JP2009144093A - 光導波板用エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物、該組成物を硬化させてなる硬化物及びそれを用いた光導波板 - Google Patents
光導波板用エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物、該組成物を硬化させてなる硬化物及びそれを用いた光導波板 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】高い透明性を有すると共に、シリコーンの弱点である脆さや、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂の弱点である低温領域での脆化を抑制し、可撓性及び耐寒性に優れ、特に、補強材を必要とせずに、バックライト装置等に適用できる、光導波板の提供。
【解決手段】少なくとも、エチレン単位、α-オレフィン単位及び非共役ポリエン単位を有し、前記非共役ポリエンが、環に直結する末端二重結合又は環に直結しない末端二重結合を含有するノルボルネン化合物から選択された少なくとも1種の化合物であるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物を、硬化剤を用い、硬化させてなる光導波板。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも、エチレン単位、α-オレフィン単位及び非共役ポリエン単位を有し、前記非共役ポリエンが、環に直結する末端二重結合又は環に直結しない末端二重結合を含有するノルボルネン化合物から選択された少なくとも1種の化合物であるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物を、硬化剤を用い、硬化させてなる光導波板。
【選択図】なし
Description
本発明は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物及び該組成物を硬化させてなる硬化物並びにそれを用いた光導波板に関し、特に高透明、高硬度の成型物であり、携帯電話のキーパッド照光用バックライト装置の光導波板として好適な、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物及び該組成物を硬化させてなる硬化物に関する。
携帯電話を夜間に使用するために、多くのキーパッドは照光用バックライト装置を備えている。従来におけるその構成は、発光ダイオード(LED)をキーパッドの裏側に多数個配置するものであったが、最近の携帯電話の高機能化に伴い、照光用バックライト装置にも、薄型化、軽量化、高輝度化、及びコストダウンの要求が高まっている。
かかる要求に対し、液晶ディスプレイ(LCD)で既に採用されている、光導波板による照光用バックライト装置が提案された。このバックライト装置は、LED光源と、該光源に対向する端面から光を内部に導入して拡散させ、照光したいキー部分に設置した反射面で光を反射させて、反射光を外部に投射することのできる光導波板から構成されている(特許文献1)。この装置の特徴は、LEDを横方向に設置することによって薄型化が可能になる点にあり、これによって、裏側にLEDを設置した従来のタイプに比べて使用するLEDの個数を減少させても、キーパッド全面を均一且つ高輝度に照光することが可能となった。また、これによって携帯電話の消費電力も低下したので、電池の小型、軽量化も進んだだけでなく、低コスト化も実現された。
特開2003−59321号公報
かかる要求に対し、液晶ディスプレイ(LCD)で既に採用されている、光導波板による照光用バックライト装置が提案された。このバックライト装置は、LED光源と、該光源に対向する端面から光を内部に導入して拡散させ、照光したいキー部分に設置した反射面で光を反射させて、反射光を外部に投射することのできる光導波板から構成されている(特許文献1)。この装置の特徴は、LEDを横方向に設置することによって薄型化が可能になる点にあり、これによって、裏側にLEDを設置した従来のタイプに比べて使用するLEDの個数を減少させても、キーパッド全面を均一且つ高輝度に照光することが可能となった。また、これによって携帯電話の消費電力も低下したので、電池の小型、軽量化も進んだだけでなく、低コスト化も実現された。
LCDバックライト装置の光導波板の場合には光学的特性のみが要求されるのに対し、キーパッド照光用バックライト装置の光導波板の場合には、キー入力の変位(クリック)をスイッチング素子に伝達する役目も担うので、高透明であることに加え、弾性やその温度依存性が小さいこと、及び薄く均一な厚みで表面平滑なフィルムを成型できること等も必要となる。
一般に、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂は、高透明であるのみならずフィルム成型性も良好である。しかしながら、弾性の温度依存性が十分ではなく、特に低温領域では脆化するため、キー入力時にクラックが発生することがあるという欠点があった。また、LEDの封止材等の光学材料にも応用されている高透明なシリコーン系樹脂(特許文献2−4)が低温特性に優れている点で注目され、中でも、シリカを全く含まない、高透明且つ低温でも弾性を損なうことがない上熱硬化によるフィルム成型も比較的容易な、ヒドロシリル化反応によって硬化する液状シリコーンゴム組成物の硬化物が、キーパッド照光用バックライト装置の光導波板として採用されるようになった。
特開2002−265787号公報
特開2006−202952号公報
特開2006−342200号公報
しかしながら、補強材としてのシリカを全く含まないシリコーンゴムは、一般に強度がない上柔らかく、表面粘着性を有するためにフィルム成型に適さない。そこで架橋密度を上げて強度と硬さを改善すると共に粘着性を小さくすると、フィルム成型性は改善されるものの、可撓性のない脆いフィルムになるという欠点があった。
一方、成形性及び耐圧縮歪み性に優れるゴム組成物として、特定の構造を有するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムを用いたゴム組成物が開示されている(特許文献5及び6)。しかしながら、これらのゴム組成物の用途は、電気・電子部品、自動車部品等の機械部品あるいは建材等であり、光学的特性を必要とする分野のものではない。特に、特許文献5で開示されたゴム組成物は、カーボンブラックを配合する例が主体であるため、高い透明性を有するものではなく、光導波板に用いるものとしては適切ではない。
特開2001−031808号公報
特開2001−031810等公報
即ち、本発明の目的は、高い透明性を有すると共に、シリコーンの弱点である脆さや、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂の弱点である低温領域での脆化を抑制し、可撓性及び耐寒性に優れ、特に、補強材を必要とせずに、バックライト装置等に適用できる、光導波板を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、非共役ポリエンが少なくとも1種の末端ビニル基含有ノルボルネン化合物からなるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムを硬化して得られた光導波板は、折り曲げても割れが生じる事がない上、2mmの厚みがあっても全光線透過率が90%以上と高透明であることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、少なくとも、エチレン単位(a)、α-オレフィン単位(b)及び非共役ポリエン単位(c)少なくとも、エチレン単位(a)、α-オレフィン単位(b)及び非共役ポリエン単位(c)を有し、前記非共役ポリエンが、下記一般式(1)又は(2)で表される末端二重結合含有ノルボルネン化合物から選択された少なくとも1種の化合物であるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物を、硬化剤を用い、硬化させてなることを特徴とする光導波板である。
一般式(1):
上式中のnは0又は1〜10の整数であり、R1は水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基、R2は水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基である。
一般式(2):
上式中のR3は、水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基である。
一般式(1):
上式中のnは0又は1〜10の整数であり、R1は水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基、R2は水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基である。
一般式(2):
上式中のR3は、水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基である。
前記エチレン単位(a)とα-オレフィン単位(b)のモル比[(a)/(b)]は、40/60〜95/5であることが好ましく、前記α-オレフィン単位(b)は、プロピレン単位であることが好ましく、前記非共役ポリエン単位のランダム共重合体中のモル分率は、0.1〜10%であることが好ましくい。
本発明の光導波板は、更に、補強性フィラーとしてシリカ微粉末を含有してもよく、前記シリカ微粉末のBET比表面積は、100m2/g以上であることが好ましい。
本発明の光導波板は、デュロメータAで50度以上でのゴム硬度を有することが好ましく、全光線透過率が、厚さ2mmの硬化物シートとしたときに90%以上であることが好ましい。
前記硬化剤として用いるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム成分100質量部に対して0.01〜20質量部用いることが好ましい。
本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物を硬化させることにより、携帯電話のキーパッド照光用バックライト装置の光導波板として好適な、高透明かつ可撓性を備えたフィルムが得られる。
以下に、本発明を更に詳細に説明する。
本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムに使用されるα-オレフィンは、炭素数3〜20のα−オレフィンである。α−オレフィンとしては、同時に2種類以上のモノマーを用いることもできる。α−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等の直鎖状オレフィン類、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の分岐オレフィン類、ビニルシクロヘキサン等が挙げられ。これらの中でも、プロピレン、1−ブテンを用いることが好ましく、プロピレンを用いることが特に好ましい。
本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムに使用されるα-オレフィンは、炭素数3〜20のα−オレフィンである。α−オレフィンとしては、同時に2種類以上のモノマーを用いることもできる。α−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等の直鎖状オレフィン類、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の分岐オレフィン類、ビニルシクロヘキサン等が挙げられ。これらの中でも、プロピレン、1−ブテンを用いることが好ましく、プロピレンを用いることが特に好ましい。
ジエン部分(非共役ポリエン)としては、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネンを用いることが好ましい。本発明に使用される共重合体は、例えば、バナジウム系と有機アルミニウム系を主成分として含有する触媒の存在下に、エチレン及びプロピレンと5−ビニル−2−ノルボルネンをランダムに共重合することにより得られる。共重合は炭化水素溶媒中で行なうことが好ましく、触媒の具体例として、バナジウム系のVOCl3,VO(OC2H5)3等が挙げられ、また有機アルミニウム系触媒としてはトリエチルアルミニウムやジエチルアルミニウムエトキシド等が挙げられる。
本発明において、エチレンとα−オレフィンと非共役ポリエンをランダム共重合させるときの重合条件は、重合温度が30〜60℃であり、30〜50℃であることが好ましく、重合圧力が0.4〜1.2MPaであり、0.5〜0.8MPaであることが好ましい。また、非共役ポリエンとエチレンとの供給量のモル比(非共役ポリエン/エチレン)は、0.01〜0.2であることが好ましい。
また、共重合させるジエン成分は、本発明の目的を損なわない範囲で上記一般式(1)又は(2)で示される少なくとも1種の末端二重結合含有ノルボルネン化合物の他、下記に例示するようなジエン又はトリエンを併用して、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムとしてもよい。
ジエンとしては、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(2,3−ジメチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−メチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(3,4−ジメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−エチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−(2-メチル−6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2ジメチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(5−エチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2,3トリメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン等のノルボルネン化合物;1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン,4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエンが挙げられ、トリエンとしては、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等が挙げられる。これらの内、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネンを使用することが好ましい。
ジエンとしては、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(2,3−ジメチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−メチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(3,4−ジメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−エチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−(2-メチル−6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2ジメチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(5−エチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2,3トリメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン等のノルボルネン化合物;1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン,4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエンが挙げられ、トリエンとしては、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等が挙げられる。これらの内、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネンを使用することが好ましい。
本発明において使用されるランダム共重合体において、耐熱老化性、強度特性、ゴム弾性、耐寒性及び加工性に優れたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物の硬化物を得ることができる(a)エチレン単位と(b)α−オレフィン単位の含有比[(a)/(b)]は、モル比で40/60〜95/5であり、50/50〜90/10であることが好ましく、55/45〜85/15であることがより好ましく、60/40〜80/20であることが特に好ましい。
また、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムのヨウ素価は0.5〜50g/100gであり、0.8〜40g/100gであることが好ましく、1.0〜30g/100gであることがより好ましく、好ましくは1.5〜25g/100gであることが特に好ましい。ヨウ素価を上記範囲内にすることにより、架橋効率が高くなり、特に耐熱老化性に優れた成型物を得ることができる。ヨウ素価が50を超えると、コスト的に不利になる。
本発明において、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムを硬化させるための硬化方法は、特に限定されるものではないが、有機過酸化物加硫剤を用いる硬化方法や、ヒドロシリル化反応による硬化方法が好ましい。有機化酸化物加硫剤を用いる方法とヒドロシリル化反応は、それぞれ独自に用いる場合が多いが、併用してもよい。
有機過酸化物加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、パラ−メチルベンゾイルパーオキサイド、オルト−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジメチルベンゾイルパーオキサイド、1,6−ビス(パラ−トルオイルパーオキシカルボニルオキシ)ブタン、1,6−ビス(2,4−ジメチルベンゾイルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、クミル−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物が好適に用いられる。これらの有機過酸化物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
有機過酸化物加硫剤の添加量は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム成分100質量部に対して0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましい。0.01質量部未満では架橋が不十分であり、所望する物性を有する硬化物が得られない場合がある。また、50質量部を超えると、硬化速度の向上が望めない上、未反応物や分解残渣の除去に長時間を必要とする場合がある。
一方、ヒドロシリル化反応を用いる硬化方法とは、シリコーンゴムの硬化剤、即ち、オルガノハイドロジェンポリシロキサン及び白金族金属系触媒を用いる硬化方法であり、付加反応により架橋させる公知の方法である。
付加反応に用いられるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に2個以上のSi−H基を有するものであり、直鎖状、環状、分枝状のいずれであってもよく、通常、下記平均組成式(3)で示されるものが用いられる。
平均組成式(3)
R4 aHbSiO(4−a−b)/2 (3)
式中において、R4は、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基等のアラルキル基、及びこれらの基の水素原子の少なくとも一部をハロゲン原子等で置換した基、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基等の、同一又は異種の好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは1〜8のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基や、これらのハロゲン置換体等の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、a,bは1≦a≦2.2,0.002≦b≦1,0.02≦a+b≦3を満たす正数である。
付加反応に用いられるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に2個以上のSi−H基を有するものであり、直鎖状、環状、分枝状のいずれであってもよく、通常、下記平均組成式(3)で示されるものが用いられる。
平均組成式(3)
R4 aHbSiO(4−a−b)/2 (3)
式中において、R4は、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基等のアラルキル基、及びこれらの基の水素原子の少なくとも一部をハロゲン原子等で置換した基、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基等の、同一又は異種の好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは1〜8のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基や、これらのハロゲン置換体等の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、a,bは1≦a≦2.2,0.002≦b≦1,0.02≦a+b≦3を満たす正数である。
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、Si−H基を一分子中に2個以上有することが必要であり、3個以上有するが好ましい。Si−H基は、分子鎖末端にあっても、側鎖にあってもよい。また、本発明において、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、25℃における粘度が300mPa・s以下のものであることが好ましい。
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム成分100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましい。またエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体の脂肪族不飽和結合(アルケニル基など)1個に対して、ケイ素原子に結合した水素原子(Si−H基)の割合が0.1〜20個であることが好ましく、0.5〜10個であることがより好ましい。0.1個より少ないと架橋が十分でなく、十分な機械的強度が得られず、20個より多いと硬化後の物理特性が低下し、特に、耐熱老化性が著しく劣化することがある。
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム成分100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましい。またエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体の脂肪族不飽和結合(アルケニル基など)1個に対して、ケイ素原子に結合した水素原子(Si−H基)の割合が0.1〜20個であることが好ましく、0.5〜10個であることがより好ましい。0.1個より少ないと架橋が十分でなく、十分な機械的強度が得られず、20個より多いと硬化後の物理特性が低下し、特に、耐熱老化性が著しく劣化することがある。
白金族金属系触媒とは、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体の脂肪族不飽和結合とオルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子結合水素原子(Si−H基)を付加反応させるための触媒である。白金族金属系触媒としては、白金族の金属単体とその化合物とがあり、本発明においては、公知のものの中から適宜選択して使用することができる。例えば、シリカ、アルミナ又はシリカゲルのような担体上に吸着させた微粒子状白金金属、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸6水塩とオレフィン又はジビニルジメチルポリシロキサンとの錯体、塩化白金酸6水塩のアルコール溶液、パラジウム触媒、ロジウム触媒等が挙げられるが、白金又は白金化合物を用いることが好ましい。触媒の添加量は通常、白金系金属量に置換して1〜1,000ppmであり、10〜100ppmであることが好ましい。1ppm未満であると、架橋反応が十分促進されず、硬化が不十分である場合があり、一方1,000ppmより多く加えても、反応性に対する影響も少なくなる恐れがある上、不経済でもある。
また、硬化方法としてヒドロシリル化反応を用いる場合、ポリメチルビニルシロキサン環状化合物、セチレン基含有アルコール、過酸化物等の、公知の白金触媒抑制剤を少なくとも1種以上添加することが好ましい。
また、硬化方法としてヒドロシリル化反応を用いる場合、ポリメチルビニルシロキサン環状化合物、セチレン基含有アルコール、過酸化物等の、公知の白金触媒抑制剤を少なくとも1種以上添加することが好ましい。
本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物においては、本発明の目的である透明性を損なわない範囲で、シリカ微粉末を補強性フィラーとして添加してもよい。補強性フィラーとしては、煙霧質シリカ(乾式シリカ)、沈殿シリカ(湿式シリカ)を用いることが好ましい。シリカ微粉末のBET比表面積は、100m2/g以上であることが好ましく、150〜400m2/gであることがより好ましく、250〜400m2/gであることが特に好ましい。また、これらのシリカ微粉末は、このままで使用してもよく、オルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等でこれらを表面処理したものを用いてもよい。これらのシリカ微粉末は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明に使用されるシリカ微粉末の添加量は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム成分100質量部に対して0〜100質量部であり、0〜90質量部であることが好ましく、0〜80質量部であることが特に好ましい。100質量部より多いと加工性が悪くなり、本発明の目的である透明性を損なう場合がある。
本発明の光導波板は、各成分を均一に混合して調製されたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物を加熱硬化させることにより得られる。硬化温度は80〜350℃であり、100〜200℃であることが好ましく、120〜180℃であることがより好ましい。成型方法としては、公知の熱硬化樹脂によるフィルム成型法を用いることができ、例えばプレス成型法ならば、2枚の樹脂フィルム(ライナー)の間に本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムを設置し、所定の金型及び条件で、加圧加硫させればよい。また延伸成型法の例としては、2枚の連続樹脂フィルムの間に本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムを供給しながらロールにより一定厚みに延伸し、加熱炉に連続的に供給して常圧熱気加硫させる。硬化後、冷却してからライナーを剥離すれば、光導波板が得られる。
本発明の光導波板は、そのゴム硬度がデュロメータAで50度以上であることが好ましい。また、厚さ2mmの硬化物シートの全光線透過率は、スガ試験機(株)製直読ヘーズコンピューターHGM−2による測定値で90%以上、特に92%以上であることが好ましい。
更に、厚さ0.2mmの硬化物フィルムを二つ折り(即ち180°)に折り曲げても、割れが生じないことが好ましい。本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムを使用した場合、シリコーンゴム組成物を使用した場合よりも割れにくい硬化物が得られる。
更に、厚さ0.2mmの硬化物フィルムを二つ折り(即ち180°)に折り曲げても、割れが生じないことが好ましい。本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムを使用した場合、シリコーンゴム組成物を使用した場合よりも割れにくい硬化物が得られる。
以下、実施例と比較例によりこの発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、配合量の単位は質量部である。粘度は回転粘度計(BL型:(株)トキメック製の商品名)による値である。また、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)(カラム:shodexKF804L及びKF805L:(株)昭和電工製)分析におけるポリスチレン換算値である。
[実施例1〜8、比較例1〜4]
(A)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムポリマーとして、下記のA−1〜3を使用した(何れも三井化学(株)製)。各成分の含有量、及び、物性等を表1に示す。
A−1:PX−052
A−2:PX−055
A−3:三井3045(比較用)
(*)α−オレフィンの含有量は100%からエチレン、ビニルノルボルネン及びエチリデンノルボルネンの含有量を差し引いて換算した。
(A)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムポリマーとして、下記のA−1〜3を使用した(何れも三井化学(株)製)。各成分の含有量、及び、物性等を表1に示す。
A−1:PX−052
A−2:PX−055
A−3:三井3045(比較用)
前記(A)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムポリマーに、(B)加硫剤及び必要により(C)フィラーを配合し、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物とした。各実施例及び比較例における(A)成分、(B)成分及び(C)成分の配合量を表2に示す。
プレス板上に、ポリエチレンテレフタレート(PET)ライナー、厚さ2.2mmの枠を重ね、この枠内にエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物をセットし、この上に更にPETライナー、プレス板を積層して165℃で10分間プレス成型した。
2枚のPETライナーごと取り出して冷却した後、PETライナーを剥離して厚さ約2mmの透明シートを得た。
厚さ0.2mmの枠を使用したこと、及び165℃で6分間プレス成型したこと以外は前述と同様の方法により、厚さ約0.2mmの透明シートを得た。
2枚のPETライナーごと取り出して冷却した後、PETライナーを剥離して厚さ約2mmの透明シートを得た。
厚さ0.2mmの枠を使用したこと、及び165℃で6分間プレス成型したこと以外は前述と同様の方法により、厚さ約0.2mmの透明シートを得た。
これらについて下記の物性を評価した。結果を表2に示す。
・ゴム硬度:2mmシートをJIS−K6249に基づき、デュロメータAを用いて測定した。
・透明性:2mmシートの全光線透過率を測定した。
・可撓性:0.2mmシートから縦60mm×横20mmのピースを切り出し、縦方向ほぼ中央で二つ折りにし、屈曲部にクラック(割れ)が生じていなければ合格とした。
・総合評価:透明性が全光線透過率90%以上、可撓性が合格の時を○、それ以外を×とした。
・ゴム硬度:2mmシートをJIS−K6249に基づき、デュロメータAを用いて測定した。
・透明性:2mmシートの全光線透過率を測定した。
・可撓性:0.2mmシートから縦60mm×横20mmのピースを切り出し、縦方向ほぼ中央で二つ折りにし、屈曲部にクラック(割れ)が生じていなければ合格とした。
・総合評価:透明性が全光線透過率90%以上、可撓性が合格の時を○、それ以外を×とした。
(B)加硫剤
B−1:ジクミルパーオキサイド
B−2:白金触媒 Pt濃度0.5重量%
B−3:ヒドロシリル化反応抑制剤:3,5−ジメチル−1−ヘキシル−3−オール
B−4:オルガノハイドロジェンポリシロキサン:両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルフェニルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体、粘度10mPa・s
(C)フィラー:ヘキサメチルジシラザン処理乾式シリカ
表2に示した結果より、末端二重結合を有していないノルボルネン化合物を非共役ポリエンとして使用した共重合体の硬化物は、透明性に劣るのに対し、末端二重結合を有する非共役ノルボルネン化合物を使用した、本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物の硬化物の透明性、可撓性に優れることが確認された。
本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物の硬化物からなる光導波板は、可撓性及び透明性に優れるので、バックライト装置の光導波板として有用である。
Claims (9)
- 少なくとも、エチレン単位(a)、α-オレフィン単位(b)及び非共役ポリエン単位(c)を有し、前記非共役ポリエンが、下記一般式(1)又は(2)で表される末端二重結合含有ノルボルネン化合物から選択された少なくとも1種の化合物であるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物を、硬化剤を用い、硬化させてなることを特徴とする光導波板。
一般式(1):
上式中のnは0又は1〜10の整数であり、R1は水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基、R2は水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基である。
一般式(2):
上式中のR3は、水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基である。 - 前記エチレン単位(a)とα-オレフィン単位(b)のモル比[(a)/(b)]が、40/60〜95/5である、請求項1に記載された光導波板。
- 前記α-オレフィン単位(b)がプロピレン単位である、請求項1又は2に記載された光導波板。
- 前記非共役ポリエン単位のランダム共重合体中のモル分率が0.1〜10%である、請求項1〜3の何れかに記載された光導波板。
- 更に、補強性フィラーとしてシリカ微粉末を含有してなる、請求項1〜4の何れかに記載された光導波板。
- 前記シリカ微粉末のBET比表面積が100m2/g以上である、請求項5に記載された光導波板。
- デュロメータAで50度以上でのゴム硬度を有する、請求項1〜6の何れかに記載された光導波板。
- 前記硬化物の全光線透過率が、厚さ2mmの硬化物シートとしたときに90%以上である、請求項1〜7の何れかに記載された光導波板。
- 前記硬化剤として用いるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム成分100質量部に対して0.01〜20質量部用いた、請求項1〜8の何れかに記載された光導波板。
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WO2010147151A1 (ja) | 2009-06-17 | 2010-12-23 | 日立建機株式会社 | 産業車両のエンジン回転数制御装置 |
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- 2007-12-17 JP JP2007324528A patent/JP2009144093A/ja active Pending
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