JP2009129851A - 横縞型燃料電池セルおよびセルスタック並びに燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のガス流路を内部に備えた電気絶縁性の多孔質支持基板の表面に、内側電極、固体電解質および外側電極が順次積層された発電素子13を複数並設し、前記発電素子13の内側電極と、該発電素子13に隣接する他の発電素子13の外側電極とが電気的に接続されている横縞型燃料電池セル10であって、前記ガス流路は、ガスの流れ方向が互いに異なる第1ガス流路12aおよび第2ガス流路からなる。
【選択図】図1
Description
また、多孔質支持基板11の内部には、隔壁51に隔てられて長手方向に貫通した複数のガス流路12が形成されている。このガス流路12に流れるガスは通常同一方向に向かって燃料電池セル10の一端から他端へと流れる。
前記横縞型燃料電池セル10において、固体電解質13bの酸素イオン伝導性が600℃以上で高くなるため、このような温度で空気極層13cに酸素を含むガスを流し、燃料極層13aに対しては前記ガス流路12に水素を含むガスを流すことにより、空気極層13cと燃料極層13aとの酸素濃度差が高くなり、空気極層13cと燃料極層13aとの間で電位差が発生する。
この電位差により、酸素イオンは、空気極層13cから固体電解質13bを介して燃料極層13aへ移動する。移動した酸素イオンが、燃料極層13aで水素と結合して水となり、同時に燃料極層13aで電子が発生する。
すなわち、空気極層13cでは、下記式(1)の電極反応を生じ、燃料極層13aでは、下記式(2)の電極反応を生じる。
そして、一方の発電素子13の燃料極層13aと他方の発電素子13の空気極層13cとを電気的に接続することにより、一方の発電素子13の燃料極層13aから他方の発電素子13の空気極層13cへの電子の移動が起こり、両極間で起電力が生じる。
このように、固体電解質形型燃料電池セルでは、酸素と水素を供給することにより、前記の反応を連続して起こし、起電力を生じさせて発電する(例えば、特許文献1、2参照)。
特に最も下流側の発電素子13のみの電位低下はセルスタック全体の電位と比較すると小さいためセルスタック全体をモニターしている場合では把握できず、破壊の発見が遅れるおそれがある。さらに、横縞型セルスタックは複数の燃料電池セル10を並べて、それらの燃料電池セル10の発電素子13を直列に接続するため、1つの燃料電池セル10の破壊はすべての燃料電池セルスタック・バンドルの停止に直結する。これらは1つの燃料電池セル10における複数の発電素子13に供給される燃料ガス濃度が異なることが原因となっている。
本発明の課題は、燃料電池セルの破壊を防止でき、信頼性のある燃料電池セルおよびセルスタック並びに燃料電池を提供することにある。
(1)複数のガス流路を内部に備えた電気絶縁性の長尺状の多孔質支持体の表面に、内側電極、固体電解質および外側電極が順次積層された発電素子を複数並設し、該発電素子の内側電極と、該発電素子に隣接する他の発電素子の外側電極とが電気的に接続されている横縞型燃料電池セルであって、前記複数のガス流路は、ガスの流れ方向が互いに異なる第1ガス流路および第2ガス流路からなることを特徴とする。
(2)前記第1ガス流路および前記第2ガス流路は、前記多孔質支持体の長手方向に形成されるとともに、前記多孔質支持体の幅方向に並設されており、かつガスの流れ方向が互いに反対方向である(1)に記載の横縞型燃料電池セル。
(3)前記多孔質支持体のうち前記第1ガス流路と前記第2ガス流路とを隔てる領域を形成する部分は、開気孔率が他の領域を形成する部分の開気孔率より小さいことを特徴とする(1)または(2)記載の横縞型燃料電池セル。
(4)前記第1ガス流路および前記第2ガス流路における上流側の端部近くには、前記多孔質支持体の厚さ方向にガス供給口用の貫通孔が穿設されており、前記第1ガス流路および前記第2ガス流路の下流側には各ガス排気口が設けられていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の横縞型燃料電池セル。
(5)前記(4)に記載の横縞型燃料電池セルを、前記第1ガス流路に設けられた前記ガス供給口同士および前記第2ガス流路に設けられた前記ガス供給口同士が筒状のスペーサ部材を介して接続するように複数重ね合わせたセルスタックであって、一方の重ね合わせ方向端に位置する前記燃料電池セルの前記スペーサ部材が設けられていない側の各ガス供給口はそれぞれ封止されており、他方の重ね合わせ方向端に位置する前記燃料電池セルの前記スペーサ部材が設けられていない側の各ガス供給口にはそれぞれガス供給管が接続されていることを特徴とするセルスタック。
(6)(1)または(2)記載の横縞型燃料電池セルを複数重ね合わせたセルスタックであって、前記各燃料電池セルの長手方向における両端に、ガスマニホールドがそれぞれ配設されており、一方の前記ガスマニホールドの内部空間は前記第1ガス流路に接続しており、他方の前記ガスマニホールドの内部空間は前記第2ガス流路に接続しており、前記一方のガスマニホールドの内部空間同士は筒状のスペーサ部材を介して接続し、前記他方のガスマニホールドの内部空間同士は筒状のスペーサ部材を介して接続し、一方の重ね合わせ方向端に位置する前記燃料電池セルのガスマニホールドにそれぞれガス供給管が接続されていることを特徴とするセルスタック。
(7)(1)〜(4)のいずれかに記載の横縞型燃料電池セルが、収納容器内に複数収納されていることを特徴とする燃料電池。
上記(3)によれば、ガスの流れ方向の異なる流路間の開気孔率を他の流路間の開気孔率に比べ小さくしたので、ガスの流れ方向の異なる流路間でのガスの拡散を抑制でき、同一流れ方向の各ガス流路間でのガス濃度を均一に保つことができる。
本発明のセルスタックは、(5)によれば、各燃料電池セルのガス流路を隣接する燃料電池セル間に設けた筒状のスペーサ部材を介して隣接する燃料電池セルのガス流路に連通させ、セルスタックの他方の端に位置する燃料電池セルのガス流路にガス供給管を接続させたので、セルスタックとは別個にガスマニホールド室を配設する必要がない。
(6)によれば、ガスマニホールドを各燃料電池セルの両端に配設したので、それぞれ安定したガスの供給を行えると共に、各燃料電池セルを確実に固定することができる。
本発明の燃料電池によれば、上記した横縞型燃料電池セルを用いるので、信頼性を確保した上で高い発電量を得ることができる。
尚、多孔質支持体内のガスの排気を多孔質支持体の両端から行うと共に、前記多孔質支持体の両端部に燃焼部を設けることにより、燃焼による温度差が抑制されるため燃料電池セルの破壊を防止でき、信頼性の高い燃料電池セルを提供できる。
図1において、燃料電池セル10は長手方向(後述のガスの流れ方向)に所定間隔をおいて、複数の発電素子部13を配列することにより構成されている。それぞれの発電素子部13は、燃料極層13a、固体電解質13bおよび空気極層13cを順次積層した層構造となっている(図8を参照)。前記燃料極層13aは発生した電流を流すための導電体層23を介して多孔質支持基板11の表面と接続してもよい。尚、本発明の燃料電池セルは、図8の燃料電池セルと、後述する燃料ガス流路を除いて実質的に同一構成とされている。
これにより多孔質支持基板11の長手方向における燃料ガス濃度は平均化され、燃料ガス濃度差を低減することができる。すなわち、燃料ガス濃度が平均化されていないと燃料最下流部の発電素子部のみが破壊されることがあるが、発電時はセル全体の電圧をモニターしているので一部の発電素子部が破壊されてもモニターできない可能性がある。これに対して、燃料ガス濃度を平均化しておけば、燃料枯れが起きた際に全体の電圧が下がるので、より早く検知できる。
このような構成とすることにより、セルスタックとは別個にガスマニホールド室を配設する必要がなく、コンパクトな設計が可能となる。
このように、セルスタックは、前記した燃料電池セル10が、セル間接続部材を介して互いに電気的に接続されていれば、燃料電池セル10を密に配置することができるため、発電量当たりのセルスタックの体積を小さくすることができる。そのため、小型で、熱効率の高いセルスタックを提供することができる。
(多孔質支持基板)
本発明に係る多孔質支持基板11は、Ni若しくはNi酸化物(NiO)と、希土類元素酸化物とからなっている。なお、希土類元素酸化物を構成する希土類元素としては、Y,La,Yb,Tm,Er,Ho,Dy,Gd,Sm,Prなどを例示することができるが、好ましくは、Y2O3やYb2O3、特にY2O3である。
この多孔質支持基板11の熱膨張係数は、通常、10.5〜11.0×10-6(1/K)程度である。
なお、前記多孔質支持基板11は、ガス流路12内の燃料ガスを燃料極層13aの表面まで導入可能でなければならず、このため、多孔質であることが必要である。一般に、その開気孔率は25%以上、特に30〜40%の範囲にあるのがよい。
本発明によれば、前記第1ガス流路12aおよび第2ガス流路12bのうちガスの流れ方向の異なる流路同士を隔てる隔壁51における開気孔率は他の流路間の隔壁51の開気孔率に比べて小さい。特には、前者の開気孔率は後者の開気孔率の0〜70%であるのがよい。この範囲内であれば、ガスの流れ方向の異なる流路間でのガスの拡散を抑制でき、各ガス流路12でのガス濃度を良好に保つことができる。
燃料極は、前記式(2)の電極反応を生じさせるものであり、本実施形態においては、固体電解質13b側の燃料極層13aと、多孔質支持基板11側の導電体層23との二層構造に形成されている。
前記固体電解質13b側の燃料極層13aは、それ自体公知の多孔質の導電性セラミックスから形成される。例えば、希土類元素が固溶しているZrO2(安定化ジルコニア)と、Niおよび/又はNi酸化物NiO(以下、Ni等と呼ぶ)とからなる。この希土類元素が固溶した安定化ジルコニアとしては、後述する固体電解質13bに使用されているものと同様のものを用いるのがよい。
さらに燃料極層13aの開気孔率は、15%以上、特に20〜40%の範囲にあるのがよい。
また、燃料極層13aの厚みは、5μm以上20μm未満の範囲にあることが望ましい。厚み20μm以上であれば、固体電解質13bとの熱膨張差に起因して発生する熱応力を吸収できないようになり、燃料極層13aの割れや剥離などを生じるおそれがある。
燃料極のうち、前記多孔質支持基板11側の導電体層23は、多孔質支持基板11と同様、Ni若しくはNi酸化物と、希土類元素酸化物との混合体である。
導電体層23は、電流の流れを損なわないように、導電性であることが必要であり、通常、400S/cm以上の導電率を有していることが望ましい。Ni等の含量が前記範囲を下回ると、電気抵抗値が上昇し、電気伝導度が損なわれてしまう。燃料極層13a、導電体層23は、Ni量がほぼ同じであり、電気抵抗の点から導電体層23は、燃料極層13aと同一視できる。
また、この導電体層23の厚みは、80μm以上であることが望ましい。80μm未満であれば、長手方向に電流が流れるときの抵抗が増加して、燃料電池セル10内部に無視できない電圧降下が発生してしまう。
以上のように、燃料極を固体電解質13b側の燃料極層13aと、多孔質支持基板11側の導電体層23と二層に形成した構造であれば、多孔質支持基板11側の導電体層23のNi換算でのNi量或いはNiO量を40〜70体積%の範囲内で調整することにより、発電素子部13との接合性を損なうことなく、その熱膨張係数を、後述する固体電解質13bの熱膨張係数に近づけることができ、例えば両者の熱膨張差を、2×10-6/℃未満とすることができる。したがって、燃料電池セル10の作製時、加熱時、冷却時において両者の熱膨張差に起因して発生する熱応力を小さくすることができるため、燃料極の割れや剥離などを抑制することができる。このため、燃料ガス(水素ガス)を流して発電を行う場合においても、多孔質支持基板11との熱膨張係数の整合性は安定に維持され、熱膨張差による割れを有効に回避することができる。
固体電解質13bは、希土類又はその酸化物を固溶させたZrO2からなる安定化ZrO2からなる緻密質なセラミックスで構成されている。
ここで、固溶させる希土類元素又はその酸化物としては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luなど、又は、これらの酸化物などが挙げられ、好ましくは、Y、Yb、又は、これらの酸化物が挙げられる。また、固体電解質13bは、8モル%のYが固溶している安定化ZrO2(8mol% Yttoria Stabilized Zirconia、以下、「8YSZ」という。)と熱膨張係数がほぼ等しいランタンガレート系(LaGaO3系)固体電解質を挙げることもできる。 また、固体電解質13bは、例えば、厚さが10〜100μmであり、例えば、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、好ましくは、95%以上の範囲に設定される。
このような固体電解質13bは、電極間の電子の橋渡しをする電解質としての機能を有すると同時に、燃料ガス又は酸素含有ガスのリーク(ガス透過)を防止するためにガス遮断性を有している。
空気極層13cは、導電性セラミックスから形成されている。導電性セラミックスとしては、例えば、ABO3型のペロブスカイト型酸化物が挙げられ、このようなペロブスカイト型酸化物としては、例えば、遷移金属型ペロブスカイト酸化物、好ましくは、LaMnO3系酸化物、LaFeO3系酸化物、LaCoO3系酸化物など、特にAサイトにLaを有する遷移金属型ペロブスカイト酸化物を挙げることができる。さらに好ましくは、600〜1000℃程度の比較的低温での電気伝導性が高いという観点から、LaCoO3系酸化物が挙げられる。
また、前記したペロブスカイト型酸化物において、AサイトにLaおよびSrが共存してもよく、また、BサイトにFe、CoおよびMnが共存してもよい。
このような空気極層13cは、前記した式(1)の電極反応を生ずることができる。
また、空気極層13cは、その開気孔率が、例えば、20%以上、好ましくは、30〜50%の範囲に設定される。開気孔率が前記した範囲内にあれば、空気極層13cが良好なガス透過性を有することができる。
また、空気極層13cは、その厚さが、例えば、30〜100μmの範囲に設定される。前記した範囲内にあれば、空気極層13cが良好な集電性を有することができる。
隣接する発電素子部13同士を直列に接続するために使用される素子間接続部材17は、一方の発電素子13の燃料極層13aと隣接する他方の発電素子13の空気極層13cとを電気的に接続するものであり、第1集電層17aと第2集電層17bとから構成され、これらは電気的に接続されている。
第1集電層17aは導電性セラミックスから形成されるが、燃料ガス(水素ガス)及び空気等の酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、かかる導電性セラミックスとしては、一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)が使用される。また、多孔質支持基板11内のガス流路12を通る燃料ガスと空気極層13cの外部を通る空気等の酸素含有ガスとのリークを防止するため、かかる導電性セラミックスは緻密質でなければならず、例えば93%以上、特に95%以上の相対密度(アルキメデス法)を有していることが好適である。なお、第1集電層17aの端面と、固体電解質13bの端面との間には、適当な接合層(例えばY2O3)を介在させることにより、シール性を向上させることもできる。
また、第1集電層17aとしては、金属層と、ガラスの入った金属ガラス層との二層構造としてもよい。金属層は、例えば、AgとNiの合金からなり、金属ガラス層は、Agとガラスからなる。前記金属ガラス層により、多孔質支持基板11内のガス流路12を通る燃料ガスの第2集電層へのリーク、および空気極層13cの外部を通る酸素含有ガスの前記金属層へのリークを有効に防止することができる。
一方、第2集電層17bは多孔質とされている。第2集電層17bとしては、LaCoO3系等の導電性セラミック(例えば空気極材料)、Ag−Pd等の貴金属から構成された多孔質とすることができる。第2集電材料の空気極層13cへの塗布量が少ない場合には第2集電材料が空気極層13cの気孔中に浸入し、層としては形成されない。特に、Ag−Pd等の貴金属はコスト低減のため塗布量が少ないため、空気極層13cは、空気極層材料とAg−Pd等の集電材料が混在して構成され、第2集電層は形成されない。一方、LaCoO3系等の導電性セラミックは、塗布量が多く、この場合には空気極層13c上に第2集電層が形成される。
セル間接続部材は、前記した一方の素子間接続部材17と前記他方の燃料電池セル10の空気極層13cとを電気的に接続するものであれば特に制限されず、例えば、耐熱性金属、導電性セラミックスなどから形成される。
また、セル間接続部材と、素子間接続部材17および空気極層13cとの接続部に、AgやPtなどの貴金属を含有するペーストなどの導電性接着剤を塗布することにより、セル間接続部材の接続信頼性を向上させることもできる。なお、燃料極層13aが、外部電極として形成されている場合には、セル間接続部材としては、好ましくは、Niフェルトなどから形成することができる。また、導電性接着剤としては、経済的な観点から、好ましくは、Ni金属を含有するペーストが挙げられる。
筒状のスペーサ部材22は、700〜1000℃程度の高熱にさらされるために、適宜のセラミックスまたは耐熱金属から形成されているのが好適である。また、各燃料電池セル10の表面とガスタイトに接合するための接合シール剤としては無機系セメントあるいはガラスが好ましい。
次に、前記した横縞型燃料電池セルの製造方法について、図4および図5を参照して、説明する。
まず、支持基板成形体41を作製する。支持基板成形体41の材料として、体積基準での平均粒径(D50)(以下、単に「平均粒径」という。)が0.1〜10.0μmのMgO粉末に、必要により熱膨張係数調整用又は接合強度向上用として、Ni粉末、NiO粉末、Y2O3粉末、又は、希土類元素安定化ジルコニア粉末(YSZ)などを所定の比率で配合して混合し混合後の熱膨張係数が固体電解質13bのそれとほぼ一致するように調整する。この混合粉末を、ポアー剤と、セルロース系有機バインダーと、水とからなる溶媒と混合し、押し出し成形して、図4に示すように、内部にガス流路42を有する中空の板状形状で、扁平状の支持基板成形体41を作製し、これを乾燥後、900℃〜1100℃にて仮焼処理する。なお、ガスの流れ方向が異なるガス流路12間の開気孔率を他の流路間の開気孔率よりも小さくするためには、仮焼体におけるガス流れが異なる境界のガス流路に、例えば支持基板材料を充填し、熱処理することにより、ガスの流れ方向が異なるガス流路12間の開気孔率を他の流路間の開気孔率よりも小さくすることができる。
次に、燃料極層テープ43aと同様にして、例えば、NiO粉末、Ni粉末と、Y2O3などの希土類元素酸化物とを混合し、これにポアー剤を添加し、アクリル系バインダーとトルエンとを混合してスラリーとし、ドクターブレード法にてスラリーを塗布して乾燥し、厚さ80μm以上の導電体層テープ43を作成する。この導電体層テープ43に前記燃料極層テープ43aを貼り付ける(図5(b))。当該貼り合わせたテープを発電素子13の形状にあわせて切断し、絶縁部を形成する部分を打ち抜く(図5(c))。
次に、この導電体層テープ43を貼り付けた状態で乾燥し、その後、900〜1100℃の温度範囲で仮焼する(図5(d))。そして、燃料極層43aの第1集電層47aを形成したい部分に、マスキングテープ48を貼り付ける(図5(e))。
この状態で、1150〜1200℃、2〜4時間仮焼する。この仮焼中に、マスキングテープ48とその上に塗布された固体電解質43bの層を除去することができる。(図5(f)
そして、第1集電層47aを形成したい部分にAg/Niからなる金属層のシートを貼り付け、さらにAgとガラスを含む金属ガラス層のシートを貼り付けて(図5(g))、その後、1000〜1200℃で熱処理を行う。
次いで、第2集電層47bを所定位置に塗布して(図5(i))、横縞型燃料電池セル10を得ることができる(図5(j))。
次に、互いに隣接する燃料電池セル10との間で各貫通孔20,24に筒状スペーサ部材22を嵌合し、接合シール剤にてガスタイトにシールすることで燃料電池セル10同士を固定する。そして、セルスタックの最上方に位置する燃料電池セル10の前記貫通孔20、24の上方側の開口20a、24aをセラミックからなるエンドキャップ26によりそれぞれガスタイトに封止する。
<他の実施形態>
本実施形態により、燃料電池セル10とマニホールド50を別個に製造できるため、効率よく製造できると共に、燃料電池セル10の両端部にマニホールド50が配設されるので、燃焼部による温度差の影響を一層低減することができ、燃料電池セル10の破壊を防止することができる。
<さらに他の実施形態>
本実施形態により、燃料電池セル10とマニホールド50を別個に製造でき、また簡単な構成とすることができるため、製造工程の効率化を図ることができる。
11 多孔質支持基板
12 ガス流路(第1ガス流路12a、第2ガス流路12b)
13 発電素子
13a 燃料極層
13b 固体電解質
13c 空気極層
17 素子間接続部材
20 貫通孔
20a 開口
21 セラミックキャップ
22 スペーサ部材
24 貫通孔
24a 開口
25 ガス供給管
26 エンドキャップ
50 マニホールド
Claims (7)
- 複数のガス流路を内部に備えた電気絶縁性の長尺状の多孔質支持体の表面に、内側電極、固体電解質および外側電極が順次積層された発電素子を複数並設し、該発電素子の内側電極と、該発電素子に隣接する他の発電素子の外側電極とが電気的に接続されている横縞型燃料電池セルであって、
前記複数のガス流路は、ガスの流れ方向が互いに異なる第1ガス流路および第2ガス流路からなることを特徴とする横縞型燃料電池セル。 - 前記第1ガス流路および前記第2ガス流路は、前記多孔質支持体の長手方向に形成されるとともに、前記多孔質支持体の幅方向に並設されており、かつガスの流れ方向が互いに反対方向であることを特徴とする請求項1記載の横縞型燃料電池セル。
- 前記多孔質支持体のうち前記第1ガス流路と前記第2ガス流路とを隔てる領域を形成する部分は、開気孔率が他の領域を形成する部分の開気孔率より小さいことを特徴とする請求項1または2記載の横縞型燃料電池セル。
- 前記第1ガス流路および前記第2ガス流路における上流側の端部近くには、前記多孔質支持体の厚さ方向にガス供給口用の貫通孔が穿設されており、前記第1ガス流路および前記第2ガス流路の下流側には各ガス排気口が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の横縞型燃料電池セル。
- 請求項4に記載の横縞型燃料電池セルを、前記第1ガス流路に設けられた前記ガス供給口同士および前記第2ガス流路に設けられた前記ガス供給口同士が筒状のスペーサ部材を介して接続するように複数重ね合わせたセルスタックであって、一方の重ね合わせ方向端に位置する前記燃料電池セルの前記スペーサ部材が設けられていない側の各ガス供給口はそれぞれ封止されており、他方の重ね合わせ方向端に位置する前記燃料電池セルの前記スペーサ部材が設けられていない側の各ガス供給口にはそれぞれガス供給管が接続されていることを特徴とするセルスタック。
- 請求項1または2記載の横縞型燃料電池セルを複数重ね合わせたセルスタックであって、前記各燃料電池セルの長手方向における両端に、ガスマニホールドがそれぞれ配設されており、一方の前記ガスマニホールドの内部空間は前記第1ガス流路に接続しており、他方の前記ガスマニホールドの内部空間は前記第2ガス流路に接続しており、前記一方のガスマニホールドの内部空間同士は筒状のスペーサ部材を介して接続し、前記他方のガスマニホールドの内部空間同士は筒状のスペーサ部材を介して接続し、一方の重ね合わせ方向端に位置する前記燃料電池セルのガスマニホールドにそれぞれガス供給管が接続されていることを特徴とするセルスタック。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の横縞型燃料電池セルが、収納容器内に複数収納されていることを特徴とする燃料電池。
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JP5179153B2 (ja) | 2013-04-10 |
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