JP2009132255A - ボーディングブリッジ、ボーディングブリッジシステム、およびボーディングブリッジの装着方法 - Google Patents

ボーディングブリッジ、ボーディングブリッジシステム、およびボーディングブリッジの装着方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エアステアーを内蔵し、かつ乗降口とエンジンとの距離が短い航空機に対しても、操作員に多大な負担をかけずに装着可能なボーディングブリッジを提供する。
【解決手段】ボーディングブリッジ1は、ターミナルビルに接続され、鉛直軸周りに回転自在なロータンダ4と、一端がロータンダ4に接続された伸縮自在なトンネル部5と、トンネル部5の他端に接続され、鉛直軸7周りに回転自在なキャブ6と、を備えている。トンネル部5は、キャブ6が航空機150に装着される際に航空機150の胴部155と略平行に延びるように構成されている。キャブ6は、トンネル部5と略直交する方向に延びる床と、前記床の一部から前方に突出自在に形成され、前方に突出することによって前記床と航空機150の乗降口151とをつなぐ通路を形成する渡し台20と、を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、ボーディングブリッジに係り、特に、エアステアーを内蔵した航空機に装着可能なボーディングブリッジに関する。また、本発明は、上記ボーディングブリッジを備えたボーディングブリッジシステム、および上記ボーディングブリッジの装着方法に関する。
従来から、航空機の乗降装置として、ボーディングブリッジが知られている。ボーディングブリッジは、空港のターミナルビルと航空機とを連絡する歩行通路を備えている。ボーディングブリッジを用いることによって、ターミナルビルと航空機との間における乗客等の乗り降りが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示されたボーディングブリッジは、ターミナルビルに接続されたロータンダと、ロータンダに接続された伸縮自在なトンネル部と、トンネル部の先端に設けられたキャブとを備えている。
図8を参照しながら、上記ボーディングブリッジの航空機に対する装着方法について説明する。航空機100がエプロン上の所定の位置に駐機すると、ボーディングブリッジ201のキャブ206内に乗り込んだ操作員は、キャブ206を航空機100の扉101に向かって走行させる。この際、ロータンダ204が旋回するとともに、トンネル部205が伸長する。また、キャブ206もトンネル部205に対して旋回することになる。なお、符号202は、ターミナルビルを表している。キャブ206が扉101に対向する位置に到着すると、キャブ206を扉101に向かって前進させ、扉101の周囲に装着する。その後、扉101が開かれ、乗客の乗り降りが可能となる。なお、図示は省略するが、扉101は横方向に回転またはスライドする扉である。
特開2002−37196号公報
しかしながら、例えば、いわゆる小型機などにおいて、エアステアー(すなわち、裏側に乗降用の階段が設けられ、扉を出すことにより乗降用の階段となる機構)を備えた航空機が存在する。この種の航空機では、扉が下端部を支点として縦方向に回動するので、キャブを装着した後に扉を開こうとしても、扉がキャブの床と干渉してしまい、扉を開けることができない。
また、いわゆる小型機などにおいて、乗降口とエンジンとの距離が短い航空機が存在する。この種の航空機に対しては、従来のボーディングブリッジの構造では装着が困難であった。また、装着が可能であっても、乗降口の周囲に装着する際に、キャブがエンジンと干渉しないように注意深く操作する必要があり、大型機に装着する場合に比べて、操作員の負担が大きくなるという課題がある。
一方、小型機においても、高齢者や身障者等でも容易に搭乗でき、搭乗の負担が軽減されることが好ましい。そのため、小型機に対しても、ボーディングブリッジの活用が望まれている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、エアステアーを内蔵し、かつ乗降口とエンジンとの距離が短い航空機に対しても、多大な負担をかけずに装着可能なボーディングブリッジを提供することである。また、どのような小型機に対しても、ターミナルビルから容易に乗降できるボーディングブリッジを提供することである。
本発明に係るボーディングブリッジは、ターミナルビルに接続され、鉛直軸周りに回転自在なロータンダと、一端が前記ロータンダに接続された伸縮自在なトンネル部と、前記トンネル部の他端に接続され、鉛直軸周りに回転自在なキャブと、を備え、前記トンネル部は、前記キャブが航空機に装着される際に前記航空機の胴部と略平行に延びるように構成され、前記キャブは、前記トンネル部と略直交する方向に延びる床と、前記床の一部から前方に突出自在に形成され、前方に突出することによって前記床と前記航空機の乗降口とをつなぐ通路を形成する渡し台と、を有しているものである。
本発明に係るボーディングブリッジの装着方法は、前記トンネル部が前記航空機の胴部と略平行になるまで前記ロータンダを旋回させる第1のステップと、前記キャブの先端の位置が前記航空機の乗降口と対向する位置になるまで、前記トンネル部を伸縮する第2のステップと、前記キャブを前記乗降口に接近させる第3のステップと、前記渡し台を前記床から前方に突出させることによって前記床と前記乗降口との間に架け渡す第4のステップと、を包含する方法である。
上記ボーディングブリッジは、キャブの床の一部から前方に突出自在な渡し台を備えている。そのため、航空機の扉を開いた後、キャブを航空機に装着し、渡し台を前方に突出させることによってキャブの床と航空機の乗降口とをつなぐ通路を形成することにより、乗客の乗り降りが可能となる。したがって、エアステアーを内蔵した航空機に対しても装着が可能となる。
また、上記ボーディングブリッジによれば、キャブは、トンネル部と略直交する方向に延びる床を有している。そのため、トンネル部が航空機の胴部と略平行になるまでロータンダを旋回させた後、トンネル部を伸縮させるだけで、キャブの先端と航空機の乗降口との位置合わせを行うことができる。ここで、乗降口とエンジンとの距離が短い航空機の場合、トンネル部の伸長方向は、航空機の胴部に沿ってエンジンに接近する方向となる。そのため、キャブがロータンダを中心として旋回しながらエンジンの近傍を横切る場合と異なり、キャブがエンジンにどの程度接近しているかを容易に把握することができる。したがって、キャブとエンジンとの干渉を容易に避けることができ、操作員の負担が軽減する。
前記キャブの床は、前方に向かって突出する突出床と、前記突出床よりも後方に後退した後退床とを有し、前記渡し台は、前記後退床から前方に突出してもよい。
このことにより、航空機への装着の際に、後退床をエアステアーの後方に位置付けることによって、エアステアーとキャブの床との干渉を避けることができる。また、突出床(なお、突出床の先端側にはバンパー等が設けられていることが好ましい。)の先端側を航空機の胴部に接触または接近させ、突出床を航空機の胴部に平行に沿わせることにより、キャブの向きを航空機の乗降口に正確に合わせることが容易になる。そして、そのように正確に位置決めされた後、後退床から渡し台を架け渡すことによって、キャブの床と航空機の乗降口とをつなぐ通路が形成される。したがって、キャブの位置決めに際しての操作員の負担がより軽減する。
前記ボーディングブリッジは、前記渡し台を前後方向にスライドさせる前後スライド機構を備えていることが好ましい。
このことにより、キャブと航空機の乗降口との位置合わせを行った後、渡し台を航空機の乗降口に向かって前方にスライドさせることにより、キャブの床と航空機の乗降口とをつなぐ通路が形成される。
平面視において、前記キャブは前記トンネル部に対し平面視略T字状に交差していることが好ましい。
このことにより、キャブは、航空機の乗降口に向かう方向(前方)だけでなく、当該方向と反対の方向(後方)にも、ある程度の長さを有することとなる。そのため、渡し台の前後方向のスライド可能量を大きく確保することができる。また、渡し台は、トンネル部の出口部分(トンネル部とキャブとが交差している部分)よりも更に後方にスライドすることができるので、トンネル部の出口部分とキャブの先端との間の距離を短くすることができる。したがって、キャブがトンネル部に対して平面視略L字状に交差している場合に比べて、トンネル部の出口部分と航空機の乗降口との間の距離を短くすることができ、乗客等の歩行距離を短くすることができる。
前記ボーディングブリッジは、前記渡し台を左右方向にスライドさせる左右スライド機構を備えていることが好ましい。
このことにより、渡し台と航空機の乗降口との位置合わせをより容易に行うことができる。
前記ボーディングブリッジは、前記キャブの床の先端部が前記航空機の胴部に対して平行であるか否かを検出する平行度検出センサを備えていることが好ましい。
このことにより、平行度検出センサの検出結果に基づいてキャブの向きを調整することによって、キャブの床の先端部と航空機の胴部との間の平行度合いを、より高めることができる。そのため、渡し台を航空機の乗降口に対して、より正確に架け渡すことができる。
本発明に係るボーディングブリッジシステムは、前記ボーディングブリッジからなる第1のボーディングブリッジと、ターミナルビルに接続され、鉛直軸周りに回転自在なロータンダと、一端が前記ロータンダに接続された伸縮自在なトンネル部と、前記トンネル部の他端に接続され、鉛直軸周りに回転自在なキャブと、を備えた第2のボーディングブリッジと、を備え、前記第1のボーディングブリッジと前記第2のボーディングブリッジとは、空港の同一スポット内に配置されているものである。
上記ボーディングブリッジシステムによれば、例えば、エアステアーを備えた小型航空機に対しては第1のボーディングブリッジを使用し、横方向に回転またはスライドする扉を備えた大型航空機に対しては第2のボーディングブリッジを使用することにより、小型航空機および大型航空機の両方を同一スポットに選択的に駐機させることができる。
以上のように、本発明によれば、エアステアーを内蔵し、かつ乗降口とエンジンとの距離が短い航空機に対しても、操作員に多大な負担をかけずに装着可能なボーディングブリッジを実現することができる。そのため、本発明に係るボーディングブリッジによれば、どのような小型機にも装着できる構造であるため、どのような小型機にも容易に乗降することができるようになる。
《ボーディングブリッジの全体構成》
図1に示すように、本実施形態に係るボーディングブリッジ1は、エアステアー152を備えた小型の航空機150に対して装着可能なボーディングブリッジである。また、本ボーディングブリッジ1は、乗降口151とエンジン153との距離が短い航空機150に対して装着容易なボーディングブリッジである。
図1に示すように、ボーディングブリッジ1は、空港のターミナルビルに接続されたロータンダ4と、ロータンダ4に接続されたトンネル部5と、トンネル部5の先端側に設けられたキャブ6とを備えている。
ロータンダ4は、鉛直軸周りに回転自在に構成されている。トンネル部5は、第1トンネル5aと第2トンネル5bと接続トンネル5cとを備えている。第2トンネル5bは第1トンネル5aに対してスライド自在に組み立てられており、接続トンネル5cは第2トンネル5bに対して連結されて組み立てられている。これにより、トンネル部5は、伸縮自在に構成されている。トンネル部5の内部には、図示しない歩行通路が形成されており、この歩行通路も伸縮自在となっている。なお、トンネル部5のトンネルの数は3つに限定されず、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。また、トンネル部5の全体が伸縮自在であれば、トンネルの数は1つであってもよい。また、ここでいうトンネルとは、側方および上方のすべてが覆われているものに限られず、側方および上方の一部が覆われているものも含まれる。本発明におけるトンネル部は、上方が開放されたものであってもよい。
《キャブの構成》
本実施形態に係るボーディングブリッジ1では、キャブ6は、平面視略円形状ではなく、平面視略長方形状に形成されている。キャブ6は、鉛直軸7周りに回転自在に構成されている。キャブ6は、接続トンネル5cに接続された半円部6aと、トンネル部5に対して略直交する方向に延びる直線部6bとを有している。
以下の説明では、キャブ6の開放された側を先端側または前側という。キャブ6の前側部分には、前方に向かって突出する突出床11と、突出床11よりも後方に向かって後退した後退床12とが形成されている。本実施形態では、これら突出床11と後退床12とにより、キャブ6の先端側の床には、平面視L字状の段差が設けられている。突出床11の先端側には、バンパ13が取り付けられている。
後述するように、後退床12の内部または下部には、前後方向にスライド自在な渡し台20が設置されている。渡し台20は、後退床12と航空機150の乗降口151とをつなぐ通路を形成するものである。
また、キャブ6の先端側には、航空機150の乗降口151の周囲を覆うクロージャ14が設けられている。ただし、クロージャ14は必ずしも必要ではなく、省略することも可能である。
図2は、キャブ6の内部の構造を概念的に示す平面図である。キャブ6の半円部6aの下側部分(すなわち、床よりも下側の部分)には、チェーン32が円弧状に配置されている。また、キャブ6の半円部6aの下側部分には、このチェーン32と噛み合うスプロケット31Aと、このスプロケット31Aを回転させるモータ30Aとが設けられている。モータ30Aが駆動してスプロケット31Aが回転すると、スプロケット31Aはチェーン32上を移動する。その結果、キャブ6は、鉛直軸7(図1参照)周りに回転することになる。つまり、キャブ6は、モータ30Aによって回転駆動される。
キャブ6の直線部6bの下側部分(すなわち、床よりも下側の部分)には、スライド台21と、スライド台21を前後方向にスライド自在に支持する支持台22とが設けられている。スライド台21の先端側(図2における左側)には、渡し台20が取り付けられている。
以下の説明では、前後左右方向は、キャブ6の中央部分から渡し台20の方を見たときの前後左右方向をいうものとする。言い換えると、キャブ6内に乗り込んだ操作員から見た方向を、方向の基準とする。そのため、図2の左側、右側、下側、上側が、それぞれ前側、後側、左側、右側となる。スライド台21の先端側部分には、左右方向に延びるチェーン23が配置されている。渡し台20の後側には、チェーン23と噛み合うスプロケット24と、スプロケット24を回転させるモータ25とが設けられている。モータ25が駆動してスプロケット24が回転すると、スプロケット24はチェーン23上を左右に移動する。その結果、渡し台20は、モータ25およびスプロケット24と共に左右方向にスライドすることになる。つまり、渡し台20は、モータ25によって左右方向に移動可能となっている。これらモータ25、スプロケット24、およびチェーン23は、渡し台20を左右方向にスライドさせる左右スライド機構を構成している。
支持台22の左右両側には、前後方向に延びるチェーン26が配置されている。スライド台21には、チェーン26と噛み合うスプロケット27と、スプロケット27と共に回転する駆動軸28と、駆動軸28を回転させるモータ29とが設けられている。モータ29が駆動して駆動軸28が回転すると、スプロケット27がチェーン26上を前後に移動する。その結果、スライド台21は前後方向にスライドすることになる。そして、スライド台21に取り付けられた渡し台20も、前後方向にスライドすることになる。つまり、渡し台20は、モータ29によって前後方向に移動可能となっている。これらモータ29、駆動軸28、スプロケット27、およびチェーン26は、渡し台20を前後方向にスライドさせる前後スライド機構を構成している。
突出床11の先端側には、航空機150の胴部155に対する接触を検知する複数のセンサ31が配置されている。本実施形態では、センサ31は、突出床11の左右両側にそれぞれ配置されている。ただし、センサ31は、突出床11以外の部分に設けてもよい。また、突出床11と、突出床11以外の部分とに、センサ31を設けることも可能である。例えば、後退床12の右端部分に棒32を設け、この棒32の先端にセンサ31を設けてもよい。また、棒32を折りたたみ式または前後スライド式に形成してもよい。これにより、センサ31を使用しない際には棒32を収納することができ、棒32が邪魔になることを防止することができる。
これら複数のセンサ31は、キャブ6の床の先端部に沿って配置されている。言い換えると、これらセンサ31は、キャブ6の直線部6bの長手方向(図2の左右方向)と直交する方向(図2の上下方向)に配列されている。これらセンサ31は、キャブ6の床の先端部が航空機150の胴部155に対して平行であるか否かを検出するセンサである。本実施形態では、センサ31は接触式センサであるが、センサ31はキャブ6の床の先端部と航空機150の胴部155との距離を計測する非接触式のセンサ(例えば、光学式センサ等)であってもよい。本実施形態では、これら複数のセンサ31が検出する押し込み距離が等しいほど、平行度は高いことになる。なお、非接触式のセンサを用いる場合には、複数のセンサが検出する距離が等しいほど、平行度は高いことになる。
本実施形態では、突出床11上に操作盤30が配置されている。ただし、操作盤30の設置箇所は、突出床11上に限定されるわけではない。
図3は、キャブ6およびトンネル部5の一部を後方から見た図である。図3に示すように、トンネル部5には、左右一対の走行輪(ただし、図3では右側の走行輪のみ図示)40が設けられている。走行輪40には、支持台41が支持されている。
支持台41には、上下に延びる第1ガイドフレーム42と、上下に延びるウォーム43とが支持されている。図示は省略するが、ウォーム43の外周部には螺旋状の溝が形成されている。トンネル部5には、上下に延びる第2ガイドフレーム44が固定されている。第2ガイドフレーム44は、第1ガイドフレーム42にスライド自在に嵌め込まれている。また、トンネル部5には、ウォーム43と噛み合うウォームホイール45と、ウォームホイール45を回転させるモータ46とが固定されている。ウォーム43とウォームホイール45とは、ウォームホイール45の回転に伴ってウォームホイール45を上下移動させるウォームギアを構成している。
モータ46が駆動すると、ウォームホイール45は、ウォーム43に沿って上下移動する。また、モータ46およびウォームホイール45はトンネル部5に取り付けられているので、モータ46が駆動すると、トンネル部5は、ウォームホイール45と共に上下移動する。なお、トンネル部5には第2ガイドフレーム44が固定されているので、第2ガイドフレーム44が第1ガイドフレーム42にガイドされることによって、トンネル部5は安定して上下移動することになる。キャブ6はトンネル部5に鉛直軸周りに回転自在に取り付けられているが、トンネル部5と共に上下移動する。そのため、モータ46が駆動すると、キャブ6も上下移動することになる。このモータ46を制御することにより、キャブ6の上下位置が調整される。
図4は、キャブ6を側方から見た図である。言い換えると、ボーディングブリッジ1の外部からキャブ6をロータンダ4側に向かって見た図である。図4に示すように、本実施形態では、キャブ6の直線部6bの右側の壁には、窓8が設けられている。本実施形態では、視認性向上のために、窓8の面積は大きくなっている。ただし、窓8の面積は特に限定されるわけではない。また、キャブ6の直線部6bの右側の一部が開放されている場合には、窓8がなくても視界を確保することができるので、窓8を省略することも可能である。
《ボーディングブリッジの装着方法》
次に、ボーディングブリッジ1の装着方法について説明する。
図5(a)に示すように、まず、ロータンダ4を回転させ、ボーディングブリッジ1を待機位置(図5(a)に仮想線で示す位置)から、第1準備位置にまで移動させる。この第1準備位置は、トンネル部5が航空機150の胴部155と略平行となる位置である。
次に、図5(b)に示すように、キャブ6の先端の位置が航空機150の乗降口151と対向する位置(=第2準備位置)になるまで、トンネル部5を伸長させる。より詳しくは、キャブ6の後退床12と乗降口151との位置が合うように、トンネル部5を伸長させる。この際、トンネル部5の伸長方向は、航空機150の胴部155と略平行の方向である。また、前述したように、キャブ6の右側の壁には、窓8が形成されている(図4参照)。そのため、キャブ6内の操作員は、キャブ6の移動の際に、キャブ6とエンジン153との間の距離を容易に把握することができる。また、キャブ6は航空機150の胴部155と平行に移動するので、キャブ6を乗降口151の前で停止させることにより、キャブ6がエンジン153に接近し過ぎることを確実に防止することができる。
なお、エアステアー152を開くタイミング(図6(a)参照)は、ボーディングブリッジ1が待機位置にいる間であってもよく、待機位置から第1準備位置に移動する間であってもよく、第1準備位置にいる間であってもよく、第1準備位置から第2準備位置に移動する間であってもよく、ボーディングブリッジ1が第2準備位置にいる間であってもよい。
次に、図5(c)に示すように、エアステアー152が開かれた状態(図6(a)参照)で、キャブ6を航空機150の乗降口151に接近させる。具体的には、キャブ6の先端に設けられたセンサ31が航空機150の胴部155に接触するまで、キャブ6を乗降口151に近づける(図6(b)参照。なお、図6(b)および(c)では、センサ31の図示は省略している。)。本実施形態では、複数のセンサ31の接触度合いによって、キャブ6の先端部と航空機150の胴部155との平行度が検出される。キャブ6は、航空機150の胴部155と実質的に平行になるように位置付けられる。すなわち、キャブ6の向きが航空機150の胴部155と実質的に直交する向きとなるように、言い換えると、キャブ6の直線部6bの長手方向と航空機150の胴部155の長手方向とが実質的に直交するように、キャブ6の向きが調整される。
次に、渡し台20を前方にスライドさせ、渡し台20を後退床12と乗降口151との間に架け渡す。具体的には、まず、渡し台20の左右位置が乗降口151の左右位置と合うように、モータ25(図2参照)を制御することによって渡し台20を左右に移動させる。そして、渡し台20の左右位置が乗降口151の左右位置と一致したことを確認した後、モータ29を制御し、スライド台21を前進させる。これにより、渡し台20が前方に移動し、渡し台20によって、後退床12と乗降口151との間に通路が形成される(図6(c)参照)。
なお、図6(c)(図1も同様)では、渡し台20の左右両側に手すり61が設けられているが、これら手すり61は省略してもよい。これら手すり61は、渡し台20を後退床12から突出させた後に、渡し台20に嵌め込まれるものであってもよい。また、これら手すり61は、渡し台20の左右両側に収納自在に構成され、渡し台20を後退床12から突出させた後に、展開されるものであってもよい。
《実施形態の作用効果》
以上のように、本実施形態に係るボーディングブリッジ1によれば、キャブ6の床の一部から前方に突出自在に形成され、キャブ6の床と航空機150の乗降口151とをつなぐ渡し台20を備えている。そのため、エアステアー152を開いた後に、渡し台20をキャブ6の床と乗降口151との間に架け渡すことによって、キャブ6と航空機150との間での乗客等の乗り降りが可能となる。したがって、本実施形態に係るボーディングブリッジ1によれば、エアステアー152を内蔵した航空機150に対しても装着が可能となる。
また、ボーディングブリッジ1によれば、キャブ6は、トンネル部5と略直交する方向に延びる直線部6bを備えている。なお、ここで「略直交する方向」には、直交する方向から多少傾いた方向も含まれる。例えば、直交する方向から−10度〜10度傾いた方向も、略直交する方向に含まれる。本ボーディングブリッジ1によれば、トンネル部5が航空機150の胴部155と略平行になるまでロータンダ4を旋回させた後、トンネル部5を伸長させるだけで、キャブ6の先端と航空機150の乗降口151との位置合わせを行うことができる。この際、キャブ6の進行方向は、航空機150のエンジン153に向かって直線的に接近する方向となる。そのため、キャブがロータンダを中心として旋回移動しながらエンジンの横を通過する場合と異なり、操作員はキャブ6がエンジン153にどの程度近づいているかを容易に把握することができる。また、キャブ6の先端が航空機150の乗降口151の手前に到達した時点でキャブ6の移動を停止するので、エンジン153に対するキャブ6の接近を従来ほど意識しなくても、キャブ6がエンジン153に接近し過ぎることを自然に回避することができる。したがって、乗降口151とエンジン153との距離が短い航空機150であっても、キャブ6とエンジン153との干渉を容易に避けることができ、操作員の負担を軽減させることができる。
本実施形態によれば、渡し台20は、左右方向にスライド自在である。そのため、キャブ6と航空機150の乗降口151との位置合わせを行った後、渡し台20を左右方向に移動させることにより、渡し台20の左右位置を乗降口151の左右位置に一致するように微調整することができる。
また、本実施形態によれば、渡し台20は、前後方向にスライド自在である。そのため、キャブ6の先端の位置を航空機150の乗降口151の位置に合わせた後、渡し台20を乗降口151に向かって前方にスライドさせることによって、キャブ6の床と乗降口151とをつなぐ通路を形成することができる。
本実施形態によれば、キャブ6は、半円部6aと直線部6bとを備えており、トンネル部5に対し平面視略T字状に取り付けられている。これにより、キャブ6は、乗降口151に向かう方向(前方)だけでなく、反対方向(後方)にもある程度の長さを有することになる。そのため、渡し台20はキャブ6の床の内部または下部にスライド可能に収納されるが、その渡し台20のスライド可能量を大きく確保することができる。したがって、渡し台20の長さを長くすることも可能となる。
また、渡し台20は、トンネル部5の出口部分(トンネル部5とキャブ6とが交差している部分。図1における接続トンネル5cの先端側部分。)よりも更に後方にスライドすることができる。そのため、キャブ6がトンネル部5に対して平面視略T字状に交差していることにより、キャブ6がトンネル部5に対して平面視略L字状に交差している場合(図示省略)に比べて、トンネル部5の出口部分とキャブ6の先端との間の距離を短くすることができる。したがって、トンネル部5を出てから乗降口151に至るまでの歩行距離を短くすることができる。
ただし、上記実施形態と異なり、キャブ6をトンネル部5に対して平面視略L字状に取り付けることも可能である。
本実施形態によれば、キャブ6は、前方に向かって突出する突出床11と、突出床11よりも後方に後退した後退床12とを有しており、渡し台20は後退床12から突出するように構成されている。そのため、渡し台20をキャブ6の床と乗降口151との間に架け渡す前に、突出床11を航空機150の胴部155に対して略平行に位置付けることによって、キャブ6の位置決めを行うことができる。したがって、キャブ6の位置決めに際しての操作員の負担を軽減させることができる。
また、本実施形態によれば、キャブ6の先端部が航空機150の胴部に対して平行になっているか否かを検出するセンサ31を備えている。そのため、渡し台20を乗降口151に向かって前進させる前に、乗降口15に対してキャブ6の向きを正確に合わせることができる。したがって、渡し台20を乗降口15に対して、正確に真っ直ぐ伸ばすことができる。
なお、上記実施形態の各駆動機構(左右スライド機構、前後スライド機構、キャブ6を旋回させる駆動機構、キャブ6を上下動させる機構等)は、前述の機構に限られない。例えば、各駆動機構として、ラックピニオン式の駆動機構や、パワーシリンダー式の駆動機構等を用いることも可能である。
《ボーディングブリッジシステム》
上記ボーディングブリッジ1は、平面視略円形状のキャブを備えた従来のボーディングブリッジと併用することも可能である。以下に説明するボーディングブリッジシステムは、上記ボーディングブリッジ1と従来のボーディングブリッジとを、空港の同一のスポットに併設したものである。
図7(a)および(b)に示すように、ボーディングブリッジシステム50は、第1のボーディングブリッジ1と、第2のボーディングブリッジ51とを備えている。第1のボーディングブリッジ1は、上述のボーディングブリッジ1によって構成されている。一方、第2のボーディングブリッジ51は、ロータンダ54と、ロータンダ54に接続されたトンネル部55と、トンネル部55の先端側に設けられたキャブ56とを備えている。トンネル部55は、第1トンネル55a、第2トンネル55b、および第3トンネル55cを備えている。これら第1トンネル55a、第2トンネル55b、および第3トンネル55cがスライドすることにより、トンネル部55は伸縮自在である。
キャブ56は、平面視略円形状に形成されている。第1のボーディングブリッジ1のキャブ6と異なり、第2のボーディングブリッジ51のキャブ56には、直線部6bは設けられていない。また、第2のボーディングブリッジ51のキャブ56の床には、突出床11および後退床12は形成されていない。キャブ56の床の先端側には、段差は形成されていない。キャブ56には、渡し台20は設けられていない。
第1のボーディングブリッジ1および第2のボーディングブリッジ51は、同一のスポット60に配置されている。第1のボーディングブリッジ1は小型の航空機150用であり、第2のボーディングブリッジ51は大型の航空機170用である。小型航空機150は、エアステアーを内蔵した航空機であってもよい。大型航空機170は、横方向に回転またはスライドする扉を備えた航空機である。
図7(a)に示すように、スポット60内に小型の航空機150が駐機した場合には、第2のボーディングブリッジ51は待機位置に退避しており、第1のボーディングブリッジ1が使用される。なお、航空機150に対する第1のボーディングブリッジ1の装着方法は、前述した通りである。
図7(b)に示すように、スポット60内に大型の航空機170が駐機した場合には、第1のボーディングブリッジ1は、装着位置(トンネル部5が航空機150の胴部155と略平行となる位置)からさらに左側に旋回し、退避位置に位置づけられる。この状態において、第2のボーディングブリッジ51は待機位置(図7(a)に示す位置)から装着位置(図7(b)に示す位置)に移動する。なお、航空機170に対する第2のボーディングブリッジ51の装着は、待機位置にあるキャブ56が航空機170の乗降口171に向かってほぼ直線的に移動することによって行われる。
本ボーディングブリッジシステム50によれば、同一のスポット60内に第1のボーディングブリッジ1と第2のボーディングブリッジ51とを備えており、これら第1のボーディングブリッジ1および第2のボーディングブリッジ51を選択的に使用することができる。第1のボーディングブリッジ1を使用する場合には、第2のボーディングブリッジ51を待機位置に待機させることにより、第1のボーディングブリッジ1と第2のボーディングブリッジ51との干渉を避けることができる。第2のボーディングブリッジ51を使用する場合には、第1のボーディングブリッジ1を退避位置に退避させることにより、第1のボーディングブリッジ1と第2のボーディングブリッジ51との干渉を避けることができる。本ボーディングブリッジシステム50によれば、エアステアーを内蔵した小型航空機150およびエアステアーを内蔵しない大型航空機170の両方を、同一のスポット60に選択的に駐機させることができる。そのため、スポット60の効率的な利用が可能となる。
以上のように、本発明は、ボーディングブリッジについて有用である。
ボーディングブリッジの装着状態を示す斜視図である。 キャブの内部の平面図である。 キャブおよびトンネル部の背面図である。 キャブの側面図である。 (a)〜(c)は、ボーディングブリッジの装着方法を示す図である。 (a)〜(c)は、エアステアーおよびキャブ床の斜視図である。 (a)および(b)は、ボーディングブリッジシステムの平面図である。 従来のボーディングブリッジの平面図である。
符号の説明
1 ボーディングブリッジ
4 ロータンダ
5 トンネル部
6 キャブ
6a 半円部
6b 直線部
11 突出床
12 後退床
13 バンパー
14 クロージャ
20 渡し台
26 チェーン
27 スプロケット
29 モータ
31 センサ(平行度検出センサ)
150 航空機
151 乗降口
152 エアステアー
153 エンジン
155 航空機の胴部

Claims (8)

  1. ターミナルビルに接続され、鉛直軸周りに回転自在なロータンダと、
    一端が前記ロータンダに接続された伸縮自在なトンネル部と、
    前記トンネル部の他端に接続され、鉛直軸周りに回転自在なキャブと、を備え、
    前記トンネル部は、前記キャブが航空機に装着される際に前記航空機の胴部と略平行に延びるように構成され、
    前記キャブは、前記トンネル部と略直交する方向に延びる床と、前記床の一部から前方に突出自在に形成され、前方に突出することによって前記床と前記航空機の乗降口とをつなぐ通路を形成する渡し台と、を有しているボーディングブリッジ。
  2. 請求項1に記載のボーディングブリッジにおいて、
    前記キャブの床は、前方に向かって突出する突出床と、前記突出床よりも後方に後退した後退床とを有し、
    前記渡し台は、前記後退床から前方に突出する、ボーディングブリッジ。
  3. 請求項1または2に記載のボーディングブリッジにおいて、
    前記渡し台を前後方向にスライドさせる前後スライド機構を備えている、ボーディングブリッジ。
  4. 請求項3に記載のボーディングブリッジにおいて、
    平面視において、前記キャブは前記トンネル部に対し平面視略T字状に交差している、ボーディングブリッジ。
  5. 請求項1〜3のいずれか一つに記載のボーディングブリッジにおいて、
    前記渡し台を左右方向にスライドさせる左右スライド機構を備えている、ボーディングブリッジ。
  6. 請求項1〜5のいずれか一つに記載のボーディングブリッジにおいて、
    前記キャブの床の先端部が前記航空機の胴部に対して平行であるか否かを検出する平行度検出センサを備えている、ボーディングブリッジ。
  7. 請求項1〜6のいずれか一つに記載のボーディングブリッジからなる第1のボーディングブリッジと、
    ターミナルビルに接続され、鉛直軸周りに回転自在なロータンダと、一端が前記ロータンダに接続された伸縮自在なトンネル部と、前記トンネル部の他端に接続され、鉛直軸周りに回転自在なキャブと、を備えた第2のボーディングブリッジと、を備え、
    前記第1のボーディングブリッジと前記第2のボーディングブリッジとは、空港の同一スポット内に配置されている、ボーディングブリッジシステム。
  8. ターミナルビルに接続され、鉛直軸周りに回転自在なロータンダと、
    一端が前記ロータンダに接続された伸縮自在なトンネル部と、
    前記トンネル部の他端に接続され、鉛直軸周りに回転自在なキャブと、を備え、
    前記トンネル部は、前記キャブが航空機に装着される際に前記航空機の胴部と略平行に延びるように構成され、
    前記キャブは、前記トンネル部と略直交する方向に延びる床と、前記床の一部から前方に突出自在に形成され、前方に突出することによって前記床と前記航空機の乗降口とをつなぐ通路を形成する渡し台と、を有しているボーディングブリッジの前記航空機に対する装着方法であって、
    前記トンネル部が前記航空機の胴部と略平行になるまで前記ロータンダを旋回させる第1のステップと、
    前記キャブの先端の位置が前記航空機の乗降口と対向する位置になるまで、前記トンネル部を伸縮する第2のステップと、
    前記キャブを前記乗降口に接近させる第3のステップと、
    前記渡し台を前記床から前方に突出させることによって前記床と前記乗降口との間に架け渡す第4のステップと、
    を包含するボーディングブリッジの装着方法。
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