JP5246083B2 - 人工皮革用基体 - Google Patents

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Description

本発明は、ペンタメチレンアジパミド単位で構成されたポリアミド56極細繊維を含む人工皮革用基体に関するものであり、特に、バイオマスプラスチックであるポリアミド56極細繊維を用いた環境配慮型素材であり、かつ染色特性、耐光性、耐熱性および柔軟性にも優れた人工皮革用基体に関するものである。
従来、人工皮革用基体の極細繊維を構成するポリマーとしては、ナイロン6やナイロン66等に代表されるポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、もしくはその共重合体、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類が用いられており、風合いや発色性の良好を重視した用途では、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド類が好適に用いられてきた。
ナイロン6繊維は、ナイロン66繊維と比較すると、染色速度が速く、十分な染色時間を確保することにより濃色化し易い傾向にある。一方で、ナイロン6繊維は、耐光堅牢度が劣ること、融点が低いことから耐熱性に課題がある。ナイロン66繊維は、ナイロン6繊維に比して、染色堅牢度および耐熱性に優れる傾向にあるが、染色速度が遅く、染色時間が短い場合は淡色化しやすいという欠点がある。
ナイロン6繊維とナイロン66繊維で染色性が異なる原因は、染色に用いられる染料が、酸性染料、反応染料および含金染料等のポリアミド繊維のアミノ末端基と結合するものであるため、ナイロン66繊維のアミノ末端濃度が低いことが推定原因の一つとして考えられる。しかしながら、ナイロン66繊維において、アミノ末端基濃度を多くする処方は、ポリマーのゲル化を促進するため好ましくないとされている(特許文献1参照。)。これは、単純にアミノ末端基濃度の高いポリマーを形成すると、加熱重合や溶融紡糸時の溶融貯留においてポリマーのゲル化が進行し易くなり、溶融ポリマーの粘度に斑が生じ、紡糸糸切れが頻発するという製造工程上の不具合が生じる傾向があるためである。
ところで最近では、環境に対する意識向上に伴い、非石油由来の繊維素材の開発が急務となっている。従来のポリアミド等の合成繊維は石油資源を主原料としていることから、資源の枯渇化や地球温暖化等が問題視されているためである。
このような課題に対し、植物資源を原料とすることで、二酸化炭素の循環により地球温暖化を抑制できる可能性があるため、植物資源を出発点とするプラスチック、すなわちバイオマス由来のプラスチック(以下、バイオマスプラと記載することがある。)が注目されている。バイオマスプラの代表的なものとしては、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルが挙げられるが、耐熱性、耐摩耗性および耐加水分解性などの諸特性がポリアミド繊維と比べて低いため、極細繊維を主体とする人工皮革等のポリアミド類が用いられる用途への適用には制限があった。
このようにした背景のなか、新規なバイオマスプラとして、バイオマス利用により製造された1,5−ペンタメチレンジアミンとアジピン酸の加熱重合により得られるポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56)が、提案されている。ポリアミド56を得る方法は、加熱重合法が主に検討されており、リジン脱炭酸酵素を用いた酵素反応等で得られた高純度の1,5−ペンタメチレンジアミンを用いる方法(特許文献2参照。)、および特定の重合方法を用いる等の方法(特許文献3参照。)が提案されており、高融点で実用的な重合度を有するポリアミド56樹脂を製造するに至っているが、人工皮革等の極細繊維に用いるには、耐熱性および染色特性等に問題があった。
上記のように従来技術においては、染色速度、染色堅牢度、耐光堅牢度および耐熱性に優れたポリアミド繊維からからなる人工皮革は得られていなかった。
特開平07−238222号公報 特開2003−292612号公報 特開2004−075932号公報
本発明の課題は、かかる従来技術の問題点に鑑み、染色速度、染色堅牢度、耐光堅牢度および耐熱性に優れたポリアミド繊維からからなる人工皮革用基体を提供することである。
本発明の人工皮革用基体は、平均繊維径0.1〜10μmの極細繊維を主体とする繊維絡合体と弾性重合体で構成され、前記極細繊維がペンタメチレンアジパミド単位で構成されたポリアミド56からなることを特徴とする人工皮革用基体である。
本発明の人工皮革用基体の好ましい態様によれば、前記のポリアミド56からなる極細繊維のアミノ末端基濃度は、30〜100eq/tonである。
本発明の人工皮革用基体の好ましい態様によれば、前記のポリアミド56からなる極細繊維のアミノ末端基濃度とカルボキシル末端基濃度は、下記式の関係を満たすものである。
0.4≦[NH]/([NH]+[COOH])≦0.8
[NH]:極細繊維のアミノ末端基濃度(eq/ton)
[COOH]:極細繊維のカルボキシル末端基濃度(eq/ton)
本発明で用いられるポリアミド56からなる極細繊維は、バイオマスプラからなるものであるため環境配慮型素材であるだけでなく、染色速度や濃染性等の染色特性、耐光性、耐摩擦性、耐熱性および柔軟性にも優れていることから、衣料、雑貨用途および工業資材用途等に好適に用いられる人工皮革用基体に好適である。
本発明の人工皮革用基体は、平均繊維径0.1〜10μmの極細繊維を主体とする繊維絡合体と弾性重合体で構成され、前記極細繊維を構成するポリマーとして、ペンタメチレンアジパミド単位で構成されたポリアミド56を採用するものである。
ポリアミド56は、繰り返し単位の90モル%以上がペンタメチレンアジパミド単位で構成されたポリアミド56からなるものであることが好ましい。ペンタメチレンアジパミド単位とは、1,5−ペンタメチレンジアミンとアジピン酸とから構成される構造単位である。本発明の効果を損なわない範囲において、10モル%未満の他の共重合成分を含んでもよいが、本発明の優れた染色特性や耐熱性を発揮し易くするため、ペンタメチレンアジパミド単位は、より好ましくは95モル%以上であり、更に好ましくは97モル%以上である。
本発明で用いられるポリアミド56からなる極細繊維は、アミノ末端基濃度が30〜100eq/tonであることが好ましい。アミノ末端基濃度が高いほど、特に染色特性の中でも濃染性と染色堅牢度が優れる傾向にある。アミノ末端基濃度は、より好ましくは40eq/ton以上であり、さらに好ましくは50eq/ton以上である。アミノ末端基濃度が100eq/tonを超えると、極細繊維の結晶性が低下して耐光堅牢度の悪化や、空気中および包装材料中に存在する窒素酸化物によって極細繊維の黄変を招く場合もある。そのため、アミノ末端基濃度を100eq/ton以下とすることが好ましい。アミノ末端基濃度は、より好ましくは90eq/ton以下であり、さらに好ましくは85eq/ton以下である。
ポリアミド56からなる極細繊維がポリアミド66繊維に比して染色速度が高い理由は、ペンタメチレンアジパミド単位が、染料とアミノ末端基との結合を促進しやすい分子構造単位であることが、原因として考えられる。すなわち、ポリアミド56中に含まれるペンタメチレンアジパミド単位は、ポリアミド66等に含まれるヘキサメチレンアジパミド単位よりも、繰り返し単位の分子量が小さく、親水性の高いアミド結合を単位重量あたりに多く含有する構造単位であるため、ポリアミド56極細繊維がマクロに染液を吸尽し担持し易くなり、染料とアミノ末端基との結合が促進されるものと推定される。
一方、染色堅牢度が高まるのは、同一の繰り返し単位を多く含むことにより、分子鎖の規則性が高まることで結晶性が向上し、紫外線、乾熱、湿熱および摩擦等の分子運動が誘発される環境下に置かれても、アミノ末端基を含む非晶鎖全体の分子運動を、結晶部分により拘束できるためと推定される。さらに、ペンタメチレンアジパミド単位は、ヘキサメチレンアジパミド単位に比してジアミンの炭素数が少ないため、アミノ末端基の近い位置にアミド結合が存在しており、末端近傍のアミド結合が分子間水素結合を形成するとアミノ末端基の運動が拘束されるため、染色堅牢度が高まるものと推定される。
上記のように、極細繊維の染色特性はアミノ末端基の濃度だけでなく、分子鎖の繰り返し単位の親水性や規則性、繊維内部の分子鎖の結晶・非晶構造等、高分子の一次構造から高次構造までの様々な構造単位に影響を受ける総合特性ともいえるものである。極細繊維がペンタメチレンアジパミド単位を多く含み、アミノ末端基濃度が上述した特定の範囲であることにより、優れた効果が得られるものである。
本発明の人工皮革用基体を構成するポリアミド56からなる極細繊維は、アミノ末端基濃度とカルボキシル末端基濃度が、下記式の関係にあることが好ましい。
0.4≦[NH]/([NH]+[COOH])≦0.8
[NH]:捲縮糸のアミノ末端基濃度(eq/ton)
[COOH]:捲縮糸のカルボキシル末端基濃度(eq/ton)
上記式における[NH]/([NH]+[COOH])は、極細繊維のアミノ末端基とカルボキシル末端基の量的なバランスを示す値であり、単位重量当たりに両者が等モル存在する場合には0.5となる。極細繊維中のアミノ末端基濃度とカルボ末端基濃度のバランスが、上記範囲にあることにより、染色堅牢度に優れた極細繊維が得られる。前記末端基のバランスは、0.45〜0.75であることがより好ましく、さらに好ましくは47〜0.73であり、もっとも好ましくは0.5〜0.7である。
本発明の人工皮革用基体を構成する極細繊維は、耐熱性の指標となる融点が高いことが好ましい。融点は240℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましい態様である。また、融点が高すぎると、溶融紡糸し辛いことから300℃以下であることが好ましい。
また、繊維の溶融に要する熱量の指標である、融解熱量も高いことが好ましく、60J/g以上であることが好ましく、より好ましくは70J/g以上である。融解熱量が高すぎると、加熱成型し辛くなることから、120J/g以下であることが好ましい。
融点および融解熱量が高いことにより、例えば人工皮革用基体を加熱成型する場合も、表面の極細繊維が融着する問題や、毛羽が倒れて復元しない等の欠点が生じることが少ない。
本発明の人工皮革用基体で用いられる極細繊維の平均繊維径は、0.1〜10μmとすることが重要である。平均繊維径を10μm以下、好ましくは5μm以下とすることにより、スエード調人工皮革とした場合に良好なタッチを得ることが可能となる。一方、平均繊維径を0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上とすることにより、優れた繊維強度および剛性を維持することができる。
本発明で用いられるポリアミド56からなる極細繊維を構成するポリマーには、粒子、難燃剤および帯電防止剤等の添加剤を含有させても良い。
また、本発明で用いられるポリアミド56は、1,5−ペンタメチレンジアミンやアジピン酸以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、他の化合物が共重合されていても良く、下記の成分から誘導される構造単位を含んでいてもよい。例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸およびドデカン二酸などの脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸および5ーナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から誘導される構造単位を含むことができる。
本発明で用いられる繊維絡合体としては、織編物や不織布等を用いることができる。中でも、極細繊維の束(極細繊維束)が絡合してなる不織布が、表面の均一性、シート強力等の観点から好ましく用いられる。
極細繊維束の形態としては、極細繊維同士が多少離れていてもよいし、部分的に結合していてもよいし、凝集していてもよい。
本発明の人工皮革用基体に用いられる不織布としては、短繊維をカードやクロスラッパーを用いて積層ウェブを形成させた後に、ニードルパンチやウォータジェットパンチを施して得られる短繊維不織布、スパンボンド法やメルトブロー法などから得られる長繊維不織布、および抄紙法で得られる不織布などを採用することができる。中でも、短繊維不織布やスパンボンド不織布は、厚み均一性等が良好なものが得られるため、好ましく用いられる。
本発明で用いられる不織布は、強度を向上させるなどの目的で、不織布に織物や編物を積層し、裏張りしてもよい。不織布と織編物をニードルパンチで積層一体化する場合、織編物を構成する繊維のニードルパンチによる損傷を防ぐため、織編物の糸条を強撚糸とすることが好ましい。糸条の撚数は、500T/m〜4500T/mが好ましい範囲である。また、織編物の繊維径は、極細繊維不織布の繊維径と同じ、もしくはさらに細いものを用いても良い。
本発明の人工皮革用基体は、前記した不織布等の繊維絡合体が弾性重合体を含有していることが重要である。弾性重合体のバインダー効果により極細繊維が人工皮革用基体から抜け落ちるのを防止することができるだけでなく、適度なクッション性を付与することが可能となる。
本発明では、弾性重合体として、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタン・ポリウレアエラストマー、ポリアクリル酸、アクリロニトリル・ブタジエンエラストマーおよびスチレン・ブタジエンエラストマーなどを用いることができるが、柔軟性とクッション性の観点からポリウレタンが好ましく用いられる。
ポリウレタンとしては、例えば、平均分子量500〜3000のポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、あるいはポリエステルポリエーテルジオール等のポリマージオール等から選ばれた少なくとも1種類のポリマージオールと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系、イソホロンジイソシアネート等の脂環族系およびヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系のジイソシアネート等から選ばれた少なくとも1種類のジイソシアネートと、エチレングリコール、ブタンジオール、エチレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の2個以上の活性水素原子を有する少なくとも1種類の低分子化合物を、所定のモル比で反応させて得られたポリウレタンおよびその変性物が挙げられる。
また、弾性重合体には、ポリエステル系、ポリアミド系およびポリオレフィン系などのエラストマー樹脂、アクリル樹脂、およびエチレン−酢酸ビニル樹脂などが含まれていても良い。
また、本発明で用いられる弾性重合体には、必要に応じてカーボンブラック等の顔料、染料酸化防止剤、酸化防止剤、耐光剤、帯電防止剤、分散剤、柔軟剤、凝固調整剤、難燃剤、抗菌剤および防臭剤などの添加剤が配合されていてもよい。
また、弾性重合体は、有機溶剤中に溶解していても、水中に分散していてもどちらでもよい。
弾性重合体の含有率は、極細繊維束が絡合してなる繊維絡合体に対し、5〜100質量%であることが好ましい。弾性重合体の含有量によって、人工皮革用基体の表面状態、クッション性、硬度および強度などを調節することができる。含有量が5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上とすることで、繊維脱落を少なくすることができる。一方、含有量を100質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下とすることにより、極細繊維がシート表面上に均一分散した状態を得ることができる。
本発明の人工皮革用基体の目付は、100〜500g/mであることが好ましい。目付が100g/m以上、より好ましくは150g/m以上とすることで、人工皮革用基体に十分な形態安定性と寸法安定性が得られる。一方、目付が500g/m以下、より好ましくは300g/m以下とすることで、十分な柔軟性が得られる。
本発明の人工皮革用基体の厚さは、0.1〜10mmであることが好ましい。厚さを0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上とすることで、十分な形態安定性と寸法安定性が得られる。一方、厚さを10mm以下、より好ましくは5mm以下とすることで十分な柔軟性が得られる。
本発明の人工皮革用基体は、少なくとも片面に立毛処理が施されていることが好ましい。このようにすることで、スエード調人工皮革としたときに、緻密なタッチが得られる。
次に、本発明の人工皮革用基体を製造する方法について説明する。
本発明の人工皮革用基体は、例えば次の工程を組み合わせることにより得られる。すなわち、平均繊維径0.1〜10μmのポリアミド56からなる極細繊維発生型繊維(複合繊維)を複合紡糸し、複合繊維ウェブを作成する工程、その複合繊維ウェブに絡合処理を施して繊維絡合体を作製する工程、その複合繊維から複合繊維を構成している易溶性ポリマーを溶解除去あるいは物理的または化学的作用により剥離・分割し、極細繊維化する前および/または後/または起毛処理の後に、ポリウレタンを主成分とした弾性重合体を不織布(繊維絡合体)に付与し、弾性重合体を実質的に凝固し固化させる工程、および起毛処理を施し表面に立毛を形成する工程である。
本発明の人工皮革用基体を構成するポリアミド56からなる極細繊維のアミノ末端基濃度30〜100eq/tonを達成するには、重合工程での製造方法が重要であり、次のように特定の重合方法を採用することにより、アミノ末端基が30〜100eq/tonのポリアミド56樹脂を得ることが可能である。
従来公知の加熱重合法では、アミノ末端基濃度の高いポリアミド56樹脂を得ることは難しい。その原因の一つとして、ポリアミド56樹脂の原料である1,5−ペンタメチレンジアミンは、従来のポリアミド66の原料である1,6−ヘキサメチレンジアミンに比べて沸点が低く(1,5−ペンタメチレンジアミンの融点:約180℃、1,6−ヘキサメチレンジアミンの融点:約200℃)、さらに親水性が高いことにより、水の蒸発に付随して揮発され易いことがわかった。そのため、重合反応がほとんど進行していない重合初期段階から原料を含む水溶液を高温にせしめて水を蒸発させると、1,5−ペンタメチレンジアミンの揮発量が非常に多くなることから、原料調整工程において、原料を含む水溶液の濃度を55〜80wt%に調整し、濃縮工程において原料を含む水溶液の温度を100〜150℃とし、水溶液の濃度を80〜95wt%まで濃縮する条件でポリアミド56樹脂を製造することにより、重合工程における1,5−ペンタメチレンジアミンの揮発を抑えることが可能となり、アミノ末端基濃度を高く制御することが可能となったものである。
本発明において、前記の原料を含む水溶液の濃度は、1,5−ペンタンジアミンの揮発量を低減するため55wt%以上であることが好ましく、再結晶化等の観点から80wt%以下とすることが好ましい。この水溶液の濃度は、より好ましくは60〜80wt%の範囲である。
本発明において、極細繊維束が絡合してなる不織布を得る手段としては、海島型繊維等の極細繊維発生型繊維を用いることが好ましい。極細繊維から直接不織布を製造することは困難であるが、極細繊維発生型繊維から不織布を製造し、この不織布における極細繊維発生型繊維から極細繊維を発生させることにより、極細繊維束が絡合してなる不織布を得ることができる。
極細繊維発生型繊維としては、溶剤溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分と島成分に用い、海成分を溶剤などを用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型繊維や、2成分の熱可塑性樹脂を繊維断面に放射状または多層状に交互に配置し、各成分を剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維などを採用することができる。
海島型繊維には、海島型複合用口金を用い海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する海島型複合繊維や、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸繊維などがあるが、均一な繊度の極細繊維が得られる点、また十分な長さの極細繊維が得られシート状物(繊維絡合体)の強度にも資する点から、海島型複合繊維が特に好ましく用いられる。
海島型繊維の海成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステル、およびポリ乳酸などを用いることができる。
海成分の溶解除去は、弾性重合体を付与する前、付与した後、起毛処理後のいずれの段階で行ってもよい。
不織布を得る方法としては、前述のとおり、繊維ウェブをニードルパンチやウォータジェットパンチにより絡合させる方法、スパンボンド法、メルトブロー法、および抄紙法などを採用することができ、なかでも、前述のような極細繊維束の態様とする上で、ニードルパンチやウォータジェットパンチなどの処理を経る方法が好ましい。
不織布は、織編物を積層一体化させてもよく、ニードルパンチやウォータジェットパンチ等により一体化する方法が好ましく用いられる。
ニードルパンチ処理において、バーブの本数は1〜9本であることが好ましい。本数を1本以上とすることで、効率的な繊維の絡合が可能となる。一方、本数を9本以下とすることで、繊維損傷を抑えることができる。バーブのトータルデプスは、0.05〜0.09mmであることが好ましい。トータルデプスを0.05mm以上とすることで、繊維束への十分な引掛かりが得られるため効率的な繊維絡合が可能となる。一方、トータルデプスを0.09mm以下とすることで、繊維損傷を抑えることが可能となる。
パンチング本数は、1000〜7500本/cmであることが好ましい。パンチング本数を1000本/cm以上とすることで、緻密性が得られ高精度の仕上げを得ることができる。一方、パンチング本数を7500本/cm以下とすることで、加工性の悪化、繊維損傷および強度低下を防ぐことができる。
また、織編物と極細繊維発生型繊維不織布を積層一体化する場合、積層時のニードルパンチのニードルのバーブ方向は、シートの進行方向に対して直行する90±15°とすることにより、損傷しやすい緯糸を引掛けにくくなる。
また、ウォータージェットパンチ処理を行う場合には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。具体的には、直径0.05〜1.0mmのノズルから圧力1〜60MPaで水を噴出させると良い。
ニードルパンチ処理あるいはウォータジェットパンチ処理後の極細繊維発生型繊維不織布の見掛け密度は、0.15〜0.30g/cmであることが好ましい。見掛け密度を0.15g/cm以上とすることで、人工皮革用基体が十分な形態安定性と寸法安定性が得られる。一方、見掛け密度を0.30g/cm以下とすることで、弾性重合体を付与するための十分な空間を維持することができる。
このようにして得られた極細繊維発生型繊維不織布は、緻密化の観点から、乾熱もしくは湿熱またはその両者によって収縮させ、さらに高密度化することが好ましい。
極細繊維発生型繊維から易溶解性ポリマー(海成分)を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィンであればトルエンやトリクロロエチレン等の有機溶媒が用いられ、海成分がポリ乳酸や共重合ポリエステルであれば水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いることができる。また、極細繊維発生加工(脱海処理)は、溶剤中に極細繊維発生型繊維からなる不織布を浸漬し、窄液することによって行うことができる。
また、極細繊維発生加工には、連続染色機、バイブロウォッシャー型脱海機、液流染色機、ウィンス染色機およびジッガー染色機等の公知の装置を用いることができる。また、極細繊維発生加工は、立毛処理前に行ってもよいし立毛処理後に行ってもよい。
弾性重合体は、極細繊維発生加工の前に付与してもよいし、極細繊維発生加工の後に付与してもよい。
弾性重合体としてポリウレタンを付与させる際に用いられる溶媒としては、N,N’−ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシド等が好ましく用いられるが、ポリウレタンを水中にエマルジョンとして分散させた水分散型ポリウレタン液としてもよい。
溶媒に溶解した弾性重合体溶液に、不織布(繊維絡合体)を浸漬する等して弾性重合体を不織布に付与し、その後、乾燥することによって弾性重合体を実質的に凝固し固化させる。溶剤系のポリウレタン溶液の場合は、非溶解性の溶剤に浸漬することにより凝固させることができ、ゲル化性を有する水分散型ポリウレタン液の場合は、ゲル化させた後乾燥する乾式凝固方法等で凝固させることができる。乾燥にあたっては、繊維絡合体および弾性重合体の性能が損なわない程度の温度で加熱してもよい。
本発明の人工皮革用基体は、少なくとも片面が立毛されていても良い。立毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて行うことができる。特に、サンドペーパーを用いることにより、均一かつ緻密な立毛を形成することができる。さらに、人工皮革用基体の表面に均一な立毛を形成させるためには、研削負荷を小さくすることが好ましい。研削負荷を小さくするためには、例えば、バフ段数を3段以上の多段バッフィングとし、各段に使用するサンドペーパーの番手を、JIS規定の150番〜600番の範囲とすることがより好ましい態様である。
本発明の人工皮革用基体は、例えば、染料、顔料、柔軟剤、ピリング防止剤、抗菌剤、消臭剤、撥水剤、耐光剤および耐候剤等の機能性薬剤を含んでいてもよい。
本発明の人工皮革用基体は、染色を施すことが好ましい。染色手段としては、シートを染色すると同時に揉み効果を加えて柔軟化できることから、液流染色機が好ましく用いられる。染色温度は、ポリアミド56繊維に対しては、70〜120℃の温度が好ましい。染料は、酸性染料、含金染料および反応染料等が好ましく用いられる。また、染色後に還元洗浄を行っても良い。
また、染色の均一性を向上させる目的で、染色時に染色助剤を用いることが好ましい。さらにシリコーンなどの柔軟剤、帯電防止剤、撥水剤、難燃剤および耐光剤等の仕上げ処理を行ってもよい。仕上げ処理は、染色後でも染色と同浴で行ってもよい。
本発明の人工皮革用基体は、環境配慮型素材を用いているだけでなく、柔軟な風合いを有し、耐光性、耐熱性および耐摩擦性に優れるため、衣料用途、雑貨用途、CD、DVDカーテン、研磨布およびワイピングクロス等の工業資材用途等として好適に用いられる。
[測定方法および評価用加工方法]
(1)融点と融解熱量
パーキンエルマー社(Perkin Elmaer)製DSC−7を用いて、2nd runでポリマーの融解を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。このときの昇温速度は16℃/分で、サンプル量は10mgとした。また、融解ピークの面積から求められる熱容量を積算し、融解熱量とした。
(2)極細繊維の平均繊維径
人工皮革用基体の極細繊維を含む厚み方向に垂直な断面を、走査型電子顕微鏡(SEM キーエンス社製VE−7800型)で3000倍で観察し、30μm×30μmの視野内で無作為に抽出した50本の単繊維直径を測定した。ただし、これを3ヶ所で行い、合計150本の単繊維の直径を測定し、小数点以下を四捨五入して平均値を算出した。極細繊維が異形断面の場合、まず単繊維の断面積を測定し、当該断面を円形と見立てた場合の直径を算出することによって単繊維の直径を求めた。
(3)アミノ末端基濃度
試料(極細繊維または樹脂)1gを、50mLのフェノール/エタノール混合溶液(フェノール/エタノール質量比=80/20)に、30℃の温度で振とう溶解させて溶液とし、この溶液を0.02Nの塩酸で中和滴定し、要した0.02N塩酸量を求めた。また、上記フェノール/エタノール混合溶媒(上記と同量)のみを0.02N塩酸で中和滴定し、要した0.02N塩酸の量を求める。そして、その差から試料1tonあたりのアミノ末端基量を求めた。
(4)カルボキシル末端基濃度
試料(極細繊維または樹脂)0.5gを、196±1℃の温度のベンジルアルコール20mlに溶解し、この溶液を0.02Nの水酸化カリウムエタノール溶液で中和滴定し、要した0.02N水酸化カリウムエタノール溶液の量を求める。また、上記ベンジルアルコール20mlのみを、0.02Nの水酸化カリウムエタノール溶液で中和滴定し、要した0.02N水酸化カリウムエタノール溶液の量を求める。そして、その差から試料1tonあたりのカルボキシル末端基量を求めた。
(5)染色速度
各実施例と各比較例で得られた人工皮革用基体を、含金染料(“Irgalan”Red 2GL)[チバスペシャリティケミカルズ社製]を4.0%owf、浴比1:100、pH=7の条件で染色した後、水洗し乾燥し、染色後の人工皮革用基体を得た。このとき、染色温度と染色時間を、下記(a)〜(f)として染色を施した。
<染色条件>
(a)染色温度50℃、染色時間10分
(b)染色温度60℃、染色時間10分
(c)染色温度70℃、染色時間10分
(d)染色温度80℃、染色時間10分
(e)染色温度90℃、染色時間10分
(f)染色温度90℃、染色時間60分
得られた人工皮革用基体について、分光測色計(ミノルタSPECTROPHOTOMETER CM−3700d、SCEモード)を用いて、360〜740nmの波長域で10nmごとに分光反射率を求め、最大吸収波長における分光反射率を用いてK/Sを求めた。K/Sとは、次式で示される色の濃さを表す指標であり、値が大きいほど濃色に染色されていることを示す。
K/S=(1−R)2/2R
K/S:クベルカムンク関数
R:最大吸収波長における分光反射率。
(6)濃染性
上記(5)項の染色条件(f)で染色した筒編地のK/Sの値を、参考例2の人工皮革用基体(ポリアミド6、染色条件(f))のK/Sで除し、100倍した値を求めた。この値が100の場合、ポリアミド6からなる人工皮革用基体と同等の濃染性を示すと判断し、大きいほど濃染性に優れるものと判断した。
(7)耐光堅牢度
JIS L0842(2004)の紫外線カーボンアーク灯光に対する染色堅牢度試験方法に準じて、耐光堅牢度を測定した。試料は、上記(5)項の染色条件(f)で染色した人工皮革用基体を用い、照射後サンプルの変退色度合いをJIS L0804(2004)の変退色用グレースケールを用いて級判定することにより、耐光堅牢度とした(1〜5級、0.5級間隔)。5級が最も優れ、1級が最も劣り、4級以上を合格とした。
(8)摩擦堅牢度
JIS L0849(2004)7.1乾燥試験の測定に準じて、摩擦堅牢度を測定した。試料は、上記(5)項の染色条件(f)で染色した人工皮革用基体を用い、JIS L0805(2005)に規定の汚染用グレースケールで判定した(1〜5級、0.5級間隔)。5級が最も優れ、1級が最も劣り、4級以上を合格とした。
(9)マーチンデール摩耗試験
JIS L1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)家具用荷重(12kPa)に準じて測定される耐摩耗試験において、20000回の回数を摩耗した後の試験布の重量減を評価した。
(10)柔軟性
各実施例と各比較例で作成した人工皮革を用い、健康な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、手でつかんだ触感(柔軟性)を判定し、最も多かった評価を採用した。○以上を合格とした。
◎(優れる)、○(良好)、△(可)、×(劣る)(4段階評価)
[実施例1]
<原綿>
(島成分ポリマー)
1,5−ペンタメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩の70wt%水溶液に、1,5−ペンタメチレンジアミンおよび水を加え、水溶液中に存在する1,5−ペンタメチレンジアミンのモル数とアジピン酸のモル数の比(1,5−ペンタメチレンジアミンのモル数/アジピン酸のモル数)を1.004とし、水溶液中の原料の濃度を70wt%に調整し、予め窒素置換された熱媒加熱式の重合釜に仕込み、ポリアミド56樹脂を重合し、島成分とした。
(海成分ポリマー)
アクリル酸2−エチルヘキシルを22mol%共重合した共重合ポリスチレン(co−PSt)を海成分とした。
(紡糸・延伸)
上記の海成分ポリマーと島成分ポリマーを用い、36島/ホールの海島型複合紡糸口金を用いて、紡糸温度280℃、島/海質量比率40/60、吐出量1.6g/分・ホール、紡糸速度1200m/分の条件で溶融紡糸した。次いで、85℃の温度の液浴中で3.0倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮を付与し、カットして、繊度4.2dtex、繊維長51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
<不織布>
上記原綿を用い、カードとクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成した。次いで、トータルバーブデプス0.08mmのニードル1本を植込んだニードルパンチ機を用いて、針深度7mm、パンチ本数3000本/cmでニードルパンチし、目付が695g/m、見掛け密度が0.23g/cmの不織布を作製した。
<人工皮革用基体>
上記不織布を95℃の温度で熱水収縮させた後、ポリビニルアルコールを繊維質量に対し34質量%付与後、乾燥させた。その後、トリクロロエチレンで処理し海島型複合繊維の海成分を溶解除去させ、不織布を得た。
このようにして得られた不織布に、ポリマージオールがポリエーテル系75質量%とポリエステル系25質量%とからなるポリウレタンを、繊維質量に対して固形分で25質量%付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の熱水でDMFおよびポリビニルアルコールを除去した。その後、エンドレスのバンドナイフを有する半裁機により厚み方向に半裁し、非半裁面をJIS#320番のサンドペーパーを用いて3段研削し、立毛を形成させて人工皮革用基体を作製した。
その後、上記(5)項(f)の染色条件で染色した後、乾燥させて人工皮革用基体を得た。得られた人工皮革用基体は、極細繊維の平均繊維径が2.0μm、厚さが0.43mm、目付が170g/m、見掛け密度が0.40g/cmであった。得られた結果を、表1に示す。
アミノ末端基濃度とカルボキシル末端基濃度は、海島型複合繊維原綿の海成分を溶解させ、極細繊維の状態として測定した。
[比較例1]
<原綿>
(島成分ポリマー)
1,6−ヘキサメチレンジアミンのモル数/アジピン酸のモル数の比が1.004となるように、原料の濃度が50wt%とした水溶液を、予め窒素置換された熱媒加熱式の重合釜に仕込み、ポリアミド66樹脂を重合し島成分とした。
(海成分ポリマー)
アクリル酸2−エチルヘキシルを22mol%共重合した共重合ポリスチレン(co−PSt)を海成分とした。
(紡糸・延伸)
上記の海成分ポリマーと島成分ポリマーを用い、紡糸温度280℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、複合繊度4.2dtex、繊維長51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
<不織布>
実施例1と同様にして、目付が695g/m、見掛け密度が0.23g/cmの不織布を得た。
<人工皮革用基体>
上記の不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして人工皮革用基体を得た。得られた人工皮革用基体は、極細繊維の平均繊維径が2.0μm、厚さが0.43mm、目付が166g/m、見かけ密度が0.39g/cm。得られた結果を、表1に示す。実施例1と比較例1とを比較すると、実施例1の方が、染色速度と濃染性に優れており、柔軟性も実施例1の方が優れていた。
[比較例2]
<原綿>
(島成分ポリマー)
市販の融点220℃のポリアミド6を用い、島成分とした。
(海成分ポリマー)
アクリル酸2−エチルヘキシルを22mol%共重合した共重合ポリスチレン(co−PSt)を海成分とした。
(紡糸・延伸)
上記の海成分ポリマーと島成分ポリマーを用い、紡糸温度280℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、複合繊度4.2dtex、繊維長51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
<不織布>
実施例1と同様にして、目付が690g/m、見掛け密度が0.22g/cmの不織布を得た。
<人工皮革用基体>
上記の不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして人工皮革用基体を得た。得られた人工皮革用基体は、極細繊維の平均繊維径が2.0μm、厚さが0.45mm、目付が165g/m、見かけ密度が0.37g/cmであった。得られた結果を、表1に示す。実施例1と比較例2とを比較すると、実施例1の方が、耐光堅牢度と摩擦堅牢度の点で優れていた。
[実施例2]
<原綿>
実施例1の島成分ポリマーと海成分ポリマーを用い、島/海質量比率=40/60でチップブレンドしたこと以外は、実施例1と同様にして、単繊維繊度が4.1dtex、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
<不織布>
上記の原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして目付が692g/m、見掛け密度が0.22g/cmの不織布を得た。
<人工皮革基体>
上記の不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、人工皮革用基体を得た。得られた人工皮革用基体は、極細繊維の平均繊維径が1.1μm(繊維径分布:0.2〜4.7μm)、厚さが0.44mm、目付が167g/m、見かけ密度が0.38g/cmであった。得られた結果を、表1に示す。
[実施例3]
<原綿>
(島成分ポリマー)
実施例1で作製したポリアミド56を用いた。
(海成分ポリマー)
5−ナトリウムイソフタル酸8モル%を共重合させた共重合ポリエチレンテレフタレートを用いた。
(紡糸・延伸)
16島/ホールの海島型複合口金を用いて、島/海質量比率60/40、吐出量1.8g/分・ホールとしたこと以外は、実施例1と同様にして、複合繊度が5.0dtex、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
<不織布>
上記の原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして目付が694g/m、見掛け密度が0.23g/cmの海島型複合繊維からなる不織布を得た。
(水分散型ポリウレタン液)
非イオン系強制乳化型ポリウレタンエマルジョン(ポリカーボネート系)に、感熱ゲル化剤として硫酸ナトリウムをポリウレタン固形分対比4質量%添加し、ポリウレタン液濃度が10質量%となるように<水分散型ポリウレタン液を調整した。
<人工皮革用基体>
上記の不織布に、上記の水分散型ポリウレタン液を付与し、乾燥温度120℃で5分間熱風乾燥して、ポリウレタンの付着量が不織布の島成分に対して30質量%であるポリウレタン付シートを得た。
上記ポリウレタン付シートを90℃の温度に加熱した濃度40g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、30分間処理し、海島型複合繊維から海成分を溶解除去した。その後、エンドレスのバンドナイフを有する半裁機により厚み方向に半裁し、非半裁面をJIS#320番のサンドペーパーを用いて3段研削し、立毛を形成させて人工皮革用基体を作製した。
その後、上記の(5)項(f)の染色条件で染色した後、乾燥させて人工皮革用基体を得た。得られた人工皮革用基体は、極細繊維の平均繊維径が4.4μm、厚さが0.44mm、目付が176g/m、見かけ密度が0.40g/cmであった。得られた結果を、表1に示す。
[実施例4]
<原綿>
(島成分ポリマー)
1,5−ペンタメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩の濃度を65wt%水溶液とし、1,5−ペンタメチレンジアミンおよび水を加え、水溶液中に存在する1,5−ペンタメチレンジアミンのモル数とアジピン酸のモル数の比(1,5−ペンタメチレンジアミンのモル数/アジピン酸のモル数)を1.004、水溶液中の原料の濃度を65wt%に調整したこと以外は、実施例1と同様にして得られたポリアミド56樹脂を島成分とした。
(海成分ポリマー)
実施例1と同じポリマーを海成分として用いた。
<紡糸・延伸>
実施例1と同様の方法で、繊度が4.2dtex、繊維長が51mmの海島型複合繊維の原綿を得た。
<不織布>
上記の原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして目付が690g/m、見掛け密度が0.22g/cmの海島型複合繊維からなる不織布を得た。
<人工皮革用基体>
上記の不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして人工皮革用基体を得た。得られた人工皮革用基体は、極細繊維の平均繊維径が2.0μm、厚さが0.43mm、目付が167g/m、見かけ密度が0.39g/cmであった。得られた結果を、表1に示す。実施例1と実施例4を比較すると、実施例1の方が、染色速度、濃染性および耐光堅牢度において優れていた。
Figure 0005246083

Claims (3)

  1. 平均繊維径0.1〜10μmの極細繊維を主体とする繊維絡合体と弾性重合体で構成され、前記極細繊維がペンタメチレンアジパミド単位で構成されたポリアミド56からなることを特徴とする人工皮革用基体。
  2. ポリアミド56からなる極細繊維のアミノ末端基濃度が、30〜100eq/tonである請求項1記載の人工皮革用基体。
  3. ポリアミド56からなる極細繊維のアミノ末端基濃度とカルボキシル末端基濃度が、下記式の関係を満たすことを特徴とする請求項1または2記載の人工皮革用基体。
    0.4≦[NH]/([NH]+[COOH])≦0.8
    [NH]:極細繊維のアミノ末端基濃度(eq/ton)
    [COOH]:極細繊維のカルボキシル末端基濃度(eq/ton)
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