JP2009122228A - 表示装置及び表示装置の駆動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機EL素子によるアクティブマトリックス型の表示装置に適用して正しく駆動トランジスタのしきい値電圧のばらつきを補正する。
【解決手段】信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧(Vg−Vs)を駆動トランジスタのしきい値電圧Vth以上に設定した後、複数回の期間に分けて、この信号レベル保持用コンデンサの蓄積電荷を駆動トランジスタにより放電させて信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧(Vg−Vs)を駆動トランジスタのしきい値電圧Vthに設定する際に、始めの期間Tth1で発光素子のカソード電圧CATHを立ち上げて短時間で信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧(Vg−Vs)が駆動トランジスタのしきい値電圧Vthとなるように設定した後、カソード電圧CATHを元の電圧に戻して最終的に信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧(Vg−Vs)を駆動トランジスタのしきい値電圧Vthに設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、表示装置及び表示装置の駆動方法に関し、例えば有機EL(Electro Luminescence)素子によるアクティブマトリックス型の表示装置に適用することができる。本発明は、信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を駆動トランジスタのしきい値電圧以上に設定した後、複数回の期間に分けて、この信号レベル保持用コンデンサの蓄積電荷を駆動トランジスタにより放電させて信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を駆動トランジスタのしきい値電圧に設定する際に、始めの期間で発光素子のカソード電圧を立ち上げて短時間で信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧が駆動トランジスタのしきい値電圧となるように設定した後、カソード電圧を元の電圧に戻して最終的に信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を駆動トランジスタのしきい値電圧に設定することにより、複数回に分けて駆動トランジスタのしきい値電圧のばらつきを補正する場合でも、正しく駆動トランジスタのしきい値電圧のばらつきを補正することができるようにする。
従来、有機EL素子を用いたアクティブマトリックス型の表示装置は、有機EL素子による画素と有機EL素子を駆動する駆動回路とによる画素回路をマトリックス状に配置して表示部が形成され、この表示部の周囲に配置した水平駆動回路及び垂直駆動回路により各画素回路を駆動して所望の画像を表示している。
この有機EL素子を用いた表示装置に関して、特開2005−345722号公報には、有機EL素子を駆動する駆動トランジスタのしきい値電圧のばらつきを補正して各画素の階調を設定することにより、このしきい値電圧のばらつきによる画質劣化を防止し、Nチャンネル型のトランジスタを使用する場合でも、高い画質を確保することが可能な構成が提案されている。また特開2007−133284号公報には、このしきい値電圧のばらつきを補正する処理を複数回に分けて実行する構成が提案されている。この特開2007−133284号公報には、さらに有機EL素子を駆動するトランジスタの移動度のばらつきによる画質劣化を防止する方法も開示されている。
ここで図4は、この特開2005−345722号公報に開示の表示装置を示す接続図である。この表示装置1は、水平セレクタ(HSEL)2により水平駆動回路3が構成され、またドライブスキャナ(DSCN)4A、ライトスキャナ(WSCN)4B、第1及び第2のオートゼロスキャナ(AZCN1及びAZCN2)4C及び4Dにより垂直駆動回路5が構成される。
ここで水平セレクタ2は、表示部6の信号線SIGにそれぞれ対応する複数のラッチ回路で入力画像データD1を順次ラッチすることにより、この画像データD1を各信号線SIGに振り分ける。また各信号線SIGに振り分けた画像データD1をそれぞれディジタルアナログ変換処理し、各信号線SIGに接続された各画素の階調を順次示す駆動信号Ssigを信号線SIG毎に生成する。水平セレクタ2は、この駆動信号Ssigを対応する信号線SIGに出力する。
ライトスキャナ4A、ドライブスキャナ4B、第1及び第2のオートゼロスキャナ4C及び4Dは、それぞれ図示しない信号生成回路で生成された基準信号を順次転送することにより、各走査線の駆動信号DS、WS、AZ1、AZ2を生成し、この駆動信号DS、WS、AZ1、AZ2をそれぞれ対応する走査線に出力する。
表示部6は、所定の画素回路7をマトリックス状に配置して形成される。ここで画素回路7は、信号レベル保持用コンデンサC1の両端をそれぞれゲート及びソースに接続したソースフォロワ回路構成のNMOSトランジスタTR1(以下、駆動トランジスタと呼ぶ)により、電流駆動型の発光素子である有機EL素子8を駆動する。なおここでCpは、有機EL素子8の容量成分である。またVcatは、有機EL素子8のカソード電圧である。
この駆動トランジスタTR1は、ドライブスキャナ4Bから出力される駆動信号であるドライブ信号DSによりオンオフ動作するNMOSトランジスタTR2を介して、駆動用電源Vccにドレインが接続される。これにより画素回路7は、ドライブ信号DSによるトランジスタTR2のオンオフ制御により駆動トランジスタTR1への電源Vccの供給が制御され、発光、非発光が制御される。
またこの駆動トランジスタTR1は、それぞれ第1及び第2のオートゼロスキャナ4C及び4Dから出力される駆動信号である第1及び第2のオートゼロ信号AZ1及びAZ2によりオンオフ動作するNMOSトランジスタTR3及びTR4を介して、ゲート及びソースが第1及び第2の基準電源Vini及びVss2に接続される。これにより画素回路7は、これら第1及び第2のオートゼロ信号AZ1及びAZ2によるトランジスタTR3及びTR4の制御により信号レベル保持用コンデンサC1の両端電位をそれぞれ基準電圧Vini及びVss2に設定する。
また駆動トランジスタTR1は、ライトスキャナ4Aから出力される駆動信号である書込み信号WSによりオンオフ動作するNMOSトランジスタTR5を介して、ゲートが信号線SIGに接続される。これにより画素回路7は、この書込み信号WSによるトランジスタTR5の制御により信号線SIGに出力される駆動信号Ssigの電圧が信号レベル保持用コンデンサC1の一端に設定される。
ここで図5は、この画素回路7の動作の説明に供するタイムチャートである。ここで表示部6は、図5(A)において信号書き込みにより駆動トランジスタTR1への信号線SIGの接続を示すように、フレーム単位のライン順次により各画素回路7の階調が設定される。各画素回路7は、この階調を設定する1水平走査期間(1H)の前後、一定の期間が非発光期間T1に設定され、残りが発光期間T2に設定される(図5(B))。
画素回路7は、非発光期間T1が時点t1により開始すると、第1及び第2のオートゼロ信号AZ1及びAZ2によりトランジスタTR3及びTR4がオン状態に設定され(図5(C)及び(D))、駆動トランジスタTR1のゲート電圧Vg及びソース電圧Vs(図5(E)及び(F))がそれぞれ基準電圧Vss2及びViniに設定される。ここで基準電圧Vss2及びViniは、電位差Vss2−Viniが駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthより十分に大きな電圧に設定される。これにより画素回路7は、信号レベル保持用コンデンサC1の両端電位差が駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthより大きな電圧に設定される。
続いて画素回路7は、時点t2において、第1のオートゼロ信号AZ1が立ち下げられ、駆動トランジスタTR1のソース側トランジスタTR3がオフ状態に設定される。これにより画素回路7は、駆動トランジスタTR1のゲートソース間電圧Vgsに応じた駆動電流が駆動トランジスタTR1のソースから流出する。ここで駆動トランジスタTR1のゲート側基準電圧Vss2は、この駆動トランジスタTR1による駆動電流が信号レベル保持用コンデンサC1の有機EL素子8側端を充電するように、すなわち有機EL素子8のカソード電圧Vcatに比して有機EL素子8のアノード電圧を十分に低い電圧に保持する電圧に設定される。これにより画素回路7は、信号レベル保持用コンデンサC1の蓄積電荷が駆動トランジスタTR1により放電して信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が徐々に低下し、この端子間電圧が駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthとなると、駆動トランジスタTR1がオフ状態に動作を切り換え、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧の低下が停止する。これにより画素回路7は、信号レベル保持用コンデンサC1の両端電位差が駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthに設定される。
画素回路7は、続く時点t3において、第2のオートゼロ信号AZ2が立ち下げられて、駆動トランジスタTR1のゲート側トランジスタTR4がオフ状態に設定され、またドライブ信号DSが立ち下げられて、駆動トランジスタTR1への電源Vccの供給が停止される。また続く時点t4で、書込み信号WSが立ち上げられてトランジスタTR5がオン状態に設定され、これにより駆動トランジスタTR1のゲートが信号線SIGに接続される。画素回路7は、所定のタイミングで書込み信号WSが立ち下げられてトランジスタTR5がオフ状態に設定され、これにより信号線SIGに出力される駆動信号Ssigの電圧Vsigが信号レベル保持用コンデンサC1の一端にホールドされる。これにより画素回路7は、信号レベル保持用コンデンサC1に設定された駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthにより補正して、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が駆動信号Ssigの電圧Vsigに応じた電圧に設定される。
画素回路7は、発光期間T2の開始時点t5でトランジスタTR1への電源Vccの供給が開始される。これにより画素回路7は、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧によるゲートソース間電圧Vgsにより有機EL素子8を電流駆動し、有機EL素子8の容量Cpによるブートストラップ動作により有機EL素子8を発光させる。なおここでこの駆動トランジスタTR1による有機EL素子8の駆動電流Idsは、次式により表される。ここでVgsは、駆動トランジスタTR1のゲートソース間電圧であり、信号レベル保持用コンデンサC1の両端電圧差である。またμはトランジスタTR1の移動度、WはトランジスタTR1のチャンネル幅、LはトランジスタTR1のチャンネル長、CoxはトランジスタTR1の単位面積当りのゲート絶縁膜の容量、VthはトランジスタTR1のしきい値電圧である。
Figure 2009122228
この図4及び図5の構成によれば、駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthで補正して信号線SIGに出力される駆動信号Ssigの電圧Vsigを信号レベル保持用コンデンサC1に設定することにより、駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthのばらつきによる画質の劣化を防止することができる。
ところでこの図4に示す構成では、事前に、信号レベル保持用コンデンサC1の両端電圧を基準電位Vini及びVss2に設定して信号レベル保持用コンデンサC1の両端電位差Vss2−Viniを駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthより十分に大きな電圧に設定した後、信号レベル保持用コンデンサC1の両端電位差を駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthに設定する。
この事前に、信号レベル保持用コンデンサC1の両端電圧を基準電位Vini及びVss2に設定する処理のうち、駆動トランジスタTR1のゲート側電圧Vss2の設定については、トランジスタTR5を介して信号線SIGにより実行することもでき、この場合、トランジスタTR4を省略して画素回路7の構成を簡略化することができる。また駆動トランジスタTR1のソース側電圧Viniの設定については、電源電圧Vccの立ち下げにより設定できると考えられる。このようにすれば画素回路を構成するトランジスタ数を低減することができ、表示部を一段と高解像度化することができると考えられる。またこの場合に、特開2007−133284号公報に開示の手法を適用して、信号レベル保持用コンデンサC1に駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthを設定する処理を複数回に分けて実行すれば、高解像度化により動作周波数を高周波数化する場合でも、しきい値電圧Vthを設定する時間を十分に確保することができ、駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthのばらつきによる画質劣化を確実に防止できると考えられる。また併せて特開2007−133284号公報に開示の駆動トランジスタの移動度のばらつきによる画質の劣化を防止する手法を適用して、一段と画質を向上できると考えられる。
図6は、これらの点を考慮して考えられる表示装置を示すブロック図である。この表示装置11は、所定の絶縁基板上に表示部12が作成され、この表示部12の周囲に水平駆動回路13及び垂直駆動回路14が設けられる。水平駆動回路13には、水平セレクタ(HSEL)15が設けられ、また垂直駆動回路14には、ライトスキャナ(WSCN)16A、ドライブスキャナ(DSCN)16Bが設けられる。
水平セレクタ(HSEL)15は、水平セレクタ2と同様にして各信号線SIGに画像データD1を振り分けてディジタルアナログ変換処理する。水平セレクタ15は、所定の固定電圧Vofsとこのディジタルアナログ変換結果とを交互に出力することにより、固定電圧Vofsを間に挟んで、信号線SIGに接続された各画素の階調を示す階調電圧Vsigの連続による駆動信号Ssigを各信号線SIGに出力する(図8(C)参照)。
ライトスキャナ16A、ドライブスキャナ16Bは、それぞれ図示しない信号生成回路で生成された基準信号を順次転送することにより、各走査線の駆動信号DS、WSを生成し、この駆動信号DS、WSをそれぞれ対応する走査線に出力する。
表示部12は、画素回路(PIX)17をマトリックス状に配置して作成される。ここで図7に示すように、画素回路17は、信号レベル保持用コンデンサC1への基準電圧の設定に係るトランジスタTR3及びTR4が省略された点、このトランジスタTR3及びTR4の省略に関連する構成が異なる点を除いて、図4の画素回路7と同一に構成される。
図8に示すように、各画素回路17は、有機EL素子8の発光を停止させる非発光期間T1が時点t1で開始すると、ドライブ信号DSの電圧が発光期間T2の電圧Vccから基準電圧設定用電圧Viniに立ち下げられる(図8(B))。ここでこの基準電圧設定用電圧Viniは、有機EL素子8のしきい値電圧に有機EL素子8のカソード電圧Vcatを加算した電圧より低い電圧に設定される。これにより画素回路17は、駆動トランジスタTR1の駆動信号DS側がソースとして機能し、有機EL素子8のアノード電圧が立ち下がり、有機EL素子8が発光を停止する。また駆動トランジスタTR1を介して信号レベル保持用コンデンサC1の有機EL素子8側から蓄積電荷が放電し、これにより有機EL素子8のアノード電圧が立ち下がって信号レベル保持用コンデンサC1の有機EL素子8側端の電圧(駆動トランジスタTR1のソース電圧Vs)(図8(E))が電圧Viniに設定される。
続いて画素回路17は、駆動信号Ssigにより信号線SIGが所定電圧Vofsに立ち下がると、時点t2で書込み信号WSによりトランジスタTR5がオン状態に切り換えられる(図8(A)及び(C))。これにより画素回路17は、駆動トランジスタTR1のゲート電圧Vgがこの信号線SIGの電圧Vofsに設定され、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧がVofs−Viniに設定される。ここで画素回路17では、この端子間電圧Vofs−Viniが駆動トランジスタTR1のしきい値電圧をVthより大きくなるように電圧Vofs、Viniが設定される。これにより画素回路17では、時点t1から時点t2までの期間で、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthより大きな電圧に設定され、信号レベル保持用コンデンサC1に駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthを設定するための準備処理が実行される。
続いて画素回路17は、駆動信号Ssigが固定電位Vofsに保持されている期間の時点t3で、トランジスタTR5をオン状態に保持したままの状態で、ドライブ信号DSが発光期間T2の電圧Vccに立ち上げられて駆動トランジスタTR1への電源の供給が開始される(図8(B))。また続いて信号線SIGの信号レベルが階調電圧Vsigに設定される直前の時点t4で、書込み信号WSによりトランジスタTR5がオフ状態に切り換えられる。
これにより画素回路17は、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthより大きい場合であることを条件に、時点t3から時点t4までの期間Tth1の間、駆動トランジスタTR1を介して電源Vccにより信号レベル保持用コンデンサC1の有機EL素子8側端に充電電流が流れ、駆動トランジスタTR1のソース電圧Vsが徐々に上昇する(図8(E))。その結果、画素回路17は、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が徐々に駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthに接近する。なお画素回路17は、固定電位Vofsの設定によりこのように有機EL素子8側端の電圧Vsが上昇しても有機EL素子8が発光しないように設定される。
画素回路17は、時点t4で書込み信号WSによりトランジスタTR5がオフ状態に切り換えられると、有機EL素子8の容量Cpによるブートストラップ動作を開始し、駆動トランジスタTR1のゲート電圧Vg及びソース電圧Vsが徐々に上昇する(図8(D)及び(E))。
画素回路17は、一定時間経過して再び信号線SIGの信号レベルが電圧Vofsに設定されると、時点t5で書込み信号WSによりトランジスタTR5がオン状態に切り換えられて駆動トランジスタTR1のゲートが信号線SIGに接続される。また続いて信号線SIGの信号レベルが階調電圧Vsigに設定される直前の時点t6で、書込み信号WSによりトランジスタTR5がオフ状態に切り換えられる。
これにより画素回路17は、時点t5から時点t6までの期間Tth2の間、期間Tth1の場合と同様にして、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が徐々に駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthに接近し、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthとなると、ソース電圧Vsの上昇が停止する。これにより画素回路17は、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthに設定される。なおこれによりこの図8の例では、期間Tth1と期間Tth2との2回の処理で、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthに設定されるものの、この繰り返しの回数は、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthとなるに十分な回数だけ繰り返すことができ、3回以上としてもよい。
画素回路17は、続いて駆動信号Ssigが当該画素回路17の階調電圧Vsigに設定されている時点t7で書込み信号WSが立ち上げられてトランジスタTR5がオン状態に設定され、これにより駆動トランジスタTR1のゲートが信号線SIGに接続される。また一定期間Tμが経過した時点t8で、書込み信号WSが立ち下げられ、これにより信号線SIGに出力されている駆動信号Ssigの階調電圧Vsigが信号レベル保持用コンデンサC1の一端にホールドされる。これにより画素回路17は、信号レベル保持用コンデンサC1に設定された駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthにより補正して、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が階調電圧Vsigに応じた電圧に設定される。これによりこの表示装置11では、駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthのばらつきによる画質劣化を防止することができる。
ここでこの時点t7から時点t8までの期間Tμにおいては、駆動トランジスタTR1のゲート電圧Vgを階調電圧Vsigに設定した状態で駆動トランジスタTR1に電源Vccを供給していることから、駆動トランジスタTR1は、ゲートソース間電圧Vgsに応じてソース電圧Vsが徐々に上昇することになる。またここでこのソース電圧Vsの上昇速度は、(1)により駆動トランジスタTR1の移動度が大きい場合程、早くなる。またソース電圧Vsが上昇すると、ゲートソース間電圧Vgsが低下することにより、ソース電流が流れ難くなる。
これにより画素回路17は、この一定期間Tμにより、移動度が大きい駆動トランジスタ程、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が低下し、移動度のばらつきを補正して画質の劣化が防止される。
画素回路17は、時点t8で書込み信号WSが立ち下げられると、発光期間T2が開始し、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧によるゲートソース間電圧Vgsにより有機EL素子8を電流駆動する。なおこの発光期間T2において、画素回路17は、有機EL素子8の容量Cpによる駆動トランジスタTR1のブートストラップ動作により、期間Tμで設定された駆動トランジスタTR1のゲート電圧Vg及びソース電圧Vsが徐々に上昇して有機EL素子8が発光を開始し、やがてこれらゲート電圧Vg及びソース電圧Vsの上昇が停止してこれらゲート電圧Vg及びソース電圧Vsが一定電圧に保持される。
ところで期間Tth1及びTth2間の時点t4から時点t5までの間、画素回路17では、駆動トランジスタTR1のブートストラップ動作により、駆動トランジスタTR1のソース電流で有機EL素子8の寄生容量Cpを充電し、その結果、駆動トランジスタTR1のソース電圧Vsが上昇する。ここで画素回路17では、このソース電圧Vsの上昇により駆動トランジスタTR1のゲート電圧Vgも上昇する。従って時点t4から時点t5までの間、駆動トランジスタTR1のゲートソース間電圧は一定電圧に保持されることになる。
しかしながら時点t4から時点t5までの期間の間の駆動トランジスタのソース電圧Vsの電圧上昇により、ソース電圧Vsが電圧Vofs−Vth以上に上昇してしまう場合も予測される。この場合には時点t5で続く2回目の期間Tth1を開始した時点で、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vth以下となり、その結果、画素回路17では、駆動トランジスタTR1のしきい値電圧のばらつきを正しく補正することが困難になる問題があり、表示画像の画質が劣化することになる。
特開2005−345722号公報 特開2007−133284号公報
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を駆動トランジスタのしきい値電圧以上に設定した後、複数回に分けて駆動トランジスタのしきい値電圧のばらつきを補正する場合でも、正しく駆動トランジスタのしきい値電圧のばらつきを補正することができる表示装置及び表示装置の駆動方法を提案しようとするものである。
上記の課題を解決するため請求項1の発明は、画素回路をマトリックス状に配置して形成された表示部に対して、前記表示部の信号線及び走査線を介して水平駆動回路及び垂直駆動回路により前記画素回路を駆動することにより、前記表示部で所望の画像を表示する表示装置に適用して、前記画素回路は、少なくとも発光素子と、信号レベル保持用コンデンサと、前記信号レベル保持用コンデンサの両端をゲート及びソースに接続し、前記発光素子のアノードを前記ソースに接続し、前記ゲート及びソース間電圧に応じた駆動電流で前記発光素子を駆動する駆動トランジスタと、前記垂直駆動回路から出力される書込信号によりオン動作し、前記駆動トランジスタのゲートを前記信号線に接続する書込トランジスタとを有し、前記水平駆動回路は、各画素の階調を示す階調電圧の連続による駆動信号を前記信号線毎に生成し、前記駆動信号を対応する前記信号線に出力し、前記垂直駆動回路は、前記発光素子の発光を停止させる非発光期間において、前記信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を前記駆動トランジスタのしきい値電圧以上の電圧に設定した後、少なくとも所定の休止期間を間に挟んだ第1及び第2の期間で、それぞれ前記信号レベル保持用コンデンサの蓄積電荷を前記駆動トランジスタにより放電させて前記信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を前記駆動トランジスタのしきい値電圧に設定し、続いて前記書込トランジスタをオン動作させて前記信号レベル保持用コンデンサのゲート側電圧を前記階調電圧に設定し、前記垂直駆動回路は、前記第1の期間の途中で前記有機EL素子のカソード電圧を立ち上げた後、遅くとも前記第2の期間の途中で発光期間の電圧に立ち下げることにより、前記第1の期間において、前記信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧が前記駆動トランジスタのしきい値電圧となる速度を増大させる。
また請求項5の発明は、画素回路をマトリックス状に配置して形成された表示部に対して、前記表示部の信号線及び走査線を介して水平駆動回路及び垂直駆動回路により前記画素回路を駆動することにより、前記表示部で所望の画像を表示する表示装置の駆動方法に適用して、前記画素回路は、少なくとも発光素子と、信号レベル保持用コンデンサと、前記信号レベル保持用コンデンサの両端をゲート及びソースに接続し、前記発光素子のアノードを前記ソースに接続し、前記ゲート及びソース間電圧に応じた駆動電流で前記発光素子を駆動する駆動トランジスタと、前記垂直駆動回路から出力される書込信号によりオン動作し、前記駆動トランジスタのゲートを前記信号線に接続する書込トランジスタとを有し、前記駆動方法は、各画素の階調を示す階調電圧の連続による駆動信号を前記信号線毎に生成し、前記駆動信号を対応する前記信号線に出力する駆動信号出力ステップと、前記発光素子の発光を停止させる非発光期間において、前記信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を前記駆動トランジスタのしきい値電圧以上の電圧に設定するしきい値電圧設定の前処理ステップと、少なくとも所定の休止期間を間に挟んだ第1及び第2の期間で、それぞれ前記信号レベル保持用コンデンサの蓄積電荷を前記駆動トランジスタにより放電させて前記信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を前記駆動トランジスタのしきい値電圧に設定するしきい値電圧設定ステップと、続いて前記書込トランジスタをオン動作させて前記信号レベル保持用コンデンサのゲート側電圧を前記階調電圧に設定する階調電圧設定ステップと、前記第1の期間の途中で前記有機EL素子のカソード電圧を立ち上げた後、遅くとも前記第2の期間の途中で発光期間の電圧に立ち下げることにより、前記第1の期間において、前記信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧が前記駆動トランジスタのしきい値電圧となる速度を増大させるカソード電圧制御のステップとを有するようにする。
請求項1又は請求項5の構成によれば、カソード電圧の立ち上げにより従来に比して短い時間で信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を駆動トランジスタTR1のしきい値電圧に設定した後、続く第2の期間で、カソード電圧の立ち下げによる信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧の変化等を補正して、最終的に、信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を駆動トランジスタTR1のしきい値電圧に設定することができる。従って信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を駆動トランジスタのしきい値電圧以上に設定した後、複数回に分けて駆動トランジスタのしきい値電圧のばらつきを補正する場合でも、正しく駆動トランジスタのしきい値電圧のばらつきを補正することができる。
本発明によれば、信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を駆動トランジスタのしきい値電圧以上に設定した後、複数回に分けて駆動トランジスタのしきい値電圧のばらつきを補正する場合でも、正しく駆動トランジスタのしきい値電圧のばらつきを補正することができる。
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
(1)実施例の構成
図2は、本発明の実施例1の表示装置を示すブロック図である。この表示装置21において、図6の表示装置と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。この表示装置21は、所定の絶縁基板上に表示部22が作成され、この表示部22の周囲に水平駆動回路23及び垂直駆動回路24が設けられる。
ここで水平駆動回路23は、水平セレクタ(HSEL)25を有し、水平セレクタ25は、水平セレクタ15と同一に、階調電圧Vsigを間に挟んだ階調電圧Vsigの連続による駆動信号Ssigを各信号線SIGに出力する(図1(D))。
垂直駆動回路24は、ドライブスキャナ(DSCN)26A、ライトスキャナ(WSCN)26B、カソードスキャナ(CATHCN)26Cを有し、これらドライブスキャナ26A、ライトスキャナ26B、カソードスキャナ26Cは、それぞれ所定の基準信号を順次転送して各画素回路の駆動信号DS、WS、CATHを生成し、この駆動信号DS、WS、CATHを表示部22の走査線に出力する。
表示部22は、画素回路27をマトリックス状に配置して形成される。ここで画素回路27は、図3に示すように、有機EL素子8のカソード端が走査線に接続されて、走査線線毎にカソードスキャナ26Cにより制御される点を除いて、図7の画素回路17と同一に構成される。
これにより画素回路27は、図1に示すように、非発光期間T1が時点t1により開始すると、ドライブ信号DSが立ち下げられて駆動トランジスタTR1による駆動トランジスタTR1への電源Vccの供給が停止制御され(図1(A))、これにより有機EL素子8の発光が停止する(図1(E)及び(F))。また画素回路27は、駆動信号Ssigにより信号線SIGが所定電圧Vofsに立ち下がると、時点t2で書込み信号WSによりトランジスタTR5がオン状態に切り換えられ(図1(A)及び(C))、これにより信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthより大きい電圧に設定され、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧を駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthに設定するための準備処理が実行される。
続いて画素回路27は、駆動信号Ssigが固定電位Vofsに保持されている期間の時点t3で、トランジスタTR5をオン状態に保持したままの状態で、ドライブ信号DSが発光期間T2の電圧Vccに立ち上げられて駆動トランジスタTR1への電源の供給が開始される(図1(B))。また続いて信号線SIGの信号レベルが階調電圧Vsigに設定される直前の時点t5で、書込み信号WSによりトランジスタTR5がオフ状態に切り換えられ、これにより時点t3から時点t5までの期間Tth1で、1回目の信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧を駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthに設定する処理が実行される。
また画素回路27は、再び信号線SIGの信号レベルが電圧Vofsに設定されると、時点t6で書込み信号WSによりトランジスタTR5がオン状態に切り換えられて駆動トランジスタTR1のゲートが信号線SIGに接続される。また続いて信号線SIGの信号レベルが階調電圧Vsigに設定される直前の時点t8で、書込み信号WSによりトランジスタTR5がオフ状態に切り換えられる。
これにより画素回路27は、時点t6から時点t8までの期間Tth2の間、2回目の信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧を駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthに設定する処理が実行される。
画素回路27は、続いて駆動信号Ssigが当該画素回路27の階調電圧Vsigに設定されている時点t9で書込み信号WSが立ち上げられてトランジスタTR5がオン状態に設定された後、一定期間Tμが経過した時点t10で、書込み信号WSが立ち下げられ、これにより信号レベル保持用コンデンサC1に設定された駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthにより補正して、さらには駆動トランジスタTR1の移動度のばらつきを補正して、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が階調電圧Vsigに応じた電圧に設定される。
画素回路27は、時点t10で書込み信号WSが立ち下げられると、発光期間T2が開始し、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧によるゲートソース間電圧Vgsにより有機EL素子8を電流駆動する。
画素回路27は、このように期間Tth1と期間Tth2との2回に分けて信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧を駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthに設定するようにして、1回目の期間Tth1の途中で、カソードスキャナ26Cにより有機EL素子8のカソード電圧が立ち上げられる(図1(D))。これにより画素回路27は、駆動トランジスタTR1のゲートソース間電圧Vgsが低減され、少なくともこの期間Tth1で信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧がほぼ駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthとなるように設定される。
その後、画素回路27は、続いて信号レベル保持用コンデンサC1への駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthの設定処理を休止する期間である、駆動信号Ssigが階調電圧Vsigに設定される期間の間、有機EL素子8のカソード電圧が立ち上げられた状態に保持され、続いて駆動信号Ssigが固定電圧Vofsに設定される期間の途中で、発光期間T2の電圧に戻される。
(2)実施例の動作
以上の構成において、この表示装置21では(図2)、水平駆動回路23及び垂直駆動回路24による表示部22の駆動により順次ライン単位で表示部22の画素回路27に信号線SIGの階調電圧Vsigが設定されると共に、この設定された階調電圧Vsigにより各画素回路27の有機EL素子8が発光し、所望の画像が表示部22で表示される。
すなわちこの表示装置21では、非発光期間T1において(図3)、各画素回路27に設けられた信号レベル保持用コンデンサC1の一端が信号線SIGの階調電圧Vsigに設定され、発光期間T2において、この信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧によるゲートソース間電圧Vgsにより駆動トランジスタTR1で有機EL素子8が駆動される。これによりこの表示装置では、信号線SIGの階調電圧Vsigに応じた発光輝度で各画素回路27の有機EL素子8が発光する。
表示装置21は、この階調電圧Vsigの設定に先立って、非発光期間T1が開始すると、始めに信号レベル保持用コンデンサC1の両端電圧差が駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vth以上の電圧に設定された後、この信号レベル保持用コンデンサC1の蓄積電荷が駆動トランジスタTR1により放電されて信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が駆動トランジスタTR1のしきい値電圧に設定される。表示装置21は、その後、駆動トランジスタTR1のゲートが信号線SIGに接続されて信号レベル保持用コンデンサC1の一端の電圧が階調電圧Vsigに設定されることにより、駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthにより補正して信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が階調電圧Vsigに対応する電圧に設定される。これにより表示装置21では、駆動トランジスタTR1のしきい値電圧のばらつきによる画質劣化が有効に回避される。また階調電圧Vsigを設定する際に一定期間Tμの間、信号線SIGに接続されて駆動トランジスタTR1に電源が供給され、これにより信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が駆動トランジスタTR1の移動度により補正されて、駆動トランジスタTR1の移動度のばらつきによる画質劣化が防止される。
またさらに画素回路27では、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧を駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vth以上の電圧に設定した後、2回の期間Tth1及びTth2に分けて、この信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が駆動トランジスタTR1により放電されて駆動トランジスタTR1のしきい値電圧に設定され、これにより高解像度化により動作周波数を高周波数化した場合でも、しきい値電圧Vthを設定する時間を十分に確保して、駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthのばらつきによる画質劣化を確実に防止することができる。
しかしながらこのように複数回の期間に分けて信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧を駆動トランジスタTR1により放電して、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧を駆動トランジスタTR1のしきい値電圧に設定する場合、1回目の期間Tth1の期間で、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧を駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthに十分に近づけることが困難な場合も発生する。この場合には、これら期間Tth1及びTth2の間の休止期間における駆動トランジスタTR1のブートストラップ動作により駆動トランジスタTR1のソース電圧Vsが電圧Vofs−Vth以上にまで上昇し、結局、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧を正しく駆動トランジスタTR1のしきい値電圧に設定することが困難になる場合も発生する恐れがある。
そこでこの実施例では、1回目の期間Tth1の途中で、カソードスキャナ26Cにより有機EL素子8のカソード電圧が立ち上げられ、強制的に信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が低減され、この1回目の期間Tth1で信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧がほぼ駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthに設定される。
すなわち有機EL素子8のカソード電圧をΔVcatだけ立ち上げると、駆動トランジスタTR1のゲートソース間電圧Vgsは、次式により示すように変化する。
Figure 2009122228
なおゲート電圧Vgは、カソード電圧の上昇により瞬間的に上昇するものの、信号線SIGを介して固定電位Vofsに設定されていることにより、即座に元の固定電位Vofsに戻る。これに対して図6について上述した画素回路17では、駆動トランジスタTR1のゲートソース間電圧Vgsは、次式により表される。
Figure 2009122228
これによりこの実施例によれば、短時間で、信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧を駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthに設定できることが判る。なお図1においては、破線により図8の例によるゲート電圧Vg、ソース電圧Vsを示す。
さらに画素回路27は、休止期間の間もカソード電圧を立ち上げた状態に保持され、これにより休止期間におけるソース電圧Vsの上昇が抑制される。また続く2回目の期間Tth2で、カドード電圧が元の発光期間T2の電圧に戻され、その結果この期間Tth2の間で最終的に信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧が駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthに設定される。これによりこの実施例では、信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を駆動トランジスタのしきい値電圧以上に設定した後、複数回に分けて駆動トランジスタのしきい値電圧のばらつきを補正する場合でも、正しく駆動トランジスタのしきい値電圧のばらつきを補正して画質劣化を防止することができる。
なお非発光期間T1の開始により事前に有機EL素子8のカソード電圧を立ち下げて信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧を駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vth以上に設定した後、有機EL素子8のカソード電圧を立ち上げて信号レベル保持用コンデンサC1の端子間電圧を駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthに設定する方法も考えられ、この場合には、1回目の期間の経過後、即座に階調電圧Vsigを信号レベル保持用コンデンサC1に設定できると考えられる。
しかしながらこの方法の場合、この実施例に比してカソード電圧が高くなり、その分、有機EL素子のしきい値電圧が上昇し、発光期間T2が開始した後のブートストラップ動作により駆動トランジスタTR1のソース電圧の上昇が大きくなる。その結果、この方法の場合、ブートストラップゲインの損失が増大し、駆動トランジスタTR1のゲートソース間電圧Vgsが減少して発光輝度が低下することになる。
しかしながらこの実施例のように、2回目の期間Tth2で元の発光期間T2のカソード電圧に戻すようにすれば、カソード電圧を低い電圧に保持することができ、ブートストラップゲインの損失の増大を防止して発光輝度の低下を防止することができる。
なおこの2回目の期間Tth2で元の発光期間T2のカソード電圧に戻す場合、信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧は、駆動トランジスタTR1のしきい値電圧Vthから(ΔVcat×Cp/(Cp+C1))だけ増大することになり、この増大分も、この期間Tth2で補正されることになる。
(3)実施例の効果
以上の構成によれば、信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を駆動トランジスタのしきい値電圧以上に設定した後、複数回の期間に分けて、この信号レベル保持用コンデンサの蓄積電荷を駆動トランジスタにより放電させて信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を駆動トランジスタのしきい値電圧に設定する際に、始めの期間で発光素子のカソード電圧を立ち上げて短時間で信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧が駆動トランジスタのしきい値電圧となるように設定した後、カソード電圧を元の電圧に戻して最終的に信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を駆動トランジスタのしきい値電圧に設定することにより、複数回に分けて駆動トランジスタのしきい値電圧のばらつきを補正する場合でも、正しく駆動トランジスタのしきい値電圧のばらつきを補正することができる。
また所定の固定電圧を間に挟んで各画素の階調を示す階調電圧に順次設定して信号線毎に駆動信号を生成するようにして、この駆動信号が固定電圧に設定されている期間で、書込トランジスタをオン状態に設定して信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を駆動トランジスタのしきい値電圧以上の電圧に設定することにより、信号線を介して信号レベル保持用コンデンサの一端の電圧を固定電位に設定して信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を駆動トランジスタのしきい値電圧以上の電圧に設定する構成に適用して、正しく駆動トランジスタのしきい値電圧のばらつきを補正することができる。
またこの駆動信号が階調信号に設定される期間を、これら複数回の設定の間の休止期間に割り当てることにより、信号線を介して信号レベル保持用コンデンサの一端の電圧を固定電位に設定して信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を駆動トランジスタのしきい値電圧以上の電圧に設定する構成に適用して、正しく駆動トランジスタのしきい値電圧のばらつきを補正することができる。
なお上述の実施例においては、駆動トランジスタTR2の制御により駆動トランジスタTR1への電源の供給を制御する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、駆動トランジスタTR2を省略して、直接、垂直駆動回路で電源ラインを制御することにより駆動トランジスタTR1への電源の供給を制御するようにしてもよい。
また上述の実施例においては、信号線を介して信号レベル保持用コンデンサの信号線側電圧を設定して信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を有機EL素子のしきい値電圧以上に設定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図5について上述したように専用のトランジスタTR4を介して所定の基準電圧を接続して信号レベル保持用コンデンサの信号線側電圧を設定し、信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を有機EL素子のしきい値電圧以上に設定する場合にも広く適用することができる。
また上述の実施例においては、駆動トランジスタTR1の電源の制御により、信号レベル保持用コンデンサの有機EL素子側電圧を設定して信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を有機EL素子のしきい値電圧以上に設定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図5について上述したように専用のトランジスタTR3を介して所定の基準電圧を接続して信号レベル保持用コンデンサの有機EL素子側電圧を設定し、信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を有機EL素子のしきい値電圧以上に設定する場合にも広く適用することができる。
また上述の実施例では、発光素子に有機EL素子を使用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、電流駆動型の各種発光素子を使用する場合に広く適用することができる。
本発明は、例えば有機EL素子によるアクティブマトリックス型の表示装置に適用することができる。
本発明の実施例1の動作の説明に供するタイムチャートである。 図1の表示装置を示すブロック図である。 図2の表示装置を示す接続図である。 従来の表示装置を示す接続図である。 図4の表示装置の動作の説明に供するタイムチャートである。 信号線により信号レベル保持用コンデンサの一端の電圧を設定する場合等に考えられる表示装置を示すブロック図である。 図6の表示装置の接続図である。 図6の表示装置の動作の説明に供するタイムチャートである。
符号の説明
1、11、21……表示装置、3、13、23……水平駆動回路、5、15、24……垂直駆動回路、6、16、22……表示部、7、17、27……画素回路、8……有機EL素子、26C……カソードスキャナ、C1……信号レベル保持用コンデンサ、TR1〜TR5……トランジスタ

Claims (5)

  1. 画素回路をマトリックス状に配置して形成された表示部に対して、前記表示部の信号線及び走査線を介して水平駆動回路及び垂直駆動回路により前記画素回路を駆動することにより、前記表示部で所望の画像を表示する表示装置において、
    前記画素回路は、
    少なくとも発光素子と、
    信号レベル保持用コンデンサと、
    前記信号レベル保持用コンデンサの両端をゲート及びソースに接続し、前記発光素子のアノードを前記ソースに接続し、前記ゲート及びソース間電圧に応じた駆動電流で前記発光素子を駆動する駆動トランジスタと、
    前記垂直駆動回路から出力される書込信号によりオン動作し、前記駆動トランジスタのゲートを前記信号線に接続する書込トランジスタとを有し、
    前記水平駆動回路は、
    各画素の階調を示す階調電圧の連続による駆動信号を前記信号線毎に生成し、
    前記駆動信号を対応する前記信号線に出力し、
    前記垂直駆動回路は、
    前記発光素子の発光を停止させる非発光期間において、
    前記信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を前記駆動トランジスタのしきい値電圧以上の電圧に設定した後、
    少なくとも所定の休止期間を間に挟んだ第1及び第2の期間で、それぞれ前記信号レベル保持用コンデンサの蓄積電荷を前記駆動トランジスタにより放電させて前記信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を前記駆動トランジスタのしきい値電圧に設定し、
    続いて前記書込トランジスタをオン動作させて前記信号レベル保持用コンデンサのゲート側電圧を前記階調電圧に設定し、
    前記垂直駆動回路は、
    前記第1の期間の途中で前記有機EL素子のカソード電圧を立ち上げた後、遅くとも前記第2の期間の途中で発光期間の電圧に立ち下げることにより、前記第1の期間において、前記信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧が前記駆動トランジスタのしきい値電圧となる速度を増大させる
    ことを特徴とする表示装置。
  2. 前記水平駆動回路は、
    所定の固定電圧をそれぞれ間に挟んで前記階調電圧の連続による駆動信号を生成し、
    前記垂直駆動回路は、
    前記駆動信号が前記固定電圧に設定されている期間で、前記書込トランジスタをオン状態に設定して前記駆動トランジスタのゲート電圧を前記固定電圧に設定することにより、前記信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を前記駆動トランジスタのしきい値電圧以上の電圧に設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記休止期間が、
    前記信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を前記駆動トランジスタのしきい値電圧以上の電圧に設定する期間に続いて、前記駆動信号が前記階調信号に設定される期間である
    ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
  4. 前記垂直駆動回路は、
    前記第1の期間、前記休止期間及び前記第2の期間の間、前記駆動トランジスタに電源を供給し、
    前記第1及び第2の期間の間、前記書込トランジスタをオン状態に設定することにより、前記第1及び第2の期間で前記信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を前記駆動トランジスタのしきい値電圧に設定し、
    前記休止期間の間、前記書込トランジスタをオフ状態に設定することにより、前記駆動トランジスタをブートストラップ動作の状態に設定する
    ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
  5. 画素回路をマトリックス状に配置して形成された表示部に対して、前記表示部の信号線及び走査線を介して水平駆動回路及び垂直駆動回路により前記画素回路を駆動することにより、前記表示部で所望の画像を表示する表示装置の駆動方法において、
    前記画素回路は、
    少なくとも発光素子と、
    信号レベル保持用コンデンサと、
    前記信号レベル保持用コンデンサの両端をゲート及びソースに接続し、前記発光素子のアノードを前記ソースに接続し、前記ゲート及びソース間電圧に応じた駆動電流で前記発光素子を駆動する駆動トランジスタと、
    前記垂直駆動回路から出力される書込信号によりオン動作し、前記駆動トランジスタのゲートを前記信号線に接続する書込トランジスタとを有し、
    前記駆動方法は、
    各画素の階調を示す階調電圧の連続による駆動信号を前記信号線毎に生成し、前記駆動信号を対応する前記信号線に出力する駆動信号出力ステップと、
    前記発光素子の発光を停止させる非発光期間において、
    前記信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を前記駆動トランジスタのしきい値電圧以上の電圧に設定するしきい値電圧設定の前処理ステップと、
    少なくとも所定の休止期間を間に挟んだ第1及び第2の期間で、それぞれ前記信号レベル保持用コンデンサの蓄積電荷を前記駆動トランジスタにより放電させて前記信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧を前記駆動トランジスタのしきい値電圧に設定するしきい値電圧設定ステップと、
    続いて前記書込トランジスタをオン動作させて前記信号レベル保持用コンデンサのゲート側電圧を前記階調電圧に設定する階調電圧設定ステップと、
    前記第1の期間の途中で前記有機EL素子のカソード電圧を立ち上げた後、遅くとも前記第2の期間の途中で発光期間の電圧に立ち下げることにより、前記第1の期間において、前記信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧が前記駆動トランジスタのしきい値電圧となる速度を増大させるカソード電圧制御のステップとを有する
    ことを特徴とする表示装置の駆動方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US9067005B2 (en) 2008-12-08 2015-06-30 Thoratec Corporation Centrifugal pump apparatus
WO2022196492A1 (ja) * 2021-03-15 2022-09-22 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 表示装置及び電子機器

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