2006−83266号公報 特開2004−35347号公報
ところで、特許文献1に記載の技術では、高度な立体制御が必要なため、特に触媒の選択が重要になる。実際に、特許文献1には、高価で取扱いも煩雑なメタロセン触媒を使用した例のみが示されている。また、特許文献2に記載の技術では、炭酸ストロンチウムの針状結晶微粒子を添加しない場合には、配向複屈折を抑えることができないことが示されており、この技術によれば環状オレフィンの樹脂単独では低いレターデーションを有するフィルムの実現が困難であることが示唆される。
そこで、本発明は、前述した問題点を解決するために、複屈折性の制御が容易な低レターデーションの光学フィルムおよびその用途を提供することを目的としている。
本発明者は、複屈折を発現しにくい脂環式構造を含有する重合体を含有するフィルムについて鋭意検討を重ねた結果、脂環式構造を含有する重合体においてビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有する繰り返し単位を一定量含有させることによって、更には、無機化合物の針状結晶を含有させることで、低レターでションである光学フィルムが得られることを見出して、本発明に至った。
本発明は、以下の(1)から(9)の構成を有するものである。すなわち、
(1)無機化合物の針状結晶を実質的に含まない、ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有する繰り返し単位を35モル%以上含有する脂環式構造含有重合体を含んでなる溶融押出し法によって形成された光学フィルムであって、当該フィルムを機械方向(MD)に倍率3倍で延伸して得られる延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)が、2nm以下である、光学フィルム;
(2)未延伸の状態での厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)が、1.0nm以下である、(1)に記載の光学フィルム;
(3)ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有する繰り返し単位を20モル%以上含有する脂環式構造含有重合体を含んでなる溶融押出し法によって形成された光学フィルムであって、当該フィルムを機械方向(MD)に倍率3倍で延伸して得られる延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)が、50nm以下である光学フィルムに、無機化合物の針状結晶を、0.1〜50重量%含有させたことで、当該フィルムを機械方向(MD)に倍率3倍で延伸して得られる延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)が、2nm以下である、光学フィルム;
(4)未延伸の状態での厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)が、1.0nm以下である、(3)に記載の光学フィルム;
(5)実質的に延伸を行なわない、(1)から(4)のいずれかに記載の光学フィルム;
(6)10m/min以上の生産速度で生産された、(1)から(5)のいずれかに記載の光学フィルム;
(7)(1)から(6)のいずれかに記載の光学フィルムを用いた、プロセスフィルム;
(8)(1)から(6)のいずれかに記載の光学フィルムを用いた、偏光子保護フィルム;
(9)(1)から(6)のいずれか1項に記載の光学フィルムを用いた、表示装置;
である。
本発明によれば、複屈折性の制御が容易な低レターデーションの光学フィルムおよびその用途が提供される。
以下、本発明の実施形態について説明する。
(光学フィルム)
本実施形態の光学フィルムは、ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有する繰り返し単位を35モル%以上含有する脂環式構造含有重合体を含んでなる溶融押出し法によって形成された光学フィルムであり、または、ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有する繰り返し単位を20モル%以上含有し、且つ、無機化合物の針状結晶を、0.1〜50重量%含有した光学フィルムである。
また、この光学フィルムでは、当該フィルムを機械方向(MD)に倍率3倍で延伸して得られる延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)が、2nm以下であり、表示装置での使用に際して、十分な光学等方性が確保される観点から、好ましくは1nm以下である。ここで、「フィルムを機械方向(MD)に倍率3倍で延伸して得られる延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)」は、得られる光学フィルムのレターデーションを評価するための指標として用いており、特にMDに倍率3倍で延伸処理することによって、よりレターデーションが発現しやすい条件におけるレターデーション値が得られる。この値が低い場合には、仮にレターデーションが発現しやすい条件で、例えば延伸処理して用いたとしても低レターデーションの光学フィルムであることを意味する。
なお、本実施形態の光学フィルムは、実質的に延伸を行わないで用いることもでき、このような未延伸の状態での用途を考慮すると、未延伸の状態での厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)が、1.0nm以下、好ましくは0.8nmである。
本実施形態において、光学フィルムを構成する脂環式構造含有重合体は、ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有するモノマーと、共重合可能なモノマー、例えばエチレン、α−オレフィン、モノ環状オレフィン、環状共役ジエン、ビニル芳香族化合物及びビニル脂環式炭化水素化合物などのモノマーとを、付加重合やメタセシス開環重合などの公知の重合方法で重合し、必要に応じて炭素−炭素不飽和結合を水素添加することにより得られる。
ここで、ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有するモノマーは、ノルボルネン環に五員環を結合させて得られるものであり、例えばテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(慣用名テトラシクロドデセン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、トリシクロ〔4.3.12,5.01,6〕−デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、テトラシクロ〔7.4.110,13.01,9.02,7〕−トリデカ−2,4,6−11−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう:慣用名メタノテトラヒドロフルオレン)及びその誘導体などが挙げられる。これらのモノマーは単独で用いても組み合わせて用いてもよい。
また、ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有するモノマーと共重合可能なモノマーとしては、置換または無置換のエチレン;置換または無置換の炭素数3〜20のα−オレフィン;置換または無置換のモノ環状オレフィン;置換または無置換の環状共役ジエン;置換または無置換のビニル芳香族化合物;置換または無置換のビニル脂環式炭化水素化合物などを用いることができる。
本実施形態において、前記脂環式構造含有重合体は、重合体の各繰り返し単位の合計を100モル%としたときに、ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有する繰り返し単位を20モル%以上であり、低レターデーション及び耐熱性の観点から、35モル%以上であることが好ましい。また、上限については、例えばビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有するモノマーをメタセシス開環重合する場合には、理論上は100モル%となる。
本実施形態の光学フィルムは、吸水率が0.1%以下である樹脂からなることが好ましい。ここで、「からなる」とは、本発明のフィルムの全部が当該樹脂で構成されている場合、および、本発明のフィルムの一部が当該樹脂で構成されている場合、の双方を含む趣旨である。吸水率が0.1%以下である樹脂のフィルム中の含有量には特に制限はないが、通常、50〜100重量%、好ましくは60〜100重量%、さらに好ましくは、70〜100重量%である。
樹脂の吸水率測定は、JISK7209法に従い行う。すなわち、はじめに50℃にセットした送風式乾燥機にて24時間乾燥しデシケーター内で室温まで冷却したサンプルの重さ(W1)を測定する。次いで25℃の雰囲気下で24時間純水に浸漬した後乾いた布で水を丁寧に拭き取ったサンプルの重さ(W2)を測定する。これらの重さW1およびW2より、下記式より吸水率を求めることができる。
吸水率(%)=(W2−W1)/W1×100
尚、測定はサンプル数n=3で行い、算術平均値を当該樹脂の吸水率とする。樹脂の吸水率が0.1%以下であると、吸水の影響によるフィルムの変形や光学的性質の変動を抑制することができ、好ましい。樹脂の吸水率は、好ましくは0.1%以下、さらに好ましくは0.08%以下、特に好ましくは0.06%以下である。吸水率がこのような範囲にあれば、視野角向上の効果を安定的に得ることができる。なお、樹脂の吸水率は小さいほど好ましく、特に下限はないが、現在の測定の精度を考慮すると0.01%以下の測定は困難である。
本実施形態のフィルムの少なくとも一部を構成する樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上であることが望ましい。Tgは、さらに好ましくは、120℃以上、特に好ましくは、140℃以上である。
Tgが100℃以上であると、各種液晶表示装置の製造プロセスに於いてかかる温度(いわゆるプロセス温度)により、更には各種表示装置を使用する際の温度(実使用温度)により機械強度、寸法、光学特性が変化しにくい等の有利な効果がある。Tgの測定は、JISK7121法に従い、示差走査熱量測定(DSC)により、加熱速度10℃/分、雰囲気ガスとして窒素ガスを用いて行うことができる。
本実施形態のフィルムにおいてTgには特に上限は存在しないが、例えば延伸に必要な温度が著しく高くならないことや、フィルムの柔軟性の確保、割れの抑制等の観点から、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは、200℃以下である。
本実施形態で使用されるビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有する脂環式構造含有重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量Mwで、通常5,000〜1,000,000、好ましくは8,000〜800,000、より好ましくは10,000〜500,000の範囲であるときに、成形体の機械的強度、及び成形加工性が高度にバランスされて好適な場合が多い。
このような脂環式構造含有重合体は、従来公知の付加重合あるいは開環重合において、適宜調整することによって得ることができる。
ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有するモノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加(共)重合体は、例えば、モノマー成分を、溶媒中または無溶媒で、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2の重合圧力で(共)重合させて得ることができる。
ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有するモノマーの開環重合体、またはビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有するモノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体は、モノマー成分を、開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物と、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物、及び還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いることができる。重合反応は溶媒中または無溶媒で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2の重合圧力で行われる。
また、本実施形態の光学フィルムとなる材料には、脂環式構造含有重合体の他に、無機化合物を針状結晶の状態で含んでいてもよい。このような針状結晶の無機化合物としては、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等が挙げられる。また、均一分散や透明性の観点から、針状結晶の無機化合物の含有量は、光学フィルムとなる材料全体を100重量%としたときに、0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%である。
(光学フィルムの製造方法)
本実施形態の光学フィルムは、樹脂を溶融押出させて成形する溶融押出法にて製造することができる。この溶融押出法は、樹脂を溶媒に溶解させてキャストして製膜する溶液流延法と比較して、溶媒を使用しないためフィルム中の揮発性成分の含有量を効率よく減らすことが可能であり、低コストで、生産速度が速く、また、溶媒を使用しないため環境への負荷も小さい。また、溶融押出法によれば、形成される光学フィルムの厚みムラが小さく、かつ、レターデーションの絶対値およびそのバラツキを小さくすることが可能である。
溶融成形法の条件は、例えば、Tダイを用いる溶融押出し法では、樹脂のガラス転移温度+100℃〜200℃程度で、引き取りロールの温度を(ガラス転移温度−50)℃〜(ガラス転移温度+50)℃程度の比較的高温として、樹脂を徐冷できる条件を選択することが好ましい。また、ダイライン等の表面の欠陥を小さくするためには、ダイには滞留部が極力少なくなるような構造が必要であり、ダイの内部やリップにキズ等が極力無いものを用いることが好ましい。また、ダイの内部やリップは必要に応じて表面を研磨することにより、更に表面精度を上げることができる。
また、上記の溶融押出法で作製した光学フィルムを、前述したように無延伸のまま用いてもよく、あるいは延伸、例えば1軸延伸、または2軸延伸してもよい。一般に、延伸することによって厚み方向のレターデーションが増加することが知られているが、本実施形態の光学フィルムは、ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有する脂環式構造含有重合体を一定量以上含んでいるため、レターデーションの増加を抑えることができる。
また、本実施形態の光学フィルムは、生産速度、すなわちフィルム成形に係る速度において10m/min以上で生産することができる。一般に、高速でフィルム成形を行う場合、得られるフィルムの複屈折が大きくなることが知られており、結果的にレターデーション値が大きくなる傾向にあるが、本実施形態の光学フィルムは、ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有する脂環式構造含有重合体を一定量以上含んでいるため、レターデーションの増加を抑えることができる。
本実施形態の光学フィルムは、その膜厚に特に制限はないが、通常10〜200μm、好ましくは15〜150μm、さらに好ましくは、20〜100μmである。膜厚が小さすぎるとフィルムに十分な機械的強度を付与することが困難である一方で、大きすぎると光学ロス、樹脂使用量を抑制することが困難であり、かつ、表示素子に使用された場合にスペースを節約することが困難である。膜厚を上記範囲にすることで、両者のバランスに優れる光学フィルムが得られる。
一方で、厚みムラは小さいほど好ましく、全面において±8%以内、好ましくは±6%以内、より好ましくは±4%以内であることが望ましい。シートの厚みムラが大きいとロール形状に巻いた際に皺が発生するおそれがある。また、他部材との貼り合せで皺や浮きが発生するおそれがある。
ここで、特許文献1に記載の光学用フィルムは、エチレンとノルボルネンとを共重合させて得られるものであるが、複屈折性を制御して低レターデーションを実現するために、メタロセン系触媒を用いて共重合を行って、メソ型とラセモ型との存在比率を精密に制御する技術のみが具体的に記載されている。本実施形態では、ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有する重合体を一定量以上含めるようにして、低レターデーションを実現しており、重合体製造時の触媒系選択はあまり重要ではなく、メタロセン系触媒を用いた共重合でのみ低レターデーションを実現している特許文献1記載の技術とは異なるものである。
また、特許文献2に記載の技術では、配向に依存した光学的異方性を有する高分子樹脂に、炭酸ストロンチウムの針状結晶微粒子を配向性を制御しながらドープすることにより、高分子樹脂の配向に依存した複屈折を打ち消して、結果として光学等方性(低レターデーション)の光学樹脂材料を得ている。しかしながら、高分子樹脂と炭酸ストロンチウムの複屈折の波長分散が異なる為に、特定の波長において複屈折を打ち消しているに過ぎない。つまり、表示装置で必要とされる可視光の波長範囲(380〜780nm)全体で複屈折を打ち消すことができない課題があった。この問題を解決する方法の一つとして、高分子樹脂の複屈折をできるだけ小さくすることが上げられる。本実施形態では、ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有する重合体を一定量以上含めるようにして、低レターデーション(低複屈折)を実現している。これにより、特許文献2記載の技術では不十分であった可視光の波長範囲での複屈折の補正が、事実上可能となった。
(光学フィルムの用途)
本実施形態の光学フィルムは、低レターデーションである物性が要求される用途、例えば剥離フィルム、転写フィルムなどのプロセスフィルム、偏光子保護フィルムなどにおいて好適に用いることができる。
また、本実施形態の光学フィルムは、表示装置、例えば液晶表示装置、有機EL表示装置などに好適に用いることができる。
以下に、実施例および比較例を参照しながら、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明はいかなる意味においても、以下に示す実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有するモノマーとオレフィン系モノマーとの付加共重合体として、下記式のテトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン(TCD−3)とエチレンとのランダム共重合体(モル比(TCD−3:エチレン)=45:55、ガラス転移温度165℃、平均屈折率1.54、吸水率0.01%、ポリスチレン換算の分子量Mw1.0×105およびMn5.1×104)を用いて、一軸押出機(径40mm)にて、シリンダ温度290℃の条件で溶融押出し成形を行い、膜厚200μmのフィルムを作製した。得られたフィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)は0.2nmであった。続いてこのフィルムを機械方向(MD)に延伸機にて、ガラス転移温度+20℃にて3倍延伸し、膜厚が67μmの一軸延伸フィルムを作製した。得られた一軸延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)は1.4nmであり十分に小さい値であった。
Figure 2009151215
〔比較例1〕
下記式のビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)とエチレンとのランダム共重合体(モル比(ノルボルネン:エチレン)=60:40、ガラス転移温度170℃、平均屈折率1.53、吸水率0.01%、ポリスチレン換算の分子量Mw1.7×105およびMn6.5×104)を用いて、一軸押出機(径40mm)にて、シリンダ温度300℃の条件で溶融押出し成形を行い、膜厚200μmのフィルムを作製した。得られたフィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)は2.0nmであった。続いてこのフィルムを機械方向(MD)に延伸機にて、ガラス転移温度+20℃にて3倍延伸し、膜厚が67μmの一軸延伸フィルムを作製した。得られた一軸延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)は130nmであり非常に大きなレターデーションを示した。
Figure 2009151215
〔比較例2〕
ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有するモノマーとオレフィン系モノマーとの付加共重合体として、下記式のテトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン(TCD−3)とエチレンとのランダム共重合体(モル比(TCD−3:エチレン)=30:70、ガラス転移温度125℃、平均屈折率1.54、吸水率0.01%、ポリスチレン換算の分子量Mw1.2×105およびMn5.3×104)を用いて、一軸押出機(径40mm)にて、シリンダ温度280℃の条件で溶融押出し成形を行い、膜厚200μmのフィルムを作製した。得られたフィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)は0.9nmであった。続いてこのフィルムを機械方向(MD)に延伸機にて、ガラス転移温度+20℃にて3倍延伸し、膜厚が67μmの一軸延伸フィルムを作製した。得られた一軸延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)は45nmであり非常に大きなレターデーションを示した。
Figure 2009151215
〔実施例2〕
比較例2において、一軸押出機にて膜厚200μmのフィルムを作成する際に無機化合物の針状結晶として炭酸カルシウムの針状結晶を1.4wt%の割合で混合し、フィルムを作製した。得られたフィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)は0.2nmであった。続いてこのフィルムを機械方向(MD)に延伸機にて、ガラス転移温度+20℃にて3倍延伸し、膜厚が67μmの一軸延伸フィルムを作製した。得られた一軸延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)は0.8nmであり十分に小さい値であった。
〔比較例3〕
ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有するモノマーとオレフィン系モノマーとの付加共重合体として、下記式のテトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン(TCD−3)とエチレンとのランダム共重合体(モル比(TCD−3:エチレン)=19:81、ガラス転移温度70℃、平均屈折率1.54、吸水率0.01%、ポリスチレン換算の分子量Mw1.1×105およびMn5.0×104)を用いて、一軸押出機(径40mm)にて、シリンダ温度260℃の条件で溶融押出し成形を行い、膜厚200μmのフィルムを作製した。得られたフィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)は1.5nmであった。続いてこのフィルムを機械方向(MD)に延伸機にて、温度90℃にて3倍延伸し、膜厚が67μmの一軸延伸フィルムを作製した。得られた一軸延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)は100nmと非常に大きなレターデーションを示した。そこで、上記一軸押出機にて膜厚200μmのフィルムを作成する際に無機化合物の針状結晶として炭酸カルシウムの針状結晶を3.1wt%の割合で混合し、フィルムを作製した。得られたフィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)は0.2nmであった。続いてこのフィルムを機械方向(MD)に延伸機にて、ガラス転移温度+20℃にて3倍延伸し、膜厚が67μmの一軸延伸フィルムを作製した。得られた一軸延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)は0.8nmであり十分に小さい値であった。しかしながら、この一軸延伸フィルムを、直交させた2枚の偏光板の間に挿入し目視で観察したところ、実施例2に比べ透過光が大きく、例えば低レターデーションが要求される偏光子保護フィルムには不適であることが分かった。
Figure 2009151215
〔比較例4〕
ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有するモノマーの開環重合体として、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エンを開環重合し水素添加することで、開環重合体(ガラス転移温度167℃、平均屈折率1.51、吸水率0.4%、ポリスチレン換算の分子量Mw1.0×105およびMn4.7×104)を用いて、一軸押出機(径40mm)にて、シリンダ温度320℃の条件で溶融押出し成形を行い、膜厚200μmのフィルムを作製した。得られたフィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)は2.2nmであった。続いてこのフィルムを機械方向(MD)に延伸機にて、温度185℃にて3倍延伸し、膜厚が67μmの一軸延伸フィルムを作製した。得られた一軸延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)は110nmと非常に大きなレターデーションを示した。そこで、上記一軸押出機にて膜厚200μmのフィルムを作成する際に無機化合物の針状結晶として炭酸カルシウムの針状結晶を3.4wt%の割合で混合し、フィルムを作製した。得られたフィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)は0.2nmであった。続いてこのフィルムを機械方向(MD)に延伸機にて、ガラス転移温度+20℃にて3倍延伸し、膜厚が67μmの一軸延伸フィルムを作製した。得られた一軸延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)は0.8nmであり十分に小さい値であった。しかしながら、この一軸延伸フィルムを、直交させた2枚の偏光板の間に挿入し目視で観察したところ、実施例2に比べ透過光が大きく、例えば低レターデーションが要求される偏光子保護フィルムには不適であることが分かった。
Figure 2009151215

Claims (9)

  1. 無機化合物の針状結晶を実質的に含まない、ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有する繰り返し単位を35モル%以上含有する脂環式構造含有重合体を含んでなる溶融押出し法によって形成された光学フィルムであって、当該フィルムを機械方向(MD)に倍率3倍で延伸して得られる延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)が、2nm以下である、光学フィルム。
  2. 未延伸の状態での厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)が、1.0nm以下である、請求項1に記載の光学フィルム。
  3. ビシクロ[3.3.0]オクタン構造を有する繰り返し単位を20モル%以上含有する脂環式構造含有重合体を含んでなる溶融押出し法によって形成された光学フィルムであって、当該フィルムを機械方向(MD)に倍率3倍で延伸して得られる延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)が、50nm以下である光学フィルムに、無機化合物の針状結晶を、0.1〜50重量%含有させたことで、当該フィルムを機械方向(MD)に倍率3倍で延伸して得られる延伸フィルムの波長550nmにおける厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)が、2nm以下である、光学フィルム。
  4. 未延伸の状態での厚み50μmあたりのレターデーションR50(550)が、1.0nm以下である、請求項3に記載の光学フィルム。
  5. 実質的に延伸を行なわない、請求項1から4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 10m/min以上の生産速度で生産された、請求項1から5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の光学フィルムを用いた、プロセスフィルム。
  8. 請求項1から6のいずれか1項に記載の光学フィルムを用いた、偏光子保護フィルム。
  9. 請求項1から6のいずれか1項に記載の光学フィルムを用いた、表示装置。
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