JP2009137784A - ガラス管製造装置 - Google Patents

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Setsuya Omomo
節也 大桃
Masahiro Ichikawa
正広 市川
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Abstract

【課題】溶融ガラスからの揮発性成分が耐火物と反応して形成される高粘性の異質ガラスが、成形スリーブに巻き付けた溶融ガラス上に滴下することを防ぐ。
【解決手段】本発明のガラス管製造装置は、マッフル天井12の内壁面12aを白金または白金合金からなる被覆材13で被覆し、溶融ガラスG1からの揮発性成分がマッフル天井12の耐火物と直接接触しないので、揮発性成分がマッフル天井12の耐火物と反応することがなくなり、成形スリーブ11に巻き付けた溶融ガラスG1上に異質ガラスの滴下が無くなる。溶融ガラスG1からの揮発性成分は被覆材13の表面に付着しても反応はせず、粘度の低い融液状なので、マッフル天井12内壁面12aの下り勾配に沿って被覆材13表面をマッフルの側方部14、15に向かって流れ落ちる。
【選択図】図1

Description

本発明はダンナー方式のガラス管製造装置に関し、特にその中のマッフルの構造に関する。本発明でマッフルとはマッフル炉ともいわれる耐火物で構成された加熱炉である。
図5(a)は従来のダンナー方式のガラス管製造装置におけるマッフル1の、耐火物製の円筒からなる成形スリーブ2の回転軸に平行な垂直方向の断面図、図5(b)はマッフル1の、成形スリーブ2を横切る垂直方向の断面図である。図5(a)、図5(b)に示すように、ダンナー方式でのガラス管製造装置においては、マッフル1内に耐熱鋼製のスリーブシャフト3及び保持金具4を介して成形スリーブ2を回転させつつ保持し、フィーダーから流下する溶融ガラスGを成形スリーブ2に巻き付けて溶融ガラスG1の層を形成し、成形スリーブ2の先端から垂下するガラスG2を引き延ばしながら、成形スリーブ2の後端から加圧空気を吹き込んでガラス管を形成している。この際、マッフル1の内部はガラスG2を引き延ばすために高温に保持する必要があるので、マッフル内面部材5およびマッフル天井6は耐熱性の高い耐火物、例えば炭化珪素あるいはアルミナジルコン系耐火物などで構成されている。
例えば特許文献1にはダンナー法により管ガラスを製造するために用いるガラス管成形装置が開示されている。
特開平11−180724号公報
図5を参照して説明すると、溶融ガラスG1中に含まれるアルカリ金属酸化物、硼酸、硫酸塩などの揮発性成分は高温下において揮発し、マッフル1内の相対的に低温の領域、例えばマッフル内面部材5およびマッフル天井6の内壁面6aで冷却されて凝縮する。
マッフル1内は高温に保持されているので、これらの内壁面に付着した揮発性成分はマッフル1内の耐火物と反応して溶融ガラスG1よりも高粘性の異質ガラスに変化し、マッフル内面部材5およびマッフル天井6の内壁面6aに滞留する。マッフル天井6の内壁面6aに滞留した高粘性の異質ガラスは次第に大きな雫(図示しない)に成長し、この雫はある大きさまで成長すると溶融ガラスG1の上に滴下し、溶融ガラスG1の表面に付着してガラスG2を引き延ばした後のガラス管の外観不良の原因となる。
本発明の課題は、マッフル天井6の内壁面7に付着した溶融ガラスG1からの揮発性成分が耐火物と反応して生じる高粘性の異質ガラスが、成形スリーブ2に巻き付けた溶融ガラスG1上に滴下することを防ぐことである。
本発明のガラス管製造装置においては、マッフル天井の内壁面を白金または白金合金からなる被覆材で被覆することで、溶融ガラスからの揮発性成分がマッフル天井の耐火物と直接接触しなくなるため、マッフル天井で揮発性成分が耐火物と反応することがなくなり、異質ガラスの雫が一旦成形スリーブに巻き付けた溶融ガラスの上に滴下することが無くなる。溶融ガラスからの揮発性成分は白金または白金合金の表面に付着するが反応はしない。そのような付着物は、揮発性成分と耐火物が反応してガラス化した異質ガラスと異なり、付着しても粘度の低い融液状のままであるので、マッフル天井の内壁面の成形スリーブ上方の位置から溶融ガラスの引き延ばし方向に対して略垂直な方向に形成された下り勾配に沿って白金または白金合金の表面をマッフルの側方部に向かって流れ落ちる。従って成形スリーブに巻き付けた溶融ガラスの上に異質ガラスの雫が落ちることはなく、ガラス管の外観不良を引き起こすことはない。なお、成形スリーブの溶融ガラス上に揮発性成分の融液の落下を防止するためにマッフル天井内壁面に設ける勾配としては、マッフル天井内壁面の全体が一方向に下り勾配で傾斜するもの等も使用可能であるが、マッフル内部の均熱性を考慮すると、成形スリーブ上方からマッフルの側方部に向かって両側に下り勾配で傾斜するものが好ましい。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)本発明のガラス管製造装置は、加熱手段により内部が高温状態に維持されるマッフルと、前記マッフル内に設けられ駆動手段によって回転可能に保持される円筒状の耐火物製成形スリーブと、前記成形スリーブに溶融ガラスを供給するフィーダーとを備え、前記フィーダーから流下する前記溶融ガラスを前記成形スリーブに巻き付け、前記成形スリーブの先端から前記溶融ガラスを引き延ばしながらガラス管を形成するガラス管製造装置において、前記成形スリーブの上方に位置する耐火物からなるマッフル天井の内壁面が白金または白金合金からなる被覆材で被覆されてなり、かつ該内壁面の成形スリーブ上方の位置からマッフルの側方部に向かって下り勾配が設けられてなることを特徴とする。
(2)本発明のガラス管製造装置は、前記マッフル天井が、耐火物からなる複数のマッフル天井部品を組み合わせてなり、該各マッフル天井部品間の耐火物の合わせ面のうち少なくともマッフル天井部品の内壁面から連なる一部が前記被覆材により被覆されてなることを特徴とする。
(3)本発明のガラス管製造装置は、前記被覆材が白金または白金合金の薄板からなることを特徴とする。
(4)本発明のガラス管製造装置は、前記薄板の厚さが0.15mm以上であることを特徴とする。
(5)本発明のガラス管製造装置は、前記被覆材が白金または白金合金の溶射膜からなることを特徴とする。
(6)本発明のガラス管製造装置は、前記溶射膜の厚さが0.1mm以上であることを特徴とする。
(7)本発明のガラス管製造装置は、前記白金合金が白金−ロジウム合金であることを特徴とする。
本発明のガラス管製造装置では、マッフル天井の内面を白金または白金合金からなる被覆材で被覆したことにより、溶融ガラスからの揮発性成分がマッフル天井で耐火物と反応することがなくなり、成形スリーブに巻き付けた溶融ガラス上に異質ガラスの滴下が避けられるようになった。
図1(a)は本発明のダンナー方式のガラス管製造装置のマッフル10の、成形スリーブ11の回転軸に平行な垂直方向の断面図、図1(b)はマッフル10の、成形スリーブ11を横切る垂直方向の断面図である。図1(a)、図1(b)に示すようにマッフル天井12の内壁面(図では下面)を白金または白金合金からなる被覆材13で被覆し、耐火物とガラスの揮発性成分とが直接触れないようにした。溶融ガラスG1からの揮発性成分は白金または白金合金からなる被覆材13の表面に付着するが被覆材13とは反応しない。被覆材13の表面の、溶融ガラスG1からの付着物は、溶融ガラスG1からの揮発性成分と耐火物が反応してガラス化したものと異なり、付着しても粘度の低い融液状のままであるので、マッフル天井12の成形スリーブ11上方からマッフルの両側方部14、15に向かって設けた天井内壁面12aの下り勾配に沿って被覆材13の表面を端に向かって流れ落ちる。そのため一旦成形スリーブ11に巻き付けた溶融ガラスG1上には付着物の融液が滴下することはない。
本発明で使用する白金合金としては白金−ロジウム合金、特に白金−10%ロジウム合金が好ましい。白金−ロジウム合金は白金より高価であるが、上述の、溶融ガラスG1の揮発性成分からなる付着物の融液をマッフル天井12の端部方向へ流す効果は白金と比べても遜色が無く、かつ高温での機械的強度が高いので機械的強度が必要な場合に好ましい。逆に機械的強度を要しないときはより安価な白金が好ましい。
マッフル天井の内面を被覆するための白金または白金合金の被覆材の形状としては白金または白金合金製の薄板と、白金または白金合金からなる溶射膜がある。白金または白金合金製の薄板は機械的に取り付ける。白金または白金合金からなる溶射膜は溶射技法により膜を形成する。溶射膜としてはプラズマ溶射膜が好ましい。溶融ガラスG1の揮発性成分からなる付着物をマッフル天井12の端部方向に流す効果は薄板と溶射膜で特に差がない。しかし薄板の場合は機械的強度の制約から厚さが0.15mm以上必要だが、溶射膜は厚さ0.1mm以上あればよいので一般的には溶射膜の方が経済的である。しかし薄板は不要になったら取り外して容易に再生、再利用、再資源化などが可能であるため、一時的な使用にはむしろ経済的なことがある。
図2(a)、(b)は本発明のガラス管製造装置の実施例1において、被覆材として白金の薄板23を機械的に取り付けたマッフル天井22の斜視断面図である。小型のマッフルの場合、マッフル天井22は平面の面積で表わすと0.5m〜1mほどの大きさであり、マッフル天井22に用いられる耐火物は一体物で製作可能である。そこで図2に示すようにマッフル天井22の内壁面22aに、厚さ0.8mmの白金(または白金合金)の薄板23を被せ、マッフル天井22を構成する耐火物に穿孔した4箇所〜12箇所程度の孔24に支え棒25を通し、支え棒25下端を白金の薄板23と溶接し、支え棒25上端を白金のフランジ26と溶接して薄板23を支える。薄板23の厚さは0.8mm以下でも溶融ガラスG1からの揮発性成分がマッフル天井22の耐火物と反応することを防止する効果に変わりはないが、0.15mmより薄くすると薄板23の機械的強度が低くなるため支え棒25の本数を多くする必要があり、マッフル天井22を構成する耐火物に数多くの孔24を穿孔することになり、マッフル天井22の強度を低下させるので好ましくない。
図3(a)、(b)は本発明のガラス管製造装置の実施例2において、プラズマ溶射により厚さ0.3mmの白金(または白金合金)の溶射膜33を内壁面32aに形成したマッフル天井32の斜視図である。プラズマ溶射で形成した白金の溶射膜33を形成した場合は実施例1の図2のような支え棒25を必要とせず、マッフル天井32との密着性が良好であり、白金の使用量が薄板の場合より少ないので経済的である。白金の溶射厚さが0.3mm以下でも効果に変わりはないが、マッフル天井32の耐火物表面の凹凸のため、溶射厚さが0.1mm未満ではマッフル天井32の表面に溶射が不完全で耐火物の露出する部分が発生するおそれがある。したがって白金の溶射膜33の厚さは0.1mm以上とすることが好ましい。
大型のマッフルの場合には、マッフル天井を構成する耐火物を一体物で製作することは困難なので、図4(a)〜(c)に示すように、2個のマッフル天井部品42a、42bを組み合わせてマッフル天井42を構成する。この場合はマッフル天井部品42a、42bを構成する耐火物の内壁面42c側だけでなく、マッフル天井部品42a、42bが接する耐火物の合わせ面42dのうち少なくとも内壁面42cから連なる一部にも白金または白金合金の溶射膜43を形成して、マッフル天井部品42a、42bの合わせ面42dにおいても異質ガラスの形成を防止することが好ましい。なお、白金または白金合金の溶射膜43は、マッフル天井部品42a、42bどうしが接する合わせ面42dの全面に形成してもよい。
本発明のガラス管製造装置の説明図であって、(a)マッフルの成形スリーブの回転軸に平行な垂直方向の断面図、(b)成形スリーブを横切る垂直方向の断面図。 本発明の他のガラス管製造装置の説明図であって、(a)被覆材として白金または白金合金の薄板を機械的に取り付けたマッフル天井の斜視図、(b)は(a)の要部断面図。 本発明の他のガラス管製造装置の説明図であって、(a)プラズマ溶射による溶射膜を内壁面に形成したマッフル天井の斜視図、(b)は(a)の要部断面図。 本発明の他のガラス管製造装置の説明図であって、(a)2つのマッフル天井部品を接合したマッフル天井の斜視図、(b)プラズマ溶射による溶射膜を内壁面及び合わせ面の一部に形成したマッフル天井部品の斜視図、(c)2つのマッフル天井部品の接合部の側面図。 従来のダンナー方式のガラス管製造装置の説明図であって、(a)マッフルの成形スリーブの回転軸に平行な垂直方向の断面図、(b)成形スリーブ横切る垂直方向の断面図。
符号の説明
1、10 マッフル
2、11 成形スリーブ
3 スリーブシャフト
4 保持金具
5 マッフル内面部材
6、12、22、32、42、 マッフル天井
6a、12a、22a、32a、42c マッフル天井の内壁面
13 被覆材
14、15 マッフルの側方部
23 薄板
24 孔
25 支え棒
26 フランジ
33、43 溶射膜
42a、42b マッフル天井部品
42d マッフル天井部品の合わせ面
G、G1、G2 溶融ガラス

Claims (7)

  1. 加熱手段により内部が高温状態に維持されるマッフルと、前記マッフル内に設けられ駆動手段によって回転可能に保持される円筒状の耐火物製成形スリーブと、前記成形スリーブに溶融ガラスを供給するフィーダーとを備え、前記フィーダーから流下する前記溶融ガラスを前記成形スリーブに巻き付け、前記成形スリーブの先端から前記溶融ガラスを引き延ばしながらガラス管を形成するガラス管製造装置において、
    前記成形スリーブの上方に位置する耐火物からなるマッフル天井の内壁面が白金または白金合金からなる被覆材で被覆されてなり、かつ該内壁面の成形スリーブ上方の位置からマッフルの側方部に向かって下り勾配が設けられてなることを特徴とするガラス管製造装置。
  2. 前記マッフル天井が、耐火物からなる複数のマッフル天井部品を組み合わせてなり、該各マッフル天井部品間の耐火物の合わせ面のうち少なくともマッフル天井部品の内壁面から連なる一部が前記被覆材により被覆されてなることを特徴とする請求項1に記載のガラス管製造装置。
  3. 前記被覆材が白金または白金合金の薄板からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガラス管製造装置。
  4. 前記薄板の厚さが0.15mm以上であることを特徴とする請求項3に記載のガラス管製造装置。
  5. 前記被覆材が白金または白金合金の溶射膜からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガラス管製造装置。
  6. 前記溶射膜の厚さが0.1mm以上であることを特徴とする請求項5に記載のガラス管製造装置。
  7. 前記白金合金が白金−ロジウム合金であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のガラス管製造装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102320720A (zh) * 2011-07-15 2012-01-18 安徽杜氏高科玻璃有限公司 一种玻璃管成型模具
US8869562B2 (en) 2012-11-29 2014-10-28 Corning Incorporated Glass forming apparatus
JP2015137207A (ja) * 2014-01-22 2015-07-30 日本電気硝子株式会社 管ガラス製造装置及び管ガラスの製造方法

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