JP2011249693A - 磁性角筒体、磁気シールド体、及び磁性角筒体の比透磁率調整方法 - Google Patents

磁性角筒体、磁気シールド体、及び磁性角筒体の比透磁率調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気シールド体を構成する磁性角筒体の寸法等を変えることなく、磁性角筒体毎に各方向の比透磁率を調整することができる、磁性角筒体、磁気シールド体、及び磁性角筒体の比透磁率調整方法を提供すること。
【解決手段】磁性材料により形成された中空の磁性角筒体20であって、磁気シールド体1を構成するための磁性角筒体20において、側面21、22又は角部23に形成された切り欠き部30〜32であって、当該切り欠き部30〜32に直交する方向に沿った比透磁率を、当該切り欠き部30〜32がない同一形状の磁性角筒体20における同一方向の比透磁率より低減するための切り欠き部30〜32であり、当該比透磁率の所要の低減量に対応した長さ及び幅で形成された切り欠き部30〜32を備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、磁界を遮蔽するための磁気シールド体と、この磁気シールド体に使用される磁性角筒体、及び磁性角筒体の比透磁率調整方法に関する。
従来、磁界を遮蔽するため、磁界発生源を覆うことによって、当該磁界発生源にて形成された磁界が外部に漏洩することを防止する磁気シールドルームが提案されている。この磁気シールドルームは、例えば、医療施設で用いられるMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置を設置するための部屋(以下「MRI室」)として実用化されている。この磁気シールドルームは、概略的には、壁、天井、及び床の全部又は一部に磁性材料を埋設することで構成されており、これら壁、天井、及び床に到達した磁束を磁性材料を介して迂回させることで、磁界が外部に漏洩することを防止している。
このような磁気シールドルームは、磁界発生源を壁、天井、及び床によって囲繞しているので、この磁気シールドルームの内部空間が密閉され、入室者に圧迫感を与える可能性がある。この点を解消するため、開放型の磁気シールド体を用いて磁気シールドルームを構成することも提案されている(例えば特許文献1参照)。この開放型の磁気シールド体は、複数の筒体を枠体にて支持することで構成されている。この構造によれば、磁気シールドルームの内部と外部とが、筒体の内部空間を介して視覚的に開放されるので、入室者に対する圧迫感を低減することができる。
しかしながら、特許文献1の磁気シールド体は、複数の筒体を相互に線状に接触させていたので、この接触部分に対して応力集中を生じさせる等の問題があった。この点を解消するため、本願発明者等は、複数の筒体を相互に間隔を空けて非接触状に配置して構成された磁気シールド体を提案した(特許文献2参照)。図22は従来の磁気シールドルームの平面図、図23は従来の磁気シールド体の斜視図(一部の磁性角筒体を分解斜視図として示す)である。これら図22、23において、磁気シールド体100は、MRI室から漏洩する磁気を遮蔽するためのものであって、フレーム101に形成された複数の貫通孔102に、透磁性を有する複数の角筒状の筒体(磁性体角筒)103を装着して構成されている。この構造によれば、磁性体角筒103への応力負荷を低減することができると共に、磁気シールド体100の組立てや解体が容易である。
特開平6−13781号公報 特開2008−160027号公報
このように構成された磁気シールド体における磁気シールド性能を高めるためには、磁気シールド体に入射した磁気を、この磁気シールドの内部において特定の方向に誘導したい場合がある。
例えば、室者の圧迫感を一層低減するために、磁気シールド体の壁面方向に沿ってより多くの磁気を誘導することで、磁気シールド体に直交する方向に向かう磁気を低減できれば、その分だけ磁性体角筒の奥行きを短くすることができ、入室者の圧迫感を一層低減することが可能となる。
しかしながら、特許文献2に記載の如き磁気シールド体においては、外部に漏洩する磁気の大きさは、各磁性体角筒の開口幅と奥行きとの比率で決まってしまい、開口幅を狭くしなければ奥行きを短くすることができず、開口幅を変えることなく奥行きのみを短くすることはできなかった。
あるいは、入室者の圧迫感を一層低減するために、磁気シールド体を構成する複数の磁性体角筒の一部の開口を、他の磁性体角筒の開口よりも大きくしたいとのニーズがある。
しかしながら、特許文献2に記載の如き磁気シールド体においては、上述のように、外部に漏洩する磁気の大きさは、各磁性体角筒の開口幅と奥行きとの比率で決まってしまうため、奥行きを変えることなく磁性体角筒を大開口にすることができなかった。
このような課題を解決するためには、磁気シールド体を構成する複数の磁性体角筒における比透磁率を各方向毎に調整し、大開口にした磁性体角筒を含む領域のように、磁気漏洩を防止したい領域に誘導される磁気を低減することが必要となる。そして、このように磁性体角筒における比透磁率を各方向毎に調整するためには、複数の磁性体角筒を相互に異なる間隔で配置したり、数の磁性体角筒を異なる寸法で形成したり、複数の磁性体角筒の厚みを相互に変えることが考えられる。しかしながら、このように複数の磁性体角筒を相互に異なる寸法等とした場合には、磁性体角筒の製造や管理の労力が増加し、磁気シールド体の組み立ても大変であり、かつ、磁気シールド体の意匠性が低下するという問題がある。なお、一般的な磁気シールド体においては、水平や垂直方向に高い比透磁率を有する磁性体(例えば、方向性電磁鋼板)を使用することにより、磁場を誘導することも考えられるが、角筒構造と異なり奥行き方向の磁場の向きを制御するためには、壁厚を変える方法しかなく、磁気の方向を制御することは依然として困難であった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、磁気シールド体を構成する磁性体角筒の寸法等を変えることなく、比透磁率を各方向毎に調整することができる、磁性角筒体、磁気シールド体、及び磁性角筒体の比透磁率調整方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に記載の磁性角筒体は、磁性材料により形成された中空の磁性角筒体であって、磁気シールド体を構成するための磁性角筒体において、側面又は角部に形成された切り欠き部であって、当該切り欠き部に直交する方向に沿った比透磁率を、当該切り欠き部がない同一形状の磁性角筒体における同一方向の比透磁率より低減するための切り欠き部であり、当該比透磁率の所要の低減量に対応した長さ及び幅で形成された切り欠き部を備える。
請求項2に記載の磁性角筒体は、請求項1に記載の磁性角筒体において、前記切り欠き部は、前記角部において、当該磁性角筒体の筒軸方向であるz方向に直交する方向に沿って形成されたものであって、前記z方向に沿った比透磁率を、当該切り欠き部がない同一形状の磁性角筒体における同一方向の比透磁率より低減するための切り欠き部である。
請求項3に記載の磁性角筒体は、請求項1又は2に記載の磁性角筒体において、前記切り欠き部は、当該磁性角筒体の筒軸方向であるz方向に直交するx方向に沿った前記側部において、前記x方向に直交する方向に沿って形成されたものであって、前記x方向に沿った比透磁率を、当該切り欠き部がない同一形状の磁性角筒体における同一方向の比透磁率より低減するための切り欠き部である。
請求項4に記載の磁性角筒体は、請求項1から3のいずれか一項に記載の磁性角筒体において、前記切り欠き部は、当該磁性角筒体の筒軸方向であるz方向と当該z方向に直交するx方向とに直交するy方向に沿った前記側部において、前記y方向に直交する方向に沿って形成されたものであって、前記y方向に沿った比透磁率を、当該切り欠き部がない同一形状の磁性角筒体における同一方向の比透磁率より低減するための切り欠き部である。
請求項5に記載の磁気シールド体は、支持手段を介して相互に間隔を空けて並設された複数の磁性角筒体を備える磁気シールド体であって、前記複数の磁性角筒体の一部として、前記請求項1から4のいずれか一項に記載の磁性角筒体を有する。
請求項6に記載の磁性角筒体の比透磁率調整方法は、磁性材料により形成された中空の磁性角筒体であって、磁気シールド体を構成するための磁性角筒体の比透磁率を調整するための方法であって、前記磁性角筒体を準備する準備工程と、前記準備工程にて準備した前記磁性角筒体の側部又は角部に切り欠き部を形成する工程であって、当該切り欠き部に直交する方向に沿った比透磁率を、当該切り欠き部がない同一形状の磁性角筒体における同一方向の比透磁率より低減するための切り欠き部であり、当該比透磁率の所要の低減量に対応した長さ及び幅で切り欠き部を形成する切り欠き部形成工程とを含む。
請求項7に記載の磁性角筒体の比透磁率調整方法は、請求項6に記載の磁性角筒体の比透磁率調整方法において、前記準備工程において、磁性材料により形成された板状体を折り曲げることにより、前記磁性角筒体を形成し、前記切り欠き部形成工程において、前記板状体を折り曲げることにより形成された前記磁性角筒体の側部又は角部に、カッターでスリット状の前記切り欠き部を形成する。
請求項1に記載の磁性角筒体によれば、側面又は角部に形成された切り欠き部であって、当該切り欠き部に直交する方向に沿った比透磁率を、当該切り欠き部がない同一形状の磁性角筒体における同一方向の比透磁率より低減するための切り欠き部であり、当該比透磁率の所要の低減量に対応した長さ及び幅で形成された切り欠き部を備えるので、所要の方向(垂直方向、水平方向、及び奥行き方向の3方向の中から任意に選択した一つ以上の方向)の比透磁率を所要の低減量だけ低減させることができ、磁性角筒体毎の各方向の比透磁率を容易に調整することができる。特に、切り欠き部を形成することで比透磁率を調整できるので、磁性角筒体の相互の間隔、切り欠き部以外の形状、厚み等を一定にできるので、磁性角筒体の製造や管理の労力の増加を招くことがなく、磁気シールド体の組み立ても容易であり、かつ、磁気シールド体の意匠性も低下させることがない。例えば、MRI室の磁気シールド体において、MRIの入れ替えに伴って磁場の方向や角度が変わった場合であっても、各磁性角筒体の高さ、幅、奥行きが同一であるため、同一の支持手段に対して、切り欠き部のみが異なる磁性角筒体を入れ替えることで対応することができる。
請求項2に記載の磁性角筒体によれば、z方向に沿った比透磁率を低減するための切り欠き部を設けたので、z方向の比透磁率を所要の低減量だけ低減させることができ、磁性角筒体のz方向の比透磁率を容易に調整することができる。特に、このようにz方向の比透磁率を調整できるので、開口幅寸法に対して奥行寸法を狭めた(小さくした)磁性角筒体を形成することができ、逆に、奥行寸法が同じである場合には開口幅寸法を広げた(大きくした)大開口の磁性角筒体を使用することが可能となるので、磁気シールド体の透視性を向上させ、磁気シールド体の解放感を高めることが可能となる。
請求項3に記載の磁性角筒体によれば、x方向に沿った比透磁率を低減するための切り欠き部を設けたので、x方向の比透磁率を所要の低減量だけ低減させることができ、磁性角筒体のx方向の比透磁率を容易に調整することができる。
請求項4に記載の磁性角筒体によれば、y方向に沿った比透磁率を低減するための切り欠き部を設けたので、y方向の比透磁率を所要の低減量だけ低減させることができ、磁性角筒体のy方向の比透磁率を容易に調整することができる。
請求項5に記載の磁気シールド体によれば、複数の磁性角筒体の一部として、切り欠き部によって比透磁率が調整された磁性角筒体を有するので、磁気を誘導したい方向(例えば、大開口化した磁性角筒体を回避する方向)に応じた比透磁率を有する磁性角筒体を用いることで、磁気シールド体の特定領域に誘導させる磁気を低減し、磁気シールド体の特定領域から漏洩する磁気を低減することができる。特に、切り欠き部を形成することで磁性角筒体毎の各方向の比透磁率を調整できるので、磁性角筒体の相互の間隔、切り欠き部以外の形状、厚み等を一定にできるので、磁性角筒体の製造や管理の労力の増加を招くことがなく、磁気シールド体の組み立ても容易であり、かつ、磁気シールド体の意匠性も低下させることがない。
請求項6に記載の磁性角筒体の比透磁率調整方法によれば、磁性角筒体を準備する準備工程と、この準備工程にて準備した磁性角筒体の側部又は角部に切り欠き部を形成する工程であって、当該切り欠き部に直交する方向に沿った比透磁率を、当該切り欠き部がない同一形状の磁性角筒体における同一方向の比透磁率より低減するための切り欠き部であり、当該比透磁率の所要の低減量に対応した長さ及び幅で切り欠き部を形成する切り欠き部形成工程とを含むので、所要の方向(垂直方向、水平方向、及び奥行き方向の3方向の中から任意に選択した一つ以上の方向)の比透磁率を所要の低減量だけ低減させることができ、磁性角筒体毎の各方向の比透磁率を容易に調整することができる。特に、切り欠き部を形成することで比透磁率を調整できるので、磁性角筒体の相互の間隔、切り欠き部以外の形状、厚み等を一定にできるので、磁性角筒体の製造や管理の労力の増加を招くことがなく、磁気シールド体の組み立ても容易であり、かつ、磁気シールド体の意匠性も低下させることがない。例えば、MRI室の磁気シールド体において、MRIの入れ替えに伴って磁場の方向や角度が変わった場合であっても、各磁性角筒体の高さ、幅、奥行きが同一であるため、同一の支持手段に対して、切り欠き部のみが異なる磁性角筒体を入れ替えることで対応することができる。
請求項7に記載の磁性角筒体の比透磁率調整方法によれば、磁性角筒体の形状や大きさを一定としたまま、カッターによる部分的な加工を施して切り欠き部を形成するだけで、各方向毎の比透磁率を調整できるので、比透磁率を容易に調整することができる。
本発明の実施の形態に係る磁気シールド体の斜視図である。 図1の磁性角筒体の斜視図である。 実際の磁性角筒体の斜視図である。 均質化モデルの斜視図である。 比透磁率μxが調整された磁性角筒体の斜視図である。 図5に対応する均質化モデルの比透磁率の算定結果を示す図である。 比透磁率μyが調整された磁性角筒体の斜視図である。 図7に対応する均質化モデルの比透磁率の算定結果を示す図である。 比透磁率μzが調整された磁性角筒体の斜視図である。 図9に対応する均質化モデルの比透磁率の算定結果を示す図である。 比透磁率μy、μzが調整された磁性角筒体の斜視図である。 図11に対応する均質化モデルの比透磁率の算定結果を示す図である。 切り欠き部が形成されていない磁性角筒体と、この磁性角筒体の内部における磁束の流れを模式的に示した図である。 切り欠き部が形成された磁性角筒体と、この磁性角筒体の内部における磁束の流れを模式的に示した図である。 つなぎ長さを残さずに全て切った場合の磁性角筒体と、この磁性角筒体の内部における磁束の流れを模式的に示した図である。 磁気シールド体の縦断面図である。 磁気シールド体の立面図である。 比透磁率を調整しない場合の漏洩磁束密度を示す図である。 比透磁率を調整した場合の漏洩磁束密度を示す図である。 比透磁率を調整しない場合の磁束分布の大きさと向きを示す図である。 比透磁率を調整した場合の磁束分布の大きさと向きを示す図である。 従来の磁気シールドルームの平面図である。 従来の磁気シールド体の斜視図である。
以下に添付図面を参照して、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(構成)
まず、磁気シールド体の基本的な構成について説明する。図1は本実施の形態に係る磁気シールド体の斜視図(一部の磁性角筒体を分解斜視図として示す)、図2は図1の磁性角筒体の斜視図である。以下、図1のZ方向の距離を「奥行き」、X方向の距離を「幅」、Y方向の距離を「高さ」と称する。図1に示すように、磁気シールド体1は、フレーム10により、複数の磁性角筒体20を相互に間隔を空けるように支持して構成されている。
この磁気シールド体1は、磁界発生源(図示せず)の周囲に配置されることで、この磁界発生源にて発生された磁界の全部又は一部が当該磁気シールド体1を介して外部に漏洩することを防止するものである。磁界発生源は任意であり、MRI装置、永久磁石、電磁石コイル、超電導磁石を含む。磁気シールドルームは、その壁、天井、又は床に磁気シールド体1を配置することによって構成されるが、これら壁等の全面に磁気シールド体1を配置する構造以外に、これら壁等の一部のみに磁気シールド体1を配置する構造を含む。ただし、特に説明なき部分については、特許文献2と同様に構成することができる。
フレーム10は、磁性角筒体20を支持する支持手段で、中空角筒形状に形成されており、上下及び左右に複数並設されている。これら複数のフレーム10は、別体に形成された後で並設されてもよく、あるいは一体に形成されてもよい。一体に形成する方法としては、例えば、複数の平板材を水平方向及び垂直方向に配置して相互に井桁状に組み合わせることで、各平板材の相互間にフレーム10を形成することができる。このフレーム10の内部には、貫通孔11が形成されており、この貫通孔11に磁性角筒体20を収容することができる。
フレーム10の材料は、磁性体12よりも十分に磁気抵抗が大きく、かつ、磁性角筒体20を支持するための所望の強度を有する限りにおいて任意であり、例えば、木材や樹脂を用いることができる。特に、フレーム10の材料として導電性材料を用いることで、電磁波遮断効果を得ることができ、また、磁気発生源が移動等することで当該磁気発生源からの磁気が変動する場合においても、変動磁気を渦電流の効果により低減することができる。このフレーム10の中心軸に直交する縦断面(図1のZ−Y平面。以下、単に「縦断面」という場合において同じ)における、当該フレーム10の縦断面形状は任意であるが、ここでは高さ及び幅が等しい正方形状とされている。
磁性角筒体20は、フレーム10の内部に形成された貫通孔11に配置されるもので、このフレーム10の内寸とほぼ合致する外寸を持つ中空の角筒形状に形成されている。この磁性角筒体20は、隣接する磁性角筒体20との間において、フレーム10の肉厚に対応する空間を隔てて配置されている。この磁性角筒体20は、磁性材料により形成される。この磁性材料の具体的種類は任意であるが、例えば珪素鋼板(方向性珪素鋼板、無方向性珪素鋼板)、パーマロイ、電磁鋼板、あるいは、アモルファス板を用いることができる。特に、磁性角筒体20を珪素鋼板から形成した場合には、パーマロイ等から形成する場合に比べて材料コストが安価であるため、磁性角筒体20の製造コストを低減することができる。例えば、磁性角筒体20は、1枚の珪素鋼板を曲げ加工したり、2枚の珪素鋼板を相互に溶接あるいは付き合わせにて接合することで製造される。なお、1枚の珪素鋼板を曲げ加工することにより磁性角筒体20を形成する場合には、この折り曲げ部分に焼き鈍し処理を施することで磁化特性を初期化することが好ましい。なお、磁性角筒体20の各側面には、錆び止め等のための塗装を行なってもよい。
ここで、磁性角筒体20には、切り欠き部30〜32が形成されている。この切り欠き部30〜32は、磁性角筒体20の比透磁率を調整するために形成されたもので、磁性角筒体20のx方向に沿った側部21、y方向に沿った側部22、又はx方向に沿った側部21とy方向に沿った側部22から形成される直角状の角部23のうち、少なくとも一つ(図2では、これら全て)において、スリット状の切り込み部として形成されている。ただし、切り欠き部30〜32の形状は、スリット状に限定されず、例えば、丸孔状や楕円孔状等の孔形状としてもよい。この他にも、磁性角筒体20の側部21、22や角部23の一部分を除外して磁性的な非連続空間を形成できる限りにおいて、任意の形状の切り欠き部30〜32を形成することができる。
このように、磁気シールド体1を構成する複数の磁性角筒体20のうち、一部の磁性角筒体20に切り欠き部30〜32を形成し、その比透磁率を調整することで、磁気シールド体1の内部に、比透磁率を低減させた領域を形成し、当該領域以外の領域に磁気が流れるように誘導することで、所定領域から漏洩する磁気を低減することが可能となる。このように漏洩磁気を低減する領域や、漏洩磁気の強さは、切り欠き部30〜32を形成する領域と、切り欠き部30〜32を形成する部分、切り欠き部30〜32の幅(切り欠き部30〜32がスリット状である場合には、その形成方向に直交する方向の寸法)、及び切り欠き部30〜32の長さ(切り欠き部30〜32がスリット状である場合には、その切り欠き部30〜32の形成方向に沿った方向の寸法)を調整することで、比透磁率を所要の低減量だけ低減させることができ、比透磁率を調整することが可能となる。以下、このように切り欠き部30〜32を形成することの意義等について、さらに詳細に説明する。なお、比透磁率は、x方向、y方向、z方向の3方向に分解されるため、以下では、x方向の比透磁率をμx、y方向の比透磁率をμy、z方向の比透磁率をμzとそれぞれ称する。
(均質化モデル)
まず、磁性角筒体20の比透磁率を効率的に導出するための方法について説明する。本実施の形態では、実際の磁性角筒体20のモデル(以下、実モデル)を均質化手法にて均質化することによって作成された等価的なモデル(以下、均質化モデル)で置き換え、この均質化モデルの比透磁率を算定することにより、実際の磁性角筒体20の比透磁率を導出する。図3は、実際の磁性角筒体20の斜視図、図4は、均質化モデルの斜視図である。ここでは、概略的には、実モデルと均質化モデルのそれぞれに対して一様磁界を印加した場合における、これら実モデルと均質化モデルのそれぞれの磁気エネルギーを算定し、これらの磁気エネルギーが相互に一致することを条件として、均質化モデルの比透磁率の算定式を導出する。
図3に示すように、実際の磁性角筒体20の寸法を、幅=高さ=296mm、奥行き=300mm、厚さ=3.5mm、隣接する他の実際の磁性角筒体20との隙間=2mmとし、磁界の大きさ=H、磁束密度=B、比透磁率=μ、実際の磁性角筒体20の単位体積当たりの磁気エネルギー=Xとすると、この磁気エネルギーXは、式(1)で表わされる。
Figure 2011249693
ここで、x方向の比透磁率=μxを導出すると、実モデルの全磁気エネルギーX(real)は、x方向に一様磁界Bxを印加した磁界解析を行い、得られた磁束分布から、式(2)のように表される。ここで、ne=実モデルの要素数、ie=要素ieの値、V=実モデルの体積である。
Figure 2011249693
一方、図4に示す体積Vhの均質化モデルにおける磁気エネルギーX(homo)は、式(3)のように表される。
Figure 2011249693
ここで、実モデルの全磁気エネルギーX(real)と、均質化モデルにおける磁気エネルギーX(homo)は、相互に等しいことから、均質化モデルのx方向の比透磁率=μxについては、以下の式(4)が成り立つ。均質化モデルのy方向の比透磁率=μyと、均質化モデルのz方向の比透磁率=μzについても、同様に導出することができる。
Figure 2011249693
(x方向の比透磁率=μxの調整方法)
次に、x方向の比透磁率=μxの調整方法について説明する。図5は、比透磁率μxが調整された磁性角筒体20(実モデル)の斜視図である。この磁性角筒体20は、切り欠き部30を備えて構成されている。この切り欠き部30は、磁性角筒体20の側部21、22の中で、x方向に沿った2つの側部21の各々に形成されたもので、x方向に直交する方向に沿って形成されている。
このように切り欠き部30を形成した場合の比透磁率の変化を、上述した均質化モデルを用いて算定した。図5に示す実モデルの寸法は、幅=高さ=奥行き=300mm、厚さ=7mm、隣接する他の実際の磁性角筒体20との隙間=2mmとし、切り欠き部30の幅=5mmとした。また、切り欠き部30を形成する前の磁性角筒体20の比透磁率を、μx=μy=10000、μz=1000とした。そして、この実モデルを均質化した均質化モデル(図4と同様)について、比透磁率μx、μy、μzを算定した。ここでは、切り欠き部30を形成した側部21において、切り欠き部30に沿った方向の幅であって、切り欠き部30の延長線上において切り欠き部30が形成されることなく残った部分の幅(側部21の全長から切り欠き部30の長さを引いた距離。以下、つなぎ長さ)をWxとし、このつなぎ長さWxを変化させた場合における、比透磁率μx、μy、μzを算定した。
この算定結果を、図6に示す。この結果から分かるように、つなぎ長さWxが小さくなる程(切り欠き部30の長さが長くなる程)、比透磁率μxが小さくなることが確認された。また、つなぎ長さWxに関わらず、比透磁率μy、μzは変化しないことが確認された。これらのことから、磁性角筒体20の側部21、22の中で、x方向に沿った側部21に、x方向に直交する方向に沿って切り欠き部30を形成することにより、x方向の比透磁率=μxのみを調整することができ、切り欠き部30の長さを変えることでμxを所望の値に調整できる。さらに、この図6の結果から分かるように、つなぎ長さWxと比透磁率μxは単なる比例関係ではなく、つなぎ長さWxが短くなるに伴って(切り欠き部30が長くなるに伴って)、比透磁率μxは2次曲線状に低下する。このような関係は、例えば、切り欠き部30を形成する個所数や幅と、比透磁率μxとの関係にも当てはまる。すなわち、個所数に関して、図5では、切り欠き部30を、x方向に沿った2つの側部21の各々に形成しているが、このように2つの側部21の各々に形成した場合の比透磁率μxは、
一方の側部21のみに形成した場合の比透磁率μxに比べて、単純に半分にはならず、2〜3割の低減となる。また、幅に関して、図5では、切り欠き部30の幅=5mmとしているが、この幅を倍にしても、比透磁率μxは単純に半分にはならず、2次曲線状に低下する。ただし、切り欠き部30の総体積(切り欠き部30の長さ×幅×厚み)が一定であれば、切り欠き部30の長さを長くなるように変化させた場合に比べて、切り欠き部30の幅を太くなるように変化させた方が、比透磁率μxが滑らかに(小さい変化分で)低減されることが確認されており、後者の方が比透磁率μxを微妙に変化させることができる点で好ましい。なお、これら個所数や幅に関する傾向は、y方向やz方向に関しても同様である。
(y方向の比透磁率=μyの調整方法)
次に、y方向の比透磁率=μyの調整方法について説明する。図7は、比透磁率μyが調整された磁性角筒体20(実モデル)の斜視図である。この磁性角筒体20は、切り欠き部31を備えて構成されている。この切り欠き部31は、磁性角筒体20の側部21、22の中で、y方向に沿った2つの側部22の各々に形成されたもので、y方向に直交する方向に沿って形成されている。
このように切り欠き部31を形成した場合の比透磁率の変化を、上述した均質化モデルを用いて算定した。図7に示す実モデルの寸法、切り欠き部31を形成する前の磁性角筒体20の比透磁率、及び比透磁率μx、μy、μzの算定条件は、図5に示す実モデルと同じであり、この実モデルを均質化した均質化モデル(図4と同様)について、比透磁率μx、μy、μzを算定した。ここでは、つなぎ長さWyを変化させた場合における、比透磁率μx、μy、μzを算定した。
この算定結果を、図8に示す。この結果から分かるように、つなぎ長さWyが小さくなる程(切り欠き部31の長さが大きくなる程)、比透磁率μyが小さくなることが確認された。また、つなぎ長さWyに関わらず、比透磁率μx、μzは変化しないことが確認された。これらのことから、磁性角筒体20の側部21、22の中で、y方向に沿った側部22に、y方向に直交する方向に沿って切り欠き部31を形成することにより、y方向の比透磁率=μyのみを調整することができ、切り欠き部31の長さを変えることでμyを所望の値に調整できる。
(z方向の比透磁率=μzの調整方法)
次に、z方向の比透磁率=μzの調整方法について説明する。図9は、比透磁率μzが調整された磁性角筒体20(実モデル)の斜視図である。この磁性角筒体20は、切り欠き部32を備えて構成されている。この切り欠き部32は、磁性角筒体20の4つの角部の各々に形成されたもので、z方向に直交する方向に沿って形成されている。
このように切り欠き部32を形成した場合の比透磁率の変化を、上述した均質化モデルを用いて算定した。図9に示す実モデルの寸法、切り欠き部32を形成する前の磁性角筒体20の比透磁率、及び比透磁率μx、μy、μzの算定条件は、図5に示す実モデルと同じであり、この実モデルを均質化した均質化モデル(図4と同様)について、比透磁率μx、μy、μzを算定した。ここでは、つなぎ長さWzを変化させた場合における、比透磁率μx、μy、μzを算定した。
この算定結果を、図10に示す。この結果から分かるように、つなぎ長さWzが小さくなる程(切り欠き部32の長さが大きくなる程)、比透磁率μzが小さくなることが確認された。また、つなぎ長さWzに関わらず、比透磁率μx、μyは変化しないことが確認された。これらのことから、磁性角筒体20の角部に、z方向に直交する方向に沿って切り欠き部32を形成することにより、z方向の比透磁率=μzのみを調整することができ、切り欠き部32の長さを変えることでμzを所望の値に調整できる。
(複数方向の比透磁率の調整方法)
次に、複数方向の比透磁率を同時に調整する方法について説明する。図11は、比透磁率μy、μzが調整された磁性角筒体20(実モデル)の斜視図である。この磁性角筒体20は、図7、9にそれぞれ示したものと同じ切り欠き部31、32を備えて構成されている。
このように切り欠き部31、32を形成した場合の比透磁率の変化を、均質化モデル(図4と同様)を用いて、上記比透磁率μy、μzをそれぞれ個別的に調整した場合と同様の方法で算定した。
この算定結果を、図12に示す。この結果から分かるように、切り欠き部31と切り欠き部32を同時に形成した場合においても、比透磁率μyの特性については、切り欠き部31のみを形成した場合と同じであり、比透磁率μzの特性については、切り欠き部32のみを形成した場合と同じであり、つなぎ長さWyは、比透磁率μx、μzに影響を与えず、つなぎ長さWzは、比透磁率μx、μyに影響を与えないことが確認された。これらのことから、磁性角筒体20に切り欠き部31と切り欠き部32を同時に形成した場合には、y方向の比透磁率=μyとz方向の比透磁率=μzのみを調整することができ、切り欠き部31、32の長さを変えることで比透磁率μy、μzを所望の値に調整できる。
また、結果の図示は省略するが、図5、7、9にそれぞれ示したものと同じ切り欠き部30〜32を同時に形成した場合においても、同様の結果が確認された。すなわち、この場合においても、比透磁率μxの特性については、切り欠き部30のみを形成した場合と同じであり、比透磁率μyの特性については、切り欠き部31のみを形成した場合と同じであり、比透磁率μzの特性については、切り欠き部32のみを形成した場合と同じであり、つなぎ長さWxは、比透磁率μy、μzに影響を与えず、つなぎ長さWyは、比透磁率μx、μzに影響を与えず、つなぎ長さWzは、比透磁率μx、μyに影響を与えないことが確認された。これらのことから、磁性角筒体20に切り欠き部30〜32を同時に形成した場合には、x方向の比透磁率=μx、y方向の比透磁率=μy、及びz方向の比透磁率=μzを調整することができ、切り欠き部30〜32の長さを変えることで比透磁率μx、μy、μzを所望の値に調整できる。
(比透磁率調整の原理)
以上のように切り欠き部30〜32を形成することにより、比透磁率を調整することができる原理を説明する。一例として、y方向に沿った2つの側部22の各々において、y方向に直交する方向に沿って形成された切り欠き部31が形成された磁性角筒体20の内部における磁束の流れについて説明する。図13〜15は、切り欠き部31の形成状態が異なる複数の磁性角筒体20と、これら複数の磁性角筒体20の各々内部における磁束の流れを模式的に示した図であり、図13は、切り欠き部31が形成されていない磁性角筒体20に関する図、図14は、切り欠き部31が形成された磁性角筒体20に関する図、図15は、つなぎ長さWyを残さずに全て切った場合の磁性角筒体20に関する図である。ここでは、図示下方から上方に向かう磁束が入射した状態を想定する。
図13(a)に示すように、切り欠き部31が形成されていない磁性角筒体20においては、図13(b)に示すように、磁束は、y方向に沿った側部22の全域を伝って流れる。これに対して、図14(a)に示すように、切り欠き部31が形成された磁性角筒体20においては、図14(b)に示すように、磁束は、y方向に沿った側部22のうち、空気があり磁気抵抗が高い切り欠き部31には流れず、磁気抵抗の低い磁性体部分(切り欠き部以外の部分)のみを伝って流れる。さらに、図15(a)に示すように、全て切った磁性角筒体20においては、図15(b)に示すように、磁束は、y方向に沿った側部22のうち、磁気抵抗の低い磁性体部分(切り欠き部以外の部分)がないため、空気があり磁気抵抗が高い切り欠き部を介して減衰して流れる。これらのことから、切り欠き部30〜32の幅が広い程、また、切り欠き部30〜32の長さが長い程、磁束が流れにくくなり、磁気抵抗が高くなるため、比透磁率を低減できることが判る。換言すれば、比透磁率の所望の低減量に合致した幅及び長さで、特定方向及び特定箇所に切り欠き部30〜32を形成することで、所望の方向の比透磁率を所望の低減量だけ低減できることが判る。
(磁性角筒体20の比透磁率調整方法)
次に、このような磁性角筒体20の比透磁率調整方法について説明する。磁性角筒体20は、例えば、従来と同様の方法により、磁性材料の板状体を折り曲げて形成する(準備工程)。そして、この折り曲げ前の段階において、あるいは、折り曲げ後の段階において、板状体や磁性角筒体20の側部21、22や角部23にカッターを押し当てることで、スリット状の切り欠き部(切り込み部)30〜32を入れる(切り欠き部形成工程)。ただし、切り欠き部30〜32の形成は、この他の方法で行うこともでき、例えば、磁性角筒体20を鋳造で形成する場合には、切り欠き部30〜32も鋳造時に形成することができる。あるいは、磁性材料の板状体を折り曲げる前の段階や、磁性角筒体20を形成した後の段階で、打ち抜き加工を施すことで、切り欠き部30〜32を形成してもよい。また、切り欠き部30〜32の形成後に焼鈍を行うことで、切り欠き時に生じた歪みによる磁気特性の劣化を改善し、磁性角筒体20の各部の比透磁率を均質化することが好ましい。
(磁気シールド体への磁性角筒体の適用例)
次に、磁気シールド体1に対して、上記の方法により比透磁率が調整された磁性角筒体20を適用する例について説明する。ここでは、MRI室からの磁気漏洩を低減するための磁気シールド体1であって、図1とは異なり、入室者の圧迫感を低減するために大開口を設けた磁気シールド体1を想定し、比透磁率が調整された磁性角筒体20を使用した効果を三次元磁界解析により確認した。
図16は、磁気シールド体1の解析モデルの縦断面図、図17は、磁気シールド体1の解析モデルの立面図である。ここで、磁気シールド体1の対称性を考慮して、1/4領域(x方向とy方向の中央線で4分割した場合における右上領域。以下同じ)のみを表している。磁場発生源としては、MRIの電磁石コイル(幅=奥行き=200mm×200mm、高さ=1200mm)起磁力=40000AT)を想定し、この電磁石コイルから2000mmだけ離れた場所に磁気シールド体1を設置することを想定した。このモデルにおいて、磁気シールド体1は、並設された複数の磁性角筒体20Aの中央に、大開口の磁性角筒体20Bを配置して構成されており、高さ=幅=7200mm、奥行き=300mmである。大開口の磁性角筒体20Bは、高さ=幅=2400mm、奥行き=300mmとして形成され、他の磁性角筒体20Aは、高さ=幅=奥行き=300mmとして形成されている。
この磁気シールド体1に対して磁気発生源(磁気コイル)から発生する磁界を印加した場合における漏洩磁束密度と磁束分布を、磁性角筒体20の比透磁率を調整しない場合と、磁性角筒体20A,20Bのx、y、z方向の比透磁率を調整した場合とで、それぞれ三次元磁界解析により求めて比較した。
図18には、比透磁率を調整しない場合の漏洩磁束密度、図19には、比透磁率を調整した場合の漏洩磁束密度を、それぞれ示す。これら図18、19では、磁気シールド体1の各領域の漏洩磁束密度が大きくなる程、色が濃くなるものとして表示している。これら図18、19から分かるように、比透磁率を調整した場合よりも、比透磁率を調整した場合の方が、大開口の磁性角筒体20Bに対応する領域に含まれる色の濃さが低減している(すなわち、漏洩磁束密度が低減している)ことが分かる。また、大開口の磁性角筒体20Bからの最大漏洩磁束密度は、図18では約13T、図19では約7Tであった。
さらに、図20には、比透磁率を調整しない場合の磁束分布の大きさと向き、図21には、比透磁率を調整した場合の磁束分布の大きさと向きを、それぞれ示す。これら図20、21では、磁束分布の大きさを矢印の長さ、磁束分布の向きを矢印の向きにより表示している。これら図20、21から分かるように、比透磁率を調整しない場合よりも、比透磁率を調整した場合の方が、磁気コイルから発生して磁気シールド体1に入射した磁束が、大開口の磁性角筒体20Bを避けるように流れているのが分かる。これらのことから、磁性角筒体20の磁気抵抗を調整することにより、大開口の磁性角筒体20Bにおける最大漏洩磁束密度を小さくできることが確認された。
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、側面又は角部に形成された切り欠き部30〜32であって、当該切り欠き部30〜32に直交する方向に沿った比透磁率を、当該切り欠き部30〜32がない同一形状の磁性角筒体20における同一方向の比透磁率より低減するための切り欠き部30〜32であり、当該比透磁率の所要の低減量に対応した長さ及び幅で形成された切り欠き部30〜32を備えるので、所要の方向(垂直方向、水平方向、及び奥行き方向の3方向の中から任意に選択した一つ以上の方向)の比透磁率を所要の低減量だけ低減させることができ、磁性角筒体20毎の各方向の比透磁率を容易に調整することができる。特に、切り欠き部30〜32を形成することで比透磁率を調整できるので、磁性角筒体20の相互の間隔、切り欠き部30〜32以外の形状、厚み等を一定にできるので、磁性角筒体20の製造や管理の労力の増加を招くことがなく、磁気シールド体の組み立ても容易であり、かつ、磁気シールド体1の意匠性も低下させることがない。
また、z方向に沿った比透磁率を低減するための切り欠き部32を設けたので、z方向の比透磁率を所要の低減量だけ低減させることができ、磁性角筒体20のz方向の比透磁率を容易に調整することができる。特に、このようにz方向の比透磁率を調整できるので、開口幅寸法に対して奥行寸法を狭めた(小さくした)磁性角筒体20を形成することができ、逆に、奥行寸法が同じである場合には開口幅寸法を広げた(大きくした)大開口の磁性角筒体20を使用することが可能となるので、磁気シールド体1の透視性を向上させ、磁気シールド体1の解放感を高めることが可能となる。
また、x方向に沿った比透磁率を低減するための切り欠き部30を設けたので、x方向の比透磁率を所要の低減量だけ低減させることができ、磁性角筒体20のx方向の比透磁率を容易に調整することができる。
また、y方向に沿った比透磁率を低減するための切り欠き部31を設けたので、y方向の比透磁率を所要の低減量だけ低減させることができ、磁性角筒体20のy方向の比透磁率を容易に調整することができる。
また、複数の磁性角筒体20の一部として、切り欠き部30〜32によって比透磁率が調整された磁性角筒体20を有するので、磁気を誘導したい方向に応じた比透磁率を有する磁性角筒体20を用いることで、磁気シールド体1の特定領域に誘導させる磁気を低減し、磁気シールド体1の特定領域から漏洩する磁気を低減することができる。
また、磁性角筒体20を準備する準備工程と、この準備工程にて準備した磁性角筒体20の側部21、22又は角部23に切り欠き部30〜32を形成する工程であって、当該切り欠き部30〜32に直交する方向に沿った比透磁率を、当該切り欠き部30〜32がない同一形状の磁性角筒体20における同一方向の比透磁率より低減するための切り欠き部30〜32であり、当該比透磁率の所要の低減量に対応した長さ及び幅で切り欠き部30〜32を形成する切り欠き部形成工程とを含むので、所要の方向の比透磁率を所要の低減量だけ低減させることができ、磁性角筒体20の各方向の比透磁率を容易に調整することができる。特に、切り欠き部30〜32を形成することで比透磁率を調整できるので、磁性角筒体20の相互の間隔、切り欠き部30〜32以外の形状、厚み等を一定にできるので、磁性角筒体20の製造や管理の労力の増加を招くことがなく、磁気シールド体1の意匠性も低下させることがない。
また、磁性角筒体20の形状や大きさを一定としたまま、カッターによる部分的な加工を施して切り欠き部30〜32を形成するだけで、各方向の比透磁率を調整できるので、比透磁率を容易に調整することができる。
また、均質化手法により比透磁率を算定しているので、実モデルのみを用いて比透磁率を算定する場合に比べて、比透磁率の算定が容易になり、磁気シールド体1や磁性角筒体20の設計が容易になる。
(実施の形態に対する変形例)
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
上記実施の形態で示した形状や数値は例示であり、各寸法値は任意に変更することができる。
磁気シールド体1の全体構成は、上記説明したものとは異なる構成としてもよい。例えば、上記実施の形態では、フレーム10に複数の磁性角筒体20を配置して構成された磁気シールド体1を示したが、例えば、このように複数の磁性角筒体20により構成された筒状遮蔽体と、磁性板状体により構成された板状遮蔽体とを、相互に接するように配置して磁気シールド体1を構成してもよい。
1 磁気シールド体
10 フレーム
11 貫通孔
20、20A、20B 磁性角筒体
21、22 側部
23 角部
30〜32 切り欠き部

Claims (7)

  1. 磁性材料により形成された中空の磁性角筒体であって、磁気シールド体を構成するための磁性角筒体において、
    側面又は角部に形成された切り欠き部であって、当該切り欠き部に直交する方向に沿った比透磁率を、当該切り欠き部がない同一形状の磁性角筒体における同一方向の比透磁率より低減するための切り欠き部であり、当該比透磁率の所要の低減量に対応した長さ及び幅で形成された切り欠き部を備える、
    磁性角筒体。
  2. 前記切り欠き部は、前記角部において、当該磁性角筒体の筒軸方向であるz方向に直交する方向に沿って形成されたものであって、前記z方向に沿った比透磁率を、当該切り欠き部がない同一形状の磁性角筒体における同一方向の比透磁率より低減するための切り欠き部である、
    請求項1に記載の磁性角筒体。
  3. 前記切り欠き部は、当該磁性角筒体の筒軸方向であるz方向に直交するx方向に沿った前記側部において、前記x方向に直交する方向に沿って形成されたものであって、前記x方向に沿った比透磁率を、当該切り欠き部がない同一形状の磁性角筒体における同一方向の比透磁率より低減するための切り欠き部である、
    請求項1又は2に記載の磁性角筒体。
  4. 前記切り欠き部は、当該磁性角筒体の筒軸方向であるz方向と当該z方向に直交するx方向とに直交するy方向に沿った前記側部において、前記y方向に直交する方向に沿って形成されたものであって、前記y方向に沿った比透磁率を、当該切り欠き部がない同一形状の磁性角筒体における同一方向の比透磁率より低減するための切り欠き部である、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の磁性角筒体。
  5. 支持手段を介して相互に間隔を空けて並設された複数の磁性角筒体を備える磁気シールド体であって、
    前記複数の磁性角筒体の一部として、前記請求項1から4のいずれか一項に記載の磁性角筒体を有する、
    磁気シールド体。
  6. 磁性材料により形成された中空の磁性角筒体であって、磁気シールド体を構成するための磁性角筒体の比透磁率を調整するための方法であって、
    前記磁性角筒体を準備する準備工程と、
    前記準備工程にて準備した前記磁性角筒体の側部又は角部に切り欠き部を形成する工程であって、当該切り欠き部に直交する方向に沿った比透磁率を、当該切り欠き部がない同一形状の磁性角筒体における同一方向の比透磁率より低減するための切り欠き部であり、当該比透磁率の所要の低減量に対応した長さ及び幅で切り欠き部を形成する切り欠き部形成工程と、
    を含む磁性角筒体の比透磁率調整方法。
  7. 前記準備工程において、磁性材料により形成された板状体を折り曲げることにより、前記磁性角筒体を形成し、
    前記切り欠き部形成工程において、前記板状体を折り曲げることにより形成された前記磁性角筒体の側部又は角部に、カッターでスリット状の前記切り欠き部を形成する、
    請求項6に記載の磁性角筒体の比透磁率調整方法。
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WO2014061082A1 (ja) * 2012-10-15 2014-04-24 富士通株式会社 受電装置、送電装置及び送受電システム

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