ところが、出願人が開示している従来の測定装置には、以下の改善すべき課題がある。すなわち、出願人が開示している従来の測定装置では、測定データに対応する変換用データがメモリに記憶されているときには、その変換用データをメモリから読み出して文字データとして記録部に出力することにより、すべての測定データについて変換用データをそれぞれ生成する構成の従来の装置と比較して変換用データを生成する処理の実行回数が少なくて済む分だけ、各測定データを文字データに変換するのに要する時間が短縮されている。この場合、この種の測定装置において測定データに基づく測定結果を表示する際には、測定値だけでなく、その測定値が測定された時間(測定処理の開始時点からの経過時間)を測定値に関連付けて表示するのが一般的となっている。したがって、測定データに基づく測定結果の記録に際しては、測定値を表す文字データだけでなく、その測定値が測定された時点の測定処理開始時点からの経過時間を表す文字データを生成する必要がある。
この場合、測定値については、ある程度の時間に亘って測定処理を実行したときに同一の測定値が複数回に亘って測定されることがある。したがって、出願人が開示している従来の測定装置のように、測定データに対応する変換用データをメモリに記憶させておく構成を採用することにより、その後に同一の測定値の測定データがA/D変換部によって生成されたときに、メモリに記憶されている変換用データを使用して変換用データを生成する処理の実行回数を減らすことができる。しかしながら、測定処理の開始時点からの経過時間については、測定処理を開始してから終了するまでの間において、同一の時間が再び発生することがない。したがって、例えば、経過時間に対応する変換用データを生成してメモリに記憶させておく構成を採用したとしても、メモリに記憶させた変換用データを繰り返して使用することがないため、結果として、測定データの数だけ、経過時間に対応する変換用データを生成する処理を実行する必要が生じる。
このため、出願人が開示している従来の測定装置には、測定処理の開始時点からの経過時間を表す文字データ(経過時間データ)の生成に長い時間を要することがあり、この点を改善するのが好ましい。また、出願人が開示している従来の測定装置では、例えば、入力信号の信号レベルがある程度緩やかに変化しているときに、測定処理中に同一の測定値が測定されないことがあり、このような場合には、生成された測定値に対応する変換用データをメモリに記憶させたとしても、その変換用データを再び使用することなく、結果として、測定データの数だけ、測定値に対応する変換用データを生成する処理を実行する必要が生じるおそれがある。このため、測定値を表示するための文字データ(測定値データ)の生成にある程度長い時間を要することとなるおそれがあり、この点を改善するのが好ましい。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、経過時間データや測定値データの生成に要する時間を十分に短縮し得る測定データ記録装置および測定データの記録方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の測定データ記録装置は、入力信号の電気的パラメータを測定して測定データを生成する測定部を備えると共に、当該測定部を制御して指定された時間間隔で前記測定データを順次生成させる測定処理と、前記各測定データの前記電気的パラメータを指定された単位で指定された桁数の数値に変換した後に当該変換した数値を表す文字列に変換して測定値データを生成する測定値データ生成処理と、前記測定処理の開始時点から前記測定データの生成時点までの経過時間を指定された単位で指定された桁数の数値に変換した後に当該変換した数値を表す文字列に変換して経過時間データを生成する経過時間データ生成処理と、前記測定値データおよび前記経過時間データを相互に関連付けて記録装置に記録させるデータ記録処理とを実行する制御部を備えた測定データ記録装置であって、0から(Na−1)までのNa個の各数値(Naは、10のMa乗の自然数:Maは、自然数)をそれぞれ表す各文字列が順に並んだデータ変換用テーブルを記憶する記憶部を備え、前記制御部が、前記経過時間データ生成処理時において、前記各測定データの生成順位を示す順位数値を特定する順位数値特定処理と、前記順位数値および前記指定された時間間隔に基づいて前記各測定データの生成時点までの前記経過時間を演算すると共に当該演算した経過時間を表す数値を前記指定された単位で前記指定された桁数の経過時間数値に変換する経過時間変換処理と、前記経過時間数値を最下位の桁側からMa桁毎に分割したLa個の数値(Laは、経過時間数値の桁数をMaで除して小数点以下を切り上げた数)を前記データ変換用テーブルを参照して当該Ma桁の各数値を表す前記文字列に変換する経過時間文字列変換処理とをこの順で実行した後に、前記変換した各文字列を前記経過時間文字列変換処理時に前記経過時間数値を分割した順で並べて前記経過時間データを生成する。
なお、本発明における「経過時間変換処理」における「演算した経過時間を表す数値を指定された単位で指定された桁数の経過時間数値に変換する」との処理は、例えば、「10ms」との経過時間を表す数値を指定された単位としての「秒(s)」で、指定された桁数としての「小数点第3位の桁数」の経過時間数値としての「0010(0.010s)」に変換する処理を意味する。また、本発明の「経過時間文字列変換処理」における「経過時間数値の桁数」とは、例えば、経過時間数値が上記の「0010」の場合には「0」「0」「1」「0」からなる4桁であることを意味する。したがって、本発明における「経過時間文字列変換処理」における「経過時間数値を最下位の桁側からMa桁毎に分割したLa個の数値」とは、例えば、上記の「0010」との数値を最下位の桁(この例では1位の桁)側から「Ma=3桁」毎に分割した「La=2個」の数値である「0」および「010」を意味する。
また、請求項2記載の測定データ記録装置は、請求項1記載の測定データ記録装置において、前記制御部が、前記経過時間文字列変換処理として、前記経過時間数値をNaで除した余りを前記La個の数値のうちの最下位の桁側から1個目の数値とすると共に、前記データ変換用テーブルの前記Na個の文字列のうちのJaa番目の文字列(Jaaは、上記の「経過時間数値をNaで除した余り」に1を加算した数)を当該1個目の数値を表す前記文字列として読み出して変換し、前記経過時間数値を10のXa乗(XaはMaに(Ka−1)を乗じた数値:Kaは、2以上La以下の各自然数)で除した商をNaで除した余りを前記La個の数値のうちの最下位の桁側からKa個目の数値とすると共に、前記データ変換用テーブルの前記Na個の文字列のうちのJab番目の文字列(Jabは、上記の「経過時間数値を10のXa乗で除した商をNaで除した余り」に1を加算した数)を当該Ka個目の数値を表す前記文字列として読み出して変換する。
また、請求項3記載の測定データ記録装置は、入力信号の電気的パラメータを測定して測定データを生成する測定部を備えると共に、当該測定部を制御して指定された時間間隔で前記測定データを順次生成させる測定処理と、前記各測定データの前記電気的パラメータを指定された単位で指定された桁数の数値に変換した後に当該変換した数値を表す文字列に変換して測定値データを生成する測定値データ生成処理と、前記測定処理の開始時点から前記測定データの生成時点までの経過時間を指定された単位で指定された桁数の数値に変換した後に当該変換した数値を表す文字列に変換して経過時間データを生成する経過時間データ生成処理と、前記測定値データおよび前記経過時間データを相互に関連付けて記録装置に記録させるデータ記録処理とを実行する制御部を備えた測定データ記録装置であって、0から(Nb−1)までのNb個の各数値(Nbは、10のMb乗の自然数:Mbは、自然数)をそれぞれ表す各文字列が順に並んだデータ変換用テーブルを記憶する記憶部を備え、前記制御部が、前記測定値データ生成処理時において、前記各測定データの前記電気的パラメータを前記指定された単位で前記指定された桁数のパラメータ数値に変換するパラメータ数値変換処理と、前記パラメータ数値を最下位の桁側からMb桁毎に分割したLb個の数値(Lbは、パラメータ数値の桁数をMbで除して小数点以下を切り上げた数)を前記データ変換用テーブルを参照して当該Mb桁の各数値を表す前記文字列に変換するパラメータ文字列変換処理とをこの順で実行した後に、前記変換した各文字列を前記パラメータ文字列変換処理時に前記パラメータ数値を分割した順で並べて前記測定値データを生成する。
なお、本発明における「パラメータ数値変換処理」における「測定データの電気的パラメータを指定された単位で指定された桁数のパラメータ数値に変換する」との処理は、例えば、「10mV」との値を「V単位で、小数点第3位の桁数までの数値」である「0010(0.010V)」に変換する処理を意味する。また、本発明における「パラメータ文字列変換処理」における「パラメータ数値の桁数」とは、例えば、パラメータ数値が上記の「0010」の場合には「0」「0」「1」「0」の4桁であることを意味する。したがって、本発明における「パラメータ文字列変換処理」における「パラメータ数値をMb桁毎に分割したLb個の数値」とは、例えば、上記の「0010」との数値を「Mb=3桁」毎に分割した「Lb=2個」の数値である「0」および「010」を意味する。
また、請求項4記載の測定データ記録装置は、請求項3記載の測定データ記録装置において、前記制御部が、前記パラメータ文字列変換処理として、前記パラメータ数値をNbで除した余りを前記Lb個の数値のうちの最下位の桁側から1個目の数値とすると共に、前記データ変換用テーブルの前記Nb個の文字列のうちのJba番目の文字列(Jbaは、上記の「パラメータ数値をNbで除した余り」に1を加算した数)を当該1個目の数値を表す前記文字列として読み出して変換し、前記パラメータ数値を10のXb乗(XbはMbに(Kb−1)を乗じた数値:Kbは、2以上Lb以下の各自然数)で除した商をNbで除した余りを前記Lb個の数値のうちの最下位の桁側からKb個目の数値とすると共に、前記データ変換用テーブルの前記Nb個の文字列のうちのJbb番目の文字列(Jbbは、上記の「パラメータ数値を10のXb乗で除した商をNbで除した余り」に1を加算した数)を当該Kb個目の数値を表す前記文字列として読み出して変換する。
また、請求項5記載の測定データの記録方法は、入力信号の電気的パラメータを指定された時間間隔で測定して測定データを順次生成する測定処理と、前記各測定データの前記電気的パラメータを指定された単位で指定された桁数の数値に変換した後に当該変換した数値を表す文字列に変換して測定値データを生成する測定値データ生成処理と、前記測定処理の開始時点から前記測定データの生成時点までの経過時間を指定された単位で指定された桁数の数値に変換した後に当該変換した数値を表す文字列に変換して経過時間データを生成する経過時間データ生成処理と、前記測定値データおよび前記経過時間データを相互に関連付けて記録装置に記録させるデータ記録処理とを実行する測定データの記録方法であって、前記経過時間データ生成処理時において、前記各測定データの生成順位を示す順位数値を特定する順位数値特定処理と、前記順位数値および前記指定された時間間隔に基づいて前記各測定データの生成時点までの前記経過時間を演算すると共に当該演算した経過時間を表す数値を前記指定された単位で前記指定された桁数の経過時間数値に変換する経過時間変換処理と、0から(Na−1)までのNa個の各数値(Naは、10のMa乗の自然数:Maは、自然数)をそれぞれ表す各文字列が順に並んだデータ変換用テーブルを参照して、前記経過時間数値を最下位の桁側からMa桁毎に分割したLa個の数値(Laは、経過時間数値の桁数をMaで除して小数点以下を切り上げた数)を前記データ変換用テーブルを参照して当該Ma桁の各数値を表す前記文字列に変換する経過時間文字列変換処理とをこの順で実行した後に、前記変換した各文字列を前記経過時間文字列変換処理時に前記経過時間数値を分割した順で並べて前記経過時間データを生成する。
また、請求項6記載の測定データの記録方法は、請求項5記載の測定データの記録方法において、前記経過時間文字列変換処理として、前記経過時間数値をNaで除した余りを前記La個の数値のうちの最下位の桁側から1個目の数値とすると共に、前記データ変換用テーブルの前記Na個の文字列のうちのJaa番目の文字列(Jaaは、上記の「経過時間数値をNaで除した余り」に1を加算した数)を当該1個目の数値を表す前記文字列として変換し、前記経過時間数値を10のXa乗(XaはMaに(Ka−1)を乗じた数値:Kaは、2以上La以下の各自然数)で除した商をNaで除した余りを前記La個の数値のうちの最下位の桁側からKa個目の数値とすると共に、前記データ変換用テーブルの前記Na個の文字列のうちのJab番目の文字列(Jabは、上記の「経過時間数値を10のXa乗で除した商をNaで除した余り」に1を加算した数)を当該Ka個目の数値を表す前記文字列として変換する。
また、請求項7記載の測定データの記録方法は、入力信号の電気的パラメータを指定された時間間隔で測定して測定データを順次生成する測定処理と、前記各測定データの前記電気的パラメータを指定された単位で指定された桁数の数値に変換した後に当該変換した数値を表す文字列に変換して測定値データを生成する測定値データ生成処理と、前記測定処理の開始時点から前記測定データの生成時点までの経過時間を指定された単位で指定された桁数の数値に変換した後に当該変換した数値を表す文字列に変換して経過時間データを生成する経過時間データ生成処理と、前記測定値データおよび前記経過時間データを相互に関連付けて記録装置に記録させるデータ記録処理とを実行する測定データの記録方法であって、前記測定値データ生成処理時において、前記各測定データの前記電気的パラメータを前記指定された単位で前記指定された桁数のパラメータ数値に変換するパラメータ数値変換処理と、0から(Nb−1)までのNb個の各数値(Nbは、10のMb乗の自然数:Mbは、自然数)をそれぞれ表す各文字列が順に並んだデータ変換用テーブルを参照して、前記パラメータ数値を最下位の桁側からMb桁毎に分割したLb個の数値(Lbは、パラメータ数値の桁数をMbで除して小数点以下を切り上げた数)を前記データ変換用テーブルを参照して当該Mb桁の各数値を表す前記文字列に変換するパラメータ文字列変換処理とをこの順で実行した後に、前記変換した各文字列を前記パラメータ文字列変換処理時に前記パラメータ数値を分割した順で並べて前記測定値データを生成する。
また、請求項8記載の測定データの記録方法は、請求項7記載の測定データの記録方法において、前記パラメータ文字列変換処理として、前記パラメータ数値をNbで除した余りを前記Lb個の数値のうちの最下位の桁側から1個目の数値とすると共に、前記データ変換用テーブルの前記Nb個の文字列のうちのJba番目の文字列(Jbaは、上記の「パラメータ数値をNbで除した余り」に1を加算した数)を当該1個目の数値を表す前記文字列として変換し、前記パラメータ数値を10のXb乗(XbはMbに(Kb−1)を乗じた数値:Kbは、2以上Lb以下の各自然数)で除した商をNbで除した余りを前記Lb個の数値のうちの最下位の桁側からKb個目の数値とすると共に、前記データ変換用テーブルの前記Nb個の文字列のうちのJbb番目の文字列(Jbbは、上記の「パラメータ数値を10のXb乗で除した商をNbで除した余り」に1を加算した数)を当該Kb個目の数値を表す前記文字列として変換する。
請求項1記載の測定データ記録装置および請求項5記載の測定データの記録方法では、経過時間データ生成処理時において、各測定データの生成順位を示す順位数値を特定する順位数値特定処理と、順位数値および指定された時間間隔に基づいて各測定データの生成時点までの経過時間を演算すると共に演算した経過時間を表す数値を指定された単位で指定された桁数の経過時間数値に変換する経過時間変換処理と、0から(Na−1)までのNa個の各数値をそれぞれ表す各文字列が順に並んだデータ変換用テーブルを参照して、経過時間数値をMa桁毎に分割したLa個の数値をMa桁の各数値を表す文字列に変換する経過時間文字列変換処理とをこの順で実行した後に、変換した各文字列を経過時間文字列変換処理時に経過時間数値を分割した順で並べて経過時間データを生成する。
また、請求項2記載の測定データ記録装置および請求項6記載の測定データの記録方法では、経過時間文字列変換処理として、経過時間数値をNaで除した余りをLa個の数値のうちの最下位の桁側から1個目の数値とすると共に、データ変換用テーブルのNa個の文字列のうちのJaa番目の文字列を1個目の数値を表す文字列として変換し、経過時間数値を10のXa乗で除した商をNaで除した余りをLa個の数値のうちの最下位の桁側からKa個目の数値とすると共に、データ変換用テーブルのNa個の文字列のうちのJab番目の文字列をKa個目の数値を表す文字列として変換する。
したがって、本発明に係る測定データ記録装置および本発明に係る測定データの記録方法によれば、同一の値が発生しない経過時間を表す文字列について、Ma桁毎に演算処理して、その演算結果に基づいてデータ変換用テーブルから対応する文字列を読み出して(参照して)使用することができるため、対応する文字を1桁毎に演算処理する従来の一般的な構成(方法)と比較して経過時間データの生成に要する時間を十分に短縮することができる。
また、請求項3記載の測定データ記録装置および請求項7記載の測定データの記録方法では、測定値データ生成処理時において、各測定データの電気的パラメータを指定された単位で指定された桁数のパラメータ数値に変換するパラメータ数値変換処理と、0から(Nb−1)までのNb個の各数値をそれぞれ表す各文字列が順に並んだデータ変換用テーブルを参照して、パラメータ数値をMb桁毎に分割したLb個の数値をMb桁の各数値を表す文字列に変換するパラメータ文字列変換処理とをこの順で実行した後に、変換した各文字列をパラメータ文字列変換処理時にパラメータ数値を分割した順で並べて測定値データを生成する。
また、請求項4記載の測定データ記録装置および請求項8記載の測定データの記録方法では、パラメータ文字列変換処理として、パラメータ数値をNbで除した余りをLb個の数値のうちの最下位の桁側から1個目の数値とすると共に、データ変換用テーブルのNb個の文字列のうちのJba番目の文字列を1個目の数値を表す文字列として変換し、パラメータ数値を10のXb乗で除した商をNbで除した余りをLb個の数値のうちの最下位の桁側からKb個目の数値とすると共に、データ変換用テーブルのNb個の文字列のうちのJbb番目の文字列をKb個目の数値を表す文字列として変換する。
したがって、本発明に係る測定データ記録装置および本発明に係る測定データの記録方法によれば、測定値を表す文字列について、Mb桁毎に演算処理して、その演算結果に基づいてデータ変換用テーブルから対応する文字列を読み出して(参照して)使用することができるため、対応する文字を1桁毎に演算処理する従来の一般的な構成(方法)と比較して経過時間データの生成に要する時間を十分に短縮することができる。
以下、本発明に係る測定データ記録装置および測定データの記録方法の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、波形記録装置1の構成について、図面を参照して説明する。
波形記録装置1は、本発明に係る測定データ記録装置の一例であって、図1に示すように、A/D変換部2、メモリ3、記録部4、表示部5、制御部6およびメモリ7を備え、本発明に係る測定データの記録方法に従って文字列データDtを生成して記録部4に記録させる記録処理や、文字列データDtに基づく測定結果表示用画面10(図2参照)の表示処理などを実行可能に構成されている。A/D変換部2は、本発明における測定部に相当し、制御部6の制御に従って入力信号Siをアナログ−デジタル変換して(入力信号Siを所定のサンプリングレートでサンプリングして)サンプリングデータDsを生成する。なお、この波形記録装置1では、A/D変換部2がサンプリングデータDsを生成する上記の「サンプリングレート」が本発明における「指定された時間間隔」に相当する。メモリ3は、一例として、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)で構成されて、制御部6の制御に従い、記録処理等の処理条件を示す測定条件データDcや上記のサンプリングデータDsを一時的に記憶する。
この場合、測定条件データDcは、記録処理の開始に先立って指定された各種の測定条件に基づいて制御部6が生成するデータであって、図3に示すように、記録処理(測定処理)の開始時刻、測定モード、サンプリングレート、および測定レンジ等の各種条件で構成されている。また、サンプリングデータDsは、本発明における測定データの一例であって、図4に示すように、A/D変換部2によって上記のサンプリングレートでサンプリングされた(測定された)入力信号Siの電気的パラメータ(電圧値、電流値、周波数および位相などの測定値:この例では、電圧値)がその生成順に並んで記録されている。なお、実際のサンプリングデータDsは、A/D変換部2の分解能に応じて例えば16進数等で記録されているが、本明細書では、本発明についての理解を容易とするために、測定値を10進数で表記して説明する。また、本明細書では、A/D変換部2によって上記のサンプリングレートで順次生成されるデータ(図4に示すサンプリングデータDsのうちの各1つの値)と、そのデータを記録部4内に順次追記したデータの集合体(図4に示すサンプリングデータDsのような複数の値からなるデータ)の双方を区別することなく、サンプリングデータDsという。
記録部4は、本発明における記録装置に相当し、一例として、リムーバブルメモリ(メモリカード等)やHDD(Hard Disc Drive) で構成されて、制御部6の制御に従い、上記の測定条件データDcおよびサンプリングデータDsや文字列データDtを記録する。この場合、文字列データDtは、本発明における測定値データおよび本発明における経過時間データを相互に関連付けて一体化したデータであって、図5に示すように、A/D変換部2によって順次生成されるサンプリングデータDsの電気的パラメータ(測定値:この例では電圧値)を表す文字列と、記録処理(測定処理)の開始時点からその電気的パラメータが測定された(対応するサンプリングデータDsがA/D変換部2によって生成された)時点までの経過時間を表す文字列とが相互に関連付けられて記録されている。なお、この文字列データDtは、一例として、上記の各文字列がASCIIコード形式で記録されている。表示部5は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)で構成され、制御部6によって生成された表示データDpに基づき、測定結果表示用画面10(図2参照)などを表示する。
制御部6は、本発明における制御部の一例であって、波形記録装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部6は、利用者によって予め指定された測定条件に従って測定条件データDcを生成して記録部4に記録させると共に、A/D変換部2を制御して指定されたサンプリングレートでサンプリングデータDsを順次生成させる測定処理と、各サンプリングデータDsの電気的パラメータを指定された単位で指定された桁数のパラメータ数値に変換した後に変換した数値を表す文字列に変換して測定値データを生成すると共に(本発明における測定値データ生成処理)、測定処理の開始時点からサンプリングデータDsの生成時点までの経過時間を指定された単位で指定された桁数の経過時間数値に変換した後に変換した数値を表す文字列に変換して経過時間データを生成し(本発明における経過時間データ生成処理)、生成した測定値データおよび経過時間データを相互に関連付けて上記の文字列データDtを生成して記録部4に記録させるデータ記録処理とを実行する。また、制御部6は、記録部4に記録させた測定条件データDc、サンプリングデータDsおよび文字列データDtに基づいて表示データDpを生成して表示部5に出力することにより、図2に示す測定結果表示用画面10などを表示させる。
メモリ7は、データ変換用テーブルTa,Tbを記憶する。この場合、データ変換用テーブルTaは、本発明におけるデータ変換用テーブルの一例であって、図6に示すように、レコードR1a〜R1000aまでの各レコードに「0」、「1」・・「9」、「10」・・「99」、「100」・・「999」の1000種類の文字列がこの順でそれぞれ記録されている(本発明における「Na」および「Nb」がそれぞれ「1000」で、本発明における「Ma」および「Mb」がそれぞれ「3」である例)。また、データ変換用テーブルTbは、本発明におけるデータ変換用テーブルの他の一例であって、図7に示すように、レコードR1b〜R1000bまでの各レコードに「000」、「001」・・「009」、「010」・・「099」、「100」・・「999」の1000種類の文字列がこの順でそれぞれ記録されている(本発明における「Na」および「Nb」がそれぞれ「1000」で、本発明における「Ma」および「Mb」がそれぞれ「3」である例)。
この場合、経過時間や電気的パラメータを表すときに、SI単位系では、3桁毎に基本単位が存在し、かつ、3桁毎に「,(カンマ)」で区切ることが多い。したがって、経過時間や電気的パラメータを表す文字列に変換する際には、4桁以上の文字列を必要とすることが殆どなく、3桁までの文字列をデータ変換用テーブルTa,Tbとして予め用意しておくことで、後述するようにして、所望の値を示す文字列に変換することができる。さらに、4桁以上の文字列を含むデータ変換用テーブルでは、そのデータサイズが大きくなることに起因して、そのデータ変換用テーブルを記憶するためのメモリ7として大容量の記憶素子を搭載する必要があるのに対して、3桁までの文字列で構成されたデータ変換用テーブルTa,Tbでは、そのデータサイズが十分に小さいため、ある程度少容量の記憶素子でメモリ7を構成することが可能となっている。したがって、本発明におけるMa桁およびMb桁は、3桁とするのが好ましい。
なお、データ変換用テーブルTa,Tbは、レコードR1a〜R100aに記録された文字列(「0」〜「99」)と、レコードR1b〜R100bに記録された文字列(「000」〜「099」)とが互いに相違し、レコードR101a〜R1000aに記録された文字列およびレコードR101b〜R1000bに記録された文字列(「100」〜「999」)が同一となっている。したがって、後述するようにデータ変換用テーブルTa,Tbを使用する一連の処理時において、データ変換用テーブルTaのレコードR101a〜R1000aと、データ変換用テーブルTbのレコードR101b〜R1000bとのいずれか一方を使用せずに、他方だけを参照するように波形記録装置1を構成することもできる。
次に、波形記録装置1によるサンプリングデータDsや文字列データDt等の記録処理(測定処理)について、図面を参照して説明する。
この波形記録装置1を用いた記録処理に際しては、まず、入力信号Siについての測定条件を指定する。具体的には、一例として、「測定モード」として「直流電圧(DCV)」を指定し、「サンプリングレート」として「2μs」を指定し、「測定レンジ」として「50mV」を指定する。なお、実際には、記録処理の開始条件(トリガ条件など)や、測定処理を継続すべき時間長(記録すべきデータ数)等についても指定するが、本発明についての理解を容易とするために、これらについての説明を省略する。この場合、この波形記録装置1では、上記のように、測定モードとして「直流電圧(DCV)」が指定され、かつ、測定レンジとして「50mV」が指定されたときに、0.001mV(1μV)を最小単位として、入力信号Siの電圧値が0.001mV〜50.000mVのうちのいずれかに測定される。
続いて、後述するように、記録部4に文字列データDtを記録させる際に、本発明における経過時間データおよび測定値データをどのような単位でどのような桁数の値で生成させるか(図2に示す測定結果表示用画面10などの表示に際して、経過時間や測定値をどのような単位でどのような桁数の値で表示させるか)を指定する。この際には、一例として、経過時間については、秒(s)単位の小数点第6位の桁までの値とし、測定値(この例では、電圧値)については、mV単位の小数点第3位の桁までの値とする旨を指定する。一方、制御部6は、指定された上記の各測定条件に基づき、測定条件データDcを生成してメモリ3に記憶させる。なお、この時点においては、測定条件データDcにおける「開始時刻」の部位は空欄となっている。
次いで、A/D変換部2に対象機器を接続する。この際に、制御部6は、A/D変換部2を制御して、指定されたサンプリングレート(この例では、2μs)で入力信号Siをアナログ−デジタル変換させる。これに応じて、A/D変換部2は、入力信号Siの例えば電圧値を示すサンプリングデータDsを2μs間隔で生成して制御部6に順次出力する。また、制御部6は、A/D変換部2から出力されたサンプリングデータDsを例えば先入れ先出し法でメモリ3に順次記憶させる。この場合、制御部6は、波形記録装置1の電源が遮断されるまで、A/D変換部2から出力されたサンプリングデータDsをメモリ3に記憶させる上記の処理を繰り返して実行する。したがって、以下の説明においては、サンプリングデータDsをメモリ3に記憶させる処理についての説明を省略する。
続いて、図示しない操作部のスタートスイッチを操作する。この際に、制御部6は、記録処理(測定処理)の開始条件(レベルトリガ条件)を満たすサンプリングデータDs(電圧値が設定値以上のサンプリングデータDs)がA/D変換部2から出力されたか否かを監視する。また、制御部6は、条件を満たすサンプリングデータDsがA/D変換部2から出力されたときに、そのサンプリングデータDsが生成された時点の時刻情報を図示しないタイマから取得して、メモリ3に記憶させた上記の文字列データDtにおける「開始時刻」の欄に、対応する文字列(この例では、yy/mm/dd hh:mm:ssの形式で開始時刻を表す「○○/○○/○○ ○○:○○:○○」との文字列)を追記した後に、記録部4に記録させる。なお、以下の説明においては、上記の条件を満たした最初のサンプリングデータDsを生成順位が0番のサンプリングデータDsともいう。また、制御部6は、そのサンプリングデータDsをメモリ3から読み出して記録部4に記録させる。この後、制御部6は、記録処理を終了すべき条件(指定された時間長、または、指定された記録データ数)が満たされるまで、A/D変換部2によって新たなサンプリングデータDsが生成される都度、そのサンプリングデータDsを記録部4に順次記録させる。
一方、制御部6は、上記のサンプリングデータDsの記録処理と並行して、前述した文字列データDtを生成して記録部4に記録させる処理を実行する。具体的には、制御部6は、A/D変換部2によって新たなサンプリングデータDsが生成される都度、そのサンプリングデータDsを対象として、本発明における測定値データ生成処理と、本発明における経過時間データ生成処理とを実行して文字列データDtを生成し、生成した文字列データDtを記録部4に順次記録させる。なお、実際には、生成順位が0番のサンプリングデータDsがA/D変換部2から出力された時点から、そのサンプリングデータDs(図4に示すサンプリングデータDsにおける生成順位が0番のデータ)に対して以下に説明する一連の処理が実行されるが、本発明についての理解を容易とするために、一例として、生成順位が561728番のサンプリングデータDsが出力された時点を例に挙げて説明する。この場合、図4に示すように、生成順位が561728番のサンプリングデータDsは、その電圧値が13.579mVであることを示す「13579」とのデータ値で構成されている。
このサンプリングデータDsを対象とする文字列データDtの記録処理時には、制御部6は、一例として、本発明における経過時間データ生成処理を開始する。この処理では、制御部6は、まず、本発明における順位数値特定処理を実行して、対象とするサンプリングデータDsの生成順位を示す数値を特定する。この際には、「561728」との数値が本発明における順位数値として特定される。次いで、制御部6は、本発明における経過時間変換処理を実行して、上記の順位数値特定処理で特定した数値と、サンプリングデータDsの生成時間間隔(この例では、指定されたサンプリングレートとしての「2μs」)とに基づいて記録処理(測定処理)の開始時点(0番目のサンプリングデータDsが生成されて記録部4に記録された時点)から、対象とするサンプリングデータDsの生成時点までの経過時間を演算する。この際には、2μs間隔で生成されたサンプリングデータDsのうちの561728番目のサンプリングデータDsであることから、「561728」との数値に「2」を乗じた「1123456(1123456μs)」との数値が制御部6によって演算される。
続いて、制御部6は、上記の「1123456」との数値を、経過時間についての指定された単位で指定された桁数の経過時間数値(この例では、「秒(s)単位の小数点第6位の桁までの値」)に変換する。この際には、秒(s)単位の小数点第6位の桁が「1μs」であるため、制御部6は、上記の「1123456」との上記の数値をそのまま本発明における経過時間数値として取得する。次いで、制御部6は、本発明における経過時間文字列変換処理を実行して、上記の「1123456」との数値を3桁毎(本発明におけるMaが3の例)に分割した3個(本発明におけるLaが、本発明における経過時間数値である「1123456」の桁数である「7」を「Ma=3」で除して小数点以下を切り上げた数である「3」の例)の各数値(この例では、「1」、「123」および「456」の3つの数値)をこれらの各数値を表す文字列に変換する。
具体的には、制御部6は、まず、上記の「1123456」との数値を「1000」との数値(本発明におけるNa)で除した余りの3桁の数値を求める。この際には、「456」との数値が上記の経過時間変換処理時に「1123456」との数値を分割した1番目の数値として演算される。次いで、制御部6は、上記の「1123456」との数値を「1000」との数値(「10」のXa乗(Xaは「Ma=3」に「Ka−1=2−1=1」を乗じた数値))で除した商(この例では、「1123」)を「1000」との数値(本発明におけるNa)で除した余りの3桁の数値を求める。この際には、「123」との数値が上記の経過時間変換処理時に「1123456」との数値を分割した2番目(Ka=2)の数値として演算される。
続いて、制御部6は、上記の「1123456」との数値を「1000000」との数値(「10」のXa乗(Xaは「Ma=3」に「Ka−1=3−1=2」を乗じた数値))で除した商(この例では、「1」)を「1000」との数値(本発明におけるNa)で除した余りの3桁の数値を求める。この際には、「001」との数値が上記の経過時間変換処理時に「1123456」との数値を分割した3番目(Ka=3)の数値として演算される。なお、「1123456」との数値を「1000000」との数値(10のXa乗)で除すとの演算は、「1123456」との数値を「1000」との数値(10のMa=3乗)で除した商(この例では、「1123」との数値)を「1000」との数値(10のMa=3乗)で除すのと等価であるため、上記の「1000000」との数値で除す処理に代えて、「1000」との数値で除す処理をKa−1回(2回)実行してもよい。また、上記の「1000000」との数値で除す処理に代えて、上記の「Ka−1=1」のときに「1123456」との数値を「1000」との数値で除した商を「1000」との数値で除した際(「123」との余りを求めた演算処理時)に求められる商を記憶しておき、この商を「1000」との数値(本発明におけるNa)で除した余りを求めることによって上記の3桁の数値を求める処理を実行することもできる。
次いで、制御部6は、データ変換用テーブルTbにおける457番目(本発明におけるJaaが「457」の例)の文字列(この例では、「456」との文字列)を最下位の桁側から1個目の数値を表す文字列とし、データ変換用テーブルTbにおける124番目(本発明におけるJabが「124」の例)の文字列(この例では、「123」との文字列)を最下位の桁側から2個目(Ka=2)の数値を表す文字列とし、データ変換用テーブルTaにおける002番目(本発明におけるJabが「002」の例)の文字列(この例では、「1」との文字列)を最下位の桁側から3個目(Ka=3)の数値を表す文字列としてメモリ7から読み出す。続いて、制御部6は、最下位の桁側から3番目(整数部分を表す文字列)の数値を表す文字列と、最下位の桁側から2番目(小数点第1位〜第3位を表す文字列)の数値を表す文字列との間に「.(ピリオド=小数点)」を挿入すると共に、指定された単位を示す「s(秒)」との文字を最下位の桁側から1番目の数値を表す文字列の右側(最上位の桁から最下位の桁に向かう向きの最後)に追加する。これにより、図5に示すように、561728番目に生成されたサンプリングデータDsの測定時間までの経過時間を表す文字列として、「1.123456s」との文字列が生成される。
この場合、サンプリングデータDsの生成順位を表す「561728」との数値と、サンプリングデータDsが生成される時間間隔(この例では、「2μs」)とに基づいて、そのサンプリングデータDsの生成時点までの経過時間を表す「1.123456s」との文字列を生成する場合、従来の一般的な方法では、生成順位および生成時間間隔から経過時間を表す数値を演算する演算処理、その演算結果を指定された単位で指定された桁数の数値に変換する演算処理、小数点第6位の数値を対応する文字に変換する演算処理、小数点第5位の数値を対応する文字に変換する演算処理、小数点第4位の数値を対応する文字に変換する演算処理、小数点第3位の数値を対応する文字に変換する演算処理、小数点第2位の数値を対応する文字に変換する演算処理、小数点第1位の数値を対応する文字に変換する演算処理、および整数部分の数値を対応する文字に変換する演算処理の少なくとも9回の演算処理を実行する必要がある。
これに対して、この波形記録装置1による上記の方法では、生成順位および生成時間間隔から経過時間を表す数値を演算する演算処理、その演算結果を指定された単位で指定された桁数の数値に変換する演算処理、小数点第4位から6位までの3桁の数値がデータ変換用テーブルTbにおいて何番目の文字列に対応するかを演算する処理、小数点第1位から3位までの3桁の数値がデータ変換用テーブルTbにおいて何番目の文字列に対応するかを演算する処理、および整数部分の数値がデータ変換用テーブルTaにおいて何番目の文字列に対応するかを演算する処理の5回の演算処理を実行するだけで、その演算結果に基づいてデータ変換用テーブルTa,Tbから対応する文字列を読み出して経過時間を表す「1.123456s」との文字列を生成することが可能となっている。
なお、上記の例とは別に、例えば、「1123456μs」との経過時間を「ms単位の小数点第3位までの値」に変換する際には、本発明における経過時間変換処理時に「1123456」との数値が経過時間数値として取得されると共に、本発明における経過時間文字列変換処理時に「1(最下位の桁側から3個目の数値を表す文字列)」、「123(最下位の桁側から2個目の数値を表す文字列)」および「456(最下位の桁側から1個目の数値を表す文字列)」の3つの文字列が取得される。また、制御部6は、最下位の桁側から3番目(整数部分における4桁を表す文字列)の数値を表す文字列と、最下位の桁側から2番目(整数部分における1桁から3桁を表す文字列)の数値を表す文字列との間に「,(カンマ)」を挿入すると共に、最下位の桁側から2番目の数値を表す文字列と、最下位の桁側から1番目(小数点第1位〜第3位を表す文字列)の数値を表す文字列との間に「.(ピリオド=小数点)」を挿入し、さらに、指定された単位を示す「ms」との文字を最下位の桁側から1番目の数値を表す文字列の右側(最上位の桁から最下位の桁に向かう向きの最後)に追加する。これにより、「1,123.456ms」との文字列が生成される。
次いで、制御部6は、本発明における測定値データ生成処理を開始する。この処理では、制御部6は、まず、本発明におけるパラメータ数値変換処理を実行して、対象とするサンプリングデータDsの電気的パラメータを表す数値を指定された単位で指定された桁数のパラメータ数値(この例では、「mV単位の小数点第3位の桁までの値」)に変換する。この際には、サンプリングデータDsにおける電圧値がmV単位の小数点第3位までの数値であるため、制御部6は、上記の「13579」との上記の数値をそのまま本発明におけるパラメータ数値として取得する。次いで、制御部6は、本発明におけるパラメータ文字列変換処理を実行して、上記の「13579」との数値を3桁毎(本発明におけるMbが3の例)に分割した3個(本発明におけるLbが、本発明におけるパラメータ数値である「13579」の桁数である「5」を「Mb=3」で除して小数点以下を切り上げた数である「2」の例)の各数値(この例では、「13」および「579」の2つの数値)をこれらの各数値を表す文字列に変換する。
具体的には、制御部6は、まず、上記の「13579」との数値を「1000」との数値(本発明におけるNb)で除した余りの3桁の数値を求める。この際には、「579」との数値が上記のパラメータ数値変換処理時に「13579」との数値を分割した1番目の数値として演算される。次いで、制御部6は、上記の「13579」との数値を「1000」との数値(「10」のXb乗(Xbは「Mb=3」に「Kb−1=2−1=1」を乗じた数値))で除した商(この例では、「13」)を「1000」との数値(本発明におけるNb)で除した余りの3桁の数値を求める。この際には、「013」との数値が上記のパラメータ数値変換処理時に「13579」との数値を分割した2番目(K=2)の数値として演算される。
続いて、制御部6は、データ変換用テーブルTbにおける580番目(本発明におけるJbaが「580」の例)の文字列(この例では、「579」との文字列)を最下位の桁側から1個目の数値を表す文字列とし、データ変換用テーブルTaにおける014番目(本発明におけるJbbが「014」の例)の文字列(この例では、「13」との文字列)を最下位の桁側から2個目(Kb=2)の数値を表す文字列としてメモリ7から読み出す。続いて、制御部6は、最下位の桁側から2番目(整数部分を表す文字列)の数値を表す文字列と、最下位の桁側から1番目(小数点第1位〜第3位を表す文字列)の数値を表す文字列との間に「.(ピリオド=小数点)」を挿入し、さらに、指定された単位を示す「mV」との文字列を最下位の桁側から1番目の数値を表す文字列の右側(最上位の桁から最下位の桁に向かう向きの最後)に追加する。これにより、図5に示すように、561728番目に生成されたサンプリングデータDsの電圧値を表す文字列として、「13.579mV」との文字列が生成される。
この場合、サンプリングデータDsの電圧値を表す「13579」との数値に基づいて、「13.579mV」との文字列を生成する場合、従来の一般的な方法では、サンプリングデータDsの電圧値を指定された単位で指定された桁数の数値に変換する演算処理、小数点第3位の数値を対応する文字に変換する演算処理、小数点第2位の数値を対応する文字に変換する演算処理、小数点第1位の数値を対応する文字に変換する演算処理、整数部分における1の位の数値を対応する文字に変換する演算処理および整数部分における10の位の数値を対応する文字に変換する演算処理の少なくとも6回の演算処理を実行する必要がある。これに対して、この波形記録装置1による上記の方法では、サンプリングデータDsの電圧値を指定された単位で指定された桁数の数値に変換する演算処理、小数点第1位から3位までの3桁の数値がデータ変換用テーブルTbにおいて何番目の文字列に対応するかを演算する処理、および整数部分の数値がデータ変換用テーブルTaにおいて何番目の文字列に対応するかを演算する処理の3回の演算処理を実行するだけで、その演算結果に基づいてデータ変換用テーブルTa,Tbから対応する、文字列を読み出して測定値(電圧値)を表す「13.579mV」との文字列を生成することが可能となっている。
なお、上記の例とは別に、例えば、「13.579mV」との値を「μV単位の小数点第3位までの値」に変換する際には、本発明におけるパラメータ数値変換処理時に「13579000」との数値がパラメータ数値として取得されると共に、本発明におけるパラメータ文字列変換処理時に「13(最下位の桁側から3個目の数値を表す文字列)」、「579(最下位の桁側から2個目の数値を表す文字列)」および「000(最下位の桁側から1個目の数値を表す文字列)」の3つの文字列が取得される。また、制御部6は、最下位の桁側から3番目(整数部分における4桁から5桁を表す文字列)の数値を表す文字列と、最下位の桁側から2番目(整数部分における1桁から3桁を表す文字列)の数値を表す文字列との間に「,(カンマ)」を挿入すると共に、最下位の桁側から2番目の数値を表す文字列と、最下位の桁側から1番目(小数点第1位〜第3位を表す文字列)の数値を表す文字列との間に「.(ピリオド=小数点)」を挿入し、さらに、指定された単位を示す「μV」との文字を最下位の桁側から1番目の数値を表す文字列の右側(最上位の桁から最下位の桁に向かう向きの最後)に追加する。これにより、「13,579.000μV」との文字列が生成される。
次いで、制御部6は、上記の経過時間データ生成処理によって生成した文字列(この例では、「1.123456s」との文字列:本発明における経過時間データの一例)と、上記の測定値データ生成処理によって生成した文字列(この例では、「13.579mV」との文字列:本発明における測定値データの一例)とを相互に関連付けて、文字列データDtを生成し、図5に示すように、その文字列データDtを記録部4内の文字列データDtに追記する。なお、同図に示す、「1.123456s」との文字列および「13.579mV」との文字列よりも下側の各文字列は、この時点においては生成されておらず、561729番目以降のサンプリングデータDsが生成された際に制御部6によって上記の一例の処理と同様にして経過時間データ生成処理および測定値データ生成処理が実行されて記録部4内の文字列データDtに順次追記される。
また、1000000番目のサンプリングデータDsがA/D変換部2によって生成された際には、制御部6は、上記の561728番目のサンプリングデータDsが生成された際の一例の処理と同様にして、「2.000000s」との文字列を本発明における経過時間データとして生成すると共に、「13.880mV」との文字列を本発明における測定値データとして生成し、これらの文字列を相互に関連付けて記録部4内の文字列データDtに追記する。また、制御部6は、1000000番目のサンプリングデータDsについての文字列データDtの追記が完了した時点において、記録処理(測定処理)の終了条件が満たされたとして、サンプリングデータDsおよび文字列データDtの記録部4への記録処理を終了する。これにより、記録部4には、指定された測定条件(記録条件)を示す測定条件データDcと、A/D変換部2によって生成された1000000個のサンプリングデータDsを1ファイル化したサンプリングデータDsと、制御部6によって生成された1000000個の文字列データDtを1ファイル化した文字列データDtとが記録された状態となる。
一方、この波形記録装置1では、記録部4に記録させた文字列データDt等に基づく測定結果を表示部5に表示させることが可能となっている。具体的には、制御部6は、図示しない操作部の操作によって測定結果の表示を指示されたときに、記録部4から測定条件データDc、サンプリングデータDsおよび文字列データDtを読み出して表示データDpを生成して表示部5に出力する。これにより、図2に示すように、測定結果表示用画面10が表示部5に表示される。この測定結果表示用画面10では、測定条件データDcに基づく各種情報を表示する測定条件表示部10aと、サンプリングデータDsに基づく信号波形Wを表示する信号波形表示部10bと、信号波形表示部10bにおいてカーソル表示Cによって選択されている(カーソル表示Cが重ねられている信号波形W)部位の測定値、およびその測定値が測定された時点までの経過時間を示す測定値表示部10cとで構成されている。
この際に、この波形記録装置1では、サンプリングデータDsの記録処理と並行して実行された上記の一連の処理によって記録部4内に記録されているすべてのサンプリングデータDsに対応する文字列データDtのすべてが生成されて記録されている。したがって、信号波形表示部10b内においてカーソル表示Cが左右いずれかの方向に移動させられたときには、移動させられたカーソル表示Cによって選択されている部位の測定値や経過時間を表す文字列が文字列データDtから読み出されて測定値表示部10cに直ちに表示される。
このように、この波形記録装置1、および波形記録装置1による測定データの記録方法では、本発明における経過時間データ生成処理時において、各サンプリングデータDsの生成順位を示す順位数値を特定する順位数値特定処理と、順位数値および指定された時間間隔(サンプリングレート)に基づいて各サンプリングデータDsの生成時点までの経過時間を演算すると共に演算した経過時間を表す数値を指定された単位で指定された桁数の経過時間数値に変換する経過時間変換処理と、0から(Na−1)までのNa個の各数値をそれぞれ表す各文字列が順に並んだデータ変換用テーブルTa,Tbを参照して、経過時間数値をMa桁毎に分割したLa個の数値をMa桁の各数値を表す文字列に変換する経過時間文字列変換処理とをこの順で実行した後に、変換した各文字列を経過時間文字列変換処理時に経過時間数値を分割した順で並べて経過時間データを生成する。
この場合、この波形記録装置1、および波形記録装置1による測定データの記録方法では、本発明における経過時間文字列変換処理として、経過時間数値をNaで除した余りをLa個の数値のうちの最下位の桁側から1個目の数値とすると共に、データ変換用テーブルTbのNa個の文字列のうちのJaa番目の文字列を1個目の数値を表す文字列として変換し、経過時間数値を10のXa乗で除した商をNaで除した余りをLa個の数値のうちの最下位の桁側からKa個目の数値とすると共に、データ変換用テーブルTa,TbのNa個の文字列のうちのJab番目の文字列をKa個目の数値を表す文字列として変換する。
したがって、この波形記録装置1、および波形記録装置1による測定データの記録方法によれば、同一の値が発生しない経過時間を表す文字列について、Ma桁毎に演算処理して、その演算結果に基づいてデータ変換用テーブルTa,Tbから対応する文字列を読み出して(参照して)使用することができるため、対応する文字を1桁毎に演算処理する従来の一般的な構成(方法)と比較して本発明における経過時間データの生成に要する時間を十分に短縮することができる。
また、この波形記録装置1、および波形記録装置1による測定データの記録方法では、本発明における測定値データ生成処理時において、各サンプリングデータDsの電気的パラメータ(この例では、電圧値)を指定された単位で指定された桁数のパラメータ数値に変換するパラメータ数値変換処理と、0から(Nb−1)までのNb個の各数値をそれぞれ表す各文字列が順に並んだデータ変換用テーブルTa,Tbを参照して、パラメータ数値をMb桁毎に分割したLb個の数値をMb桁の各数値を表す文字列に変換するパラメータ文字列変換処理とをこの順で実行した後に、変換した各文字列をパラメータ文字列変換処理時にパラメータ数値を分割した順で並べて測定値データを生成する。
この場合、この波形記録装置1、および波形記録装置1による測定データの記録方法では、本発明におけるパラメータ文字列変換処理として、パラメータ数値をNbで除した余りをLb個の数値のうちの最下位の桁側から1個目の数値とすると共に、データ変換用テーブルTbのNb個の文字列のうちのJba番目の文字列を1個目の数値を表す文字列として変換し、パラメータ数値を10のXb乗で除した商をNbで除した余りをLb個の数値のうちの最下位の桁側からKb個目の数値とすると共に、データ変換用テーブルTa,TbのNb個の文字列のうちのJbb番目の文字列をKb個目の数値を表す文字列として変換する。
したがって、この波形記録装置1、および波形記録装置1による測定データの記録方法によれば、測定値(この例では、電圧値)を表す文字列について、Mb桁毎に演算処理して、その演算結果に基づいてデータ変換用テーブルTa,Tbから対応する文字列を読み出して(参照して)使用することができるため、対応する文字を1桁毎に演算処理する従来の一般的な構成(方法)と比較して本発明における経過時間データの生成に要する時間を十分に短縮することができる。
なお、本発明は、上記した構成および方法に限定されない。例えば、本発明における記録装置に相当する記録部4を備えた波形記録装置1を例に挙げて説明したが、記録部4に代えて、文字列データDt等を波形記録装置1の外部に出力させるインタフェース部を設けて、外部装置としての記録装置に文字列データDt等を記録させる構成を採用することもできる。また、表示部5を備えた波形記録装置1を例に挙げて説明したが、外部装置としての表示装置に表示データDpを出力して測定結果表示用画面10等を表示させる構成を採用することもできる。さらに、A/D変換部2から出力されたサンプリングデータDsをメモリ3に一旦記憶させた後にメモリ3からサンプリングデータDsを読み込んで文字列データDtにデータ変換する構成について説明したが、A/D変換部2から出力されるサンプリングデータDsをメモリ3に記憶させることなく、直ちに文字列データDtにデータ変換する構成を採用することもできる。
また、本発明に係る記録データの記録方法に従って本発明における経過時間データ(「1.123456s」等の文字列)を生成すると共に、本発明に係る記録データの記録方法に従って本発明における測定値データ(「13.579mV」等の文字列)を生成した文字列データDtを記録部4に記録させる構成(方法)について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明における経過時間データについては上記の波形記録装置1と同様にして本発明に係る記録データの記録方法に従って生成すると共に本発明における測定値データについては本発明に係る記録データの記録方法とは相違する方法(例えば、所望の単位で所望の桁数の数値を1桁ずつ文字列に変換する演算処理を実行する方法)によって生成する構成(方法)や、本発明における測定値データについては上記の波形記録装置1と同様にして本発明に係る記録データの記録方法に従って生成すると共に本発明における経過時間データについては本発明に係る記録データの記録方法とは相違する方法(例えば、所望の単位で所望の桁数の数値を1桁ずつ文字列に変換する演算処理を実行する方法)によって生成する構成(方法)を採用することができる。このような構成(方法)においても、本発明に係る測定データの記録方法に従って生成したデータの生成時間が十分に短くなるため、本発明における経過時間データおよび測定値データの記録処理に要する時間を十分に短縮することができる。
さらに、上記の波形記録装置1、およびその測定データの記録方法では、本発明における経過時間データと本発明における測定値データとを相互に関連付けて一体化した文字列データDtを記録部4に記録させる構成(方法)を採用しているが、本発明における経過時間データと本発明における測定値データとを相互に関連付けしつつ、別個独立したデータとして記録部4等の記録装置に記録させる構成(方法)を採用することもできる。また、上記の波形記録装置1では、3桁毎に「,(カンマ)」で区切った文字列で文字列データDtを構成した例について説明したが、本発明における経過時間データや測定値データにおける各文字列中に「,」を入れるか否かは、任意に選択することができる。さらに、A/D変換部2によってサンプリングデータDsが生成される都度、そのサンプリングデータDsに対応する文字列データDtを生成して記録部4に記録させる(追記する)構成の波形記録装置1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、所望時間分(所望データ数分)のサンプリングデータDsを記録部4などに記録した後に、複数のサンプリングデータDsを対象として、対応する文字列データDtを一括して生成して記録部4に記録させる構成(方法)を採用することもできる。
加えて、本発明における測定値データについては、本発明に係る記録データの記録方法に従って上記の波形記録装置1のようにして文字列データDtを生成すると共に、出願人が開示している従来の測定装置のように、生成した文字列データDtのうちの測定値を表す文字列の情報をメモリ3等に記憶しておき、同一の測定値のサンプリングデータDsがA/D変換部2によって生成されたときに、メモリ3等に記憶させていおいた情報を読み出して、そのサンプリングデータDsに対応する文字列データDtとして記録部4に記録させる構成(方法)を採用することもできる。このような構成(方法)を採用することで、各サンプリングデータDsに対応する文字列データDtの記録に要する時間を一層短縮することができる。