JP2009132579A - 誘電体磁器組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】Ag系金属の融点より低い温度で焼成することが可能であり、且つ低い焼成温度であっても十分な抗折強度を得ることができる誘電体磁器組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の誘電体磁器組成物は、主成分として、MgSiOを含み、副成分として、亜鉛酸化物、ホウ素酸化物、アルカリ土類金属酸化物、銅化合物、及びリチウム化合物を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘電体磁器組成物に関する。
近年、需要が増加している携帯電話等の移動体通信機器では、数百MHz〜数GHz程度の準マイクロ波と呼ばれる高周波帯域が使用されている。そのため、移動体通信機器に用いられるフィルタ、共振器、コンデンサ、回路基板等の電子部品においても高周波帯域での使用に適した諸特性が要求されている。
高周波帯域で使用される電子部品の一つである回路基板では、その配線層での配線間容量に起因する信号遅延を低減するために、基板の比誘電率を低くすることが必要となる。また回路基板では、高周波信号を減衰させないために、基板のQ・f値を大きくすること(誘電損失を小さくすること)が必要となる。したがって、回路基板用の材料としては、比誘電率が低く、且つQ・f値が大きい誘電体磁器組成物が要求される。なお、Qは、誘電体における現実の電流と電圧の位相差と、理想の電流と電圧の位相差90度との差である損失角度δの正接tanδの逆数であり、fは共振周波数である。
例えば、下記特許文献1及び2に示すように、MgSiO(フォルステライト)を主成分とする誘電体磁器組成物(以下、「フォルステライト系組成物」という。)は、比誘電率εrが比較的低く、その値は約9以下であり、またQ・f値が極めて大きく、その値が約1×10Hz以上であるため、回路基板用の材料に適している。
特開2004−210568号公報 特開2005−335986号公報
上述のフォルステライト系組成物を用いて回路基板を形成する際は、フォルステライト系組成物と、回路基板の電極や配線となる導体材とを同時焼成する必要がある。フォルステライト系組成物の焼結温度は約1000℃以下であり、従来の誘電体磁器組成物の焼結温度より低いため、従来導体材として用いられてきたPdやPtに比べて融点が低く、低抵抗であり、且つ安価な金属Ag又はAg系合金(以下、Ag系金属という。)を導体材として用いることができる。すなわち、フォルステライトは、導体材であるAg系金属の溶融を抑制できるほどの低温で、Ag系金属と同時焼成することが可能である。
しかしながら、焼成後のフォルステライト単体の抗折強度は40MPa以下と低く、また焼成後のフォルステライト系組成物の抗折強度も他の誘電体磁器組成物に比べて低い傾向があることが実用上大きな問題であった。また、一般的に、焼成後の誘電体磁器組成物の抗折強度は、焼成温度の低下に伴って低くなる傾向があるため、フォルステライト系組成物の場合も、低温(例えば、Ag系金属の融点より低い温度)で焼成した後での抗折強度が低くなり易いことが問題であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、低温(Ag系金属の融点より低い温度)で焼成することが可能であり、且つ低い焼成温度でも十分な抗折強度を得ることができる誘電体磁器組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の誘電体磁器組成物は、主成分として、MgSiOを含み、副成分として、亜鉛酸化物、ホウ素酸化物、アルカリ土類金属酸化物、銅化合物、及びリチウム化合物を含むことを特徴とする。
上記組成によれば、低温(Ag系金属の融点より低い温度)で誘電体磁器組成物を焼成することが可能となると共に、誘電体磁器組成物の焼成温度の低下に伴う抗折強度の低下を抑制することができる。すなわち、上記組成によれば、低温で焼成した後の誘電体磁器組成物(誘電体磁器)の抗折強度を、従来のフォルステライト系組成物の場合に比べて向上させることができる。
なお、誘電体磁器組成物とは、誘電体磁器の原料組成物であり、誘電体磁器組成物を焼結させることによって、焼結体である誘電体磁器が得られる。また、焼結とは、誘電体磁器組成物を加熱すると、誘電体磁器組成物が焼結体と呼ばれる緻密な物体になる現象である。一般に、加熱前の誘電体磁器組成物に比べて、焼結体の密度、機械的強度等は大きくなる。また、焼結温度とは、誘電体磁器組成物が焼結する際の誘電体磁器組成物の温度である。また、焼成とは、焼結を目的とした加熱処理を意味し、焼成温度とは、加熱処理の際に誘電体磁器組成物が曝される雰囲気の温度である。
上記本発明では、リチウム化合物の質量をLiOに換算した場合に、リチウム化合物の含有率cが、誘電体磁器組成物全体に対して、0.38質量%≦c≦1.2質量%であることが好ましい。
これにより、より低温で誘電体磁器組成物を焼成することが可能となると共に、誘電体磁器組成物の焼成温度の低下に伴う抗折強度の低下をより確実に抑制することができる。
本発明によれば、低温(Ag系金属の融点より低い温度)で焼成することが可能であり、且つ低い焼成温度であっても十分な抗折強度を得ることができる誘電体磁器組成物を提供することが可能となる。
以下、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(誘電体磁器組成物)
本実施形態の誘電体磁器組成物は、主成分として、MgSiOを含み、副成分として、亜鉛酸化物、ホウ素酸化物、アルカリ土類金属酸化物、銅化合物、及びリチウム化合物を含む。
<主成分>
誘電体磁器組成物に主成分として含まれるMgSiO(フォルステライト)は、単体でのQ・f値が200000GHz以上であり、誘電損失が小さいため、誘電体磁器組成物の誘電損失を低下させる機能を有する。また、MgSiOは、その比誘電率εrが6〜7程度と低いため、誘電体磁器組成物のεrを低下させる機能も有する。
誘電体磁器組成物の誘電損失を下げる点では、主成分に占めるMgSiOの割合が100体積%であることが好ましいが、比誘電率εrを調整するために、MgSiO以外の主成分をMgSiOと併用することができる。MgSiO以外の主成分としては、εrが17前後であるチタン酸マグネシウム(MgTiO)、及びεrが200前後であるチタン酸カルシウム(CaTiO)等が挙げられる。
MgSiOを構成するMgOとSiOとのモル比は、化学量論的にはMgO:SiO=2:1であるが、必ずしもこれに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内で化学量論比から外れてもよい。例えば、MgO:SiO=1.9:1.1〜2.1:0.9とすることができる。
本実施形態の誘電体磁器組成物中のMgSiOの含有量は、誘電体磁器組成物全体から後述の各副成分を除いた残部であることが好ましい。誘電体磁器組成物がこのような条件で主成分であるMgSiOを含むことで、誘電損失及び比誘電率を低下する効果が確実に得られるようになる。なお、主成分として上記のようなMgSiO以外の成分を含む場合は、主成分の合計が誘電体磁器組成物全体から後述の各副成分を除いた残部であればよい。
<副成分>
本実施形態の誘電体磁器組成物は、主成分のMgSiOに対する副成分として、亜鉛酸化物、ホウ素酸化物、アルカリ土類金属酸化物、銅化合物、及びリチウム化合物を含む。
上記の各副成分を誘電体磁器組成物に含有させることによって、誘電体磁器組成物の焼結温度が低下するため、Ag系金属からなる導体材の融点より低い温度で、誘電体磁器組成物をAg系金属と同時に焼成することが可能となると共に、誘電体磁器組成物の焼成温度の低下に伴う抗折強度の低下を抑制することができる。
副成分の一種である亜鉛酸化物の含有率a(単位:質量%)は、亜鉛酸化物の質量をZnOに換算した場合に、誘電体磁器組成物全体に対して、8.0≦a≦20であることが好ましく、12.0≦a≦16.0であることがより好ましい。
aが8未満となると、低温焼結効果(より低い温度での誘電体磁器組成物の焼結を可能とする効果)が不充分となる傾向があり、また焼成後の誘電体磁器組成物(誘電体磁器)の抗折強度が向上する効果が小さくなる傾向がある。一方、aが20を超えると、誘電損失が大きくなり、Qが低下して、誘電損失が大きくなる傾向がある。そこで、亜鉛酸化物の含有率aを上記の好適範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。なお、具体的な亜鉛酸化物としては、ZnO等が挙げられる。
副成分の一種であるホウ素酸化物の含有率b(単位:質量%)は、ホウ素酸化物の質量をBに換算した場合に、誘電体磁器組成物全体に対して、3.0≦b≦10であることが好ましく、4.0≦b≦8.0であることがより好ましい。
bが3未満となると、低温焼結効果が不充分となる傾向があり、またQが低下して誘電損失が大きくなる傾向がある。一方で、bが10を超えると、焼成後の誘電体磁器組成物(誘電体磁器)の密度が低くなり易く、抗折強度が向上する効果が小さくなる傾向がある。そこで、ホウ素酸化物の含有率bを上記の好適範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。なお、具体的なホウ素酸化物としては、B等が挙げられる。
副成分の一種であるリチウム化合物の含有率c(単位:質量%)は、リチウム化合物の質量をLiOに換算した場合に、誘電体磁器組成物全体に対して、0.38≦c≦1.2であることが好ましく、0.38≦c≦0.6であることがより好ましい。
cが0.38以下となると、低温焼結効果が不充分となる傾向があり、また焼成後の誘電体磁器組成物(誘電体磁器)の抗折強度が向上する効果が小さくなる傾向がある。一方、cが1.2以上となると、焼成後に得られる基板(誘電体磁器)にクラックが生じ、所望の基板を得にくい傾向がある。そこで、リチウム化合物の含有率cを上記の好適範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制でき、より低温で誘電体磁器組成物を焼成することが可能となると共に、誘電体磁器組成物の焼成温度の低下に伴う抗折強度の低下をより確実に抑制することができる。具体的なリチウム化合物としては、LiO、LiCO等が挙げられる。
副成分の一種であるアルカリ土類金属酸化物の含有率d(単位:質量%)は、アルカリ土類金属酸化物の質量をRO(Rはアルカリ土類金属元素)に換算した場合に、誘電体磁器組成物全体に対して、1.0≦d≦4.0であることが好ましく、2.0≦d≦3.0であることがより好ましい。アルカリ土類金属酸化物を誘電体磁器組成物に含有させることによって、誘電体磁器組成物の低温焼結効果が顕著となる。
dが1.0未満となると、低温焼結効果十分に得られなくなる傾向があり、焼成後の誘電体磁器組成物(誘電体磁器)の密度が低くなり易く、抗折強度が向上する効果が小さくなる傾向がある。一方、dが4.0を超えると、低温焼結効果は顕著となるものの、Qが低下して、誘電損失が大きくなる傾向がある。そこで、アルカリ土類金属酸化物の含有率dを上記の好適範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。
なお、アルカリ土類金属であるRとしては、Ba、Sr、Caのいずれかが好ましく、これらの2種以上を混合して用いてもよい。具体的なアルカリ土類金属酸化物ROとしては、BaO、SrO、CaO、MgO等が挙げられる。
副成分の一種である銅酸化物の含有率e(単位:質量%)は、銅酸化物の質量をCuOに換算した場合に、誘電体磁器組成物全体に対して、2.0≦e≦8.0であることが好ましく、4.0≦e≦6.0であることがより好ましい。
eが2.0未満となると、低温焼結効果十分に得られなくなる傾向があり、焼成後の誘電体磁器組成物(誘電体磁器)の密度が低くなり易く、抗折強度が向上する効果が小さくなる傾向がある。一方で、eが8.0を超えると、Qが低下して、誘電損失が大きくなる傾向がある。そこで、銅酸化物の含有率eを上記の好適範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。なお、具体的な銅酸化物としては、CuO等が挙げられる。
(誘電体磁器組成物の製造方法)
次に、本実施形態の誘電体磁器組成物の製造方法の一例について説明する。
誘電体磁器組成物の主成分及び副成分の各原料としては、例えば、MgSiO、亜鉛酸化物、ホウ素酸化物、アルカリ土類金属酸化物、銅化合物、及びリチウム酸化物、又は焼成(後述する仮焼等の熱処理)によってこれらの酸化物となる化合物を用いることができる。焼成により上記酸化物となる化合物としては、例えば、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、硫化物、有機金属化合物等が例示される。
誘電体磁器組成物の製造では、例えば、主成分であるMgSiO(フォルステライト)の原料である酸化マグネシウムと酸化シリコンとをそれぞれ所定量秤量して混合する。酸化マグネシウムと酸化シリコンの混合は、乾式混合又は湿式混合等の混合方式で行うことができ、例えば、純水、エタノール等の溶媒を用いたボールミルにより行うことができる。混合時間は4〜24時間程度とすればよい。
酸化マグネシウムと酸化シリコンとの混合物を、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜140℃で、12〜36時間程度乾燥させた後、仮焼する。この仮焼によって、MgSiO(フォルステライト結晶)を合成する。仮焼温度は、1100〜1500℃であることが好ましく、1100〜1350℃であることが好ましい。また、仮焼は1〜24時間程度行うことが好ましい。
合成されたフォルステライト結晶を、粉砕して粉末とした後に乾燥する。これにより、MgSiO(フォルステライト結晶)の粉末を得る。粉砕は乾式粉砕又は湿式粉砕等の粉砕方式でおこなうことができ、例えば、純水、エタノール等の溶媒を用いたボールミルにより行うことができる。粉砕時間は4〜24時間程度とすればよい。粉末の乾燥は、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜140℃の乾燥温度で、12〜36時間程度行えばよい。
なお、上述のMgSiO(フォルステライト結晶)による効果を大きくするためには、フォルステライト中に含まれる未反応の原料成分を少なくする必要があるため、酸化マグネシウムと酸化シリコンとの混合物を調製する際は、マグネシウムのモル数がシリコンのモル数の2倍となるように、酸化マグネシウムと酸化シリコンとを混合することが好ましい。
また、マグネシウム含有原料及びシリコン含有原料からフォルステライト結晶を合成するのではなく、市販のフォルステライトを用いてもよい。すなわち、市販のフォルステライトを、上述した方法で粉砕し、乾燥してフォルステライトの粉末を得ても良い。
次に、得られたMgSiOの粉末と、誘電体磁器組成物の副成分の原料である亜鉛酸化物、ホウ素酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、銅化合物、及びリチウム酸化物とを、それぞれ所定量秤量した後、これらを混合して原料混合粉末とする。なお、副成分の各原料の秤量は、完成後の誘電体磁器組成物において、各副成分の含有率が、誘電体磁器組成物全体に対して所望の上記比率(質量%)となるように行う。また、混合は、乾式混合又は湿式混合等の混合方式で行うことができ、例えば、純水、エタノール等の溶媒を用いたボールミルにより行うことができる。混合時間は4〜24時間程度とすればよい。
原料混合粉末を、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜140℃の乾燥温度で12〜36時間程度乾燥する。
次に、原料混合粉末を、後述するような焼成工程における焼成温度(860〜1000℃)以下の温度、例えば700〜800℃で、1〜10時間程度仮焼する。このように仮焼を焼成温度以下の温度で行うことによって、原料混合粉末中のフォルステライトが融解することを抑制でき、完成後の誘電体磁器組成物中に、結晶の形でフォルステライトを含有させることができる。
仮焼後の原料混合粉末に対して粉砕を行った後に、原料混合粉末を乾燥して、本実施形態の誘電体磁器組成物が得られる。粉砕は乾式粉砕又は湿式粉砕等の粉砕方式でおこなうことができ、例えば、純水、エタノール等の溶媒を用いたボールミルにより行うことができる。粉砕時間は4〜24時間程度とすればよい。粉砕後の原料混合粉末の乾燥は、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜140℃の処理温度で、12〜36時間程度行えばよい。
上述ように各原料を混合する以前の時点と、各原料を混合して原料混合粉末とした後の時点で、計2回の仮焼及び粉砕を行うことにより、誘電体磁器組成物の主成分と副成分とが均一に混合されて、材質が均一な誘電体磁器組成物を得ることができる。
このようにして得られた誘電体磁器組成物は、例えば、860〜1000℃で焼成する焼成工程を行うことにより焼結され、低誘電損失且つ低比誘電率であり、しかも十分な抗折強度を有する誘電体磁器となる。したがって、このような誘電体磁器組成物は、フィルタ、共振器、コンデンサ、回路基板等の電子部品の一部を構成する誘電体磁器の原料として好適に用いることができる。
以上、本発明に係る誘電体磁器組成物の好適な実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明に係る誘電体磁器組成物は、低温での焼成を可能とし、且つ焼成温度の低下に伴う抗折強度の低下を抑制する効果を阻害しない範囲内で、他の化合物が含まれていてもよい。例えば、誘電体磁器組成物の主成分に対し、副成分としてマンガン酸化物を更に含有させることにより、誘電損失をより小さく抑えることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[試料No.1]
主成分としてMgSiOを含み、副成分として、亜鉛酸化物、ホウ素酸化物、アルカリ土類金属酸化物、銅化合物、及びリチウム化合物を含み、誘電体磁器組成物全体に対して、ZnOの含有率が16質量%であり、Bの含有率が6.0質量%であり、CaOの含有率が2.0質量%であり、CuOの含有率が4.0質量%であり、LiOの含有率が0.38質量%である試料No.1の誘電体磁器組成物を、以下に示す手順で作製した。
まず、主成分の原料であるMgO、及びSiOを、マグネシウム原子のモル数がケイ素原子のモル数の2倍となるようにそれぞれ秤量した。秤量した原料に純水を加え、スラリー濃度が25質量%であるスラリーを調製した。このスラリーを、ボールミルにて16時間湿式混合した後、120℃で24時間乾燥して、粉末を得た。この粉末を、空気中で、3時間、1200℃で仮焼して、フォルステライト結晶(MgSiO)を得た。このフォルステライト結晶に純水を加えて、スラリー濃度が25%であるスラリーを調製した。このスラリーを、ボールミルにて16時間粉砕した後、120℃で24時間乾燥して、誘電体磁器組成物の主成分であるフォルステライト結晶の粉末を製造した。
次に、得られたフォルステライト結晶の粉末に対して、誘電体磁器組成物の副成分の原料であるZnO、B、CaCO、CuO及びLiOをそれぞれ配合した後、更に純水を加えて、スラリー濃度が25質量%であるスラリーを作製した。このスラリーをボールミルにて16時間湿式混合した後、120℃で24時間乾燥して、原料混合粉末を得た。得られた原料混合粉末を、空気中で、2時間、750℃で仮焼して、仮焼粉末を得た。仮焼粉末に純水を加えて、スラリー濃度が25質量%であるスラリーを調製した。このスラリーを、ボールミルにて16時間湿式粉砕した後、120℃で24時間乾燥して、試料No.1の誘電体磁器組成物の粉末を得た。なお、フォルステライト結晶の粉末に対するZnO、B、CaCO、CuO、及びLiOの各配合量は、完成後の誘電体磁器組成物において、誘電体磁器組成物全体に対して、ZnOが16質量%、Bが6.0質量%、CaOが2.0質量%、CuOが4.0質量%、LiOが0.38質量%含有されるように調整した。
試料No.1の誘電体磁器組成物の粉末に有機バインダを混合した後、これをドクターブレード法によってシート成形して、シートを複数作成した。次に、複数のシートを積層して得た積層体をプレスして基板状に成型し、これを940℃の焼成温度で4時間焼成して、試料No.1の基板(誘電体磁器)を得た。
<抗折強度の測定>
JIS R1601(1995)の条件で、試料No.1の基板を切断加工し、試料No.1の抗折強度σ(単位:MPa)を測定した。測定結果を表1に示す。
<密度の測定>
アルキメデス法を用いて、試料No.1の基板の密度ρ(単位:g/cm)を測定した。
[試料No.2〜16]
誘電体磁器組成物全体に対するLiOの含有率(質量%)を表1に示す値としたこと以外は、試料No.1と同様の方法で、試料No.2〜16の誘電体磁器組成物をそれぞれ作製した。そして、得られた誘電体磁器組成物から形成した積層体を基板状にプレス成型したものを表1に示す焼成温度で焼成したこと以外は、試料No.1と同様の方法で、試料No.2〜16の各基板を得た。また、試料No.1と同様の方法で、試料No.2〜16の抗折強度及び密度を測定した。結果を表1に示す。また、試料No.1〜16の焼成温度に対して、抗折強度をプロットしたグラフを図1に示す。
Figure 2009132579

表1及び図1に示す試料No.1〜4、5〜8、9〜12の測定結果の比較から明らかなように、主成分として、MgSiOを含み、副成分として、亜鉛酸化物、ホウ素酸化物、アルカリ土類金属酸化物、銅化合物、及びリチウム化合物を含む誘電体磁器組成物を焼成することによって得た基板では、焼成温度の低下に伴う抗折強度及び密度の低下が抑制されていることが確認された。
一方、試料No.13〜16の測定結果の比較から明らかなように、副成分としてリチウム化合物を含まない誘電体磁器組成物を焼成することによって得た基板では、焼成温度の低下に伴って抗折密度及び密度が低下していることが確認された。
試料No.1〜16の焼成温度に対して、抗折強度をプロットしたグラフである。

Claims (2)

  1. 主成分として、MgSiOを含み、
    副成分として、亜鉛酸化物、ホウ素酸化物、アルカリ土類金属酸化物、銅化合物、及びリチウム化合物を含む、ことを特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. 前記リチウム化合物の質量をLiOに換算した場合に、前記リチウム化合物の含有率cが、誘電体磁器組成物全体に対して、0.38質量%≦c≦1.2質量%である、ことを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
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