JP2009126117A - サーマルプリントヘッドおよびその製造方法、並びに、サーマルプリンタ - Google Patents

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Abstract

【課題】サーマルプリントヘッドの耐摩耗性および靭性を向上させる。
【解決手段】サーマルプリントヘッド10に、絶縁板31およびグレーズ層32からなる支持基板と、グレーズ層32の表面の抵抗体層12および電極層13によって形成された発熱体23と、この発熱体23を覆う保護層14と、低窒化チタン層17とこの低窒化チタン層17よりも窒化率が大きい高窒化チタン層18とからなり、少なくとも発熱体23を覆うように保護層14の表面に形成された耐磨耗層16と、を備える。ここで、窒化率とは、チタンに対する窒素の原子数比を示す数値である。
【選択図】図1

Description

本発明は、サーマルプリントヘッドおよびその製造方法、並びに、サーマルプリンタに関する。
サーマルプリントヘッドは、抵抗発熱部に配列された複数の発熱体を発熱させ、その熱により感熱記録紙などの被印刷体に文字や図形などの画像を形成する出力用デバイスである。このサーマルプリントヘッドは、バーコードプリンタ、デジタル製版機、ビデオプリンター、イメージャー、シールプリンターなどの記録機器に広く利用されている。
一般的なサーマルプリントヘッドは、放熱板と、放熱板に取り付けられた発熱体板と、発熱体板と同じ側で放熱板に取り付けられた回路基板とを備えている。この発熱体板の放熱板と相対する表面の反対側の表面の帯状に延びる発熱領域には、抵抗体層の複数の抵抗発熱部が所定の間隔で直線状に配列されている。また、回路基板には、抵抗発熱部を駆動する駆動回路の一部となる駆動用ICなどの電気部品が搭載されている。
抵抗発熱部の表面には、抵抗発熱部を保護する保護層が形成されている場合がある。この保護層は、たとえばスパッタリングによって絶縁材料を蒸着した層である。また、保護層の表面には、磨耗を抑制するために耐磨耗層が設けられる場合がある。耐磨耗層は、たとえばイオンプレーティング法によって形成される。保護膜層はたとえばSi−O−N系材料を主成分とする膜であり、耐磨耗層はTiNなどの窒化金属を主成分とする硬質膜である(たとえば特許文献1参照)。
このようなサーマルプリントヘッドを用いたプリンタは、一般的に、所定の弾性を持つ材料で円筒状に形成されたプラテンローラを備えている。このプラテンローラは、発熱抵抗体が配列された主走査方向を軸として、その側面が支持基板上の発熱領域に接するように配置され、その軸を中心に回転可能に設けられる。プラテンローラの回転によって、プラテンローラと発熱領域の間に挿入された媒体は、主走査方向に垂直な副走査方向に移動する。プラテンローラによって媒体を発熱領域に押し付けつつ、その媒体を副走査方向に移動させ、発熱領域の発熱パターンを媒体の移動とともに変化させることにより、所望の画像を被印刷体上に形成する。
特開2006−231523号公報
硬質膜とも呼ばれる耐磨耗層は、硬い故に靭性が乏しい。逆に、靭性を高めようとすると、硬度が低くなる傾向にある。たとえば窒化金属膜であるTiNは、ビッカース硬度HvがHv=2100程度と、同じく窒化金属でありHv=2500程度のCrNに比べて膜硬度は低いが、優れた靭性を有している。このため、プリンタのサーマルプリントヘッドに形成されたTiNの硬質膜は、異物の噛み込みによる発熱抵抗体の破損の抑制に非常に有効である。しかし、TiNは硬度が低いため機械摩耗性が大きく、耐用走行距離はSiCなどと同程度しかない。
そこで、本発明は、サーマルプリントヘッドの耐摩耗性および靭性を向上させることを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明は、サーマルプリントヘッドにおいて、支持基板と、前記支持基板の表面に配列された発熱体と、前記発熱体を覆う保護層と、低窒化チタン層とこの低窒化チタン層よりも窒化率が大きい高窒化チタン層と積層からなり、少なくとも前記発熱体を覆うように前記保護層の表面に形成された耐磨耗層と、を具備することを特徴とする。
また、本発明は、サーマルプリントヘッドの製造方法において、支持基板を形成する工程と、前記支持基板の表面に発熱体を配列する工程と、前記発熱体を覆う保護層を形成する保護層形成工程と、前記保護層形成工程の後に、低窒化チタン層とこの低窒化チタン層よりも窒化率が大きい高窒化チタン層とからなり、少なくとも前記発熱体を覆うように前記保護層の表面に耐磨耗層を形成する耐磨耗層形成工程と、を具備することを特徴とする。
また、本発明は、サーマルプリンタにおいて、支持基板と、前記支持基板の表面に配列された発熱体と、前記発熱体を覆う保護層と、低窒化チタン層とこの低窒化チタン層よりも窒化率が大きい高窒化チタン層と積層からなり、少なくとも前記発熱体を覆うように前記保護層の表面に形成された耐磨耗層と、を備えたサーマルプリントヘッドと、被印刷媒体を前記発熱体の位置で前記サーマルプリントヘッドに押し付けながら前記発熱体の配列方向に垂直な方向に移動させるプラテンローラと、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、サーマルプリントヘッドの耐摩耗性および靭性を向上させることができる。
本発明に係るサーマルプリントヘッドおよびそれを用いたサーマルプリンタの実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図3は、本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態における斜視図である。図4は、本実施の形態のサーマルプリントヘッドを用いたサーマルプリンタの一部の断面図である。
サーマルプリントヘッド10は、たとえば発熱体板20、回路基板40および放熱板30を有している。発熱体板20および回路基板40は、放熱板30の同じ側の表面に載置されている。発熱体板20には、主走査方向に延びる発熱領域24が形成されている。
放熱板30は、たとえばアルミニウムなどの金属で形成された板である。発熱領域24に所定の発熱パターンを形成するための制御信号や駆動電力は、たとえばコネクタ46を介して回路基板40に入力される。発熱領域24を発熱させる駆動回路は、たとえば回路基板40の上に実装された駆動用IC42などによって形成されている。駆動用IC42と発熱体板20とは、たとえばボンディングワイヤ44によって電気的に接続されている。また、駆動用IC42と回路基板40に形成された配線パターンの間も、たとえばボンディングワイヤ44によって電気的に接続されている。駆動用IC42およびボンディングワイヤ44は、たとえば樹脂48によって封止されている。
このサーマルプリントヘッドを用いたサーマルプリンタは、所定の弾性を持つ材料で円筒状に形成されたプラテンローラ50を有している。このプラテンローラ50は、主走査方向に平行な直線上に軸52を持つ。また、プラテンローラ50の側面が発熱領域24に接するように配置され、軸52を中心に回転可能に設けられる。
プラテンローラ50の回転によって、プラテンローラ50と発熱領域24との間に挿入された感熱記録媒体60は、主走査方向に対して垂直な副走査方向に移動する。感熱記録媒体60は、発色温度以上に加熱されると発色する、たとえば感熱紙である。プラテンローラ50によって感熱記録媒体60を発熱領域24に押し付けつつ、その感熱記録媒体60を副走査方向に移動させ、発熱領域24の発熱パターンを感熱記録媒体60の移動とともに変化させることにより、所望の画像を感熱記録媒体60上に形成する。
図1は、本実施の形態における発熱体板の図2のI−I矢視一部拡大断面図である。図2は、本実施の形態におけるサーマルプリントヘッドの一部を切り欠いた上面図である。
本実施の形態の発熱体板20は、支持基板11と、発熱体23と、保護層14と、耐磨耗層16を備えている。支持基板11は、絶縁体で形成された板であり、たとえば絶縁板31とその絶縁板31の表面に固着されたグレーズ層32を備えている。絶縁板31は、たとえばアルミナ(Al)などのセラミックで形成されている。グレーズ層32は、膜厚が30〜200μm程度の、たとえば酸化珪素(SiO)で形成された層である。また、グレーズ層32は、ポリイミド樹脂で形成してもよい。
発熱体23は、たとえば導電体層に形成されている。導電体層は、グレーズ層32の表面に形成された抵抗体層12と、その抵抗体層12の表面に形成された電極層13とからなる。抵抗体層12および電極層13は、主走査方向に間隔を置いて複数配列されていて、それぞれの抵抗体層12および電極層13は、副走査方向に延びている。また、抵抗体層12の表面の一部には、電極層13が形成されていない領域があり、その部分が発熱体23となる。この発熱体23が、主走査方向に並んで発熱領域24を形成している。
電極層13は、たとえば個別電極25および共通電極28とからなる。個別電極25は、それぞれ駆動用IC42に個別に接続されている。共通電極28は、発熱体23を挟んで個別電極25の反対側に設けられていて、主走査方向に延びている。なお、個別電極25および共通電極28の発熱体23に向かう端部は、リーディングエッジ29と呼ばれる。
抵抗体層12は、たとえばTaSiOで形成されている。電極層13は、たとえばAlで形成されている。抵抗体層12の膜厚は0.05μm程度である。電極層13の膜厚は、0.5μm〜1μm程度である。
保護層14は、少なくとも発熱領域24を覆うように導電体層の表面に形成されている。保護層14は、Si−O−N系の材料などの絶縁体によって形成されている。保護層14の厚さは、たとえば2〜5μm程度である。
Si−O−N系の材料によって形成された保護層14は、硬質で緻密な絶縁材料で形成されているため、抵抗体層12および電極層13が大気中に含まれている水分などと接触することにより生じる腐食を抑制するパッシベーション機能を発揮する。Si−O−N系の材料のO成分を少なくし、N成分を増加させるとパッシベーション機能を増大させることができるが、熱膨張係数が大きくなり、クラックが生じやすくなる傾向がある。そこで、使用環境や接触する電極層などの材料に応じて、Si、O、Nの組成は、適宜変更する。たとえばSiに対してOとNが同量のSiON(酸窒化珪素)を好適に用いることができる。
耐磨耗層16は、少なくとも発熱体23を覆うように保護層14の表面に形成されている。耐磨耗層16は、低窒化チタン層17と高窒化チタン層18とを積層したものである。高窒化チタン層18の窒化率は、低窒化チタン層17よりも大きい。ここで、窒化率とは、チタンに対する窒素の原子数比で表した値である。低窒素化チタン層17は、たとえばTiNで形成されている。高窒素化チタン層18は、たとえばTiNで形成されている。つまり、低窒化チタン層17の窒化率は0.5で、高窒素化チタン層18の窒化率は1である。
本実施の形態では、耐磨耗層16は、低窒化チタン層17と高窒化チタン層18とを単位とすると、3.5単位が積層されている。積層数は、この数に限定されるものではなく、たとえば1単位から数百単位まで、適宜変更してもよい。
また、低窒化チタン層17と高窒化チタン層18とは、明確な境界を持たなくてもよい。つまり、低窒化チタン層17と高窒化チタン層18との間で窒化率が連続的に変化してもよい。また、耐磨耗層16の最上層および最下層は、いずれも低窒化チタン層17および高窒化チタン層18のいずれであってもよい。
さらに、この耐磨耗層16を共通電極28や、接地電位に接続してもよい。この場合、耐磨耗層16は、サーマルヘッド10の耐磨耗層16や保護層14と、感熱記録媒体60との摺接による帯電を防止する帯電防止機能を有することになる。
耐磨耗層16には、炭素(C)を混入させてもよい。これにより、耐磨耗層16の耐摩耗性を高めることができる。炭素は、たとえば耐磨耗層16の全体に混入させる。低窒化チタン層17あるいは高窒化チタン層18のいずれかのみに炭素を混入させてもよいし、低窒化チタン層17と高窒化チタン層18との炭素濃度を変えてもよい。また、炭素濃度を表面から保護層14に近づくにつれて高めたり、低めたりしてもよい。耐磨耗層16の全体の炭素濃度は50wt%以下であることが望ましい。
また、耐磨耗層16とグレーズ層32との間に中間層15を設けてもよい。中間層15は、たとえばチタン(Ti)で形成された0.1〜1.0μm程度の層である。このような中間層15を設けることにより、耐磨耗層16の密着性を向上させることができる。
このように、低窒化チタン層17と高窒化チタン層18を積層することにより、耐磨耗層16の全体としては、高い硬度と、高い靭性を得ることができる。したがって、サーマルプリントヘッド10の耐摩耗性および靭性を向上させることができる。
図5は、低窒化チタン層と高窒化チタン層とを積層した場合の硬度および靭性の測定結果を示すグラフである。図5には、比較のため、単層のTiNの測定結果も併せて示した。
硬度の測定は、ダイナミック超微小硬度計を用いて押し込み深さを測定した。測定に際しては、測定圧子の押し込み深さが窒化チタン層の厚さの30%以下となるように荷重を設定した。また、200gf(2N)でこの圧子を押し込んで、圧痕の形状を観察した。クラックがある場合にはそのクラック長を測定して、靭性を評価した。
この試験には、3種類の低窒化チタン層と高窒化チタン層とを積層したサンプル(A〜C)と、比較のための単層のTiNのサンプル(D)の、計4種類のサンプルを用いた。A〜Cのサンプルでは、低窒化チタン層と高窒化チタン層の積層の単位数が異なる。A〜Cのサンプルの積層の単位数およびそれぞれの単位の厚さは、以下のとおりである。
サンプルA:積層数は10単位、TiN層およびTiN層の厚さは0.1μm
サンプルB:積層数は50単位、TiN層およびTiN層の厚さは0.02μm
サンプルC:積層数は200単位、TiN層およびTiN層の厚さは0.005μm
なお、サンプルA〜Cの窒化チタン層の全体の膜厚は、2μmである。
図5から、低窒化チタン層と高窒化チタン層とを積層すると、単層のTiNよりも硬度が高くなることがわかる。また、低窒化チタン層と高窒化チタン層のそれぞれの厚さが薄くなり、積層単位数が多くなるほど、靭性が向上し、積層単位数が200単位になると、靭性はTiNと同程度であることがわかる。
図6は、低窒化チタン層と高窒化チタン層とを積層した場合の異物噛込み試験の結果を示すグラフである。この試験では、粒径が3μmのSiCの砥粒を付着させたラッピングテープを、図5と同じ種類のサンプルの表面にプラテンローラ50を用いて走行させた。図6は、この試験結果を、ラッピングテープの走行距離と抵抗体層12に生じた不良ビット数との関係として示したものである。
図6から、低窒化チタン層と高窒化チタン層とを積層すると、走行距離にかかわらず、単層のTiNよりも不良ビット数が少なくなっていることがわかる。したがって、低窒化チタン層と高窒化チタン層とを積層することにより、サーマルプリントヘッド10の対異物特性が向上することがわかる。また、積層単位数が200単位までの範囲では、積層単位数を多くするほど、耐異物特性が高いことがわかる。
次に、本実施の形態のサーマルプリントヘッドの製造方法について説明する。
図7は、本実施の形態におけるサーマルプリントヘッドの製造方法のフローチャートである。
まず、アルミナなどによって絶縁板31を形成する(工程S1)。次に、絶縁板31の表面にグレーズ層32を形成する(工程S2)。グレーズ層32は、たとえばガラスペーストを絶縁板31の表面に塗布し、所定の温度で焼成することによって、絶縁板31の表面に被着させることができる。ガラスペーストは、SiOのガラス粉末に適当な有機溶媒、溶剤を添加・混合して得られる。ガラスペーストは、スクリーン印刷法などにより絶縁板の表面に塗布する。
その後、グレーズ層32の表面に導電体層を形成する(工程S3)。まず、グレーズ層32の表面に、たとえばスパッタリングによって、TaSiOで抵抗体層12を成膜する。さらに、その抵抗体層12の表面に、たとえばスパッタリングによって、Alで電極層13を成膜する。その後、抵抗体層12および電極層13に対して、たとえばフォトエングレービングプロセスによってパターニングを施し、抵抗体層12および電極層13のパターンを形成する。このパターニングによって、個別電極25や、共通電極28の形状を決定し、個別電極25と共通電極28との間に間隙を設けて発熱体23を形成する。
次に、導電体層を保護する保護層14を形成する(工程S4)。たとえば、発熱領域24およびその近傍のリーディングエッジ29を含む部分に、マスク治具(シャドウマスク)を用いたスパッタリングによって、Si−O−N系材料の膜を選択的に形成する。
保護層14を形成(工程S4)した後に、その保護層14の表面に耐磨耗層16を形成する。耐磨耗層は、たとえば中間層15を形成(工程S5)した後に、その中間層15をベースとして窒化チタン膜を形成(工程S6)していく。
中間層15の形成に先立ち、支持基板11に導電体層および保護層14が形成された成形体の表面をクリーニングしてもよい。たとえばシーズヒーターなどでこの成形体を200℃程度まで加熱しながら、成形体を収めた真空チャンバー内を1×10−4Pa程度の高真空に排気する。その後、その真空チャンバー内にアルゴンガスを導入する。さらに、その成形体にRF電源で、−100V程度の逆バイアス電位を印加して、2kW程度の電力を供給することにより、表面をエッチクリーニングすることができる。
このようにして表面をクリニーニングした成形体に中間層15を形成する(工程S5)。たとえば真空チャンバーにクリーニング済みの成形体を収めたまま、Tiを原料としてホローカソードでTiを蒸発させる。加熱された原料は蒸発して、成形体に付着し、中間層15が形成される。中間層15は、保護層14の表面の、耐磨耗層16の成膜エリアと同じか、あるいは、それよりも広い領域に形成する。
中間層15の厚さは、たとえば0.5μm程度である。中間層15の膜厚を0.1μm未満とし、導電体層の段差と同程度となると、中間層15としての機能を十分に発揮できない。
窒化チタン膜の形成(工程S6)は、たとえば中間層15が形成した真空チャンバーに窒素を適当な流量で流しながら、成形体にRFバイアスを印加して2kW程度の電力を供給し、ホローカソードでTiを蒸発させることにより行う。この際、真空チャンバーに流れる窒素のマスフローレートを適当に制御することにより、所定の窒化率の窒化チタン層を形成することができる。すなわち、低窒化チタン層17を形成する際には、窒素のマスフローレートを低くし、高窒化チタン層18を形成する際には、窒素のマスフローレートを高くする。このように窒素のマスフローレートを周期的に変化させることにより、低窒化チタン層17と高窒化チタン層18とを積層させることができる。
1つの供給装置で真空チャンバーへの窒素の供給を行う場合には、窒素の供給量を急激に変化させることが難しいことがある。このような場合には、窒素の供給装置を2つ準備し、1つの供給装置のマスフローレートを固定し、他方の供給装置は高窒化チタン層を形成する際のみ窒素を供給するようにすることにより、容易にマスフローレートを制御することができる。
このようにして製造した発熱体板20および回路基板40を放熱板30に載置して固定し、回路基板40の駆動用IC42と発熱体板20の個別電極25とをボンディングワイヤ44で接続することなどにより、サーマルプリントヘッド10が完成する。
なお、以上の説明は単なる例示であり、本発明は上述の実施の形態に限定されず、様々な形態で実施することができる。
本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態における発熱体板の図2のI−I矢視一部拡大断面図である。 本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態における一部を切り欠いた上面図である。 本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態における斜視図である。 本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態を用いたサーマルプリンタの一部の断面図である。 低窒化チタン層と高窒化チタン層とを積層した場合の硬度および靭性の測定結果を示すグラフである。 低窒化チタン層と高窒化チタン層とを積層した場合の異物噛込み試験の結果を示すグラフである。 本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態における製造方法のフローチャートである。
符号の説明
10…サーマルプリントヘッド、11…支持基板、12…抵抗体層、13…電極層、14…保護層、15…中間層、16…耐磨耗層、17…低窒化チタン層、18…高窒化チタン層、20…発熱体板、23…発熱体、24…発熱領域、25…個別電極、28…共通電極、29…リーディングエッジ、30…放熱板、31…絶縁板、32…グレーズ層、40…回路基板、42…駆動用IC、44…ボンディングワイヤ、46…コネクタ、48…樹脂、50…プラテンローラ、52…軸、60…感熱記録媒体

Claims (7)

  1. 支持基板と、
    前記支持基板の表面に配列された発熱体と、
    前記発熱体を覆う保護層と、
    低窒化チタン層とこの低窒化チタン層よりも窒化率が大きい高窒化チタン層と積層からなり、少なくとも前記発熱体を覆うように前記保護層の表面に形成された耐磨耗層と、
    を具備することを特徴とするサーマルプリントヘッド。
  2. 前記窒化率をチタンに対する窒素の原子数比で表したときに、前記低窒化チタン層の窒化率は1以上であって、前記高窒化チタン層の窒化率は2以下であることを特徴とする請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
  3. 前記耐磨耗層は前記低窒化チタン層および前記高窒化チタン層からなる単位を2単位以上備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサーマルプリントヘッド。
  4. 前記保護層と前記耐磨耗層との間に金属チタンで形成された中間層をさらに具備することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のサーマルプリントヘッド。
  5. 支持基板を形成する工程と、
    前記支持基板の表面に発熱体を配列する工程と、
    前記発熱体を覆う保護層を形成する保護層形成工程と、
    前記保護層形成工程の後に、低窒化チタン層とこの低窒化チタン層よりも窒化率が大きい高窒化チタン層とからなり、少なくとも前記発熱体を覆うように前記保護層の表面に耐磨耗層を形成する耐磨耗層形成工程と、
    を具備することを特徴とするサーマルプリントヘッドの製造方法。
  6. 前記耐磨耗層形成工程は、保護層が形成された成形体を窒素のマスフローレートが可変の容器中に配置し、その容器中でチタンを蒸発させて耐磨耗層を形成する工程であって、前記低窒化チタン層と前記高窒化チタン層との形成時の前記マスフローレートを変化させることを特徴とする請求項5に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
  7. 支持基板と、前記支持基板の表面に配列された発熱体と、前記発熱体を覆う保護層と、低窒化チタン層とこの低窒化チタン層よりも窒化率が大きい高窒化チタン層と積層からなり、少なくとも前記発熱体を覆うように前記保護層の表面に形成された耐磨耗層と、を備えたサーマルプリントヘッドと、
    被印刷媒体を前記発熱体の位置で前記サーマルプリントヘッドに押し付けながら前記発熱体の配列方向に垂直な方向に移動させるプラテンローラと、
    を具備することを特徴とするサーマルプリンタ。
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