JP2002344189A - 磁気シールド用磁性体およびその構造体、磁気シールド装置 - Google Patents

磁気シールド用磁性体およびその構造体、磁気シールド装置

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JP2002344189A
JP2002344189A JP2001147873A JP2001147873A JP2002344189A JP 2002344189 A JP2002344189 A JP 2002344189A JP 2001147873 A JP2001147873 A JP 2001147873A JP 2001147873 A JP2001147873 A JP 2001147873A JP 2002344189 A JP2002344189 A JP 2002344189A
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magnetic
shield
magnetic body
magnetic material
magnetic shield
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JP2001147873A
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English (en)
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Chiharu Mimata
千春 三又
Akimasa Sakuma
昭正 佐久間
Shuichi Sako
秀一 迫
Hirokazu Araki
博和 荒木
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Proterial Ltd
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シールド特性が高性能で軽量な磁気シールド
を提供する。 【解決手段】 本発明は板形状の第1の磁性体と第1の
磁性体の平板面に対して垂直の方向成分を有する第2の
磁性体が突起状の形状を持って第1の磁性体の平板面に
配置されている形状を持つ。第2の磁性体の存在により
磁気シールドを構成する磁性体に流入する磁束を、磁束
線と平行な方向成分に配置された磁性体によって効率よ
く制御することが可能になった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気シールドに関
し、特に中空構造を有する磁気シールドに関するもので
ある。
【0002】
【従来技術】従来の磁気シールドは、図14または図1
5に示されたような矩形状断面構造140やリング状断
面構造150を持ち、その要求される遮蔽特性に応じ
て、シールドを構成する磁性体の壁面を2重あるいは3
重にした構造あるいは壁面の磁性体厚さを変化させた構
造で対応するのが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来技術では
十分なシールド特性を得ようとすると壁面の磁性体がた
とえ2重あるいはそれ以上の多重構造になっていたとし
ても磁性体厚さを厚くしなければならなかった。この理
由は従来の磁気シールドの基本構造に依存して、空間の
磁束制御が不十分になりやすいことに起因する。例え
ば、一般原理として高透磁率の磁性体と真空(空気)の
界面では、真空中の磁束の方向に対して界面と垂直な方
向については磁束密度が連続、界面に平行な方向に対し
ては磁場が連続になる。ここで磁性体の比透磁率をμ、
磁束密度をBとすると磁場Hは、H=B/μで与えられ
ることから比透磁率μが大きいほど界面近傍の空間磁場
の平行成分は小さくなる。
【0004】空間の磁束密度が増大すると、磁性体内の
磁場も大きくなるため磁性体は飽和に近づいてゆく。こ
のとき磁性体の比透磁率は減少していくことからシール
ド特性は劣化する。この効果を避けるためには磁性体の
飽和磁束密度を大きくするか、磁性体の厚さを大きくし
て密度を下げる必要がある。従来の技術ではシールド率
を向上させるため比透磁率の大きなパーマロイ(NiF
e合金)が用いられることが多い。パーマロイの場合、
飽和磁束密度が比較的小さいため磁性体の厚さを厚くす
る必要があった。加えて従来の技術では磁性体と真空の
界面に対して垂直方向の磁束成分を制御する技術を持た
ないため、磁束線の界面における屈折率を大きくするこ
とのみが垂直成分の磁束をシールドする方法であった。
この方法では屈折率が比透磁率に比例していることから
磁性体の厚さを十分厚く保ち比透磁率の劣化を避ける必
要があった。
【0005】シールドを行なう磁性体の磁気飽和を避け
る技術としては特開昭55−82278号公報に開示さ
れるような屈曲部にテーパ形状を設ける技術、あるいは
テーパ形状からなる磁路を2重にするための磁性体を設
ける技術等がある。しかし、これらに開示された従来技
術はシールドを行なうために集められた磁束の飽和を避
けるための技術であり、磁気シールドを行なう装置全体
に対し、外部磁場の磁束を効率よく制御することはでき
ない。
【0006】結局これらの従来技術では、磁性体の厚さ
を厚くする必要があることから磁気シールドを構成する
シールド壁が重くなってしまうと言う問題点があった。
この問題は磁気シールドを行なう空間の体積が小さい場
合には、壁面の構造強度を弱くして全体の重量を軽減す
るなどの解決策が可能であった。しかし、シールドする
空間が大きい場合、シールド壁自身が大面積となり、自
重の増大とともにシールド壁を支える構造物も大型で且
つ十分な強度を有するものとなる。この状況において磁
性体の占める割合を小さくして構造重量を軽減すること
は従来のシールド構造では不可能であった。
【0007】本発明は前記の問題点を解決し、軽量かつ
高性能なシールド特性を有する磁気シールドの構造およ
び材料を提供するものである。また、本発明を用いるこ
とで磁気シールドの組み立てが簡便になり、施工性など
が大幅に改善できる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は磁場を遮蔽する
ための磁気シールドにおいて、板形状の第1の磁性体と
前記第1の磁性体の面に対して垂直の方向成分を有する
第2の磁性体が第1の磁性体から突起状に配置されてお
り、前記第2の磁性体が第1の磁性体の面の少なくとも
一部を覆う構造を有し、前記第1および第2の磁性体で
構成されていることを特徴とする磁気シールド用磁性体
とその構造体である。
【0009】上記本発明に係る磁気シールド用磁性体で
あって、前記第2の磁性体が帯状もしくは板状の形を有
し、前記第2の磁性体の面と第1の磁性体の面が所望の
角度で交差することを特徴とする。
【0010】上記本発明に係る磁気シールド用磁性体で
あって、前記第2の磁性体が前記第1の磁性体の面に対
して面の両側に突起状に配置されていることを特徴とす
る。
【0011】上記本発明に係る磁気シールド用磁性体で
あって、突起を構成する第2の帯状または板状の磁性体
の長手方向が、磁気遮蔽を行なう壁面の部分によって異
なる方向に配置されたことを特徴とする。
【0012】上記本発明に係る磁気シールド用磁性体で
あって、材料として用いられる磁性体がシート状の形状
をしており、1枚のシート厚さが10μm以上且つ20
0μm以下であることを特徴とする。
【0013】上記本発明に係る磁気シールド用磁性体で
あって、材料として用いられる前記シート形状の磁性体
に関し、1枚のシート厚さが10μm以上且つ30μm
以下であり、2枚以上のシートの積層体で構成されるこ
とを特徴とする。
【0014】上記本発明に係る磁気シールド用磁性体で
あって、鉄元素を主成分とする粒径500nm以下の微
結晶が組織の少なくとも50%以上を占める合金材料で
構成されることシートまたはテープであることを特徴と
する。
【0015】上記本発明に係る磁気シールド用磁性体で
あって、第1および第2の磁性体からなる構造体の壁面
が前記第1および前記第2の磁性体の構造層を1層単位
として、少なくとも2層以上の多層構造にしたことを特
徴とする。
【0016】本発明の磁気シールド用磁性体の構造体
は、上記本発明のいずれかに係る磁気シールド用磁性体
が磁気遮蔽を行なう壁面の構成部材となっていることを
特徴とする。
【0017】本発明の磁器シールド装置は、上記本発明
のいずれかに係る磁気シールド用磁性体を組み合わせて
所望の体積の空間から環境磁場の影響を排除するための
遮蔽を行なうことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明は、板形状の第1の磁性体
と前記第1の磁性体の面に対して垂直の方向成分を有す
る第2の磁性体が第1の磁性体から突起状に配置されて
おり、前記第2の磁性体が第1の磁性体の面の少なくと
も一部を覆う構造を有し、前記第1および第2の磁性体
で構成されることを特徴とする。さらに、板形状の面よ
り突起した第2の磁性体が帯状もしくは板状の形を有
し、前記第2の磁性体の面と第1の磁性体の面が所望の
角度で交差するとよい。この磁気シールドの一例を図1
で説明する。図1の断面図において、31は板形状の第
1の磁性体であり、32は突起を形成する第2の磁性体
である。前記第2の磁性体の形状に関する構成要因は、
板形状磁性体31の平板面の方向成分をxとし31の平
板面と垂直の方向をzとすると、第2の磁性体である3
2の形態に関わらずz方向に突起した部分を形成してい
ることである。この時、第2の磁性体はx方向の幅をW
とし、z方向の長さをLとするとL/Wの比が1より大
きいことが望ましい。この理由は磁性体に生じる反磁場
がおよそW/Lの比の2乗に比例することから、仮にL
/Wの比が1以下になると平板面と垂直方向の反磁場の
方が大きくなってしまい、この方向のシールド効率が劣
化するからである。
【0019】要件(L/W>1)を満足するように第2
の磁性体を設ける必要がある。要件を満たす範囲に含ま
れる様々な具体例を図2で説明する。図2は、板形状の
磁性体41〜46上に形成された突起状の磁性体を設け
た磁気シールド用磁性体の斜視図である。突起状の磁性
体は、円柱41bや角柱状42bの形状、板や帯状の形
状43b、円錐や角錐状の形状44bなどで構成するこ
とができる。あるいは43bの板や帯状の磁性体が45
bに示されるように中空の三角柱を形作ったり、また4
6bのように波型のトタン板の形状で第1の磁性体と接
触しているような構造も考えられる。またシールド壁を
構成する突起物は図2に示されたような構造について複
数の形状が混在しても良く、特にシールド壁を構成する
部分によって制御する空間の磁束分布に応じた形状を選
択することは望ましいことである。また、同様に平板面
上の突起物の密度も一様である必要はなく、空間の磁束
分布に合わせた配置が可能である。
【0020】次に、本発明のシールド壁構成によって磁
束制御が行われる様子についてモデルを用いて説明し、
従来構造の磁気シールドと比較する。図3および図4は
本発明と従来の磁気シールドを模式的に示したものであ
る。磁束線51と磁束線52はそれぞれのシールドに対
する分布を示している。一般に磁束は磁性体や変動する
電場がない状況では方向は変化せず磁束線の曲率は0で
ある。磁束が存在する空間の一部に比透磁率μが1より
大きい磁性体が存在する場合、空間の磁束は曲がるが、
この時も曲率は小さいほどエネルギーの上昇は少なくて
すむ。図3と図4を比較すると、図3はシールド53の
平板面上に多くの集磁効果の有る突起物54,55が存
在するために空間の磁束の曲率を小さく保つことができ
る。これに対して従来の構造では平板面上は磁束が透過
し易くなっており、側壁56,57の部分が主たる集磁
効果を担っている。このため空間の磁束の曲率が大きく
なり、磁気エネルギーが増大する。よって高効率で空間
の磁束を収集し磁気シールドを行なうためには、本発明
の壁面構成が望ましいことが分かる。
【0021】また本発明は、上記の磁気シールド用磁性
体であって、板形状の面より突起した第2の磁性体が帯
状もしくは板状の形を有し、前記第2の磁性体の面と第
1の磁性体の面が所望の角度で交差することを特徴とす
る。本発明の構成を図5および図6を参照して説明す
る。図5はシールド壁の断面を示している。平面形状の
第1の磁性体58と帯形状の突起した第2の磁性体59
は互いの面が角度θで交差している。例えばシールド壁
が地面に対して垂直にあり、地磁気に対する遮蔽効果を
得ようとした場合、前記交差角θは地磁気の伏角に合わ
せると効率がよく、本発明の磁気シールドを日本国内に
設置するとすればθは45°以上50°以下の範囲に設
定されることが望ましい。ただし、本発明のシールドが
屋内で使用される場合や付近に磁場発生する装置、例え
ばモータ等がある場合にはその磁場の方向成分に応じて
交差角θを補正すればよい。また前記交差角はシールド
を行なう磁場が地磁気や装置の発生する磁場に関わら
ず、磁場の影響を排除しようとする方向成分によって変
化させることができる。例えば6面体の基本構造を持つ
磁気シールド内に収められた試験体の水平方向の磁場の
みを測定しようとした場合、シールド壁の側面における
帯状の突起した磁性体の角度θは90°に設定すること
が可能である。
【0022】また本発明の構成では、帯状の突起した磁
性体が磁気シールドの側壁に沿って設置されることで集
磁した後の磁路として用いることが可能である。例え
ば、シールド壁(正面壁)によって集磁された磁束はそ
れとは異なる壁面(側壁)や天井、床などに配置された
磁性体を通ることでシールド内部の磁気遮蔽を行なう。
このとき、側壁や天井などが薄い磁性体で構成されてい
るとシールドを行なう空間の断面積によっては磁気飽和
が起こる可能性がある。しかし、本発明の磁気シールド
においては帯状の第2の磁性体が側壁や天井などの部分
で磁路として働くため集めた磁束に対して磁性体部分の
断面積を大きくする効果がある。よって、磁束密度の増
加を緩やかにし、シールドの透磁率を高く保つことが可
能である。図6に帯状の磁性体が6面体構造のシールド
に対して4面に配置された場合の模式図を示す。本発明
の構成では帯状の突起物の配置されるシールド壁は磁場
の方向成分によって少なくとも2面(例えば、帯状突起
物61を配置した平板状磁性体60の面と、それに平行
な反対側の面)に配置されることが望ましい。また、図
6のように4面(面60とその反対側の面、帯状突起物
63を配置した平板状磁性体62の面と、それに平行な
反対側の面)に配置された場合、その他に天井および床
を含む6面に配置された場合のように2面以上の面に配
置することも可能であり、多面に渉って帯状突起を配置
するほど磁束の制御性は向上する。
【0023】また、本発明は上記いずれかの磁気シール
ド用磁性体であって、前記第2の磁性体が前記第1の磁
性体の面に対して面の両側に突起状に配置されているこ
とを特徴とする。図7に示すように、帯状の突起した第
2の磁性体72、73が互いに平行に対向配置された第
1の平板状磁性体の面上に配置されている時、磁気遮蔽
される空間の磁束線は図7のように制御される。第1の
平板状の磁性体71と他の平板状磁性体を組み合わせて
磁気シールドを構成している。矢印は外部磁界を表す。
ただし、遮蔽される空間の断面積が大きくなった場合、
さらに高効率の磁気シールドを提供するためには図8に
示されるような前記突起状の第2の磁性体72が前記第
1の磁性体71の両面に配置されることで壁面中央付近
のシールド効率を向上させることが可能になる。即ち、
本発明に係る磁気シールド用磁性体であって、前記第2
の磁性体が前記第1の磁性体の面に対して面の両側に突
起状に配置されていることを特徴とする。特に本発明に
よって地磁気が伏角の成分を持つように、設置された磁
気シールド壁に対して3次元的な磁束の方向成分を全て
遮蔽するときには高い効果を発揮する。例えば図9に示
されるように、シールド壁面に対して斜めの成分を持つ
磁場80,81,82の一部がシールド内に漏洩したと
すると(磁場82が漏洩)、本発明の構造では内側に設
けられた突起状の第2の磁性体73bが積極的に磁場を
吸引する。このように磁束は壁側に集まることなり、効
率よく磁気シールドを行なうことが可能となる。
【0024】また本発明は、上記いずれかの磁気シール
ド用磁性体であって、突起を形成する第2の磁性体の帯
状または板状形状の長手方向が、磁気遮蔽を行なう壁面
の部分によって異なる方向に配置されたことを特徴とす
る。本発明の構成を図10および図11を用いて説明す
る。図10は6面体の磁気シールドの断面図である。平
面状の平板を組み合わせて構成した第1の磁性体100
と、101,102,103,104は帯状の突起で構
成される第2の磁性体である。図10にある第2の磁性
体の配置では101,104で示される形状に磁束10
5を制御しやすい。古典的な磁気シールドの形状として
円筒形状の磁気シールドが上げられており、これは1種
の理想的な形状とされてきた。しかし、シールドを屋内
に配置する場合にはシールドされる装置や磁性体の形状
によっては、円筒形状で十分な空間を確保することが難
しいこと、あるいは空間を有効活用することができない
ことなどの理由から実現が難しい。しかし、本発明の磁
気シールドにおいて図10のように向きの異なる帯状突
起を配置することにより、円筒形状と同様のシールド効
果を得られることで空間を有効活用しつつ十分な磁気シ
ールドを行なうことが可能になる。また図11の概観図
に示すように6面体構造のシールドで、円筒形状の効果
と天井を磁路として用いた伏角のある地磁気のシールド
を兼用した構成を両立させることが可能である。図11
のようにシールド壁110や114の部位によって帯状
の第2の磁性体の配置される方向が異なる場合につい
て、天井側と床側を逆の配置することも可能である。第
2の磁性体112と113に対して、同じシールド壁面
上に配置した第2の磁性体111は面の法線の向きが異
なるように配置した。同様に、シールド壁114の面上
において、第2の磁性体116及び117に対して第2
の磁性体115は、面の法線の向きが異なるように配置
した。さらに、部分による突起状の第2の磁性体はおの
おののシールド壁の部分によって等間隔に配置されてい
る必要はない。
【0025】また、本発明は上述した各々の磁気シール
ド用磁性体において、材料として用いられる磁性体がシ
ート状の形状をしており、1枚のシート厚さが10μm
以上且つ200μm以下であることを特徴とする。前記
のシート状の磁性体を用いる構成では空間の磁束を効率
よく収集可能なため、従来の磁気シールドと比較して厚
さの薄い磁性体を使用することが可能である。薄い磁性
体を用いることの利点は磁気シールドの構造重量を軽減
することが可能になり、シールド装置の組み立てや施工
性を改善することができる。例えば軟鉄やNiFe合金
などの圧延薄板(厚さ0.5乃至1mm)を用いたシー
ルドでは1Kgの重量に対して350×350mm乃至
500×500mmのシールド壁を作ることが限界であ
る。しかし、200μmのシートでは2×2mのシール
ド壁を作ることが可能であり、シールド壁の部品点数を
大幅に減少させることができる。シールドの特性として
はNiFe板1枚のシールド率が20dB程度であり、
本発明では10μmシートの条件でも10乃至15d
B、またこれを200μmにすることで20dB以上の
シールド率を得ることができる。
【0026】また、本発明は上記いずれかの磁気シール
ド用磁性体であって、前記シート形状の磁性体は1枚の
シート厚さが10μm以上且つ30μm以下であり、2
枚以上のシートの積層体で構成されることを特徴とす
る。シート形状の磁性体ではその製造方法によってシー
ト面内の方向によって磁気異方性を生ずることがある。
本発明では前記シート形状の磁性体を2枚以上重ねて用
いることで、磁気異方性の効果を相殺し、遮蔽を行なう
空間磁場の方向に依存しないシールド特性をえることが
できる。例えば、磁気異方性の有る2枚のシート形状の
磁性体を互いに磁化容易方向が垂直になる配置を持って
積層することでシールド壁面の磁気特性を等方的に改善
することができる。また、積層の効果はシールドに用い
られる磁性体の体積を増加させることから、磁性体全体
の透磁率を高く保つ効果をもたらす。よって、磁気シー
ルドの効率を向上させることが可能になる。
【0027】また、本発明は上記いずれかの磁気シール
ド用磁性体であって、鉄元素を主成分とする粒径500
nm以下の微細結晶粒が組織の少なくとも50%以上を
占める合金材料で構成され、シートまたはテープ状の形
状であることを特徴とする。この鉄合金(Fe合金)の
微細結晶材料(ナノ結晶材料とも称する)は、例えば日
本国特許第2625485号公報にあるようにアモルフ
ァス材料を所望の温度で熱処理することで得られる。こ
の特許の構成では空間の磁束を効率よく収集可能なた
め、従来の磁気シールドと比較して厚さの薄い磁性体を
使用することが可能である。薄い磁性体を得るためには
例えば圧延や超急冷法による箔体があるが、圧延しやす
い軟鉄やNiFe合金、超急冷で得るアモルファス箔体
ではシート材料の変形が逆時歪効果に等による磁気特性
の劣化を起こしやすいため、シールド壁の施工において
取り扱いが難しくなるなどの問題を生じる可能性があ
る。また、特にNiFe合金では材料の硬さが不十分に
なりシールド壁の自重によってシートが変形して発生し
た結晶欠陥が磁気特性を著しく劣化させる。これに対し
て高透磁率のFe基合金を超急冷で形成した箔体を熱処
理することによって得られる磁性体シートでは、得られ
たFe基合金の硬さが十分なことや逆磁歪効果を起こし
にくいことで、十分な薄さの磁性体シートを得ることが
可能である。また、特開平6−112031号公報に述
べられているように、機械的な変形に対して材料を破壊
しにくくするとともに加工に対する形状的な制約を著し
く減じることができる。この磁性体シートを用いた本発
明の磁気シールドでは、シールド壁を軽量化することが
可能であり、かつ応力の影響を極力排除可能なため施工
時における材料の取り扱いも簡単である。以上、本発明
によって軽量で施工性に優れた磁気シールドを提供する
ことができる。
【0028】本発明に係る磁性体に用いる鉄合金(Fe
合金)の微細結晶材料は、望ましくはFe−Cu−Nb
−Si−B系のbccFeの微細結晶組織(もしくは微
細結晶粒)を備える軟磁性材料を用いる。さらに望まし
くは前記微細結晶粒の平均結晶粒径が100nm以下で
ある材料を用いる。
【0029】また、本発明は上記いずれかの磁気シール
ド用磁性体であって、板形状および突起形状の第1およ
び第2の磁性体からなる構造体の壁面が前記第1および
前記第2の磁性体の構造層を1層単位として、少なくと
も2層以上の多層構造にしたことを特徴とする。本発明
の利点は例えば第1層にある突起物と第2層にある突起
物の形状や角度を調整することで、シールド壁内部にお
ける磁束の曲率をより小さくすることが可能である。よ
り強い空間磁場に対しても高効率のシールドを提供する
ことが可能である。図12に2層化した場合の磁気シー
ルドの断面図を示す。外側第1層は、第1の平板状磁性
体121を4枚接合して枠状構造とし、この平板状磁性
体の面に傾斜して設けた複数の第1の突起状磁性体12
2及び126を備える。内側第2層は、第2の平板状磁
性体124を4枚接合して枠状構造とし、この平板状磁
性体の面に傾斜して設けた複数の第2の突起状磁性体1
23及び125を備える。外側第1層の前記第1の平板
状磁性体121と内側第2層の前記第2の突起状磁性体
123及び125は望ましくは接触した構造で前記第1
の磁性体と前記第2の磁性体間の磁気抵抗を減らす構造
をとることによりシールド効率を一層向上させることが
可能である。
【0030】
【実施例】(実施例1)図13を用いて実施例を説明す
る。本実施例は有限要素法の数値計算を用いて計算を行
ったシールド装置周辺の磁場に対する解析結果である。
解析条件は直径2mのヘルムホルツコイルによってコイ
ル中心で0.0002Tの磁場を発生し、この中に1辺
の長さが0.6mの立方体からなるシールド装置を配置
し、これに突起状磁性体がない場合(13a)とある場
合(13b)について比較したものである。符号130
は突起状磁性体のない場合、符号135は突起状磁性体
がある場合である。図13のグレースケールは磁場の強
度を示しており、純白で0Tから黒の0.0002Tま
での磁場を示している。また本図はシールド装置中心を
通る面における磁場を示しており、対称な形状を持つシ
ールド装置の1/2部分のみを表した。シールドの内部
で色がグレーになっているのは磁場が遮蔽されているた
めであるが、130の場合、シールド131の直ぐ外側
の部分が黒くなっており強い磁場がシールドの外壁に達
している。これに対して、135の場合、突起状の磁性
体136の周辺ではグレースケールが白くなっており、
シールド装置の外壁前面で効率よく磁束を集めた結果、
空間磁場が小さくなっている様子が良く分かる。なお、
137は側面の突起状磁性体の位置をシールド装置の中
心断面に投影させて表示させたものであり、突起状磁性
体を設けた面の内側に設けている訳ではない。突起状磁
性体136と137は、131のようなシールドの外面
に設けられている。アウトライン138及び139はシ
ールド装置の外延を見やすくするための線であり、実際
の装置の外面ではない。
【0031】(実施例2)次に1辺0.6mの立方体か
らなるシールド装置を組み立て、シールド内部の磁場を
実測した結果を示す。実験は直径2mコイル間隔1mの
ヘルムホルツコイルを用いたものと地磁気を用いた場合
の2通りである。ヘルムホルツコイルは200ターン1
Aの巻き数と電流を用いてコイル中心で0.0002T
の磁場を発生させた。また地磁気を用いた実験では磁場
の値が4.6×10−5である。磁場測定は立方体シー
ルド装置の中心点で行った。シールド装置に用いた突起
状磁性体の形状は帯状の形態で帯とシールド外壁の交差
角が45°の条件を用いた。シールド率Sをシールド中
心磁場と外部磁場の比であらわすと、ヘルムホルツコイ
ルの側では突起状磁性体のない場合はS=0.20、突
起状磁性体のある場合はS=0.15であった。また、
地磁気の測定では突起状磁性体のない場合でS=0.0
5、突起状磁性体のある場合でS=0.03になり、突
起状磁性体のあるほうが有利であることが分かった。
【0032】
【発明の効果】本発明の構成を用いることにより、軽量
で高性能の磁気シールドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シールド壁部分断面図である。
【図2】突起状磁性体形状の例である。
【図3】磁束線の制御概念図である。
【図4】従来構造のシールドによる磁束線制御概念図で
ある。
【図5】シールド壁部分断面図である。
【図6】シールド概観図である。
【図7】シールド断面図である。
【図8】シールド壁部分断面図である。
【図9】シールド断面図である。
【図10】シールド断面図である。
【図11】シールド概観図である。
【図12】2層化した場合の磁気シールドの断面図であ
る。
【図13】シールド装置周辺の磁場に対する解析結果を
示す断面図である。
【図14】従来構造の磁気シールド断面図である。
【図15】従来構造の磁気シールド断面図である。
【符号の説明】
31 板形状の第1の磁性体、32 突起を形成する第
2の磁性体、41 42 43 44 45 46 板
形状の磁性体、41b 円柱状の突起、 42b 角柱
状の突起、43b 板状の磁性体、44b 円錐状の突
起、 45b 中空の三角柱状の磁性体、46b 波型
のトタン板状の磁性体、51 52 磁束線、53 シ
ールド、54 55 集磁効果のある突起物、56 5
7 シールドの側壁、58 平板状の磁性体、59 突
起した第2の磁性体、60 62 平板状磁性体、61
63 帯状突起物、71 平板状の磁性体、72 7
3 帯状の突起した第2の磁性体、72b 73b 内
側に向けた第2の磁性体、80 81 82 斜めの成
分を持つ磁場、100 第1の磁性体、101 102
103 104 第2の磁性体、105 磁束、11
0 114 シールド壁、111 115 向きを変え
て配置した第2の磁性体、112 113 116 1
17 第2の磁性体、121 第1の平板状磁性体、1
22 126 第1の突起状磁性体、124 第2の平
板状磁性体、123 125 第2の突起状磁性体、1
30 突起状磁性体のない磁場分布、131 シール
ド、135 突起状磁性体のある磁場分布、136 1
37 突起状の磁性体、138 139 アウトライ
ン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒木 博和 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地日立金属株式 会社先端エレクトロニクス研究所内 Fターム(参考) 5E041 AA07 CA10 5E321 AA44 BB01 BB53 BB55 GG07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁場を遮蔽するための磁気シールドにお
    いて、板形状の第1の磁性体と前記第1の磁性体の面に
    対して垂直の方向成分を有する第2の磁性体が第1の磁
    性体から突起状に配置されており、前記第2の磁性体が
    第1の磁性体の面の少なくとも一部を覆う構造を有し、
    前記第1および第2の磁性体で構成されていることを特
    徴とする磁気シールド用磁性体。
  2. 【請求項2】 請求項1の磁気シールド用磁性体であっ
    て、前記第2の磁性体が帯状もしくは板状の形を有し、
    前記第2の磁性体の面と第1の磁性体の面が所望の角度
    で交差することを特徴とする磁気シールド用磁性体。
  3. 【請求項3】 請求項1あるいは請求項2の磁気シール
    ド用磁性体であって、前記第2の磁性体が前記第1の磁
    性体の面に対して面の両側に突起状に配置されているこ
    とを特徴とする磁気シールド用磁性体。
  4. 【請求項4】 請求項2の磁気シールド用磁性体であっ
    て、突起を構成する第2の磁性体の帯状または板状形状
    の長手方向が、磁気遮蔽を行なう壁面の部分によって異
    なる方向に配置されたことを特徴とする磁気シールド用
    磁性体。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4の磁気シールド
    用磁性体であって、材料として用いられる磁性体がシー
    ト状の形状をしており、1枚のシート厚さが10μm以
    上且つ200μm以下であることを特徴とする磁気シー
    ルド用磁性体。
  6. 【請求項6】 請求項5の磁気シールド用磁性体であっ
    て、前記シート形状の磁性体は1枚のシート厚さが10
    μm以上且つ30μm以下であり、2枚以上のシートの
    積層体で構成されることを特徴とする磁気シールド用磁
    性体。
  7. 【請求項7】 請求項6の磁気シールド用磁性体であっ
    て、鉄元素を主成分とする粒径500nm以下の微細結
    晶粒が組織の少なくとも50%以上を占める合金材料で
    構成され、シートまたはテープ状の形状であることを特
    徴とする磁気シールド用磁性体。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7の磁気シールド
    用磁性体であって、第1および第2の磁性体からなる構
    造体の壁面が前記第1および前記第2の磁性体の構造層
    を1層単位として、少なくとも2層以上の多層構造にし
    たことを特徴とする磁気シールド用磁性体。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項8の磁気シールド
    用磁性体が、磁気遮蔽を行なう壁面の構成部材となって
    いることを特徴とする磁気シールド用磁性体の構造体。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし請求項8の磁気シール
    ド用磁性体を組み合わせて所望の体積の空間から環境磁
    場の影響を排除するための遮蔽を行なうことを特徴とす
    る磁気シールド装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2011046090A1 (ja) * 2009-10-13 2013-03-07 日本電気株式会社 磁性体装置
KR101505030B1 (ko) 2013-11-18 2015-03-24 주식회사 씨에이디 비정형 크랙을 갖는 자기장 차폐재 및 그 제조방법

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