JP2009133463A - 連結ロッド - Google Patents

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Abstract

【課題】筒体がその軸芯方向で短く設定されている場合であっても、溶接部に亀裂が入りにくい耐久性に優れた連結ロッドを提供する。
【解決手段】ロッド本体1と筒体11と防振ブッシュを備え、ロッド本体1は、断面コの字状の連結板と補強板4とから成り、連結板の長手方向Nの端部を筒体11の外周面11Gに溶接固着し、補強板4の幅方向の両側部4Sを連結板3の両側壁5に溶接固着し、補強板4の長手方向Nの端部を筒体の外周面11Gに溶接固着してある連結ロッドであって、補強板4の長手方向Nの端部に、筒体11の周方向Sで連結板の両側壁5の外面の外方側に延出する一対の延出部6を設け、連結板3の両側壁5間の補強板4の長手方向Nの端部と延出部6とを筒体11の外周面11Gに溶接固着してある。
【選択図】図3

Description

本発明は、
ロッド本体と、
前記ロッド本体の長手方向の端部に外周面が溶接固着された筒体と、
前記筒体に内装された防振ブッシュとを備え、
前記ロッド本体は、前記筒体の軸芯方向に沿う方向に開放した断面コの字状の連結板と、前記連結板を補強する補強板とから成り、
前記連結板の長手方向の端部を前記筒体の外周面に溶接固着し、
前記補強板の幅方向の両側部を前記連結板の両側壁に各別に溶接固着し、
前記補強板の長手方向の端部を前記筒体の外周面に溶接固着してある連結ロッドに関する。
乗用車等の自動車に搭載されるエンジンは、通常、トランスミッション等を含めたユニットに構成されて車体に組み込まれ、防振マウントにより支持される。この際、エンジンユニットのロール方向の動きや振動を抑制するために、該ユニットの一部(主に下部)が車輌走行方向とは反対方向に延びるトルクロッドと称する連結ロッドにより車体に連結されている。
従来、この種の連結ロッドでは、図6,図7に示すように、連結板3の長手方向一端部と補強板4の長手方向の一端部とを筒体11の外周面11Gに嵌合させて溶接固着してあった。符号1はロッド本体、12は別の筒体、50は溶接部である。
上記の連結ロッドの筒体11は軸芯方向Jの長さが短く設定されることがある。このような場合、筒体11の外周面11Gと連結板3の両側壁5の端部の前記軸芯方向Jにおける長さも短くなり、筒体の外周面11Gと連結板3の両側壁5との溶接長さL(溶接部の長さ)が短くなっていた。
そのために、筒体11の外周面11Gと連結板3の両側壁5との溶接の際に母材に十分な熱が加わらず、母材の溶け込みが不十分になっていた。このようになると筒体11の外周面11Gと連結板3の両側壁5との溶接部50の強度が低下し、車体への組付け後に前記溶接部50に繰り返し加わる入力で溶接部50に亀裂が発生して耐久性が低下しやすくなるという問題があった。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、筒体がその軸芯方向で短く設定されている場合であっても、溶接部に亀裂が入りにくい耐久性に優れた連結ロッドを提供する点にある。
請求項1の構成による発明の構成・作用・効果は次のとおりである。
[構成]
ロッド本体と、
前記ロッド本体の長手方向の端部に外周面が溶接固着された筒体と、
前記筒体に内装された防振ブッシュとを備え、
前記ロッド本体は、前記筒体の軸芯方向に沿う方向に開放した断面コの字状の連結板と、前記連結板を補強する補強板とから成り、
前記連結板の長手方向の端部を前記筒体の外周面に溶接固着し、
前記補強板の幅方向の両側部を前記連結板の両側壁に各別に溶接固着し、
前記補強板の長手方向の端部を前記筒体の外周面に溶接固着してある連結ロッドであって、
前記補強板の長手方向の端部に、前記筒体の周方向で前記連結板の両側壁の外面の外方側に延出する一対の延出部を設け、
前記連結板の両側壁間の前記補強板の長手方向の端部と、前記補強板の前記延出部とを前記筒体の外周面に溶接固着してある。
[作用]
この構成によれば、前記連結板の両側壁間の前記補強板の長手方向の端部と、前記補強板の前記延出部とを前記筒体の外周面に溶接固着してあるから、溶接部の長さを長くすることができる。これにより、溶接の際に母材に十分な熱が加わるようになり、母材の溶け込みが十分多くなって溶接部の強度が強くなり、車体への組付け後に前記溶接部に繰り返し入力が加わっても溶接部に亀裂が発生しくくなる。
請求項2による発明の構成・作用・効果は次のとおりである。
[構成]
請求項1による発明の構成において、
前記補強板の幅方向の両側部を前記連結板の両側壁の内面に各別に溶接固着し、
前記連結板の両側壁の長手方向の端部に切欠きを形成し、
前記延出部を前記切欠きを通して前記両側壁の外面の外方側に延出してある。
[作用]
請求項1の構成による上記の作用に加えて、次の作用を奏することができる。
前記補強板の幅方向の両側部を前記連結板の両側壁の内面に各別に溶接固着し、
前記連結板の両側壁の長手方向の端部に切欠きを形成し、
前記延出部を前記切欠きを通して前記両側壁の外面の外方側に延出してあるから、筒体の軸芯方向で補強板を連結板の内方に配置することができて、筒体の軸芯方向の長さが短い場合に十分対応することができるとともに、ロッド本体を、強度を備えた構造でありながら小型化することができる。
請求項3による発明の構成・作用・効果は次のとおりである。
[構成]
請求項1又は2による発明の構成において、
前記連結板の両側壁に連なる背壁の長手方向の端部を前記筒体の外周面に溶接固着してある。
[作用]
請求項1又は2の構成による上記の作用に加えて、次の作用を奏することができる。
前記連結板の両側壁に連なる背壁の長手方向の端部を前記筒体の外周面に溶接固着してあるから、ロッド本体の強度をより強くすることができる。
本発明によれば、
筒体がその軸芯方向で短く設定されている場合であっても、溶接部に亀裂が入りにくい耐久性に優れた連結ロッドを提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1はエンジンと車体を連結する連結ロッドとしてのトルクロッド100の正面図、図2はトルクロッド100の平面図、図3はトルクロッド100の下面図、図4は防振ブッシュ(第1防振ブッシュB1と第2防振ブッシュB2)を圧入する前のトルクロッド100の正面図、図5は防振ブッシュを圧入する前のトルクロッド100の平面図である。
各図に示すように、トルクロッド100は、ロッド本体1と、ロッド本体1の長手方向Nの一端部1Aに外周面11Gが溶接固着された円筒状の第1筒体11(筒体に相当)と、第1筒体11に内装された第1防振ブッシュB1と、ロッド本体1の長手方向Nの他端部1Bに外周面12Gが溶接固着された円筒状の第2筒体12と、第2筒体12に内装された第2防振ブッシュB2とを備えている。
前記第1筒体11は第2筒体12よりも小径に設定され、前記第1防振ブッシュB1は第2防振ブッシュB2よりも小径に設定され、第1筒体11の軸芯方向J1の長さは第1筒体11の外径よりも短く設定されるとともに、第2筒体12の軸芯方向J2の長さよりも短く設定され、第1筒体11の軸芯O1と第2筒体12の軸芯O2は互いに間隔を空けて直交する状態に設定されている。
第1防振ブッシュB1は、第1内筒21と、これを囲む第1外筒31と、第1内筒21と第1外筒31の間に介在してこれらを連結する第1ゴム状弾性体41とから成り、第1外筒31が第1筒体11に圧入されている。そして、第1内筒21に挿通された第1取付けボルト(図示せず)により第1防振ブッシュB1が車体に取付け固定されるようになっている。
第2防振ブッシュB2は、第2内筒22と、これを囲む第2外筒32と、第2内筒22と第2外筒32の間に介在してこれらを連結する第2ゴム状弾性体42とから成り、第2外筒32が第2筒体12に圧入されている。そして、第2内筒22に挿通された第2取付けボルト(図示せず)により第2防振ブッシュB2がエンジンに取付け固定されるようになっている。
前記ロッド本体1は、第1筒体11の軸芯方向J1に沿う方向に開放した断面コの字状の連結板3と、連結板3を補強する補強板4とから成る。そして、連結板3の長手方向Nの一端部3Aを第1筒体11の外周面11Gに溶接固着し、補強板4の幅方向Wの両側部4S(図3参照)を連結板3の両側壁5の内面5Nに各別に溶接固着し、補強板4の長手方向Nの一端部4Aを第1筒体11の外周面11Gに溶接固着してある。
図3に示すように、第1筒体11の軸芯方向視で連結板3の一方の側壁5は一直線状に設定され、他方の側壁5は「く」の字状に折曲して、第1筒体11側の連結板3の両側壁5の間隔が、第2筒体12側の連結板3の両側壁5の間隔よりも広く設定されている。また、図1に示すように、第2筒体12の軸芯方向視で連結板3の両側壁5は第2筒体12側に向かって広がる三角形状に設定されている。
そして、補強板4の長手方向Nの一端部4Aに、第1筒体11の周方向Sで連結板3の両側壁5の外面5Gの外方側に延出する一対の円弧状の延出部6を設け、連結板3の両側壁5の長手方向Nの一端部3Aに切欠き7を形成し、前記延出部6を切欠き7を通して前記両側壁5の外面5Gの外方側に延出し(図3参照)、連結板3の両側壁5間に位置する補強板4の長手方向Nの一端部4Aに形成した円弧状の嵌合面と、補強板4の前記延出部6の円弧状の嵌合面とを第1筒体11の外周面11Gに嵌合して溶接固着してある(図3参照)。両嵌合面は連続して滑らかに連なっている。 図1に示すように、切欠き7は、連結板3が開放する方向と同一方向(連結板3の両側壁5に連なる背壁8側とは反対方向)と、前記第1筒体11の外周面11G側を向く方向とに開放している。
また、図2に示すように、連結板3の両側壁5に連なる背壁8の長手方向Nの一端部8Aの端面に円弧状の嵌合面を形成し、この嵌合面を第1筒体11の外周面11Gに嵌合して、背壁8の外面8Gの外方側から溶接固着してある(図1参照)。連結板3の両側壁5の一端部(背壁8の一端部を除く)と第1筒体11の外周面11Gとは溶接固着してない。これにより、溶接箇所を低減して製造コストを抑えてある。この構造に換えて、連結板3の両側壁5の一端部(背壁8の一端部を除く)と第1筒体11の外周面11Gとを溶接固着してもよい。
図1に示すように、連結板3の両側壁5の長手方向Nの他端部3Bに円弧状の嵌合面を形成し、この嵌合面を第2筒体12の外周面12Gに嵌合して、側壁5の外面の外方側から溶接固着してある。
上記構造のトルクロッド100は次のようにして製造される。
(1) 連結板3と補強板4をプレス加工により成形する。
このとき、連結板3の両側壁5に連なる背壁8の長手方向Nの一端部の端面に円弧状の嵌合面を形成し、連結板3の両側壁5の長手方向Nの他端部に円弧状の嵌合面を形成し、連結板3に前記切欠き7を形成する。また、補強板4の長手方向Nの一端部4Aに前記円弧状の延出部6を形成する。
次に、補強板4の幅方向Wの両側部4Sを連結板3の両側壁5の内面5Nに各別に溶接固着してロッド本体1を形成する。
そして、連結板3の両側壁5に連なる背壁8の長手方向Nの一端部の端面に形成した円弧状の嵌合面を第1筒体11の外周面11Gに嵌合して、背壁8の外面8Gの外方側から溶接固着し、連結板3の両側壁5間の補強板4の長手方向Nの一端部4Aに形成した円弧状の嵌合面と、補強板4の前記延出部6の円弧状の嵌合面とを第1筒体11の外周面11Gに嵌合して溶接固着する。
また、連結板3の両側壁5の長手方向Nの他端部に形成した円弧状の嵌合面を第2筒体12の外周面12Gに嵌合して、側壁5の外面の外方側から溶接固着する。これにより、図4〜図5に示すように、連結板3と補強板4が一体になったトルクロッド100の中間品(防振ブッシュの圧入前の状態)が形成される。
(2) 前記中間品の第1筒体11に第1防振ブッシュB1を圧入し、中間品の第2筒体12に第2防振ブッシュB2を圧入して図1〜図3に示すトルクロッド100を製造する。
上記のようにして製造したトルクロッド100は、第1防振ブッシュB1に第1取付けボルトを挿通させてトルクロッド100の一端部を車体に取付け固定し、第2防振ブッシュB2に第2取付けボルトを挿通させてトルクロッド100の他端部をエンジンに取付け固定する。このようにしてトルクロッド100でエンジンと車体を連結し、エンジンユニットのロール方向の動きや振動を抑制する。
上記の構成によれば、前記連結板3の両側壁5間の補強板4の長手方向の端部と、補強板4の延出部6とを第1筒体11の外周面11Gに溶接固着してあるから、溶接部50の長さを長くすることができる。これにより、溶接の際に母材に十分な熱が加わるようになり、母材の溶け込みが十分多くなって溶接部50の強度が強くなり、車体への組付け後に前記溶接部50に繰り返し入力が加わっても溶接部50に亀裂が発生しくくなる。
そして、連結板3の両側壁5の長手方向Nの一端部3Aに切欠き7を形成し、前記延出部6を切欠き7を通して前記両側壁5の外面5Gの外方側に延出してあるから(図3参照)、第1筒体11の軸芯方向J1で補強板4を連結板3の内方に配置することができて、第1筒体11の軸芯方向Jの長さが短い場合に十分対応することができるとともに、ロッド本体1を、強度を備えた構造でありながら小型化することができる。
連結ロッドの正面図 連結ロッドの平面図 連結ロッドの下面図 防振ブッシュを圧入する前の連結ロッドの正面図 防振ブッシュを圧入する前の連結ロッドの平面図 従来の連結ロッドの正面図 従来の連結ロッドの下面図
符号の説明
1 ロッド本体
1A ロッド本体の長手方向の端部
1B ロッド本体の長手方向の他端部
3 連結板
3A 連結板の長手方向の端部(一端部)
3B 連結板の長手方向の他端部
4 補強板
4A 補強板の長手方向の端部(一端部)
4B 補強板の長手方向の他端部
4S 補強板の幅方向の側部
5 連結板の両側壁
5N 連結板の両側壁の内面
5G 連結板の両側壁の外面
6 延出部
7 切欠き
8 背壁
8A 背壁の長手方向の端部
8G 背壁の外周面
11 筒体(第1筒体)
11G 筒体の外周面
12 第2筒体
12G 第2筒体の外周面
21 第1内筒
22 第2内筒
31 第1外筒
32 第2外筒
41 第1ゴム状弾性体
42 第2ゴム状弾性体
50 溶接部
100 連結ロッド(トルクロッド)
B1 防振ブッシュ(第1防振ブッシュ)
B2 防振ブッシュ(第2防振ブッシュ)
J 筒体の軸芯方向
J1 第1筒体の軸芯方向
J2 第2筒体の軸芯方向
L 溶接部の長さ
N 連結板の長手方向
O1 第1筒体の軸芯
O2 第2筒体の軸芯
S 筒体の周方向
W 幅方向

Claims (3)

  1. ロッド本体と、
    前記ロッド本体の長手方向の端部に外周面が溶接固着された筒体と、
    前記筒体に内装された防振ブッシュとを備え、
    前記ロッド本体は、前記筒体の軸芯方向に沿う方向に開放した断面コの字状の連結板と、前記連結板を補強する補強板とから成り、
    前記連結板の長手方向の端部を前記筒体の外周面に溶接固着し、
    前記補強板の幅方向の両側部を前記連結板の両側壁に各別に溶接固着し、
    前記補強板の長手方向の端部を前記筒体の外周面に溶接固着してある連結ロッドであって、
    前記補強板の長手方向の端部に、前記筒体の周方向で前記連結板の両側壁の外面の外方側に延出する一対の延出部を設け、
    前記連結板の両側壁間の前記補強板の長手方向の端部と、前記補強板の前記延出部とを前記筒体の外周面に溶接固着してある連結ロッド。
  2. 前記補強板の幅方向の両側部を前記連結板の両側壁の内面に各別に溶接固着し、
    前記連結板の両側壁の長手方向の端部に切欠きを形成し、
    前記延出部を前記切欠きを通して前記両側壁の外面の外方側に延出してある請求項1記載の連結ロッド。
  3. 前記連結板の両側壁に連なる背壁の長手方向の端部を前記筒体の外周面に溶接固着してある請求項1又は2記載の連結ロッド。
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