JP2009139099A - 変位測定装置及び変位測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
振幅及びオフセットが周期ごとに変化するエンコーダ信号を簡易に補正可能な変位測定装置を提供する。
【解決手段】
変位測定装置は、被測定物を変位させるアクチュエータ3と、被測定物の位置を測定するエンコーダ5と、被測定物の位置に基づいてアクチュエータ3に駆動指令信号2を出力することにより、アクチュエータ3の駆動を制御するコントローラ1と、キャリブレーションモード時に、エンコーダ5から出力された2相の補正前のエンコーダ信号6の補正値10を、エンコーダ信号の周期ごとに記憶する記憶装置9と、通常モード時に、補正値10を周期ごとに切り替えて補正前のエンコーダ信号6を補正し、補正されたエンコーダ信号11をコントローラ1に出力するエンコーダ信号補正器7と、を有する
【選択図】図2
振幅及びオフセットが周期ごとに変化するエンコーダ信号を簡易に補正可能な変位測定装置を提供する。
【解決手段】
変位測定装置は、被測定物を変位させるアクチュエータ3と、被測定物の位置を測定するエンコーダ5と、被測定物の位置に基づいてアクチュエータ3に駆動指令信号2を出力することにより、アクチュエータ3の駆動を制御するコントローラ1と、キャリブレーションモード時に、エンコーダ5から出力された2相の補正前のエンコーダ信号6の補正値10を、エンコーダ信号の周期ごとに記憶する記憶装置9と、通常モード時に、補正値10を周期ごとに切り替えて補正前のエンコーダ信号6を補正し、補正されたエンコーダ信号11をコントローラ1に出力するエンコーダ信号補正器7と、を有する
【選択図】図2
Description
本発明は、互いの位相が90度異なる2相の正弦波信号を出力する変位測定装置及び変位測定方法に係り、特に、出力信号の誤差を補正する変位測定装置及び変位測定方法に関する。
エンコーダから出力されるエンコーダ信号は、互いの位相がそれぞれ90度ずれた2相の正弦波からなる。一般的に、2相の正弦波のことをそれぞれA相、B相と呼ぶ。エンコーダは、その2相の振幅比のアークタンジェントに基づき、正弦波信号の周期内における被測定物の位置を内挿処理して求める。
しかしながら、実際の2相のエンコーダ信号には、振幅誤差及びオフセット誤差が含まれている。このため、被測定物の位置を正確に算出するには、2相のエンコーダ信号に含まれる誤差をなくす必要がある。
ここで、特開2007−101297号公報(特許文献1)及び特開2002−318138号公報(特許文献2)には、温度変化、経年変化及びノイズによる振幅及びオフセットの変動をリアルタイムに検出し、動的に補正する方法が開示されている。
また、特開2007−064771号公報(特許文献3)には、エンコーダの製造時に、誤差検出用の高精度エンコーダを用いてエンコーダ信号の誤差を測定し、測定した誤差を記憶装置に記憶して補正する方法が開示されている。
特開2007−101297号公報
特開2002−318138号公報
特開2007−064771号公報
A相信号とB相信号に生じている振幅及びオフセットの誤差が、エンコーダの全周期にわたって一定であるとすれば、その誤差の補正は容易である。このとき、2相のエンコーダ信号のそれぞれの振幅及びオフセットを測定し、2相のエンコーダ信号の振幅補正値とオフセット補正値で全周期にわたって補正すればよい。
しかしながら、2相のエンコーダ信号の振幅及びオフセットの誤差が全周期で一定でなく各周期で変動する場合、その変動に合わせて補正値を変える必要がある。
例えば、被測定物の角度を検出するロータリー式のエンコーダにおいて、円形のスケールに対して互いに180度異なる位置に2つのヘッドを配置する構成のエンコーダがある。この2つのヘッドのそれぞれからA相信号及びB相信号の2相のエンコーダ信号が出力される。そして、2組の2相のエンコーダ信号の出力波形が合成されることにより、エンコーダの最終的な出力波形が生成される。
このような構成のエンコーダでは、2組の信号を合成する前の信号の振幅又はオフセットがずれると、合成後の信号における正弦波の振幅及びオフセットが1周期ごとに大きく変化する。このため、エンコーダ信号の1周期分のみの補正値を用いて補正しても、1周期ごとのばらつきにより、被測定物の位置信号には誤差が生じる。
従来は、全周期において一定の振幅及び一定の振幅となるように、光学系及び電気系をマニュアル調整するか、又は、高精度に設計していた。しかし、電気系及び光学系のマニュアル調整は、ある程度の経験が必要であり、手間もかかる。また、その精度も調整する者の技能により左右される。信号調整が不十分の場合、エンコーダの出力信号から算出された位置信号のリニアリティが十分でなく、精度が確保できない問題が生じる。また、光学系及び電気系を高精度に設計すれば、製品コストが上がる。
特開2007−101297号公報(特許文献1)及び特開2002−318138号公報(特許文献2)のように、振幅及びオフセットの変動をリアルタイムに検出してこれらの変動を動的に補正することは、長い時間での緩やかな変動に対しては効果がある。しかし、信号の振幅及びオフセットが1周期ごとに急激に変化する場合には、十分に補正することができない。
特開2007−064771号公報(特許文献3)のように、エンコーダの製造時に誤差検出用の高精度エンコーダにてエンコーダ信号の誤差を測定する方法では、被補正側のエンコーダが高精度になるにつれて、誤差の測定が困難となる。また、エンコーダの製造工程が増加することによりコストアップにつながる。
本発明は、振幅及びオフセットが周期ごとに変化する出力信号を簡易に補正可能な変位測定装置を提供する
上記課題を解決するため、本発明の一側面としての変位測定装置は、被測定物を変位させるアクチュエータと、前記被測定物の位置を測定するエンコーダと、前記被測定物の位置に基づいて前記アクチュエータに駆動指令信号を出力することにより、該アクチュエータの駆動を制御するコントローラと、キャリブレーションモード時に、前記エンコーダから出力された2相のエンコーダ信号の補正値を、該2相のエンコーダ信号の周期ごとに記憶する記憶装置と、通常モード時に、前記補正値を前記周期ごとに切り替えて前記2相のエンコーダ信号を補正し、補正されたエンコーダ信号を前記コントローラに出力するエンコーダ信号補正器と、を有する。
また、本発明の一側面としての変位測定方法は、エンコーダから出力される2相のエンコーダ信号を用いて被測定物の位置を検出するステップと、前記2相のエンコーダ信号の周期ごとの補正値を測定するステップと、前記周期ごとの前記補正値を記憶するステップと、記憶された前記補正値を周期ごとに切り替え、切り替えられた該補正値を用いて前記2相のエンコーダ信号を補正するステップと、前記補正値により補正されたエンコーダ信号を用いて前記被測定物の位置を検出するステップと、を有する。
本発明の他の目的及び特徴は、以下に説明される実施例において説明される。
本発明によれば、振幅及びオフセットが周期ごとに変化する出力信号を簡易に補正可能な変位測定装置を提供することができる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、誤差のない理想的なエンコーダ信号と誤差のあるエンコーダ信号との差異を説明する。
図1(a)、(b)は、誤差のない理想的なエンコーダ信号の波形を示している。図1(a)は、縦軸にA相信号の振幅をとり、横軸にB相信号の振幅をとった場合のリサージュ波形である。図1(b)は、縦軸にA相信号及びB相信号の振幅をとり、横軸に時間をとった場合の波形である。
図1(b)に示されるように、エンコーダ信号が誤差のない理想的な信号である場合、2相のエンコーダ信号であるA相信号及びB相信号の振幅にはずれがなく、互いの振幅は等しい。また、A相信号及びB相信号の間におけるオフセットも互いに等しい。このとき、図1(a)に示されるリサージュ波形は、きれいな真円を描く。このため、A相信号とB相信号の振幅比に基づいて算出されたアークタンジェントによる被測定物の位置(θ1=tan−1(a1/b1))を正確に検出することができ、誤差は生じない。
一方、図1(c)、(d)は、誤差のあるエンコーダ信号の波形を示している。図1(c)は、縦軸にA相信号の振幅をとり、横軸にB相信号の振幅をとった場合のリサージュ波形である。図1(d)は、縦軸にA相信号及びB相信号の振幅をとり、横軸に時間をとった場合の波形である。
図1(d)に示されるように、A相信号とB相信号の振幅及びオフセットはいずれも一致しておらず、誤差が生じている。このとき、図1(c)に示されるリサージュ波形は歪み、円の中心もずれている。このため、この状態で被測定物の位置を算出した場合、算出した位置に誤差が生じてしまう。
このとき、被測定物の位置θ2は、tan−1(a2/b2)で表される。ここで、A相信号及びB相信号の振幅誤差をそれぞれAamp_err、Bamp_err、オフセット誤差をそれぞれAofst_err、Bofst_errとする。すると、a2、b2はそれぞれ、a2=(Aamp_err×a1)+Aofst_err、b2=(Bamp_err×b1)+Bofst_errで表され、実際の位置に対して誤差が生じてしまう。
そこで、本実施例の変位測定装置は、エンコーダ信号の周期ごとに異なる誤差の補正を行うものである。後述のように、エンコーダ信号の周期ごとの振幅誤差及びオフセット誤差を求めることができれば、上記a2、b2が導き出される数式から、正確な位置(θ1=tan−1(a1/b1))を算出することが可能になる。
まず、本実施例における変位測定装置の概略を説明する。図2は、本実施例における変位測定装置のブロック図を示したものである。
1はコントローラである。コントローラ1は、被測定物(図示なし)の位置に基づいて後述のアクチュエータに駆動指令信号を出力することにより、アクチュエータの駆動を制御する
3はアクチュエータである。アクチュエータ3は、コントローラ1から出力される駆動指令信号2に基づいて駆動制御される。アクチュエータ3が駆動指令信号2により駆動されることで、位置4が変化する。アクチュエータ3には、変位測定装置の被測定物(図示なし)が結合されている。被測定物は、アクチュエータ3の位置4に比例して変位する。このように、アクチュエータ3の位置4が変位することにより、被測定物の位置も変位する。アクチュエータ3には、直線的な位置を変化させるものや、回転角を変化させるものなどがある。このため、本実施例における位置4の変位としては、直線的な位置の変位及び回転角の変位の双方が含まれる。
3はアクチュエータである。アクチュエータ3は、コントローラ1から出力される駆動指令信号2に基づいて駆動制御される。アクチュエータ3が駆動指令信号2により駆動されることで、位置4が変化する。アクチュエータ3には、変位測定装置の被測定物(図示なし)が結合されている。被測定物は、アクチュエータ3の位置4に比例して変位する。このように、アクチュエータ3の位置4が変位することにより、被測定物の位置も変位する。アクチュエータ3には、直線的な位置を変化させるものや、回転角を変化させるものなどがある。このため、本実施例における位置4の変位としては、直線的な位置の変位及び回転角の変位の双方が含まれる。
5はエンコーダである。エンコーダ5は、スケール及びヘッドを有する。エンコーダ5は、アクチュエータ3が駆動させることによる位置4の変化量を検出し、補正前のエンコーダ信号6を出力する。補正前のエンコーダ信号6は、互いに位相が90度異なる2相の正弦波信号である。
本実施例のエンコーダ5は、被測定物の角度を検出するロータリー式のエンコーダであり、円形のスケールに対して互いに180度異なる位置に2つのヘッドが配置されている(図示なし)。この2つのヘッドのそれぞれからA相及びB相の2相のエンコーダ信号が出力される。そして、2組の2相のエンコーダ信号(計4信号)の出力波形が、A相同士及びB相同士でそれぞれ合成されることにより、補正前のエンコーダ信号6が出力される。
ただし、2相の正弦波信号には、振幅誤差及びオフセット誤差が生じている。エンコーダ5では、2つのヘッドからのエンコーダ信号を合成(積算)することにより、補正前のエンコーダ信号6を生成している。このとき、合成後のエンコーダ信号の周期は、合成前の信号の半分になる。このため、合成前の2つの信号の振幅又はオフセットに差異があると、合成後の信号である補正前のエンコーダ信号6の振幅及びオフセットは、1周期ごとに大きく変化する。
7はエンコーダ信号補正器である。エンコーダ信号補正器7は、補正前のエンコーダ信号6を入力し、補正されたエンコーダ信号11を出力する。9は記憶装置である。記憶装置9は、補正前のエンコーダ信号6を補正するための補正値テーブルを保存する。記憶装置9には、あらかじめ測定された補正前のエンコーダ信号6の振幅補正値、オフセット補正値、及び、リサージュ接点情報などが記憶されており、これらにより補正テーブルが構成される。
エンコーダ信号補正器7は、記憶装置9に保存された補正値テーブルを参照し、現在の位置4における補正値10を得る。すなわち、エンコーダ信号補正器7は、補正前の位置情報8を記憶装置9へ出力し、記憶装置9から補正値10が入力される。エンコーダ信号補正器7は、記憶装置9からの補正値10に基づき補正前のエンコーダ信号6を補正して、補正されたエンコーダ信号11を出力する。
12はスイッチである。スイッチ12は、補正前のエンコーダ信号6又は補正されたエンコーダ信号11のいずれか一つを選択的に切換え、選択した信号をコントローラ1に入力する。記憶装置9に記憶するための補正値テーブルを作成するキャリブレーションモード時において、スイッチ12は端子13に接続される。このため、キャリブレーションモード時には、補正前のエンコーダ信号6が選択され、この信号が直接コントローラ1にフィードバックされる。
一方、補正値テーブルの作成が完了すると、記憶装置9に補正値テーブルが記憶される。そして、通常モード時において、スイッチ12は端子14に接続される。このため通常モード時には、補正されたエンコーダ信号11がコントローラ1に入力されることになる。すなわち、コントローラ1は、補正されたエンコーダ信号11に基づいて、駆動指令信号2を出力してアクチュエータ3を駆動する。補正されたエンコーダ信号11では、補正前のエンコーダ信号6が有する振幅誤差及びオフセット誤差が除去されている。この結果、エンコーダ5は、振幅誤差及びオフセット誤差による影響を受けず、より正確な変位を測定することが可能になる。
図3に、本実施例における補正前のエンコーダ信号の波形を示す。図3(a)は、縦軸に振幅を、横軸に時間をとり、互いに位相の異なるA相信号及びB相信号の振幅−時間特性を示したものである。図3(a)では、周期n−1から周期n+2までの4周期分の振幅−時間特性を示している。周期n−1及び周期n+1における波形と、周期n及び周期n+2における波形は、振幅及びオフセットの観点で、それぞれ異なっている。すなわち、エンコーダ信号の振幅及びオフセットは1周期ごとに変化し、これを繰り返す。
図3(b)は、縦軸にA相信号の振幅、横軸にB相信号の振幅をとったときのリサージュ波形である。破線で示される波形は、周期nにおける波形であり、実線で示される波形は、周期n+1における波形である。本実施例におけるエンコーダ信号の振幅及びオフセットは、1周期ごとに変化するため、周期nにおけるリサージュ波形と周期n+1におけるリサージュ波形は重ならない。
本実施例の変位測定装置は、このようなエンコーダ信号の振幅誤差及びオフセット誤差を補正するため、以下に説明する補正を実施する。
図4は、本実施例における補正手法の全体を示すフローチャートである。
初めに、変位測定装置のスイッチ12をキャリブレーションモード時の端子13に切り替える。この状態で、コントローラ1はアクチュエータ3へ駆動指令信号2を与えながら制御を開始する(S001)。このとき、変位測定装置は、エンコーダ5から出力される2相のエンコーダ信号を用いて被測定物の位置を検出する。このため、変位測定装置は、補正前のエンコーダ信号6をそのまま直接利用してアクチュエータ2の駆動を制御することになる。このように、キャリブレーションモード時には、コントローラ1は、振幅誤差及びオフセット誤差を有するエンコーダ信号に基づいて制御を実行する。
ステップS001において、補正前のエンコーダ信号6で制御することにより、少なくとも連続する2周期についてのリサージュ波形が得られる。このリサージュ波形に基づいて、連続する周期nと周期n+1の接点(境界点)であるリサージュ接点を測定する(S002)。ここで、リサージュ接点とは、隣り合う周期n、n+1におけるリサージュ波形が交わる一点のことをいう。なお、リサージュ接点の測定方法の詳細については、後述する。
次に、ステップS002において測定したリサージュ接点前後の2周期(周期n、n+1)について、補正前のエンコーダ信号6の振幅及びオフセットを測定する(S003)。本実施例では、周期ごとに測定された振幅及びオフセットの値が補正値10となる。
ステップS002にて測定されたリサージュ接点とステップS003にて求められたエンコーダ信号の振幅及びオフセット(補正値10)を記憶装置9に補正値テーブルとして保存する(S004)。補正値テーブルが完成すると、保存された補正値10にて補正されたエンコーダ信号11を用いて変位測定装置の制御を開始する(S005)。
なお、図4において、ステップS001〜S004まではキャリブレーションモード時に実行される。一方、ステップS005は通常モード時に実行される。
以上のフローにより、補正前のエンコーダ信号6の振幅誤差及びオフセット誤差は補正される。
次に、図4のステップS002におけるリサージュ接点の測定方法について詳細に説明する。
図5は、本実施例におけるリサージュ接点の測定方法を示すフローチャートである。
補正前のエンコーダ位置情報に基づいてスキャンする範囲(エンコーダ波形1周期分)を決定し、スキャン始点P0へ移動する。スキャン始点P0におけるA相信号及びB相信号の値(A0、B0)を測定する(S101)。これらの値を測定した後、スキャン始点P0を基準として+1周期移動し、移動後のA相信号及びB相信号の値(A1、B1)を測定する(S102)。
次に、2点におけるA相信号及びB相信号の値(A0、B0)、(A1、B1)について、リサージュ波形上でのこれらの値の距離の2乗を計算し、算出値をDminとする(S103)。すなわち、Dminは以下の数式(1)にて求められる。
Dmin=(A0−A1)2+(B0−B1)2 … (1)
Dminを算出した後、kに1を代入する(S104)。次に、エンコーダ信号の1周期内を、ステップ移動量Sだけ細かくステップ移動する。ステップ移動量Sは細かいほうが測定精度は高くなるが、逆に測定時間が増える。このため、精度と時間とのバランスを考慮しながら適切なステップ移動量Sを設定する。
Dminを算出した後、kに1を代入する(S104)。次に、エンコーダ信号の1周期内を、ステップ移動量Sだけ細かくステップ移動する。ステップ移動量Sは細かいほうが測定精度は高くなるが、逆に測定時間が増える。このため、精度と時間とのバランスを考慮しながら適切なステップ移動量Sを設定する。
設定されたステップ移動量Sだけ移動し、移動後の位置(Pk=k×S+P0)において、A相信号及びB相信号の値(Ak0、Bk0)を測定する(S105)。また、位置Pkを基準として+1周期だけ移動し、A相信号及びB相信号の値(Ak1、Bk1)を測定する(S106)。測定した2点におけるA相信号及びB相信号の値のリサージュ波形上での距離の2乗を算出し、算出値をDとする(S107)。Dは、数式(1)と同様に、以下の数式(2)にて求められる。
D=(Ak0−Ak1)2+(Bk0−Bk1)2 … (2)
数式(2)で求められたDと数式(1)で求められたDminを比較する(S108)。DのほうがDminより小さい場合、DminにDの値を代入し、また、(Ac、Bc)に(Ak0、Bk0)を代入する(S109)。一方、DのほうがDminより大きい場合、Dmin及び(Ac、Bc)の値を更新しない。
数式(2)で求められたDと数式(1)で求められたDminを比較する(S108)。DのほうがDminより小さい場合、DminにDの値を代入し、また、(Ac、Bc)に(Ak0、Bk0)を代入する(S109)。一方、DのほうがDminより大きい場合、Dmin及び(Ac、Bc)の値を更新しない。
kにk+1を代入した後(S110)、次の移動量(ステップ移動量S)だけ移動した点がスキャン始点P0から+1周期の範囲を超えるか否かを判定する(S111)。スキャン始点P0から+1周期に至らない場合、ステップS105〜S110までを繰り返す。次の移動量にてスキャン始点P0から1周期以上の位置になる場合、スキャン動作を止め、繰り返し処理から抜ける。スキャン完了時の(Ac、Bc)とA相正弦波信号の計数から(Ac、Bc)での位置を算出し、この位置をリサージュ接点位置Pcとする。
次に、図4のステップS003におけるエンコーダ信号の振幅及びオフセットの測定方法について、詳細に説明する。
図6は、本実施例におけるエンコーダ信号の振幅及びオフセットの測定方法を示すフローチャートである。図6に示される測定方法では、図5の方法により求められたリサージュ接点PCを境に、リサージュ接点Pcの前後2周期それぞれの振幅及びオフセット(補正値10)を求める。
初めに、コントローラ1から与えられた駆動指令信号2により、アクチュエータ3の位置4をリサージュ接点Pcに移動させる。また、リサージュ接点PcにおけるA相信号及びB相信号の値(A、B)を測定する(S201)。このとき、測定したA相信号及びB相信号の値(A、B)を、(Amin、Bmin)及び(Amax、Bmax)に代入する(S202)。また、kに1を代入する(S203)。
次に、リサージュ接点Pcの前後いずれかの1周期内を、細かくステップ移動させる。本実施例では、まず、プラス側にステップ移動させる。ステップ移動量Sは細かいほうが測定精度は高くなるが、逆に測定時間が増える。このため、精度と時間とのバランスを考慮しながら適切なステップ移動量Sを設定する。
リサージュ接点Pcからステップ移動量Sだけ移動した位置(Pk=k×S+Pc)において、A相信号及びB相信号の値(A、B)を測定する(S204)。A相信号及びB相信号の値(A、B)を測定した後、Aの値とAmax、Aminとの大小関係、及び、測定したBの値とBmax、Bminとの大小関係を比較する(S205〜S211)。
まず、Aの値がAminより小さいか否かを判定する(S205)。Aの値がAminより小さい場合、AminにAの値を代入し(S206)、ステップS209へ進む。また、Aの値がAmaxより大きいか否かを判定する(S207)。Aの値がAmaxより大きい場合、AmaxにAの値を代入し(S208)、ステップS209へ進む。
次に、Bの値がBminより小さいか否かを判定する(S209)。Bの値がBminより小さい場合、BminにBの値を代入し(S210)、ステップS213へ進む。また、Bの値がBmaxより大きいか否かを判定する(S211)。Bの値がBmaxより大きい場合、BmaxにBの値を代入し(S212)、ステップS213へ進む。
kにk+1を代入し(S213)、次のステップ移動点がスキャン始点であるリサージュ接点Pcから+1周期を超えるか否かを判定する(S214)。次のステップ移動点が1周期を超えない場合(k×S≦1周期)、次のステップ移動を行い、ステップS204〜S214までを繰り返す。一方、次のステップ移動点が1周期を超える場合(k×S>1周期)、スキャン動作を止め、繰り返し処理から抜ける。
スキャン動作が完了すると、以下の数式(3)〜(6)より、A相信号の振幅及びオフセット、B相信号の振幅及びオフセットをそれぞれ計算する(S215)。
A振幅:Aamp1=Amax−Amin …(3)
Aオフセット:Aoffset1=(Amax+Amin)/2 … (4)
B振幅:Bamp1=Bmax−Bmin …(5)
Bオフセット:Boffset1=(Bmax+Bmin)/2 … (6)
これにより、リサージュ接点Pcの+側における周期n+1における振幅及びオフセットが算出される。次に、上記と同様に、リサージュ接点Pcから−側に1周期スキャンして、周期nにおけるA相信号及びB相信号の振幅及びオフセットを測定する。このように算出された2周期分(周期n、n+1)の振幅及びオフセットを補正値10として算出し、この値を記憶装置9に保存する(S004)。
Aオフセット:Aoffset1=(Amax+Amin)/2 … (4)
B振幅:Bamp1=Bmax−Bmin …(5)
Bオフセット:Boffset1=(Bmax+Bmin)/2 … (6)
これにより、リサージュ接点Pcの+側における周期n+1における振幅及びオフセットが算出される。次に、上記と同様に、リサージュ接点Pcから−側に1周期スキャンして、周期nにおけるA相信号及びB相信号の振幅及びオフセットを測定する。このように算出された2周期分(周期n、n+1)の振幅及びオフセットを補正値10として算出し、この値を記憶装置9に保存する(S004)。
図7に、エンコーダ信号波形とリサージュ接点、振幅及びオフセットとの関係を示す。図7(a)は、縦軸にA相信号及びB相信号の振幅をとり、横軸に時間をとった振幅−時間特性である。また、図7(b)は縦軸にA相信号の振幅、横軸にB相信号の振幅をとったときのリサージュ波形である。
リサージュ接点Pcは、前後2周期のA相、B相信号の振幅値及びオフセットが一致する点であり、いずれの周期の補正値を用いても補正後のA相、B相信号の振幅値及びオフセットが同じになる点である。このため、リサージュ接点Pcで補正値10を切り替えれば、2周期の間で不連続状態が発生することなく、補正値10を切り替えることができる。したがって、エンコーダ信号補正器7は、通常モード時において、補正前のエンコーダ信号6に基づいて検出される位置4と記憶装置9に記憶されたリサージュ接点Pcの位置とを比較する。エンコーダ信号補正器7は、位置4とリサージュ接点Pcの位置が等しくなったとき、記憶装置9に記憶された補正値10を切り替え、隣り合う周期ごとに異なる補正値10を用いて補正されたエンコーダ信号11を出力する。
上述のとおり、2周期分のエンコーダ信号からそれぞれの周期における信号の振幅及びオフセットを求めた。なお、本実施例では連続する2周期分の振幅及びオフセットを求めたが、同様の方法により、その他の周期において振幅及びオフセットを求め、これらの値を記憶装置9に保存することもできる。
図8は記憶装置9に記憶される補正テーブルである。リサージュ接点Pcを区切りとして、それぞれの補正値の適用範囲が定義されている。記憶装置9には、各適用範囲に対応する補正値10が複数記憶されており、これらの補正値は、エンコーダ信号の周期ごとに切り替えて用いられる。
必要な補正値の測定が完了して補正値が全て揃った場合には、通常モードとして、補正されたエンコーダ信号11を用いて制御を開始する(S006)。このとき、スイッチ12は通常モード時の端子14に切り替えられる。エンコーダ信号補正器7は、補正前のエンコーダ信号6から補正前の位置情報8を算出する。補正前の位置情報8から記憶装置9内の補正値テーブルを参照し、その位置に対応する振幅、オフセットの補正値10を得る。エンコーダ信号補正器7は、補正値10に基づいて、補正前のエンコーダ信号6を以下の数式(7)、(8)にて補正する。
Acomp=(Araw−Aoffset)×(Aamp_normal/Aamp) … (7)
Bcomp=(Braw−Boffset)×(Bamp_normal/Bamp) … (8)
Acomp、Bcomp:補正されたエンコーダ信号
Araw、Braw:補正前のエンコーダ信号
Aoffset、Boffset:オフセット補正値
Aamp、Bamp:振幅補正値
Aamp_normal、Bamp_normal:正規のエンコーダ振幅
補正されたエンコーダ信号11は、スイッチ12を介してコントローラ1に入力される。コントローラ1は、補正されたエンコーダ信号11から駆動指令信号2を算出し、アクチュエータ3を制御する。
Bcomp=(Braw−Boffset)×(Bamp_normal/Bamp) … (8)
Acomp、Bcomp:補正されたエンコーダ信号
Araw、Braw:補正前のエンコーダ信号
Aoffset、Boffset:オフセット補正値
Aamp、Bamp:振幅補正値
Aamp_normal、Bamp_normal:正規のエンコーダ振幅
補正されたエンコーダ信号11は、スイッチ12を介してコントローラ1に入力される。コントローラ1は、補正されたエンコーダ信号11から駆動指令信号2を算出し、アクチュエータ3を制御する。
図9(a)は補正前のエンコーダ信号波形のリサージュ画像であり、図9(b)は補正されたエンコーダ信号波形のリサージュ画像である。
図9(a)に示されるように、補正前のエンコーダ信号は、周期ごとに振幅及びオフセットが異なるため、リサージュ波形が二重に見える。本実施例の上記補正方法を実施すると、図9(b)のように、二重だったリサージュ波形を一つの円に重ねることができ、より正確なリサージュ波形を得ることができる。
本実施例によれば、振幅及びオフセットが周期ごとに変化する出力信号を簡易に補正可能な変位測定装置を提供することができる。
また、本実施例によれば、補正値の算出を補正前のエンコーダ信号を使って制御し自動的に行うことができるため、厳密なマニュアル信号調整が不要になる。また、周期ごとに多少の信号変化があっても全周期にわたって一定の精度を確保できる。そのため、部品精度のゆるい安価なエンコーダでも、高い精度を確保することができる。
以上、本発明を実施例に基づいて詳細に説明した。ただし、本発明は上記実施例にて説明した事項に限定されるものではなく、その技術思想の範囲内で適宜変更が可能である。
例えば、上記実施例のエンコーダ信号における振幅及びオフセットは、1周期ごとに変化するものであるが、特にこれに限られるものではない。本発明は、2周期ごとや3周期ごとなど他の周期ごとに変化するエンコーダ信号が出力される変位測定装置にも適用可能である。
また、上記実施例のエンコーダはロータリー式のエンコーダであるが、被測定物の直線的な変位を測定する場合には、ロータリー式のエンコーダに代えてリニアエンコーダが用いられる。
1 コントローラ
3 アクチュエータ
5 エンコーダ
7 エンコーダ信号補正器
9 記憶装置
12 スイッチ
3 アクチュエータ
5 エンコーダ
7 エンコーダ信号補正器
9 記憶装置
12 スイッチ
Claims (8)
- 被測定物を変位させるアクチュエータと、
前記被測定物の位置を測定するエンコーダと、
前記被測定物の位置に基づいて前記アクチュエータに駆動指令信号を出力することにより、該アクチュエータの駆動を制御するコントローラと、
キャリブレーションモード時に、前記エンコーダから出力された2相のエンコーダ信号の補正値を、該2相のエンコーダ信号の周期ごとに記憶する記憶装置と、
通常モード時に、前記補正値を前記周期ごとに切り替えて前記2相のエンコーダ信号を補正し、補正されたエンコーダ信号を前記コントローラに出力するエンコーダ信号補正器と、を有することを特徴とする変位測定装置。 - 前記補正値は、前記2相のエンコーダ信号の周期ごとの振幅及びオフセットを含むことを特徴とする請求項1記載の変位測定装置。
- 前記エンコーダ信号補正器は、前記2相のエンコーダ信号のリサージュ波形におけるリサージュ接点にて前記補正値を切り替えることを特徴とする請求項1又は2記載の変位測定装置。
- 前記エンコーダから出力された前記2相のエンコーダ信号を前記コントローラにフィードバックすることにより、前記振幅及びオフセットが測定され、前記リサージュ接点が測定されることを特徴とする請求項3記載の変位測定装置。
- エンコーダから出力される2相のエンコーダ信号を用いて被測定物の位置を検出するステップと、
前記2相のエンコーダ信号の周期ごとの補正値を測定するステップと、
前記周期ごとの前記補正値を記憶するステップと、
記憶された前記補正値を周期ごとに切り替え、切り替えられた該補正値を用いて前記2相のエンコーダ信号を補正するステップと、
前記補正値により補正されたエンコーダ信号を用いて前記被測定物の位置を検出するステップと、を有することを特徴とする変位測定方法。 - 前記補正値により補正されたエンコーダ信号を用いて前記被測定物の位置を検出した後、該エンコーダ信号を用いて該測定物の位置を制御することを特徴とする変位測定方法。
- さらに、前記2相のエンコーダ信号のリサージュ波形におけるリサージュ接点を測定するステップと、前記リサージュ接点を記憶するステップと、を有し、
前記2相のエンコーダ信号の周期ごとの補正値を測定する前記ステップは、前記リサージュ接点の前後の周期について実行され、
前記リサージュ接点にて周期ごとの前記補正値を切り替えることを特徴とする請求項5又は6記載の変位測定方法。 - 前記補正値は、前記2相のエンコーダ信号の周期ごとの振幅及びオフセットを含むことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一に記載の変位測定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007312400A JP2009139099A (ja) | 2007-12-03 | 2007-12-03 | 変位測定装置及び変位測定方法 |
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JP2007312400A JP2009139099A (ja) | 2007-12-03 | 2007-12-03 | 変位測定装置及び変位測定方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2009139099A true JP2009139099A (ja) | 2009-06-25 |
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JP2007312400A Pending JP2009139099A (ja) | 2007-12-03 | 2007-12-03 | 変位測定装置及び変位測定方法 |
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JP (1) | JP2009139099A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11512983B2 (en) | 2019-09-17 | 2022-11-29 | Fanuc Corporation | Encoder and encoder control method |
JP7432283B1 (ja) | 2023-05-31 | 2024-02-16 | 株式会社マグネスケール | 変位算出装置、及び変位算出方法 |
-
2007
- 2007-12-03 JP JP2007312400A patent/JP2009139099A/ja active Pending
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