JP2009129915A - 磁気シールド体及び磁気シールドルーム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1の磁気シールド体10は、透磁性を有するものであって相互に同一の縦断面形状の複数の筒体13〜15を、当該複数の筒体13〜15の各々の中心軸が相互に一致すると共に、当該複数の筒体13〜15の各々の側面が相互に同一面を形成するように、相互に間隔を空けて配置して構成された筒体ユニット11と、複数の筒体ユニット11を相互に間隔を空けた状態で支持する枠体12とを備える。
【選択図】図2
Description
まず本実施の形態の基本的概念について説明する。本実施の形態に係る磁気シールド体は、磁界発生源の周囲に配置されることで、この磁界発生源にて発生された磁界の全部又は一部が当該磁気シールド体を介して外部に漏洩することを防止するものである。磁界発生源は任意であり、MRI装置、永久磁石、電磁コイルを含む。磁気シールドルームは、その壁、天井、又は床に磁気シールド体を配置することによって構成されるが、これら壁等の全面に磁気シールド体を配置する構造以外に、これら壁等の一部のみに磁気シールド体を配置する構造を含む。
次に、本実施の形態に係る磁気シールド体及び磁気シールドルームの具体的内容について説明する。
図1は本実施の形態に係る磁気シールドルームの要部平面図である。この磁気シールドルーム1は、MRI室であり、壁2、床3、及び天井(図1では不図示)を備えて構成されていて、床3の上面には磁界発生源であるMRI装置4が配置されている。磁気シールドルーム1の壁2は、MRI装置4の四周を囲繞するように構成されており、その少なくとも一部には第1の磁気シールド体10と第2の磁気シールド体20とが配置されており、これら第1の磁気シールド体10及び第2の磁気シールド体20の内側及び外側には電磁シールドガラス30が付設されている。第1の磁気シールド体10は特許請求の範囲における磁気シールド体に対応し、第2の磁気シールド体20は特許請求の範囲における第2の磁気シールド体に対応する。なお、以下では壁2に配置された第1の磁気シールド体10及び第2の磁気シールド体20について説明するが、以下説明するものと同様の構造を、床3や天井に適用することができる。
最初に、第1の磁気シールド体10について説明する。この第1の磁気シールド体10は、図2の要部斜視図に示すように、複数の筒体ユニット11と、枠体12とを備えて構成されている。
各筒体ユニット11は、図3の斜視図に示すように、複数(ここでは3体)の筒体13〜15を備えて構成されている。各筒体13〜15の軸方向の各端部は開口とされており、これら各端部の開口が相互に内部空間にて連通されている。各筒体13〜15の縦断面形状(当該筒体13〜15の軸方向に直交する断面における断面形状。以下同じ)は相互に同一であり、ここでは同じ大きさの四角形とされており、各筒体13〜15は全体として角筒として構成されている。ただし、相互に同一である限りにおいて各筒体13〜15の断面形状は任意であり、例えば、断面形状を三角形、六角形、又は台形等としてもよく、あるいは、断面形状を丸形や楕円形とすることで筒体13〜15を円筒としてもよい。ただし、上述した特許文献2のように、相互に隣接する筒体の側面を平面とすることで、これら隣接する筒体の相互間の磁気抵抗の軽減を図る場合には、本実施の形態の各筒体13〜15についてもその側面を平面とすることが好ましい。
図2において、枠体12は、筒体ユニット11を支持するもので、特許請求の範囲における支持手段に対応する。この枠体12は、図5の斜視図に示すように、複数の平板状の枠材12aを水平方向及び垂直方向に配置して相互に井桁状に組み合わせて構成されたもので、各枠材12aの相互間には、筒体ユニット11の外形に略対応する筒状の空間部12bが形成されている。そして、各空間部12bに筒体ユニット11を挿入することで、複数の筒体ユニット11が、各々の軸方向が平行になる向きであって、各筒体ユニット11の各筒体13〜15の側面が相互に平行になる向きで、かつ、相互に間隔(以下「隣接方向間隔」)を空けて非接触状に配置される。なお、このように隣接方向間隔を空けて配置されることで筒体ユニット11の相互間に形成される磁気抵抗を「隣接方向磁気抵抗」と称する。
ここで、本実施の形態においては、隣接方向磁気抵抗<軸方向磁気抵抗となるように、これら磁気抵抗に関連する各部の構造の詳細が決定されている。この磁気抵抗に関連する各部の構造としては、例えば、軸方向間隔、隣接方向間隔、筒体13〜15の相互間に介在させる中間層16を形成する物質、あるいは、枠材12aの厚みや材料を挙げることができる。例えば、軸方向磁気抵抗に関しては、軸方向間隔を大きくする程及び中間層16を形成する物質の磁気抵抗を大きくする程、大きくすることができる。あるいは、隣接方向磁気抵抗に関しては、隣接方向間隔を小さくする程及び枠材16aを形成する物質の磁気抵抗を小さくする程、小さくすることができる。特に、中間層16の物質や枠材12aの材料の影響を無視できる場合には、図7の要部斜視図(枠体12を省略して示す)に示す軸方向間隔を隣接方向間隔より大きくすることで、隣接方向磁気抵抗<軸方向磁気抵抗とすることができる。このように軸方向磁気抵抗を隣接方向磁気抵抗より大きくすることで、後述するように、軸方向に沿った主方向を持つ磁力線が隣接方向に迂回することを促進できる。
次に、第2の磁気シールド体20について説明する。この第2の磁気シールド体20は、図8の要部斜視図に示すように、複数の筒体ユニット21を枠体22にて支持して構成されている。この第2の磁気シールド体20は、上述した特許文献2の発明に係る磁気シールド体と同様に構成することができ、筒体ユニット21は、磁性材料を用いて第1の磁気シールド体10の筒体ユニット11と同様の外形状に形成されており、筒体ユニット11を構成する複数の筒体13〜15を相互に分離することなく、1体の連続状の筒体から構成されている。枠体22は、第1の磁気シールド体10の枠体12と同様に構成されており、この枠体22によって支持されることにより、複数の筒体ユニット21が、各々の軸方向が平行になる向きであって、各筒体ユニット21の側面が相互に平行になる向きで、かつ、相互に間隔を空けて非接触状に配置されている。なお、第1の磁気シールド体10と第2の磁気シールド体20とは、相互に分離させてもよく、あるいは、壁2の一部や、透磁性や導電性を有する材料からなる中空体を介在させて連結してもよい。
図1において、電磁シールドガラス30は、電磁波を低減又は遮断するための電磁波遮断手段であり、第1の磁気シールド体10及び第2の磁気シールド体20に対する、屋内側の全面及び屋外の全面に設けられている。この電磁シールドガラス30は、例えば、メッシュ状の金属板を単板ガラスで挟持することによって構成されている。このように電磁シールドガラス30を設けることにより、磁気に加えて電磁波についても屋外への漏洩を低減又は防止できる。ただし、電磁シールドガラス30は、第1の磁気シールド体10及び第2の磁気シールド体20の内側又は外側のいずれか一方にのみ設けてもよく、例えば、枠体12である程度の電磁波を遮断できる場合には、第1の磁気シールド体10及び第2の磁気シールド体20の外側にのみ設けてもよい。また、電磁波遮断効果が不要な場合には、電磁シールドガラス30を省略してもよい。
次に、上記のように構成された磁気シールドルーム1の作用効果を、実施例を挙げて説明する。図9は磁気シールドルーム1の平面図であり、MRI装置4から発生した磁界の磁力線の主方向を示す図である。この磁界は、MRI装置4を中心として外側に向かい、最終的に壁2に到達する。この時、壁2に対するMRI装置4の位置及び方向により、磁力線の主方向と壁2の壁面方向との相互間に形成される角度は異なる。この角度に応じて、壁2は、当該壁2に対して、磁力線の主方向が直交する領域(以下、直交領域)A1、磁力線の主方向が平行になる領域(以下、平行領域)A2、及び、磁力線の主方向が直交や平行以外の角度になる領域(以下、非直交平行領域)A3に大別される。このうち、直交領域A1及び非直交平行領域A3の壁2には第1の磁気シールド体10が配置され、平行領域A2の壁2には第2の磁気シールド体20が配置されている。
次に、実施例2について説明する。ただし、特記する場合を除いて、実施条件は上述の実施例1と同様である。ここでは、非分割モデル、2分割モデル、及び3分割モデルの3種類の1/8対称モデルを作成し、MRI模型が発生する磁界の低減効果を有限要素法による三次元磁界解析により求めた。図20は各モデルに共通の図であってMRI模型側からx方向に沿って筒体ユニットを見た正面図、図21は非分割モデルの側面図、図22は2分割モデルの側面図、図23は3分割モデルの側面図である。ここでは、モデルの寸法を、縦750mm×横864mm×高さ450とした。MRI模型6は、縦180mm×横26mm×高さ180のコイル6aを2体、140mmの間隔を空けた状態で配置した。MRI模型6から、筒体ユニット11、21、41の室内側端面までの距離は、非分割モデル(筒体ユニット21)で340mm、2分割モデル(筒体ユニット41)で325mm、3分割モデル(筒体ユニット11)で310mmである。なお、図20に示すように、開口の周面には、縦750mm×高さ50mmと縦100mm×高さ450mmの珪素鋼板製の周り縁を設けている。
次に、実施例3について説明する。ただし、特記する場合を除いて、実施条件は上述の実施例1と同様である。ここでは、図27(a)に示すモデルを作成し、MRI模型が発生する磁界の低減効果を模型実験により求めた。無筒体モデル、図27(a)に示す非分割モデル、図27(b)に示すように各筒体ユニットを3分割してその相互間隔を15mmとしたモデル(以下「15mmピッチ3分割モデル」)、図27(c)に示すように各筒体ユニットを3分割してその相互間隔を30mmとしたモデル(以下「30mmピッチ3分割モデル」)、図27(d)に示すように各筒体ユニットを2分割してその相互間隔を30mmとしたモデルであって、隣接する筒体ユニットの相互間において分割位置を互い違いとしたモデル(以下「30mmピッチ2分割互い違いモデル」)について解析を行った。
最後に、実施例4について説明する。ただし、特記する場合を除いて、実施条件は上述の実施例1と同様である。ここでは、図31(a)に示すモデルを作成し、MRI模型が発生する磁界の低減効果を模型実験により求めた。各コイル6aの起磁力は1820(AT)、このMRI模型6の平面中心位置から開口又は筒体ユニットの室内側端面までの距離は400mmである。無筒体モデル、図31(a)に示す非分割モデル、図31(b)〜(f)に示すように各筒体ユニットを3分割してその相互間隔を3mm、6mm、15mm、30mm、40mmとしたモデル(それぞれ、以下「3mmピッチ3分割モデル」、「6mmピッチ3分割モデル」、「15mmピッチ3分割モデル」、「30mmピッチ3分割モデル」、「40mmピッチ3分割モデル」と称する)について解析を行った。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
また、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
上記実施の形態で示した形状や数値は例示であり、例えば実施例の各寸法値は任意に変更することができる。
2、101 壁
3 床
4、104 MRI装置
5 珪素鋼板
6 MRI模型
6a コイル
10 第1の磁気シールド体
11、21、41、103 筒体ユニット
12、22 枠体
12a 枠材
12b 空間部
13〜15 筒体
16 中間層
20 第2の磁気シールド体
30 電磁シールドガラス
100 MRI室
102 磁気シールド体
A1 直交領域
A2 平行領域
A3 非直交平行領域
Claims (5)
- 透磁性を有するものであって相互に同一の縦断面形状の複数の筒体を、当該複数の筒体の各々の中心軸が相互に一致すると共に、当該複数の筒体の各々の側面が相互に同一面を形成するように、相互に間隔を空けて配置して構成された筒体ユニットと、
複数の前記筒体ユニットを、当該複数の筒体ユニットの筒体の側面が相互に間隔を空けて対向するように支持する支持手段と、
を備えたことを特徴とする磁気シールド体。 - 前記筒体ユニットを構成する前記複数の筒体の相互の間隙と、当該筒体ユニットに隣接配置された他の前記筒体ユニットを構成する前記複数の筒体の相互の間隙とを、相互に隣接する位置に配置したこと、
を特徴とする請求項1に記載の磁気シールド体。 - 前記筒体ユニットは、3体以上の前記筒体を相互に間隔を空けて配置して構成されたこと、
を特徴とする請求項1又は2に記載の磁気シールド体。 - 磁界発生源を外部から区画する壁の少なくとも一部に、前記請求項1から3のいずれか一項に記載の前記磁気シールド体を配置したこと、
を特徴とする磁気シールドルーム。 - 第1の磁気シールド体及び第2の磁気シールド体を備え、
前記第1の磁気シールド体は、前記請求項1から3のいずれか一項に記載の前記磁気シールド体であり、
前記第2の磁気シールド体は、透磁性を有する1体の筒体から構成された筒体ユニットと、複数の当該筒体ユニットを、当該複数の筒体ユニットの側面が相互に間隔を空けて対向するように支持する支持手段とを備え、
前記壁の一部分であって、前記磁界発生源から発生された磁力線の主方向が当該壁の壁面方向に対して直交する部分には、前記第1の磁気シールド体を、前記壁面方向と当該第1の磁気シールド体の筒体ユニットの中心軸とが相互に直交するように配置し、
前記壁の他の一部分であって、前記磁界発生源から発生された磁力線の主方向が当該壁の壁面方向に対して直交しない部分の少なくとも一部には、前記第2の磁気シールド体を、前記壁面方向と当該第2の磁気シールド体の筒体ユニットの中心軸とが相互に直交するように配置したこと、
を特徴とする請求項4に記載の磁気シールドルーム。
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