JP2020012634A - ロータリーエンコーダ信号処理装置及びその信号処理方法 - Google Patents

ロータリーエンコーダ信号処理装置及びその信号処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大きな記憶容量を必要とせず、かつ、ロータリーエンコーダを移動体に組み込んだ後の最終設置状態で偏芯を補正できるロータリーエンコーダ信号処理装置を提供する。【解決手段】ロータリーエンコーダ8から出力される測角値データを補正するロータリーエンコーダ信号処理装置10であって、ロータリーエンコーダ8について少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た測角値データが示す測角値と理想角度との誤差を周波数分析した場合に得られる1次成分を特定する振幅データ及び位相データを予め記憶している記憶部11と、ロータリーエンコーダ8から出力される測角値データを取得し、取得した測角値データが示す測角値に対応する誤差を記憶部11に記憶された振幅データ及び位相データを用いて算出し、算出した誤差で測角値データを補正する誤差補正部12とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、ロータリーエンコーダ信号処理装置及びその信号処理方法に関し、特に、ロータリーエンコーダから出力される測角値データを補正するロータリーエンコーダ信号処理装置及びその信号処理方法に関する。
回転角度(つまり、回転位置)の検出に用いられるロータリーエンコーダでは、検出精度を高めるために、スリットパターン等の角度検出パターンを備えたパルス円板の偏芯による、1回転に1周期の頻度で生じる測角値の誤差を低減することが重要となる。そのために、従来、ロータリーエンコーダから出力される測角値データを、予め記憶している誤差を用いてオンライン(つまり、リアルタイム)で補正するロータリーエンコーダ信号処理装置が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1では、予め、ロータリーエンコーダで検出される正弦波状の1周期分の誤差を30〜40点でサンプリングして記憶しておき、回転角度の検出時には、記憶した30〜40点の誤差を用いて、ロータリーエンコーダから出力される測角値データを補正している。
また、特許文献2では、一定速度で相対移動する移動体を用いて高次の歪誤差までも補正するための補正係数を得て記憶しておき、回転角度の検出時には、記憶した補正係数を用いて測角値データを補正している。
特開昭60−170710号公報 国際公開第2006/043403号
しかしながら、特許文献1の技術では、多数のサンプリングポイントにおける検出角度の誤差を記憶しておく必要があるために、メモリの記憶容量が大きくなり、ロータリーエンコーダ信号処理装置が高価になってしまうという問題がある。
また、特許文献2の技術では、補正係数を得るために一定速度で移動体を回転させる必要があるために、ロータリーエンコーダを移動体に組み込んだ後の最終設置状態でのトータルとしての偏芯を補正できないという問題がある。
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、大きな記憶容量を必要とせず、かつ、ロータリーエンコーダを移動体に組み込んだ後の最終設置状態で偏芯を補正できるロータリーエンコーダ信号処理装置及びその信号処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一形態に係るロータリーエンコーダ信号処理装置は、ロータリーエンコーダから出力される測角値データを補正するロータリーエンコーダ信号処理装置であって、前記ロータリーエンコーダについて少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た前記測角値データが示す測角値と理想角度との誤差を周波数分析した場合に得られる1次成分を特定する振幅データ及び位相データを予め記憶している記憶部と、前記ロータリーエンコーダから出力される測角値データを取得し、取得した前記測角値データが示す測角値に対応する誤差を前記記憶部に記憶された前記振幅データ及び前記位相データを用いて算出し、算出した前記誤差で前記測角値データを補正する誤差補正部とを備える。
また、上記目的を達成するために、本発明の一形態に係るロータリーエンコーダ信号処理方法は、ロータリーエンコーダから出力される測角値データを補正するロータリーエンコーダ信号処理方法であって、記憶部から、前記ロータリーエンコーダについて少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た前記測角値データが示す測角値と理想角度との誤差を周波数分析した場合に得られる1次成分を特定する振幅データ及び位相データを読み出す読み出しステップと、前記ロータリーエンコーダから出力される測角値データを取得し、取得した前記測角値データが示す測角値に対応する誤差を前記読み出しステップで読み出した前記振幅データ及び前記位相データを用いて算出し、算出した前記誤差で前記測角値データを補正する誤差補正ステップとを含む。
本発明に係るロータリーエンコーダ信号処理装置及びその信号処理方法は、大きな記憶容量を必要とせず、かつ、ロータリーエンコーダを移動体に組み込んだ最終設置状態で偏芯を補正できる。よって、安価で、かつ、最終設置状態で精度の高い測角値をオンラインで出力するロータリーエンコーダ信号処理装置及びその信号処理方法が実現される。
実施の形態に係るロータリーエンコーダ信号処理装置の構成を示すブロック図 実施の形態に係るロータリーエンコーダ信号処理装置が備える誤差補正部の補正係数作成機能に関する処理手順の概要を示すフローチャート 図2におけるステップS10の詳細を示すフローチャート 図3に示された処理を説明する図 図2におけるステップS11の詳細を示すフローチャート 図5に示された処理を説明する図 実施の形態に係るロータリーエンコーダ信号処理装置が備える誤差補正部の補正機能に関する処理手順を示すフローチャート
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、構造、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
図1は、実施の形態に係るロータリーエンコーダ信号処理装置10の構成を示すブロック図である。本図では、ロータリーエンコーダ8も合わせて図示されている。ロータリーエンコーダ8は、相対移動する移動体(図示せず)に取り付けられ、移動体の回転角度(回転位置)に対応する測角値データを出力するエンコーダであり、例えば、パルス円板、光学式検出素子、検出回路、A/D変換器等で構成される。
ロータリーエンコーダ信号処理装置10は、ロータリーエンコーダ8から出力される測角値データをオンラインで補正する装置であり、記憶部11及び誤差補正部12を備える。
記憶部11は、ロータリーエンコーダ8について少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た測角値データが示す測角値と理想角度との差(つまり、誤差)を周波数分析した場合に得られる1次成分を特定する振幅データ及び位相データを(以下、振幅データ及び位相データを「補正係数」ともいう)を予め記憶するものであり、例えば、不揮発性の半導体メモリである。なお、振幅データ及び位相データは、それぞれ、ロータリーエンコーダ8の1回転の周期で現れる、測角値と理想角度との誤差角度を正弦波で表現した場合の振幅及び位相を示すデータである。
誤差補正部12は、ロータリーエンコーダ8から出力される測角値データを取得し、取得した測角値データが示す測角値に対応する誤差を記憶部11に記憶された振幅データ及び位相データを用いて算出し、算出した誤差で測角値データを補正する処理部であり、例えば、プログラムが格納されたROM、RAM、RAMを一時的な記憶領域として用いることでROMに格納されたプログラムを実行するプロセッサ、及び、入出力ポート等を有するデジタル信号処理回路である。なお、測角値データとは、ロータリーエンコーダ8で検出された回転角度(測角値)を示すデータである。
ここで、測角値データ、振幅データ、及び、位相データは、360°をロータリーエンコーダ8の分解能を示す所定整数値に対応させた場合における、それぞれに対応する角度を示す整数値(例えば、23ビットのデータ)である。誤差補正部12は、測角値データ、振幅データ、位相データ、所定整数値、及び、補正後の測角値データが示す値を、それぞれ、θm、A、β、C、θとした場合に、
θ=θm−A×sin(360×(θm−β)/C) (式1)
の式に従って、オンラインで測角値データを補正する。
また、誤差補正部12は、上述した補正機能だけでなく、ロータリーエンコーダ8について少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た測角値データが示す測角値と理想角度との誤差を算出し、算出した誤差を周波数分析することによって、1次成分を特定する振幅データ及び位相データを算出し、算出した振幅データ及び位相データを記憶部11に格納する補正係数作成機能も有する。
なお、本実施の形態では、ロータリーエンコーダ8が測角値データを出力したが、それに代えて、ロータリーエンコーダ信号処理装置10が測角値データを生成する処理部を備えてもよい。例えば、ロータリーエンコーダ8が有する検出回路から出力される、2つの物体の相対変位に対応した2相のアナログ信号をA/D変換し、得られた2つのデジタル値から回転角度に対応する測角値データを生成する測角値データ生成回路がロータリーエンコーダ信号処理装置10に備えられてもよい。
次に、以上のように構成された本実施の形態に係るロータリーエンコーダ信号処理装置10の動作(つまり、ロータリーエンコーダ信号処理方法)について説明する。
図2は、ロータリーエンコーダ信号処理装置10が備える誤差補正部12が有する2つの機能のうち、補正係数作成機能に関する処理手順(補正係数作成ステップ)の概要を示すフローチャートである。
まず、ロータリーエンコーダ8を移動体に組み込んだ最終設置状態で、誤差補正部12は、ロータリーエンコーダ8について少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た測角値データが示す測角値と理想角度との誤差を示す誤差データを算出する(S10)。
次に、誤差補正部12は、算出した誤差データを周波数分析することによって、1次成分を特定する振幅データ及び位相データを算出する(S11)。
最後に、誤差補正部12は、算出した振幅データ及び位相データを記憶部11に格納する(S12)。
図3は、図2におけるステップS10(1回転分の誤差データの算出)の詳細を示すフローチャートである。
まず、誤差補正部12は、移動体を1/N(N≧4)回転させたうえで(S21)、そのサンプリングポイントでの測角値データθm[j]を取得する(S22)という処理を、1回転分(j=0〜N)繰り返す(S20〜S23)。これによって、1回転分の測角値データθm[j](j=0〜N)が取得される。なお、移動体を1/N回転させる制御は、誤差補正部12が行ってもよいし、誤差補正部12以外の装置(手動を含む)が行ってもよい。
次に、誤差補正部12は、N回の1/N回転のそれぞれのサンプリングポイントに対応する理想角度を示す理想角度データθr[j](j=0〜N)を算出する(S24)。具体的には、誤差補正部12は、ロータリーエンコーダ8の分解能を示す所定整数値CをNで割ることで、1/N回転(1サンプル)当たりの増減パルス数P(=C/N)を算出し、算出した増減パルス数Pをj(j=0〜N)倍した値(0、P、2P、3P、・・、N×P)を算出することで、理想角度データθr[j](j=0〜N)を算出する。
そして、誤差補正部12は、ステップS20〜S23で算出した測角値データθm[j](j〜0〜N)及びステップS24で算出した理想角度データθr[j](j=0〜N)から、対応する差分(各jにおける(θm[j]−θr[j]))を算出することで、誤差データE[j](j=0〜N)を算出する(S25)。
図4は、図3に示された処理を説明する図である。ここでは、1回転分(j=0〜N)における測角値データθm[j]、理想角度データθr[j]、及び、誤差データE[j]の例が示されている。横軸は、回転角度(サンプリングポイント)を示し、縦軸は、各データの値(角度を示す整数値)を示している。
図5は、図2におけるステップS11(周波数分析)の詳細を示すフローチャートである。
誤差補正部12は、図2のステップS10で算出された誤差データE[j](j=0〜N)をフーリエ変換し(S30)、それによって、誤差データE[j]の1次成分(移動体の1回転に相当する正弦波成分)の係数(振幅A)を振幅データとして特定する(S31)。
次に、誤差補正部12は、誤差データE[j]の1次成分の振幅が0となるときの測角値(位相差β)を位相データとして特定する(S32)。なお、位相データを特定する場合には、測角値データθm[j](j=0〜N)の各データ間を補間することで連続的な波形(測角値波形)を算出しておき、誤差データE[j]の1次成分の振幅が0となるときの測角値波形の値(位相差β)を位相データとして特定する。
図6は、図5に示された処理を説明する図である。ここでは、1回転分における誤差データの1次成分及び測角値波形(測角値データを補間してつないだ波形)と、特定された位相データ(位相差β)の例が示されている。横軸は、回転角度を示し、縦軸は、各データの値(角度を示す整数値)を示している。
なお、図2から図6での説明では、1回転分の測角値データから振幅データ及び位相データが算出されたが、より精度を向上させるために、2以上の回転分の測角値データから振幅データ及び位相データを算出してもよい。このとき、(1)2以上の回転分の測角値データが示す測角値と理想角度との誤差を示す誤差データを周波数分析することによって、1次成分を特定する振幅データ及び位相データを算出してもよいし、(2)1回転分の測角値データが示す測角値と理想角度との誤差を示す誤差データを周波数分析することによって1回転分の1次成分を特定する振幅データ及び位相データを算出することを複数回繰り返し、得られた複数の振幅データ及び位相データを平均化してもよい。
図7は、ロータリーエンコーダ信号処理装置10が備える誤差補正部12が有する2つの機能のうち、オンラインでの補正機能に関する処理手順(誤差補正ステップ)を示すフローチャートである。
まず、誤差補正部12は、記憶部11から、振幅データ及び位相データを読み出す(読み出しステップS40)。振幅データ及び位相データは、図2に示される補正係数作成ステップで生成された値であり、ロータリーエンコーダ8について少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た測角値データが示す測角値と理想角度との誤差を周波数分析した場合に得られる1次成分を特定する値(それぞれ、振幅A、位相差β)を示すデータである。
そして、誤差補正部12は、誤差補正ステップS41〜S43として、ロータリーエンコーダ8から出力される測角値データを取得し(S41)、取得した測角値データが示す測角値に対応する誤差を、読み出しステップS40で読み出した振幅データ及び位相データを用いて算出し(S42)、算出した誤差で測角値データを補正する(S43)。
具体的には、測角値データ、振幅データ、位相データ、ロータリーエンコーダ8の分解能(所定整数値)、及び、補正後の測角値データが示す値を、それぞれ、θm、A、β、C、θとした場合に、誤差補正部12は、誤差Eを、以下の式2に従って算出する。
誤差E=A×sin(360×(θm−β)/C) (式2)
そして、誤差補正部12は、補正後の測角値データθを、以下の式3に従って算出する。
補正後の測角値データθ
=測角値データθm−誤差E
=θm−A×sin(360×(θm−β)/C) (式3)
このようにして、オンラインで、測角値データθmの誤差Eが補正され、理想角度に近い補正後の測角値データθが得られる。
なお、誤差補正ステップS41〜S43は、測角値データが取得される度に、繰り返される。
また、上記読み出しステップS40は、誤差の算出ステップS42の前であれば、測角値データの取得ステップS41の後でもよい。
以上のように、本実施の形態に係るロータリーエンコーダ信号処理装置10は、ロータリーエンコーダ8から出力される測角値データを補正する装置であって、ロータリーエンコーダ8について少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た測角値データが示す測角値と理想角度との誤差を周波数分析した場合に得られる1次成分を特定する振幅データ及び位相データを予め記憶している記憶部11と、ロータリーエンコーダ8から出力される測角値データを取得し、取得した測角値データが示す測角値に対応する誤差を記憶部11に記憶された振幅データ及び位相データを用いて算出し、算出した誤差で測角値データを補正する誤差補正部12とを備える。
これにより、記憶部11には、ロータリーエンコーダ8について少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た測角値と理想角度との誤差を周波数分析した場合に得られる1次成分を特定する振幅データ及び位相データを記憶しておくだけなので、多数のサンプリングポイントにおける検出角度の誤差を記憶しておく必要がなくなり、大きな記憶容量が必要とされない。また、ロータリーエンコーダ8を移動体に組み込んだ後の最終設置状態での振幅データ及び位相データを記憶しておけばよいので、補正係数を得るために一定速度で移動体を回転させる必要がなくなり、最終設置状態でロータリーエンコーダ8の偏芯を補正できるロータリーエンコーダ信号処理装置が実現される。
また、測角値データ、振幅データ、及び、位相データは、360°をロータリーエンコーダ8の分解能を示す所定整数値に対応させた場合における、それぞれに対応する角度を示す整数値であり、誤差補正部12は、測角値データ、振幅データ、位相データ、所定整数値、及び、補正後の測角値データが示す値を、それぞれ、θm、A、β、C、θとした場合に、θ=θm−A×sin(360×(θm−β)/C)の式に従って、測角値データを補正する。
これにより、記憶部11に記憶された振幅データ及び位相データを用いて、簡単な式に従った演算をすることにより、測角値データが補正される。
また、誤差補正部12は、さらに、ロータリーエンコーダ8について少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た測角値データが示す測角値と理想角度との誤差を算出し、算出した誤差を周波数分析することによって、1次成分を特定する振幅データ及び位相データを算出し、算出した振幅データ及び位相データを記憶部11に格納する。
これにより、補正のための振幅データ及び位相データが誤差補正部12によって算出されて記憶部11に格納されるので、ロータリーエンコーダ8を移動体に組み込んだ後の最終設置状態において、誤差補正部12によって振幅データ及び位相データを算出して記憶部11に格納することで、最終設置状態でロータリーエンコーダ8の偏芯を補正できるロータリーエンコーダ信号処理装置が実現される。
また、誤差補正部12は、振幅データ及び位相データの算出では、ロータリーエンコーダ8の少なくとも1回転において、少なくとも1/4回転に1回のサンプリングで得た測角値データが示す測角値と、サンプリングのタイミングにおける理想的な角度との誤差をフーリエ変換することによって振幅データ及び位相データを算出する。
これにより、少なくとも1/4回転に1回のサンプリングで得た測角値と理想的な角度との誤差をフーリエ変換することによって振幅データ及び位相データが算出されるので、ロータリーエンコーダ8を移動体に組み込んだ後の最終設置状態における偏芯の状態を的確に補正できる補正係数が算出される。
また、本実施の形態に係るロータリーエンコーダ信号処理方法は、ロータリーエンコーダ8から出力される測角値データを補正する方法であって、記憶部11から、ロータリーエンコーダ8について少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た測角値データが示す測角値と理想角度との誤差を周波数分析した場合に得られる1次成分を特定する振幅データ及び位相データを読み出す読み出しステップS40と、ロータリーエンコーダ8から出力される測角値データを取得し(S41)、取得した測角値データが示す測角値に対応する誤差を読み出しステップで読み出した振幅データ及び位相データを用いて算出し(S42)、算出した誤差で測角値データを補正する(S43)誤差補正ステップS41〜S43とを含む。
これにより、記憶部11には、ロータリーエンコーダ8について少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た測角値と理想角度との誤差を周波数分析した場合に得られる1次成分を特定する振幅データ及び位相データを記憶しておくだけなので、多数のサンプリングポイントにおける検出角度の誤差を記憶しておく必要がなくなり、大きな記憶容量が必要とされない。また、ロータリーエンコーダ8を移動体に組み込んだ後の最終設置状態での上記振幅データ及び位相データを記憶しておけばよいので、補正係数を得るために一定速度で移動体を回転させる必要がなくなり、最終設置状態でロータリーエンコーダ8の偏芯を補正できるロータリーエンコーダ信号処理方法が実現される。
また、読み出しステップS40に先立ち、ロータリーエンコーダ8について少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た測角値データが示す測角値と理想角度との誤差を算出し(S10)、算出した誤差を周波数分析することによって、1次成分を特定する振幅データ及び位相データを算出し(S11)、算出した振幅データ及び位相データを記憶部11に格納する(S12)補正係数作成ステップをさらに含む。
これにより、ロータリーエンコーダ8を移動体に組み込んだ後の最終設置状態が変更された場合には、再度、補正係数作成ステップを実行することで、記憶部11に記憶しておく振幅データ及び位相データを更新できるので、常に、現実の最終設置状態でロータリーエンコーダ8の偏芯を補正できるロータリーエンコーダ信号処理方法が実現される。
以上、本発明に係るロータリーエンコーダ信号処理装置10及びその信号処理方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、誤差補正部12は、補正機能と補正係数作成機能の2つの機能を有したが、必ずしも2つの機能を有している必要はなく、少なくとも補正機能を有していればよい。補正係数作成機能については、誤差補正部12とは異なる処理部(補正係数作成回路等)が行ってもよい。
また、本発明に係るロータリーエンコーダ信号処理装置及びその信号処理方法の対象となるロータリーエンコーダ8は、測角値データを出力するタイプのものであればよく、出力信号の方式としてインクリメンタル形、アブソリュート形のいずれであってもよいし、内蔵検出素子の種類として光学式、磁気式、レーザー式、静電容量式のいずれであってもよい。さらに、上述したように、本実施の形態に係るロータリーエンコーダ信号処理装置10が、ロータリーエンコーダに内蔵された検出素子の出力信号を受けて測角値データを生成する回路(測角値データ生成回路)を備えてもよい。
本発明に係るロータリーエンコーダ信号処理装置は、ロータリーエンコーダから出力される測角値データをオンラインで高精度で補正する装置として、例えば、工作機械の工具等の絶対位置を高精度で検出するサーボシステムに用いられる信号処理装置として、有用である。
8 ロータリーエンコーダ
10 ロータリーエンコーダ信号処理装置
11 記憶部
12 誤差補正部

Claims (6)

  1. ロータリーエンコーダから出力される測角値データを補正するロータリーエンコーダ信号処理装置であって、
    前記ロータリーエンコーダについて少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た前記測角値データが示す測角値と理想角度との誤差を周波数分析した場合に得られる1次成分を特定する振幅データ及び位相データを予め記憶している記憶部と、
    前記ロータリーエンコーダから出力される測角値データを取得し、取得した前記測角値データが示す測角値に対応する誤差を前記記憶部に記憶された前記振幅データ及び前記位相データを用いて算出し、算出した前記誤差で前記測角値データを補正する誤差補正部と
    を備えるロータリーエンコーダ信号処理装置。
  2. 前記測角値データ、前記振幅データ、及び、前記位相データは、360°を前記ロータリーエンコーダの分解能を示す所定整数値に対応させた場合における、それぞれに対応する角度を示す整数値であり、
    前記誤差補正部は、前記測角値データ、前記振幅データ、前記位相データ、前記所定整数値、及び、補正後の前記測角値データが示す値を、それぞれ、θm、A、β、C、θとした場合に、
    θ=θm−A×sin(360×(θm−β)/C)
    の式に従って、前記測角値データを補正する
    請求項1記載のロータリーエンコーダ信号処理装置。
  3. 前記誤差補正部は、さらに、前記ロータリーエンコーダについて少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た測角値データが示す測角値と理想角度との誤差を算出し、算出した前記誤差を周波数分析することによって、前記1次成分を特定する振幅データ及び位相データを算出し、算出した前記振幅データ及び前記位相データを前記記憶部に格納する
    請求項1又は2記載のロータリーエンコーダ信号処理装置。
  4. 前記誤差補正部は、前記振幅データ及び前記位相データの算出では、前記ロータリーエンコーダの少なくとも1回転において、少なくとも1/4回転に1回のサンプリングで得た測角値データが示す測角値と、前記サンプリングのタイミングにおける理想的な角度との誤差をフーリエ変換することによって前記振幅データ及び前記位相データを算出する
    請求項3記載のロータリーエンコーダ信号処理装置。
  5. ロータリーエンコーダから出力される測角値データを補正するロータリーエンコーダ信号処理方法であって、
    記憶部から、前記ロータリーエンコーダについて少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た前記測角値データが示す測角値と理想角度との誤差を周波数分析した場合に得られる1次成分を特定する振幅データ及び位相データを読み出す読み出しステップと、
    前記ロータリーエンコーダから出力される測角値データを取得し、取得した前記測角値データが示す測角値に対応する誤差を前記読み出しステップで読み出した前記振幅データ及び前記位相データを用いて算出し、算出した前記誤差で前記測角値データを補正する誤差補正ステップと
    を含むロータリーエンコーダ信号処理方法。
  6. 前記読み出しステップに先立ち、前記ロータリーエンコーダについて少なくとも1回転に複数回のサンプリングで得た測角値データが示す測角値と理想角度との誤差を算出し、算出した前記誤差を周波数分析することによって、前記1次成分を特定する振幅データ及び位相データを算出し、算出した前記振幅データ及び前記位相データを前記記憶部に格納する補正係数作成ステップをさらに含む
    請求項5記載のロータリーエンコーダ信号処理方法。
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