JP2009138109A - 熱可塑性組成物成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶融混合装置1を用いて、熱可塑性樹脂802を溶融させながら植物性材料801と混合して熱可塑性樹脂組成物を得る溶融混合工程と、熱可塑性樹脂組成物803を加熱せず押し固めて熱可塑性樹脂組成物からなる第1ペレット804を得るペレット化工程と、第1ペレット804と熱可塑性樹脂組成物803を構成する熱可塑性樹脂と同質の熱可塑性樹脂からなる第2ペレット805とをドライブレンドしてペレット混合物806を得るペレット混合工程と、ペレット混合物806を射出成形して熱可塑性組成物成形体を得る射出成形工程と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、より優れた機械的特性を得ることができ、特に曲げ強度と曲げ弾性率との両方を向上させることができる熱可塑性組成物成形体の製造方法を提供することを目的とする。
(1)熱可塑性樹脂及び植物性材料を含み且つその合計を100質量%とした場合に該植物性材料が30〜85質量%である熱可塑性組成物成形体の製造方法であって、
溶融混合装置を用いて、熱可塑性樹脂を溶融させながら植物性材料と混合して熱可塑性樹脂組成物を得る溶融混合工程と、
上記熱可塑性樹脂組成物を加熱せず押し固めて、該熱可塑性樹脂組成物からなる第1ペレットを得るペレット化工程と、
上記第1ペレットと、上記熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂と同質の熱可塑性樹脂からなる第2ペレットと、をドライブレンドしてペレット混合物を得るペレット混合工程と、
上記ペレット混合物を射出成形して熱可塑性組成物成形体を得る射出成形工程と、を備えることを特徴とする熱可塑性組成物成形体の製造方法。
(2)上記第1ペレットに含有される植物性材料は、該第1ペレット全体に対して50質量%以上である上記(1)に記載の熱可塑性組成物成形体の製造方法。
(3)上記熱可塑性組成物成形体に含まれる熱可塑性樹脂全体の20〜95質量%の熱可塑性樹脂を、上記ペレット混合工程で第2ペレットにより配合する上記(1)又は(2)に記載の熱可塑性組成物成形体の製造方法。
(4)上記溶融混合装置は、上記溶融混合を行う混合室及び該混合室内に配置された混合羽根を備え、
上記溶融混合工程は、上記混合室内で上記混合羽根の回転により溶融された上記熱可塑性樹脂と上記植物性材料とが混合される工程である上記(1)乃至(3)のうちのいずれかに記載の熱可塑性組成物成形体の製造方法。
(5)上記ペレット化工程は、ダイスと該ダイスに接して回転されるローラーとを備えたローラー式成形機を用い、該ローラーにより上記熱可塑性樹脂組成物を該ダイス内に圧入した後、該ダイスから押し出して上記ペレットを形成する工程である上記(1)乃至(4)のうちのいずれかに記載の熱可塑性組成物成形体の製造方法。
(6)上記植物性材料はケナフである上記(1)乃至(5)のうちのいずれかに記載の熱可塑性組成物成形体の製造方法。
(7)上記熱可塑性樹脂はポリプロピレン又はポリ乳酸樹脂である上記(1)乃至(6)のうちのいずれかに記載の熱可塑性組成物成形体の製造方法。
熱可塑性組成物成形体に含まれる熱可塑性樹脂全体の20〜95質量%の熱可塑性樹脂をペレット混合工程で第2ペレットにより配合する場合は、更に効果的に曲げ強度と曲げ弾性率との両方を向上させることができると共に、射出成形圧力も更に効果的に低下させることができる。
熱可塑性樹脂がポリ乳酸樹脂である場合は、バイオマス材料であり環境負荷が小さい。即ち、生合成可能であり、また、非石油系樹脂である樹脂を用いることとなり、高い機械的強度等の実用的な特性を得ながら、石油資源の使用を抑制できる。また、熱可塑性樹脂がポリプロピレンである場合は、取扱いが容易であり、生産性を向上させることができる。また、高い柔軟性と優れた成形性が得られ、より自在な形状に成形できる。
[1]熱可塑性組成物成形体の製造方法
本発明の熱可塑性組成物成形体の製造方法は、植物性材料及び熱可塑性樹脂を含み且つその合計を100質量%とした場合に該植物性材料が30〜85質量%である熱可塑性組成物成形体の製造方法であって、
溶融混合装置を用いて、植物性材料と熱可塑性樹脂とを溶融混合して熱可塑性樹脂組成物を得る溶融混合工程と、
上記熱可塑性樹脂組成物を加熱せず押し固めて、該熱可塑性樹脂組成物からなる第1ペレットを得るペレット化工程と、
上記第1ペレットと、上記熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂と同質の熱可塑性樹脂からなる第2ペレットと、をドライブレンドしてペレット混合物を得るペレット混合工程と、
上記ペレット混合物を射出成形して熱可塑性組成物成形体を得る射出成形工程と、を備えることを特徴とする。
即ち、本発明の熱可塑性組成物成形体の製造方法は、「溶融混合工程」と「ペレット化工程」と「ペレット混合工程」と「射出成形工程」と、を備える。
上記「溶融混合工程」は、溶融混合装置を用いて、植物性材料と熱可塑性樹脂とを溶融混合して熱可塑性樹脂組成物を得る工程である。
上記「植物性材料」は、植物に由来する材料である。この植物性材料としては、ケナフ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)、広葉樹及び綿花などの各種植物体から得られた植物性材料が挙げられる。この植物性材料は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかではケナフが好ましい。ケナフは成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有するため、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献できるからである。
また、本発明におけるジュートとは、ジュート麻から得られる繊維である。このジュート麻には、黄麻(コウマ、Corchorus capsularis L.)、及び、綱麻(ツナソ)、シマツナソ並びにモロヘイヤ、を含む麻及びシナノキ科の植物を含むものとする。
これらのなかでは、ポリオレフィン、ポリエステル樹脂及びポリエステル樹脂のうちのポリ乳酸を含む他の樹脂との混合樹脂(ポリ乳酸アロイ)のうちの少なくとも1種であることが好ましい。また、上記ポリオレフィンのなかではポリプロピレンがより好ましい。上記ポリ乳酸アロイのなかでは、ポリスチレン、ABS、ナイロン、ポリカーボネート、ポリプロピレン及びポリブチレンサクシネートのうちの少なくとも1種とポリ乳酸との混合樹脂が好ましい。
これらのなかでは、ポリ乳酸、乳酸と乳酸を除く他の上記ヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリカプロラクトン、及び上記ヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種とカプロラクトンとの共重合体が好ましく、特にポリ乳酸が好ましい。これらの生分解性樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。尚、上記乳酸にはL−乳酸及びD−乳酸を含むものとし、これらの乳酸は単独で用いてもよく、併用してもよい。
また、上記混合室は、該混合室を構成する壁に冷却媒体を循環させることができる混合室冷却手段を備えることがより更に好ましい。この構成により、混合室内の過度な温度上昇を抑制でき、熱可塑性樹脂の分解及び熱劣化を抑制(更には防止)できる。
更に、混合の終点は特に限定されないが、上記回転軸に負荷されるトルクの変化により決定できる。即ち、上記回転軸に負荷されるトルクを測定し、そのトルクが最大値となった後に混合を停止することが好ましい。これにより、植物性材料と熱可塑性樹脂とを相互に分散性よく混合できる。更に上記トルクの最大値となった後にトルクが低下し始めてから混合を停止させることがより好ましい。特に最大トルクに対して40%以上(とりわけ好ましくは50〜80%)のトルク範囲で混合を停止することが特に好ましい。これにより、植物性材料と熱可塑性樹脂とを相互により分散性よく混合できると共に、混合室内部から混合物(熱可塑性樹脂組成物)を160℃以上の温度で取り出すことができ、混合室内に熱可塑性樹脂組成物が付着して残存されることをより確実に防止できる。尚、植物性材料は、溶融混合装置へ投入する前に押し固めてペレット化して用いてもよい。
尚、上記マット成形体及びボード成形体の各密度はJIS K7112(プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法)に準じて測定される値である。
上記「ペレット化工程」は、熱可塑性樹脂組成物を加熱せず押し固めて、熱可塑性樹脂組成物からなる第1ペレットを得る工程である。
上記「第1ペレット」は、熱可塑性樹脂組成物を非加熱状態で押し固めたペレットである。従って、この第1ペレットには熱可塑性樹脂と植物性材料とが含有される。熱可塑性樹脂及び植物性材料の各々の含有量は特に限定されず、熱可塑性樹脂と植物性材料との合計を100質量%とした場合に植物性材料は30質量%以上(通常、90質量%以下)とすることができる。本方法では、特に第1ペレットの植物性材料の含有量が多い場合に効果的に機械的特性を向上させることができる。即ち、製造目的たる熱可塑性組成物成形体内における植物性材料の含量は同じであっても、後述するペレット混合工程で混合する第2ペレットの量が多い方が機械的強度をより顕著に向上させることができる。このため本方法では、第1ペレットに含有される植物性材料は、50質量%以上であることが好ましく、50〜95質量%であることがより好ましく、55〜95質量%であることが更に好ましく、60〜90質量%であることが特に好ましく、65〜90質量%であることがとりわけ好ましい。
更に、第1ペレットの形状及び大きさは特に限定されないが、その形状は、柱状(その他の形状であってもよいが、円柱状が好ましい)であることが好ましい。また、その大きさは、第1ペレットの最大長さにおいて1mm以上(通常20mm以下)であることが好ましく、1〜10mmがより好ましく、2〜7mmが特に好ましい。
このローラーディスクダイス式成形機500では、上記構成に加えて更に、上記プレスローラ52は表面に凹凸521を備えるものであることが好ましい。また、主回転軸53の回転に伴って回転される切断用ブレード55を備えることが好ましい。
上記「ペレット混合工程」は、第1ペレットと熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂と同質の熱可塑性樹脂からなる第2ペレットと、をドライブレンドしてペレット混合物を得る工程である。
上記「第2ペレット」は、前記熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂と同質の熱可塑性樹脂からなるペレットである。即ち、第2ペレットには、実質的に植物性材料が含まれないことが好ましい。
更に、上記[ii]及び[iii]の場合においては、第1ペレットを構成する熱可塑性樹脂の単量体単位全体を100モル%とし、第2ペレットを構成する熱可塑性樹脂の単量体単位全体を100モル%とし、且つ、第1ペレットを構成する熱可塑性樹脂の単量体単位のうちの50モル%以上を占める特定の単量体単位を主単量体単位とした場合に、第2ペレットを構成する熱可塑性樹脂は、上記主単量体単位を50モル%以上(より特に好ましくは80〜100モル%)有する樹脂であることが特に好ましい。
尚、「異質の熱可塑性樹脂」とは、上記[i]〜[iii]のいずれの関係も有さない熱可塑性樹脂同士である。即ち、熱可塑性樹脂の種類が異なり、且つ互いに相溶性がない樹脂同士であることを意味する。
更に、第2ペレットの形状及び大きさは特に限定されないが、その形状は、柱状(その他の形状であってもよいが、円柱状が好ましい)であることが好ましい。また、その大きさは、第1ペレットの最大長さにおいて1mm以上(通常20mm以下)であることが好ましく、1〜10mmがより好ましく、2〜7mmが特に好ましい。
上記「射出成形工程」は、ペレット混合物を射出成形して熱可塑性組成物成形体を得る工程である。この射出成形における各種成形条件及び使用する装置等は特に限定されず、目的とする成形体及び性状、使用されている熱可塑性樹脂の種類等により適宜のものとすることが好ましい。
本方法では、第1ペレットと第2ペレットとを用いて射出成形を行うことで、得られる熱可塑性組成物成形体の曲げ強度及び曲げ弾性率の両機械的特性を共に向上させることができる。また、第1ペレットと第2ペレットとを用いて射出成形を行うことで、射出成形圧力を低下させることができる。従って、短時間且つ低エネルギーで成形できるために低コストで成形を行うことができる。また、より細かい形状にも対応でき、賦形性を向上させることができる。
本発明の製造方法により得られる成形体の形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されない。また、その用途も特に限定されない。この成形体は、例えば、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材、外装材及び構造材等として用いられる。このうち自動車用品としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等が挙げられる。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、自動車用ドアトリム、シート構造材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材、構造材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等が挙げられる。
〈1〉熱可塑性組成物成形体の製造
[1]実施例1〜8
(1)溶融混合工程
下記表1の第1ペレットとして示す割合(植物性材料と熱可塑性樹脂との合計が100質量部)となるように、植物性材料(図1の801、ケナフコア又はケナフ繊維)と熱可塑性樹脂(図1の802、ポリプロピレン又はポリ乳酸)とを、溶融混合装置1(株式会社エムアンドエフ・テクノロジー製、WO2004−076044号に示された器機)の材料供給室(図3の13)に投入(植物性材料と熱可塑性樹脂とで合計700g)した後、混合室(容量5L、図3の3)内で溶融混合を行った。混合に際して混合羽根(図3の10及び図4の10a〜10f)は回転速度2000rpmで回転させた。そして、混合羽根にかかる負荷(トルク)が上昇し、最大値に達して(100%を超えて)6秒後を終点として混合羽根を停止して、得られた熱可塑性樹脂組成物を溶融混合装置から排出した。
[植物性材料]
ケナフコア ;粒径1mm以下(JIS Z8801に準拠して、目開き1.0m
mの円孔板篩を通過したもの)に細分化されたケナフのコア。
ケナフ繊維 ;繊維長3.0mm(JIS L1015に準拠して、直接法にて無
作為に単繊維を1本ずつ取り出し、置尺上で繊維長を測定し、合計
200本について測定した平均値が3.0mm)に細分化されたケ
ナフの繊維。
[熱可塑性樹脂]
ポリプロピレン;日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテック BC06C」
ポリ乳酸 ;トヨタ自動車株式会社製、品名「U’z S−17」
上記(1)の溶融混合工程で得られた熱可塑性樹脂組成物を破砕機(株式会社ホーライ製、形式「Z10−420」)で細分化した。次いで、破砕機から得られた細分化物からその大きさが5.0mm以下(JIS Z8801に準拠して、目開き5.0mmの円孔板篩を通過したもの)のものを選別してチップ(図1の803)とした。
上記チップ(図1の803)をローラーディスクダイス式成形機(図1の500){株式会社菊川鉄工所製、形式「KP280」、貫通孔径(図2の511)4.2mm}に投入して、フィーダー周波数20Hzにて非加熱でペレット化を行い、直径約4.0mm且つ長さ約5.0mmの円柱状の第1ペレット(図1の804)を得た。その後、上記第1ペレットをオーブンにて100℃で24時間乾燥させた。
上記(2)で得られた第1ペレット(図1の804)を100質量部(1kg)とし、表1に示す量比の第2ペレット(図1の805)を配合して、第1ペレットと第2ペレットとをドライブレンドして、ペレット混合物(図1の806)を得た。
尚、第2ペレットとしては各々以下のものを用いた。
ポリプロピレン;日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテック BC06C」
ポリ乳酸 ;トヨタ自動車株式会社製、品名「U’z S−17」
上記(3)で得られたペレット混合物(図1の806)を射出成形機(住友重機械工業株式会社製、形式「SE100DU」、図1の700)に投入し、シリンダー温度190℃、型(図1の710)温度40℃の条件で射出成形して厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmの長方形板状の熱可塑性組成物成形体(実施例1〜8の各試験片)を得た。また、この射出成形の際の射出充填圧力を計測し、表1に示した。
ケナフ繊維(繊維長70mm)とポリプロピレンとが質量比50:50で含有された自動車内装基材(ケナフボード)から生じた端材を破砕機(株式会社ホーライ製、形式「Z10−420」)で細分化し、得られた細分化物からその大きさが5.0mm以下(JIS Z8801に準拠して、目開き5.0mmの円孔板篩を通過したもの)のものを選別して端材チップとした。その後、表1の配合となるように上記[1]と同じ工程を経て同形状の熱可塑性組成物成形体(実施例9の各試験片)を得た。また、この射出成形の際の射出充填圧力を計測し、表1に示した。
下記表1の第1ペレットとして示す割合(植物性材料と熱可塑性樹脂との合計が100質量部)となるように、植物性材料(ケナフコア又はケナフ繊維)と熱可塑性樹脂(ポリプロピレン又はポリ乳酸)とを、実施例1〜8と同様の溶融混合装置を用いて溶融混合して熱可塑性樹脂組成物を得た(使用材料も共通)。その後、実施例1〜8と同様に破砕し、同様にペレット化工程を行って第1ペレットを得た。次いで、第2ペレットを用いることなく(即ち、ペレット混合工程を行わず)、実施例1〜8と同様に射出成形工程を行って、実施例1〜8と同形状の熱可塑性組成物成形体(比較例1〜5の各試験片)を得た。また、この射出成形の際の射出充填圧力を計測し、表1に示した。
上記[1]〜[3]で得られた実施例1〜9及び比較例1〜5の各成形体の曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。この測定に際しては、厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmの長方形板状の上記各試験片を用い、各試験片を支点間距離(L)64mmとした2つの支点(曲率半径5mm)で支持しつつ、支点間中心に配置した作用点(曲率半径5mm)から速度2mm/分にて荷重の負荷を行って、各試験片の曲げ弾性率をJIS K7171に従って測定した。その結果を表1に併記した。
表1より、実施例1〜3を比較すると、第2ペレットの配合量を多くするに従って、射出成形圧力が低下して成形性が向上されていることが分かる。更に、曲げ弾性率は第2ペレットの配合量を多くするに従って小さくコントロールすることができている。加えて、曲げ強度は実施例1〜3において52〜55MPaであり、その変動が小さく、曲げ強度は高い値に維持されていることが分かる。即ち、本方法によれば、射出成形圧力を低下させつつ、曲げ強度は維持でき、尚かつ曲げ弾性率をコントロールすることができることが分かる。同様に、実施例4〜6を比較しても上記実施例1〜3と同じ傾向が認められることが分かる。
500;ペレット化装置(ローラーディスクダイス式成形機)、50;ローラーディスクダイス式成形部(ペレット化部)、51;ディスクダイス、511;貫通孔、512;主回転軸挿通孔、52;プレスローラ、521;凹凸部、53;主回転軸、54;プレスローラ固定軸、55;切断用ブレード、
600;ペレット混合装置、
700;射出成形機、710;金型部、
801;植物性材料、802;熱可塑性樹脂(ペレット)、803;熱可塑性樹脂組成物(チップ)、804;第1ペレット、805;第2ペレット、806;ペレット混合物。
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂及び植物性材料を含み且つその合計を100質量%とした場合に該植物性材料が30〜85質量%である熱可塑性組成物成形体の製造方法であって、
溶融混合装置を用いて、熱可塑性樹脂を溶融させながら植物性材料と混合して熱可塑性樹脂組成物を得る溶融混合工程と、
上記熱可塑性樹脂組成物を加熱せず押し固めて、該熱可塑性樹脂組成物からなる第1ペレットを得るペレット化工程と、
上記第1ペレットと、上記熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂と同質の熱可塑性樹脂からなる第2ペレットと、をドライブレンドしてペレット混合物を得るペレット混合工程と、
上記ペレット混合物を射出成形して熱可塑性組成物成形体を得る射出成形工程と、を備えることを特徴とする熱可塑性組成物成形体の製造方法。 - 上記第1ペレットに含有される植物性材料は、該第1ペレット全体に対して50質量%以上である請求項1に記載の熱可塑性組成物成形体の製造方法。
- 上記熱可塑性組成物成形体に含まれる熱可塑性樹脂全体の20〜95質量%の熱可塑性樹脂を、上記ペレット混合工程で第2ペレットにより配合する請求項1又は2に記載の熱可塑性組成物成形体の製造方法。
- 上記溶融混合装置は、上記溶融混合を行う混合室及び該混合室内に配置された混合羽根を備え、
上記溶融混合工程は、上記混合室内で上記混合羽根の回転により溶融された上記熱可塑性樹脂と上記植物性材料とが混合される工程である請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の熱可塑性組成物成形体の製造方法。 - 上記ペレット化工程は、ダイスと該ダイスに接して回転されるローラーとを備えたローラー式成形機を用い、該ローラーにより上記熱可塑性樹脂組成物を該ダイス内に圧入した後、該ダイスから押し出して上記ペレットを形成する工程である請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の熱可塑性組成物成形体の製造方法。
- 上記植物性材料はケナフである請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の熱可塑性組成物成形体の製造方法。
- 上記熱可塑性樹脂はポリプロピレン又はポリ乳酸樹脂である請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の熱可塑性組成物成形体の製造方法。
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