JP2009146928A - 半導体素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 単一のウエハから厚みの異なる複数の素子を製造する。
【解決手段】 先ず、ウエハの少なくとも一部の範囲に不純物をイオン注入し、所定のエッチャントによるエッチングレートがウエハ材料よりも高い分離層を形成する。分離層には、ウエハに対して平行に広がる範囲と、ウエハの厚み方向に変位する変位部を設ける。ここで、分離層の変位部は、後のダイシング工程においてダイシングラインとなる位置に設けておく。次いで、前記した所定のエッチャントを用いて分離層を除去し、ウエハから裏面領域の少なくとも一部を分離する。その後、ウエハを複数の素子にダイシングする。それにより、製造できる素子数を減少させることなく、単一のウエハから厚みの異なる複数の素子を製造することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、半導体素子の製造方法に関する。
半導体素子は、その厚みによって電気的特性が変化する。そのことから、半導体素子の厚みは、必要とされる電気的特性に応じて細かに定める必要がある。
半導体素子の厚みは、その基となるウエハの厚みによって決まる。従って、所望する厚みの半導体素子を得るためには、その基となるウエハをその厚みまで正確に加工する必要がある。ウエハを厚み方向に加工する手法としては、例えばウエハ表面(又は裏面)を研磨する技術がよく利用されている。
また、ウエハを厚み方向に加工する手法として、ウエハをその厚み方向に分離させる技術が開発されている(例えば特許文献1)。この種の技術では、シリコンウエハに酸素をイオン注入することで、シリコンウエハに酸化シリコンからなる分離層を形成する。あるいは、シリコンウエハに水素をイオン注入することで、シリコンウエハに多孔質化した分離層を形成する。酸化シリコンからなる分離層や多孔質化した分離層は、例えばフッ酸によるエッチングレートがシリコンよりも高くなる。従って、フッ酸を用いたエッチングを行うと、分離層のみが選択的に除去され、シリコンウエハが厚み方向に分離される。この技術によると、分離層を形成する位置を調整することによって、シリコンウエハを所望する厚みに加工することが可能となる。
特開2000−36583号公報
従来の半導体素子の製造方法では、シリコンウエハを均一の厚みに加工し、単一のウエハからは同一の厚みを有する半導体素子のみを製造している。この場合、シリコンウエハを所望する厚みに加工するために、上記したウエハを研磨する技術や分離する技術を有効に利用することができる。その一方において、単一のウエハから異なる厚みの半導体素子を製造するためには、それぞれの厚みに応じて、単一のウエハに厚みの異なる複数の範囲を形成する必要がある。しかしながら、従来の技術では、単一のウエハに厚みの異なる複数の範囲を形成することは困難とされている。
本発明は、上記の課題を解決する。本発明は、単一のウエハから厚みの異なる複数の素子を製造するための技術を提供する。
本発明は、単一のシリコン系ウエハから厚みの異なる複数の素子を製造する製造方法に具現化される。この製造方法は、前記ウエハの少なくとも一部の範囲に不純物をイオン注入し、所定のエッチャントによるエッチングレートがウエハ材料よりも高い分離層を形成する分離層形成工程と、前記所定のエッチャントを用いて前記分離層を除去し、前記ウエハから裏面領域の少なくとも一部を分離するウエハ分離工程と、前記ウエハを複数の素子にダイシングするダイシング工程を備えている。ここで、前記分離層には、ウエハに対して平行に広がる範囲と、ウエハの厚み方向に変位する変位部を設ける。特に、その変位部は、ダイシング工程においてダイシングラインとなる位置に設ける。
分離層にウエハの厚み方向に変位する変位部を設けると、ウエハ分離工程後のウエハに厚みの異なる複数の範囲を形成することができる。ただし、分離層に変位部を設けた範囲ではウエハの厚みが大きく変化するため、変位部を設けた範囲には素子を形成することができなくなる。従って、変位部を設ける位置によっては、単一のウエハから製造できる素子数が減少してしまうことがある。このとき、変位部を設ける位置をダイシングラインとなる位置に一致させておくと、単一のウエハから製造できる素子数を維持することができる。
本発明に係る製造方法によると、製造できる素子数を減少させることなく、単一のウエハから厚みの異なる複数の素子を製造することができる。
上記した製造方法では、前記ウエハの第1範囲には前記分離層を第1深さでウエハに対して平行に形成し、前記ウエハの第2範囲には前記分離層を第2深さでウエハに対して平行に形成し、第1範囲と第2範囲の境界範囲には前記変位部を第1深さから第2深さへとウエハに対して角度を成すように形成することが好ましい。
この態様によると、ウエハの第1範囲から第1深さに対応する厚みの素子を製造でき、ウエハの第2範囲からは第2深さに対応する厚みの素子を製造することができる。
あるいは、上記した製造方法において、前記ウエハの第1範囲には前記分離層は第1深さでウエハに対して平行に形成し、前記ウエハの第2範囲には前記分離層を形成せず、第1範囲と第2範囲の境界範囲には前記変位部を第1深さからウエハ裏面へとウエハに対して角度を成すように形成することも好ましい。
この態様によると、ウエハの第1範囲から第1深さに対応する厚みの素子を製造でき、ウエハの第2範囲からはウエハと等しい厚みの素子を製造することができる。
上記した製造方法では、前記分離層に、ウエハ裏面まで延伸する延伸部を複数形成することが好ましい。
分離層の複数箇所がウエハ裏面まで延伸していると、エッチャントによる分離層の除去を複数箇所から同時に進行させることができる。それにより、分離層の除去をより短時間で行うことが可能となる。
本発明によると、単一のウエハから厚みの異なる複数の素子を製造することが可能となり、厚みが様々に異なる多品種の素子を小ロットで効率よく生産することが可能となる。
最初に、本発明の好適な実施形態を列記する。
(形態1) 本発明は、シリコンや炭化珪素といったシリコン系半導体のウエハを用いる半導体素子の製造に好適に用いることができる。
(形態2) 分離層の形成では、酸素、水素、炭素をイオン注入することが好ましい。ウエハに酸素をイオン注入すると、ウエハ内に酸化シリコンからなる分離層を形成することができる。また、水素や炭素をイオン注入すると、ウエハ内に微小気泡を含有する多孔質性の分離層を形成することができる。これらの分離層は、いずれも、例えばフッ酸に対してシリコン系ウエハ材料よりもエッチングレートが高いことから、フッ酸によるエッチングよって選択的に除去することができる。
(形態3) 分離層には、複数の変位部を設けることができる。この場合、例えばウエハの第1範囲には分離層を第1深さでウエハに対して平行に形成し、ウエハの第2範囲には分離層を第2深さでウエハに対して平行に形成し、第1範囲と第2範囲の境界範囲には第1の変位部を第1深さから第2深さへとウエハに対して角度を成すように形成する。さらに、ウエハの第2範囲に隣接する第3範囲には分離層を形成せず、第2範囲と第3範囲の境界範囲には第2の変位部を第2深さからウエハ裏面へとウエハに対して角度を成すように形成する。それにより、単一のウエハに厚みの異なる3つの範囲を形成することができ、単一のウエハから厚みの異なる3種の素子を製造することが可能となる。
本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。図1に示すフローチャートは、本発明の実施例である半導体素子の製造方法の流れを示している。この製造方法では、厚みが一定である単一のウエハから、厚みの異なる2種の縦型IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)を製造する。以下、図1に示すフローチャートに沿って、本実施例の製造方法について詳細に説明する。
先ず、ステップS10では、図2に示すように、シリコンウエハ10を準備する。準備するシリコンウエハ10の寸法や電気的特性は、製造する素子に応じて適宜定めることができる。ここでは、200μmの厚みを有するn型のシリコンウエハ10を準備する。
次に、ステップS20では、図3に示すように、シリコンウエハ10の裏面10bから酸素のイオン注入を行う。それにより、シリコンウエハ10に酸素を注入した分離層20を形成する。分離層20は、シリコンウエハ10の面方向の全範囲に亘って形成してもよいし、シリコンウエハ10の面方向の一部の範囲のみに形成してもよい。ここでは、シリコンウエハ10の全範囲に亘って酸素のイオン注入を行い、シリコンウエハ10の全範囲に亘る分離層20を形成する。分離層20によって、シリコンウエハ10はその厚み方向に二分される。
図3に示すように、分離層20には、シリコンウエハ10の厚み方向に変位する変位部21を設ける。それにより、シリコンウエハ10の2つの範囲R1、R2の間で、分離層20を形成する深さ位置を互いに相違させる。即ち、シリコンウエハ10の第1範囲R1では、分離層20を第1深さD1の位置でシリコンウエハ10に対して平行に形成する。一方、シリコンウエハ10の第2範囲R2では、分離層20を第1深さD1と異なる第2深さD2でシリコンウエハ10に対して平行に形成する。そして、第1範囲R1と第2範囲R2との境界範囲B1では、第1範囲R1と第2範囲R2の間で分離層20が連続するように、分離層20をシリコンウエハ10に対して角度を成すように形成する。即ち、境界範囲B1の分離層20には、第1深さD1から第2深さD2へと変位する変位部21が形成される。
ここで、分離層20を形成する深さ位置は、イオン注入時の加速電圧によって調整することができる。本実施例では、第1範囲R1では加速電圧を15MeV程度に設定し、分離層20をシリコンウエハ10の裏面10bから約10μmの位置に形成する。即ち、第1範囲R1では、分離層20の深さD1を約190μmとする。一方、第2範囲R2では、加速電圧を7MeV程度に設定し、分離層20をシリコンウエハ10の裏面10bから約5μmの位置に形成する。即ち、第2範囲R2では、分離層20の深さ位置D2を約195μmとする。そして、第1範囲R1と第2範囲R2の境界領域B1では、第1範囲R1側から第2範囲R2側にかけて加速電圧を15MeVから7MeVまで連続的に変化させ、分離層20の深さ位置を190μmから195μmまで連続的に変化させる。分離層20の厚みは1〜3μm程度でよく、酸素のドーズ量は1×1018/cm以上とするとよい。
次に、ステップS30では、シリコンウエハ10をアニール処理し、酸素を注入した分離層20の酸化を完了させる。このアニール処理は、例えば400℃〜1000℃の窒素雰囲気下で行うことができる。それにより、分離層20を酸化シリコン(SiO)へと変化させる。アニール処理後のシリコンウエハ10では、その裏面10b側の領域が酸化シリコンからなる分離層20によって隔絶されるようになる。
次に、ステップS40では、図4に示すように、シリコンウエハ10にフッ酸(フッ化水素酸)30を用いたエッチング処理を実施する。分離層20を構成する酸化シリコンは、シリコンウエハ10を構成するシリコンと比較して、フッ酸によるエッチング時のエッチングレートが十分に高い。従って、シリコンウエハ10に対してフッ酸30を用いたエッチング処理を実施すると、シリコンウエハ10から分離層20のみを選択的に除去し、シリコンウエハ10からその裏面10b側の領域から分離することができる。その結果、シリコンウエハ10の第1範囲R1では、その厚みが第1の厚みD1(約190μm)となる。また、シリコンウエハ10の第2範囲R2では、その厚みが第2の厚みD2(約195μm)となる。そして、第1範囲R1と第2範囲R2の境界範囲B1では、その厚みが第1厚みD1から第2厚みD1へと変化する(図5の符号10d)。このように、ステップS30までの工程を経たシリコンウエハ10には、厚みの異なる二つの範囲R1、R2が形成されることになる。
次に、ステップS50では、図5に示すように、シリコンウエハ10の第1範囲R1及び第2範囲R2に、その表面10a側から複数の素子構造50を形成する。ここでは、縦型IGBTを構成するために、p型ボディ領域62、n型エミッタ領域58、トレンチ型絶縁ゲート60、p型周縁領域54、エミッタ電極56、配線回路(図示省略)、層間絶縁膜52、電極パッド(図示省略)等を形成する。素子構造50を形成する手段、手順については、公知の技術を用いて行うことができる。従って、ここでは詳細な説明を省略する。
次に、ステップS60では、図6に示すように、シリコンウエハ10の新たな裏面(分離後の裏面)10c側から、素子構造50の残余の部分を形成する。ここでは、n型バッファ層64、p型コレクタ層66、コレクタ電極68等を形成する。これらの各層やオーミック電極を形成する手段、手順については、公知の技術を用いて行うことができる。また、以上に説明した素子構造50は一例であり、本実施例の製造方法は、他の構造を有する素子の製造にも適用することができる。
次に、ステップS70では、図7に示すように、シリコンウエハ10を回転刃70によってダイシングし、複数の素子(縦型IGBT)に分割する。それにより、第1の厚みD1を有する素子50aと、第1の厚みD1を有する素子50bを得る。ここで、第1範囲R1と第2範囲R2の境界範囲B1は、隣接する素子構造50の境界に一致しており、回転刃70によるダイシングラインに一致する。従って、シリコンウエハ10の厚みが変化する境界範囲B1は、このダイシングによって同時に除去することができる。特に、分離層20に形成する変位部21の幅を回転刃70の幅以下にしておくと、シリコンウエハ10の厚みが変化する部分はダイシングによって完全に除去されることになる。切り出した素子50a、50bに、厚みが変化するような部分が含まれることはない。
以上の工程により、単一のシリコンウエハ10から、厚みの異なる複数の素子50a、50bを製造することができる。
以上のように、本実施例の製造方法では、エッチングによって除去可能な分離層20をシリコンウエハ10に形成し、シリコンウエハ10を厚み方向に分離することによって、シリコンウエハ10を素子に必要とされる厚みに加工する。このとき、分離層20にはシリコンウエハ10の厚み方向に変位する変位部21を設けることによって、シリコンウエハ10の厚みを第1範囲R1と第2範囲R2との間で相違させる。それにより、単一のシリコンウエハ10から厚みの異なる複数の素子50a、50bを製造することができる。
さらに、本実施例の製造方法では、上記した分離層20の変位部21を、ダイシング工程においてダイシングラインとなる位置に設けている。特に、本実施例では、変位部21の幅を、ダイシングに用いる回転刃70の幅以下に収めている。それにより、製造できる素子数を減少させることなく、単一のシリコンウエハ10から厚みの異なる複数の素子50a、50bを製造することができる。
上記した製造方法では、図8に示すように、シリコンウエハ10に形成する分離層20に、シリコンウエハ10の裏面10bまで延伸する延伸部22を複数形成することも有効である。このような延伸部22を形成しておくと、ステップS40のエッチング処理によって分離層20を除去する際に、それぞれの延伸部22からも分離層20の除去が進行する。それにより、分離層20を比較的に短時間で除去し、シリコンウエハ10の分離を速やかに完了させることが可能となる。
上記した製造方法では、図9に示すように、シリコンウエハ10の一部の範囲のみに分離層20を形成してもよい。この場合、例えばシリコンウエハ10を予め第2の厚みD2に加工しておけば、シリコンウエハ10の第1範囲R1及び境界範囲B1のみに分離層20を形成すれば足りる。即ち、第1範囲R1には分離層20を第1深さD1の位置でシリコンウエハ10に対して平行に形成し、境界範囲B1には分離層20を第1深さD1から裏面10bへとシリコンウエハ10に対して角度を成すように形成する。そして、第2範囲R2には分離層20を形成しない。この場合でも、フッ酸等を用いて分離層20を除去することにより、厚みの異なる2つの範囲、即ち、第1の厚みD1を有する第1範囲R1と、第2の厚みD1を有する第2範囲R2を形成することができる。従って、上記した製造方法と同様に、第1の厚みD1を有する素子50aと、第1の厚みD1を有する素子50bを得ることができる。
上記した製造方法では、図10に示すように、分離層20に複数の変位部21を設け、厚みの異なる3種以上の素子を製造することもできる。即ち、図10に示すように、シリコンウエハ10の第1範囲R1には、分離層20を第1深さD1の位置でシリコンウエハ10に対して平行に形成する。シリコンウエハ10の第2範囲R2には、分離層20を第2深さD2の位置でシリコンウエハ10に対して平行に形成する。一方、シリコンウエハ10の第3範囲R3には、分離層20を形成しない。そして、第1範囲R1と第2範囲R2の間の境界範囲B1には、分離層20を第1深さD1から第2深さD2へとシリコンウエハ10に対して角度を成すように形成する(第1の変位部21a)。また、第2範囲R2と第2範囲R3の間の境界範囲B2には、分離層20を第2深さD2から裏面10bへとシリコンウエハ10に対して角度を成すように形成する(第2の変位部21b)。このとき、それぞれの変位部21a、21bを設ける位置は、ダイシング工程においてダイシングラインとなる位置に合わせておく。それにより、図11に示すように、単一のシリコンウエハ10から、第1の厚みD1を有する素子50aと、第2の厚みD2を有する素子50bと、第3の厚みD3を有する素子50cを製造することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上記した製造方法の技術は、シリコンウエハを用いる製造方法のみならず、他のシリコン系ウエハを用いる製造方法にも採用することができる。例えば、炭化珪素(SiC)ウエハを用いる半導体素子の製造でも、酸素をイオン注入することによって、酸化シリコンからなる分離層を形成することができる。酸化シリコンは、フッ酸によるエッチングレートが、炭化珪素よりも高い。従って、炭化珪素ウエハを用いる製造方法においても、酸素のイオン注入によって分離層20を形成し、その分離層20の位置で炭化珪素ウエハをその厚み方向に分割することができる。
上記した製造方法では、ステップS20のイオン注入工程において、酸素の代わりに水素をイオン注入することもできる。水素が注入された分離層20では、マイクロバブルと呼ばれる微小気泡が発生し、その材質が多孔質性の材質へと変化する。多孔質となった分離層20は、酸化シリコンと同じように、フッ酸によるエッチングレートがシリコン結晶よりも高くなる。従って、水素を注入した分離層20でも、ステップS40のエッチング工程において、フッ酸により選択的に除去することができる。なお、多孔質化した分離層20では、その後のステップS30のアニール処理において微小気泡が膨張し、その内部に比較的に大きな応力が発生する。従って、多孔質の分離層20を形成した場合は、ステップS30のアニール処理によって、シリコンウエハ10を分離させることができる。この場合、分離後のシリコンウエハ10に残存する多孔質層は、その後のステップS40のエッチング処理によって除去することができる。
あるいは、ステップS20のイオン注入工程において、酸素の代わりに炭素をイオン注入することもできる。この場合、ステップS30のアニール工程を、水素雰囲気下で行うことが好ましい。炭素が注入された分離層20では、水素雰囲気下における熱処理によって炭素の還元が進み、シリコン結晶から多孔質材質への変質が生じる。多孔質となった分離層20は、酸化シリコンと同じように、フッ酸によるエッチングレートがシリコン結晶よりも高くなる。従って、炭素を注入した分離層20でも、ステップS40のエッチング工程において、フッ酸により選択的に除去することができる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
半導体素子の製造方法の流れを示すフローチャート。 半導体素子の製造方法の一過程を示す図(ステップS10)。 半導体素子の製造方法の一過程を示す図(ステップS20、S30)。 半導体素子の製造方法の一過程を示す図(ステップS40)。 半導体素子の製造方法の一過程を示す図(ステップS50)。 半導体素子の製造方法の一過程を示す図(ステップS60)。 半導体素子の製造方法の一過程を示す図(ステップS70)。 延伸部を設けた分離層を例示する図。 ウエハの一部の範囲のみに分離層を形成した例を示す図。 複数の変位部を設けた分離層を例示する図。 厚みの異なる3種の素子を製造する例を示す図。
符号の説明
10:シリコンウエハ
10a:シリコンウエハの表面
10b:シリコンウエハの裏面
10c:裏面
20:分離層
21:変位部
22:延伸部
30:フッ酸
50:素子構造
50a、50b、50c:素子
54:p型周縁領域
56:エミッタ電極
58:n型エミッタ領域
60:トレンチ型絶縁ゲート
62:p型ボディ領域
64:n型バッファ層
66:p型コレクタ層
68:コレクタ電極
70:回転刃

Claims (4)

  1. 単一のシリコン系ウエハから厚みの異なる複数の素子を製造する製造方法であって、
    前記ウエハの少なくとも一部の範囲に不純物をイオン注入し、所定のエッチャントによるエッチングレートがウエハ材料よりも高い分離層を形成する分離層形成工程と、
    前記所定のエッチャントを用いて前記分離層を除去し、前記ウエハから裏面領域の少なくとも一部を分離するウエハ分離工程と、
    前記ウエハを複数の素子にダイシングするダイシング工程を備え、
    前記分離層には、ウエハに対して平行に広がる範囲と、ウエハの厚み方向に変位する変位部を設け、
    前記分離層の変位部を、ダイシング工程においてダイシングラインとなる位置に設けることを特徴とする製造方法。
  2. 前記ウエハの第1範囲には前記分離層を第1深さでウエハに対して平行に形成し、前記ウエハの第2範囲には前記分離層を第2深さでウエハに対して平行に形成し、第1範囲と第2範囲の境界範囲には前記変位部を第1深さから第2深さへとウエハに対して角度を成すように形成することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ウエハの第1範囲には前記分離層は第1深さでウエハに対して平行に形成し、前記ウエハの第2範囲には前記分離層を形成せず、第1範囲と第2範囲の境界範囲には前記変位部を第1深さからウエハ裏面へとウエハに対して角度を成すように形成することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記分離層に、ウエハ裏面まで延伸する延伸部を複数形成することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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