JP2009120932A - 精錬容器のシール方法、及び真空脱ガス炉の窒素ガス侵入抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鉄皮31の内面に耐火物32が内張りされた精錬容器3をシールする際、予め鉄皮に内外を貫通する孔311を形成しておき、形成された孔から樹脂を圧入して、鉄皮31及び耐火物32の間、並びに耐火物32間の目地に通気遮断層34を形成する。
【選択図】図2
Description
これを防止するために、従来、浸漬管の芯金を冷却することにより、熱膨張を抑え、浸漬管耐火物の亀裂を防止して脱ガス槽内部への大気侵入を防止することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、浸漬管耐火物の背面側に大気圧以上の不活性ガスを注入して、浸漬管から脱ガス槽内部への大気侵入を防止する技術も提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
さらに、浸漬管フランジ部から侵入するガスを吸引することにより、脱ガス槽内部への大気侵入を防止する技術も提案されている(例えば、特許文献4)。
(1) 鉄皮の内面に耐火物が内張りされた精錬容器をシールする精錬容器のシール方法であって、
予め鉄皮に内外を貫通する孔を形成しておき、
形成された孔から樹脂を圧入して、前記鉄皮及び前記耐火物の間、並びに耐火物間の目地に通気遮断層を形成することを特徴とする精錬容器のシール方法。
(2) (1)に記載の精錬容器のシール方法において、
前記樹脂の圧入後、前記精錬容器内部を減圧状態とすることを特徴とする精錬容器のシール方法。
前記通気遮断層が、100℃以上の熱分解温度の樹脂から構成されていることを特徴とする精錬容器のシール方法。
(4) (1)乃至(3)のいずれかに記載の精錬容器のシール方法において、
前記圧入される樹脂は、常温における粘度が100mPa・s以上、10000mPa・s以下であることを特徴とする精錬容器のシール方法。
予め前記溶鋼の鋼種に応じて要求される溶鋼中の要求窒素濃度を把握しておき、
(1)乃至(4)のいずれかに記載の精錬容器のシール方法が施された真空脱ガス炉を用いて前記溶鋼の精錬を行いながら、前記真空脱ガス槽で精錬された溶鋼中の窒素濃度の変化を確認し、
確認された溶鋼中の窒素濃度が前記要求窒素濃度未満となるようなタイミングで、(1)乃至(4)のいずれかに記載の精錬容器のシール方法を実施することを特徴とする真空脱ガス炉の窒素ガス侵入抑制方法。
本発明に係る精錬容器のシール方法は、RH(Ruhrstahl-Heraeus)真空脱ガス法、DH(Dortmund-Horde)真空脱ガス法、VOD(Vacuum Oxygen Decarburization)法、REDA(Revolutionary Degassing Activator)法等に用いられる脱ガス槽に好適に採用することができる。
樹脂の圧入により、圧入された樹脂が鉄皮と耐火物背面の隙間、耐火物間の目地、及び耐火物の気孔に浸透するが、さらに、樹脂の硬化前に圧入後容器内部を減圧状態とすることで、樹脂の浸透を一層促進させることができ、通気遮断層をより厚く形成することができる。
また、成分系も1成分系、2成分系いずれも採用することができ、硬化タイプも反応硬化型、湿気硬化型、酸素硬化型、熱硬化型のいずれを採用することもできるが、熱硬化型のものを採用するのが好ましい。
また、熱硬化型の樹脂を採用することにより、脱ガス槽の予熱等によって、樹脂の硬化を促進することができるため、圧入後早期に通気遮断層を形成することができる。
ここで、常温としたのは、一般に樹脂の粘度は、温度に依存して変化し、温度が高くなると粘度が低下する傾向にあり、ポンプ等で樹脂を圧入する際の樹脂の温度は、常温近傍で行うことが通常であるためである。
但し、樹脂の圧入は、脱ガス槽の鋼種変更の際、脱ガス処理の開始前に行う脱ガス槽の予熱の際に樹脂の注入を行ってもよく、さらには操業中に行ってもよく、脱ガス槽内部の温度が10℃〜250℃の温度で樹脂の圧入を行うことができる。
この発明によれば、圧入される樹脂の粘度がこのような範囲にあることにより、所定の圧力で樹脂を圧送できる汎用の液体搬送用ポンプを採用することができる。液体搬送用ポンプとしては、スネークポンプ、ピストンポンプ、スクイズポンプ、ダイヤフラムポンプ、ロータリポンプ等を採用することができる。
図1には、本発明の実施形態に係る精錬容器のシール方法を実施したRH真空脱ガス炉1が示されており、このRH真空脱ガス炉1は、減圧雰囲気を利用して溶鋼の脱ガス処理を行う炉であり上部槽2及び下部槽3を組み合わせて構成される。
上部槽2は、円筒状の鉄皮21とその内部に配置される耐火物22とを備えて構成される。図1では図示略したが、耐火物22は、鉄皮21側に鉄皮21の内面に沿って配置される断熱性の耐火物と、この耐火物の内側に配置される耐火物との二重構造とされている。この上部槽2の上面は、天蓋23で覆われ、上部槽2の側面には、合金投入口24及び排気口25が形成されている。
操業に際しては、上部槽2及び下部槽3からなる脱ガス槽内を、排気口25から内部の空気を排出することにより、減圧状態にして、取鍋5内の溶鋼を内部に吸い上げ、図示を略したが、浸漬管4の一方に形成されたガス吹き込み口からArを吹き込んで脱ガス槽内に溶鋼を流入飛散させる。そうすると槽内で脱ガスが行われ、脱ガスが行われた溶鋼は他方の浸漬管4から取鍋5内に戻される。
通気遮断層34は、樹脂圧入装置6により樹脂を圧入し、この樹脂を硬化させることで形成され、樹脂圧入装置6は、下部槽3の鉄皮31に予め鉄皮31の内外を貫通する孔311を形成しておき、この孔311に樹脂圧入装置6が取り付けられている。
この通気遮断層34は、本実施形態では、熱硬化型のシリコーン系接着剤で構成されている。尚、圧入する樹脂としては、熱分解温度が400℃以上のシリコーン系樹脂を採用するのが最も好ましいが、熱分解温度が100℃以上のものであってもよく、例えば、変成シリコーン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系の樹脂等を採用することができる。
スネークポンプ61は、液体搬送用ポンプであり、ポンプの吐出口から2MPa〜10MPaの吐出圧で樹脂を吐出する。吐出された樹脂は、配管部材62を介して搬送され、コンプレッションフィッティング63から鉄皮31の内部に圧入される。
鉄皮31に形成される孔311は、コンプレッションフィッティング63の大きさと、圧入する樹脂に応じて決定すればよいが、概ね5mm〜50mmとすればよい。コンプレッションフィッティング63は、樹脂の圧入後、配管部材62を取り外した際、孔311から大気が流入しないために設けられている。
また、本実施形態では、図3に示されるように、樹脂の圧入箇所が、下部槽3の周方向に、円筒中心回りに8箇所均等に形成されているが、同様に、RH真空脱ガス炉1の大きさに応じて、少なくとも2箇所以上設けられればよく、さらに、樹脂の圧入箇所を、浸漬管4の回りに設定してもよい。
要するに、樹脂がある程度の高さで下部槽3の全周に亘って圧入できれば、圧入箇所、その数は適宜定めればよいが、周方向に2箇所以上設けることにより、下部槽3の周方向に樹脂がまわりやすくなるので、好ましい。
RH真空脱ガス炉1における鋼種変更時の真空脱ガス処理後の放熱時(略250℃)、又は、真空脱ガス処理前の予熱時(略250℃)、さらに築炉後(常温)に、図2及び図3に示されるように、下部槽3に形成した孔311のコンプレッションフィッティング63に配管部材62を介して、スネークポンプ61を接続する。
スネークポンプ61を駆動し、樹脂の圧入を開始する。圧入施工の際の作業環境は、10℃〜250℃の範囲であり、樹脂の圧入量は、圧入作業1回につき、0.05m3〜1.5m3が目安となる。
樹脂の圧入後、ただちに、RH真空脱ガス炉1の内部を減圧状態とし、樹脂を耐火物32間の目地部分、又は背面側の耐火物に浸透させ、浸透量を増加させる。尚、RH真空脱ガス炉1の内部の真空度は、6.666Pa(0.05Torrを換算した値)〜666.Pa(5Torrを換算した値)の範囲とするのがよく、独立して減圧状態としてもよいが、操業時の真空脱ガス処理とともに行ってもよい。
最後に、RH真空脱ガス炉1を操業前に予熱すると、圧入された熱硬化型のシリコーン樹脂の硬化が開始し、通気遮断層34が形成される。
具体的には、通気遮断層34が形成されたRH真空脱ガス炉1で溶鋼の真空脱ガス処理を行った場合(実施例1乃至実施例4)と、通気遮断層34を形成しない従来のRH真空脱ガス炉で溶鋼の真空脱ガス処理を行った場合(比較例1乃至比較例4)とにおいて、真空脱ガス処理前の窒素濃度と真空脱ガス処理後の窒素濃度の差ΔN(質量ppm)を測定した。尚、実施例1乃至実施例4の違いは、下部槽3及び浸漬管4の圧入部位の違い、圧入量、スネークポンプ61の圧送圧力、孔311の径、及び孔311の周方向、高さ方向の箇所の違いである。結果を表1に示す。
また、真空脱ガス処理の操業条件は、一般的には、到達真空度6.666Pa(0.05Torrを換算した値)〜666.6Pa(5Torrを換算した値)、溶鋼温度1500℃〜1650℃程度が例示されるが、特にこの条件に限定されない。
また、実施例1乃至実施例4を比較すると、孔311の径は10mm前後が最適値であり、圧入量は1m3〜1.5m3が最適値であり、下部槽3への圧入にあっては、下部槽3の周方向8箇所、高さ方向3箇所に圧入するのがよいと推測される。
そこで、本実施形態では、真空脱ガス処理前の溶鋼中の窒素濃度と処理後の窒素濃度との差である窒素濃度の変化量ΔN(質量ppm)を、操業中のチャージ毎で測定し、窒素濃度が溶鋼の要求窒素濃度に近づいたら、再度、上述した下部槽3又は浸漬管4のシール方法を実施する。
第2回目のシール方法の実施後は、同一鋼種の溶鋼の真空脱ガス処理を行う限り、チャージ回数(下部槽チャージ回数)と窒素濃度の変化量ΔN(質量ppm)の変化の傾向をつかめるので、この傾向に基づいて、点P1に至るおおよそのチャージ回数を設定し、これに基づいて、下部槽3又は浸漬管4のシール方法の実施サイクルとなる点P2、P3を設定する。尚、繰り返しの真空脱ガス処理によって耐火物32も徐々に損耗していくため、第2回目以降のシール方法の実施サイクルは徐々に短くなる傾向にある。
また、鋼種によって要求窒素濃度が異なるので、鋼種を変更する場合には、窒素濃度の変化量ΔN(質量ppm)を別途測定し、要求窒素濃度未満を維持できるチャージ回数を改めて確認する必要がある。
また、一定の真空脱ガス処理のチャージ回数のサイクルで下部槽3又は浸漬管4のシール方法を実施するだけでよいので、従来のように、操業中に特別な装置を用いて、浸漬管内に侵入した大気の吸引や、冷却水を循環させて浸漬管の芯金を防止する必要がなく、操業中メンテナンスフリーとすることができる。
Claims (5)
- 鉄皮の内面に耐火物が内張りされた精錬容器をシールする精錬容器のシール方法であって、
予め鉄皮に内外を貫通する孔を形成しておき、
形成された孔から樹脂を圧入して、前記鉄皮及び前記耐火物の間、並びに耐火物間の目地に通気遮断層を形成することを特徴とする精錬容器のシール方法。 - 請求項1に記載の精錬容器のシール方法において、
前記樹脂の圧入後、前記精錬容器内部を減圧状態とすることを特徴とする精錬容器のシール方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の精錬容器のシール方法において、
前記通気遮断層が、100℃以上の熱分解温度の樹脂から構成されていることを特徴とする精錬容器のシール方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の精錬容器のシール方法において、
前記圧入される樹脂は、常温における粘度が100mPa・s以上、10000mPa・s以下であることを特徴とする精錬容器のシール方法。 - 内部で溶鋼を精錬する真空脱ガス炉内に窒素ガスが侵入することを防止する真空脱ガス炉の窒素ガス侵入抑制方法であって、
予め前記溶鋼の鋼種に応じて要求される溶鋼中の要求窒素濃度を把握しておき、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の精錬容器のシール方法が施された真空脱ガス炉を用いて前記溶鋼の精錬を行いながら、前記真空脱ガス炉で精錬された溶鋼中の窒素濃度の変化を確認し、
確認された溶鋼中の窒素濃度が前記要求窒素濃度未満となるようなタイミングで、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の精錬容器のシール方法を実施することを特徴とする真空脱ガス炉の窒素ガス侵入抑制方法。
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