JP2009137203A - 水転写紙用原紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】基紙1上に設けられる顔料及び接着剤を主成分とする顔料塗工層2の吸水ムラをなくし、もって水転写時のスライド性に優れ、焼き付け後の絵柄が鮮明である水転写紙10を得ることができる水転写紙用原紙8を提供する。
【解決手段】水転写紙用原紙8は、基紙1とこの一方の面に設けられた顔料及び接着剤を主成分とする顔料塗工層2とを有する。この顔料塗工層2上には、澱粉を含むアンダーコート層3、再湿糊を含むトップコート層4、印刷層5及びオーバーコート層6がこの順に設けられて水転写紙10とされる。そして、顔料塗工層側2の、JIS P 8140に準拠したコッブ吸水度が接触時間30秒において40g/m2以下とされ、かつ、接触時間120秒において100g/m2以上とされ、更に空気漏洩式紙平滑度計(パーカープリントサーフ)の測定値が1.96MPaの加圧条件で1.00〜1.70μmとされている。
【選択図】図1

Description

本発明は、陶器などの絵付けに用いる水転写紙用原紙に関するものである。
従来から、陶器、ガラス、あるいはホーローなどの無機材料に対する絵付けのために、水転写紙(絵付け転写紙)を用い、これを水に浸漬してスライド転写することが行われている。このような絵付け転写紙としては、図1に示すように、ノーサイズ基紙(基紙)1の一方の面に、その凹凸の目詰め、及び、より安定した絵柄を得るために顔料及び接着剤を主成分とする顔料塗工層2を設け、この顔料塗工層2上に、凹凸調整(平滑性の維持)及び吸水した水分を保持するための親水性澱粉(水中への溶出は殆どない)を含むアンダーコート層3、デキストリン、メチルセルロース(MC)などの再湿潤糊(水中に容易に溶出する)を含有するトップコート層4、スクリーン印刷又はオフセット印刷して形成された印刷層5、及び、アクリル樹脂からなるオーバーコート層6がこの順に設けられた構成を取るのが一般的である。
なお、基紙1の他方の面には、カール防止等の目的でバックコート層7が設けられる。また、本明細書においては、基紙1に顔料塗工層2が設けられたものを水転写紙用原紙8といい、この水転写紙原紙8上に、アンダーコート層3、トップコート層4、印刷層5及びオーバーコート層6が設けられたものを水転写紙10といい、印刷層5及びオーバーコート層6からなる層を転写層9という。
上記の如き構成になる水転写紙10の具体的な使用方法としては、先ず、その水転写紙10に水を与え、再湿潤糊を含むトップコート層4を溶解させて、水転写紙10を転写対象物の表面に当てがい、転写層9を手指でスライドさせて、対象物の所定の箇所へ移して定着させた後、800〜1000℃で焼付けを行って絵付けをするものである。
この場合、顔料塗工層2は、基紙1を通過してきた水分をアンダーコート層3に均等に且つ迅速に供給する作用効果を呈し、アンダーコート層3の親水性澱粉に均等に且つ迅速に水分を付与することにより、トップコート層4中のデキストリン等の再湿潤糊をすみやかに溶出せしめ、トップコート層4上に設けられた転写層9が、水分を保持し平滑な親水性澱粉を含むアンダーコート層3から手指によってスムーズに移動、分離できるように作用する。
水転写紙10の実際の使用については、前記したように水転写紙10を水に浸漬し、トップコート層4を水に溶出させた後、手指を用いてアンダーコート層(界面)3から転写層9を陶器等の被転写対象物に貼付けることによって、その目的を達成するものである。したがって、水転写紙の吸水性は極めて重要な品質特性となるものである。
近年のビジュアル化の波は、従来の印刷物に留まることなく、焼き物に対してもフルカラー且つ高精細な絵柄を求められ、水転写紙においても更なる高精細な絵柄に対応可能なものが求められている。
この点、例えば、特許文献1には、従来にない顔料塗工層を持つ水転写紙が紹介されているが、顔料塗工層は、元来水分の透過性を阻害する性質を有するものであるところ、同文献は絵柄を鮮明に現出させることを目的とするものであり、吸水性阻害に対する解決策は何ら開示されていない。また、特許文献2には、特許文献1と同様に画像再現性を追及する技術が開示されているものの、スーパーカレンダーで顔料塗工層の表面を平坦化させる手法を取っているため、特許文献1よりも更に水分の透過性が阻害される構成となっている。さらに、特許文献3には、鮮明な印刷が可能な水転写紙が開示されているが、プラスチックフィルムを使用するものであり、特許文献1や特許文献2よりも更に水分透過性が低いものとなっている。
特開平06−239680号公報 特開平11−060353号公報 特開平09−267599号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、基紙上に設けられる顔料及び接着剤を主成分とする顔料塗工層の吸水ムラをなくし、もって水転写時のスライド性に優れ、焼き付け後の絵柄が鮮明である水転写紙を得ることができる水転写紙用原紙を提供することにある。
発明者らの検討においては、フルカラー且つ高精細な絵柄を再湿潤糊を含むトップコート層上に再現するには、基材及び基材上に設ける顔料及び接着剤を主成分とする顔料塗工層の品質向上が、水転写紙としての作業性を低下させること無くフルカラー且つ高精細な絵柄を得るに最も適した方策との知見を基に本発明を見出したものである。
すなわち、前記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
基紙と、この基紙の一方の面に設けられた顔料及び接着剤を主成分とする顔料塗工層を有し、
この顔料塗工層上に、澱粉を含むアンダーコート層、再湿糊を含むトップコート層、印刷層及びオーバーコート層がこの順に設けられる水転写紙用原紙であって、
前記顔料塗工層側の、
JIS P 8140に準拠したコッブ吸水度が接触時間30秒において40g/m2以下とされ、かつ、接触時間120秒において100g/m2以上とされ、
更に空気漏洩式紙平滑度計(パーカープリントサーフ)の測定値が1.96MPaの加圧条件で1.00〜1.70μmとされている、
ことを特徴とする水転写紙用原紙。
〔請求項2記載の発明〕
前記顔料として、針状の軽質炭酸カルシウム及び柱状の軽質炭酸カルシウムの少なくとも一方が用いられ、
この軽質炭酸カルシウムの割合が、前記顔料100重量部に対して5〜15重量部とされ、
かつ、前記顔料塗工層が、浸透剤及び保水剤を含む、
請求項1記載の水転写紙用原紙。
〔請求項3記載の発明〕
前記保水剤と前記浸透剤との配合質量割合が、1:0.5〜2.0とされている、請求項2記載の水転写紙用原紙。
〔請求項4記載の発明〕
前記浸透剤が、アセチレングリコールを主成分とする、請求項2又は請求項3項記載の水転写紙用原紙。
〔請求項5記載の発明〕
前記保水剤が、アクリル酸アクリルアミドを主成分とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の水転写紙用原紙。
本発明によれば、基紙上に設けられる顔料及び接着剤を主成分とする顔料塗工層の吸水ムラをなくし、もって水転写時のスライド性に優れ、焼き付け後の絵柄が鮮明である水転写紙を得ることができる水転写紙用原紙となる。
以下、本発明の実施形態について詳説する。
本発明の水転写紙の層構成は、従来と同じ構成を取る(したがって、その層構成は図1に示した従来例と同様であり、以下、符号は省略して説明する。)ものであって、特に印刷層(絵柄層)等を設ける前の基紙及び基紙上に設ける顔料および接着剤を主成分とする顔料塗工層の品質向上を図ることのできる水転写紙用原紙を提供するものである。
即ち、本発明は、従来と同様に水転写紙用原紙のベースとなる基紙としてはノーサイズ紙またはサイズの低い紙を使用し、その基紙の一方の面に顔料および接着剤を主成分とする顔料塗工層を設けてなし、この顔料塗工層上に親水性澱粉を主成分とするアンダーコート層を設け、このアンダーコート層上にデキストリン、あるいはメチルセルロース(MC)等の再湿潤糊を含む水溶性液を塗布、乾燥せしめてトップコート層を設け、さらに印刷層、オーバーコート層を設け、他方、基紙の裏面にカール防止等を目的とするバックコート層を設けて水転写紙とすることができるものである。
本実施形態に係る水転写紙用原紙は、パルプ100%からなる吸水性の高い基紙の一方(片側)の面に、アンダーコート層含浸の目止めをすることを目的とした、顔料及び接着剤(バインダー)を主成分とする顔料塗工層、可溶性澱粉を含むアンダーコート層、CMCなどの再湿糊を含むトップコート層、スクリーン印刷等による印刷層(絵柄層)、及び、アクリル樹脂等からなるオーバーコート層がこの順に設けられたものである。
(基紙)
基紙としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の化学パルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)等の機械パルプ、デインキングパルプ(DIP)、ウェストパルプ(WP)等の化学パルプや機械パルプ由来の古紙パルプ等を原材料として、これらを単独又は混合したものが用いられる。なお、基紙には、平滑性を向上させるため、繊維が細くて短いLBKPが80重量%〜100重量%含有されていることが好ましい。水転写紙用原紙では、基紙の平滑性が向上することによって、顔料塗工層表面の平滑が得られるだけでなく、各種塗料の塗工ムラの発生を防止することができる。
また、基紙は、水への浸漬時に迅速に顔料塗工層上に形成されたアンダーコート層へ水を供給する必要があるため、吸水性が高いことが要求される。
本水転写紙用原紙の顔料塗工層側のJIS P 8140に準拠した接触時間30秒におけるコッブ吸水度が40g/m2以下、好適には20g/m2以上40g/m2以下であることが好ましく、より好ましくは23g/m2以上35g/m2以下であり、且つ、接触時間120秒におけるコッブ吸水度が100g/m2以上であることが好ましい。
本発明が対象とする水転写紙は、転写層等の各層に迅速にムラなく水分を付与する必要があり、水に浸漬した際の水の吸収ムラを接触時間30秒におけるコッブ吸水度にて、水を吸収後に均等に各層が水を保持する機能を接触時間120秒におけるコッブ吸水度にて評価することができる。
顔料塗工層側のJIS P 8140に準拠した接触時間30秒におけるコッブ吸水度が20g/m2未満では吸水性が十分でなく、基紙側から浸透する水の吸水ムラが改善されず、水転写時においてアンダーコート層の溶解ムラが生じ、優れたスライド性と転写焼付け後の絵柄の鮮明さが得られない場合がある。他方、コッブ吸水度が40g/m2を超える基紙を得るには極めて嵩高な基紙を用いる必要が生じ、本形態の水転写紙用原紙用途に用いるには乾燥強度、湿潤時の紙質強度確保が困難であり、薬剤にて嵩高な性質を遡及することも考えられるものの、高価な薬剤を多量に含有させる必要が有り、製造コストがかかるだけでなく、抄造においても断紙等のトラブルが生じやすく現実的ではない。また、オーバーコート層を設けた際に、例えばアクリル樹脂からなるオーバーコート層が顔料塗工層に過度に含浸したり、基紙にまで至る問題が生じ、顔料塗工層表面の平坦性を阻害したり、湿潤時の剥離ムラ問題が生じる。また、吸水量が高まり、アンダーコート層形成時に、可溶性の澱粉が顔料塗工層内部に浸透しやすくなり、目止めの機能が低下するだけでなく、均一かつ平滑なトップコート層が形成し難くなってしまう。そのため、印刷層の印刷適性が低下してしまう。
また、接触時間120秒におけるコッブ吸水度が100g/m2未満では、湿潤時にオーバーコート層への水分の供給が少ないため、印刷層の剥離性が低下し作業性が劣ると共に、印刷層の剥離ムラ問題が生じる。即ち、顔料塗工層は、適度な耐水性と湿潤時には高い水吸収性を確保する必要がある。
また、基紙側(バックコート層側)での吸水度としては、JIS P 8140に規定する接触時間30秒のコッブ吸水度が200g/m2以上であることが好ましい。吸水度が200g/m2未満であると、顔料塗工層への水の供給が少なくなり、結果として顔料塗工層からアンダーコート層への水の供給も少なくなり、アンダーコート層の溶解ムラが生じる。このため、基紙には、吸水性を高める助剤として浸透剤を内添することが好ましい。
本発明において基紙に用いる浸透剤としては、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、アセチレンジオール、アセチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、アルキルエーテル、アセチレンアルコール、ポリエーテル等の単体、これらの変性物、またはこれらの混合物等を挙げることができる。特に本発明において好適には、アセチレングリコールを浸透剤として用いることができる。特に、アセチレングリコールは基紙に添加することで、高い水の浸透性を確保することができる。
浸透剤の含有量は、対パルプ固形分当たり0.1〜3.0質量%であることで、コッブ吸水度が接触時間30秒において40g/m2以下とされ、かつ、接触時間120秒において100g/m2以上にする調整剤として好適に利用することができる。浸透剤の含有量が0.1質量%未満では、基紙の吸水性の向上効果が低く、3.0質量%を超えると含有量に見合ったコッブ吸水度や空気漏洩式紙平滑度に関わる効果が得られにくい。
本発明においては、水転写紙用原紙の平坦性として、さらに空気漏洩式平滑度計(パーカープリントサーフ)の測定値が1.96MPaの加圧条件で1.00〜1.70μmの範囲が好ましく、より好ましくは1.05〜1.40が良い。空気漏洩式平滑度は、水転写紙用原紙表面を一定加圧下で平坦性を示すものであり、水転写紙用原紙への印刷適性と、水を迅速に吸収するクッション性との両者を両立させる有用な指標として用いることができる。
空気漏洩式平滑度計(パーカープリントサーフ)の測定値が1.96MPaの加圧条件で1.00μm未満であると、塗工層が緻密になりすぎ吸水性が悪くなる問題が生じ、1.70μmを超えると、均一なアンダーコート層・トップコート層が得られず、トップコート後の例えばスクリーン印刷適性が劣る場合が生じる。
なお、基紙の米坪は、特に規定しないが、80〜170g/m2であることが好ましい。基紙の米坪が80g/m2未満では、剛度が低くなりアンダーコート層、トップコート層、印刷層及びオーバーコート層を施した後にカールが発生し、水転写に悪影響を及ぼす場合がある。170g/m2を超えると、厚みが厚くなるため、吸水に時間がかかることや平滑性が低下し、顔料塗工層の平滑性も低下する等の問題が生じる。
また、基紙には、浸透剤の他に、必要に応じて湿潤紙力剤、乾燥紙力剤、ピッチ除去剤、歩留まり向上剤、染料、顔料等を内添してもよい。このような基紙は、通常の長網式や円網式等の抄紙機により抄造することができ、カレンダー処理を施さないで得られるが、より平滑な基紙を得るために、ヤンキードライヤーを兼ね備えた抄紙機で抄造しカレンダー処理することもできる。
ヤンキードライヤーを兼ね備えた抄紙機で抄造したヤンキー紙は、寸法安定性が高く、本発明においては、迅速な水の吸収と保持を促進するため、ヤンキー紙を原紙として用いることが好適である。
(顔料塗工層)
基紙上に形成される顔料塗工層は、顔料およびバインダーを主成分とする塗料を塗工して形成される。顔料塗工層は、基紙の表面に露出しているパルプによる凹凸を被覆し、表面を平滑にし、その上に設けられるアンダーコート層およびトップコート層の平滑性、さらには印刷層の印刷適性等の特性を向上させる。したがって、従来品と比べ高精細な印刷による転写像を得ることができる。
この顔料塗工層を形成する塗料中の顔料としては、クレー、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、シリカ、二酸化チタン、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、マイカ等の無機顔料等を挙げることができる。なお、顔料は、これらに限定されるものではない。
本発明における好適な顔料としては、クレーと軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムを組合わせ用いるのが、好ましい。クレーと軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムを組合わせることで、個々の異なった形状、結晶構造により、コッブ吸水度が接触時間30秒において40g/m2以下とされ、かつ、接触時間120秒において100g/m2以上に調整を行うことを可能とし、空気漏洩式紙平滑度計(パーカープリントサーフ)の測定値が1.96MPaの加圧条件で1.00〜1.70μmに調整する一助とすることができる。
本形態においては、クレーを45重量部〜55重量部とするのが好ましく、より好ましくは47重量部〜52重量部含有することである。そもそもクレーは、平板状の結晶構造を有しているため、顔料中のクレーの含有量が45重量部未満では、平板状の結晶構造による特性を得られ難く、優れた平滑性やアンダーコート層の目止め性が得られず、55重量部を超えると平滑性が向上する一方、空隙が減少し密になり過ぎて、水に浸漬した際に吸水性が大きく低下してしまい、トップコート層の溶解に時間を必要とすると共に、溶解のムラを生じ印刷像の毀損や転写ムラを生じる原因になる。
更には、針状の軽質炭酸カルシウム及び柱状の軽質炭酸カルシウム(以下、単に針柱状軽質炭酸カルシウムともいう。)の少なくとも一方を組み合わせ用いることが好ましい。本形態で好適に用いることができる針柱状軽質炭酸カルシウムは、長さが0.5〜3.0mm、径が0.1〜0.3μmのアラゴナイト系である。原料パルプに主として用いられるLBKPは、一般に繊維長が1.0mm前後、繊維幅が13μm前後であり、これら繊維と同様に基紙上に網目状に組み合わされた空隙を有する顔料として、針柱状軽質炭酸カルシウムは、長さが0.5〜3.0mm、径が0.1〜0.3μmの軽質炭酸カルシウムが好適に選択される。また、カルサイト系は、結晶構造が不安定で、脆い性状を呈するため、水転写紙用原紙に用いた場合、印刷層に付着して陶器に焼き付けた際に微小な汚点を生じるため好ましくない。
本発明の、水転写紙用原紙における顔料塗工層は、水を迅速に通過させる必要から空隙を有する顔料塗工層を設けることが好適である。このような空隙構造を有する顔料塗工層を設けるためには、塗工する塗工液中の顔料として、塗工後にできるだけ空隙が多くなるようなものを選択することが好ましく、使用する顔料は特に限定されるものではないが、針状又は柱状のものが有利であり、更には、吸油量が大きく、空隙が多い嵩比重の小さいものが、発明者らが鋭意検討した結果では、使用可能な各種顔料の中でも、塗工層の空隙を増大させる観点から、針状又は柱状の軽質炭酸カルシウムが好ましい。
このためには、顔料(100重量部)中に軽質炭酸カルシウムを5〜15重量部含有することが好ましく、7〜13重量部含有することがより好ましい。顔料中の軽質炭酸カルシウムの含有量が5重量部未満では、針状又は柱状による隙間の発生が少なく、吸水性向上の効果が十分に得られず、15重量部を超えると針状又は柱状による隙間が多くなりすぎ、平滑性が低下し、アンダーコート層の目止め性、印刷層の印刷適性も低下する。
重質炭酸カルシウムを用いることも可能であるが、45重量部以下であることが好ましく、35〜43重量部であることがより好ましい。物理的粉砕により得られる重質炭酸カルシウムは、軽質炭酸カルシウムと異なり粒径分布はブロードなため、塗工層の均質化には不適であり、45重量部以上配合すると、水に浸漬した際に、不均質な水の浸透を招き、転写性を低下させる問題を招く恐れがある。
この顔料塗工層を形成する塗料中の顔料として用いることが可能なシリカは、極めて微細な一次粒子が凝集した二次凝集体の構造を呈するため、高い吸水度・吸油度を示し、塗料の分散性を低下させる問題を有する。酸化チタンは、極めて小さい一次粒子構造であり、顔料コストが高く、ピンホールを生じやすいため水転写紙用原紙に用いることは現実的でない。炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、マイカは、一般的に製紙用途に供給されるものではなく、コストも高い問題を有する。クレー及び軽質炭酸カルシウム以外の顔料は、それぞれ問題点を有し、厚み方向での板状結晶構造による適度な水の浸透制御効果を制御することが困難な欠点を有する。
前記のような顔料の添加範囲にすることで、コッブ吸水度が接触時間30秒において40g/m2以下とされ、かつ、接触時間120秒において100g/m2以上に調整を行う機能剤として、顔料として好適に用いることができる、更に、空気漏洩式紙平滑度計(パーカープリントサーフ)の測定値が1.96MPaの加圧条件で1.00〜1.70μmにする調整剤としても好適に用いることができる。
前記浸透剤は、塗料にも含有させることができる。塗料に含有される浸透剤は、吸水性向上だけでなく、塗料の流動性を高め、基紙の表面に塗料をブレード塗工する時等にストリークの発生を抑える効果もある。この浸透剤としては、アセチレンジオール、アセチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、アルキルエーテル、アセチレンアルコール、ポリエーテル等の単体、これらの変性物、またはこれらの混合物等を挙げることができる。その中でも、水転写紙を水に浸漬した際に極めて均質な水の浸透を得ることが可能になり、印刷画像の転写性および作業性も向上するため、濡れ向上性(吸水性向上)と消泡機能を持ち合わせたアセチレングリコールを主成分とした浸透剤を用いることが好ましい。
アセチレングリコールを主成分とした浸透剤は、アセチレン基を中央に持ち、左右対称の構造をした非イオン性界面活性剤で、分子構造として非常に安定した構造を有し、分子量も小さく、表面張力を大きく下げる効果があり“泡のたちにくい濡れ剤”として各方面の水系材料に応用され、特に本発明においては、塗工層の塗料中の泡だけでなく、塗工層上にアンダーコート層が形成される際、塗工層との界面にあるデンプン等塗料の泡も消失させ、均一なアンダーコート層を形成させる効果もある。又、コッブ吸水度が接触時間30秒において40g/m2以下とされ、かつ、接触時間120秒において100g/m2以上に調整を行う機能剤として、顔料として好適に用いることができる、針状の軽質炭酸カルシウム及び柱状の軽質炭酸カルシウムの分散能に優れ、空気漏洩式紙平滑度計(パーカープリントサーフ)の測定値が1.96MPaの加圧条件で1.00〜1.70μmにする調整剤としても好適に用いることができる。
また、通常塗料に用いられる、グリセリンと脂肪酸からなるエステル等の油脂系消泡剤は塗料自身の濡れを低下させ吸水性を悪化させるが、アセチレングリコールを主成分とした浸透剤を使用すれば、塗料の濡れを低下させることなく消泡することが可能となる。
浸透剤の含有量としては、顔料100重量部に対して、0.01重量部〜0.3重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.2重量部で、特に好ましくは0.04〜0.1である。浸透剤の含有量が0.01重量部〜0.3重量部であることによって塗料の流動性が高くなり、ストリークの発生が抑えられ、バインダーの基紙への浸透を防止でき、表面強度の低下を防止することができる。浸透剤の含有量が0.01重量部未満では、塗料の流動性と吸水性を高める効果が十分でなく、0.3重量部を超えると、塗料中のバインダーが基紙へ浸透しやすくなってしまうため、顔料塗工層の強度が低下してしまう。したがって、塗料中に浸透剤を含有させる場合には、浸透剤の含有量を顔料100重量部に対して、0.01重量部〜0.3重量部とすることによって、塗料の流動性が高くなり、ストリークの発生が抑えられ、バインダーの基紙への浸透を防止でき、表面強度の低下を防止することができる。
本実施形態に係る水転写紙用原紙では、塗料に浸透剤を用いる場合、保水剤を適宜併用することが好ましい。
本発明における保水剤としては、例えば、アクリル酸アクリルアミド共重合物、アクリル系変性ポリマー、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等を挙げることができる。これらの中でも、アクリル酸アクリルアミド共重合物は、吸水時の膨潤性が著しく高いため、バインダーおよび浸透剤の基紙への浸透を抑えることができる
特に本発明においては、保水剤としてアクリル酸アクリルアミド共重合物が、本発明における好適な顔料として用いる、クレーと軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムの組合わせにおいて、顔料への定着性、耐バインダー性、本来持つ保水性が優れていることから好適に用いることができる。
本発明における保水剤の含有量としては、顔料100重量部に対して、0.01重量部〜0.2重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.015〜0.15重量部、更に好ましくは0.03〜0.075重量部である。保水剤は、塗料の保水性を向上させることができる。これにより、浸透剤を配合した塗工層では、保水性の向上により、塗工から乾燥工程までの間、バインダーおよび浸透剤の基紙への浸透が抑えられるとともに、塗工層中の水の湿潤を均質化できるため、浸透剤による吸水性向上効果と均一な塗工面を同時に得ることが可能となり、印刷画像の転写性、転写効率を向上させることができる。保水剤の含有量が0.01重量部未満では、保水性が向上せず、バインダーが原紙へ浸透してしまい、表面強度が低下する。保水剤の含有量が0.2重量部を超えてしまうと、塗料の流動性が低下し、バインダーの分散性が悪くなり、ストリークが発生したり、均一な塗工層が形成されなくなったりする。したがって、塗料中に保水剤を含有させる場合には、保水剤の含有量を0.01重量部〜0.2重量部とすることによって、均一な塗工面が得られる。
さらに、浸透剤と保水剤の含有比率としては、保水剤の重量を1とした場合に、浸透剤の重量比率が0.5〜2.0の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.0〜1.5範囲とすることが、コッブ吸水度が接触時間30秒において40g/m2以下とされ、かつ、接触時間120秒において100g/m2以上とするに好適である。保水剤の含有量に対する浸透剤の重量比率が0.5未満であると、基紙側へのバインダーと浸透剤の移動は抑えられるが、膨潤した保水剤が浸透剤を取り込んで浸透剤の機能が働かない場合があるため、塗工層の吸水性が向上せず、吸水ムラが発生しやすい。また、保水剤の含有量に対する浸透剤の重量比率が2.0超えると、塗料中の浸透剤の一部が保水剤と反応せずに存在するようになり、バインダーや浸透剤の一部が基紙側へ移動してしまい、塗工層の表面強度が大きく低下するとともに、浸透剤の含有量に見合った吸水性向上効果が得られない場合がある。
顔料塗工液(塗料)に含有されるバインダーとしては、スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(NBR)、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体の各種ラテックスを挙げることができる。特にSBRラテックスのうち、スチレン含有量が50重量部〜80重量部のスチレンリッチであるものが、空気漏洩式紙平滑度計(パーカープリントサーフ)の測定値が1.96MPaの加圧条件で1.00〜1.70μmに本発明における他の構成との組合せにて調整することが容易であり好ましい。スチレン含有量が50重量部〜80重量部のスチレンリッチであるものは、柔らかいブタジエンによる紙面のブロッキング効果が低く、平滑性を向上させるため、水溶性のアンダーコート層の平坦性を向上させることができ、その結果高精細な印刷像を得ることができる。
本発明におけるバインダーの含有量は、良好な吸水性と表面強度が得られることから、顔料100重量部に対して有効成分で5重量部〜40重量部であることが好ましく、より好ましくは10重量部〜20重量部である。バインダーの含有量を顔料100重量部に対して5重量部〜40重量部とすることで、良好な吸水性と表面強度が得られ、好適な水転写紙用原紙が得られる。バインダーの含有量が5重量部未満では、表面強度が低下して上層に設けるアンダーコート層の塗工においてストリークが生じる、表面の平坦性が損なわれる、等の問題が生じやすく、転写する印刷像の精細さを低下させる原因となる。バインダーの含有量が40重量部を超えると、ラテックスが顔料塗工層の表面に移動するバインダーマイグレーションが生じ表面に皮膜を作るため、吸水性が低下してしまう。したがって、湿潤時に水の浸透が阻害されてしまい、アンダーコート層や再湿糊を含有するトップコート層の湿潤および溶解が阻害され、作業性の低下を招くとともに、転写像の毀損を招く恐れが高くなる。
また、本発明における塗料中には、澱粉を内添してもよい。澱粉は、ラテックスと同じように顔料塗工層の強度を高める効果があり、例えば、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エステル化澱粉等を用いることができる。これらの中でも、塗料の保水性向上にも寄与するという点でエステル化澱粉が好ましい。塗料中に澱粉を含有させる場合には、澱粉の含有量を顔料100重量部に対して、0.5重量部〜20重量部とすることが好ましく、より好ましくは1.0重量部〜10重量部である。澱粉の含有量が0.5重量部未満では、顔料塗工層の強度を高める効果が低く、20重量部を超えると、添加量に見合った効果が得られない。したがって、塗料中に澱粉を含有させる場合には、澱粉の含有量を顔料100重量部に対して、0.5重量部〜20重量部とすることによって、コッブ吸水度が接触時間30秒において40g/m2以下とされ、かつ、接触時間120秒において100g/m2以上とされ、空気漏洩式紙平滑度計(パーカープリントサーフ)の測定値が1.96MPaの加圧条件で1.00〜1.70μmに好適に調整された水転写紙用原紙を得ることができる。
このような構成からなる水転写紙用原紙は、ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター等の塗工方式で塗料を塗工することができる。塗工量は5g/m2〜25g/m2とするのが好ましく、さらに8g/m2〜20g/m2であるとより好ましく、基紙に均一に塗工することができる。乾燥後、塗工面がより平滑となるようにソフトカレンダー、スーパーカレンダー等により適宜カレンダー処理をしてもよい。
以上のような構成の水転写紙用原紙は、基紙の片面に、顔料およびバインダーを主成分とする塗料を塗工して顔料塗工層を形成し、顔料塗工層側のJIS P 8140に規定する接触時間30秒におけるコッブ吸水度が40g/m2以下、且つ、接触時間120秒におけるコッブ吸水度が100g/m2以上になる。この水転写紙用原紙では、顔料塗工層中に浸透剤と保水剤を併用することで、塗料に配合したバインダーおよび浸透剤の基紙側への移動がなくなり、顔料塗工層の表面強度の低下が抑えられるとともに、水への浸漬時に基紙側から浸透する水の吸水性が高まり、顔料塗工層全体での吸水ムラがなくなるため、アンダーコート層の溶解ムラがなくなり、トップコート層/印刷層/オーバーコート層が一体となった転写層のスライド性が良好となる。
本発明において平坦性の指標として用いる空気漏洩式紙平滑度計(パーカープリントサーフ)は、国際規格ISO 8791/4及びTAPPI T555準拠のPPS方式の紙・板紙用平滑度試験機であり、得られる測定値は”紙の圧縮性を含めた平滑度”となり、このため本発明に基づく水転写用紙のように、高い吸水性を発現する緻密な紙層と塗工層を有する用紙表面の実情に即した平坦性に好適に採用できる試験方法である。
以下、本発明に係る実施例を、比較例を参照しつつ詳説する。
水転写紙用原紙における塗工層表面の吸水ムラ、塗工層表面側の強度、加工(アンダーコート層及びトップコート層の形成)後のスクリーン印刷適性、転写層のスライド性、転写焼付け後の絵柄の美粧性について、以下の方法により評価した。条件及び結果を、表1及び表2に示す。
Figure 2009137203
Figure 2009137203
〔塗工層表面側のコッブ吸水度〕
水転写用原紙の塗工層表面側のJIS P 8140に準拠したコッブ吸水度を測定した。水との接触時間30秒後、120秒後の吸水量を測定した。
〔平坦性(プリントサーフラフネス(PS粗さ))〕
顔料塗工層表面側のプリントサーフラフネスをISO−8791/4(1992年)に従って測定した。測定機は、Messmer社製のPARKER PRINT−SURF Roughness Tester MODEL No.Me−90を用い、ソフトバッキング、クランプ圧1.96MPaの条件で測定した。
〔塗工層表面側の吸水ムラ〕
JIS P 8140に定める治具(吸水試験器)を用い、赤インクを混ぜた水を用いて、塗工層表面と水との接触時間10秒後の吸水の状態、すなわち水接触面(試験面積100cm2)のうちどの程度染み込みが進行しているかを目視で観察し、下記基準で吸水ムラを相対評価した。
(評価基準)
5:完全に染みている。
4:染みていない点(1mm×1mm以上の大きさ)が1個。
3:染みていない点(1mm×1mm以上の大きさ)が2個以上3個未満。
2:染みていない点(1mm×1mm以上の大きさ)が3個以上5個未満。
1:染みていない点(1mm×1mm以上の大きさ)が5個以上。
評価3〜5であれば、水転写紙用原紙として合格レベルとする。
〔塗工層表面側の表面強度〕
RI試験機を用い、タックインキ(20A)による塗工層表面の剥け(取られ)状態を目視で観察し、下記の基準で表面強度を評価した。
(評価基準)
5:剥けがない。
4:剥けが少ない。
3:剥けがやや目立つ。
2:剥けが多く目立つ。
1:剥けがかなり多く目立つ。
評価3〜5であれば、水転写紙用原紙として合格レベルとする。
〔スクリーン印刷適性〕
水転写紙用原紙の塗工層上にデンプンからなるアンダーコート層、CMCからなるトップコート層を設けた後、フレキソ印刷による印刷を施し、インキの載り具合を目視で観察し、下記基準で評価した。
(評価基準)
5:白抜けがない。
4:白抜けが少ない。
3:白抜けがやや目立つ。
2:白抜けが多く目立つ。
1:白抜けがかなり多く目立つ。
評価3〜5であれば、水転写紙用原紙として合格レベルとする。
〔転写層のスライド性〕
水転写紙用原紙の塗工層上にデンプンからなるアンダーコート層、CMCからなるトップコート層、フレキソ印刷による印刷層及びアクリル樹脂からなるオーバーコート層を所定の厚みで順次設け、水に浸漬させてから所定時間までの、トップコート層、印刷層及びオーバーコート層が一体となった転写層のスライド性を目視で観察し、下記基準で評価した。
(評価基準)
5:トップコート層が完全に溶解・スライドする。
4:トップコート層が完全に溶解するが、スライドに時間がかかる。
3:印刷層にトップコート層の一部が付着してスライドする。
2:印刷層にトップコート層の多くが付着してスライドする。
1:トップコート層の溶解が進まずスライドしない。
評価3〜5であれば、水転写紙用原紙として合格レベルとする。
〔転写焼付け後の絵柄の美粧性〕
前記スライドされた転写層を陶器に転写し、所定の温度・時間で焼成した後の、表面絵柄の状態を下記基準で評価した。
(評価基準)
5:光沢が高く、絵柄が鮮明である。
4:やや光沢が鈍いが、絵柄は鮮明である。
3:やや光沢が鈍く、絵柄の一部が不鮮明である。
2:光沢が全体的に鈍く、絵柄が全体的に不鮮明である。
1:光沢がなく、絵柄が認識できない。
評価3〜5であれば、水転写紙用原紙として合格レベルとする。
本実施例及び比較例で用いた基紙及び塗料は次の通りである。
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)は、フリーネスが600cc品を、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)は、フリーネスが650cc品を用意し、実施例18と19においては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を表1に沿って配合し、叩解処理によりフリーネスを600ccに調整した。水と内添薬品とからなる懸濁液を、ヤンキードライヤー抄紙機で抄紙し、基紙を抄造した。これら基紙は表1に記載のとおり、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)とで構成されている。基紙には、湿潤紙力増強剤(星光PMC社製、WS−4204)と浸透剤(星光PMC社製、DF−45)をそれぞれ内添した。これら基紙の米坪は、表1の記載の通りである。
塗料は、平均粒子径0.2μm〜0.6μmのクレー(シール社製、商品名カオファイン)と、軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、商品名TP−123)とを元に調整した顔料と、バインダーとしてスチレン・ブタジエンラテックス(旭化成ケミカルズ社製の商品名A6200)と、保水剤、浸透剤を表1に沿って調整した。作製した塗料は、原紙の一方の面にブレードコーターで塗工した。
本発明は、陶器などの絵付けに用いる水転写紙用原紙として適用可能である。
水転写紙の断面模式図である。
符号の説明
1…基紙、2…顔料塗工層、3…アンダーコート層、4…トップコート層、5…印刷(絵柄)層、6…オーバーコート層、7…バックコート層、8…水転写紙用原紙、9…転写層、10…水転写紙。

Claims (5)

  1. 基紙と、この基紙の一方の面に設けられた顔料及び接着剤を主成分とする顔料塗工層を有し、
    この顔料塗工層上に、澱粉を含むアンダーコート層、再湿糊を含むトップコート層、印刷層及びオーバーコート層がこの順に設けられる水転写紙用原紙であって、
    前記顔料塗工層表面の、
    JIS P 8140に準拠したコッブ吸水度が接触時間30秒において40g/m2以下とされ、かつ、接触時間120秒において100g/m2以上とされ、
    更に空気漏洩式紙平滑度計(パーカープリントサーフ)の測定値が1.96MPaの加圧条件で1.00〜1.70μmとされている、
    ことを特徴とする水転写紙用原紙。
  2. 前記顔料として、針状の軽質炭酸カルシウム及び柱状の軽質炭酸カルシウムの少なくとも一方が用いられ、
    この軽質炭酸カルシウムの割合が、前記顔料100重量部に対して5〜15重量部とされ、
    かつ、前記顔料塗工層が、浸透剤及び保水剤を含む、
    請求項1記載の水転写紙用原紙。
  3. 前記保水剤と前記浸透剤との配合質量割合が、1:0.5〜2.0とされている、請求項2記載の水転写紙用原紙。
  4. 前記浸透剤が、アセチレングリコールを主成分とする、請求項2又は請求項3項記載の水転写紙用原紙。
  5. 前記保水剤が、アクリル酸アクリルアミドを主成分とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の水転写紙用原紙。
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