JP2009138649A - 内燃機関の燃料供給装置及び燃料供給装置の異常判定装置 - Google Patents

内燃機関の燃料供給装置及び燃料供給装置の異常判定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高圧ポンプに低圧燃料を供給する低圧燃料供給系の異常を精度よく判定することができる内燃機関の燃料供給装置及び燃料供給装置の異常判定装置を提供する。
【解決手段】低圧ポンプによって供給される燃料を高圧ポンプで加圧して内燃機関の燃料噴射部が接続されたコモンレールに圧送し、燃料噴射部から内燃機関に燃料を供給する内燃機関の燃料供給装置において、低圧ポンプと高圧ポンプの加圧室とを接続する低圧燃料通路に接続され、前後の差圧が所定値を越えるときに低圧燃料通路内の燃料の一部を燃料タンクに連通する燃料還流路に放出するための圧力調整弁と、圧力調整弁よりも上流側の低圧燃料通路内の圧力を検知するための入口側圧力検知手段と、燃料還流路内の圧力を検知するための出口側圧力検知手段と、入口側圧力検知手段及び出口側圧力検知手段で検知される圧力の差が閾値未満のときに異常を判定する異常判定部と、を備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関の燃料供給装置及び燃料供給装置の異常判定装置に関し、特に、高圧ポンプに至る燃料供給系内での異常を判定するための内燃機関の燃料供給装置及び燃料供給装置の異常判定装置に関するものである。
従来、ディーゼルエンジンをはじめとする内燃機関に燃料を供給する装置として、複数の燃料噴射弁が接続されるとともに高圧の燃料が蓄圧されるコモンレールを備え、常時高圧化された燃料を各燃料噴射弁に供給することによって、燃料の緻密な噴射制御を可能にした蓄圧式燃料供給装置(コモンレールシステム)が使用されている。
このような蓄圧式燃料供給装置の構成の一例を示すシステム図を図13に示す。この蓄圧式燃料供給装置110は、燃料タンク1と、低圧ポンプ2と、高圧ポンプ5と、コモンレール10と、燃料噴射弁13とを備えている。そして、燃料タンク1内の燃料を低圧ポンプ2によって汲み上げるとともに高圧ポンプ5に送り、高圧ポンプ5の加圧室5aで高圧化してコモンレール10に圧送することにより、各燃料噴射弁13に高圧の燃料が供給された状態で、燃料噴射弁13の通電制御によって、内燃機関への燃料噴射制御が行われるようになっている。また、図13に示す蓄圧式燃料供給装置110では、低圧ポンプ2及び高圧ポンプ5は、それぞれ別体のポンプとして備えられているものであるが、ポンプユニットとして一体の構造となっているものもある。
この蓄圧式燃料供給装置110は、要求されるレール圧力及び燃料噴射量に応じてコモンレール10に送られる高圧燃料の流量を調節したり、コモンレール内の高圧燃料の一部を排出したりするようになっている。このうち、コモンレール10に送られる燃料流量の調整は低圧ポンプ2と高圧ポンプ5の加圧室5aとの間の燃料通路18cに備えられた流量制御弁8によって行われている。また、この流量制御弁8に至る燃料通路18cの途中には、流量制御弁8によって燃料流量が精度よく調整されるように、圧力調整弁14が備えられている。そして、流量制御弁8に供給される低圧燃料の圧力が所定値を越えるときには、圧力調整弁14を介して低圧燃料の一部が燃料タンク1に戻され、流量制御弁8に送られる低圧燃料の圧力が所定値を越えないように維持されている。
このように、高圧ポンプ5の加圧室5aに送られる低圧燃料の圧力は、低圧ポンプ2によって圧送される燃料の流量が十分な状態においては、圧力調整弁14によって所定値未満となるようにされている。しかしながら、低圧ポンプ2によって圧送される燃料の流量が不足している状態においては、高圧ポンプ5への燃料の供給量が不足し、圧力調整弁14が適切に作動しないため、高圧ポンプ5内の圧力変動が引き起こされる。したがって、圧力脈動に起因したキャビテーションによる磨耗や、圧力低下に起因した燃料潤滑部分の潤滑不良が発生し、高圧ポンプ5が損傷するおそれがある。また、高圧ポンプ5が損傷すると、高圧ポンプ5より下流側のコモンレール10や燃料噴射弁13に異物が流れ込み、蓄圧式燃料供給装置110を構成する多くの部品を交換しなければならなくなる。
このような高圧ポンプ5への燃料供給量不足は、燃料の温度の影響や燃料流路18a、18bに配置されているフィルタ3、4の詰まり、燃料通路18a、18bからの燃料漏れ、燃料不足などによって引き起こされる。特に、低圧ポンプ2として電磁ポンプを使用している場合には、電磁ポンプの劣化や故障、オルタネータからの電圧不足などによっても燃料供給量不足が生じるおそれがある。
このような、燃料供給ポンプの低圧異常による故障等を回避するための蓄圧式燃料供給装置が開示されている。より具体的には、図14に示すように、フィードポンプ(低圧ポンプ)及び高圧ポンプを備えた燃料供給ポンプ405の入口側に入口圧センサ415を備え、入口圧センサ415によって検出される燃料供給ポンプ405の入口圧が所定の高圧側閾値より高く、その積算時間が所定の積算時間(閾値)を超えた際に高圧異常を判定するとともに、入口圧センサ415によって検出される燃料供給ポンプ405の入口圧が所定の低圧側閾値より低く、その積算時間が所定の積算時間(閾値)を超えた際に低圧異常を判定する蓄圧式燃料供給装置が提案されている(特許文献1参照)。
特開2005−233125号 (全文、全図)
しかしながら、特許文献1に記載された蓄圧式燃料供給装置は、低圧ポンプ及び高圧ポンプを備えた燃料供給ポンプの入口圧、すなわち、低圧ポンプよりも上流側の圧力を検出する構成であり、低圧ポンプに異常がある場合には発見できないものとなっている。
また、上述したような従来の蓄圧式燃料供給装置では、圧力調整弁を介して燃料タンクに戻される燃料が通過する燃料還流路内の圧力(以下、「出口圧」と称する。)は、内燃機関の運転モードによって変化するようになっている。そのため、燃料供給ポンプに備えられる圧力調整弁として、圧力値が閾値を超えたか否かによって開閉される弁ではなく、前後の差圧によって開閉される構成の圧力調整弁が用いられている。この圧力調整弁は、燃料供給ポンプの出口圧が低くなっている場合には、高圧ポンプに送られる燃料の圧力が相対的に低い状態で開かれる一方、出口圧が高くなっている場合には、高圧ポンプに送られる燃料の圧力が相対的に高い状態で開かれ、開弁圧が一定の値に設定されていないものである。
このような圧力調整弁を備えた蓄圧式燃料供給装置の場合に、特許文献1に記載されたような、入口圧センサのみを利用した低圧異常の判定を行ったとしても、出口圧が考慮されないために、異常ではないにもかかわらず異常と判定されるおそれがある。すなわち、このような蓄圧式燃料供給装置では、低圧異常を判定するための要素となる低圧側閾値を一義的に規定しておくことはできないため、低圧異常の判定精度が低くなってしまうという問題があった。
そこで、本発明の発明者らは鋭意努力し、前後差圧によって開閉される圧力調整弁を備えた蓄圧式燃料供給装置において、高圧ポンプの入口圧及び出口圧をもとに、高圧ポンプに燃料を供給する低圧燃料供給系の低圧異常を判定することによって、このような問題を解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。すなわち、本発明は、高圧ポンプに低圧燃料を供給する低圧燃料供給系の異常を精度よく判定することができる内燃機関の燃料供給装置及び燃料供給装置の異常判定装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、低圧ポンプによって燃料タンク内の燃料を高圧ポンプへ送り、高圧ポンプで燃料を高圧化して内燃機関の燃料噴射部が接続されたコモンレールに圧送し、燃料噴射部から内燃機関に燃料を供給する内燃機関の燃料供給装置であって、低圧ポンプと高圧ポンプの加圧室とを接続する低圧燃料通路に接続され、前後の差圧が所定値を越えるときに低圧燃料通路内の燃料の一部を燃料タンクに連通する燃料還流路に放出するための圧力調整弁と、圧力調整弁よりも上流側の低圧燃料通路内の圧力を検知するための入口側圧力検知手段と、燃料還流路内の圧力を検知するための出口側圧力検知手段と、入口側圧力検知手段及び出口側圧力検知手段で検知される圧力の差を所定の閾値と比較して異常を判定する異常判定部と、を備えることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置が提供され、上述した問題を解決することができる。
また、本発明の内燃機関の燃料供給装置を構成するにあたり、異常判定部が、圧力の差が閾値未満の状態が所定時間以上継続する場合に異常を判定することが好ましい。
また、本発明の内燃機関の燃料供給装置を構成するにあたり、異常判定部が、圧力の差が所定時間内に繰返し閾値未満となるように振動したときに異常を判定することが好ましい。
また、本発明の内燃機関の燃料供給装置を構成するにあたり、燃料供給装置は、高圧ポンプの潤滑油として燃料が使用されることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の燃料供給装置を構成するにあたり、入口側圧力検知手段及び出口側圧力検知手段がそれぞれ高圧ポンプに備えられた入口側圧力センサ及び出口側圧力センサであることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の燃料供給装置を構成するにあたり、低圧ポンプが電磁ポンプであることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の燃料供給装置を構成するにあたり、異常が判定されたときに運転者に対して警告を行う警告手段を備えることが好ましい。
また、本発明の別の態様は、低圧ポンプによって燃料タンク内の燃料を高圧ポンプへ送り、高圧ポンプで燃料を高圧化して内燃機関の燃料噴射部が接続されたコモンレールに圧送し、燃料噴射部から内燃機関に燃料を供給する燃料供給装置であって、低圧ポンプと高圧ポンプの加圧室とを接続する低圧燃料通路に接続され、前後の差圧が所定値を越えるときに低圧燃料通路内の燃料の一部を燃料タンクに連通する燃料還流路に放出するための圧力調整弁を備えた燃料供給装置の異常を判定するための異常判定装置であって、圧力調整弁よりも上流側の低圧燃料通路内の圧力を検出する入口側圧力検出部と、燃料還流路内の圧力を検知する出口側圧力検出部と、入口側圧力及び出口側圧力の差が閾値未満のときに異常を判定する異常判定部と、を備えることを特徴とする燃料供給装置の異常判定装置である。
本発明の内燃機関の蓄圧式燃料供給装置によれば、高圧ポンプの入口圧及び出口圧の差をもとに燃料供給装置の異常を判定する異常判定部を備えることにより、高圧ポンプの出口圧が内燃機関の運転状態に応じて変動する場合であっても、高圧ポンプに低圧燃料を供給する低圧燃料供給系の圧力の低圧異常が検知され、燃料供給装置の異常を精度よく判定することができる。したがって、キャビテーションや潤滑不良に起因した高圧ポンプの損傷を未然に防ぎ、燃料供給装置全体に不具合が発生することを防止することができる。
また、本発明の内燃機関の燃料供給装置において、高圧ポンプの入口圧とともに入口側温度を検出し、検出される温度に応じて異常判定の基準となる閾値を変えることにより、燃料温度による必要流量の変動を考慮して、異常判定を精度よく行うことができる。
また、本発明の内燃機関の燃料供給装置において、高圧ポンプの入口圧及び出口圧の差が閾値未満の状態が所定時間継続したときに異常を判定することにより、低圧異常の判定結果の信頼性が高められ、異常判定の精度をより向上させることができる。
また、本発明の内燃機関の燃料供給装置において、高圧ポンプの入口圧及び出口圧の差が振動し、繰返し閾値未満となるときに異常を判定することにより、圧力変動の異常の判定結果の信頼性が高められ、異常判定の精度をより向上させることができる。
また、本発明の内燃機関の燃料供給装置において、燃料潤滑式の高圧ポンプを備えた燃料供給装置に適用することにより、燃料流量の低下による焼き付き等を未然に防ぐことができる。
また、本発明の内燃機関の燃料供給装置において、入口圧及び出口圧を測定する圧力センサを高圧ポンプに備えることにより、入口圧及び出口圧が精度よく検知され、異常判定の精度を向上させることができる。
また、本発明の内燃機関の燃料供給装置において、低圧ポンプとして電磁ポンプを備えた燃料供給装置に適用することにより、ギヤポンプにはない電磁ポンプ特有の劣化や故障、電圧不足等が発生したときにも異常を判定することができる。
また、本発明の内燃機関の燃料供給装置において、異常判定時の警告手段を備えることにより、運転者等に迅速に異常を知らせ、速やかにシステムの修理補修を行うように促すことができ、燃料供給装置全体に不具合が発生することを防ぐことができる。
また、本発明の燃料供給装置の異常判定装置によれば、高圧ポンプの入口圧及び出口圧の差をもとに燃料供給装置の異常を判定する異常判定部を備えることにより、高圧ポンプの出口圧が内燃機関の運転状態に応じて変動する場合であっても、高圧ポンプに低圧燃料を供給する低圧燃料供給系の圧力の低圧異常が検知され、燃料供給装置の異常を精度よく判定することができる。したがって、キャビテーションや潤滑不良に起因した高圧ポンプの損傷を未然に防ぎ、燃料供給装置全体に不具合が発生することを防止することができる。
以下、図面を参照して、本発明の内燃機関の燃料供給装置及び燃料供給装置の異常判定装置に関する実施の形態について具体的に説明する。ただし、かかる実施の形態は本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。
なお、それぞれの図中、同じ符号を付してあるものは同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。
1.内燃機関の燃料供給装置の全体構成
図1は、燃料供給装置の異常判定装置を備えた本実施形態の内燃機関の燃料供給装置100の概略構成を示しており、上述した図13と同じ部位については、同じ符号が付されている。
この図1に示す燃料供給装置100は、ディーゼルエンジンの燃料供給装置100であって、燃料タンク1と、電磁低圧ポンプ2と、高圧ポンプ5と、コモンレール10と、燃料噴射弁13等を主要な構成要素として備えている。それぞれの構成要素は、燃料通路で接続されており、図1では、高圧燃料通路37が太線で示され、低圧燃料通路18a〜18cが細線で示され、燃料還流路30a〜30cが破線で示されている。
電磁低圧ポンプ2は、燃料が貯蔵された燃料タンク1に備えられ、低圧燃料通路18a〜18cを介して高圧ポンプ5の加圧室5aに対して低圧燃料を供給するようになっている。この電磁低圧ポンプ2は、バッテリーから供給される電流によって駆動され所定の流量の低圧燃料が圧送されるように構成されている。また、電磁低圧ポンプ2の燃料吸い込み口にはプレフィルタ3を介在させてあり、燃料タンク1内の燃料に異物が混入している場合に、それらの異物が吸い込まれないように捕集されるようになっている。さらに、燃料タンク1と高圧ポンプ5とを接続する低圧燃料通路18a、18bの途中にはメインフィルタ4が備えられており、このメインフィルタ4によっても燃料中の異物が捕集され、高圧ポンプ5に流入しないようになっている。
高圧ポンプ5は、電磁低圧ポンプ2によって圧送され、燃料吸入弁6を介して加圧室5aに導入された低圧燃料をプランジャ7によって加圧し、燃料吐出弁9及び高圧燃料通路37を介してコモンレール10に圧送するようになっている。本実施形態の燃料供給装置100の例では、低圧燃料通路18a、18bを介して高圧ポンプ5内に送られる低圧燃料は、一旦カム室16内に流れ込み、そこからさらに低圧燃料通路18cを介して加圧室5aに送られるように構成されている。
また、カム室16と加圧室5aとを接続する低圧燃料通路18cの途中には流量制御弁8が備えられ、要求されるコモンレール圧及燃料噴射量に応じて低圧燃料の供給量を調節して、加圧室5aに送るようになっている。この流量制御弁8は、例えば電磁比例式の流量制御弁とすることができる。
また、流量制御弁8よりも上流側には、低圧燃料流路18cから分岐して接続され、流量制御弁8と並列的に配置された圧力調整弁14が備えられており、圧力調整弁14はさらに燃料タンク1に通じる燃料還流路30aに接続されている。この圧力調整弁14は、前後の差圧、すなわち、低圧燃料通路18a〜18cやカム室16内の圧力と、圧力調整弁14よりも燃料タンク1側の燃料還流路30a内の圧力との差が所定値を越えたときに開弁されるオーバーフローバルブが用いられている。したがって、電磁低圧ポンプ2によって低圧燃料が圧送されている状態においては、低圧燃料流路18a〜18c及びカム室16内の圧力が、燃料還流路30a内の圧力に対して所定の差圧分大きくなるように維持されるようになる。
ここで、本実施形態の燃料供給装置100の例では、カム室16内に流れ込んだ低圧燃料の一部は、高圧ポンプ5内の各部に浸透して潤滑油としても用いられるようになっている。特に、高圧ポンプ5を駆動するカム15が固定されたカムシャフト(図示せず。)はポンプハウジング内に備えられたベアリング(図示せず。)によって支持されており、カム室16内の低圧燃料の一部が、カムシャフトとベアリングとの間のクリアランス17a、17bに浸透して潤滑性が確保されるようになっている。このクリアランス17a、17bは燃料還流路30aにも通じており、カム室16内の圧力と燃料還流路30a内の圧力との差が所定の大きさに維持されることによって低圧燃料の一部がクリアランス17a、17bを通過して燃料還流路30aに戻され、潤滑油として機能するようになっている。
図2は、高圧ポンプ5の具体的な構成の一例を示している。この高圧ポンプ5は、ポンプハウジング51と、ポンプハウジング51の円柱空間51a内に装着されたシリンダヘッド52と、シリンダヘッド52のシリンダ52aに摺動保持されたプランジャ7と、両端をシリンダヘッド52及びスプリングシート59に係止され、プランジャ7を下方側に付勢するためのスプリング55と、プランジャ7及びカム15の間に介在し、カム15の回転に伴いプランジャ7を芯出ししつつ押し上げるためのタペット構造体58とを備えている。また、シリンダヘッド52のシリンダ52aの上方開口部には燃料吸入弁6が配置されるとともに、シリンダ52aの軸方向に対して横方向には燃料吐出路52bを介して燃料吐出弁9が配置されている。
なお、図2においては、高圧ポンプ5に備えられた流量制御弁8及び圧力調整弁14は図示されていない。
この高圧ポンプ5において、シリンダヘッド52のシリンダ52aの一部は、シリンダヘッド52の内周面とプランジャ7と燃料吐出弁6と燃料吐出弁9とによって閉塞され、加圧室5aとして構成されている。そして、燃料吸入弁6を介して加圧室5aに流入した燃料は、当該加圧室5a内で、カム15の回転運動に伴って押し上げられるプランジャ7によって加圧され、燃料吐出弁9が押し開かれることにより、高圧化された燃料が下流側のコモンレール(図示せず)に圧送されるようになっている。
この高圧ポンプ5では、上述したように、電磁低圧ポンプ(図1を参照)によって圧送される低圧燃料はカム室16内に流入した後、その一部がカムシャフト11と当該カムシャフト11を支持するベアリング19a、19bとの間のクリアランス17a、17bに浸透し、潤滑油として機能するようになっている。また、カム室16内の低圧燃料の一部は、さらにカム室16と円柱空間51aとを行き来するようになっており、タペット構造体58のローラ54とカム15との当接部や、円柱空間51aの内周面とタペット構造体58の外周面との摺動部、上述したプランジャ7の摺動部等に行き渡り、潤滑油として機能するようにもなっている。この低圧燃料を用いた燃料潤滑においては、高圧ポンプ5に送られる低圧燃料の流量が確保される限り、圧力調整弁によってカム室16内の燃料圧力が所定圧以上に維持される。その結果、燃料が各摺動部等に行き渡り燃料潤滑が正常に機能するようになっている。
また、この高圧ポンプ5では、プランジャ7の往復動による焼付きを防止するために、シリンダヘッド52のシリンダ52aの内周面とプランジャ7の外周面との摺動部に加圧室5a内の燃料の一部がリークし、潤滑油として機能するようにもなっている。
また、図1に示すコモンレール10は、高圧ポンプ5から圧送されてくる高圧燃料を蓄積し、高圧燃料通路39を介して接続された複数の燃料噴射弁13に対して高圧燃料を供給するようになっている。このコモンレール10にはレール圧センサ(図示せず)及び圧力制御弁12が取り付けられている。圧力制御弁12は、例えば電磁比例制御弁であり、レール圧センサで検出される値が制御装置(以下、「ECU」と称する場合がある。)に送られ、この値をもとにコモンレール10に備えられた圧力制御弁12だけでなく、高圧ポンプ5に備えられた流量制御弁8が制御される。そして、高圧ポンプ5から圧送されてきた燃料の一部が圧力制御弁12によって燃料還流路30bに排出されることにより、コモンレール10内の圧力が所望の値に調節されるようになっている。
また、コモンレール10に接続された燃料噴射部としての燃料噴射弁13では、コモンレール10から供給される高圧燃料の噴射制御が行われ、内燃機関の気筒内に燃料が供給されるようになっている。燃料噴射弁13の形態は特に制限されるものでは無いが、例えば、公知の電磁制御式の燃料噴射弁やピエゾ式の燃料噴射弁を用いることができる。この図1の例では電磁制御式の燃料噴射弁13が用いられており、燃料噴射弁13の背圧制御に用いられ、排出された燃料は燃料還流路30cを介して燃料タンク1に戻されるようになっている。
また、本実施形態の燃料供給装置100では、電磁低圧ポンプ2と高圧ポンプ5とを接続する低圧燃料通路18bに入口側圧力センサ21が備えられている。また、高圧ポンプ5に備えられた圧力調整弁14と燃料タンク1とを接続する燃料還流路30aには、出口側圧力センサ23が備えられている。
これらの入口側圧力センサ21及び出口側圧力センサ23によって、それぞれ低圧燃料通路18b内の圧力(以下、「入口圧」と称する。)、及び燃料還流路30a内の圧力(以下、「出口圧」と称する。)が検出されるようになっており、検出される圧力値を示す信号がECUに送られ、燃料供給装置100の異常判定に用いられるようになっている。
この入口側圧力センサ21及び出口側圧力センサ23は、高圧ポンプ5のハウジング等に取り付けて、ハウジング等に形成された燃料通路内の圧力値を検出するようにしてもよく、あるいは、高圧ポンプ5に接続された燃料配管に取り付けて燃料配管内の圧力値を検出するようにしてもよい。ただし、差圧によって開閉される圧力調整弁14の前後の圧力値をできる限り誤差のないように検出するためには、入口側圧力センサ21及び出口側圧力センサ23を圧力調整弁14に近い位置に配置することが好ましい。例えば、入口圧については、低圧燃料通路18bではなくカム室16や低圧燃料通路18c内の圧力を入口圧として検出するようにしてもよい。
さらには、入口側圧力センサ21及び出口側圧力センサ23の代わりに、低圧燃料通路18a〜18c又はカム室16と燃料還流路30aとに連通させて、入口圧及び出口圧の差を直接的に検出する差圧センサを備えるように構成することもできる。
2.異常判定装置(制御装置:ECU)
図3は、上述した本実施形態の燃料供給装置100の制御を行うECU40のうち、高圧ポンプ5の加圧室5aに低圧燃料の供給を行う低圧燃料供給系の異常判定に関する部分について、機能的なブロックに表された構成例が示されている。
本実施形態にかかるECU40は、入口圧Pi及び出口圧Poの差を算出する差圧演算部と、算出された差圧をもとにして低圧燃料供給系の異常判定を行う異常判定部と、異常と判定されたときに警告手段を作動させるための警告手段作動部等を主要な要素として構成されている。これらは、具体的にはマイクロコンピュータ(図示せず)によるプログラムの実行によって実現されるものである。
このうち、差圧演算部では、入口側圧力センサ21で検出される入口圧Piの信号及び出口側圧力センサ23で検出される出口圧Poの信号を受け取り、入口圧Piの値から出口圧Poの値を減算することによって差圧ΔPを算出し、異常判定部に伝達するようになっている。また、異常判定部では、差圧演算部から伝達されてくる差圧ΔPを所定の閾値と比較することによって、燃料供給装置の低圧燃料供給系の異常判定が行われる。具体的な異常判定方法については後述する。
また、警告手段作動部では、異常判定部によって燃料供給装置の低圧燃料供給系に異常が発生していると判定されたときに、警告ランプや報知器等の警告手段を作動させる信号を発信するようになっている。
3.異常判定方法
次に、図3に示すECU40によって行われる、入口圧Pi及び出口圧Poを利用した異常判定方法の一例について、図4〜図7、図11〜図12のフロー及び図8〜図10のタイムチャートに基づいて説明する。
まず、図4に示すように、ステップS1において入口側圧力センサ及び出口側圧力センサによって入口圧Pi及び出口圧Poが検出された後、ステップS2において入口圧Piの値から出口圧Poの値が減算され、差圧ΔPが算出される。
次いで、ステップS3において、差圧ΔPが所定の閾値ΔP0未満となっているか否かが判別される。差圧ΔPが閾値ΔP0以上となっていればステップS3でNOと判別され、スタート位置に戻される。この場合には、高圧ポンプの低圧燃料供給系の異常がないものと判定される。
一方、差圧ΔPが閾値ΔP0未満となっているときにはステップS3でYESと判別される。この場合には、出口圧Poと入口圧Piとの差が閾値ΔP0以上となるだけの燃料流量が確保されておらず、高圧ポンプへの燃料供給量が不足しているものと考えられるため、高圧ポンプへの低圧燃料供給系の異常が発生していると判定される。本実施形態の例では、低圧燃料供給系の異常が発生しているときにはステップS4に進み、運転者に対して異常の発生を知らせる警告信号を発生して、異常判定を終了する。
異常判定時に警告信号を発することにより、運転者等に対して、速やかにメンテナンス作業を受けるように促し、低圧燃料供給系の異常によって発生する異物等に起因して燃料供給装置全体にダメージが及ぶことを未然に防ぐことができるようになる。
上述のステップS3において、差圧ΔPを所定の閾値ΔP0と比較して低圧燃料供給系の異常判定を行う方法としては種々のやり方が考えられるが、以下、代表的な例について具体的に説明する。
(1)異常判定方法の具体例1
図5は、差圧ΔPを所定の閾値ΔP0aと比較して低圧燃料供給系の異常判定を行う第1の異常判定方法の例のフローを示しており、図8は、第1の異常判定方法のタイムチャートを示している。図5のフローは、図4のステップS3の部分に置き換えられるものである。
まず、ステップS11において、差圧ΔPが所定の閾値ΔP0a未満となるまで繰返し判別が行われる(図8のt0の期間)。差圧ΔPが閾値ΔP0a未満となった時点(図8のt1)で、ステップS12に進んで第1のタイマのカウントを開始する。
次いで、ステップS13に進み、引き続き差圧ΔPが所定の閾値ΔP0a未満となっているか否かが判別される(図8のt2の期間)。第1のタイマがタイマ値T1を経過する前に、差圧ΔPが閾値ΔP0a以上となったときにはステップS13においてNOと判別され、低圧燃料供給系の異常がないものと判定される(図8中の一点鎖線のt3の時点)。
一方、差圧ΔPが引き続き閾値ΔP0a未満となっている場合にはステップS13においてYESと判別されてステップS14に進み、第1のタイマがタイマ値T1を経過したか否かが判別される。すなわち、ステップS13〜ステップS14では、第1のタイマがタイマ値T1を経過するまでの間、差圧ΔPの値が継続して閾値ΔP0a未満の状態となっているか否かの判別が行われる。そして、第1のタイマがタイマ値T1を経過した場合にはステップS14でYESと判別されるが、この場合には、所定時間以上継続して高圧ポンプへ供給される低圧燃料の流量が不足していることになるため、高圧ポンプへの低圧燃料供給系の異常が発生しているものと判定される(図8中の実線のt4の時点)。
一方、第1のタイマがタイマ値T1を経過していない場合にはステップS14でNOと判別され、再びステップS13に戻されて、差圧ΔPが所定の閾値ΔP0a以上となるか、第1のタイマがタイマ値T1を経過するまでの間、ステップS13〜ステップS14が繰り返される。
この図5及び図8に示す第1の異常判定方法の例では、所定の差圧ΔPが閾値ΔP0a未満となった状態が所定時間T1継続するか否かを判別することにより、瞬間的に差圧ΔPが閾値ΔP0aを下回った場合すべてにおいて、高圧ポンプへの低圧燃料供給系の異常が発生していると判定されないようにして、異常判定結果の精度の向上が図られている。
(2)異常判定方法の具体例2
図6は、差圧ΔPを所定の閾値ΔP0bと比較して低圧燃料供給系の異常判定を行う第2の異常判定方法の例のフローを示しており、図9は、第2の異常判定方法のタイムチャートを示している。図6のフローは、図4のステップS3の部分に置き換えられるものである。
まず、ステップS21において、差圧ΔPが所定の閾値ΔP0b未満となるまで繰返し判別が行われる(図9のt0の期間)。差圧ΔPが閾値ΔP0b未満となった時点(図9のt1)で、ステップS22に進み第2のタイマのカウントを開始した後、ステップS23に進み、差圧ΔPが閾値ΔP0b未満となった回数をカウントするためのカウンタの値を1進める。
次いで、ステップS24に進み、差圧ΔPが再び所定の閾値ΔP0b以上となったか否かが判別される。差圧ΔPが閾値ΔP0b未満である場合にはNOと判別されてステップS28に進み、第2のタイマがタイマ値T2を経過したか否かが判別されるが、タイマ値T2を経過しない限りステップS24に戻されて、差圧ΔPが閾値ΔP0b以上となったか否かの判別が繰返し行われる(図9のt2の期間)。
一方、差圧ΔPが閾値ΔP0b以上となったとき(図9のt3の時点)にはステップS24でYESと判別されてステップS25に進み、差圧ΔPが再び所定の閾値ΔP0b未満となったか否かが判別される。差圧ΔPが閾値ΔP0b以上である場合にはNOと判別されてステップS29に進み、第2のタイマがタイマ値T2を経過したか否かが判別されるが、タイマ値T2を経過しない限りステップS25に戻されて、差圧ΔPが閾値ΔP0b未満となったか否かの判別が繰返し行われる(図9のt4の期間)。
そして、差圧ΔPが閾値ΔP0b未満となったとき(図9のt5の時点)にはステップS25でYESと判別されてステップS26に進み、カウンタの値が1進められる。すなわち、このステップS24〜ステップS26では、第2のタイマがタイマ値T2を経過するまでの間に、差圧ΔPの値が閾値ΔP0bを下回った回数がカウントされるようになっている。
ステップS26でカウンタの値を進めた後には、ステップS27において、この時点でのカウンタ値が所定の基準値N1に到達したか否かが判別される。このステップS27では、第2のタイマがタイマ値T2を経過するまでの間に、差圧ΔPが閾値ΔP0bを繰返し下回るような異常振動が生じているか否かが判別されるようになっている。このような異常振動が生じている場合においても、高圧ポンプへの低圧燃料供給系の異常が発生しているおそれがあると考えられるためである。カウンタ値が基準値N1に到達していない場合には、再びステップS24に戻されて、これまでのステップが繰り返し行われる(図9のt6の期間)。一方、カウンタ値が基準値N1に到達した場合にはステップS27においてYESと判別されて、高圧ポンプへの低圧燃料供給系の異常が発生しているものと判定される(図9のt7の時点)。
なお、第2の異常判定方法における閾値ΔP0bの値は、低圧燃料供給系が正常な状態において正常な範囲内での圧力脈動によって異常と判定されることがないように、第1の異常判定方法のステップS13の判別に使用される閾値ΔP0aの値よりも小さい値に設定されている。
一方、上述のステップS28において差圧ΔPが再び閾値ΔP0b以上になる前に第2のタイマがタイマ値T2を経過した場合や、ステップS29において差圧ΔPが再び閾値ΔP0b未満になる前に第2のタイマがタイマ値T2を経過した場合には、差圧ΔPの異常振動が見られない結果となる(図9の一点鎖線のt8の時点)。この場合には、差圧ΔPの異常振動の有無によって、高圧ポンプへの低圧燃料供給系の異常を判定する第2の異常判定方法の判定結果としては、低圧燃料供給系の異常有りとは判定されないことになるため、ステップS30に進みカウンタ値をリセットした上で、図4中のスタート位置に戻される。
この図6及び図9に示す第2の異常判定方法の例によれば、第1の異常判定方法のように、差圧ΔPが閾値ΔP0a未満の状態が所定時間以上継続した場合に低圧燃料供給系の異常を判定する方法では検知できない差圧ΔPの異常振動の発生による低圧燃料供給系の異常を判定することができる。
(3)異常判定方法の具体例3
図7は、差圧ΔPを所定の第1の閾値ΔP0c及び第2の閾値ΔP0dと比較して低圧燃料供給系の異常判定を行う第3の異常判定方法の例のフローを示しており、図10は、第3の異常判定方法のタイムチャートを示している。この図7のフローについても、図4のステップS3の部分に置き換えられるものである。
まず、ステップS31において、差圧ΔPが所定の第1の閾値ΔP0c未満となるまで繰返し判別が行われる(図10のt0の期間)。差圧ΔPが第1の閾値ΔP0c未満となった時点(図10のt1)で、ステップS32に進み第3のタイマのカウントを開始した後、ステップS33に進む。
ステップS33では、差圧ΔPが第2の閾値ΔP0d未満となったか否かが判別される。差圧ΔPが第2の閾値ΔP0d以上である場合にはNOと判別されてステップS38に進み、第3のタイマがタイマ値T3を経過したか否かが判別されるが、タイマ値T3を経過しない限りステップS33に戻されて、差圧ΔPが第2の閾値ΔP0d未満となったか否かの判別が繰返し行われる(図10のt2の期間)。一方、第3のタイマがタイマ値T3を経過した場合(図10のt7の時点)には、低圧燃料供給系の異常判定を行うステップS37に進む。
また、差圧ΔPが第2の閾値ΔP0d未満となったとき(図10のt3の時点)にはステップS33でYESと判別されてステップS34に進み、差圧ΔPが再び第1の閾値ΔP0c以上となったか否かが判別される。差圧ΔPが第1の閾値ΔP0c未満である場合にはNOと判別されてステップS39に進み、第3のタイマがタイマ値T3を経過したか否かが判別されるが、タイマ値T3を経過しない限りステップS34に戻されて、差圧ΔPが第1の閾値ΔP0c以上となったか否かの判別が繰返し行われる(図10のt4の期間)。一方、第3のタイマがタイマ値T3を経過した場合(図10のt7の時点)には、低圧燃料供給系の異常判定を行うステップS37に進む。
そして、差圧ΔPが第1の閾値ΔP0c以上となったとき(図10のt5の時点)にはステップS34でYESと判別されてステップS35に進み、カウンタの値が1進められる。このカウンタは、差圧ΔPの値が、第2の閾値ΔP0dを下回った後、第1の閾値ΔP0c以上となった回数をカウントするためのものである。すなわち、このステップS33〜ステップS35では、第3のタイマがタイマ値T3を経過するまでの間に、差圧ΔPの値が第2の閾値ΔP0dを下回った後、第1の閾値ΔP0c以上となった回数がカウントされるようになっている。
ステップS35でカウンタの値を進めた後には、ステップS36において、第3のタイマがタイマ値T3を経過したか否かが判別される。タイマ値T3を経過していない場合には、ステップS33に戻り、タイマ値T3を経過するまでこれまでのステップが繰り返される(図10のt6の期間)。
そして、ステップS36で第3のタイマがタイマ値T3を経過した場合(図10のt7の時点)や、上述のステップS38及びステップS39において第3のタイマがタイマ値T3を経過したと判別されて進んだステップS37では、この時点でのカウンタ値が所定の基準値N2以上となっているか否かが判別される。このステップS37では、第3のタイマがタイマ値T3を経過するまでの間に、差圧ΔPの値が第2の閾値ΔP0dを下回った後、第1の閾値ΔP0cを上回った回数によって、差圧ΔP0の異常振動が生じているか否かが判別されるようになっている。カウンタ値が基準値N2以上である場合にはステップS37においてYESと判別されて、高圧ポンプへの低圧燃料供給系の異常が発生しているものと判定される(図10の実線のt7の時点)。
なお、第3の異常判定方法における第1の閾値ΔP0cの値は、低圧燃料供給系が正常な状態において正常な範囲内での圧力脈動によって異常と判定されることがないように、第1の異常判定方法のステップS13の判別に使用される閾値ΔP0aの値よりも小さい値に設定されている。
一方、上述のステップS37においてカウンタ値が基準値N2未満である場合には、差圧ΔPの異常振動が見られない結果となる(図10の一点鎖線のt7の時点)。この場合には、差圧ΔPの異常振動の有無によって、高圧ポンプへの低圧燃料供給系の異常を判定する第3の異常判定方法の判定結果としては、低圧燃料供給系の異常有りとは判定されないことになるため、ステップS40に進みカウンタ値をリセットした上で、図4中のスタート位置に戻される。
この図7及び図10に示す第3の異常判定方法の例についても、第1の異常判定方法のように、差圧ΔPが閾値ΔP0a未満の状態が所定時間以上継続した場合に低圧燃料供給系の異常を判定する方法では検知できない差圧ΔPの異常振動の発生による低圧燃料供給系の異常を判定することができるようになっている。
(4)異常判定方法の具体例4
ここまで、異常判定方法の具体例として第1〜第3の異常判定方法について説明したが、第1の異常判定方法では異常振動を検知することができず、また、第2及び第3の異常判定方法では異常振動ではない低圧異常を検知することができない。そのため、図4のフローにおける異常判定を行うステップS3においては、これまで説明した第1の異常判定方法と第2又は第3の異常判定方法とを平行して又は順次に行うようにすることが好ましい。
図11は、第1の異常判定方法と第2又は第3の異常判定方法を平行して行う場合のフローを示しており、例えば、マルチタスクが可能な構成のECUであれば実行することができる。
また、図12は、第1の異常判定方法を行い、差圧ΔPの異常が見られなかった場合には、引き続き第2又は第3の異常判定方法を行うようにした場合のフローを示している。図示しないが、第1の異常判定方法と第2又は第3の異常判定方法とを行う順序を逆にしても構わない。このように異常判定のステップS3を行うようにすれば、マルチタスクが可能な構成のECUを使用しない場合であっても、低圧異常及び異常振動の両方が検知され、高圧ポンプへの低圧燃料供給系の異常判定を精度よく行うことができる。
本発明の実施の形態にかかる内燃機関の燃料供給装置の構成例を示す図である。 高圧ポンプの構成の一例を説明するための図である。 異常判定を行う制御装置の構成例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る燃料供給装置の異常判定方法の基本的なフローを示す図である。 第1の異常判定方法を説明するためのフローである。 第2の異常判定方法を説明するためのフローである。 第3の異常判定方法を説明するためのフローである。 第1の異常判定方法を説明するためのタイムチャートである。 第2の異常判定方法を説明するためのタイムチャートである。 第3の異常判定方法を説明するためのタイムチャートである。 第1の異常判定方法と第2又は第3の異常判定方法とを平行して行う異常判定方法の例を説明するためのフローである。 第1の異常判定方法と第2又は第3の異常判定方法とを順次に異常判定方法の例を説明するためのフローである。 従来の高圧ポンプの構成を示す図である。 従来のコモンレール式燃料供給装置の構成を示す図である。
符号の説明
100:燃料供給装置、1:燃料タンク、2:低圧ポンプ2:電磁低圧ポンプ、3:プレフィルタ、4:フィルタ、5:高圧ポンプ、6:燃料吸入弁、7:プランジャ、8:流量制御弁、9:燃料吐出弁、10:コモンレール、11:カムシャフト、12:圧力制御弁、13:燃料噴射部(燃料噴射弁)、14:圧力調整弁、15:カム、16:カム室、17a・17b:クリアランス、18a・18b・18c:低圧燃料通路、19a・19b:ベアリング、30a・30b・30c:燃料還流路、37・39:高圧燃料通路、40:制御装置(ECU)、51:ポンプハウジング、51a:円柱空間、52:シリンダヘッド、52a:シリンダ、52b:燃料吐出路、54:ローラ、55:スプリング、58:タペット構造体、59:スプリングシート

Claims (8)

  1. 低圧ポンプによって燃料タンク内の燃料を高圧ポンプへ送り、前記高圧ポンプで前記燃料を高圧化して内燃機関の燃料噴射部が接続されたコモンレールに圧送し、前記燃料噴射部から前記内燃機関に前記燃料を供給する内燃機関の燃料供給装置において、
    前記低圧ポンプと前記高圧ポンプの加圧室とを接続する低圧燃料通路に接続され、前後の差圧が所定値を越えるときに前記低圧燃料通路内の前記燃料の一部を前記燃料タンクに連通する燃料還流路に放出するための圧力調整弁と、
    前記圧力調整弁よりも上流側の前記低圧燃料通路内の圧力を検知するための入口側圧力検知手段と、
    前記燃料還流路内の圧力を検知するための出口側圧力検知手段と、
    前記入口側圧力検知手段及び前記出口側圧力検知手段で検知される圧力の差を所定の閾値と比較して異常を判定する異常判定部と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  2. 前記異常判定部が、前記圧力の差が前記閾値未満の状態が所定時間以上継続する場合に異常を判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料供給装置。
  3. 前記異常判定部が、前記圧力の差が所定時間内に繰返し前記閾値未満となるように振動する場合に異常を判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料供給装置。
  4. 前記燃料供給装置は、前記高圧ポンプの潤滑油として前記燃料が使用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料供給装置。
  5. 前記入口側圧力検知手段及び前記出口側圧力検知手段がそれぞれ前記高圧ポンプに備えられた入口側圧力センサ及び出口側圧力センサであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料供給装置。
  6. 前記低圧ポンプが電磁ポンプであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料供給装置。
  7. 前記異常が判定されたときに運転者に対して警告を行う警告手段を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料供給装置。
  8. 低圧ポンプによって燃料タンク内の燃料を高圧ポンプへ送り、前記高圧ポンプで前記燃料を高圧化して内燃機関の燃料噴射部が接続されたコモンレールに圧送し、前記燃料噴射部から前記内燃機関に前記燃料を供給する燃料供給装置であって、前記低圧ポンプと前記高圧ポンプの加圧室とを接続する低圧燃料通路に接続され、前後の差圧が所定値を越えるときに前記低圧燃料通路内の前記燃料の一部を前記燃料タンクに連通する燃料還流路に放出するための圧力調整弁を備えた燃料供給装置の異常を判定するための異常判定装置において、
    前記圧力調整弁よりも上流側の前記低圧燃料通路内の圧力を検出する入口側圧力検出部と、
    前記燃料還流路内の圧力を検知する出口側圧力検出部と、
    入口側圧力及び出口側圧力の差が閾値未満のときに異常を判定する異常判定部と、
    を備えることを特徴とする燃料供給装置の異常判定装置。
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