JP2009123727A - 非接触伝送装置およびコア - Google Patents

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Abstract

【課題】非接触伝送装置の1次側コアのみで磁束が閉ループしてしまうのを防ぎ、電子機器への非接触による充電電力または情報の伝送量を向上させる。
【解決手段】非接触伝送装置において、中央付近に凸部110を有し、凸部110の底部から延在し凸部110の周面を内包する周壁部120が設けられた1次側コア100と、凸部110に巻装された1次側コイル101とを備え、1次側コア100は、周壁部120の上側端部から凸部110の上面近傍であって、凸部110の上面より高い位置に設置された拡幅部130を含み、1次側コイル101は、1次側コア100とともに磁束を発生させることにより、前記拡幅部の内縁部に囲まれた内部にあって、かつ凸部110から所定距離にある電子時計500の2次側コイル501に誘導起電力を発生させて充電電力または情報を電子時計500に伝送する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子機器に対して非接触で充電電力または情報を伝送する非接触伝送装置およびコアに関するものである。
近年、電磁誘導などの非接触による方法で、電子機器に対して充電電力または情報を伝送する非接触伝送装置が開示されている。例えば、電子機器には電源として2次電池等の充電式電池が搭載されているものがあり、充電装置(非接触伝送装置)から該電子機器の2次電池等への充電方法としては、電磁誘導などの非接触による方法が一般的となってきている。該充電装置において、1次側コア(充電装置のコア)に設けられた周壁部の2次側コア(電子機器のコア)に対向する面24を内周に拡張して拡幅部を形成し、これによって磁束をループさせて、非接触エネルギーを伝送する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、図14、15は、従来技術の充電装置における1次側コアを示す説明図である。特許文献1のような従来技術では、図14に示すように、1次側コイル901および1次側コア900は充電装置の筐体950の内部に備えられ、2次側コイル1001は電子時計1000の内部に備えられている。そして、1次側コイル901が巻装された中央付近の凸部910から発生する磁束M11、M12が、電子時計1000の2次側コイル1001を鎖交することで2次側コイル1001に非接触エネルギーを伝送し、さらに磁束M11、M12が充電装置の1次側コア900の拡幅部930へ吸収されることで、磁束がループされるようになっている。
特開平8−78257号公報
ところで、上記のように、充電装置から電子機器に対して非接触によるエネルギー伝送が幅広く応用されてきたのは、エネルギーとなる電力が水などの液体と比較して気密性の確保が容易であるという利点を有しているからである。すなわち、非接触によるエネルギー伝送では、接触型のエネルギー伝送とは異なり接続部を露出する必要がないため、より気密性を確保するには、電子機器である電子時計や携帯電話等の筐体に、チタンやステンレスなどの金属を用いることが好ましく、特に電子時計に関しては、その筐体の一部である裏蓋にチタンを使用して構成するのが一般的である。
しかしながら、チタンの導電率は一般的に2.3E+06[1/Ω・m]であり、このような導電率の高い裏蓋に磁束を通過させようとすると、大きな渦電流が発生して磁束が妨げられるため、裏蓋への磁束の通過は困難であるという問題があった。
具体的には、例えば、電子機器を電子時計とした場合、図15に示すように、1次側コイル901で発生した磁束は、1次側コア900の中央付近の凸部910を介して2次側コイル1001に向かおうとする。しかし、2次側コイル1001の下方には電子時計1000の筐体の一部である裏蓋1010(材質:チタン)が存在するため、1次側コイル901で発生した磁束は、矢印M13、M14で示すように、その多くが1次側コア900の周壁部の拡幅部930に吸収されてしまい、電子機器への非接触によるエネルギー伝送が困難である。
従来技術の充電装置において、例えば、1次側コイルから発生する磁束を100とした場合2次側コイルに鎖交する磁束は約10程度であるものもあった。換言すると、1次側コイルから発生する磁束の1/10しか2次側コイルに鎖交することができないものもあった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、非接触伝送装置におけるコア(1次側コア)のみで磁束が閉ループしてしまうのを防ぐとともに、電子機器への非接触による充電電力または情報の伝送量を向上させる非接触伝送装置およびコアを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、充電電力または情報を非接触で電子機器に伝送する非接触伝送装置において、中央付近に凸部を有し、前記凸部の底部から延在し前記凸部の周面を内包する周壁部が設けられたコアと、前記凸部に巻装された第1コイルとを備え、前記コアは、前記周壁部の上側端部から前記凸部の上面近傍であって、前記凸部の上面より高い位置に設置された拡幅部を含み、前記第1コイルは、前記コアとともに磁束を発生させることにより、前記拡幅部の内縁部に囲まれた内部にあって、かつ前記凸部から所定距離にある前記電子機器の第2コイルに誘導起電力を発生させて前記充電電力または情報を前記電子機器に伝送することを特徴とする。
また、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の非接触伝送装置において、前記拡幅部は、前記凸部の上面と平行な上面が、前記電子機器の前記第2コイルの上面より高い位置に設置されていることを特徴とする。
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2に記載の非接触伝送装置において、前記拡幅部は、前記凸部の上面と平行な底面が、前記電子機器の前記第2コイルの底面より高い位置に設置されていることを特徴とする。
また、請求項4にかかる発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の非接触伝送装置において、前記拡幅部は、前記凸部の底面と略垂直な前記電子機器の側面に対向する端面が、前記側面のうち磁束密度が最も高くなる高さ位置に配置されていることを特徴とする。
また、請求項5にかかる発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の非接触伝送装置において、前記拡幅部は、前記凸部の底面と略垂直な前記電子機器の側面に対向する端面が、前記側面を通過した磁束の磁束密度が最も高くなる高さ位置に配置されていることを特徴とする。
また、請求項6にかかる発明は、第1コイルとともに磁束を発生させることにより、所定距離にある電子機器の第2コイルに誘導起電力を発生させて充電電力または情報を前記電子機器に非接触で伝送するコアにおいて、前記コアは、中央付近に凸部を有し、前記凸部の底部から延在し前記凸部の周面を内包する周壁部が設けられ、前記周壁部の上側端部から前記凸部の上面近傍であって、前記凸部の上面より高い位置に設置された拡幅部を含むことを特徴とする。
本発明によれば、非接触伝送装置におけるコア(1次側コア)のみで磁束が閉ループしてしまうのを防ぐとともに、電子機器への非接触による充電電力または情報の伝送量を向上させるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる非接触伝送装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。以下では、非接触伝送装置を電子機器に充電電力を送電する充電装置に適用した例を示すが、これに限定されることなく、充電電力または情報(例えば、現在の時刻を示す時刻情報、アラームを示すアラーム情報等)を伝送可能なものであれば、本発明の非接触伝送装置を適用することができる。また、以下では、非接触伝送装置としての充電装置に充電される電子機器を電子時計に適用した例を示すが、これに限定されることなく、例えば、携帯電話などの携帯機器や、電気シェーバー、電動歯ブラシなど2次電池を備えており、本発明の充電装置(非接触伝送装置)によって充電することが可能な機器や、非接触伝送装置から情報を伝授可能な機器であれば電子機器として適用可能である。
(実施の形態1)
本実施の形態にかかる充電装置は、AC電源等から供給された電力によって、電子時計(電子機器)に非接触で充電電力を送電するものである。図1は、実施の形態1にかかる充電装置の構成を示す説明図である。なお、図1では、充電装置における送電部分および電子時計における受電部分に関する構成を示しており、他の構成については省略している。図1に示すように、充電装置の送電部分は、凸部110、周壁部120、および拡幅部130とから構成された1次側コア100と、1次側コイル101とを主に備えている。
1次側コア100は、磁気特性をもった主成分が鉄系の金属で形成されたフェライトコアなどであり、上述したように凸部110、周壁部120、および拡幅部130とから構成されている。
凸部110は、1次側コア100の中央付近に設けられた円柱状の凸部である。
周壁部120は、凸部110の底部から外形方向に延在し、外縁部から略垂直に屈曲して形成されており、これによって凸部110の周面を内包している。
拡幅部130は、周壁部120の上側端部から凸部110の上面近傍に設けられており、凸部110の上面より高い位置に設置されている。すなわち、図1で示すように、拡幅部130は、凸部110の底面から上面までの高さh1と、凸部110の底面から拡幅部130の底面までの高さh2とがh1<h2の関係を満たすような位置に設置されている。このような構成にすることにより、従来技術と比較して充電電力の送電量を向上させることができる。
1次側コイル101は、1次側コア100における凸部110に巻装された電線であり、1次側コア100とともに磁束を発生させるものである。
電子時計500は、2次側コイル501を備えている。また、電子時計500は、拡幅部130の内縁部に囲まれた内部で、かつ凸部110から所定距離だけ上方にある場合において、充電装置により充電される。
2次側コイル501は、フェライトコア(不図示)に巻装した電線であり、1次側コイル101に発生した磁束により誘電起電力を発生するものである。
ここで、充電装置から電子時計500への充電方法について説明する。充電装置側では、AC電源等から供給された電力を交流電流から直流電流に整流し、整流された電力を交流電流に変換した後に、1次側コア100に巻装された1次側コイル101に供給し、1次側コア100と1次側コイル101とにより磁束を発生する。そして、電子時計500の2次側コイル501に交流電磁界(誘導起電力)を発生させることで、電子時計500に非接触で電力を送電する。
一方、電子時計500側では、1次側コイル101に発生した交流電磁界を検出し、当該交流電磁界に応じた誘導起電力を発生することで、充電装置から非接触で電力を受電する。そして、受電した電力を直流電流に整流し、充電電力として2次電池に蓄積する。
図1に示すように、1次側コイル101に発生した磁束は、凸部110の上面から矢印M1、M2へ向かって流れて、拡幅部130に吸収されることでループすることになる。従って、1次側コイル101に発生した磁束が、2次側コイル501に鎖交する量が多くなるため、電子時計500への充電電力の送電量を向上させることができる。
次に、本実施の形態の充電装置による充電電力の送電におけるシミュレーション解析と実機試験とを参照して、充電装置から電子時計500への充電電力の送電について説明する。図2は、実施の形態1の充電装置による充電電力の送電時における磁束密度分布を示す図である。図3は、従来技術の充電装置による充電電力の送電時における磁束密度分布を示す図である。なお、解析上のモデルは、円筒座標系による2次元解析を行っており、図2、3に示すモデルの各材質は、円筒もしくは円柱として解析している。
まず、図2に示すように、本実施の形態にかかる充電装置では、1次側コア100の凸部110では、磁束を発生させるため磁束密度が最も高く、拡幅部130に向かうに連れて、徐々に磁束密度が低くなっている。また、図2を参照すると、凸部110で発生した磁束の大部分が電子時計500の内部を通過して、拡幅部130に向かっていることがわかる。つまり、凸部110から発生した磁束の多くが2次側コイル501に鎖交しており、電子時計500への充電電力(非接触エネルギー)の送電量が多くなっていることがわかる。
一方、図3に示すように、従来技術の充電装置(図14参照)では、1次側コア900の凸部910では、上記と同じく磁束を発生させるため磁束密度が最も高く、拡幅部930に向かうに連れて、徐々に磁束密度が低くなっている。しかし、図3を参照すると、凸部910で発生した磁束の大部分は、電子時計1000まで到達せず、電子時計1000の下方を通って拡幅部930に向かっていることがわかる。つまり、凸部910から発生した磁束の多くが2次側コイル1001に鎖交せず、拡幅部930にそのまま向かってしまうため、電子時計1000への充電電力の送電量が、本実施の形態にかかる充電装置における電子時計500への充電電力の送電量と比較して少ないことがわかる。
図4は、実施の形態1の充電装置と従来技術の充電装置による2次側コイルに流れた電流を示すグラフである。図4のグラフでは、横軸に時間(t)を、縦軸に電流(I)をとっており、波形P1は本実施の形態の充電装置による2次側コイルに流れた電流を示しており、波形P2は従来技術の充電装置による2次側コイルに流れた電流を示している。図4を参照すると、本実施の形態の充電装置は、従来技術の充電装置と比較して波形の触れ幅が大きく、2次側コイルに約10%多い電流が流れていることがわかる。
なお、1次側コイル101には23.8(kHz)のsin波を印加しており、2次側コイルで鎖交する電流もsin波となっている。また、本実施の形態に記載した1次側コイル101や2次側コイル501は円柱形状となっているが、これらの構成を使用した場合に限定される解析や実機試験ではない。
このように、本実施の形態の充電装置では、拡幅部130を凸部110の上面より高い位置に設置することで、拡幅部130と凸部110の間にある2次側コイル501に鎖交する磁束の量を増加させ、充電装置における1次側コア100のみで磁束が閉ループしてしまうのを防ぐとともに、電子時計500への非接触による充電電力の送電量を向上させることができる。また、充電電力の送電量が向上すると、充電時間を短縮することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1にかかる充電装置では、拡幅部130が凸部110の上面より高い位置に設置されていたが、本実施の形態では、さらに充電装置の拡幅部と電子時計の2次側コイルとの配置関係を明確にした例を示す。
図5は、実施の形態2にかかる充電装置の構成を示す説明図である。なお、図5では、充電装置における送電部分および電子時計における受電部分に関する構成を示しており、他の構成については省略している。図5に示すように、受電装置の送電部分は、凸部110、周壁部220、および拡幅部230とから構成された1次側コア200と、1次側コイル101とを主に備えている。ここで、凸部110と1次側コイル101の構成および機能は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。また、図5に示す電子時計500の構成および機能についても実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
1次側コア200は、磁気特性をもった主成分が鉄系の金属で形成されたフェライトコアなどであり、上述したように凸部110、周壁部220、および拡幅部230とから構成されている。
周壁部220は、凸部110の底部から延在し、凸部110の周面を内包するように略垂直に屈曲されて形成されている。
拡幅部230は、周壁部220の上側端部から凸部110の上面近傍に設けられており、凸部110の上面より高い位置に設置されている。
また、拡幅部230は、凸部110の上面と平行する上面が、電子時計500の2次側コイル501の上面より高い位置に設置されている。すなわち、拡幅部230は、凸部110の底面から拡幅部230の上面までの高さ(h3)が、凸部110の底面から2次側コイル501の上面までの高さ(h4)より高くなる位置に設置されており、h3>h4の関係を満たしている。
また、拡幅部230は、凸部110の上面と平行する底面が、電子時計500の2次側コイル501の底面より高い位置に設置されている。すなわち、拡幅部230は、凸部110の底面から拡幅部230の底面までの高さ(h5)が、凸部110の底面から2次側コイル501の底面までの高さ(h6)より高くなる位置に設置されており、h5>h6の関係を満たしている。
なお、拡幅部230が、h3>h4、かつh5>h6を満たす関係で設置されている場合をパターン3とし、このような構成にすることによって、従来技術と比較して充電電力の送電量を向上させることができる。また、最良の形態としては、拡幅部230がh3>h4、かつh5>h6を満たす関係(パターン3)が望ましいが、例えば、h3>h4、かつh5<h6を満たす関係(パターン4と称する)、またはh3<h4、かつh5>h6を満たす関係(パターン5と称する)というように、どちらか一方の条件を満たす場合でも、従来技術と比較して充電電力の送電量を向上させることができる。
図6−1は、実施の形態2の充電装置と従来技術の充電装置による2次側コイルに流れた電流の電流値を示すグラフである。また、図6−2は、図6−1におけるW1部分を示す拡大図である。図6−1のグラフでは、横軸は時間(t)を示し、縦軸に電流値(I[A])を示しており、波形P3は本実施の形態の充電装置がパターン3である場合の2次側コイルに流れた電流を示しており、波形P4は本実施の形態の充電装置がパターン4である場合の2次側コイルに流れた電流を示しており、波形P5は本実施の形態の充電装置がパターン5である場合の2次側コイルに流れた電流を示しており、波形P10は従来技術の充電装置による2次側コイルに流れた電流を示している(図6−2参照)。
図6−1、6−2を参照すると、本実施の形態の充電装置(パターン3)は、従来技術の充電装置と比較して波形の触れ幅が大きく、2次側コイルに約10%多い電流が流れている。また、本実施の形態の充電装置(パターン4)は、従来技術の充電装置と比較して2次側コイルに約9.6%多い電流が流れており、本実施の形態の充電装置(パターン5)は、従来技術の充電装置と比較して2次側コイルに約9.0%多い電流が流れている。
このように、本実施の形態にかかる充電装置では、拡幅部230は、凸部110の上面と平行する上面が2次側コイル501の上面より高い位置に設置され、かつ凸部110の上面と平行する底面が2次側コイル501の底面より高い位置に設置されることで、拡幅部230と凸部110の間にある2次側コイル501に鎖交する磁束の量を増加させ、充電装置における1次側コア200のみで磁束が閉ループしてしまうのを防ぐとともに、電子時計500への非接触による充電電力の送電量をさらに向上させることができる。また、充電電力の送電量が向上すると、充電時間を短縮することができる。
(実施の形態3)
実施の形態1にかかる充電装置では、拡幅部130が凸部110の上面より高い位置に設置されていたが、本実施の形態では、さらに充電装置の拡幅部が電子時計における磁束密度が最も高くなる高さ位置に配置した例を示す。
図7は、実施の形態3にかかる充電装置の構成を示す説明図である。なお、図7では、充電装置における送電部分および電子時計における受電部分に関する構成を示しており、他の構成については省略している。図7に示すように、受電装置の送電部分は、凸部110、周壁部320、および拡幅部330とから構成された1次側コア300と、1次側コイル101とを主に備えている。ここで、凸部110と1次側コイル101の構成および機能は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。また、図7に示す電子時計600の構成および機能についても実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
1次側コア300は、磁気特性をもった主成分が鉄系の金属で形成されたフェライトコアなどであり、上述したように凸部110、周壁部320、および拡幅部330とから構成されている。
周壁部320は、凸部110の底部から延在し、凸部110の周面を内包するように略垂直に屈曲されて形成されている。
拡幅部330は、周壁部320の上側端部から凸部110の上面近傍に設けられており、凸部110の上面より高い位置に設置されている。
また、拡幅部330は、凸部110の底面と略垂直な電子時計600の側面に対向する端面が、該側面のうち磁束密度が最も高くなる高さ位置、または該側面を通過した磁束の磁束密度が最も高くなる高さ位置に配置されている。具体的には、例えば、図7に示すように、電子時計600における筐体部の側面は凹んだ形状に形成されている(凹形状D1)。そして、凸部110の底面から凹形状D1の底面までの高さがh7で、凸部110の底面から凹形状D1の上面までの高さがh8であった場合、拡幅部330を、凸部110の底面と略垂直な電子時計600の側面に対向する端面が、電子時計600の側面における磁束密度が最も高くなる高さの範囲であるh7〜h8の間の高さ位置に配置する。
ここで、電子時計600の側面の磁束密度の高低について、実機試験を実施した結果を参照して説明する。図8は、実機試験において使用した1次側コアの説明図である。図8に示す1次側コアのモデル700は、本実施の形態の充電装置や従来技術の充電装置における構成とは異なっており、円柱状もしくは円筒状に形成され、周りに1次側コイル701が巻装されている。また、図9−1は、電子時計の側面の断面図である。図9−2は、電子時計の側面の正面図である。図9−1、9−2に示すように、電子時計600の側面は凹形状D2に形成されており、1次側コアのモデル700の底面から凹形状D2の底面までの高さをh7とし、1次側コアのモデル700の底面から凹形状D2の上面までの高さをh8とする。そして、凹形状D2の上面を形成する部分の側面を側面A、凹形状D2の側面を側面B、凹形状D2の底面を形成する部分の側面を側面Cとする。
この1次側コアのモデル700において、電子時計600の凹形状D2付近の磁束密度分布を調べたところ、図10に示す結果が得られた。図10は、電子時計の凹形状D2付近の磁束密度を示す図である。図10では、凹形状D2付近で最も磁束密度の高い場所は側面Bであり、磁束密度の低い場所は側面Aおよび側面Cという結果となっている。つまり、本実施の形態では、側面Bに相当する凹形状D1の側面の高さ位置に拡幅部330を配置することで、電子時計600の側面における磁束密度が最も高い位置に配置することができる。なお、図10に示す側面A〜Cにおける磁束密度は、それぞれの範囲に発生している磁束密度の平均を表したものである。
ここで、拡幅部の位置は、側面A〜Cのみの磁束密度に限定することはなく、側面A〜C付近の空気中において、最も磁束密度が高くなる高さ位置に設置しても良い。さらに、本実施の形態ではh7〜h8の範囲内において拡幅部330の高さ位置を定めているが、h7〜h8の距離が極端に小さい場合などは、拡幅部330の高さの中心をh7とh8の高さの中心付近に合わせることで適応可能としている。
次に、本実施の形態の充電装置による充電電力の送電におけるシミュレーション解析と実機試験とを参照して、充電装置から電子時計600への充電電力の送電について説明する。図11は、実施の形態3の充電装置による充電電力の送電時における磁束密度分布の一例を示す図である。図12は、実施の形態3の充電装置による充電電力の送電時における磁束密度分布の他の一例を示す図である。また、図13は、実施の形態3の充電装置と従来技術の充電装置による2次側コイルに流れた電流を示すグラフである。図13のグラフでは、横軸に時間(t)を、縦軸に電流(I)をとっており、波形P6は図11の充電装置による2次側コイルに流れた電流を示しており、波形P7は図12の充電装置による2次側コイルに流れた電流を示している。
図11を参照すると、1次側コア300の凸部110から発生した磁束が、2次側コイル601に鎖交して、電子時計600の筐体の側面から1次側コア300の拡幅部330に吸収されている状態が把握できる。また、図12では、1次側コア300の拡幅部330の高さ位置を図11における拡幅部330より若干降下させて設置した場合であり、1次側コア300の凸部110から発生した磁束が、2次側コイル601に鎖交して、電子時計600の筐体の側面から1次側コア300の拡幅部330に吸収されているが、図12において電子時計600を通過する磁束は、図11における電子時計600を通過する磁束と比較すると少なくなっている。従って、図11の充電装置の拡幅部330より、図12の充電装置の拡幅部330の方が、吸収する磁束の磁束密度が低くなる(劣る)結果となっている。すなわち、図12の充電装置は、図11の充電装置と比較して、電子時計600の内部を通過する磁束が少なくなっているため、充電電力の送電量も少なくなっている。
これを踏まえて図13を参照すると、図11および図12の充電装置の構成の電流を比較した場合、図11の充電装置の構成の方が、図12の充電装置の構成より約3%多い電流が流れていることがわかる。このようにして磁束密度の最も高くなる高さ位置を割り出して、その高さ位置に拡幅部330を配置することにより、より多くの充電電力を電子時計に送電することができる。従って、本実施の形態の実機試験の結果を参照した場合、充電装置を図12の構成ではなく、図11の構成とすれば、電子時計600の側面における磁束密度が最も高くなる高さ位置に、拡幅部330を配置することができる。
このように、本実施の形態の充電装置では、拡幅部330を電子時計600における磁束密度が最も高くなる高さ位置に配置することで、拡幅部330と凸部110の間にある2次側コイル601に鎖交する磁束の量を増加させ、充電装置における1次側コア200のみで磁束が閉ループしてしまうのを防ぐとともに、電子時計600への非接触による充電電力の送電量をさらに向上させることができる。また、充電電力の送電量が向上すると、充電時間を短縮することができる。
実施の形態1にかかる充電装置の構成を示す説明図である。 実施の形態1の充電装置による充電電力の送電時における磁束密度分布を示す図である。 従来技術の充電装置による充電電力の送電時における磁束密度分布を示す図である。 実施の形態1の充電装置と従来技術の充電装置による2次側コイルに流れた電流を示すグラフである。 実施の形態2にかかる充電装置の構成を示す説明図である。 実施の形態2の充電装置と従来技術の充電装置による2次側コイルに流れた電流の電流値を示すグラフである。 図6−1におけるW1部分を示す拡大図である。 実施の形態3にかかる充電装置の構成を示す説明図である。 実機試験において使用した1次側コアの説明図である。 電子時計の側面の断面図である。 電子時計の側面の正面図である。 電子時計の凹形状D2付近の磁束密度を示す図である。 実施の形態3の充電装置による充電電力の送電時における磁束密度分布の一例を示す図である。 実施の形態3の充電装置による充電電力の送電時における磁束密度分布の他の一例を示す図である。 実施の形態3の充電装置と従来技術の充電装置による2次側コイルに流れた電流を示すグラフである。 従来技術の充電装置における1次側コアを示す説明図である。 従来技術の充電装置における1次側コアを示す説明図である。
符号の説明
100,200,300 1次側コア
101 1次側コイル
110 凸部
120,220,320 周壁部
130,230,330 拡幅部
500,600 電子時計
501,601 2次側コイル
700 1次側コアのモデル
701 1次側コイル

Claims (6)

  1. 充電電力または情報を非接触で電子機器に伝送する非接触伝送装置において、
    中央付近に凸部を有し、前記凸部の底部から延在し前記凸部の周面を内包する周壁部が設けられたコアと、
    前記凸部に巻装された第1コイルとを備え、
    前記コアは、前記周壁部の上側端部から前記凸部の上面近傍であって、前記凸部の上面より高い位置に設置された拡幅部を含み、
    前記第1コイルは、前記コアとともに磁束を発生させることにより、前記拡幅部の内縁部に囲まれた内部にあって、かつ前記凸部から所定距離にある前記電子機器の第2コイルに誘導起電力を発生させて前記充電電力または情報を前記電子機器に伝送することを特徴とする非接触伝送装置。
  2. 前記拡幅部は、前記凸部の上面と平行な上面が、前記電子機器の前記第2コイルの上面より高い位置に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の非接触伝送装置。
  3. 前記拡幅部は、前記凸部の上面と平行な底面が、前記電子機器の前記第2コイルの底面より高い位置に設置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の非接触伝送装置。
  4. 前記拡幅部は、前記凸部の底面と略垂直な前記電子機器の側面に対向する端面が、前記側面のうち磁束密度が最も高くなる高さ位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の非接触伝送装置。
  5. 前記拡幅部は、前記凸部の底面と略垂直な前記電子機器の側面に対向する端面が、前記側面を通過した磁束の磁束密度が最も高くなる高さ位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の非接触伝送装置。
  6. 第1コイルとともに磁束を発生させることにより、所定距離にある電子機器の第2コイルに誘導起電力を発生させて充電電力または情報を前記電子機器に非接触で伝送するコアにおいて、
    前記コアは、中央付近に凸部を有し、前記凸部の底部から延在し前記凸部の周面を内包する周壁部が設けられ、前記周壁部の上側端部から前記凸部の上面近傍であって、前記凸部の上面より高い位置に設置された拡幅部を含むことを特徴とするコア。
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