JP2009132170A - 車両およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】走行要求に対する応答性を抑えて燃費を優先する燃費優先走行モードが設定されているときに、走行要求に対する応答性をある程度考慮して燃費の向上を図る。
【解決手段】エコ走行モードが設定されているときには、走行に要求される要求トルクの設定に用いる制御用アクセル開度を変化させる際のレートリミット値を、制御用アクセル開度(前回Acct)が開度A1未満のときには通常走行モードと同じレートリミット値R1に設定し、前回Acctが開度A1以上のときにはレートリミット値R1より小さい値に設定する。これにより、アクセル開度が急変したときに、制御用アクセル開度が開度A1未満では制御用アクセル開度を迅速に増加させて開度A1以上では制御用アクセル開度を緩やかに増加させることができ、走行要求に対する応答性をある程度考慮した上で燃費の向上を図ることをできる。
【選択図】図7
【解決手段】エコ走行モードが設定されているときには、走行に要求される要求トルクの設定に用いる制御用アクセル開度を変化させる際のレートリミット値を、制御用アクセル開度(前回Acct)が開度A1未満のときには通常走行モードと同じレートリミット値R1に設定し、前回Acctが開度A1以上のときにはレートリミット値R1より小さい値に設定する。これにより、アクセル開度が急変したときに、制御用アクセル開度が開度A1未満では制御用アクセル開度を迅速に増加させて開度A1以上では制御用アクセル開度を緩やかに増加させることができ、走行要求に対する応答性をある程度考慮した上で燃費の向上を図ることをできる。
【選択図】図7
Description
本発明は、車両およびその制御方法に関する。
従来、この種の車両としては、走行用の動力源としてのエンジンと、燃費より加速を優先して走行するパワー走行モードと加速より燃費を優先して走行するエコ走行モードとを切り替えて設定するモード切替スイッチとを備え、エコ走行モードが設定されているときには、パワー走行モードに設定されているときに比してアクセル操作量に対するスロットル弁の開度を小さく設定することにより加速より燃費を優先するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、エコ走行モードが設定されている状態でアクセル開度が急増したときには、エコ走行モードが設定されているときでもパワー走行モードのときのアクセル開度に対するスロットル弁の開度との関係に基づいてスロットル弁の開度を設定することにより、燃費より加速を優先して走行することができるとしている。
特開昭63−109254号公報
しかしながら、上述の車両では、アクセル開度が急増したときに、エコ走行モードが設定されているにも拘わらず燃費が悪化してしまう。こうした燃費の悪化を抑制するために、アクセル開度の変化に対してスロットル弁の開度をより緩やかに変化させる方法もあるが、こうするとエンジンから出力されるトルクも緩やかに変化するため、運転者が走行要求に対する応答性の悪さを感じてしまうことがある。例えば、アクセル開度が50%から100%に急増したときにスロットル弁の開度の変化が緩やかだと、スロットル弁の開度が100%になってエンジンから運転者が要求するトルクを出力するのに比較的長い時間を要してしまうため、運転者が走行要求に対する応答性の悪さを感じてしまう。したがって、エコ走行モードが設定されているときには、運転者の走行要求に対する応答性をある程度を考慮した上で燃費の向上を図ることが望ましい。
本発明の車両およびその制御方法は、走行要求に対する応答性を抑えて燃費を優先する燃費優先走行モードが設定されているときに、走行要求に対する応答性をある程度考慮して燃費の向上を図ることを主目的とする。
本発明の車両およびその制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両は、
走行用の動力を出力する動力源と、
比較的燃費を優先して走行する通常走行モードと該通常走行モードに比して走行要求に対する応答性を抑えて燃費を優先する燃費優先走行モードとを切り替えて設定するモード切替スイッチと、
アクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
前記モード切替スイッチにより前記通常走行モードが設定されているときには比較的燃費を良好とする第1の関係と前記検出されたアクセル操作量とを用いて目標アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときには前記第1の関係におけるアクセル操作量の最小値と最大値に対する目標アクセル操作量が同一であると共にアクセル操作量の最小値と最大値のとの間では目標アクセル操作量が前記第1の関係より小さくなる第2の関係と前記検出されたアクセル操作量とを用いて目標アクセル操作量を設定する目標アクセル操作量設定手段と、
前記モード切替スイッチにより前記通常走行モードが設定されているときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて第1の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が所定操作量未満のときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて第2の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が所定操作量以上のときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて前記第1の変化量および前記第2の変化量より小さな第3の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定する制御用アクセル操作量設定手段と、
前記設定された制御用アクセル操作量を用いて前記動力源を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
走行用の動力を出力する動力源と、
比較的燃費を優先して走行する通常走行モードと該通常走行モードに比して走行要求に対する応答性を抑えて燃費を優先する燃費優先走行モードとを切り替えて設定するモード切替スイッチと、
アクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
前記モード切替スイッチにより前記通常走行モードが設定されているときには比較的燃費を良好とする第1の関係と前記検出されたアクセル操作量とを用いて目標アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときには前記第1の関係におけるアクセル操作量の最小値と最大値に対する目標アクセル操作量が同一であると共にアクセル操作量の最小値と最大値のとの間では目標アクセル操作量が前記第1の関係より小さくなる第2の関係と前記検出されたアクセル操作量とを用いて目標アクセル操作量を設定する目標アクセル操作量設定手段と、
前記モード切替スイッチにより前記通常走行モードが設定されているときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて第1の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が所定操作量未満のときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて第2の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が所定操作量以上のときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて前記第1の変化量および前記第2の変化量より小さな第3の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定する制御用アクセル操作量設定手段と、
前記設定された制御用アクセル操作量を用いて前記動力源を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の車両では、モード切替スイッチにより通常走行モードが設定されているときには設定された目標アクセル操作量に向けて第1の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、モード切替スイッチにより燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が所定操作量未満のときには設定された目標アクセル操作量に向けて第2の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、モード切替スイッチにより燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が所定操作量以上のときには設定された目標アクセル操作量に向けて第1の変化量および第2の変化量より小さな第3の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、設定された制御用アクセル操作量を用いて動力源を制御する。モード切替スイッチにより燃費優先モードが設定されているときにアクセル操作量が急変すると、制御用アクセル操作量が所定操作量以上では第1の変化量および第2の変化量より小さな第3の変化量をもって制御用アクセル操作量を目標アクセル操作量に向けて変化させるから、第1の変化量や第2の変化量をもって制御用アクセル操作量を変化させる場合に比して制御用アクセル操作量を緩やかに目標アクセル操作量に向けて変化させることができ、燃費の向上を図ることができる。また、制御用アクセル操作量が所定操作量未満では、第3の変化量より大きな第2の変化量をもって制御用アクセル操作量を目標アクセル操作量に向けて変化させるから、第3の変化量をもって制御用アクセル操作量を変化させる場合に比して制御用アクセル操作量をより迅速に目標アクセル操作量に向けて変化させることができ、走行要求に対する応答性を向上させることができる。この結果、走行要求に対する応答性をある程度考慮した上で燃費の向上を図ることをできる。
こうした本発明の車両において、前記制御用アクセル操作量設定手段は、前記設定された目標アクセル操作量に向けてレートリミット処理を施した変化量をもって制御用アクセル操作量を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、レートリミット処理により制御用アクセル操作量を緩やかに変化させることができる。
こうした本発明の車両において、前記動力源は、内燃機関と、車軸に連結された駆動軸に接続されると共に該駆動軸とは独立に回転可能に前記内燃機関の出力軸に接続され電力と動力の入出力を伴って前記駆動軸と前記出力軸とに動力を入出力する電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、を備える動力源であるものとすることもできる。この場合において、前記電力動力入出力手段は、動力を入出力可能な発電機と、前記駆動軸と前記出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、を備える手段であるものとすることもできる。
本発明の車両の制御方法は、
走行用の動力を出力する動力源と、比較的燃費を優先して走行する通常走行モードと該通常走行モードに比して走行要求に対する応答性を抑えて燃費を優先する燃費優先走行モードとを切り替えて設定するモード切替スイッチと、を備える車両の制御方法であって、 前記モード切替スイッチにより前記通常走行モードが設定されているときには比較的燃費を良好とする第1の関係とアクセル操作量とを用いて目標アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときには前記第1の関係におけるアクセル操作量の最小値と最大値に対する目標アクセル操作量が同一であると共にアクセル操作量の最小値と最大値のとの間では目標アクセル操作量が前記第1の関係より小さくなる第2の関係とアクセル操作量とを用いて目標アクセル操作量を設定し、
前記モード切替スイッチにより前記通常走行モードが設定されているときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて第1の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が所定操作量未満のときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて第2の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が前記所定操作量以上のときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて前記第1の変化量および前記第2の変化量より小さな第3の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、
前記設定された制御用アクセル操作量を用いて前記動力源を制御する
ことを要旨とする。
走行用の動力を出力する動力源と、比較的燃費を優先して走行する通常走行モードと該通常走行モードに比して走行要求に対する応答性を抑えて燃費を優先する燃費優先走行モードとを切り替えて設定するモード切替スイッチと、を備える車両の制御方法であって、 前記モード切替スイッチにより前記通常走行モードが設定されているときには比較的燃費を良好とする第1の関係とアクセル操作量とを用いて目標アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときには前記第1の関係におけるアクセル操作量の最小値と最大値に対する目標アクセル操作量が同一であると共にアクセル操作量の最小値と最大値のとの間では目標アクセル操作量が前記第1の関係より小さくなる第2の関係とアクセル操作量とを用いて目標アクセル操作量を設定し、
前記モード切替スイッチにより前記通常走行モードが設定されているときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて第1の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が所定操作量未満のときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて第2の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が前記所定操作量以上のときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて前記第1の変化量および前記第2の変化量より小さな第3の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、
前記設定された制御用アクセル操作量を用いて前記動力源を制御する
ことを要旨とする。
この本発明の車両の制御方法では、モード切替スイッチにより通常走行モードが設定されているときには設定された目標アクセル操作量に向けて第1の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、モード切替スイッチにより燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が所定操作量未満のときには設定された目標アクセル操作量に向けて第2の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、モード切替スイッチにより燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が所定操作量以上のときには設定された目標アクセル操作量に向けて第1の変化量および第2の変化量より小さな第3の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、設定された制御用アクセル操作量を用いて動力源を制御する。モード切替スイッチにより燃費優先モードが設定されているときにアクセル操作量が急変すると、制御用アクセル操作量が所定操作量以上では第1の変化量および第2の変化量より小さな第3の変化量をもって制御用アクセル操作量を目標アクセル操作量に向けて変化させるから、第1の変化量や第2の変化量をもって制御用アクセル操作量を変化させる場合に比して制御用アクセル操作量を緩やかに目標アクセル操作量に向けて変化させることができ、燃費の向上を図ることができる。また、制御用アクセル操作量が所定操作量未満では、第3の変化量より大きな第2の変化量をもって制御用アクセル操作量を目標アクセル操作量に向けて変化させるから、第3の変化量をもって制御用アクセル操作量を変化させる場合に比して制御用アクセル操作量をより迅速に目標アクセル操作量に向けて変化させることができ、走行要求に対する応答性を向上させることができる。この結果、走行要求に対する応答性をある程度考慮した上で燃費の向上を図ることをできる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からの実アクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,比較的燃費を優先して走行する通常走行モードと走行要求に対する応答性を抑えて燃費を優先するエコ走行モードとを切り替えて設定する走行モード切替スイッチ89からの走行モード信号Modeなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応する実アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作について説明する。図2はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からの実アクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の入出力制限Win,Wout,走行モード切替スイッチ89からの走行モード信号Modeなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力した走行モード信号Modeに基づいて走行モードがエコ走行モードに設定されているかを調べる(ステップS110)。走行モードがエコ走行モードに設定されていないとき、すなわち、通常走行モードに設定されているときには、実アクセル開度Accを制御上のアクセル開度の目標値としての目標アクセル開度Acc*に設定し(ステップS120)、設定した目標アクセル開度Acc*から前回本ルーチンを実行したときに設定された制御用アクセル開度(前回Acct)を減じた変化量としてのレート値ΔRaを計算し(ステップS130)、レート値ΔRaの上下限値としてのレートリミット値ΔRlimに駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクの急変を抑制しつつ比較的迅速に要求トルクを増加させる通常走行用レートリミット値R1(例えば、5%)を設定し(ステップS140)、前回Acctから目標アクセル開度Acc*に向けてレート値ΔRaをレートリミット値ΔRlimで制限した変化量だけ変化したものを制御用アクセル開度Acctとして設定する(ステップS150)。こうして、制御用アクセル開度Acctの変化量をレートリミット値ΔRlimで制限することにより、実アクセル開度Accが急変したとき、例えば、実アクセル開度Accが50%から100%となったときでも、制御用アクセル開度Acctを緩やかに変化させることができる。なお、前回Acctは、初期値として0%が設定されるものとする。
こうして制御用アクセル開度Acctを設定すると、設定した制御用アクセル開度Acctと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*とエンジン22に要求される要求パワーPe*とを設定する(ステップS160)。要求トルクTr*は、実施例では、制御用アクセル開度Acctと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、制御用アクセル開度Acctと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図3に要求トルク設定用マップの一例を示す。要求パワーPe*は、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものとバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*とロスLossとの和として計算することができる。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kを乗じること(Nr=k・V)によって求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ること(Nr=Nm2/Gr)によって求めることができる。
続いて、設定した要求パワーPe*に基づいてエンジン22を運転すべき運転ポイントとしての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS170)。この設定は、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインと要求パワーPe*とに基づいて行なわれる。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図4に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
次に、設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算する(ステップS180)。ここで、式(1)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図5に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。式(1)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。なお、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。また、式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) (1)
Tm1*=前回Tm1*+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (2)
Tm1*=前回Tm1*+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (2)
こうしてモータMG1の目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とを計算すると、バッテリ50の入出力制限Win,Woutと計算したモータMG1のトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを次式(3)および式(4)により計算すると共に(ステップS190)、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρを用いてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを式(5)により計算し(ステップS200)、計算したトルク制限Tmin,Tmaxで仮モータトルクTm2tmpを制限した値としてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS210)。このようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力する要求トルクTr*を、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で制限したトルクとして設定することができる。なお、式(5)は、前述した図5の共線図から容易に導き出すことができる。
Tmin=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 (3)
Tmax=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (4)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (5)
Tmax=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (4)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (5)
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS220)、駆動制御ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における燃料噴射制御や点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、通常走行モードが設定されているときには、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でエンジン22を効率よく運転して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行することができる。
走行モードがエコ走行モードに設定されているときには(ステップS110)、エコ走行モードが設定されているときの実アクセル開度Accと目標アクセル開度Acc*との関係を用いて目標アクセル開度Acc*を設定する(ステップS230)。目標アクセル開度Acc*は、実施例では、実アクセル開度Accと目標アクセル開度Acc*との関係を予め定めて目標アクセル開度設定用マップとしてROM74に記憶しておき、実アクセル開度Accが与えられると記憶したマップから対応する目標アクセル開度Acc*を導出して設定するものとした。図6に目標アクセル開度設定用マップの一例を示す。図中、実線は走行モードがエコ走行モードに設定されているときの実アクセル開度Accと目標アクセル開度Acc*との関係を示している。図中、比較のために、走行モードが通常走行モードに設定されているときの実アクセル開度Accと目標アクセル開度Acc*との関係を破線で示している。また、図示するように、走行モードがエコ走行モードに設定されているときには、実アクセル開度Accの最小値(0%)と最大値(100%)に対する目標アクセル開度Acc*が通常走行モードに設定されているときの目標アクセル開度Acc*と同一になり、且つ、実アクセル開度Accが0%から100%の間で通常走行モードが設定されているときに比して目標アクセル開度Acc*が小さくなる関係を用いてアクセル開度Acc*に対して目標アクセル開度Acc*を設定する。これにより、通常走行モードが設定されているときに比して同一のアクセル開度Accに対して目標アクセル開度Acc*が低めに設定されることになる。
続いて、設定した目標アクセル開度Acc*から前回本ルーチンを実行したときに設定された制御用アクセル開度(前回Acct)を減じた変化量としてのレート値ΔRaを計算し(ステップS240)、前回Acctに基づいてレートリミット値ΔRlimを設定し(ステップS250)、前回Acctから目標アクセル開度Acc*に向けてレート値ΔRaをレートリミット値ΔRlimで制限した変化量だけ変化させたものを制御用アクセル開度Acctとして設定する(ステップS150)。ステップS250の処理で、レートリミット値ΔRlimは、前回Acctとレートリミット値ΔRlimとの関係を予めレートリミット値設定用マップとしてROM74に記憶しておき、前回Acctが与えられると記憶したマップから対応するレートリミット値ΔRlimを導出して設定するものとした。図7にレートリミット値設定用マップの一例を示す。図示するように、レートリミット値ΔRlimは、前回Acctが0%以上開度A1(例えば、55%,60%,65%など)未満の範囲では通常走行用レートリミット値R1と同じ値に設定され、前回Acctが開度A1以上開度A2(例えば、70%,75%,80%など)未満の範囲では前回Acctが増加すると通常走行用レートリミット値R1から通常走行用レートリミット値R1より小さいレートリミット値R3に向けて徐々に減少するよう設定され、前回Acctが開度A2以上の範囲ではレートリミット値R3になるよう設定されるものとした。ここで、開度A1は、図6においてエコ走行モードのときの実アクセル開度Accと目標アクセル開度Acc*との関係を示す曲線(実線で示したもの)の接線の傾きが通常走行モードのときの実アクセル開度Accと目標アクセル開度Acc*との関係を示す直線(破線で示したもの)の傾きと同程度となる開度であるものとした。これにより、エコ走行モードが設定されているときには、制御用アクセル開度Acctが開度A1以上では通常走行モードが設定されているときに比してレートリミット値ΔRlimが低く設定されることになる。
こうして制御用アクセル開度Acctを設定すると、設定した制御用アクセル開度Acctを用いて走行に要求される要求トルクTr*,要求パワーPe*を設定して(ステップS160)、設定した要求トルクTr*や要求パワーPe*を用いてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると共に設定値をエンジンECU24やモータECU40に送信して(ステップS170〜S220)、本ルーチンを終了する。こうした制御により、エコ走行モードが設定されているときには、ステップS230の処理で通常走行モードが設定されているときに比して同一の実アクセル開度Accに対して目標アクセル開度Acc*を低めに設定するから、要求トルクTr*が低めに設定されて、燃費の向上を図ることができる。
ここで、実アクセル開度Accが急変したとき、例えば、実アクセル開度Accが50%から100%に急増したときを考える。図8は、実アクセル開度Accが50%から100%に急増したときの実アクセル開度Accおよび制御用アクセル開度Acctの時間変化の一例を示す説明図である。図中、制御用アクセル開度Acctの時間変化では、エコ走行モードが設定されているときの制御用アクセル開度Acctの時間変化を実線で示し、通常走行モードが設定されているときの制御用アクセル開度Acctの時間変化を破線で示している。通常走行モードでは、実アクセル開度Accが急増すると、制御用アクセル開度Acctが目標アクセル開度Acc*(この場合、100%)に向けてレート値ΔRaを通常走行用レートリミット値R1で制限した変化量をもって変化するよう制御用アクセル開度Acctを設定するから、要求トルクTr*を比較的滑らかに変化させることができ、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクの急変を抑制しながら比較的迅速にリングギヤ軸32aに走行要求に基づくトルクを出力することができる。一方、エコ走行モードでは、制御用アクセル開度Acctが開度A1に至るまでレート値ΔRaを通常走行用レートリミット値R1で制限した変化量をもって制御用アクセル開度Acctが比較的迅速に上昇するよう設定し、制御用アクセル開度Acctが開度A1以上になると開度A2に至るまではレート値ΔRaを通常走行用レートリミット値R1から徐々に減少するレートリミット値で制限した変化量をもって制御用アクセル開度Acctが緩慢に上昇するよう設定し、さらに、制御用アクセル開度Acctが開度A2以上になるとレート値ΔRaをレートリミット値R3で制限した変化量をもって制御用アクセル開度Acctを更に緩慢に上昇するよう設定する。したがって、エコ走行モードでは、レートリミット値を制御用アクセル開度Acctに関わらず比較的低い一定値(例えば、レートリミット値R3)に設定したときに比してより迅速に制御用アクセル開度Acctを目標アクセル開度Acc*に上昇させるから、要求トルクTr*をより迅速に増加させることができ、運転者の走行要求に対する応答性の向上を図ることができる。また、制御用アクセル開度Acctが開度A1以上では、通常走行用レートリミット値R1より小さいレートリミット値で変化量を制限しながら制御用アクセル開度Acctを変化させるから、制御用アクセル開度Acctを通常走行モードのときやエコ走行モードのときに制御用アクセル開度Acctが開度A1未満であるときに比して緩やかに変化させることができ、要求トルクTr*をより緩やかに増加させることができ、燃費の向上を図ることができる。さらに、制御用アクセル開度Acctが開度A2以上に至ってからは、制御用アクセル開度Acctが開度A2未満であるときに比してさらに緩やかに制御用アクセル開度Acctを変化させて燃費の向上を図ることができる。こうした制御により、エコ走行モードでは、運転者の走行要求に対する応答性をある程度考慮しながら燃費の向上を図ることができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エコ走行モードが設定されているときに、制御用アクセル操作量Acctが開度A1未満のときには通常走行用レートリミット値R1で制限された変化量をもって目標アクセル操作量Acc*に向けて比較的迅速に変化するよう設定し、制御用アクセル操作量Acctが開度A1以上であるときには通常走行用レートリミット値R1より小さなレートリミット値で制限された変化量をもって目標アクセル操作量Acc*に向けてゆっくり変化するよう設定し、こうして設定された制御用アクセル操作量Acctを用いて設定した要求トルクTr*が出力されるようエンジン22やモータMG1,MG2を制御するから、走行要求に対する応答性をある程度考慮した上で燃費の向上を図ることをできる。
実施例のハイブリッド自動車20では、エコ走行モードが設定されているときには、制御用アクセル開度Acctが開度A1未満であるときにはレートリミット値ΔRlimを通常走行用レートリミット値R1に設定するものとしたが、レートリミット値R3より大きい値であれば通常走行用レートリミット値R1と異なる値をレートリミット値ΔRlimとして設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エコ走行モードが設定されているときには、目標アクセル操作量Acc*に向けてレートリミット値で制限した変化量、すなわち、目標アクセル操作量Acc*に向けてレートリミット処理を施した変化量をもって制御用アクセル操作量Acctを設定するものとしたが、制御用アクセル開度Acctを目標アクセル操作量Acc*に向けて所定の変化量だけ変化するよう制御用アクセル開度Acctを設定すればよく、レートリミット処理と異なる緩変化処理を用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、開度A1を図6のエコ走行モードのときの実アクセル開度Accと目標アクセル開度Acc*との関係を示す曲線(実線で示したもの)の接線の傾きが通常走行モードのときの実アクセル開度Accと目標アクセル開度Acc*との関係を示す直線(破線で示したもの)の傾きと同程度となる開度であるものとしたが、開度A2より小さい開度であれば如何なる開度にしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、減速ギヤ35を介して駆動軸としてのリングギヤ軸32aにモータMG2を取り付けるものとしたが、リングギヤ軸32aにモータMG2を直接取り付けるものとしてもよいし、減速ギヤ35に代えて2段変速や3段変速,4段変速などの変速機を介してリングギヤ軸32aにモータMG2を取り付けるものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図9の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図9における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図10の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、走行用の動力源としてエンジンとモータとを搭載したハイブリッド自動車であれば如何なる形態のものに適用してもよく、走行用の動力源としてモータのみを搭載した電気自動車やエンジンのみを搭載したエンジン車に適用しても構わない。また、自動車以外の車両の形態としても構わない。さらに、こうした車両の制御方法の形態としてもよい。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22とモータMG1,MG2と動力分配統合機構30とが「動力源」に相当し、走行モード切替スイッチ89が「モード切替スイッチ」に相当し、アクセルペダルポジションセンサ84が「アクセル操作量検出手段」に相当し、通常走行モードが設定されているときには実アクセル開度Accを目標アクセル開度Acc*として設定し、エコ走行モードが設定されているときには目標アクセル開度設定用マップと実アクセル開度とを用いて目標アクセル開度Acc*を設定するステップS110,S120,S230,S240の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「目標アクセル操作量設定手段」に相当し、通常走行モードが設定されているときには目標アクセル開度Acc*に向けてレート値ΔRaを通常走行用レートリミット値R1で制限した変化量をもって制御用アクセル開度Acctを設定し、エコ走行モードが設定されているときに制御用アクセル開度Acctが開度A1未満であるときには目標アクセル開度Acc*に向けてレート値ΔRaを通常走行用レートリミット値R1で制限した変化量をもって制御用アクセル開度Acctを設定し、エコ走行モードが設定されているときに制御用アクセル開度Acctが開度A1以上であるときには目標アクセル開度Acc*に向けてレート値ΔRaを通常走行用レートリミット値R1より小さいレートリミット値で制限した変化量をもって制御用アクセル開度Acctを設定するステップS130〜S150,S240,S250の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「制御用アクセル操作量設定手段」に相当し、設定された制御用アクセル開度Acctに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定して設定値をエンジンECU24やモータECU40に送信するステップS160〜S220の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジン22が目標回転数Ne*,目標トルクTe*で運転するようエンジン22を制御するエンジンECU24とトルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なうモータECU40とが「制御手段」に相当する。エンジン22が「内燃機関」に相当し、動力分配統合機構30とモータMG1とが「電力動力入出力手段」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当する。また、対ロータ電動機230も「電力動力入出力手段」に相当する。
ここで、「動力源」としては、エンジン22とモータMG1,MG2と動力分配統合機構30とを組み合わせたものに限定されるものではなく、走行用の動力を出力するものであれば如何なるものとしても構わない。「モード切替スイッチ」としては、走行モード切替スイッチ89に限定されるものではなく、比較的燃費を優先して走行する通常走行モードと該通常走行モードに比して走行要求に対する応答性を抑えて燃費を優先する燃費優先走行モードとを切り替えて設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「アクセル操作量検出手段」としては、アクセルペダルポジションセンサ84に限定されるものではなく、アクセル操作量を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「目標アクセル操作量設定手段」としては、通常走行モードが設定されているときには実アクセル開度Accを目標アクセル開度Acc*として設定し、エコ走行モードが設定されているときには目標アクセル開度設定用マップと実アクセル開度とを用いて目標アクセル開度Acc*を設定するものに限定されるものではなく、モード切替スイッチにより通常走行モードが設定されているときには比較的燃費を良好とする第1の関係と検出されたアクセル操作量とを用いて目標アクセル操作量を設定し、モード切替スイッチにより燃費優先走行モードが設定されているときには第1の関係におけるアクセル操作量の最小値と最大値に対する目標アクセル操作量が同一であると共にアクセル操作量の最小値と最大値のとの間では目標アクセル操作量が第1の関係より小さくなる第2の関係と検出されたアクセル操作量とを用いて目標アクセル操作量を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御用アクセル操作量設定手段」としては、通常走行モードが設定されているときには目標アクセル開度Acc*に向けてレート値ΔRaを通常走行用レートリミット値R1で制限した変化量をもって制御用アクセル開度Acctを設定し、エコ走行モードが設定されているときに制御用アクセル開度Acctが開度A1未満であるときには目標アクセル開度Acc*に向けてレート値ΔRaを通常走行用レートリミット値R1で制限した変化量をもって制御用アクセル開度Acctを設定し、エコ走行モードが設定されているときに制御用アクセル開度Acctが開度A1以上であるときには目標アクセル開度Acc*に向けてレート値ΔRaを通常走行用レートリミット値R1より小さいレートリミット値で制限した変化量をもって制御用アクセル開度Acctを設定するものに限定したものではなく、モード切替スイッチにより通常走行モードが設定されているときには設定された目標アクセル操作量に向けて第1の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、モード切替スイッチにより燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が所定操作量未満のときには設定された目標アクセル操作量に向けて第2の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、モード切替スイッチにより燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が所定操作量以上のときには設定された目標アクセル操作量に向けて第1の変化量および第2の変化量より小さな第3の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく、単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、設定された制御用アクセル開度Acctに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定して設定値を用いてエンジン22やモータMG1,MG2を制御するものに限定されるものではなく、設定された制御用アクセル操作量を用いて動力源を制御するものであれば如何なるものとしても構わない。「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「電力動力入出力手段」としては、動力分配統合機構30とモータMG1とを組み合わせたものや対ロータ電動機230に限定されるされるものではなく、車軸に連結された駆動軸に接続されると共に該駆動軸とは独立に回転可能に前記内燃機関の出力軸に接続され、電力と動力の入出力を伴って前記駆動軸と前記出力軸とに動力を入出力可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの発電機としても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる差動作用を有するものなど、駆動軸と出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、車両の製造業等に利用可能である。
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 走行モード切替スイッチ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。
Claims (5)
- 走行用の動力を出力する動力源と、
比較的燃費を優先して走行する通常走行モードと該通常走行モードに比して走行要求に対する応答性を抑えて燃費を優先する燃費優先走行モードとを切り替えて設定するモード切替スイッチと、
アクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
前記モード切替スイッチにより前記通常走行モードが設定されているときには比較的燃費を良好とする第1の関係と前記検出されたアクセル操作量とを用いて目標アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときには前記第1の関係におけるアクセル操作量の最小値と最大値に対する目標アクセル操作量が同一であると共にアクセル操作量の最小値と最大値のとの間では目標アクセル操作量が前記第1の関係より小さくなる第2の関係と前記検出されたアクセル操作量とを用いて目標アクセル操作量を設定する目標アクセル操作量設定手段と、
前記モード切替スイッチにより前記通常走行モードが設定されているときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて第1の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が所定操作量未満のときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて第2の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が前記所定操作量以上のときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて前記第1の変化量および前記第2の変化量より小さな第3の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定する制御用アクセル操作量設定手段と、
前記設定された制御用アクセル操作量を用いて前記動力源を制御する制御手段と、
を備える車両。 - 前記制御用アクセル操作量設定手段は、前記設定された目標アクセル操作量に向けてレートリミット処理を施した変化量をもって制御用アクセル操作量を設定する手段である請求項1記載の車両。
- 前記動力源は、内燃機関と、車軸に連結された駆動軸に接続されると共に該駆動軸とは独立に回転可能に前記内燃機関の出力軸に接続され電力と動力の入出力を伴って前記駆動軸と前記出力軸とに動力を入出力する電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、を備える動力源である請求項1または2記載の車両。
- 前記電力動力入出力手段は、動力を入出力可能な発電機と、前記駆動軸と前記出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、を備える手段である請求項3記載の車両。
- 走行用の動力を出力する動力源と、比較的燃費を優先して走行する通常走行モードと該通常走行モードに比して走行要求に対する応答性を抑えて燃費を優先する燃費優先走行モードとを切り替えて設定するモード切替スイッチと、を備える車両の制御方法であって、 前記モード切替スイッチにより前記通常走行モードが設定されているときには比較的燃費を良好とする第1の関係とアクセル操作量とを用いて目標アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときには前記第1の関係におけるアクセル操作量の最小値と最大値に対する目標アクセル操作量が同一であると共にアクセル操作量の最小値と最大値のとの間では目標アクセル操作量が前記第1の関係より小さくなる第2の関係とアクセル操作量とを用いて目標アクセル操作量を設定し、
前記モード切替スイッチにより前記通常走行モードが設定されているときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて第1の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が所定操作量未満のときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて第2の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、前記モード切替スイッチにより前記燃費優先走行モードが設定されているときに制御用アクセル操作量が前記所定操作量以上のときには前記設定された目標アクセル操作量に向けて前記第1の変化量および前記第2の変化量より小さな第3の変化量をもって制御用アクセル操作量を設定し、
前記設定された制御用アクセル操作量を用いて前記動力源を制御する
車両の制御方法。
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-
2007
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CN112983654A (zh) * | 2019-12-13 | 2021-06-18 | 丰田自动车株式会社 | 控制系统 |
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