JP2009136113A - グロメットの防水方法および防水グロメットを備えたワイヤハーネス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】浸水領域から車室内へと車体パネルの貫通孔を貫通させるワイヤハーネスW/Hに装着するグロメット10の防水方法であって、熱硬化性樹脂粉末を押し固め、中心部から突出片12bを放射状に突出させたスペーサ兼防水材12兼防水材15を予め設け、電線Wを集束してワイヤハーネスW/Hを形成する時に、電線W中にスペーサ兼防水材12兼防水材15を取り付け、該スペーサ兼防水材12兼防水材15の中心部を電線Wの中央部に位置させると共に突出片12bを電線Wの隙間を押し広げて突出させておき、スペーサ兼防水材12兼防水材15を取り付けた領域のワイヤハーネスW/Hにグロメット10を外嵌し、その後、熱硬化性樹脂粉末が溶融する温度で加熱して、グロメット10内を貫通する電線Wの隙間に防水材15を浸透させている。
【選択図】図1
Description
しかし、グロメットの電線挿通部とワイヤハーネスの電線との隙間および電線群の隙間から浸水が発生する場合があり、従来より種々の防水構造が提案されている。
また、液状のシール剤を用いると、注入器を用いて注入量を監視しながらシール剤を充填する必要があり、取り扱いにくい問題がある。
熱硬化性樹脂粉末を押し固め、中心部から突出片を放射状に突出させた固形のスペーサ兼防水材を予め設け、
複数の電線群を集束してワイヤハーネスを形成する時に、該ワイヤハーネスのグロメット取付領域の電線群中に前記スペーサ兼防水材を取り付け、該スペーサ兼防水材の前記中心部を前記電線群の中央部に位置させると共に前記突出片を電線群の隙間を押し広げて突出させておき、
前記スペーサ兼防水材を取り付けた領域のワイヤハーネスにグロメットを外嵌し、
その後、前記熱硬化性樹脂粉末が溶融する温度で加熱して、前記グロメット内を貫通する電線群の隙間に防水材を浸透させていることを特徴とするグロメットの防水方法を提供している。
このように、予め固形の防水材の形状に形成し、この固形の防水材を電線群の間に挿入して直接に配置しているため、特許文献1のように、グロメット内に上端開口から液状の防水材を流し込んで、電線挿通部の他端側までシール剤を浸透させていく必要はなく、浸透距離を短くすることができる。言い換えれば、シール剤により硬化される部分の距離を短くでき、グロメットの曲げにくい部分を短い寸法にできる。その結果、該グロメットから引き出されるワイヤハーネスを曲げやすくでき、ワイヤハーネスの配索経路の自由度を向上させることができる。
また、スペーサ兼防水材を中心部から突出片を放射状に突出させた形状とし、電線群中に配置することにより、電線群を径方向に分散させて電線群間に均等に隙間を形成して防水材を配置でき、加熱後にスペーサが溶融して防水材をスムーズに浸透させることができる。
さらに、スペーサの大きさや形状を変化させることで、溶融した防水材の量を簡単に調整することができ、液体の防水材を用いる場合に比べて定量管理が容易となり、異なる形状のグロメットにも柔軟に対応することができる。
また、注入器など液体の防水材を注入する設備が不要となり、設備費を削減することができる。
なお、本願明細書において、「熱硬化性樹脂粉末」は、溶融温度で溶融した後に硬化させた固形としたものではなく、未硬化及び半硬化状態の熱硬化性樹脂粉末を指し、加熱により溶融して網状構造を形成し、不溶不融の状態に硬化するものである。
熱硬化性樹脂粉末を押し固め、丸棒状または直方体状のスペーサ兼防水材を予め設け、
前記グロメットにワイヤハーネスの電線群を貫通させた後に、前記スペーサ兼防水材をグロメット内の電線群中に周方向に間隔をあけて電線群の隙間を押し広げて挿入し、
その後、前記熱硬化性樹脂粉末が溶融する温度で加熱して、前記グロメット内を貫通する電線群の隙間に防水材を浸透させていることを特徴とするグロメットの防水方法を提供している。
また、スペーサ兼防水材を丸棒状または直方体状のペレットとすることで、一定量の熱硬化性樹脂粉末からなる汎用のスペーサ兼防水材として予め用意しておくことができる。
よって、グロメットの内径および電線本数に応じて所要本数の棒状または直方体状のペレットを用いて防水材の量を容易に調節することができる。
また、これらペレットは丸棒状または直方体状として電線群の長さ方向に沿わせ、周方向に間隔をあけて挿入することで、溶融した防水材を均一かつ確実に行き渡らせることができる。
前記放射状としたスペーサ兼防水材を用いる場合、該スペーサ兼防水材を電線群中に挿入した後、その両側を前記のようにテープで締結し、グロメット内に挿入時及び挿入状態においても、電線群中にスペーサ兼防水材が倒れることなく保持できるようにしている。
一方、前記丸棒状または直方体状のスペーサ兼防水材を用いる場合では、グロメットの大径筒部内に位置させるテープ巻き締結部はグロメットへの挿入前に設けておき、小径筒部から挿入するスペーサ兼防水材の先端位置を位置決めし、グロメットの小径筒部内に挿入した後に、該小径筒部から引き出された位置の電線群にテープ巻き締結部を設けている。 このように、スペーサ兼防水材の取付位置の両側にテープ巻き締結部を設けておくと、加熱溶融時に防水材がテープ巻き締結部を越えて外方へ流出するのを抑制できる。
該グロメットの防水構造では、スペーサを用いずに電線群の隙間を広げているため、部品点数を削減できる。
前記グロメットは、ゴムまたはエラストマーからなり、電線群の外周に密着する小径筒部と、該小径筒部の一端から連続して拡径する大径筒部と、該大径筒部の先端に前記車体パネルの貫通孔の周縁に係止する車体係止部を備え、
前記グロメットの小径筒部から大径筒部へと前記ワイヤハーネスの電線群が貫通し、
前記小径筒部内に密着して貫通する電線群の隙間がスペーサーを介さずに部分的に広げられ、これらの隙間および該電線群と小径筒部の内面との間に止水材が充填されていることを特徴とする防水グロメットを備えたワイヤハーネスを提供している。
また、スペーサ兼防止材は線間止水する位置に予め配置しているため、加熱して溶融すると、該溶融位置で電線間の隙間に充填され、かつ、隣接した電線間の隙間に迅速に浸透させることができる。
また、防水材を流し込むのではなく、防水材を浸透させる電線群の領域にスペーサ兼防水材を配置しているので、防水材を無駄に使用することがなく、防水材のコストダウンを図ることができる。
さらに、スペーサの大きさや形状を変化させることで、溶融した防水材の量を簡単に調整することができ、液体の防水材を用いる場合に比べて定量管理が容易となり、異なる形状のグロメットにも柔軟に対応することができる。
また、注入器など液体の防水材を注入する設備が不要となり、設備費を削減することができる。
また、スペーサ兼防水材を丸棒状または直方体状のペレットとすることで、一定量の熱硬化性樹脂粉末を予め用意しておくことができるため、ハンドリングを容易にでき、作業性を向上させることができる。かつ、ペレットを丸棒状または直方体状として電線群の長さ方向に沿わせ、周方向に間隔をあけて挿入することで、溶融した防水材を均一かつ確実に行き渡らせることができる。さらに、電線の本数に応じてペレットの挿入本数を調整することで、防水材の量の調節を容易に行うことができる。
図1乃至図4に本発明の第1実施形態を示す。
図1に示すように、ワイヤハーネスW/Hを構成する電線群にグロメット10を取り付け、該グロメット10の内部を貫通する電線群Wに防水材を充填し、防水グロメットとしている。
グロメット10は、ゴムまたはエラストマーからなり、図2に示すように、先端に車体パネルの貫通孔の周縁に係止する車体係止溝10aを設けた大径部10bと、該大径部10bの縮径端と連続し、ワイヤハーネスW/Hを構成する電線Wの外周に密着する小径筒部10cとを設けている。
該スペーサ兼防水材12は、その外径を小径筒部10cの内径より若干大きく形成して、小径筒部10cに突出片12bの先端を内接状態で取り付けるようにしている。
なお、各突出片12bの先端より周方向に円弧状に突出した円弧板部を備えた形状としてもよく、さらに、突出片12bの両側面には、電線収容空間12f内に略円弧状に突出する複数の突起を設けもよい。
該熱可塑性樹脂粉末は、前記のように、溶融温度で溶融した後に硬化させた固形としたものではなく、未硬化及び半硬化状態の熱硬化性樹脂粉末からなり、本発明ではエポキシ樹脂の粉末からなる。
次に、図4(B)に示すように、作業者が、スペーサ兼防水材12を電線Wの中央部に位置させると共に、スペーサ兼防水材12の外周全体に電線Wを略均等に位置させ、この状態で電線Wを把持して電線をスペーサ兼防水材12の各突出片12b間の隙間に分散して押し込み、各電線収容空間12fに均等に挿入する。
この状態で、粘着テープ14Bによる締結部は小径筒部10cに近接した位置の大径筒部10b内に位置させ、粘着テープ14Aによる締結部は小径筒部10cより引き出された部位に位置させている。
電線の中央部に位置する溶融したスペーサ兼防水材12の中心連結部12aQが電線群の中央部の隙間に溶融状態で充填され、かつ、溶融した突出片12bQが電線群と小径筒部10cの内周面の隙間及び電線群の径方向の隙間に充填される。
さらに、溶融しているため、前記各部に隣接する電線群の隙間へと迅速に浸透していくと共に、小径筒部10cの内部へも流れて、該小径筒部10c内の電線群の隙間および電線群と小径筒部10c内周面の隙間にも充填される。その結果、図1(B)に示すように、溶融した防水材12Qが小径筒部10c内の隙間に確実に充填される。
加熱により溶融した防水材12Qは自然冷却により所要時間後に硬化する。該硬化した後は、グロメット10を加熱雰囲気下に配置しても溶融せずに硬化状態を保持する。
また、スペーサ兼防水材12を中心部から突出片12bを放射状に突出させた形状とし、電線Wに取り付けることで、電線Wを径方向に拡径させて電線W間に隙間を形成することができ、加熱後に溶融した防水材を電線の隙間にスムーズに浸透させることができる。
第2実施形態は、スペーサ兼防水材12を丸棒状としたペレット21としている。
第1実施形態ではワイヤハーネスをグロメットに通す前にスペーサ兼防水材12をワイヤハーネスの電線群中に取り付けているが、第2実施形態では、グロメット10にワイヤハーネスW/Hの電線Wを貫通させた後に、丸棒状ペレット21をグロメット10内の電線群中に挿入している。
ついで、電線群Wに密着している小径筒部10cを無理開きして、該小径筒部10cの先端開口から前記棒状ペレット21を複数本電線群の間および電線群と小径筒部10cの内周面の間に押し込む。
該棒状ペレット21を押し込んだ後に小径筒部10cの無理開きを解除すると、小径筒部10cが電線群Wおよび丸棒状ペレット21の外周面に密着する。
ついで、小径筒部10cから引き出されて位置の電線群に粘着テープ14Aを強く巻き付けてテープ巻き締結部を設ける。
この状態で、小径筒部10cの外周面と、該小径筒部10cから導出する電線群の外周面にかけて粘着テープ32を巻きつけて、グロメット10と電線群Wとを固着する。
溶融した防水材12Qは前記粘着テープ14A、14Bの締結箇所で流れが止められ、外方への漏れを抑制できる。
また、グロメット装着前にスペーサ兼防水材12を電線群中に取り付ける場合は、その取付位置に位置ずれが発生しやすいが、ワイヤハーネスにグロメットを取り付けてから、該グロメット内のワイヤハーネスの電線群中にスペーサ兼防水材12に挿入するため、位置ずれが発生することはない。かつ、スペーサ兼防水材12を丸棒状ペレット21としていることにより、ハンドリングを容易にでき、作業性を向上させることができる。
また、スペーサ兼防止材12を丸棒状ペレット21としているため、電線Wの長さ方向に沿わせて、周方向に間隔をあけて挿入することで、溶融した防水材21Aを均一かつ確実に行き渡らせることができる。
なお、他の構成および作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
第三実施形態では、スペーサ兼防水材のペレットを、丸棒状に代えて、直方体状のペレット21としている。
また、グロメット10は第一実施形態と異なり、車体係止部10bの縮径端と連続した中径筒部10eを設け、該中径筒部10eの小径側に小径筒部10cを連続して設けている。
該グロメット10の車体係止部10bから中径筒部10eに位置する電線群W中に前記直方体状のペレット21を挿入している。
該ペレット21をグロメット10内の電線群Wの間に挿入した後は、第一、第二実施形態と同様に加熱溶融して、電線群の隙間に充填している。
10b 車体係止部
10c 小径筒部
12 スペーサ兼防水材
12b 突出片
12Q 溶融した防水材
14A、14B 粘着テープ
21 棒状ペレット
W/H ワイヤハーネス
Claims (8)
- 浸水領域から車室内へと車体パネルの貫通孔を貫通させるワイヤハーネスに装着するグロメットの防水方法であって、
熱硬化性樹脂粉末を押し固め、中心部から突出片を放射状に突出させた固形のスペーサ兼防水材を予め設け、
複数の電線群を集束してワイヤハーネスを形成する時に、該ワイヤハーネスのグロメット取付領域の電線群中に前記スペーサ兼防水材を取り付け、該スペーサ兼防水材の前記中心部を前記電線群の中央部に位置させると共に前記突出片を電線群の隙間を押し広げて突出させておき、
前記スペーサ兼防水材を取り付けた領域のワイヤハーネスにグロメットを外嵌し、
その後、前記熱硬化性樹脂粉末が溶融する温度で加熱して、前記グロメット内を貫通する電線群の隙間に防水材を浸透させていることを特徴とするグロメットの防水方法。 - 浸水領域から車室内へと車体パネルの貫通孔を貫通させるワイヤハーネスに装着するグロメットの防水方法であって、
熱硬化性樹脂粉末を押し固め、丸棒状または直方体状のスペーサ兼防水材を予め設け、
前記グロメットにワイヤハーネスの電線群を貫通させた後に、前記スペーサ兼防水材をグロメット内の電線群中に周方向に間隔をあけて電線群の隙間を押し広げて挿入し、
その後、前記熱硬化性樹脂粉末が溶融する温度で加熱して、前記グロメット内を貫通する電線群の隙間に防水材を浸透させていることを特徴とするグロメットの防水方法。 - 前記熱硬化性樹脂粉末はエポキシ樹脂粉末からなる請求項1または請求項2に記載のグロメットの防水方法。
- 前記スペーサ兼防水材を電線群中に取り付けた状態で、該スペーサ兼防水材の取付位置を挟んで前記電線群をテープ巻きして締結しておき、
前記加熱により溶融する防水材が、前記テープ巻き位置より外側への流出を抑制している請求項1または請求項2に記載のグロメットの防水方法。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方法で形成されたグロメットの防水構造。
- 浸水領域から車室内へと車体パネルの貫通孔にグロメットを介して貫通させるワイヤハーネスであって、
前記グロメットは、ゴムまたはエラストマーからなり、電線群の外周に密着する小径筒部と、該小径筒部の一端から連続して拡径する大径筒部と、該大径筒部の先端に前記車体パネルの貫通孔の周縁に係止する車体係止部を備え、
前記グロメットの小径筒部から大径筒部へと前記ワイヤハーネスの電線群が貫通し、
前記小径筒部内に密着して貫通する電線群の隙間がスペーサーを介さずに部分的に広げられ、これらの隙間および該電線群と小径筒部の内面との間に止水材が充填されていることを特徴とする防水グロメットを備えたワイヤハーネス。 - 前記大径筒部内を貫通する電線群にはテープ巻き締結部があると共に、前記小径筒部から引き出された位置の電線群にはテープ巻き締結部があり、
前記両側のテープ巻き締結部に挟まれた部分で、前記電線群の隙間が部分的に広げられ、該隙間に止水剤が充填されている請求項6に記載の防水グロメットを備えたワイヤハーネス。 - 請求項4に記載の方法で形成された防水構造を有するグロメットを備えた請求項7に記載の防水グロメットを備えたワイヤハーネス。
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