JP2009124975A - 複合体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物ステロールを高比率で含有し、かつ乳化剤に依存することなく、水分散性に優れた複合体を提供し、また、そのような複合体を含有させた食品を提供する。
【解決手段】植物ステロールとタンパク質組成物の複合体であって、タンパク質組成物中のタンパク質が、タンパク質4%溶液と3.5%トリクロロ酢酸溶液とを等容積で混合した際のタンパク質可溶化率が5%未満であり、タンパク質組成物がタンパク質に対してカルシウムを0.3〜3.5%含む複合体を使用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、血清コレステロールを適正化するのに有用な食品素材である植物ステロールとタンパク質組成物との複合体及びその製造方法、並びにこれを含有する食品に関する。
本出願人は、水に不溶な植物ステロールを、卵黄リポ蛋白質との複合体とすると、容易に水に分散させることができ、この複合体により、植物ステロールを食品素材として使用できる範囲を大きく拡大できることを見出し、特許を得た(特許文献1)。しかし、卵アレルギー対応食品等のように食品の種類によっては、卵黄リポ蛋白質という卵由来の素材の混入を好ましいとしないものもあり、この複合体を食品素材として使用できる食品に限りがあった。
一方、特許文献2には、動物又は植物タンパク質源から単離されたタンパク質と植物ステロールとから形成した水分散性の組成物が開示されている。ここで、タンパク質は、タンパク質がアミノ酸まで分解されたものから、全く分解されていないものまで含むとされ、分解度や諸性質については限定されていない。これは、この組成物が、レシチンや脂肪酸モノグリセライド、ジグリセライド等の乳化剤を用いることを前提としているためである。事実実施例に記載されたものは全て脱油化レシチン等の乳化剤を含んでいる。
また、この組成物では植物ステロールの含有量が比較的低い。具体的には、植物ステロール(a)と蛋白質分離物(b)との重量比(a/b)が0.1〜5であり、実施例中で最も植物ステロールの割合が大きいものでも、重量比(a/b)が1.3にすぎない。このように、特許文献2には、乳化剤を含有させることなく、蛋白質分離物に対する植物ステロールの配合量を10:1以上とすることは記載されていない。
特許第3844010号公報 特表2003−514560号公報
そこで、本発明は、植物ステロールを高比率で含有し、かつ乳化剤に依存することなく水分散性に優れた複合体を提供すること、及びそのような複合体を含有せしめた食品を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定量のカルシウムを含有するタンパク質組成物を植物ステロールと複合化すると、植物ステロールの含有率が高く、かつ水分散性に極めて優れた複合体を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、植物ステロールとタンパク質組成物の複合体であって、タンパク質組成物中のタンパク質が、タンパク質4%溶液と3.5%トリクロロ酢酸溶液とを等容積で混合した際のタンパク質可溶化率が5%未満であり、タンパク質組成物がカルシウムをタンパク質に対して0.3〜3.5%含む複合体を提供する。
また、本発明はこの複合体の製造方法として、植物ステロールとタンパク質組成物とを水系媒体中で攪拌混合することにより植物ステロールとタンパク質組成物との複合体を製造する方法であって、タンパク質組成物中のタンパク質として、タンパク質4%溶液と3.5%トリクロロ酢酸溶液とを等容積で混合した際のタンパク質可溶化率が5%未満のタンパク質を使用し、タンパク質組成物中のカルシウム含量をタンパク質に対して0.3〜3.5%に調整する複合体の製造方法を提供する。
さらに、本発明は、上述の複合体が添加されている植物ステロール含有食品とその製造方法を提供する。
本発明の複合体は、植物ステロールを、特定量のカルシウムを含有するタンパク質組成物と複合化したものであるため、植物ステロールに対するタンパク質組成物の使用量が微量であっても、水系媒体に対して極めて大きな分散性を示す。特に、この効果は、タンパク質組成物が脱脂粉乳、カゼイン、カゼイン塩又は小麦タンパク質からなる場合に、顕著に向上する。
したがって、本発明の複合体を用いることにより、水系食品あるいは乳化食品に、植物ステロールを所望量で添加することが可能となる。その場合、タンパク質組成物で食品の風味が損なわれることはなく、また、植物ステロール由来のざらつき感が生じることもなく、本発明の複合体を用いた食品は滑らかな食感を有するものとなる。
さらに、本発明の複合体は、タンパク質組成物の原料となるタンパク質に特に制限はないことから、卵アレルギー対応食品、小麦アレルギー対応食品等といった食品の種類に応じてタンパク質組成物のタンパク質源の種類を選択することができる。また、これにより本発明の複合体を種々の食品に配合することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は、特に断りのない限り質量%を表し、「部」は質量部を表す。
本発明の複合体は、特定量のカルシウムを含有するタンパク質組成物を植物ステロールと複合化したものであり、水系媒体に対して極めて大きな分散性を示すものである。
本発明の複合体において、タンパク質組成物とは、その構成成分にタンパク質と該タンパク質に対して特定量のカルシウムを含むものをいい、その態様としては、(i)脱脂粉乳やカゼインカルシウムのように、カルシウムを高含量含むタンパク質を含むもの、(ii)カゼインナトリウムと乳酸カルシウムのように、カルシウム含有量の低いタンパク質とカルシウム塩を含むもの、(iii)これらをいずれも含むものをあげることができる。(i)〜(iii)は、タンパク質原料に含まれる糖、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等の無機成分、ビタミン類等を含んでいてもよい。また、タンパク質組成物は、これらに本発明の効果を妨げない範囲で任意成分を添加したものでもよい。
タンパク質組成物としては、該組成物に含まれるタンパク質全体について、タンパク質4%溶液と3.5%トリクロロ酢酸溶液とを等容積で混合した際のタンパク質可溶化率が5%未満のものを使用する。タンパク質可溶化率がこの範囲にあるタンパク質組成物について、本発明者は、カルシウムの存在下、植物ステロールの水分散性を大きく向上させることを見出した。なお、タンパク質可溶化率が5%以上のタンパク質分解物については、それ単独で複合体を形成しうることを、本発明者らはすでに発見し、特許出願している(特願2007−115997)。
ここで、タンパク質可溶化率は、まず、タンパク質組成物又はタンパク質の所定量を精秤し、それを所定量の水に溶解させることによりタンパク質の4%溶液を調製し、次に、このタンパク質4%溶液と3.5%トリクロロ酢酸溶液とを等容積で混合し、室温で攪拌後、その混合液を遠心分離し、上清に含まれる窒素量をケルダール法により分析し、この上清に含まれる窒素量の、同法にて得たタンパク質の全窒素量に対する割合を算出した数値である。
タンパク質可溶化率が5%未満で本発明に好ましく使用できるタンパク質としては、例えば、カゼイン等の乳タンパク、小麦タンパク質、大豆タンパク質、とうもろこしタンパク質、米タンパク質等の植物タンパクを使用することができる。中でも、乳タンパクと小麦タンパク質が好ましい。タンパク質は酸又はアルカリで処理したものでもよく、例えば、乳タンパクを酸で処理した酸カゼイン、カゼイネートであるカゼインカルシウム、カゼインマグネシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム等をあげることができる。また、タンパク質の種類としては、単一としてもよく、複数種を合わせて使用してもよい。
一方、タンパク質組成物中のカルシウムとしては、種々の水溶性あるいは不溶性の塩を使用することができ、例えば、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の有機カルシウム塩や、塩化カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、炭酸カルシウム等等の無機カルシウム塩を使用することができる。また、天然物である卵殻粉、貝殻粉末等も使用することができる。好ましいカルシウム塩の種類は、それと共に使用するタンパク質の種類によるが、例えば、カゼイネートや小麦タンパク質に対しては、乳酸カルシウム、塩化カルシウム等が好ましい。もちろん、タンパク質に含有されるカルシウム、例えば脱脂粉乳中のカゼインカルシウムも有効である。
タンパク質組成物中のカルシウム含量はタンパク質に対して0.3〜3.5%とし、好ましくは0.6〜3.0%とする。タンパク質に対するカルシウム含量は、上述の範囲より少なくても、多くても、タンパク質組成物と植物ステロールとの複合体の水への分散性が低下し、また、分散液中の複合体の粒子が粗く、これを食した場合にざらつくので好ましくない。
タンパク質組成物中のタンパク質含量には特に制限はない。例えば、脱脂粉乳の中には、40%の乳タンパク質(タンパク質可溶化率4%)と乳糖、その他無機成分より構成されるものがある。この脱脂粉乳のタンパク質に対するカルシウム含量は2.8%となり、本発明におけるタンパク質組成物として使用することができる。
また、カゼインカルシウムの中にも約9割がタンパク質(タンパク質可溶化率1.8%)で、カルシウムとその他の微量の無機成分とから構成されるものがある。このカゼインカルシウムのタンパク質に対するカルシウム含量は1.1%となることから、本発明におけるタンパク質組成物として使用することができる。
小麦タンパクの中にも約8割という高い比率でタンパク質(タンパク質可溶化率1〜4%)を含有するものがあるが、これらのタンパク質に対するカルシウム含量は0.3%に満たない。しかしながら、この小麦タンパクに乳酸カルシウム、塩化カルシウム等のカルシウム成分を適宜添加してタンパク質に対するカルシウム含量を0.3〜3.5%の範囲に調整することで、本発明のタンパク質組成物として使用できる。
また、タンパク質組成物としては、必要により、脂質を除去したものを使用してもよい。例えば、トリグリセライド(中性脂肪)の含有量を1%以下にして用いることができる。
一方、植物ステロールは、コレステロールに類似した構造をもち、植物の脂溶性画分に数%存在し、融点が約140℃前後であり、常温で固体である。本発明で用いる植物ステロールの種類については特に制限はなく、例えば、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール等を挙げることができる。また、植物ステロールの飽和型である植物スタノールも、天然物の他、植物ステロールを水素添加により飽和させたものを使用することができる。
なお、本発明において、植物ステロールは所謂遊離体を主成分とするが、若干量のエステル体を含有していてもよい。
本発明に用いる植物ステロールの形態としては、フレーク状或いは粉体の状態で市販されているものを用いることができるが、平均粒子径が50μm以下、特に10μm以下の粉体を使用することが好ましい。平均粒子径が50μmを超えるフレーク状あるいは粉体の植物ステロールを用いる場合には、タンパク質組成物と撹拌混合して複合体を製造する際に、均質機(T.K.マイコロイダー、プライミクス社製等)を用いて平均粒子径を小さくしつつ撹拌混合が行われるようにすることが好ましい。これにより、植物ステロールとタンパク質組成物との複合体が形成され易くなり、分散性が向上し、また、口当たりが滑らかとなる。
なお、植物ステロールの平均粒子径の測定方法としては、20℃の清水と植物ステロールとを混合し、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD−200VER)にて測定し、体積換算する方法を用いることができる。
本発明の複合体の製造方法としては、植物ステロールと、タンパク質組成物を構成する前述の(i)、(ii)又は(iii)の成分、及びその他の任意成分を、好ましくは水系媒体中で、撹拌混合することにより得られる。この複合体は、タンパク質組成物中の両親媒性をもつタンパク質がカルシウム塩の存在下、その疎水部分を疎水的な植物ステロールの表面に付着させ、親水部分を外側(水側)に向けて植物ステロールを覆ったものであり、これにより、複合体は表面が親水化されて水分散可能となり、相互に凝集することがなく、水中に安定に分散し、また、相互に凝集しないため、食品に添加してもざらつき感が生じにくいと推察される。
植物ステロールとタンパク質組成物との混合割合は、タンパク質組成物に対する植物ステロールの使用割合が大きいほど、本発明の複合体を食品に添加した場合の植物ステロールの摂取量を効率的に高めることができ、また、タンパク質組成物で食品の風味が損なわれることを防止できるので好ましいが、植物ステロールの使用割合が過度に大きいと、複合体に水系媒体への分散性を十分に付与することができない。そこで、タンパク質組成物1部に対して植物ステロール5〜50部とすることが好ましく、タンパク質組成物1部に対して植物ステロール10〜25部とすることがより好ましい。
植物ステロールとタンパク質組成物との混合に使用する水系媒体としては、清水、エタノールあるいはこれらの混合物等を使用することができる。
この他、植物ステロールとタンパク質組成物との混合態様としては、水系媒体を使用することなく、植物ステロールとタンパク質組成物とを粉体混合してもよい。
本発明の複合体のより具体的な製造方法の一例は次の通りである。まず、水系媒体とタンパク質組成物とを均一になるまで攪拌混合する。次に、このタンパク質組成物の混合液に植物ステロールを添加し、ホモジナイザー(例えば、「ヒスコトロン」(マイクロテック・ニチオン社))、ホモミキサー、コロイドミル(例えば、「T.K.マイコロイダー」(プライミクス社製))、高圧ホモジナイザー、等の均質機を用いて、植物ステロールが水系媒体になじむまで混合し、好ましくはさらに脱気して攪拌混合を続け、全体が均一になるまで混合撹拌し、植物ステロールとタンパク質組成物の複合体の分散液(スラリー)を調製する。
なお、この攪拌混合時に、必要に応じて、効果を損なわない範囲で、各種食品素材、食品添加物等の添加剤を加えても良い。
こうして得られた分散液は、そのまま食品に用いることができるが、長期保存するために、凍結乾燥、噴霧乾燥等により乾燥粉体とすることもできる。
本発明の複合体は、種々の食品に添加することができ、これにより食品中に植物ステロールを均質かつ安定に分散させることが可能となる。ここで食品としては、例えば、豆腐、納豆、豆乳、インスタント味噌汁等の大豆加工品、パン、クッキー、ビスケット、シリアル、うどん、中華麺等の小麦加工品、ヨーグルト、プロセスチーズ、コーヒーホワイトナー、スキムミルク等の乳加工品、ジュース、乳飲料、清涼飲料、アルコール飲料、流動食等の飲料をあげることができる。また、食品の種類に応じて、複合体を構成するタンパク質組成物のタンパク質を適宜選択することができる。
複合体の食品への好ましい添加量は、当該食品によるが、植物ステロールの1日の摂取量が800mg以上であれば血中のコレステロール濃度が低下することを考慮して、例えば、乳飲料の場合、その0.1〜5%程度とする。
食品への複合体の添加方法は、当該食品の製造方法に応じて適宜定めることができ、例えば、食品の製造工程で使用する清水の一部又は全部に複合体を分散させたり、食品の原料粉体と複合体とを粉体混合したり、最終製品に複合体の水分散液を混合したりすることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
実施例1〜20及び比較例1〜7
表1〜4に示す市販のタンパク質原料とカルシウム塩から次のようにして(1)植物ステロールとタンパク質組成物の複合体分散液を製造し、(2)その複合体分散液を用いて植物ステロールとタンパク質組成物の複合体粉末を製造し、(3)得られた複合体粉末の水への分散性と水分散液中の粒子の細かさを評価した。また、(4)複合体の製造に用いたタンパク質のタンパク質可溶化率を測定すると共に、(5)タンパク質組成物におけるタンパク質当たりのカルシウム含量を算出した。これらの結果を表1〜4に示す。
(1)植物ステロールとタンパク質組成物との複合体分散液の製造
200mLビーカーに、水90gと、合計で0.9gのタンパク質原料とカルシウム塩を入れ、均一に攪拌した。この場合、タンパク質原料とカルシウム塩は表に示す含量の比で用いた。次に、これに植物ステロール(遊離体97.8%、エステル体2.2%、平均粒子径約3μm)9.1gを加え、植物ステロールのだまが解消するまでホモジナイザー(ヒスコトロン、マイクロテック・ニチオン社)で攪拌し、脱気後、再度、同じホモジナイザーにて攪拌し、脱気をすることにより複合体分散液を得た。
なお、表1において、タンパク質原料として脱脂粉乳を用いた場合(実施例1)のタンパク質原料含量は、脱脂粉乳に含まれる乳タンパクの含量ではなく脱脂粉乳自体の使用量を示している。
(2)複合体粉末の製造
(1)で製造した複合体分散液50gを真空凍結乾燥機で一晩乾燥後、粉砕し複合体粉末(フリーズドライ品)を得た。
(3)複合体粉末の評価
(2)で製造した複合体粉末の、(a)水への分散性、(b)水分散液中の複合体粒子の細かさを次のように評価し、さらに(c)水分散性の総合評価を次のように行った。
(a)水への分散性
複合体粉末0.5gを水100mLに投入し、そのまま静置した状態で粉末が水になじむまでにかかった時間を測定し、その時間により次の4段階に評価した。なお、水になじむとは、複合体に水が浸潤し、全体が濡れた状態に観察されることをいう。
◎:0〜15秒で水になじんだ
○:16〜30秒で水になじんだ
△:31〜60秒で水になじんだ
×:60秒以上水になじむのにかかった
(b)水分散液中の粒子の細かさ
(a)で水に投入した粉体を2分間手攪拌した後の状態により、水に分散した粒子の細かさを次のように4段階に評価した。
◎:水に分散し、分散した粒子が非常にきめ細かい
○:水に分散し、分散した粒子は細かいが、所々に直径1mm程度のダマが存在する
△:一応水に分散はするが、粒子が粗く、直径2〜3mm程度のダマが存在する
×:分散せず、水面に植物ステロールが浮いている
(c)水分散性の総合評価
(a)と(b)の4段階の評価を、それぞれ次のように点数化し、(a)と(b)双方の点数の合計を算出した。
◎:5点
○:3点
△:1点
×:0点
(4)タンパク質可溶化率の測定
まず、タンパク質原料を5mLの水に溶解させることによりタンパク質原料4%溶液を調製した。次に、このタンパク質原料4%溶液5mLに3.5%トリクロロ酢酸溶液5mLを混合し、室温で30分攪拌し、その後、この混合液を遠心分離(3500rpm×10分)し、上清に含まれる窒素量をケルダール法により分析し、この上清に含まれる窒素量の、同法にて得たタンパク質原料の全窒素量に対する割合よりタンパク質可溶化率を算出した。
(5)タンパク質当たりのカルシウム含量(Ca%)
タンパク質組成物のタンパク質原料に含まれるカルシウム量と、タンパク質組成物にカルシウム塩として添加したカルシウム量との合計量を、タンパク質原料中の正味のタンパク質量で除してタンパク質当たりのカルシウム含量(%)を求めた。
この場合、タンパク質原料に含まれるカルシウム量は、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析により求めた。得られたタンパク質原料中のカルシウム量を以下に示す。
脱脂粉乳:2.76%
カゼインCa:1.11%
カゼインNa:0.11%
カゼインK:0.11%
カゼインMg:0.11%
小麦タンパクA:0.12%
小麦タンパクB:0.13%
また、タンパク質原料に含まれる正味のタンパク質量は、ケルダール法により窒素量を実測し、窒素係数Nを、脱脂粉乳と各カゼイネートはN=6.38、各小麦タンパクはN=6.25で算出した。得られたタンパク質原料中の正味のタンパク質含量を以下に示す。
脱脂粉乳:39.9%
カゼインCa、カゼインNa、カゼインK、カゼインMg:90.0%
小麦タンパクA:84.9%
小麦タンパクB:79.1%




































Figure 2009124975










Figure 2009124975











Figure 2009124975






Figure 2009124975






表1〜表4からわかるように、タンパク質原料にタンパク質とカルシウムとの双方が含まれる場合も、タンパク質原料と別個にカルシウム塩を用いた場合も、タンパク質組成物中のタンパク質当たりのカルシウム量が0.3〜3.5%の範囲にある実施例の複合体では総合評価が良好であり、特にタンパク質当たりのカルシウム量が0.6〜3.0%の範囲にあると、水への分散性が良好で水分散液中の粒子もきめ細かいことがわかる。
本発明の複合体は、植物ステロールを含有し、かつ水系媒体に容易に分散するため、種々の食品の食品素材として有用であり、また、サプリメントとしても有用である。

Claims (15)

  1. 植物ステロールとタンパク質組成物の複合体であって、タンパク質組成物中のタンパク質が、タンパク質4%溶液と3.5%トリクロロ酢酸溶液とを等容積で混合した際のタンパク質可溶化率が5%未満であり、タンパク質組成物がカルシウムをタンパク質に対して0.3〜3.5%含む複合体。
  2. タンパク質組成物が脱脂粉乳を含有する請求項1記載の複合体。
  3. タンパク質組成物がカゼインカルシウムを含有する請求項1記載の複合体。
  4. タンパク質組成物がカゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム及び酸カゼインから選ばれる1種以上を含有する請求項1記載の複合体。
  5. タンパク質組成物が小麦タンパクを含有する請求項1記載の複合体。
  6. タンパク質組成物が無機カルシウム塩及び/又は有機カルシウム塩を含有する請求項4又は5記載の複合体。
  7. タンパク質組成物が乳酸カルシウム、塩化カルシウム及び卵殻カルシウムから選ばれる1種以上を含有する請求項6記載の複合体。
  8. 植物ステロールとタンパク質組成物との構成比が、タンパク質組成物1質量部に対して植物ステロール5〜50質量部である請求項1〜7のいずれかに記載の複合体。
  9. 植物ステロールとタンパク質組成物との構成比が、タンパク質組成物1質量部に対して植物ステロール10〜25質量部である請求項8記載の複合体。
  10. 乾燥粉体である請求項1〜9のいずれかに記載の複合体。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の複合体が添加されている植物ステロール含有食品。
  12. 植物ステロールとタンパク質組成物とを水系媒体中で攪拌混合することにより植物ステロールとタンパク質組成物との複合体を製造する方法であって、タンパク質組成物中のタンパク質として、タンパク質4%溶液と3.5%トリクロロ酢酸溶液とを等容積で混合した際のタンパク質可溶化率が5%未満のタンパク質を使用し、タンパク質組成物中のカルシウム含量をタンパク質に対して0.3〜3.5%に調整する複合体の製造方法。
  13. タンパク質組成物1質量部に対して植物ステロール5〜50質量部を使用する請求項12記載の複合体の製造方法。
  14. タンパク質組成物1質量部に対して植物ステロール10〜25質量部を使用する請求項13記載の複合体の製造方法。
  15. 請求項1〜10のいずれかに記載の複合体を使用することにより、植物ステロールを食品中に分散させる方法。
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