JP2009127122A - アルミニウム合金材およびアルミニウム合金ブレージングシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Cu:1.5質量%を超え2.5質量%以下を含有し、さらに、Fe:0.05〜1.5質量%、Mg:0.05〜0.6質量%、Ni:0.05〜1.5質量%、Cr:0.05〜0.3質量%、Ti:0.05〜0.3質量%、Zr:0.05〜0.3質量%、V:0.05〜0.3質量%、Sn:0.01〜0.1質量%、Cd:0.01〜0.1質量%、In:0.01〜0.1質量%のうち1種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物として、Si:0.2質量%未満、Mn:0.06質量%未満に規制されることを特徴とするアルミニウム合金材。
【選択図】図1
Description
Cuは、アルミニウム合金中で固溶・析出強化してその強度を向上させる。また、Cuは、高温経時でのアルミニウム合金材の強度低下を抑制する効果を有する。さらに、Cuは電位を貴にする働きがあるため、アルミニウム合金ブレージングシート1の心材2とした場合、Cuを添加することで心材の電位をろう材3の電位よりも貴とすることができるので、ろう材3が心材2(アルミニウム合金材)を犠牲防食し、アルミニウム合金ブレージングシート1の耐食性を向上させる。Cuの含有量が1.5質量%以下では、これらの効果が不十分である。一方、Cuの含有量が2.5質量%を超えると、自己耐食性が低下し、アルミニウム合金材およびこのアルミニウム合金材を心材としたブレージングシートの耐食性を低下させる虞がある。したがって、Cuの含有量は、1.5質量%を超え2.5質量%以下とする。
Siは、通常、不可避的不純物としてアルミニウム合金中に混入するものであり、アルミニウム合金中で固溶、析出強化してその強度を向上させるが、前記の多量のCuが共存する場合、単体SiやAl−Cu−Si系化合物として析出し、Siが0.2質量%以上になると、これらの析出物が粒界に析出して粒界腐食を発生させ、耐食性を低下させる。また、Cuと合わせてアルミニウム合金材の融点が低下する虞がある。したがって、Siは0.2質量%未満に規制する。
Mnは、アルミニウム合金中で金属間化合物として晶出、析出して分散強化に寄与するが、前記の多量のCuが共存する場合、Al−Mn−Cu系化合物を生成し、Mnが0.06質量%以上になると、この化合物が粒界に析出して粒界腐食を発生させ、耐食性を低下させる虞がある。したがって、Mnは0.06質量%未満に規制する。
Feは、アルミニウム合金中で金属間化合物として晶出、析出して分散強化に寄与する。また、晶出、析出した金属間化合物は、再結晶の核となって再結晶を促進させるので、組織を微細化する効果を有し、アルミニウム合金材の成形加工性を向上させる。Feの含有量が0.05質量%未満では、これらの効果が十分に得られない。一方、Feの含有量が1.5質量%を超えると、金属間化合物が過剰に晶出、析出してアルミニウム合金材の成形加工性を低下させ、また、粗大な金属間化合物を生成して耐食性を低下させる虞がある。したがって、Feの含有量は0.05〜1.5質量%とする。
Mgは、Cuと同様に、アルミニウム合金中で固溶、析出強化してその強度を向上させる。Mgの含有量が0.05質量%未満では、効果が十分に得られない。しかし一方で、Mgはフラックスろう付け性を低下させる作用があるため、Mgの含有量が0.6質量%を超えると、非腐食性フラックスを用いた雰囲気下でのろう付けの際、ろう材3までMgが拡散し、ろう付け性が著しく低下する。また、ろう付け前の部品(アルミニウム合金材)の伸びが低下して成形加工性が低下する場合がある。したがって、Mgの含有量は0.05〜0.6質量%とする。
Niは、アルミニウム合金中で金属間化合物として存在して分散強化に寄与する。Niの含有量が0.05質量%未満では、効果が十分に得られない。一方、Niの含有量が1.5質量%を超えると、金属間化合物が過剰となりアルミニウム合金材の成形加工性を低下させ、また、粗大な金属間化合物を生成して耐食性を低下させる虞がある。したがって、Niの含有量は0.05〜1.5質量%とする。
Cr,Zr,Vは、それぞれアルミニウム合金中で微細な金属間化合物を生成して、その強度を向上させる。それぞれの含有量は、0.05質量%未満では効果が十分に得られず、一方、0.3質量%を超えると、粗大な金属間化合物を生成してアルミニウム合金材の成形加工性を低下させる虞がある。したがって、Cr,Zr,Vの含有量は各0.05〜0.3質量%とする。
Tiは、アルミニウム合金中で微細な金属間化合物を生成して、その強度を向上させる。また、この金属間化合物は層状に分散する。Ti−Al系金属間化合物は電位が貴であるため、腐食形態が層状化し、深さ方向への腐食(孔食)に進展し難くなる効果がある。0.05質量%未満ではこれらの効果が小さい。一方、0.3質量%を超えると粗大な金属間化合物を生成して、成形加工性を低下させる虞がある。したがって、Tiの含有量は、0.05〜0.3質量%とする。
Sn,Cd,Inは、それぞれアルミニウム合金中で高温時におけるCuの析出を促進して強度向上に寄与する。それぞれの含有量が0.01質量%未満では、効果が十分に得られない。また、0.1質量%を超えると強度は飽和して、それ以上添加されてもさらなる強度向上効果は得られず、原材料費高となる。したがって、Sn,Cd,Inの含有量は各0.01〜0.1質量%とする。
表1、表2、表3に示す組成を有する心材(アルミニウム合金材)用、ろう材(F)用、および犠牲陽極材(S)用のアルミニウム合金を作製し、連続鋳造にて溶解、鋳造した後、均質化熱処理、熱間圧延を施し、心材用アルミニウム合金板、ろう材用アルミニウム合金板および犠牲陽極材用アルミニウム合金板を得た。それぞれのアルミニウム合金板を表1に示す組合せで重ね合わせ、ろう材および犠牲陽極材の厚さをそれぞれ板厚全体の10%となるように熱間圧延にてクラッドし、冷間圧延にて板厚1.6mmとした。その後、仕上げ焼鈍によりO材に調質して表1に示す3層材(図1(a),(b)参照)を作製した。
作製した3層材からJIS Z2201に規定される5号試験片を切り出し、引張試験機にて常温で素材伸びを測定した。測定結果を表1に示す。成形加工性の合格基準は、素材伸びが26%以上とした。
高温経時強度の評価は、ろう付け熱処理材からJIS Z2201に規定される5号試験片を切り出し、この試験片を180℃で300時間保持した後、引張試験機にて180℃で引張強度を測定することにより行った。測定結果を表1に示す。高温経時強度の合格基準は、引張強度が145MPa以上とした。
耐食性の評価は、ろう付け熱処理材から60mm×70mmの試験片を切り出し、ろう材側の一面を試験面とし、50mm×60mmの試験面を空けて他の面および端面をシールテープにより覆い、ASTM G85に規定のSWAAT試験20日後の最大腐食深さを測定した。測定結果を表1に示す。耐食性の合格基準は、最大腐食深さが250μm以下とした。
2 心材
3 ろう材
4 犠牲陽極材
5 中間層
Claims (4)
- 少なくとも片面にろう材を備えるアルミニウム合金ブレージングシートの心材として使用されるアルミニウム合金材であって、
Cu:1.5質量%を超え2.5質量%以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、
前記不可避的不純物として、Si:0.2質量%未満、Mn:0.06質量%未満に規制されることを特徴とするアルミニウム合金材。 - 前記アルミニウム合金材が、さらに、Fe:0.05〜1.5質量%、Mg:0.05〜0.6質量%、Ni:0.05〜1.5質量%、Cr:0.05〜0.3質量%、Ti:0.05〜0.3質量%、Zr:0.05〜0.3質量%、V:0.05〜0.3質量%、Sn:0.01〜0.1質量%、Cd:0.01〜0.1質量%、In:0.01〜0.1質量%のうち1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金材。
- 請求項1または請求項2に記載のアルミニウム合金材を心材とし、その片面または両面にアルミニウム合金からなるろう材を備えることを特徴とするアルミニウム合金ブレージングシート。
- 請求項1または請求項2に記載のアルミニウム合金材を心材とし、その一面側にアルミニウム合金からなるろう材を備え、前記心材の他面側にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる犠牲陽極材を備えることを特徴とするアルミニウム合金ブレージングシート。
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