JP2009117071A - 透明導電膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学フィルムに用いられる一般的な熱可塑性樹脂フィルム上に、ハードコート層などの耐熱加工を施すことなく、低抵抗および高い光線透過率を同時に達成する透明導電膜を提供する。
【解決手段】低温でも結晶性が優れる酸化亜鉛を透明導電層2とすることで、フィルム上に低温でも結晶性の良い透明導電層を形成することが可能となり、透明性や強度の優れた透明導電膜を作製することができる。また、酸化亜鉛透明導電層2上に水素を含有するカーボン膜3を形成することで、高温高湿条件下での耐久性を向上することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、主としてタッチパネルやPDP、LCDやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ材料、太陽電池、表面弾性波素子、赤外線カットなどを目的とした窓ガラスコーティング、ガスセンサー、非線形光学を活用したプリズムシート、透明磁性体、光学記録素子、光スイッチ、光導波路、光スプリッタ、光音響材料への活用、高温発熱ヒーター材料において、高い透過率を保ちながら低反射率を達成することが可能である透明導電膜に関するものである。
タッチパネルやディスプレイ材料、太陽電池などに使用される透明導電膜は、その透明導電層として酸化インジウム錫(ITO)や酸化錫、酸化亜鉛などが広く使用されている。このような透明導電層はマグネトロンスパッタリング法やモレキュラービームエピタキシー法などの物理気相堆積法(PVD法)や熱CVDやプラズマCVDなどの化学気相堆積法(CVD法)などにより形成されるほか、特許文献1に記載されるような無電解法により形成される方法が知られている。中でもITOは透明導電材料として非常に優れた材料であり、現在広く透明導電層に使用されている。しかしながら、原料のインジウムが枯渇する可能性があり、資源的にもコスト的にもITOに替わる材料の探索が急務となっている。
上記の用途に使用される透明導電膜は、多くのものが高い光線透過率を必要としている。高い光線透過率を達成する手法の一つとして、透明導電層材料を結晶性が高いものとすることが有効であることが知られている。しかし、高い結晶性の透明導電層を得るには製膜時の雰囲気温度や基板温度を高くする必要があり、汎用の熱可塑性樹脂ではその温度に耐えることができない。
タッチパネルやディスプレイ材料では視認性を良くする為に、表面に防眩処理や反射防止処理を施すことがある。反射防止処理の一つとして、特許文献2には位相差板と偏光板を順次パネル表面付近に設置する方法がある。
さらに特許文献3には、透明基板として固有複屈折値が正負の樹脂を組み合わせることで、良好な波長分散性を示すフィルムが形成可能であり、これを用いた透明導電膜及びタッチパネルについて記載されている。このフィルムを使用することで反射防止に優れた効果を見出すことができるが、基板コストが高くなることや、樹脂のガラス転移点は大きく改善されないために、ITO製膜では透明性の課題が解決できない、またノルボルネン樹脂との混合樹脂の影響で、基板自身の水分などのバリア効果が低下する可能性があり、ノルボルネン樹脂単独使用に比べて、水蒸気遮断効果が低下する恐れがあるため、酸化亜鉛透明導電膜の使用に耐えられないと予想される。
特開平9−278437号公報 特開平5−127822号公報 特開2003−196029号公報
タッチパネルやディスプレイ材料に用いられる透明導電膜は、デバイスの軽量化に伴いプラスチック材料やフィルムが多く使用されているが、光線透過率を高くするために製膜時の基板温度を高くする必要があり、汎用の熱可塑性樹脂フィルムではその温度に耐えられない。また、タッチパネルやディスプレイ材料に用いられる透明導電膜は、反射防止による視認性の向上を目的として、位相差板や偏光板を用いる際に、位相差板を透明導電層の基材とすることでパネルに使用する材料を削減できると同時に、透明性においても有利であると期待される。しかし、位相差板を基材とした場合、透明導電層の製膜時に位相差板のガラス転移温度付近まで温度が上昇する可能性があり、位相差板の位相差が変化する恐れがある。このため、位相差を確保するためには、可能な限り低温で透明導電層を形成する必要があるが、例えばITOを室温付近で製膜した場合ITOが非晶質状となり、導電性や透明性に課題が残る。この対策として、基板上に耐熱を目的としたハードコート層を設ける方法が考えられるが、ハードコート層により基板の柔軟性や透明性が阻害される可能性がある。またコストや生産性の観点からも好ましくない。一方、酸化亜鉛は低温においても良好な結晶性を示す性質があり、その結晶性の高い酸化亜鉛透明導電層による高い光線透過率の達成が可能となることが期待できるが、環境変動による特性の変化が大きく実用可能な域に達していない。
特許文献4には、透明導電膜上に窒化物やカーボン膜を被覆することで、物理的衝撃に対して強いタッチパネル用途の透明導電膜が製造可能であることが記載されているが、該文献に記載されているカーボン膜では環境変動による特性変化に対する効果がなく、上記課題の解決には至っていない。
特開2001−283643号公報
上記課題を解決する為に、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、酸化亜鉛を用いることで、低温でも結晶性の良い透明導電層が製膜可能であることに着目し、このために、透明導電層製膜時の温度により位相差の変動を抑制可能となり、従って設計どおりの位相差を有する位相差一体型透明導電膜を見出すに至った。
すなわち本願発明は、基板上に少なくとも1層からなる透明導電層を有する透明導電膜において、該基板がポリシクロオレフィン樹脂を主成分とする光学等方性または光学異方性を示すフィルムからなり、該基板上に非晶質状の透明誘電体層を形成し、その上に結晶性の酸化亜鉛を主成分とする透明導電層、さらにその上に水素を含有するダイヤモンドライクカーボン膜が形成されており、550nmの波長での光線透過率が85%以上であることを特徴とする透明導電膜(1)。基板と透明導電層との間に、水素を含有するダイヤモンドライクカーボン膜が形成されている透明導電膜(2)。透明導電膜形成直後のシート抵抗と、60℃/95%RH環境下で1週間放置した後のシート抵抗の変化率が7%以下であることを特徴とする上記透明導電膜(3)。上記透明導電層の膜厚が500Å以上5000Å以下であり、且つカーボン膜の膜厚が10Å以上300Å以下であることを特徴とする透明導電膜(4)。上記透明導電層の膜厚が50Å以上500Å以下であり、且つカーボン膜の膜厚が100Å以上5000Å以下であることを特徴とする透明導電膜(5)。上記水素を含有するダイヤモンドライクカーボン膜が、アモルファスハイドロカーボンまたはテトラヘドラル−ハイドロカーボンであることを特徴とする透明導電膜(6)。に関するものである。
本願発明により、光学フィルムに用いられる一般的な熱可塑性樹脂フィルム上に、ハードコート層などの耐熱加工を施すことなく、低抵抗および高い光線透過率を同時に達成する透明導電膜を作製することが可能となる。
本願発明は「基板上に少なくとも1層からなる透明導電層を有する透明導電膜において、該基板がポリシクロオレフィンを主成分とするフィルムからなり、該基板上に酸化亜鉛を主成分とする透明導電層、カーボン膜が、基板−透明導電層−カーボン膜、もしくは基板−カーボン膜−透明導電層−カーボン膜の順で形成されていることを特徴とする透明導電膜。」である透明導電膜に関するものである。
ダイヤモンドライクカーボンを代表とするカーボン膜は、表面の摩擦低下を目的としてコーティングされている。また、近年は太陽電池や化合物半導体高速電子デバイスに用いる低誘電率膜などへの応用が期待されている。(非特許文献1)
ダイヤモンドライクカーボンは、sp結合炭素とsp結合炭素が混合した化合物の総称である。上記結合状態の他にも、水素の含有量などによって特性がまったく異なるダイヤモンドライクカーボンを作製することが可能である。
本願発明に係るダイヤモンドライクカーボンは、水素を含有することが必須である「アモルファスハイドロカーボン」または「テトラヘドラル−アモルファスハイドロカーボン」である。現在広く使用されているダイヤモンドライクカーボンは、水素を含まない「アモルファスカーボン」または「テトラヘドラル−アモルファスカーボン」である。これらのカーボン膜は強度が高く、特にタッチパネル用途では物理的な衝撃に対して非常に有効であることが特許文献4に述べられている。しかし、これらのカーボン膜を被服層としても、酸化亜鉛透明導電膜の環境変動による特性変化に対しては効果がない。一方、カーボン膜の構造中に水素を含ませることにより、酸化亜鉛透明導電膜の環境変動による特性変化に対して効果があることを見出した。
DLC膜ハンドブック、495ページより(NTS社出版) 透明導電膜に使用される透明導電層には、充分な透明性を確保することと同時に、特にディスプレイ用途では反射防止の有効性が上記特許文献2に記載されている。
透明導電層に用いられる、ITOに代表される透明金属酸化物は、結晶性が良いものほど高い透過率や高い導電性が期待できるが、ITOでは結晶性を上げるための温度が、フィルム基板に用いられる熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上であることが場合多く、結晶性の良いITO膜を得ることは困難である。一方で、酸化亜鉛は室温付近でも結晶性の良い薄膜を形成可能であることから、フィルム基板上に酸化亜鉛透明導電層を形成することで、透過率・導電率の優れた透明導電膜を形成することが可能となる。
さらに、結晶性の良い透明導電層は、タッチパネルのように接触電極として使用される際の耐久性に優れることが期待される。
以下、本願発明に係る透明導電膜の代表的な態様を説明する。
図1は、本発明に係る透明導電膜の断面説明図である。この透明導電膜は厚さ0.05〜1mmの基板1上に、酸化亜鉛を主成分とする透明導電層2が設けられる。カーボン膜3は透明導電層2の表面に被覆される。
上記基板1については、少なくとも可視光領域において透明な熱可塑性樹脂からなるフィルムであり、特に優れた光学等方性と水蒸気遮断性に優れているポリシクロオレフィンを主成分とするフィルムが有効に使用できる。ポリシクロオレフィンフィルムとしては、ノルボルネンの重合体やノルボルネンとオレフィンとの共重合体、シクロペンタジエンなどの不飽和脂環式炭化水素の重合体などが挙げられる。上記特許文献3にはノルボルネン樹脂とスチレン系樹脂やアクリロニトリル樹脂・セルロースエステル樹脂との混合による波長分散性の良い透明基板を紹介しているが、水蒸気遮断性の観点から、フィルム構成分子の主鎖および側鎖にはカルボニル基やヒドロキシル基のような大きな極性を示す官能基や、混合物として水蒸気遮断性が劣る樹脂を含まないことが好ましい。
上記基板1はディスプレイ材料やタッチパネルの接触電極基板などに用いる場合には基板フィルムを延伸して位相差を付与することができる。位相差を付与することで、偏光板との組み合わせにより低反射パネルを作製することが可能であり、画像の視認性が大幅に向上することが期待される。
上記基板1への位相差付与の方法について説明する。位相差付与には既知の手法を用いることで可能となる。例えば一軸延伸や二軸延伸などの延伸や配向処理により可能である。この際フィルムにガラス転移温度近くの温度をかけることで、ポリマー骨格の配向を促進することが可能となる。レタデーション値の好ましい範囲は、目的とする機能によりことなるが、反射防止機能を付与する場合には50〜300nmの範囲で選択する事が好ましく、人間が最も強く認識する波長である約550nmに対して1/4となる137nm付近がより好ましい。
上記基板1には、透明導電層などの付着性を向上させる目的で表面処理を施すことができる。表面処理としては例えばシランカップリング剤によるプライマー処理や、接着剤を薄膜コーティングする処理が上げられる。処理方法については特に限定されず、基板表面を均一に処理可能な方法であればどのような方法でも構わない。例えば、スプレー塗布やディッピングによる塗布、ロールコートやスピンコート法などの手法や、CVD法などによる手段が挙げられる。
さらに上記基板1の片面または両面に、ガスバリア性の付与を目的とした層を設けることができる。該層は無機化合物が薄膜で効果を得やすく、例えば酸化珪素や窒化珪素およびその混合物、酸化アルミニウムや窒化アルミニウム、弗化マグネシウムやカーボン膜などの化合物を1種類または複数種類を任意に選択できる。これらの層の形成方法としては、液相堆積法(塗布法)や気相堆積法があり、どの方法も使用可能であるが、均一な薄膜を形成する手段として気相堆積法が好ましい。
本発明における透明導電層2には透明導電酸化物の中でも、透明性の高さとカーボン膜の製膜時に発生する水素プラズマに対して還元反応が起こらないという点から酸化亜鉛が用いられる。上記透明導電酸化物には抵抗制御や安定性を目的としてドーピング剤を添加することができる。ドーピング剤としては例えば、アルミニウムやホウ素を含む化合物やリン、窒素を含む化合物などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
透明導電層の形成方法としては、均一な薄膜が形成される手段であれば特に限定されない。例えば、スパッタリングや蒸着などのPVD法や、各種CVD法などの気相堆積法などの他に、透明導電層の原料を含む溶液をスピンコート法やロールコート法、スプレー塗布やディッピング塗布などにより塗布した後に加熱処理などで透明導電層を形成する方法が挙げられるが、ナノメートルレベルの薄膜を形成しやすいという観点から気相堆積法が好ましい。
気相堆積法で透明導電層を形成する場合、基板の温度は、基板の軟化温度により変化するが、室温〜基板のガラス転移温度以下が好ましく、さらに好ましくは室温〜基板のガラス転移温度より30℃程度低温が好ましい。基板の温度が低すぎると、結晶性が悪くなり、透明性や導電性が目的を達成できない可能性がある。基板の温度が高すぎると基板に付与した位相差が損失する可能性がある。透明導電層の形成には必要に応じてプラズマ放電を利用することができる。プラズマのパワーには特に制限はないが、生産性や結晶性の観点から10W〜600Wが好ましい。低すぎる場合には製膜されない可能性がある。高すぎる場合には基板へのダメージや装置へのダメージが懸念される。透明導電層の形成に使用するキャリアガスは一般的な気相堆積法に使用されるガスを使用することができる。例えばアルゴンや水素、酸素や窒素ガスを使用することができる。
上記カーボン膜3は、酸化亜鉛透明導電膜の空気や水分に対する保護や透明導電層表面の物理的衝撃に対する耐久性向上を目的として使用される。カーボン膜3には水素を含有するダイヤモンドライクカーボンである「アモルファスハイドロカーボン」または「テトラヘドラル−アモルファスハイドロカーボン」であることが必要である。これらのカーボン膜を使用することで、酸化亜鉛透明導電膜の空気や水分に対する保護の効果がある。カーボン膜3の形成方法については、水素を導入可能な手法であれば特に限定されずに使用でき、例えばプラズマCVD法や蒸着法、スパッタリング法などがあり、どの手法を用いても良い。プラズマCVD法でカーボン膜を形成する場合、原料は通常使用されるものを使用でき、炭素源としてメタンやベンゼンなどがあり、例えばメタンと水素を用いる方法により良好なカーボン膜を得ることができる。また、透明導電膜表面の疎水性を上げる為にフッ素原子を導入してもよく、その際の炭素源としてテトラフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン、フルオロメタンやフッ素置換ベンゼンなどが使用できる。プラズマのパワーは特に制限はないが5W〜600Wが好ましい。低い場合は製膜されず、逆に高い場合はプラズマにより透明導電層2がエッチングされる可能性がある。蒸着法やスパッタリング法を用いてカーボン膜を形成する場合、透明導電層2製膜時にあらかじめ水素を含有させることにより、良好なダイヤモンドライクカーボン膜を得ることができる。
透明導電層とカーボン膜の膜厚は目的により異なるが、「(A)透明導電層の膜厚が500Å以上5000Å以下であり、且つカーボン膜の膜厚が10Å以上300Å以下である」または「(B)透明導電層の膜厚が50Å以上500Å以下であり、且つカーボン膜の膜厚が100Å以上5000Å以下」であることが好ましい。上記(A)では、比較的低抵抗な領域で使用されるものであり、酸化亜鉛透明導電層で得られる導電性を損なわないために、低導電性であるカーボン膜の膜厚を上記範囲にすることが好ましい。(B)では、高抵抗な領域で使用されるものであり、水分や空気に対して極めて不安定な酸化亜鉛透明導電層の保護にために厚膜のカーボン膜を設けるために上記範囲にすることが好ましい。
透明導電膜の表面抵抗は、JISK7194に記載されている四探針圧接測定で測定した。表面抵抗の値は、使用するアイテムに必要とされる特性により異なるが、5〜2000Ω/□が好ましい。これ以上大きい表面抵抗では、透明導電層の膜厚が薄過ぎ、透明導電膜の表面抵抗が安定にならず、特に高温高湿環境下に放置すると表面抵抗が容易に上昇する。逆にこれ以上小さい表面抵抗では、透明導電層の膜厚が大きくなり、その応力により透明導電層が割れやすくなることや、また透過率の低下やコスト面での課題が発生する。550nmの波長での光線透過率は、JISK7105に記載されている積分球式光線透過率測定装置を用いて測定した。
以下に、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
位相差フィルムの作製
ポリシクロオレフィンフィルム(商品名ゼオノアフィルムZF−14、膜厚100μm、日本ゼオン社製)を二軸延伸により位相差を付与した。KOBRA−WR(王子計測機器社製)を用いて550nmの測定波長で測定したレタデーション値は140nmだった。
(実施例1)
ポリシクロオレフィンフィルム(商品名ゼオノアフィルムZF−14、膜厚100μm、日本ゼオン社製)に、酸化亜鉛をスパッタ製膜した。製膜条件は、基板温度を50℃、キャリアガスとしてアルゴンガスを20sccm使用し、8Paの圧力で200WのDCパワーをかけ、5分間製膜することで、500Åの酸化亜鉛透明導電層を作製した。さらにその上にカーボン膜をプラズマCVDで製膜した。製膜条件は、基板温度を50℃、メタンガス10sccm、水素ガス200sccm使用し、70Paの圧力で200WのRFパワーをかけ、20分間製膜することで、50Åのカーボン膜を作製した。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は290Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は88%であった。この透明導電膜を、60℃/95%RH環境下で1週間放置したところ、表面抵抗は310Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は88%であった。
(実施例2)
ポリシクロオレフィンフィルム(商品名ゼオノアフィルムZF−14、膜厚100μm、日本ゼオン社製)に、酸化亜鉛をスパッタ製膜した。製膜条件は、基板温度を50℃、キャリアガスとしてアルゴンガスを20sccm使用し、8Paの圧力で200WのDCパワーをかけ、1分間製膜することで、100Åの酸化亜鉛透明導電層を作製した。さらにその上にカーボン膜をプラズマCVDで製膜した。製膜条件は、基板温度を50℃、メタンガス10sccm、水素ガス200sccm使用し、70Paの圧力で200WのRFパワーをかけ、200分間製膜することで、500Åのカーボン膜を作製した。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は1500Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は88%であった。この透明導電膜を、60℃/95%RH環境下で1週間放置したところ、表面抵抗は1500Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は88%であった。
(実施例3)
上記位相差フィルムに、実施例1と同様にして酸化亜鉛透明導電膜とカーボン膜を形成し、透明導電膜を作製した。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は300Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は88%であった。また、550nmの測定波長で測定したリタデーション値は140nmだった。この透明導電膜を、60℃/95%RH環境下で1週間放置したところ、表面抵抗は310Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は88%であった。また550nmの測定波長で測定したリタデーション値は140nmだった。
(実施例4)
上記位相差フィルムに、実施例2と同様にして酸化亜鉛透明導電膜とカーボン膜を形成し、透明導電膜を作製した。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は1500Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は88%であった。また、550nmの測定波長で測定した位相差は140nmだった。この透明導電膜を、60℃/95%RH環境下で1週間放置したところ、表面抵抗は1500Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は88%であった。また550nmの測定波長で測定したリタデーション値は140nmだった。
(実施例5)
上記位相差フィルムに、カーボン膜をプラズマCVDで製膜した。製膜条件は、基板温度を50℃、メタンガス10sccm、水素ガス200sccm使用し、70Paの圧力で200WのRFパワーをかけ、20分間製膜することで、50Åのカーボン膜を作製した。この上に、実施例1と同条件で酸化亜鉛透明導電層、カーボン膜を作製した。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は290Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は89%であった。また、550nmの測定波長で測定した位相差は140nmだった。この透明導電膜を、60℃/95%RH環境下で1週間放置したところ、表面抵抗は300Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は89%であった。
(比較例1)
ポリシクロオレフィンフィルム(商品名ゼオノアフィルムZF−14、膜厚100μm、日本ゼオン社製)に、酸化亜鉛をスパッタ製膜した。製膜条件は、基板温度を50℃、キャリアガスとしてアルゴンガスを20sccm使用し、8Paの圧力で200WのDCパワーをかけ、5分間製膜することで、500Åの酸化亜鉛透明導電層を作製した。さらにその上に、水素を含まないカーボン膜を製膜した。製膜条件は、カーボンターゲットを炭素源として使用し、アルゴン10sccmの環境下で8Paの圧力で200WのRFパワーをかけ、5分間製膜することで、50Åのカーボン膜を作製した。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は250Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は86%であった。この透明導電膜を、60℃/95%RH環境下で1週間放置したところ、表面抵抗は800Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は86%であった。
(参考例1)
ポリシクロオレフィンフィルム(商品名ゼオノアフィルムZF−14、膜厚100μm、日本ゼオン社製)に、製膜時間を1分30秒間とする以外は比較例1と同様にITOを100Åスパッタリング製膜した。このようにして作製した透明導電膜の550nmの波長での光線透過率は85%であった。しかし、この透明導電膜は、透明導電層がフィルムから剥離してしまい、製膜直後から表面にひび割れが生じており、表面抵抗は10000Ω/□以上となり、透明導電膜として機能しないものとなった。
(参考例2)
無アルカリガラス(商品名OA−10、膜厚0.7mm、日本電気硝子社製)に、実施例1と同様に酸化亜鉛透明導電層、カーボン膜を形成し、透明導電膜を作成した。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は350Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は89%であった。この透明導電膜を、60℃/95%RH環境下で1週間放置したところ、表面抵抗は360Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は89%であった。
一般的な透明導電膜では酸化亜鉛よりITOの方が低抵抗であることが知られているが、参考例1のように今回の検討では異なる結果となった。これは、基板温度が低いためにITOが非晶質となっているために表面抵抗が高めとなると考えられる。
また参考例2では実施例1に比べて表面抵抗が高くなった。この点からも、低抵抗酸化亜鉛透明導電層を作製する上で本発明のポリシクロオレフィンフィルム上の透明導電膜は有効であることがわかる。
透明導電膜の断面説明図
符号の説明
1 基板
2 透明導電層
3 カーボン膜

Claims (6)

  1. 基板上に少なくとも1層からなる透明導電層を有する透明導電膜において、該基板がポリシクロオレフィン樹脂を主成分とする光学等方性または光学異方性を示すフィルムからなり、該基板上に結晶性の酸化亜鉛を主成分とする透明導電層、さらにその上に水素を含有するダイヤモンドライクカーボン膜が形成されており、550nmの波長での光線透過率が85%以上であることを特徴とする透明導電膜。
  2. 基板と透明導電層との間に、水素を含有するダイヤモンドライクカーボン膜が形成されている請求項1記載の透明導電膜。
  3. 透明導電膜形成直後のシート抵抗と、60℃/95%RH環境下で1週間放置した後のシート抵抗の変化率が7%以内であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の透明導電膜。
  4. 上記透明導電層の膜厚が500Å以上5000Å以下であり、且つカーボン膜の膜厚が10Å以上300Å以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電膜。
  5. 上記透明導電層の膜厚が50Å以上500Å以下であり、且つカーボン膜の膜厚が100Å以上5000Å以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電膜。
  6. 上記水素を含有するダイヤモンドライクカーボン膜が、アモルファスハイドロカーボンまたはテトラヘドラル−ハイドロカーボンであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電膜。
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