JP5920880B2 - 積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造 - Google Patents

積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造 Download PDF

Info

Publication number
JP5920880B2
JP5920880B2 JP2012042796A JP2012042796A JP5920880B2 JP 5920880 B2 JP5920880 B2 JP 5920880B2 JP 2012042796 A JP2012042796 A JP 2012042796A JP 2012042796 A JP2012042796 A JP 2012042796A JP 5920880 B2 JP5920880 B2 JP 5920880B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
anode
solid oxide
cathode
oxide fuel
fuel cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012042796A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013178994A (ja
Inventor
啓子 久保
啓子 久保
喬 山田
喬 山田
仁 ▲高▼村
仁 ▲高▼村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku University NUC
TDK Corp
Original Assignee
Tohoku University NUC
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tohoku University NUC, TDK Corp filed Critical Tohoku University NUC
Priority to JP2012042796A priority Critical patent/JP5920880B2/ja
Publication of JP2013178994A publication Critical patent/JP2013178994A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5920880B2 publication Critical patent/JP5920880B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は、積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造に関する。
固体酸化物形燃料電池は他の方式の燃料電池に比べエネルギー効率が高く、また、触媒として貴金属を使用しなくとも動作可能であるので、低コストで製造できるといった利点がある。
その固体酸化物形燃料電池の構成の一例としては、電解質としての平板状の固体酸化物基板(以下、電解質としての固体酸化物を「固体電解質」ということがある)の一面にカソード(空気極)が、その反対面にアノード(燃料極)が形成され、固体酸化物基板、カソードおよびアノードによって、一つの固体酸化物形燃料電池セルが構成される。
通常、固体酸化物形燃料電池セル(以下、電解質を介してカソードよびアノードが対向する構成を「単セル」ということがある)1個当たりの発電量は小さいので、インターコネクタ等を用いて単セルを集積化することで発電装置が形成される。しかし、単セルを集積化することにより、アノード、カソードからの集電構造、ならびに、燃料ガス配管および酸素(もしくは空気等酸素含有ガス)配管の取り回しが複雑化し、また、小型化することが困難となるという問題がある。
集積化が容易な固体酸化物形燃料電池として、燃料ガスおよび酸素(もしくは空気等酸素含有ガス)を混合して、同時に供給する、単室型方式の構造を持つものが挙げられる。この構造をとることにより、セパレーターやガスシール材を必要とせず、ガス供給ラインの簡略化が出来、簡単なシステムでの発電が可能となる。例えば、特許文献1に記載の固体酸化物形燃料電池では、安定化ジルコニアやペロブスカイト型酸化物から成る固体電解質基板の同一表面上に、炭化水素の部分酸化反応に対して触媒能が異なる2種類の電極を交互に印刷し、単電池間をインターコネクタで接続することで、電池を直列化している。
また、固体電解質を介してアノードおよびカソードを配置した構造であり、固体電解質が隔壁になり、一方の電極室に燃料ガス、他方の電極室に酸素(もしくは空気等酸素含有ガス)を供給する二室型方式の構造をとる固体酸化物形燃料電池の基板上への集積化も可能である。たとえば特許文献2においては、固体電解質を介して内側電極と外側電極を積層した固体酸化物形燃料電池が、中空部および固体酸化物形燃料電池設置用の穴を設けた緻密な基板の同一平面上に複数個形成され、さらに、隣接した電池同士が導電性接続部材で直列及び並列に連結されている。この構造をとることで、たとえば中空部に水素を、電池の外部に空気を供給することで、複数の電池に同時にガスを供給することが可能となる。
さらに、二室型の固体酸化物形燃料電池を容易に集積する別の構造としては、特許文献3に記載の、複数のアノードと複数のカソードとが、固体電解質を介して交互に積層されて一体化されたチップ形状を持つ固体酸化物形燃料電池(以下、この構造を持つ固体酸化物形燃料電池を積層型固体酸化物形燃料電池と呼ぶ)を、図1のように基板に配置する構造がある。たとえば、基板100の一面に燃料ガスを、もう一面に空気を導入することにより、個々の積層型固体酸化物形燃料電池1に個別に燃料ガスや空気を供給する必要はなく、容易に高集積化が可能となる。また積層型固体酸化物形燃料電池の発電に寄与する面積(以下、「電極有効面積」という)は、アノード及びカソードの積層枚数を増すにつれ増加していくため、高発電量が期待できる。
特開平8−264195号公報 特許第2599810号公報 特開2011−34688号公報
特許文献1に係る単室型の固体酸化物形燃料電池においては、電気的な接続は容易になるが、燃料ガスと酸素(もしくは空気等酸素含有ガス)の混合ガスを用いるために、発電効率は二室型のものに比べて低いものとなる。また1000℃程度の高温下での使用となるため、混合ガスの爆発の危険性も伴うという問題がある。
また、特許文献2に係る二室型の固体酸化物形燃料電池においては、まず中空部および固体酸化物形燃料電池設置用の穴を設けた基板を作製し、さらに複数の固体酸化物形燃料電池を基板の同一平面上に配置し、さらに固体酸化物形燃料電池同士を導電性部材で接続するという、複雑な製造工程を経るため、コスト増につながるという問題がある。また、装置の面積は、おおよそ電極有効面積であり、単セル面積の総和に略等しくなる。このため、基板平面に固体酸化物形燃料電池を並べて配置することで集積化はできるが発電量としては効果が表れない。
これに対し、特許文献3に係る積層型固体酸化物形燃料電池は、複数のアノードと複数のカソードとを固体電解質を介して交互に積層することにより、燃料ガスおよび酸素を供給する部分の面積(ガス供給面積)以上の電極有効面積が得られる。このため、高発電量が期待でき、かつ簡便な方法での集積化が可能である。しかし、特許文献3においては、積層型固体酸化物形燃料電池へのガスの供給方法が記載されているのみであり、電気的な接続手法は全く記載されていない。特に複数の積層型固体酸化物形燃料電池を直列に接続する方法に関しては特許文献3においては想定されていない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の積層型固体酸化物形燃料電池を集積化し、簡便に電気的に接続する実装構造を提供するものである。
本発明は、積層型固体酸化物形燃料電池と基板とを備える積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造であって、積層型固体酸化物形燃料電池は、内部に複数のアノードと複数のカソードを固体電解質を介して積層した直方体形状を成すチップ状素子であり、アノードは、それぞれチップ状素子の対向する一対の面の一方に露出し、アノード側端子電極と電気的に接続し、カソードは、それぞれチップ状素子の対向する一対の面の他方に露出し、カソード側端子電極と電気的に接続しており、基板は、積層型固体酸化物形燃料電池を保持する差込孔を有し、基板の一方の主面には、アノード側端子電極と接続する配線を有しており、および基板の他方の主面には、カソード側端子電極と接続する配線を有していることを特徴とする。
基板の差込孔に、積層型固体酸化物燃料電池を差し込むことで複数の積層型固体酸化物燃料電池を集積化することが可能となる。また、基板の両主面には、導体ペーストで導通ルートを形成すること、あるいは基板全面をメタライズすることにより、配線が形成されており、複数の積層型固体酸化物燃料電池同士を並列に接続することが可能となる。また基板の両主面間に、ビアフィルやリード線等で導通ルートを形成することにより、複数の積層型固体酸化物燃料電池同士を直列に接続することが可能となる。
簡便に複数の積層型固体酸化物形燃料電池を並列および直列に接続することが可能となり、高出力が得られるようになる。
従来の積層型固体酸化物形燃料電池の基板実装構造を示す図である。 燃料電池の動作原理を示す概略図である。 本発明に係る実施形態で用いる積層型固体酸化物形燃料電池の断面図である。 本発明に係る実施形態で用いる積層型固体酸化物形燃料電池の外観図である。 本発明の実施形態1に係る実装構造を示す概略図である。 本発明の実施形態2に係る実装構造を示す概略図である。 本発明の実施形態3に係る実装構造を示す概略図である。 本発明の実施形態4に係る実装構造を示す概略図である。 本発明の実施形態5に係る実装構造を示す概略図である。 本発明の実施形態5を利用して炎で発電を行う際の概略図である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記の実施形態における構成要素は適宜組み合わせることが可能である。図面はあくまでも例示を目的としたものであって、必ずしも実寸法を示すものではない。図面をより明瞭にする目的またはある部分を目立たせる目的で、他の部分とは相対的に誇張された部分もあり得る。また、実施形態と図面においてそれぞれ対応する部材には同一の符号を付してある。
図2は、燃料電池の動作原理を示す概略図である。図2を用いて、燃料電池FCの一般的な動作原理を説明する。本実施形態で対象とする燃料電池FCは固体酸化物形燃料電池である。燃料電池FCは、燃料ガスと空気等酸素含有ガス中の酸素を電気化学的に反応させ、燃料ガスのもつ化学的なエネルギーを直接電気エネルギーに変換する発電装置である。例えば、燃料ガスとして水素Hを用いた場合には、カソードCaでは、空気中の酸素(O)が外部回路から電子eを受け取り、酸素イオンO2−となって、固体酸化物からなる電解質Eを伝ってアノードAnへ移動する。アノードAnでは、酸素イオンO2−と外部から供給された燃料ガス(水素H)とが反応して、2個の電子eを外部回路へ送り出す。この電子eは、負荷を通って反対側のカソードCaに流れる。そして水素Hは、酸素イオンO2−と結合し、水HOとなる。これを化学式で示せば、
カソード:(1/2)O+2e→O2−・・・・・(1)
アノード:O2−+H→HO+2e・・・・・(2)
全体:(1/2)O+H→HO・・・・・(3)
となる。電子eの流れる方向と反対方向に電流Iが流れる。となる。なお、固体酸化物形燃料電池では、H以外(例えば、CO)も燃料として使用できる。
燃料電池FCから電力を十分に取り出すためには、電極有効面積の増加および固体電解質の薄層化が必要である。本実施形態における燃料電池FCは、電極(アノードAnおよびカソードCa)と固体電解質Eとを交互に積層して一体とした積層構造をとることにより、単位体積あたりの電極有効面積を増加させ、発電効率を向上させている。このように積層構造をとる積層型固体酸化物形燃料電池の詳細な構造について以下に述べる。
<積層型固体酸化物形燃料電池>
図3(a)は、本実施形態に用いる積層型固体酸化物形燃料電池(以下、「SOFC」と示す)の断面図である。図3(b)は、本実施形態で用いるSOFCの外観図である。図3(a)に示すように、SOFC1は、複数のアノード2と、複数のカソード3と、各アノード2と各カソード3との間に配置される固体電解質4と、アノード2またはカソード3を介して隣接する固体電解質4同士の間に配置される仕切り部5aおよび仕切り部5cとからなり、一体に構成されてSOFC1となる。SOFC1は、各アノード2および各カソード3が固体電解質4を介して交互に対向して積層されている。各アノード2および各カソード3の一部は、両者が重ならない非重なり部6を有して配置されている。また、図3(b)に示すように、SOFC1は、略直方体形状に形成されており、各アノード2は前記略直方体の対向する端面の一方に引き出するように形成されており、各カソード3は前記略直方体の対向する端面に他方(すなわち各アノード2の引き出されている端面と対向する端面)に引き出すように形成されている。さらに、SOFC1は、複数のアノード2の引き出された各端部と共通に電気的に接続されるアノード側端子電極11および複数のカソード3の引き出された各端部と共通に電気的に接続されるカソード側端子電極12とを有する。以下、図3(b)に示すように、SOFC1は、アノード側端子電極11からカソード側端子電極12までの端面方向の距離を長さL、積層方向の距離を厚みT、端面方向並びに積層方向と直行する方向の距離を幅Wとすることがある。
SOFC1は、一つのアノード2と一つのカソード3と両者の間の固体電解質4との組み合わせ(以下、「発電単位という」)で電力を発生する。図3(a)に示すように、本実施形態に用いるSOFC1においては、複数のアノード2と、複数のカソード3と、アノード2とカソード3との間に配置される固体電解質4とが一体に構成されて、アノード2およびカソード3が固体電解質4を介して交互に対向して積層されている。これにより複数の発電単位が積み重ねられた構造となる。なお、SOFC1全体は、アノード側端子電極11で電気的に接続された複数のアノード2、およびカソード側端子電極12で電気的に接続された複数のカソード3がそれぞれ並列に接続したものである。これにより、一対の端子電極、すなわち、アノード側端子電極11とカソード側端子電極12とによって、アノード2とカソード3が一体に構成された燃料電池とみなすことができる。また、複数の発電単位間それぞれには、いわゆるインターコネクタに相当するものは有していない。このため、SOFC1は、一対の端子電極(アノードとカソード)が固体電解質上に形成されている一般的な燃料電池でいう単セル構造と見なすことができる。
SOFC1を動作させるには、燃料ガスを複数のアノード2に、酸素を複数のカソード3にそれぞれ供給する供給系統が必要である。本実施形態のSOFC1では、複数のアノード2がアノード側端子電極11に、複数のカソード3がアノード側端子電極11とは反対側に配置されるカソード側端子電極12に接続されている。これによって、燃料ガスの供給系統と酸素の供給系統とを簡便に形成することができる。
<固体電解質>
本実施形態に用いるSOFC1において、固体電解質4の材料は、Zr0.810.192−δに示すようなイットリアドープジルコニア(YSZ)を用いる。固体電解質4の材料としてはYSZ等の安定化ジルコニア系のほか、Ce0.85Sm0.152−δに示すようなサマリアドープセリア(SDC)等のセリア系、La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.23−δに示すようなLSGM等のペロブスカイト型酸化物系の材料を用いることができる。なお、固体電解質4の材料は、上述したものに限定されるものではなく、固体酸化物形燃料電池の固体電解質として適用可能な材料全般を使用できる。
<アノードおよびカソード>
本実施形態に用いるSOFC1において、複数のアノード2および複数のカソード3の材料は、白金(Pt)で構成された多孔質材料を用いる。各アノード2は燃料ガスを、各カソード3は酸素をそれぞれの内部に行き渡らせる必要があるため、多孔質体や気体通路を持つ構造である必要がある。また、各アノード2および各カソード3を多孔質体とするために、アノード用およびカソード用ペーストに電子伝導性を示す材料のほかに空隙形成剤を含むと良い。空隙形成剤は、例えばアクリル系のポリマー等、焼成時に消失するものを用いることができる。このように、焼成時に消失する空隙形成剤を用いることにより、多孔質体のアノードやカソードを簡単に作製できる。尚、アノード2とカソード3とは異なる材料であってもよい。各アノード2は、Ptの他、高温還元雰囲気で電子伝導性を示す材料が使用できる。このようなアノード2の材料としては、ニッケル(Ni)、上述したYSZやSDC等の固体電解質とNiとのサーメット等がある。各カソード3は、Ptの他、高温酸化雰囲気で電子伝導性を示すものが使用できる。このようなカソード3の材料としては、例えば、CoFe、MnFe、NiFe、BSCF等がある。ここで、BSCFとは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、コバルト(Co)、鉄(Fe)の酸化物である。なお、アノード2およびカソード3の材料は、上述したものに限定されるものではなく、固体酸化物形燃料電池のアノードおよびカソードとして適用可能な材料全般を使用することができる。
<アノード側端子電極及びカソード側端子電極>
本実施形態に用いるSOFC1において図3(a)に示すように、アノード側端子電極11は、複数のアノード2を電気的に接続しており、カソード側端子電極12は複数のカソード3を電気的に接続している。これにより複数のアノード2および複数のカソード3はそれぞれ並列に接続したものとみなすことができる。また、アノード側端子電極11およびカソード側端子電極12は、Pt多孔質体で構成される。これは、アノード側端子電極11側から供給された燃料ガスを各アノード2の内部に、カソード側端子電極12側から供給された酸素を各カソード3の内部にそれぞれ行き渡らせるためである。また、アノード側端子電極11およびカソード側端子電極12を多孔質体とするために、アノード側端子電極用およびカソード側端子電極用ペーストは導電性粉末粒子のほかに空隙形成剤を含むと良い。空隙形成剤は、例えばアクリル系のポリマー等、焼成時に消失するものを用いることができる。このように、焼付け時に消失する空隙形成剤を用いることにより、多孔質体のアノード側端子電極11およびカソード側端子電極12を簡単に作製できる。
アノード側端子電極11に用いることが出来る材料としては、アノード2に使用できる材料のほか、貴金属(例えば、Pt、Au、Ag)が好適である。また、カソード側端子電極12に用いることが出来る材料としては、カソード3に使用できる材料のほか、貴金属(例えば、Pt、Au、Ag)が好適である。
<仕切り部>
アノード2とカソード3との間で電流や気体(燃料ガスや酸素)の漏れが発生すると、SOFC1の単位体積あたりの発電効率が低下する。これを防止するため、図3(a)に示すように、アノード2とカソード3との間にある固体電解質4および隣接する固体電解質4同士の間に配置される仕切り部5a、5cは、電流を絶縁し、ガスタイト(気体を透過させない構造)であることが好ましい。
固体電解質4と仕切り部5a、5cとを同じ材料とすると、SOFC1の製造が容易になるという利点がある。また、固体電解質4と仕切り部5a、5cとは異なる材料で構成してもよい。より絶縁やガスタイトを確保しやすい材料を用いることで、電流やガス漏れによるSOFC1の性能低下を効果的に抑制することも可能である。
仕切り部5a、5cに用いることができる材料としては、固体電解質4の材料以外では、例えば、ジルコニア(二酸化ジルコニウム、ZrO)、アルミナ(酸化アルミニウム、Al)、シリカ(二酸化ケイ素、SiO)、マグネシア(酸化マグネシウム、MgO)を用いることができる。特に、仕切り部5a、5cは、固体電解質4よりも電子伝導度が低い材料で構成することが発電効率を向上させる観点から好ましく、このような材料としては、ジルコニアが好ましい。
<各部材の大きさ>
固体電解質4の厚みは、できる限り薄い方が好ましく、1μm〜50μm、より好ましくは1μm〜20μmとすることができる。また、アノード2の厚みおよびカソード3の厚みは、燃料ガスや酸素を通過させる必要があることから、あまり薄くすることができないため、10μm〜100μm程度とすることができる。さらに、仕切り部5a、5cは、アノード2の厚みおよびカソード3の厚みと同等になるようにすればよい。
SOFC1において、一つの発電単位において電極有効面積は、非重なり部6を除くアノード2とカソード3とが重なり合う部分の面積である。SOFC1は、この発電単位を複数積層した構造であり、モノリシックな構造となっている。このような構造によって、SOFC1全体の電極有効面積を大きくすることができる。すなわち、SOFC1は、同じ体積であれば、平板型や円筒型等のSOFCと比較して、高い電力密度を実現できる。
SOFC1は、チップ状素子の形状として外形寸法を例えば長さLを4.5mm、幅Wを3.2mm、厚みTを1.0mmとすることが出来る。そして、チップ状素子の内部の、アノード2およびカソード3の枚数をそれぞれ2枚とすることが出来る。この形状をとる場合、アノード2とカソード3の間の固体電解質4の枚数は3枚となるため、本実施形態における発電単位は3組とみなすことが出来る。
<強度>
また、SOFC1は、複数のアノード2と、複数のカソード3と、複数の固体電解質4との層が一体となってモノリシックな構造となり全体の強度を受け持つので、変形に対して強い構造となる。このため、固体電解質4を薄くしたとしても、複数のアノード2および複数のカソード3により、SOFC1全体の強度を確保できる。このように、SOFC1は、固体電解質4を薄くすることが可能であるため、より大きな電力を取り出しやすい構造であるといえる。
また、アノード2およびカソード3を多孔質体とした場合には、加熱時において、空隙が電子伝導性材料の熱膨張を吸収し、アノード2、または、カソード3と、固体電解質4との間に働く応力を緩和する。ゆえに、アノード2およびカソード3を多孔質体とした場合、アノード2と、カソード3と、固体電解質4とのそれぞれの材料の線膨張係数がある程度異なっていても、アノード2、カソード3、固体電解質4の割れ等を抑制できる。
さらに、SOFC1は、アノード2と、カソード3と、固体電解質4とをそれぞれ複数層積層した構造なので、加熱時において、SOFC1は、全体的には均一に熱膨張し、局所的に大きな変形が発生しにくくなる。このような構造によって、SOFC1は、熱膨張を均一化できるので、全体の反りを抑制できる。これらの作用によって、SOFC1は、耐熱衝撃性に優れる。このように、SOFC1は、耐熱衝撃性に優れるため、急な温度上昇に曝すことが可能となり、迅速な起動が可能になるという利点が得られる。
<実施形態1>
図4は本発明の実施形態1に係るSOFCの実装構造を示す概略図であり、複数のSOFC1を並列に接続する構造である。基板200にはSOFC1を差し込むことが出来るよう、複数の差込孔220が開けられている。なお、本実施形態においては、酸素含有ガスとして空気を使用する。各々のSOFC1は、基板200の一方の面側である燃料ガス供給面201にアノード側端子電極11が配置され、その反対面側である空気供給面211にカソード側端子電極12が配置されるように各々の差込孔220に差し込まれている。基板200のアノード側端子電極11側の燃料ガス供給面201へ燃料ガスFが、カソード側端子電極12側の空気供給面211へ空気Aが供給される。
基板200においては、燃料供給面201と空気供給面211との間が電気的に絶縁していなくてはならない。そのため基板200の材料としてはセラミックスを用いることが好しい。あるいは、金属など導電性の材料を絶縁性の材料でコーティングしたものも利用できる。セラミックスとしては、ジルコニア、アルミナ、マグネシア等、融点の高いものが特に好適である。また金属としては、融点が高いものが好ましく、タングステンやモリブデンやニッケル等が好適である。これらの金属に先に示したジルコニア、アルミナ、マグネシア等をコーティング、あるいは金属の表面に酸化処理を施し、皮膜を形成することで、絶縁性を得たものが、基板200として好適である。
各々の差込孔220は、基板200を貫通するようにドリル等で小型の孔を開け、その後やすり等で所望の形状に成形すればよい。また、NC旋盤等ではじめから所望の形状に差込孔220を切り出してもよい。またセラミックスを用いる場合には基板200の材料を原料として作製した厚さ数10μm程度のグリーンシートに、打ち抜き等で孔を形成し、孔の位置を合わせながらグリーンシートを多数積層して焼成することで、差込孔220が予め備わった基板200を形成してもよい。さらに、差込孔220についても絶縁性が必要であるので、基板200に金属材料を用いる場合には、基板表面と同様、差込孔220の内周壁面にもコーティングや酸化処理を行い、絶縁性を確保する。
また基板200は、使用時の熱衝撃でも壊れないよう、またSOFC1を破壊しないよう、耐熱衝撃性に優れた材料が望ましく、多孔質体から成ることが望ましい。しかし、同時に基板200は、燃料ガスFと空気Aを遮断する必要があるため、緻密性も必要である。そこで基板200は閉気孔を有する多孔質体の基板からなることが好適である。
燃料ガス供給面201側には、アノード側ライン202およびアノード側ライン202に接続するように、各々の差込孔220開口部周囲にアノード側ランド203を導体パターンによって形成する。アノード側ライン202およびアノード側ランド203は、導電性の材料を使用して形成される。燃料ガス供給面201側は燃料ガスFが供給されるため、具体的にはPt、Au、Agなどの貴金属のほか、アノード側端子電極11の材料に用いられるものが使用可能である。ただし、アノード側端子電極11とは異なり、通気性は不要であるので、多孔質体である必要は無い。導体パターンの形成方法としては、上記材料の導体ペーストを作製して所定のパターン形状に塗布する方法が挙げられる。導体ペーストは、導電性粉末粒子に溶剤およびバインダーを添加して作製する。溶剤およびバインダーの含有量には制限はないが、例えば、溶剤の含有量は10質量%以上50質量%以下、バインダーの含有量は1質量%以上10質量%以下程度の範囲で設定することができる。導体ペースト塗布後は所定の温度および雰囲気で焼付けを行う。導体ペースト中には、必要に応じて分散剤等を10質量%以下の範囲で含有させてもよい。
また、SOFC1とアノード側ランド203は電気的に接続されている必要がある。SOFC1を基板200の差込孔220に差し込んだ後、アノード側ランド203とアノード側端子電極11の両方にまたがるようにして、導体ペーストを塗布し、所定の温度で焼き付けることにより、アノード側接着部204が形成される。アノード側接着部204の材料としてはアノード側ライン202およびアノード側ランド203と同様の材料が使用できる。アノード側ライン202およびアノード側ランド203とアノード側接着部204は同じ材料であれば、同時に焼成してもよい。また、アノード側接着部204は、アノード側ランド203とアノード側端子電極11の両方にまたがるようにして形成されることによって、SOFC1と差込孔220との隙間を埋めるガスシール材としての機能を備える。アノード側ライン203からさらに外部へ接続するためにアノード側リード線205が接続される。
一方、空気供給面211側にも同様に、カソード側ライン212およびカソード側ランド213を導体パターンによって形成する。カソード側ライン212およびカソード側ランド213においても、導電性の材料を使用して形成される。空気供給面211側は空気Aが供給されるため、具体的にはPt、Au、Agなどの貴金属のほか、カソード側端子電極12の材料に用いられるものが使用可能である。カソード側ライン212およびカソード側ランド213においても通気性は不要であり、アノード側ライン202およびアノード側ランド203と同様の手法で形成される。さらに、カソード側接着部214は、アノード側接着部204と同様の手法で形成される。また、カソード側リード線215は、アノード側リード線205と同様の手法で接続される。
以上のように、実施形態1の形状を取ることにより、個々のSOFC1に個別に燃料ガスFあるいは空気Aを供給する必要無く、燃料ガス供給側と空気供給側とが簡単かつ確実に分離でき、さらに、複数のSOFC1が電気的に並列に接続され、アノード側リード線205およびカソード側リード線215によって外部回路に接続することで、容易に電力を外部に取り出すことが可能となる。
<実施形態2>
図5は本発明の実施形態2に係るSOFCの実装構造を示す概略図であり、複数のSOFC1を並列に接続する構造である。実施形態1と異なりアノード側ライン203などの導体パターンに変えて、燃料ガス供給面201の全面に、導電性を持つアノード側導電層206が形成されているメタライズ基板である。アノード側導電層206の形成方法としては、導体ペーストを塗布する方法や、あるいはスパッタリングなど薄膜を形成する方法を適用することができる。アノード側導電層206の材料としては実施形態1のアノード側ライン202、アノード側ランド203と同様の材料を使用することができる。また、空気供給面211側にも同様の構成や方法により、カソード側導電層216を形成する。カソード側導電層216の材料としては実施形態1のカソード側ライン212、カソード側ランド213と同様の材料を使用することができる。
さらに、実施形態1と同様の手法で、SOFC1を差込孔220に取り付け、アノード側接着部204およびカソード側接着部214を形成し、アノード側リード線205およびカソード側リード線215を接続する。電気回路としては、複数のSOFC1が並列に接続された回路となり、アノード側リード線205およびカソード側リード線215によって外部回路に接続することで、並列に接続されたSOFC1の電力を外部に取り出すことが可能となる。以上説明した以外は実施形態1と同様の構成を備えている。
<実施形態3>
図6は本発明の実施形態3に係るSOFCの実装構造を示す概略図であり、複数のSOFC1を直列に接続する構造である。実施形態1と同様に基板200上に導体パターンを形成するものであるが、燃料ガス供給面201から空気供給面211への貫通孔221を複数開けている。各々の貫通孔221の中にビアフィル222を形成している。電気的な配線方法としては、1つのSOFC1のアノード側端子電極11から隣接するSOFC1のカソード側端子電極12に直列に接続される構造をとる。具体的には、ある1つのビアフィル222の一端とアノード側ランド203とを接続するようにアノード側ライン202’を形成する。またこのビアフィル222の他端と隣接するSOFC1のカソード側ランド213とを接続するようにカソード側ライン212’を形成する。さらに電気的に最端部にあるSOFC1のカソード側ランド213にカソード側リード線215を接続する。あるいは、実施形態1と同様に電気的に最端部にあるSOFC1のカソード側ランド213に接続するカソード側ライン212’(図示せず)を形成し、このカソード側ライン212’にカソード側リード線215を接続してもよい。さらに電気的に反対側の最端部にあるビアフィル222とアノード側リード線215’を空気供給面211側から接続する。あるいは、電気的に反対側の最端部にあるビアフィル222に接続するアノード側ライン202’(図示せず)を空気供給面211側に形成し、このアノード側ライン202’にアノード側リード線215’を接続してもよい。ビアフィル222の材料としては、燃料ガスのある還元雰囲気にも、空気のある酸化雰囲気にも両方に対して劣化することが少ない材料が好ましく、Pt、Au、Agなどの貴金属が好適である。貫通孔221については絶縁性が必要であるので、基板200に金属材料を用いた場合は、基板表面と同様、貫通孔221の壁面にもコーティングや酸化処理を行い、絶縁性を確保する必要がある。また、基板200は、燃料ガスFと空気Aとを分離する機能を備える必要があるため貫通孔221にビアフィル222を形成することによって、ガスシール材としての機能を備える。そのたためにビアフィル222は多孔質体である必要は無い。アノード側ランド203などの導体パターンの材料がビアフィル222は同じ材料であれば、同時に焼成してもよい。以上説明した以外は実施形態1と同様の構成を備えている。
<実施形態4>
図7は本発明の実施形態4に係るSOFCの実装構造を示す概略図であり、複数のSOFC1を直列に接続する構造である。実施形態3と異なりビアフィル222に変えて、導電性のワイヤ223を備える。各ワイヤ223は、それぞれ貫通孔221の中を通り1つのSOFC1のアノード側端子電極11に接続するアノード側ランド203から隣接するSOFC1のカソード側端子電極12に接続するカソード側ランド213へと直列に接続される構造をとる。さらに電気的に最端部にあるSOFC1のカソード側ランド213にカソード側リード線215を接続する。また電気的に反対側の最端部にあるSOFC1のアノード側ランド203に接続するアノード側リード線215’は貫通孔221の中を通り空気供給面211側へ直接引き出して外部回路へ接続する。ワイヤ223の材料としては燃料ガスのある還元雰囲気にも、空気のある酸化雰囲気にも両方に対して劣化することが少ない材料が好ましく、Pt、Au、Agなどの貴金属が好適である。また、基板200は、燃料ガスFと空気Aとを分離する機能を備える必要があるため貫通孔221とワイヤ223との隙間を埋める耐熱性のガスシール材を施すと良い。以上説明した以外は実施形態3と同様の構成を備えている。
<実施形態5>
図8は本発明の実施形態5に係るSOFCの実装構造を示す概略図であり、実施形態3と同様、複数のSOFC1を直列に接続した実施形態である。実施形態3と異なる部分は、基板200’は円弧を描くように曲げられた形状をとることである。このように本発明の実施形態の実装構造に使用する基板は平板ではなく、曲面を持つ形状であってもかまわない。これ以外は実施形態3と同様の構成を備えている。円弧状の基板200’の内側面が燃料ガス供給面201となるような形状とすることで、図9のようにガスコンロなどの火口に円弧状に配列された複数の炎FLに近接もしくは接するように複数のSOFC1を配置することが可能となる。これにより発電効率を高めることが可能となる。
まず、SOFC1を作製した。SOFC1の固体電解質材料4としてはZr0.810.192−δを、アノード2およびカソード3には多孔質Ptを選択した。アノード2およびカソード3が固体電解質を介して対向するようにそれぞれ2枚積層し、アノード電極とカソード電極とが重なる電極有効面積は30mmとした。
固体電解質4の材料としてのZr0.810.192−δ粉末:51質量%と、バインダーとしてのブチラール:5質量%と、可塑剤としてのベンジルブチルフタレート(BBP):3質量%と、溶媒としてのアルコール:41質量%とをボールミルで混合・分散し、固体電解質用スラリーを得た。次いで、得られた固体電解質用スラリーを用いて、ドクターブレード法により、固体電解質グリーンシートを焼成後厚み20μmとなるよう作製した。
次いでアノード2の材料、およびカソード3の材料としてのPt粉末:49質量%と、空隙形成剤としてのアクリルビーズ:8質量%と、バインダーとしてのブチラール:3質量%と、可塑剤としてのベンジルブチルフタレート(BBP):1質量%と、溶媒としてのアルコール:39質量%とを三本ロールで混合・分散して電極用多孔質Ptペーストを得た。得られた電極用多孔質Ptペーストを用いて、スクリーン印刷により固体電解質グリーンシート上に、焼成後の電極厚みが50μmとなるように電極パターンを形成した。仕切り部は上述した固体電解質用スラリーを用いて電極パターンと逆のパターンでスクリーン印刷を行い形成した。
次いで、アノードおよびカソード電極用多孔質Ptペーストが印刷されたグリーンシートを4枚交互に積層し、さらにその上下に電極用多孔質Ptペーストの印刷されていない固体電解質グリーンシートを積層した。その際、略直方体形状でチップ状素子となるSOFC1の対向する一方の端面にアノードが露出するように、また、他方の端面にカソードが露出するようにグリーンシートを積層した。こうすることにより、2つのアノード、2つのカソードを有する積層型固体酸化物形燃料電池用のシート積層体を得た。なお、シート積層体の焼成後の厚みTが1.0mmになるよう、電極用多孔質Ptペーストの印刷されていない固体電解質グリーンシートの積層数を調整した。次いで、上記で作製したシート積層体を、焼成後に長さLが4.5mm、幅Wが3.2mmのサイズとなるように切り出し、部品単位グリーン積層体を得た。
得られた部品単位グリーン積層体を、600℃で脱バインダー処理し、次いで、焼成温度:1350℃、保持時間:2時間、焼成雰囲気:大気中の条件で焼成し、積層型固体酸化物形燃料電池の焼結体を得た。
上述した電極用多孔質Ptペーストを用いて、アノード側端子電極11およびカソード側端子電極12を形成した。電極用多孔質Ptペーストを積層型固体酸化物形燃料電池の焼結体の対向する端面、すなわち、アノード2およびカソード3が露出する端面にそれぞれ塗布し、600℃で脱バインダー処理し、次いで、焼成温度:1350℃、保持時間:10分、焼成雰囲気:大気中の条件で焼き付けし、SOFC1が完成した。
次に、上記の実施形態5の構成で5個のSOFC1を基板200’に実装し、ガスコンロを用いた発電試験を行った。使用するガスコンロとしては、ブタンガスを主体とするカセットガス式のものを用いた。
基板200‘の材料としては、多孔質の金属Niを用い、SOFC1の長さとほぼ同じ、厚み4.5mmとし、長さ5cm、幅2cmに切り出した。多孔質の金属Niは自由に曲げることが可能であるので、使用するガスコンロの炎FLの配列に合せて炎が良く当たるような形状に曲げることに適している。所望の形状に成形したのち、SOFC1をはめ込むための差込孔220を、5mm間隔で5個形成した。差込孔220の開口形状におおよそ合致するようにφ1mmのドリルで小孔を格子状に配列して形成し、小孔を連続するように広げていき、やすりで差込孔220の形に整えた。SOFC1の幅W(3.2mm)×厚みT(1mm)とほぼ等しい大きさの差込孔220を形成した。さらに、φ1mmのドリルおよびやすりを用い、ビアフィル222用の貫通孔221を差込孔220同士の略中間位置と一方の最端部となる差込孔220の近傍に形成した。さらに、基板を空気中700℃1時間加熱することにより、基板表面に絶縁性である酸化Niの被膜を形成し、基板200’の両面を絶縁した。このとき同時に、差込孔220および貫通孔221についても酸化Niの皮膜が形成され、絶縁性が付与された。
次いで、ライン形成用およびランド形成用の表面電極用Agペーストを作製した。表面電極材料としてのAg粉末:53質量%と、バインダーとしてのブチラール:4質量%と、可塑剤としてのベンジルブチルフタレート(BBP):2質量%と、溶媒としてのアルコール:41質量%とを三本ロールで混合・分散して表面電極用Agペーストを得た。
次いで、隣り合うSOFC1同士が直列に接続されるよう、基板200’上にアノード側ライン202、カソード側ライン212、アノード側ランド203、カソード側ランド213およびビアフィル222からなる配線のパターンを表面電極用Agペーストを用いて形成した。表面電極用Agペーストは大気中850度で焼付けを行った。焼付け後のアノード側ライン202、カソード側ライン212およびアノード側ランド203、カソード側ランド213の厚みは約100μmであった。
次いで、SOFC1を差込孔220に差し込んだ。その後、上記ビアフィル等に用いた表面電極用Agペーストを塗布することにより、アノード側接着部204およびカソード側接着部214を形成した。次いで、表面電極用Agペーストを大気中850℃で焼き付けた。こうすることにより、各SOFC1のアノード側端子電極11がアノード側接着部204によりアノード側ランド203と接続された。また各SOFC1のカソード側端子電極12がカソード側接着部214によりカソード側ランド213と接続された。アノード側接着部204およびカソード側接着部214の厚みは約100μmであった。さらに電気的に最端部にあるSOFC1のカソード側ランド213にカソード側リード線215を接続した。また電気的に反対側の最端部にあるビアフィル222とアノード側リード線215’を空気供給面211側から接続した。カソード側リード線215およびアノード側リード線215‘を同じ表面電極用Agペーストを用いて焼き付け、外部回路へ接続できるようにした。カソード側リード線215およびアノード側リード線215’としてはφ0.2mmのPt線を用いた。
ガスコンロに火をつけ、30秒経過し十分SOFC1および基板200‘が加熱された後、テスターで開回路起電力を測定した。その結果約4.5Vの起電力が確認された。同等の測定方法におけるSOFC1の1個での起電力は約0.9Vであったので、電圧のロスがなく、使用したSOFC1の個数分の直列接続を行うことが出来ることが確認された。また、特に密閉を行わない本実施形態のような構造においても、たとえば800℃における水素−空気でのSOFC1の理論起電力は1V強であるので、完全ではないが、基板200’が仕切り板として働くことで、空気Aと燃料ガスFの混合による起電力の低下は抑えることができた。
また、アノード側リード線215’とカソード側リード線215をそれぞれ外部回路と接続することにより、電流を取り出すことが可能となった。このモジュールの発電特性(アノード―カソード間の電圧Vおよび電流I)をポテンショガルバノスタットを用いて測定した。その結果、電圧3.0V―電流4mAのとき最大電力12mWが得られた。この発電量は、例えば携帯ラジオを動作させるには十分な大きさであった。また、連続1時間の動作を行っても発電量の変化は見られず、特段の劣化は確認できなかった。
以上の結果から、本発明に係る積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造を用いることで、安定に、簡便に複数の積層型固体酸化物形燃料電池を接続することが可能となることが確認された。
以上のように、本発明に係る積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造を用いることで、簡便に複数の積層型固体酸化物形燃料電池を並列または直列に接続することが可能となり、高出力が得られるようになる。
1 SOFC(積層型固体酸化物形燃料電池)
2 アノード
3 カソード
4 固体電解質
5a、5c 仕切り部
6 非重なり部
11 アノード側端子電極
12 カソード側端子電極
100、200、200’ 基板
201 燃料ガス供給面
211 空気供給面
202、202’ アノード側ライン
212、212’ カソード側ライン
203 アノード側ランド
213 カソード側ランド
204 アノード側接着部
214 カソード側接着部
205、215’ アノード側リード線
215 カソード側リード線
206 アノード側導電層
216 カソード側導電層
220 差込孔
221、221’ 貫通孔
222 ビアフィル
223 ワイヤ
FC 燃料電池
An アノード
Ca カソード
A 空気
F 燃料ガス
FL 炎

Claims (6)

  1. 積層型固体酸化物形燃料電池と基板とを備える積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造であって、
    積層型固体酸化物形燃料電池は、内部に複数のアノードと複数のカソードを固体酸化物からなる電解質を介して交互に積層した直方体形状を成すチップ状素子であり、
    前記アノードは、それぞれ前記チップ状素子の対向する一対の面の一方に露出し、アノード側端子電極と電気的に接続し、
    前記カソードは、それぞれ前記対向する一対の面の他方に露出しており、カソード側端子電極と電気的に接続し、
    前記基板は、前記積層型固体酸化物形燃料電池を保持する差込孔を有し、前記基板の一方の主面には、前記アノード側端子電極と接続する配線を有しており、および前期基板の他方の主面には、前記カソード側端子電極と接続する配線を有していることを特徴とする積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造。
  2. 前記基板には、複数の前記積層型固体酸化物形燃料電池を保持しており、
    前記配線が並列回路を形成することを特徴とする請求項1に記載の積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造。
  3. 前記基板には、複数の前記積層型固体酸化物形燃料電池を保持しており、
    前記配線が直列回路を形成することを特徴とする請求項1に記載の積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造。
  4. 前記直列回路がビアフィルを用いることを特徴とする請求項3に記載の積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造。
  5. 前記直列回路がワイヤを用いることを特徴とする請求項3に記載の積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造。
  6. 請求項1〜5に記載の積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造を用いた直接火炎を利用した発電装置。
JP2012042796A 2012-02-29 2012-02-29 積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造 Active JP5920880B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012042796A JP5920880B2 (ja) 2012-02-29 2012-02-29 積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012042796A JP5920880B2 (ja) 2012-02-29 2012-02-29 積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013178994A JP2013178994A (ja) 2013-09-09
JP5920880B2 true JP5920880B2 (ja) 2016-05-18

Family

ID=49270449

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012042796A Active JP5920880B2 (ja) 2012-02-29 2012-02-29 積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5920880B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11870105B2 (en) 2016-08-16 2024-01-09 Lg Chem, Ltd. Planar solid oxide fuel cell

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015037329A1 (ja) * 2013-09-12 2015-03-19 株式会社村田製作所 固体電解質形燃料電池とその製造方法
KR102666299B1 (ko) 2019-06-28 2024-05-16 삼성전기주식회사 배터리 제어 장치 및 배터리를 포함하는 전자기기

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007299694A (ja) * 2006-05-02 2007-11-15 Toppan Printing Co Ltd 固体酸化物型燃料電池およびその製造方法
GB0715225D0 (en) * 2007-08-03 2007-09-12 Rolls Royce Fuel Cell Systems A fuel cell and a method of manufacturing a fuel cell
JP5435385B2 (ja) * 2009-07-29 2014-03-05 Tdk株式会社 固体酸化物型燃料電池及び固体酸化物型燃料電池の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11870105B2 (en) 2016-08-16 2024-01-09 Lg Chem, Ltd. Planar solid oxide fuel cell

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013178994A (ja) 2013-09-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5132878B2 (ja) 燃料電池セル、燃料電池セルスタック及び燃料電池
JP5175527B2 (ja) セルスタック及び燃料電池
JP5175461B2 (ja) 横縞型燃料電池セル及び燃料電池
JP5080951B2 (ja) 横縞型燃料電池セルスタックおよび燃料電池
JP4718959B2 (ja) 横縞型燃料電池セル
JP5118865B2 (ja) 横縞型燃料電池セル及びその製法
JP4741815B2 (ja) セルスタック及び燃料電池
JP5444022B2 (ja) 横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックおよび燃料電池
JP5192723B2 (ja) 横縞型燃料電池セル及び燃料電池
JP5417543B1 (ja) 横縞型燃料電池セル
JP4851692B2 (ja) 固体電解質形燃料電池セルスタック、バンドル及び燃料電池
JP4761104B2 (ja) 円筒型燃料電池
JP5132879B2 (ja) 横縞型燃料電池セルおよび燃料電池
JP5920880B2 (ja) 積層型固体酸化物形燃料電池の実装構造
JP5179131B2 (ja) 横縞型燃料電池セルおよび燃料電池
JP2007250368A (ja) 横縞型燃料電池セルおよび燃料電池
JP5179153B2 (ja) 横縞型燃料電池セルおよびセルスタック並びに燃料電池
JP5449076B2 (ja) 燃料電池セル
JP6169932B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池セル
JP4925574B2 (ja) 燃料電池セル及び燃料電池
JP5062786B1 (ja) 燃料電池の構造体
JP4021782B2 (ja) 燃料電池セル
JP2014191992A (ja) 固体酸化物型燃料電池の製造方法
JP6146474B2 (ja) 固体電解質形燃料電池
JP2013149349A (ja) 積層型固体酸化物形燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150227

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150303

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150227

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20150508

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150508

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160323

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160406

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5920880

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250