JP2009133052A - 皮革様シート状物、それを用いた内装材、衣料用資材および工業用資材ならびに皮革様シート状物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平均単繊維直径が0.3〜7μmの極細繊維からなる不織布に弾性重合体を含有した皮革様シート状物であって、極細繊維は芯鞘型複合繊維であり、鞘成分がポリトリメチレンテレフタレートからなり、鞘比率が30%以上80%未満であることを特徴とする皮革様シート状物。
【選択図】なし
Description
(1)ポリトリメチレンテレフタレートを島鞘成分とした、海島芯鞘複合の極細繊維発生型繊維の不織布からシートを作成する工程。
(2)シートを溶解剤若しくは分解剤で処理して極細繊維を発現せしめる工程。
(3)シートに弾性重合体を付与し、凝固する工程。
(1)〜(3)を実施することで、皮革様シート状物を得ることができる。
なお、順序については、(1)が最初であればよく、(1)(2)(3)の順、(1)(3)(2)の順のいずれでも可能であり、特に制限するものではない。
先ず(1)の工程について説明する。
本発明の皮革様シート状物は、極細繊維発生型繊維からなるシートを溶解剤若しくは分解剤で処理して極細繊維を発現せしめる。極細繊維発生型繊維を、繊維構成ポリマーのうちの海成分構成ポリマーを溶解剤若しくは分解剤で処理して、または機械的若しくは化学的処理により極細繊維を発現せしめる。極細繊維発生型繊維の発現処理は弾性重合体の付与前後のどちらでもよい。弾性重合体付与前に変性処理を行う場合には、シート状物の風合い柔軟化のために極細繊維と弾性重合体が接着しないようにポリビニルアルコールなどの溶解除去可能な仮充填剤を不織布に付与した後に弾性重合を付与し、その後に該仮充填剤を除去することが好ましい。
本発明の皮革様シート状物は、不織布に弾性重合体を付与し、凝固させる。不織布に弾性重合体を付与する方法としては特に制約は無く、弾性重合体溶液中に浸漬しニップする方法や、不織布上に弾性重合体溶液を付与し高速回転するロールで摺り込む方法等が挙げられる。不織布に弾性重合体を付与した後に弾性重合体を凝固させるが、その凝固方法としては、弾性重合体の非溶剤を含む液に浸漬して湿式凝固する方法、ゲル化させた後加熱乾燥する乾式凝固方法などが挙げられる。前述のように弾性重合体の付与後に極細繊維発生型繊維の発現処理を行ってもよい。すなわち、(2)の工程と(3)の工程は順序を問わない。
(1)平均単繊維直径
不織布、または皮革様シート状物表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率2000倍で撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、単繊維直径を測定して平均値を計算することで算出した。
不織布、または皮革様シート状物表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率2000倍で撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、繊維径を測定して繊維の素材ポリマーの比重(ポリトリメチレンテレフタレートの比重は1.4)から繊度に換算し、さらに100本の平均値を計算することで算出した。
不織布、または皮革様シート状物の内部の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて倍率2000倍で観察し、その写真から、束状繊維の1つの束内を構成する極細繊維の単繊維直径を測定し、繊維束を構成する繊維の単繊度直径標準偏差を束内平均単繊維直径で割った値を百分率(%)で表した。5つの束状繊維について、同様の測定を行い、平均値(n=5)を単繊維直径CVとした。
極限粘度[η]は、次の定義式に基づいて求められる値である。
JIS−L1013(1999)に従い、海成分を溶解後の極細繊維糸強度(cN/dtex)を測定した。
JIS L1096:1990の8.12.1の引張強さ及び伸び率の測定方法に基づき、引張強力(N/cm)を測定した。
シート状物の表面品位は目視と官能評価にて下記のように評価した。本発明の良好なレベルは「○」とした。
○:立毛長・繊維の分散状態共に良好である。
△:立毛長は良好であるが、繊維の分散は不良である。
×:立毛長・繊維の分散状態共に不良。
皮革様シート状物の発色性は目視評価にて下記のように評価した。
○:発色性良好。
△:発色性普通。
×:発色性劣。
健康な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、下記の評価を触感で判別を行い、最も多かった評価を風合いとした。本発明の良好なレベルは「○」とした。
○:非常に柔軟であり、かつ適度な反発感がある。
△:柔軟であるが、反発感がない。または、反発感はあるが、硬い。
×:硬い。
各実施例・比較例で用いた化学物質の略号の意味は以下の通りである。
PTT:ポリトリメチレンテレフタレート
PET:ポリエチレンテレフタレート
PHC:ポリヘキサメチレンカーボネートジオール
MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
H12MDI:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
3MPC:ポリ(3−メチルペンタンカーボネート)ジオール
HDA:ヘキサメチレンジアミン。
実施例、比較例で用いたポリウレタンの組成は下記の通りである。また、各溶液の固形分濃度は30重量%とした。
ポリイソシアネート:MDI
ポリオール :PHC
内部乳化剤 :なし
鎖伸長剤 :水(イソシアネートと水の反応により得られるジアミン)
内部架橋剤 :なし
含有有機溶剤 :100重量%(溶媒N,N−ジメチルホルムアミド)。
ポリイソシアネート:H12MDI
ポリオール :3MPC
鎖伸長剤 :HDA
内部乳化剤 :側鎖にポリエチレングリコールを有するジオール化合物
内部架橋剤 :γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン
含有有機溶剤 :0.1重量%。
海成分として共重合ポリスチレンを30部、島鞘成分としてポリトリメチレンテレフタレートを53部、島芯成分としてポリエチレンテレフタレートを17部からなる割合で、1フィラメント中に島成分が36島含まれる形態であり、平均繊維直径が16μm(平均単繊維繊度2.8dtex)の海島型繊維のステープル(繊維長51mm)を用いて、カード、クロスラッパーを通してウェブを形成し、スクリムとして84dtex−72フィラメントの2000T/m強撚糸を用いた織物をウェブ上下に積層し、ニードルパンチ処理により、不織布とした。
ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートの極限粘度および島芯鞘比率をそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の処理を行い、本発明の皮革様シート状物を得た。得られた皮革様シート状物はいずれも外観品位、発色性、風合いは良好であった。
スクリム条件を変更した以外は、実施例1と同様の処理を行い、本発明の皮革様シート状物を得た。得られた皮革様シート状物はいずれも外観品位、発色性、風合いは良好であった。
5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを海成分として30部、島鞘成分としてポリトリメチレンテレフタレートを56部、島芯成分としてポリエチレンテレフタレートを14部からなる割合で、1フィラメント中に島成分が36島含まれる形態であり、平均繊維直径が16μm(平均単繊維繊度2.8dtex)の海島型繊維のステープル(繊維長51mm)を用いて、カード、クロスラッパーを通してウェブを形成し、スクリムとして84dtex−72フィラメントの2000T/m強撚糸を用いた織物をウェブ上下に積層し、ニードルパンチ処理により、不織布とした。
得られたシート状物の外観品位、風合いは良好であった。
5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを海成分として50部、島芯成分としてポリエチレンテレフタレートを40部、島鞘成分としてポリトリメチレンテレフタレートを10部からなる割合で、1フィラメント中に島成分が36島含まれる形態であり、平均繊維直径が20μm(平均単繊維繊度4.3dtex)の海島型繊維のステープル(繊維長51mm)を用いて、カード、クロスラッパーを通してウェブを形成し、スクリムとして84dtex−72フィラメントの2000T/m強撚糸を用いた織物をウェブ上下に積層し、ニードルパンチ処理により、不織布とした。
得られたシート状物の外観品位、耐摩耗性、風合いは良好であった。
5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを海成分として20部、島芯成分としてポリエチレンテレフタレートを64部、島鞘成分としてポリトリメチレンテレフタレートを16部からなる割合で、1フィラメント中に島成分が36島含まれる形態であり、平均繊維直径が19μm(平均単繊維繊度3.9dtex)の海島型繊維のステープル(繊維長51mm)を用いて、カード、クロスラッパーを通してウェブを形成し、スクリムとして84dtex−72フィラメントの2000T/m強撚糸を用いた織物をウェブ上下に積層し、ニードルパンチ処理により、不織布とした。
得られたシート状物の外観品位、耐摩耗性、風合いは良好であった。
ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートの極限粘度および島芯鞘比率、スクリムをそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の処理を行い、皮革様シート状物を得た。得られた皮革様シート状物はいずれも外観品位、発色性、風合いに劣るものであった。
ポリトリメチレンテレフタレートを単成分として直接紡糸、延伸を行い、平均繊維直径が6μm(平均単繊維繊度0.4dtex)のステープル(繊維長51mm)を用いて、カード、クロスラッパーを通してウェブを形成し、スクリムとして84dtex−72フィラメントの2000T/m強撚糸を用いた織物をウェブ上下に積層し、ニードルパンチ処理により、不織布とした以外は、実施例1と同様の処理を行い、皮革様シート状物を得た。得られた皮革様シート状物は、発色性は良好であったが、外観品位や強力に劣るものであった。
Claims (9)
- 平均単繊維直径が0.3〜7μmの極細繊維からなる不織布と弾性重合体とからなる皮革様シート状物であって、該極細繊維は、鞘成分がポリトリメチレンテレフタレートからなり、鞘比率が30wt%以上80wt%未満の芯鞘型複合繊維であることを特徴とする皮革様シート状物。
- 前記芯鞘型複合繊維の芯成分がポリエステルであり、芯成分に配するポリエステルの極限粘度に対し、鞘成分に配するポリトリメチレンテレフタレートの極限粘度が高く、且つその差が0.2以上1.2以下であることを特徴とする請求項1記載の皮革様シート状物。
- ポリトリメチレンテレフタレートの極限粘度が0.80〜1.68であることを特徴とする請求項1または2記載の皮革様シート状物。
- 極細繊維からなる不織布と、織物もしくは編物が絡合した構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の皮革様シート状物。
- 織物もしくは編物を構成する糸条が撚数500T/m以上4500T/m以下である強撚糸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の皮革様シート状物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の皮革様シート状物を表皮材とすることを特徴とする内装材。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の皮革様シート状物を表皮材とすることを特徴とする衣料用資材。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の皮革様シート状物を表皮材とすることを特徴とする工業用資材。
- 請求項1〜5のいずれかの皮革様シート状物の製造方法であって、以下の(1)〜(3)の工程を有する皮革様シート状物の製造方法。
(1)ポリトリメチレンテレフタレートを島鞘成分とした、海島芯鞘複合の極細繊維発生型繊維の不織布からシートを作成する工程。
(2)シートを溶解剤若しくは分解剤で処理して極細繊維を発現せしめる工程。
(3)シートに弾性重合体を付与し、凝固する工程。
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