JP2004075541A - ステロール類含有粉末組成物、圧縮成形物、製造方法及び用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】水に容易に分散し、ハンドリング良好なステロール類含有粉末組成物を提供する。さらには、前記粉末組成物を高い含有量で配合することによって、打錠障害なくステロール類を高含有に配合可能な圧縮成形物を提供する。
また、ステロール類含有粉末組成物の製造方法、ステロール類含有圧縮成形物の製造方法、ステロール類含有粉末組成物を含有する食品、ステロール類含有圧縮成形物を含む食品を提供する。
【解決手段】(A)ステロール類、(B)糖質またはタンパク質を必須成分とするステロール類含有粉末組成物であって、粉末組成物100重量部中、(A)成分が0.01〜85重量部を(B)成分1〜50重量部により被覆されてなるステロール類含有粉末組成物。
【選択図】なし
また、ステロール類含有粉末組成物の製造方法、ステロール類含有圧縮成形物の製造方法、ステロール類含有粉末組成物を含有する食品、ステロール類含有圧縮成形物を含む食品を提供する。
【解決手段】(A)ステロール類、(B)糖質またはタンパク質を必須成分とするステロール類含有粉末組成物であって、粉末組成物100重量部中、(A)成分が0.01〜85重量部を(B)成分1〜50重量部により被覆されてなるステロール類含有粉末組成物。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステロール類と糖質またはタンパク質とを必須成分とするステロール類含有粉末組成物、前記ステロール類含有粉末組成物を圧縮成形して得られるステロール類含有圧縮成形物、前記粉末組成物の製造方法と圧縮成形物の製造方法並びに用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステロール類は、特に、フィトステロールは、植物に含まれる種々のステロール及びそれら混合物の総称で、主成分として、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール及びブラシカステロールなど、液体状のもの、あるいは固体状のものが種々知られている。
フィトステロールには、古くから血漿コレステロール濃度低下作用があることが知られており、最近では大腸ガンや前立腺肥大の改善作用があることなど、多くの研究結果が報告されている。したがって、このように優れた生理効果を持つフィトステロールを飲食物に添加して摂取することによる前記効果が大いに期待されてきた。
しかしながら、ステロール類は、一般に油、溶剤及び水に対する溶解度が極めて低く、強い結晶性がある。そのため、40℃未満の低温の水に容易に溶解または分散させることが可能なステロール類の粉末の製造は困難であった。したがって、これまで製剤や食品においては、油へ懸濁させるか、あるいは粉末、顆粒の形で供されてきたが、製剤や食品への添加などにおいて、利用する際にはハンドリングの悪さなどが問題となり、改善が求められていた。
特開平6−329588号公報には、フィトステロールを5〜40重量部含有する粉末の製造法についての技術が開示されている。この粉末は40℃以上の水に溶解するが40℃未満では分散せず、また、フィトステロール含有量が5重量部未満のものは水に分散しないという問題点があった。
さらに、通常、ステロール類を圧縮成形する場合、液状のステロール類は圧縮成形できないため、粉末状のステロール類を用いて圧縮成形することが一般的であるが、ステロール類が圧縮成形時に融解し、スティッキングなどの打錠障害が起こりやすく、添加量が制限されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、糖質またはタンパク質を用いることにより、ステロール類を水に容易に分散し、ハンドリング良好なステロール類含有粉末組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、前記粉末組成物を配合することによって、打錠障害なくステロール類を高い含有量で配合可能にした圧縮成形物を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、前記ステロール類含有粉末組成物の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の第4の目的は、前記ステロール類含有圧縮成形物の製造方法を提供することにある。
本発明の第5の目的は、ステロール類含有粉末組成物を含有する食品を提供することにある。
本発明の第6の目的は、ステロール類含有圧縮成形物を含む食品を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため種々検討した結果、(A)成分のステロール類、(B)成分の糖質またはタンパク質を含み、(A)成分を(B)成分で乳化被覆し、乾燥することにより、ステロール類含有粉末組成物を得ることができること、また、前記のステロール類含有粉末組成物を用いることによって、打錠障害なくステロール類を高い含有量で配合可能な圧縮成形物が得られることの知見を得て本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(12)である。
(1) (A)ステロール類、(B)糖質またはタンパク質を必須成分とするステロール類含有粉末組成物であって、粉末組成物100重量部中、(A)成分が0.01〜85重量部を(B)成分1〜50重量部により被覆されてなるステロール類含有粉末組成物。
(2) (A)成分のステロール類が、植物より抽出された天然ステロール混合物であるフィトステロール、カンペステロール、βシトステロール、ステグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、及びこれらのエステルからなる群より選択される1種または2種以上である前記(1)に記載のステロール類含有粉末組成物。
(3) (B)成分の糖質が、プルラン、アラビアガム、キサンタンガム及びオクテニルコハク酸澱粉からなる群より選択される1種または2種以上であり、また、(B)成分のタンパク質が、ゼラチン、ラクトアルブミン、ホエイタンパク質、酸カゼイン、カゼインナトリウム、大豆タンパク質、コムギタンパク質またはこれらの成分の分解物から選択される1種または2種以上である前記(1)または(2)に記載のステロール類含有粉末組成物。
(4) (A)ステロール類、(B)糖質またはタンパク質を必須成分とするステロール類含有粉末組成物であって、水に完全に分散させたときの乳化粒子の平均粒子径が5μm以下であることを特徴とする前記(1)に記載のステロール類含有粉末組成物。
(5) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載のステロール類含有粉末組成物を含むステロール類含有圧縮成形物。
(6) ステロール類含有粉末組成物を、圧縮成形物100重量部に対して、0.01〜50重量部含むことを特徴とする前記(5)に記載のステロール類含有圧縮成形物。
(7) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載のステロール類含有粉末組成物の製造方法であって、(B)成分を溶解した溶媒中に(A)成分を乳化させて水中油型乳化液とし、該乳化液を乾燥することにより得られるステロール類含有粉末組成物の製造方法。
(8) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載のステロール類含有粉末組成物の製造方法であって、(B)成分を溶解した溶媒中に(A)成分を乳化させて水中油型乳化液としたとき、該乳化液中の乳化粒子径を攪拌または均質化の操作で5μm以下に調製し、これを乾燥することにより得られるステロール類含有粉末組成物の製造方法。
(9) (B)成分を溶解する溶媒が、水またはエタノールである前記(7)または(8)に記載のステロール類含有粉末組成物の製造方法。
(10) 前記(7)〜(9)のいずれかに記載の製造方法で得られるステロール類含有粉末組成物を含む粉末を圧縮成形することによるステロール類含有圧縮成形物の製造方法。
(11) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載のステロール類含有粉末組成物を含む食品。
(12) 前記(5)または(6)に記載のステロール類含有圧縮成形物を含む食品。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いるステロール類としては、例えば、植物より抽出される天然ステロール類の混合物であるフィトステロールやそのエステル型であるフィトステロールエステル、ステロール、ステロールエステル、スタノール、スタノールエステルなどが挙げられる。これらのステロール類は合成品や天然物より抽出されたもののいずれも用いることができる。特に植物より抽出されるフィトステロールやフィトステロールエステルが好適である。フィトステロールは、例えば、大豆、菜種、綿実、ヤシなどの植物油脂から抽出、または精製されたもので、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロールなどを主要成分とする混合物である。また、フィトステロールエステル、ステロールエステル、スタノールエステルは、このフィトステロール、ステロールあるいはスタノールの水酸基に脂肪酸のアシル基が結合した脂肪酸によるエステル型のものであり、フィトステロール、ステロール、スタノールと比較して油脂などに自由に溶解する、融点が比較的低いなどの特徴がある。前記構成成分の脂肪酸としては、特に限定されないが、通常炭素数2〜24の脂肪酸、好ましくは10〜22の脂肪酸が挙げられる。これらの脂肪酸源は1種でもよいし、また、2種以上の脂肪酸が混合されたものであってもよく、例えば、植物油を加水分解して得られる混合脂肪酸などであってもよい。さらにこれらの脂肪酸を含むトリグリセライドやモノグリセライドを用いてエステル交換反応することによってステロール類のエステル化物を得ることもできる。
ステロール類はその性状によって、そのままでも使用できるし、あるいは油脂類に添加し、加温溶解して使用することもできる。この際、ステロール類の含量はステロール類として0.01〜50重量部の間で自由に選択できるが、油脂類中へのステロール類の溶解度によっても選択され、例えば、フィトステロールについては油脂類中に40重量部の溶解が限界である。一方、油脂類に自由に分散可能で、しかも乳化温度範囲内で液状であるフィトステロールエステルを用いた場合、ステロールとしての含量は自由に定めることができる。
エステル化していない遊離のステロール類をエステル交換反応などの化学反応によりエステル化し、ステロールエステルとしたもの、例えば、フィトステロールエステルなどを使用することや、固体状のステロール類を常温で液状の中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)や液体状の油脂類に溶解し、融点を降下させることも粉末調製後の粉末の水やお湯への分散性の面で効果的である。
ステロール類は、前記のように植物抽出物などを用いることもあり、ステロール類以外の油性成分を含んでいてもよいし、他の油脂類などで希釈して用いてもよい。
ステロール類の市販品としては、例えば、植物より抽出されたフィトステロール(タマ生化学工業(株)製、商品名;フィトステロールF、融点136℃、フィトステロール含量93.2%)が挙げられる。
また、フィトステロールのエステルとしては、例えば、(株)八代製の「フィトステロールエステル」(フィトステロール含量91.2%)が挙げられる。
【0006】
本発明のステロール類含有粉末組成物は、ステロール類の含有量が全粉末組成物100重量部に対して0.01〜85重量部、好ましくは1〜80重量部である。ステロール類の含有量が0.01重量部より少ない場合は、ステロール類としての生理活性上の効果が期待できず、85重量部より多い場合は、作業性、安定性、水への分散性が劣る。
【0007】
また、ステロール類とともに、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどの油溶性乳化剤を用いることは、乳化性が向上するし、分散性が向上するという好ましい結果をもたらす。この際、多量の乳化剤の添加はステロール類の含量を低下させることから、添加量は0〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲内で適宜選択することができる。
これらの乳化剤は、前記油脂類もしくはステロール類中に加え、溶解して用いることが好ましい。
【0008】
本発明において、ステロール類の希釈などに用いる油脂類としては、ナタネ油、大豆油、パーム油、ヤシ油、ヒマワリ油、サフラワー油、ごま油、マカデミア種子油、米油、コーン油、エゴマ油、カカオ脂、落花生油、月見草油、ボラージ油、ツバキ種子油、茶実油、オリーブ油、綿実油などの植物性油脂;牛脂、豚油、羊脂、馬油、鶏油、肝油、魚油などの動物油脂;及びこれらの硬化油脂や分別油;中鎖脂肪酸トリグリセライド、ジアシルグリセロールなどの加工油脂;ホホバ油などの高級アルコール;スクワレン、スクワラン、ラノリン、流動パラフィンなどの高級炭化水素類などの油性成分を挙げることができ、これらを単独で用いることもできるし、または適宜組み合わせて用いることもできる。
また、油脂類には色素や酸化防止剤、油溶性ビタミンなど、添加物を添加してもよい。本発明の粉末組成物において、希釈などに用いる油脂類の割合は、本発明の目的であるステロール類の含有量や用途によっても異なるが、全粉末組成物100重量部に対して溶解されたステロール類の量もあわせて85重量部以下、好ましくは80重量部以下である。この油脂類の含有量が85重量部より多い場合は、乳化被膜が弱いために、粉末の粉体性能を低下させたり、油の染み出しや水に溶かした際の油浮きを招いたり、相対的にステロール類の含有量が低下したりするので好ましくない。
【0009】
(A)成分を被覆する(B)成分は、特定の糖質及びタンパク質であり、本発明に用いる(B)成分の糖質は、例えば、プルラン、アラビアガム、キサンタンガム及びオクテニルコハク酸澱粉が挙げられ、これらの群より選択される1種または2種以上を使用することができる。また、(B)成分のタンパク質は、ゼラチン、ラクトアルブミン、ホエイタンパク質、酸カゼイン、カゼインナトリウム、大豆タンパク質、コムギタンパク質またはこれらの成分の分解物が挙げられ、これらの群より選択される1種または2種以上を使用することができる。また、(B)成分として、糖質とタンパク質とを併用してもよい。
【0010】
この(B)成分は、ステロール類含有粉末組成物100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは2〜45重量部含有する。(B)成分が1重量部より少ない場合、乳化被膜が弱くなり、油分の染み出し、ブロッキング、流動性の不良、水に分散させた際の油浮きといった好ましくない問題が発生する。また、50重量部より多い場合は乳化時の粘度が高くなり、作業性が低下するため、製造が困難になる。
この時、(A)成分と(B)成分との割合は、皮膜の強度と内容物の組成から、A/B(重量比)として0.01〜30、好ましくは0.02〜20の範囲である。
ここで、乳化とは、ステロール類、ステロール類と油性成分、もしくはステロール類と希釈油脂類の油性原料を(B)成分を用いて、水またはアルコール中に小滴に分散させてなる状態を示す。
【0011】
また、本発明のステロール類含有粉末組成物中には、本発明の効果を損なわない範囲において、(B)成分以外の糖類やビタミン類、ミネラル類、食物繊維類、天然エキス類、及びその他の成分など、適宜添加することも可能である。
前記(B)成分の糖質以外の糖類としては、例えば、澱粉の分解物であるデキストリンや糖アルコール、グルコース、フラクトース、キシロース、ガラクトースなどの単糖類;マルトース、ラクトース、シュクロース、トレハロースなどの二糖類;ラフフィノースなどの三糖類;スタキオースなどの四糖類などが挙げられ、これらは単独で用いることも可能であり、2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0012】
また、ビタミン類については、ビタミンCやビタミンB等の水溶性のものを添加することも可能であるし、また、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、β−カロチン、α−カロチンなどの油溶性ビタミンをステロール類とともに溶解し、添加することも可能である。また、ステロールの希釈に用いる油脂類の酸化安定性を向上させるために、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ステアレート、没子食酸プロピル、ジブチルヘキシルトルエンから1種または2種以上を適宜配合して調製することもできる。
ミネラル類としては、ピロリン酸第一鉄、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム等の化学合成したミネラル類、貝殻カルシウムなどの天然由来のミネラルなど、食品に用いられるミネラル類はいずれのものも用いることができる。
食物繊維類としては、微結晶セルロースやパルプ状の繊維;キチンやキトサンなどの不溶性食物繊維;ポリデキストロースに代表される水溶性食物繊維などが挙げられる。
天然エキス類としては、魚介類や植物を熱水やアルコールで抽出された抽出物などが挙げられる。
【0013】
さらに必要に応じて、その他成分として、例えば、リン酸3ナトリウムやメタリン酸ナトリウムなどのリン酸塩;アルギン酸ナトリウム、寒天、カナギーナンなどの海草抽出物;ローカストビーンガム、グァーガム、タマリンドガムなどの植物種子の抽出物やセルロースを安定剤として適宜配合することができる。また、水への溶解性を高めるためにHLBの高い親水性乳化剤を配合することもできる。
【0014】
本発明のステロール類含有粉末組成物の製造方法は、あらかじめ(B)成分であるタンパク質や糖質を、アルコールまたは水の溶媒中に、またはアルコールと水の混合溶媒中に、溶解または分散させ、(A)成分であるステロール類を加えて乳化分散させ、これを噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥などの常法により乾燥させる。この時、水中油型の乳化形態をとり、乳化粒子径は5μm以下に調製することが好ましいが、このためには均質機や高速攪拌機などにより、必要に応じて均質化する。乳化粒子径が5μmより大きいと粉末化後にステロール類やステロールを溶解する油脂類が粉末中より染み出す、あるいは水中に乳化した場合には、油滴として浮上しやすいので好ましくない。
この際、乳化された粒子はステロールを含むことが必要であり、この粒子内のステロールは液状であっても、結晶化して固体状であってもよいし、油脂類中に分散された状態であってもよい。
乳化粒子径の測定方法は、例えば、レーザー回折測定法、遠心沈降測定法、光散乱測定法などを挙げることができるが、5μm以下の粒子径を測定できる方法であればいずれにも限定されない。取り扱い性などの点から、好ましくは、遠心沈降測定法が挙げられる。
【0015】
本発明のステロール類含有粉末組成物を製造する際には、例えば、(1)乳化物は、あらかじめ水またはエタノールを溶媒とした(B)成分溶解液中に(A)成分を添加し、混合し、水中油型乳化液を得る方法、(2)乳化剤などを添加した(A)成分中に(B)成分を徐々に添加し、油中水型乳化液とした後、さらに溶媒を添加して転相させて水中油型乳化液を得る方法など、水中油型乳化で好ましくは5μm以下の乳化粒子径であれば、いずれの方法を用いることも可能である。
【0016】
本発明のステロール類含有粉末組成物製造の際に、乳化物を高圧ホモジナイザー、高速せん断型乳化機や超音波乳化機など、一般的に均質化に用いる均質機を用い、乳化粒子を均質化することは、乳化粒子径を本発明の範囲である5μm以下に調製するために好適であるが、特にこの方法に限定されるものではなく、例えば、プロペラミキサーによる攪拌や、膜乳化など、乳化粒子径を5μm以下に調製することが可能であれば、どのような方法でも用いることが可能であるが、例えば、高圧ホモジナイザーを用いる場合、圧力2MPa〜400MPa、好ましくは5MPa〜200MPaの条件であり、高速せん断型乳化機やプロペラミキサーを用いる場合、回転数20〜40000rpmで1〜120分間かき混ぜる条件である。この際、乳化物を得るための温度は特に定めないが、ステロール類を容易に5μm以下に調製するためには乳化液温度を40℃〜100℃、さらに好ましくは50℃〜90℃に調製することが好ましい。
【0017】
本発明のステロール類含有粉末組成物製造の際に用いる乾燥方法は、一般的に用いる噴霧乾燥法、真空ベルト乾燥、真空ドラム乾燥、真空凍結乾燥など、乳化物から乾燥物を得る方法であれば特に限定されないが、特に噴霧乾燥や真空ベルト乾燥が好適である。この際の粒子の大きさや形状は特に限定しないが、一般的に噴霧乾燥では1〜3000μmの球形粒子もしくはブドウ状粒子の集合体を得ることができる。また、真空ベルト乾燥や真空凍結乾燥などの場合には乾燥の際、一旦薄膜状の固形物を得、これを粉砕するため、粒子径については粉砕の程度によって自由に選択できる。
【0018】
本発明によって得られるステロール類含有粉末組成物は、粉末状のまま各種の分野に利用することも可能であり、また、一旦、水などに溶解し、この乳化液を用いることも可能である。さらに、ステロール類含有粉末組成物を他の成分とともに混合したり、流動層造粒など、一般的な造粒方法で造粒することも可能である。
【0019】
本発明によって得られるステロール類含有粉末組成物は、生理活性強化の目的で食品に添加することも可能であるし、また、食品に限らず医薬部外品や医薬品などに添加して摂取することにより、ステロールの生理活性を発揮することも可能であるし、また、化粧品などに用い、例えば、水を添加して分散状態の乳化液とし、皮膚から吸収させることも可能である。
【0020】
本発明のステロール類含有圧縮成形物は、前記の方法で得られたステロール類含有粉末組成物を、必要に応じて他の成分とともに混合し、粉末状のものを圧力を加えることによって成形して得た固形物であり、その大きさは0.1mmから20cm、好ましくは1mm〜50mmの範囲である。
この圧縮成形物の製造方法の一例としては、他の成分とともにステロール類含有粉末組成物を配合し、V混合機やリボンブレンダーなどの粉体混合機などにて、充分に混合した後、打錠機にフィードして打錠する方法や、圧力のかかるロール等で圧縮し、これを粉砕する方法などが挙げられるが、製造の効率や圧縮成型物の均一性等の面から打錠機による打錠が好ましい。
ここで、前記打錠をするための機械としては、特に限定されないが、例えば、ロータリー打錠機((株)菊水製作所製、CLEANPRESS CORRECT 12HUK)を用いることができ、例えば、前記打錠機を用いて8mmφ、12Rの杵、ターンテーブル回転速度25rpmで打錠し、重量200mgの錠剤を得ることができる。
この際、圧縮成形物の大きさや形は、特に限定されないが、直径で1〜20mm程度が、摂取のしやすさなどの点から特に好適である。
また、用途によって異なるが、1〜50kg、好ましくは2〜40kg、さらに好ましくは2.5〜30kgの硬度に調製することが望ましい。
この際、圧縮成形物の硬度は、圧縮成形の際の圧力や圧縮成形物を作る際の配合、粉末のままか、顆粒化した後に圧縮成形するか等により大きく異なり、用途に応じて所望の硬度に調製する。
【0021】
本発明のステロール類含有圧縮成形物中には、ステロール類として、0.1〜42.5重量部、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは2〜30重量部を含む。
ステロール類の量が0.1重量部より少ないと、期待される生理効果が得られないし、42.5重量部より多い場合には圧縮成形時にバインディングなどの障害が起こり、本発明の目的であるステロール含有圧縮成形物を安定に得ることができにくいので、好ましくない。
【0022】
また、本発明のステロール類含有圧縮成形物には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を配合することができる。その他の成分としては、呈味料、香料、賦形剤、滑沢剤、ビタミン剤、各種ミネラル類を挙げることができる。前記呈味料としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸などの酸味料などが挙げられる。前記香料としては、一般に食品に添加して使用できるものであれば使用可能であるが、例えば、粉末のものでもよいし、液体の香料を粉末に浸透させて用いることもでき、また天然由来品でも、合成品でも用いることができる。前記賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、グルコース、パラチノースなどの糖類;コーン、馬鈴薯などのデンプン類;リン酸や硫酸などの塩類;結晶セルロースなどが挙げられる。前記滑沢剤については、錠剤にする原料である粉体の流動性を高めるために、少量添加することがより好ましい。滑沢剤としては、例えば、ワックス、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、二酸化珪素などが挙げられる。市販品としては、ショ糖脂肪酸エステルであるシュガーエステルS370F(三菱化学フーズ(株)製;製品名)などが挙げられる。
また、ビタミン類、各種ミネラル類は、前記の粉末組成物に既に十分に配合されている場合には、添加する必要がないが、不十分の場合には、更に圧縮成形物に配合することも可能で、ビタミン類、各種ミネラル類としては、前記の粉末組成物において例示したものを同様に挙げることができる。
本発明において、得られたステロール類含有粉末組成物は、これをそのまま、あるいは適宜他の粉末成分と混合し、食品として摂取することや、医薬品や医薬部外品として摂取すること、化粧品用材料の一部として配合し、皮膚外用剤として用いることももちろん可能である。
さらに、本発明によって得られた圧縮成形物を食品として摂取することや、医薬品や医薬部外品として経口的に摂取したり、化粧品の一部として、例えば必要時に水に分散させて皮膚に塗布するなどの方法で用いることが可能である。
【0023】
【発明の効果】
本発明のステロール類含有粉末組成物は、(A)ステロール類と(B)糖質またはタンパク質を必須成分とし、(B)成分で(A)成分が被覆されてなるステロール類含有粉末組成物であるので、油脂成分の染み出しがなく、水への溶解性が良好であり、作業性能、粉体性能及び安定性などが良好である。
また、本発明のステロール類含有圧縮成形物は、前記ステロール類含有粉末組成物を用いるので、ステロール類を高含有にすることができ、打錠障害なしに、打錠しにくいステロール類の圧縮成形物を得ることができる。
また、前記ステロール類含有粉末組成物の製造方法は、あらかじめ(B)成分を溶解した溶媒中に前記(A)成分を乳化させ、水中油型乳化液とし、噴霧乾燥もしくは凍結乾燥、真空乾燥する方法であり、容易に製造することができる。
また、本発明のステロール類含有圧縮成形物の製造方法は、前記のステロール類含有粉末組成物を用いるので、打錠障害なしに容易に製造できる製造方法である。
さらには、前記ステロール類含有粉末組成物や圧縮成形物により、容易に食品や医薬品に添加することが可能となり、摂取しやすくなる。
【0024】
【実施例】
以下、具体例により本発明をさらに詳細に説明する。
〔乳化粒子径の測定方法〕
1.分散液の調製方法
25℃の蒸留水100mlに対し、粉末2gを添加し、スターラーで攪拌する。
2.分散液の乳化粒子径測定方法
得られた分散液の乳化粒子径は、前記の試料液を用いて、あらかじめ測定濃度になるように希釈した後、遠心沈降式粒度分布測定器(堀場製作所製、CAPA700)により、25℃で乳化粒子径を測定する。
【0025】
実施例1
市販のアラビアガム(和光純薬工業(株)製)300g、砂糖500gを水2000gに溶解し、加熱して完全に溶解させた。これに対し、植物より抽出されたフィトステロールをエステル化した市販品「フィトステロールエステル」(融点56℃、(株)八代製、フィトステロールエステル含量91.2%)200gを加熱溶解した後、徐々に添加し、全量を添加後、30分間70℃で保温しながら攪拌を続け、予備乳化を行なった。この予備乳化液を高圧ホモジナイザーにて均質化圧1.96×107Pa(200kg/cm2)で均質化し、乳化液とした。この乳化液の乳化粒径を遠心沈降式粒度分布測定器にて測定したところ、平均粒径1.2μmであった。この乳化液を用い、噴霧乾燥機(大川原化工機(株)製、LTB−8型)にて、熱風温度180℃、出口温度95℃、アトマイザー回転数12000rpmの条件で粉末化し、ステロール含有粉末740g(ステロール類含有率18.2%)を得た。
得られた粉末は流動性良好で、25℃の水に添加し、スターラーで攪拌すると約30秒で完全に分散、乳化し、不溶物は残存しなかった。この乳化粒子径を測定したところ、平均粒子径1.3μmであった。
【0026】
比較例1
豚脂極度硬化油とグリセリンを原料にしたモノグリセリド(理研ビタミン(株)製、商品名;エマルジーMS)800gと「フィトステロールエステル」(融点56℃、(株)八代製)200gを溶融混合し、冷却して固化させた後に粉砕し、粉末化し、ステロール含有粉末を925g(ステロール類含有率18.2%)得た。得られた粉末は、25℃の水では分散せず、水の表面に粉末が浮遊したままであった。
【0027】
実施例2
水2000gにカゼインナトリウム(中央商工(株)製、商品名;インスタンラックS)50g、デキストリン(松谷化学(株)製、商品名;パインデックス#3)100g、乳糖(レプリノフーズ製)145g、ヘキサメタリン酸ナトリウム(米山化学工業(株)製)5gを攪拌しながら添加し、加熱して完全に溶解させた。これに対し、別途、中鎖脂肪酸トリグリセリド(日本油脂(株)製、商品名;パナセート810)600g中に植物より抽出精製されたフィトステロール(タマ生化学工業(株)製、商品名;フィトステロールF、融点136℃、フィトステロール含量93.2%)100g、モノグリセリド(理研ビタミン(株)製、商品名;エマルジーMS)1gを90℃に加熱して溶解した後、徐々に添加し、全量の添加後、30分間70℃で保温しながら攪拌を続け、予備乳化を行なった。この予備乳化液をTKホモジナイザー(特殊機化(株)製)を用いて5000rpmで5分間均質化し、乳化液とした。この乳化液の平均粒子径は4.5μmであった。この乳化液を用い、噴霧乾燥機(大川原化工機(株)製、LTB−8型)にて熱風温度180℃、出口温度95℃、アトマイザー回転数12000rpmの条件で粉末化し、ステロール含有粉末820g(ステロール類含有率9.3%)を得た。
得られた粉末は流動性良好で25℃の水に添加し、スターラーで攪拌すると約30秒で完全に分散、乳化し、不溶物は残存しなかった。この時、平均乳化粒子径は4.7μmであった。また、そのまま2時間放置しても油滴は認められなかった。
【0028】
比較例2
実施例2の予備乳化液をそのまま乳化液として用いた。この時の平均粒子径は12μmであった。この乳化液を用い、実施例2と同様に噴霧乾燥機(大川原化工機(株)製、LTB−8型)にて、熱風温度180℃、出口温度95℃、アトマイザー回転数12000rpmの条件で粉末化し、フィトステロール含有粉末480g(ステロール類含有率9.3%)を得た。
得られた粉末は流動性が悪く、また、粉末としての回収率は48%と低く、乾燥塔内への付着が多く認められた。また25℃の水に添加し、スターラーにて攪拌すると表面に油浮きし、一部不溶物が残存した。
この時、溶液の平均乳化粒子径は18μmであった。また、そのまま2時間放置しても不溶物は溶解しなかった。
【0029】
比較例3
実施例2で用いた原料のフィトステロールをそのまま25℃の水に添加すると、全く分散せず、水の表面に浮いたままであった。
【0030】
実施例3〜9、比較例4〜6
表1、表2に示す配合で、実施例3〜9、比較例4〜6の予備乳化液を調製した。この際、水は固形分100重量部に対して150重量部とし、30分間70℃で保温しながら攪拌を続け、予備乳化を行なった。この予備乳化液を高圧ホモジナイザーにて均質化圧1.96×107Pa(200kg/cm2)で均質化し、乳化液とした。この乳化液の乳化粒径を測定した。また、この乳化液を用い、噴霧乾燥機(大川原化工機(株)製、LTB−8型)にて熱風温度180℃、出口温度95℃、アトマイザー回転数12000rpmの条件で粉末化し、実施例3〜9、比較例4〜6のステロール含有粉末組成物を得た。実施例1と同様にして、作業時の作業性、粉末の物性などを評価した。
結果を表1、表2に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
表1、表2に記載のフィトステロールは、タマ生化学製フィトステロールF(商品名、純度93.2%)、フィトステロールエステルは、(株)八代製の抽出フィトステロールエステル(商品名、純度91.2%)を用いた。また、(B)成分のカゼインナトリウムは、中央商工(株)製インスタンラックS(商品名)、オクテニルコハク酸澱粉は、日本NSC製ピュリティガムBE(商品名)、アラビアガムは、三栄化学(株)製アラビックコールSS(商品名)をそれぞれ用いた。なお、表中に原料の重量部及び含有率を示した。ステロール類含量はガスクロマトグラフィー(GC)により測定し、また、ステロール類含有率(%)は、ステロール類配合率×ステロール類含量にて表した。
〔GC分析方法〕
この分析の際のGC条件は以下の通りとした。
GC使用機種:HP5890(ヒューレットパッカード社製)、
カラム:OV−1(30m×0.3mm)、
カラム温度:260℃、
キャリアガス:N2(50ml/min)。
表1、表2に記載の乳化・粉末時の作業性については、次の基準に基づいて評価を行なった。
<乳化・粉末時の作業性>
◎:良好=作業性、乳化性に問題なし、
○:やや良好=作業性、乳化性に微小の問題があるが問題ないレベル、
△:やや不良=作業性、乳化性に問題があり、安定した調製困難レベル、
×:不良=作業性、乳化性に問題があり調製できないレベル。
表1、表2に記載の粉末の物性については、次の基準に基づいて評価を行なった。
<粉末の物性>
◎:流動性良好、
○:若干ブロッキングなどが認められるが、傾けたり振動を与えると流動する、
△:ブロッキングがあり、流動しにくい、
×:流動不可、
−:試験せず(できず)。
また、表1、表2に記載の総合判定については、次の表3に示す基準に基づいて判定を行なった。
【0034】
【表3】
【0035】
実施例10
乳糖(レプリノフーズ製)290g、デキストリン(松谷化学(株)製、商品名;パインデックス♯2)50g、オクテニルコハク酸澱粉(日本NSC製、商品名;ピュリティガムBE)160gを水1200gに溶解し、加熱して完全に溶解させた。これに対し、抽出フィトステロールエステル((株)八代製、商品名、純度91.2%)500gを加熱溶解した後、徐々に添加し、全量添加後、30分間70℃で保温しながら攪拌を続け、予備乳化を行なった。この予備乳化液を高圧ホモジナイザーにて均質化圧1.96×107Pa(200kg/cm2)で均質化し、乳化液とした。この乳化液を用い、噴霧乾燥機(大川原化工機(株)製:LTB−8型)にて熱風温度180℃、出口温度95℃、アトマイザー回転数12000rpmの条件で粉末化し、実施例3と同様にステロール含有粉末組成物を得た。作業時の作業性、粉末の物性などを実施例3と同様に評価した。評価の結果も併せて表1に示す。
【0036】
このステロールエステル含有粉末組成物を用いて、以下の打錠試験を行なった。
ここで、打錠方法及び打錠の評価方法を示す。
1.打錠方法
ロータリー打錠機((株)菊水製作所製、CLEANPRESS CORRECT 12HUK)を用いて8mmφ、12Rの杵、ターンテーブル回転速度25rpmで打錠し、重量200mgの錠剤を得た。なお、打錠圧力は一定の7.84×107Pa(800kg/cm2)であった。
2.打錠性の評価方法
打錠性の評価は、前記「1.打錠方法」に記載した方法により錠剤を100錠成形した後、打錠障害であるキャッピング、ラミネーティング、バインディング、スティッキングの各項目について目視で観察し、その錠剤がいくつ観察できるかを数字で表す。
また、錠剤硬度は富士薬品機械製錠剤硬度計を用い、錠剤の側面を縦にし、圧力を加え、錠剤崩壊時の圧力を測定した。
【0037】
ここで、前記の各項目について説明する。
キャッピングとは、錠剤の凸部が帽子状に剥離する現象をいう。
ラミネーティングとは、錠剤が層状に割れる現象をいう。
バインディングとは、錠剤の表面の一部が、杵、臼またはロールに付着する現象をいう。
スティッキングとは、杵、臼面に粉末が付着し、錠剤の表面が曇ったり、あばたを生じる現象をいう。
【0038】
実施例11
表4の配合に示すように、フィトステロール含有粉末10重量部、乳糖50重量部(旭化成(株)製、商品名;SUPER−TAB)、結晶セルロース39重量部(旭化成(株)製、商品名;セオラスST−2)、ショ糖脂肪酸エステル1重量部(三菱化学フーズ(株)製、商品名;シュガーエステルS370F)をよく混合し、得られた混合粉末を原料として前記「1.打錠方法」に記載した方法で錠剤を成形した。結果を表4に示す。混合粉末の流動性はよく、打錠操作も容易であった。なお、打錠圧力は一定の7.84×107Pa(800kg/cm2)であった。
得られた100錠のキャッピング、ラミネーティング、バインディング、スティッキングはいずれもほぼ観察されず良好な状態の錠剤であった。
【0039】
実施例12〜14
表4に示す配合に変更した以外は、実施例1と同様にして、打錠成形を行なった。結果を表4に示す。
混合粉末の流動性はよく、打錠操作も容易であった。
得られた100錠のキャッピング、ラミネーティング、バインディング、スティッキングはいずれもほぼ観察されず良好な状態の錠剤であった。
【0040】
比較例7〜11
表5に示す配合に変更した以外は、実施例10と同様にして、打錠を行なった。
混合粉末の流動性は悪く、打錠操作も難であった。一部については打錠可能なものも観察されたが、大部分がバインディングなどの打錠障害が生じ、打錠できなかった。また、比較例10は打錠原料の粉体にほとんど流動性が見られず、打錠機に入れることが不能であった。
結果を表5に示す。
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
以上の結果から、比較例1〜11に比べて、実施例1〜10は、得られたステロール類含有粉末組成物の粉末の物性が良好であることがわかる。
また、本発明の組成の範囲外である比較例7〜11に比べて、実施例10の粉末を用いた実施例11〜14は、連続打錠適性の点で優れていることがわかる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステロール類と糖質またはタンパク質とを必須成分とするステロール類含有粉末組成物、前記ステロール類含有粉末組成物を圧縮成形して得られるステロール類含有圧縮成形物、前記粉末組成物の製造方法と圧縮成形物の製造方法並びに用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステロール類は、特に、フィトステロールは、植物に含まれる種々のステロール及びそれら混合物の総称で、主成分として、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール及びブラシカステロールなど、液体状のもの、あるいは固体状のものが種々知られている。
フィトステロールには、古くから血漿コレステロール濃度低下作用があることが知られており、最近では大腸ガンや前立腺肥大の改善作用があることなど、多くの研究結果が報告されている。したがって、このように優れた生理効果を持つフィトステロールを飲食物に添加して摂取することによる前記効果が大いに期待されてきた。
しかしながら、ステロール類は、一般に油、溶剤及び水に対する溶解度が極めて低く、強い結晶性がある。そのため、40℃未満の低温の水に容易に溶解または分散させることが可能なステロール類の粉末の製造は困難であった。したがって、これまで製剤や食品においては、油へ懸濁させるか、あるいは粉末、顆粒の形で供されてきたが、製剤や食品への添加などにおいて、利用する際にはハンドリングの悪さなどが問題となり、改善が求められていた。
特開平6−329588号公報には、フィトステロールを5〜40重量部含有する粉末の製造法についての技術が開示されている。この粉末は40℃以上の水に溶解するが40℃未満では分散せず、また、フィトステロール含有量が5重量部未満のものは水に分散しないという問題点があった。
さらに、通常、ステロール類を圧縮成形する場合、液状のステロール類は圧縮成形できないため、粉末状のステロール類を用いて圧縮成形することが一般的であるが、ステロール類が圧縮成形時に融解し、スティッキングなどの打錠障害が起こりやすく、添加量が制限されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、糖質またはタンパク質を用いることにより、ステロール類を水に容易に分散し、ハンドリング良好なステロール類含有粉末組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、前記粉末組成物を配合することによって、打錠障害なくステロール類を高い含有量で配合可能にした圧縮成形物を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、前記ステロール類含有粉末組成物の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の第4の目的は、前記ステロール類含有圧縮成形物の製造方法を提供することにある。
本発明の第5の目的は、ステロール類含有粉末組成物を含有する食品を提供することにある。
本発明の第6の目的は、ステロール類含有圧縮成形物を含む食品を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため種々検討した結果、(A)成分のステロール類、(B)成分の糖質またはタンパク質を含み、(A)成分を(B)成分で乳化被覆し、乾燥することにより、ステロール類含有粉末組成物を得ることができること、また、前記のステロール類含有粉末組成物を用いることによって、打錠障害なくステロール類を高い含有量で配合可能な圧縮成形物が得られることの知見を得て本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(12)である。
(1) (A)ステロール類、(B)糖質またはタンパク質を必須成分とするステロール類含有粉末組成物であって、粉末組成物100重量部中、(A)成分が0.01〜85重量部を(B)成分1〜50重量部により被覆されてなるステロール類含有粉末組成物。
(2) (A)成分のステロール類が、植物より抽出された天然ステロール混合物であるフィトステロール、カンペステロール、βシトステロール、ステグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、及びこれらのエステルからなる群より選択される1種または2種以上である前記(1)に記載のステロール類含有粉末組成物。
(3) (B)成分の糖質が、プルラン、アラビアガム、キサンタンガム及びオクテニルコハク酸澱粉からなる群より選択される1種または2種以上であり、また、(B)成分のタンパク質が、ゼラチン、ラクトアルブミン、ホエイタンパク質、酸カゼイン、カゼインナトリウム、大豆タンパク質、コムギタンパク質またはこれらの成分の分解物から選択される1種または2種以上である前記(1)または(2)に記載のステロール類含有粉末組成物。
(4) (A)ステロール類、(B)糖質またはタンパク質を必須成分とするステロール類含有粉末組成物であって、水に完全に分散させたときの乳化粒子の平均粒子径が5μm以下であることを特徴とする前記(1)に記載のステロール類含有粉末組成物。
(5) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載のステロール類含有粉末組成物を含むステロール類含有圧縮成形物。
(6) ステロール類含有粉末組成物を、圧縮成形物100重量部に対して、0.01〜50重量部含むことを特徴とする前記(5)に記載のステロール類含有圧縮成形物。
(7) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載のステロール類含有粉末組成物の製造方法であって、(B)成分を溶解した溶媒中に(A)成分を乳化させて水中油型乳化液とし、該乳化液を乾燥することにより得られるステロール類含有粉末組成物の製造方法。
(8) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載のステロール類含有粉末組成物の製造方法であって、(B)成分を溶解した溶媒中に(A)成分を乳化させて水中油型乳化液としたとき、該乳化液中の乳化粒子径を攪拌または均質化の操作で5μm以下に調製し、これを乾燥することにより得られるステロール類含有粉末組成物の製造方法。
(9) (B)成分を溶解する溶媒が、水またはエタノールである前記(7)または(8)に記載のステロール類含有粉末組成物の製造方法。
(10) 前記(7)〜(9)のいずれかに記載の製造方法で得られるステロール類含有粉末組成物を含む粉末を圧縮成形することによるステロール類含有圧縮成形物の製造方法。
(11) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載のステロール類含有粉末組成物を含む食品。
(12) 前記(5)または(6)に記載のステロール類含有圧縮成形物を含む食品。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いるステロール類としては、例えば、植物より抽出される天然ステロール類の混合物であるフィトステロールやそのエステル型であるフィトステロールエステル、ステロール、ステロールエステル、スタノール、スタノールエステルなどが挙げられる。これらのステロール類は合成品や天然物より抽出されたもののいずれも用いることができる。特に植物より抽出されるフィトステロールやフィトステロールエステルが好適である。フィトステロールは、例えば、大豆、菜種、綿実、ヤシなどの植物油脂から抽出、または精製されたもので、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロールなどを主要成分とする混合物である。また、フィトステロールエステル、ステロールエステル、スタノールエステルは、このフィトステロール、ステロールあるいはスタノールの水酸基に脂肪酸のアシル基が結合した脂肪酸によるエステル型のものであり、フィトステロール、ステロール、スタノールと比較して油脂などに自由に溶解する、融点が比較的低いなどの特徴がある。前記構成成分の脂肪酸としては、特に限定されないが、通常炭素数2〜24の脂肪酸、好ましくは10〜22の脂肪酸が挙げられる。これらの脂肪酸源は1種でもよいし、また、2種以上の脂肪酸が混合されたものであってもよく、例えば、植物油を加水分解して得られる混合脂肪酸などであってもよい。さらにこれらの脂肪酸を含むトリグリセライドやモノグリセライドを用いてエステル交換反応することによってステロール類のエステル化物を得ることもできる。
ステロール類はその性状によって、そのままでも使用できるし、あるいは油脂類に添加し、加温溶解して使用することもできる。この際、ステロール類の含量はステロール類として0.01〜50重量部の間で自由に選択できるが、油脂類中へのステロール類の溶解度によっても選択され、例えば、フィトステロールについては油脂類中に40重量部の溶解が限界である。一方、油脂類に自由に分散可能で、しかも乳化温度範囲内で液状であるフィトステロールエステルを用いた場合、ステロールとしての含量は自由に定めることができる。
エステル化していない遊離のステロール類をエステル交換反応などの化学反応によりエステル化し、ステロールエステルとしたもの、例えば、フィトステロールエステルなどを使用することや、固体状のステロール類を常温で液状の中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)や液体状の油脂類に溶解し、融点を降下させることも粉末調製後の粉末の水やお湯への分散性の面で効果的である。
ステロール類は、前記のように植物抽出物などを用いることもあり、ステロール類以外の油性成分を含んでいてもよいし、他の油脂類などで希釈して用いてもよい。
ステロール類の市販品としては、例えば、植物より抽出されたフィトステロール(タマ生化学工業(株)製、商品名;フィトステロールF、融点136℃、フィトステロール含量93.2%)が挙げられる。
また、フィトステロールのエステルとしては、例えば、(株)八代製の「フィトステロールエステル」(フィトステロール含量91.2%)が挙げられる。
【0006】
本発明のステロール類含有粉末組成物は、ステロール類の含有量が全粉末組成物100重量部に対して0.01〜85重量部、好ましくは1〜80重量部である。ステロール類の含有量が0.01重量部より少ない場合は、ステロール類としての生理活性上の効果が期待できず、85重量部より多い場合は、作業性、安定性、水への分散性が劣る。
【0007】
また、ステロール類とともに、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどの油溶性乳化剤を用いることは、乳化性が向上するし、分散性が向上するという好ましい結果をもたらす。この際、多量の乳化剤の添加はステロール類の含量を低下させることから、添加量は0〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲内で適宜選択することができる。
これらの乳化剤は、前記油脂類もしくはステロール類中に加え、溶解して用いることが好ましい。
【0008】
本発明において、ステロール類の希釈などに用いる油脂類としては、ナタネ油、大豆油、パーム油、ヤシ油、ヒマワリ油、サフラワー油、ごま油、マカデミア種子油、米油、コーン油、エゴマ油、カカオ脂、落花生油、月見草油、ボラージ油、ツバキ種子油、茶実油、オリーブ油、綿実油などの植物性油脂;牛脂、豚油、羊脂、馬油、鶏油、肝油、魚油などの動物油脂;及びこれらの硬化油脂や分別油;中鎖脂肪酸トリグリセライド、ジアシルグリセロールなどの加工油脂;ホホバ油などの高級アルコール;スクワレン、スクワラン、ラノリン、流動パラフィンなどの高級炭化水素類などの油性成分を挙げることができ、これらを単独で用いることもできるし、または適宜組み合わせて用いることもできる。
また、油脂類には色素や酸化防止剤、油溶性ビタミンなど、添加物を添加してもよい。本発明の粉末組成物において、希釈などに用いる油脂類の割合は、本発明の目的であるステロール類の含有量や用途によっても異なるが、全粉末組成物100重量部に対して溶解されたステロール類の量もあわせて85重量部以下、好ましくは80重量部以下である。この油脂類の含有量が85重量部より多い場合は、乳化被膜が弱いために、粉末の粉体性能を低下させたり、油の染み出しや水に溶かした際の油浮きを招いたり、相対的にステロール類の含有量が低下したりするので好ましくない。
【0009】
(A)成分を被覆する(B)成分は、特定の糖質及びタンパク質であり、本発明に用いる(B)成分の糖質は、例えば、プルラン、アラビアガム、キサンタンガム及びオクテニルコハク酸澱粉が挙げられ、これらの群より選択される1種または2種以上を使用することができる。また、(B)成分のタンパク質は、ゼラチン、ラクトアルブミン、ホエイタンパク質、酸カゼイン、カゼインナトリウム、大豆タンパク質、コムギタンパク質またはこれらの成分の分解物が挙げられ、これらの群より選択される1種または2種以上を使用することができる。また、(B)成分として、糖質とタンパク質とを併用してもよい。
【0010】
この(B)成分は、ステロール類含有粉末組成物100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは2〜45重量部含有する。(B)成分が1重量部より少ない場合、乳化被膜が弱くなり、油分の染み出し、ブロッキング、流動性の不良、水に分散させた際の油浮きといった好ましくない問題が発生する。また、50重量部より多い場合は乳化時の粘度が高くなり、作業性が低下するため、製造が困難になる。
この時、(A)成分と(B)成分との割合は、皮膜の強度と内容物の組成から、A/B(重量比)として0.01〜30、好ましくは0.02〜20の範囲である。
ここで、乳化とは、ステロール類、ステロール類と油性成分、もしくはステロール類と希釈油脂類の油性原料を(B)成分を用いて、水またはアルコール中に小滴に分散させてなる状態を示す。
【0011】
また、本発明のステロール類含有粉末組成物中には、本発明の効果を損なわない範囲において、(B)成分以外の糖類やビタミン類、ミネラル類、食物繊維類、天然エキス類、及びその他の成分など、適宜添加することも可能である。
前記(B)成分の糖質以外の糖類としては、例えば、澱粉の分解物であるデキストリンや糖アルコール、グルコース、フラクトース、キシロース、ガラクトースなどの単糖類;マルトース、ラクトース、シュクロース、トレハロースなどの二糖類;ラフフィノースなどの三糖類;スタキオースなどの四糖類などが挙げられ、これらは単独で用いることも可能であり、2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0012】
また、ビタミン類については、ビタミンCやビタミンB等の水溶性のものを添加することも可能であるし、また、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、β−カロチン、α−カロチンなどの油溶性ビタミンをステロール類とともに溶解し、添加することも可能である。また、ステロールの希釈に用いる油脂類の酸化安定性を向上させるために、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ステアレート、没子食酸プロピル、ジブチルヘキシルトルエンから1種または2種以上を適宜配合して調製することもできる。
ミネラル類としては、ピロリン酸第一鉄、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム等の化学合成したミネラル類、貝殻カルシウムなどの天然由来のミネラルなど、食品に用いられるミネラル類はいずれのものも用いることができる。
食物繊維類としては、微結晶セルロースやパルプ状の繊維;キチンやキトサンなどの不溶性食物繊維;ポリデキストロースに代表される水溶性食物繊維などが挙げられる。
天然エキス類としては、魚介類や植物を熱水やアルコールで抽出された抽出物などが挙げられる。
【0013】
さらに必要に応じて、その他成分として、例えば、リン酸3ナトリウムやメタリン酸ナトリウムなどのリン酸塩;アルギン酸ナトリウム、寒天、カナギーナンなどの海草抽出物;ローカストビーンガム、グァーガム、タマリンドガムなどの植物種子の抽出物やセルロースを安定剤として適宜配合することができる。また、水への溶解性を高めるためにHLBの高い親水性乳化剤を配合することもできる。
【0014】
本発明のステロール類含有粉末組成物の製造方法は、あらかじめ(B)成分であるタンパク質や糖質を、アルコールまたは水の溶媒中に、またはアルコールと水の混合溶媒中に、溶解または分散させ、(A)成分であるステロール類を加えて乳化分散させ、これを噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥などの常法により乾燥させる。この時、水中油型の乳化形態をとり、乳化粒子径は5μm以下に調製することが好ましいが、このためには均質機や高速攪拌機などにより、必要に応じて均質化する。乳化粒子径が5μmより大きいと粉末化後にステロール類やステロールを溶解する油脂類が粉末中より染み出す、あるいは水中に乳化した場合には、油滴として浮上しやすいので好ましくない。
この際、乳化された粒子はステロールを含むことが必要であり、この粒子内のステロールは液状であっても、結晶化して固体状であってもよいし、油脂類中に分散された状態であってもよい。
乳化粒子径の測定方法は、例えば、レーザー回折測定法、遠心沈降測定法、光散乱測定法などを挙げることができるが、5μm以下の粒子径を測定できる方法であればいずれにも限定されない。取り扱い性などの点から、好ましくは、遠心沈降測定法が挙げられる。
【0015】
本発明のステロール類含有粉末組成物を製造する際には、例えば、(1)乳化物は、あらかじめ水またはエタノールを溶媒とした(B)成分溶解液中に(A)成分を添加し、混合し、水中油型乳化液を得る方法、(2)乳化剤などを添加した(A)成分中に(B)成分を徐々に添加し、油中水型乳化液とした後、さらに溶媒を添加して転相させて水中油型乳化液を得る方法など、水中油型乳化で好ましくは5μm以下の乳化粒子径であれば、いずれの方法を用いることも可能である。
【0016】
本発明のステロール類含有粉末組成物製造の際に、乳化物を高圧ホモジナイザー、高速せん断型乳化機や超音波乳化機など、一般的に均質化に用いる均質機を用い、乳化粒子を均質化することは、乳化粒子径を本発明の範囲である5μm以下に調製するために好適であるが、特にこの方法に限定されるものではなく、例えば、プロペラミキサーによる攪拌や、膜乳化など、乳化粒子径を5μm以下に調製することが可能であれば、どのような方法でも用いることが可能であるが、例えば、高圧ホモジナイザーを用いる場合、圧力2MPa〜400MPa、好ましくは5MPa〜200MPaの条件であり、高速せん断型乳化機やプロペラミキサーを用いる場合、回転数20〜40000rpmで1〜120分間かき混ぜる条件である。この際、乳化物を得るための温度は特に定めないが、ステロール類を容易に5μm以下に調製するためには乳化液温度を40℃〜100℃、さらに好ましくは50℃〜90℃に調製することが好ましい。
【0017】
本発明のステロール類含有粉末組成物製造の際に用いる乾燥方法は、一般的に用いる噴霧乾燥法、真空ベルト乾燥、真空ドラム乾燥、真空凍結乾燥など、乳化物から乾燥物を得る方法であれば特に限定されないが、特に噴霧乾燥や真空ベルト乾燥が好適である。この際の粒子の大きさや形状は特に限定しないが、一般的に噴霧乾燥では1〜3000μmの球形粒子もしくはブドウ状粒子の集合体を得ることができる。また、真空ベルト乾燥や真空凍結乾燥などの場合には乾燥の際、一旦薄膜状の固形物を得、これを粉砕するため、粒子径については粉砕の程度によって自由に選択できる。
【0018】
本発明によって得られるステロール類含有粉末組成物は、粉末状のまま各種の分野に利用することも可能であり、また、一旦、水などに溶解し、この乳化液を用いることも可能である。さらに、ステロール類含有粉末組成物を他の成分とともに混合したり、流動層造粒など、一般的な造粒方法で造粒することも可能である。
【0019】
本発明によって得られるステロール類含有粉末組成物は、生理活性強化の目的で食品に添加することも可能であるし、また、食品に限らず医薬部外品や医薬品などに添加して摂取することにより、ステロールの生理活性を発揮することも可能であるし、また、化粧品などに用い、例えば、水を添加して分散状態の乳化液とし、皮膚から吸収させることも可能である。
【0020】
本発明のステロール類含有圧縮成形物は、前記の方法で得られたステロール類含有粉末組成物を、必要に応じて他の成分とともに混合し、粉末状のものを圧力を加えることによって成形して得た固形物であり、その大きさは0.1mmから20cm、好ましくは1mm〜50mmの範囲である。
この圧縮成形物の製造方法の一例としては、他の成分とともにステロール類含有粉末組成物を配合し、V混合機やリボンブレンダーなどの粉体混合機などにて、充分に混合した後、打錠機にフィードして打錠する方法や、圧力のかかるロール等で圧縮し、これを粉砕する方法などが挙げられるが、製造の効率や圧縮成型物の均一性等の面から打錠機による打錠が好ましい。
ここで、前記打錠をするための機械としては、特に限定されないが、例えば、ロータリー打錠機((株)菊水製作所製、CLEANPRESS CORRECT 12HUK)を用いることができ、例えば、前記打錠機を用いて8mmφ、12Rの杵、ターンテーブル回転速度25rpmで打錠し、重量200mgの錠剤を得ることができる。
この際、圧縮成形物の大きさや形は、特に限定されないが、直径で1〜20mm程度が、摂取のしやすさなどの点から特に好適である。
また、用途によって異なるが、1〜50kg、好ましくは2〜40kg、さらに好ましくは2.5〜30kgの硬度に調製することが望ましい。
この際、圧縮成形物の硬度は、圧縮成形の際の圧力や圧縮成形物を作る際の配合、粉末のままか、顆粒化した後に圧縮成形するか等により大きく異なり、用途に応じて所望の硬度に調製する。
【0021】
本発明のステロール類含有圧縮成形物中には、ステロール類として、0.1〜42.5重量部、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは2〜30重量部を含む。
ステロール類の量が0.1重量部より少ないと、期待される生理効果が得られないし、42.5重量部より多い場合には圧縮成形時にバインディングなどの障害が起こり、本発明の目的であるステロール含有圧縮成形物を安定に得ることができにくいので、好ましくない。
【0022】
また、本発明のステロール類含有圧縮成形物には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を配合することができる。その他の成分としては、呈味料、香料、賦形剤、滑沢剤、ビタミン剤、各種ミネラル類を挙げることができる。前記呈味料としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸などの酸味料などが挙げられる。前記香料としては、一般に食品に添加して使用できるものであれば使用可能であるが、例えば、粉末のものでもよいし、液体の香料を粉末に浸透させて用いることもでき、また天然由来品でも、合成品でも用いることができる。前記賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、グルコース、パラチノースなどの糖類;コーン、馬鈴薯などのデンプン類;リン酸や硫酸などの塩類;結晶セルロースなどが挙げられる。前記滑沢剤については、錠剤にする原料である粉体の流動性を高めるために、少量添加することがより好ましい。滑沢剤としては、例えば、ワックス、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、二酸化珪素などが挙げられる。市販品としては、ショ糖脂肪酸エステルであるシュガーエステルS370F(三菱化学フーズ(株)製;製品名)などが挙げられる。
また、ビタミン類、各種ミネラル類は、前記の粉末組成物に既に十分に配合されている場合には、添加する必要がないが、不十分の場合には、更に圧縮成形物に配合することも可能で、ビタミン類、各種ミネラル類としては、前記の粉末組成物において例示したものを同様に挙げることができる。
本発明において、得られたステロール類含有粉末組成物は、これをそのまま、あるいは適宜他の粉末成分と混合し、食品として摂取することや、医薬品や医薬部外品として摂取すること、化粧品用材料の一部として配合し、皮膚外用剤として用いることももちろん可能である。
さらに、本発明によって得られた圧縮成形物を食品として摂取することや、医薬品や医薬部外品として経口的に摂取したり、化粧品の一部として、例えば必要時に水に分散させて皮膚に塗布するなどの方法で用いることが可能である。
【0023】
【発明の効果】
本発明のステロール類含有粉末組成物は、(A)ステロール類と(B)糖質またはタンパク質を必須成分とし、(B)成分で(A)成分が被覆されてなるステロール類含有粉末組成物であるので、油脂成分の染み出しがなく、水への溶解性が良好であり、作業性能、粉体性能及び安定性などが良好である。
また、本発明のステロール類含有圧縮成形物は、前記ステロール類含有粉末組成物を用いるので、ステロール類を高含有にすることができ、打錠障害なしに、打錠しにくいステロール類の圧縮成形物を得ることができる。
また、前記ステロール類含有粉末組成物の製造方法は、あらかじめ(B)成分を溶解した溶媒中に前記(A)成分を乳化させ、水中油型乳化液とし、噴霧乾燥もしくは凍結乾燥、真空乾燥する方法であり、容易に製造することができる。
また、本発明のステロール類含有圧縮成形物の製造方法は、前記のステロール類含有粉末組成物を用いるので、打錠障害なしに容易に製造できる製造方法である。
さらには、前記ステロール類含有粉末組成物や圧縮成形物により、容易に食品や医薬品に添加することが可能となり、摂取しやすくなる。
【0024】
【実施例】
以下、具体例により本発明をさらに詳細に説明する。
〔乳化粒子径の測定方法〕
1.分散液の調製方法
25℃の蒸留水100mlに対し、粉末2gを添加し、スターラーで攪拌する。
2.分散液の乳化粒子径測定方法
得られた分散液の乳化粒子径は、前記の試料液を用いて、あらかじめ測定濃度になるように希釈した後、遠心沈降式粒度分布測定器(堀場製作所製、CAPA700)により、25℃で乳化粒子径を測定する。
【0025】
実施例1
市販のアラビアガム(和光純薬工業(株)製)300g、砂糖500gを水2000gに溶解し、加熱して完全に溶解させた。これに対し、植物より抽出されたフィトステロールをエステル化した市販品「フィトステロールエステル」(融点56℃、(株)八代製、フィトステロールエステル含量91.2%)200gを加熱溶解した後、徐々に添加し、全量を添加後、30分間70℃で保温しながら攪拌を続け、予備乳化を行なった。この予備乳化液を高圧ホモジナイザーにて均質化圧1.96×107Pa(200kg/cm2)で均質化し、乳化液とした。この乳化液の乳化粒径を遠心沈降式粒度分布測定器にて測定したところ、平均粒径1.2μmであった。この乳化液を用い、噴霧乾燥機(大川原化工機(株)製、LTB−8型)にて、熱風温度180℃、出口温度95℃、アトマイザー回転数12000rpmの条件で粉末化し、ステロール含有粉末740g(ステロール類含有率18.2%)を得た。
得られた粉末は流動性良好で、25℃の水に添加し、スターラーで攪拌すると約30秒で完全に分散、乳化し、不溶物は残存しなかった。この乳化粒子径を測定したところ、平均粒子径1.3μmであった。
【0026】
比較例1
豚脂極度硬化油とグリセリンを原料にしたモノグリセリド(理研ビタミン(株)製、商品名;エマルジーMS)800gと「フィトステロールエステル」(融点56℃、(株)八代製)200gを溶融混合し、冷却して固化させた後に粉砕し、粉末化し、ステロール含有粉末を925g(ステロール類含有率18.2%)得た。得られた粉末は、25℃の水では分散せず、水の表面に粉末が浮遊したままであった。
【0027】
実施例2
水2000gにカゼインナトリウム(中央商工(株)製、商品名;インスタンラックS)50g、デキストリン(松谷化学(株)製、商品名;パインデックス#3)100g、乳糖(レプリノフーズ製)145g、ヘキサメタリン酸ナトリウム(米山化学工業(株)製)5gを攪拌しながら添加し、加熱して完全に溶解させた。これに対し、別途、中鎖脂肪酸トリグリセリド(日本油脂(株)製、商品名;パナセート810)600g中に植物より抽出精製されたフィトステロール(タマ生化学工業(株)製、商品名;フィトステロールF、融点136℃、フィトステロール含量93.2%)100g、モノグリセリド(理研ビタミン(株)製、商品名;エマルジーMS)1gを90℃に加熱して溶解した後、徐々に添加し、全量の添加後、30分間70℃で保温しながら攪拌を続け、予備乳化を行なった。この予備乳化液をTKホモジナイザー(特殊機化(株)製)を用いて5000rpmで5分間均質化し、乳化液とした。この乳化液の平均粒子径は4.5μmであった。この乳化液を用い、噴霧乾燥機(大川原化工機(株)製、LTB−8型)にて熱風温度180℃、出口温度95℃、アトマイザー回転数12000rpmの条件で粉末化し、ステロール含有粉末820g(ステロール類含有率9.3%)を得た。
得られた粉末は流動性良好で25℃の水に添加し、スターラーで攪拌すると約30秒で完全に分散、乳化し、不溶物は残存しなかった。この時、平均乳化粒子径は4.7μmであった。また、そのまま2時間放置しても油滴は認められなかった。
【0028】
比較例2
実施例2の予備乳化液をそのまま乳化液として用いた。この時の平均粒子径は12μmであった。この乳化液を用い、実施例2と同様に噴霧乾燥機(大川原化工機(株)製、LTB−8型)にて、熱風温度180℃、出口温度95℃、アトマイザー回転数12000rpmの条件で粉末化し、フィトステロール含有粉末480g(ステロール類含有率9.3%)を得た。
得られた粉末は流動性が悪く、また、粉末としての回収率は48%と低く、乾燥塔内への付着が多く認められた。また25℃の水に添加し、スターラーにて攪拌すると表面に油浮きし、一部不溶物が残存した。
この時、溶液の平均乳化粒子径は18μmであった。また、そのまま2時間放置しても不溶物は溶解しなかった。
【0029】
比較例3
実施例2で用いた原料のフィトステロールをそのまま25℃の水に添加すると、全く分散せず、水の表面に浮いたままであった。
【0030】
実施例3〜9、比較例4〜6
表1、表2に示す配合で、実施例3〜9、比較例4〜6の予備乳化液を調製した。この際、水は固形分100重量部に対して150重量部とし、30分間70℃で保温しながら攪拌を続け、予備乳化を行なった。この予備乳化液を高圧ホモジナイザーにて均質化圧1.96×107Pa(200kg/cm2)で均質化し、乳化液とした。この乳化液の乳化粒径を測定した。また、この乳化液を用い、噴霧乾燥機(大川原化工機(株)製、LTB−8型)にて熱風温度180℃、出口温度95℃、アトマイザー回転数12000rpmの条件で粉末化し、実施例3〜9、比較例4〜6のステロール含有粉末組成物を得た。実施例1と同様にして、作業時の作業性、粉末の物性などを評価した。
結果を表1、表2に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
表1、表2に記載のフィトステロールは、タマ生化学製フィトステロールF(商品名、純度93.2%)、フィトステロールエステルは、(株)八代製の抽出フィトステロールエステル(商品名、純度91.2%)を用いた。また、(B)成分のカゼインナトリウムは、中央商工(株)製インスタンラックS(商品名)、オクテニルコハク酸澱粉は、日本NSC製ピュリティガムBE(商品名)、アラビアガムは、三栄化学(株)製アラビックコールSS(商品名)をそれぞれ用いた。なお、表中に原料の重量部及び含有率を示した。ステロール類含量はガスクロマトグラフィー(GC)により測定し、また、ステロール類含有率(%)は、ステロール類配合率×ステロール類含量にて表した。
〔GC分析方法〕
この分析の際のGC条件は以下の通りとした。
GC使用機種:HP5890(ヒューレットパッカード社製)、
カラム:OV−1(30m×0.3mm)、
カラム温度:260℃、
キャリアガス:N2(50ml/min)。
表1、表2に記載の乳化・粉末時の作業性については、次の基準に基づいて評価を行なった。
<乳化・粉末時の作業性>
◎:良好=作業性、乳化性に問題なし、
○:やや良好=作業性、乳化性に微小の問題があるが問題ないレベル、
△:やや不良=作業性、乳化性に問題があり、安定した調製困難レベル、
×:不良=作業性、乳化性に問題があり調製できないレベル。
表1、表2に記載の粉末の物性については、次の基準に基づいて評価を行なった。
<粉末の物性>
◎:流動性良好、
○:若干ブロッキングなどが認められるが、傾けたり振動を与えると流動する、
△:ブロッキングがあり、流動しにくい、
×:流動不可、
−:試験せず(できず)。
また、表1、表2に記載の総合判定については、次の表3に示す基準に基づいて判定を行なった。
【0034】
【表3】
【0035】
実施例10
乳糖(レプリノフーズ製)290g、デキストリン(松谷化学(株)製、商品名;パインデックス♯2)50g、オクテニルコハク酸澱粉(日本NSC製、商品名;ピュリティガムBE)160gを水1200gに溶解し、加熱して完全に溶解させた。これに対し、抽出フィトステロールエステル((株)八代製、商品名、純度91.2%)500gを加熱溶解した後、徐々に添加し、全量添加後、30分間70℃で保温しながら攪拌を続け、予備乳化を行なった。この予備乳化液を高圧ホモジナイザーにて均質化圧1.96×107Pa(200kg/cm2)で均質化し、乳化液とした。この乳化液を用い、噴霧乾燥機(大川原化工機(株)製:LTB−8型)にて熱風温度180℃、出口温度95℃、アトマイザー回転数12000rpmの条件で粉末化し、実施例3と同様にステロール含有粉末組成物を得た。作業時の作業性、粉末の物性などを実施例3と同様に評価した。評価の結果も併せて表1に示す。
【0036】
このステロールエステル含有粉末組成物を用いて、以下の打錠試験を行なった。
ここで、打錠方法及び打錠の評価方法を示す。
1.打錠方法
ロータリー打錠機((株)菊水製作所製、CLEANPRESS CORRECT 12HUK)を用いて8mmφ、12Rの杵、ターンテーブル回転速度25rpmで打錠し、重量200mgの錠剤を得た。なお、打錠圧力は一定の7.84×107Pa(800kg/cm2)であった。
2.打錠性の評価方法
打錠性の評価は、前記「1.打錠方法」に記載した方法により錠剤を100錠成形した後、打錠障害であるキャッピング、ラミネーティング、バインディング、スティッキングの各項目について目視で観察し、その錠剤がいくつ観察できるかを数字で表す。
また、錠剤硬度は富士薬品機械製錠剤硬度計を用い、錠剤の側面を縦にし、圧力を加え、錠剤崩壊時の圧力を測定した。
【0037】
ここで、前記の各項目について説明する。
キャッピングとは、錠剤の凸部が帽子状に剥離する現象をいう。
ラミネーティングとは、錠剤が層状に割れる現象をいう。
バインディングとは、錠剤の表面の一部が、杵、臼またはロールに付着する現象をいう。
スティッキングとは、杵、臼面に粉末が付着し、錠剤の表面が曇ったり、あばたを生じる現象をいう。
【0038】
実施例11
表4の配合に示すように、フィトステロール含有粉末10重量部、乳糖50重量部(旭化成(株)製、商品名;SUPER−TAB)、結晶セルロース39重量部(旭化成(株)製、商品名;セオラスST−2)、ショ糖脂肪酸エステル1重量部(三菱化学フーズ(株)製、商品名;シュガーエステルS370F)をよく混合し、得られた混合粉末を原料として前記「1.打錠方法」に記載した方法で錠剤を成形した。結果を表4に示す。混合粉末の流動性はよく、打錠操作も容易であった。なお、打錠圧力は一定の7.84×107Pa(800kg/cm2)であった。
得られた100錠のキャッピング、ラミネーティング、バインディング、スティッキングはいずれもほぼ観察されず良好な状態の錠剤であった。
【0039】
実施例12〜14
表4に示す配合に変更した以外は、実施例1と同様にして、打錠成形を行なった。結果を表4に示す。
混合粉末の流動性はよく、打錠操作も容易であった。
得られた100錠のキャッピング、ラミネーティング、バインディング、スティッキングはいずれもほぼ観察されず良好な状態の錠剤であった。
【0040】
比較例7〜11
表5に示す配合に変更した以外は、実施例10と同様にして、打錠を行なった。
混合粉末の流動性は悪く、打錠操作も難であった。一部については打錠可能なものも観察されたが、大部分がバインディングなどの打錠障害が生じ、打錠できなかった。また、比較例10は打錠原料の粉体にほとんど流動性が見られず、打錠機に入れることが不能であった。
結果を表5に示す。
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
以上の結果から、比較例1〜11に比べて、実施例1〜10は、得られたステロール類含有粉末組成物の粉末の物性が良好であることがわかる。
また、本発明の組成の範囲外である比較例7〜11に比べて、実施例10の粉末を用いた実施例11〜14は、連続打錠適性の点で優れていることがわかる。
Claims (12)
- (A)ステロール類、(B)糖質またはタンパク質を必須成分とするステロール類含有粉末組成物であって、粉末組成物100重量部中、(A)成分が0.01〜85重量部を(B)成分1〜50重量部により被覆されてなるステロール類含有粉末組成物。
- (A)成分のステロール類が、植物より抽出された天然ステロール混合物であるフィトステロール、カンペステロール、βシトステロール、ステグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、及びこれらのエステルからなる群より選択される1種または2種以上である請求項1に記載のステロール類含有粉末組成物。
- (B)成分の糖質が、プルラン、アラビアガム、キサンタンガム及びオクテニルコハク酸澱粉からなる群より選択される1種または2種以上であり、また、(B)成分のタンパク質が、ゼラチン、ラクトアルブミン、ホエイタンパク質、酸カゼイン、カゼインナトリウム、大豆タンパク質、コムギタンパク質またはこれらの成分の分解物から選択される1種または2種以上である請求項1または2に記載のステロール類含有粉末組成物。
- (A)ステロール類、(B)糖質またはタンパク質を必須成分とするステロール類含有粉末組成物であって、水に完全に分散させたときの乳化粒子の平均粒子径が5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のステロール類含有粉末組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のステロール類含有粉末組成物を含むステロール類含有圧縮成形物。
- ステロール類含有粉末組成物を、圧縮成形物100重量部に対して、0.01〜50重量部含むことを特徴とする請求項5に記載のステロール類含有圧縮成形物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のステロール類含有粉末組成物の製造方法であって、(B)成分を溶解した溶媒中に(A)成分を乳化させて水中油型乳化液とし、該乳化液を乾燥することにより得られるステロール類含有粉末組成物の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のステロール類含有粉末組成物の製造方法であって、(B)成分を溶解した溶媒中に(A)成分を乳化させて水中油型乳化液としたとき、該乳化液中の乳化粒子径を攪拌または均質化の操作で5μm以下に調製し、これを乾燥することにより得られるステロール類含有粉末組成物の製造方法。
- (B)成分を溶解する溶媒が、水またはエタノールである請求項7または8に記載のステロール類含有粉末組成物の製造方法。
- 請求項7〜9のいずれか1項に記載の製造方法で得られるステロール類含有粉末組成物を含む粉末を圧縮成形することによるステロール類含有圧縮成形物の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のステロール類含有粉末組成物を含む食品。
- 請求項5または6に記載のステロール類含有圧縮成形物を含む食品。
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