JP2009114449A - 構造化脂質組成物およびその調製方法 - Google Patents

構造化脂質組成物およびその調製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】非常に望ましい食事効果を有する食品の調製に有用である、可食性合成トリグリセリドの特定の混合物を含む脂質組成物を提供する。
【解決手段】この新規の脂質組成物によって、カロリー低減、体重管理、健康効果、またはそれらのあらゆる組み合わせを提供するような、非常に望ましい食事効果を同時に得ることができ、また、トランス脂肪酸を生じないように調製することもできる。
【選択図】図1

Description

本発明は、概して、構造化脂質およびその調製方法に関する。より具体的には、本発明は、構造化脂質成分が、例えば、食事および他の健康効果、カロリー低減、体重管理等を同時に提供する能力を含むように、短鎖、中鎖、および/または長鎖残基の組み合わせを有するトリグリセリドを含有する構造化脂質組成物に関する。
食物脂肪は、全ての栄養分のうち、最も濃縮されたなエネルギー源であり、一般的に約9kcal/gを供給するが、これは通常、食物炭水化物またはタンパク質のいずれよって供給されるカロリー含量よりも上回る。脂肪は、大部分の食品香料が脂溶性であるので、食品の嗜好性および風味に寄与し、また、高脂肪食品は、主にタンパク質および炭水化物を含有する食品よりも長い期間胃の中に留まるので、満腹度にも寄与する。さらに、脂肪は、脂溶性のビタミンA、D、EおよびK、ならびに重要な脂肪酸の担体であり、それらは、成長および多数の身体機能の維持に重要であることが示されている。主な研究努力では、カロリー含量を減じて、脂肪と同等の機能的および官能的特性を提供するが、消費者によって合成物であると容易に考えられることのない、食品物質を生成する方法に焦点が当てられている。
最も豊富な脂肪群は、グリセロール(1,2,3−プロパントリオール)を有する脂肪酸のトリグリセリド―エステルである。食物オメガ3、6、および9脂肪酸の健康効果は、広く報告されている(非特許文献1)。天然脂肪は、幅広い機能性を有し、それぞれ、ヒトの消化プロセスで異なる方法で処理される。早期の研究では、高融点のトリグリセリド脂肪はあまり消化できなかった報告された(非特許文献2)。その後、研究者らは、消化性と融点との関係を問題として取り上げ、代わりに、脂肪酸置換基の鎖長および不飽和度を精査した。ラットモデルを用いた研究では、4個乃至10個の炭素原子を有する直鎖飽和脂肪酸は完全に消化されたが、10個乃至18個の炭素原子を有するものでは、炭素原子数が増加するごとに、より少なく消化され、18個を超える炭素原子を有するものではわずかしか吸収されなかった。また、単不飽和酸は、飽和酸とほぼ同じであった(非特許文献3)。
これまでの他のトリグリセリドの代謝の研究では、限られた範囲の予測を見出したに過ぎなかった。ある人体研究では、89パーセントのステアリン酸(C18)および11パーセントのパルチミン酸(C16)を有する大部分が飽和した長鎖トリグリセリドを含有するココナッツ油が、31パーセントの吸収を示したのに対し、コーン油では、98パーセントであった(非特許文献4)。しかし、食事性脂肪のステアリン酸含量を増加させても被吸収性自体は減少せず、むしろ、被吸収性は、存在するトリステアリン(すなわち、3つのステアリン残基を有するトリグリセリド)の量を増加させることによって減少させることができることが判明した(非特許文献5)。別の研究では、ステアリン酸は、食物カルシウムおよびマグネシウム存在下、あるいは非存在下において、第1および第3位にオレイン酸を有するトリグリセリドの第2位上でエステル化したときに、ラットによって十分に吸収されたが、第2のステアリン酸を第1位に添加すると吸収が減少したことを見出した(非特許文献6)。第1位にあるステアリン酸は、食物カルシウムおよびマグネシウム非存在下で、第2および第3位にオレイン酸を有するトリグリセリドから十分に吸収されたが、食物カルシウムおよびマグネシウムの存在下では、そうではなかった(同書)。第1および第3位の両方にステアリン酸を有すると、食事性カルシウムおよびマグネシウムの有無にかかわらず吸収が減少し、その影響は、カルシウムおよびマグネシウムが十分であったときの方が顕著であった(同書)。
パルミチン酸の消化性も研究された。パルミチン酸は、一般的にヒト乳児に供給される自然発生的な脂肪内において、第1または第3位に位置する際よりも、第2位に位置する時のほうがラットによる吸収が良好であり、また、第1および第3位のパルミチン酸およびステアリン酸含量を増加させることによって、総脂肪吸収が悪影響を受けたことが報告された(非特許文献7)。
ステアリン酸が多いトリグリセリドはあまり良く用いられないが、それらは、高融点の傾向もある。トリステアリンは、室温では固体であり、そのα型は55℃で融解する白色紛体であり、固化の際に、72℃で再融解するβ型に戻る。第2位に短鎖または中鎖脂肪酸を有する1,3−ジステアリンの融点は高いことが示されている(非特許文献8)。ステアリン酸および/またはパルミチン酸の対称型ジ−飽和トリグリセリドは、しばしば第2位にオレイン酸を有し、体温付近でかなり均一に融解する。この特性は、カカオバターおよび硬質バター代替物(特許文献1、特許文献2、特許文献3)に好都合であり、また、マーガリンおよびショートニング用のハードストックに(特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8)好都合である。その機能性のため、高融点の高ステアリン脂肪は、概して、可塑性がより高い、または液体トリグリセリドと比較して、食品成分における用途が限られる。
脂肪は、通常の脂肪内で生じる脂肪酸の一部を酢酸で置換することによって調製されていたので、短鎖アセチルおよびより長鎖の置換基を有するトリグリセリドが生成された。ステアリン酸が多い飽和脂肪の場合、ステアリル基の一部をアセチル基で置換することで、融点が下がる。これらのアセトグリセリドは、1950年代中に調査され、消化可能であることが見出された。動物の摂食研究では、アセトオレインはアセトステアリンよりも消化されやすい(非特許文献9)が、モノおよびジアセチン脂肪の栄養価は、対応する従来のトリグリセリドと基本的に同じであることを示した(非特許文献10)。動物は、食事性脂肪としてアセトステアリンだけしか供給されなかった場合、成長が不十分であった(非特許文献11)。
アセトステアリンは、トリステアリンよりも低融点であるが、それでも高融点であり、可塑性または液体脂肪を必要とする食品成分における用途を限定する。実際に、構造的に関連する化合物の融点は、概して分子量(および中鎖乃至長鎖の飽和置換基を有するモノおよびジステアリンがこの規則に従う)の減少によって低下するが、C18CnC18およびCnCnC18系列(nは、2乃至6)におけるトリグリセリドの融点は、変則的に、高分子量のC6(カプロン酸)モノおよびジステアリン誘導体が最も低い融点を有し、低分子量のC2(酢酸)モノおよびジステアリン誘導体が最も高い融点を有することを示す(非特許文献12、非特許文献13)。ショートニング等としての使用に提案されたアセトステアリンを含有する可塑性脂肪は、かなりのレベルの不飽和脂肪を含むように調製され、一般的に、高鹸化価をもたらすか、または室温で液体であるかなりのレベルの脂肪酸を用いた(特許文献9、非特許文献14)。
アセトステアリンは、急激な融点を有する蝋状脂肪である。媒体および/または長い置換基を有する脂肪とは対照的に、アセトステアリンは、特異な多型性も呈する(非特許文献15)。それらの融解および結晶特性のため、これらの脂肪は、肉、魚、チーズ、およびキャンディのような食品のコーティングに有用であるとして提案されている(特許文献10、特許文献11)。このような組成物は、しばしば「ホットメルト」と称され、抗生物質(特許文献12)またはポリマー材料(特許文献13)を含有し、コーティングの寿命を延ばすことができる。
短鎖脂肪酸(例、プロピオン酸および酪酸)、またはいわゆる揮発性脂肪酸は、哺乳類種の大腸内に生じる(非特許文献16)。乳脂肪内の数パーセント(すなわち、3.5乃至4パーセント)の酪酸を除いて、揮発性脂肪酸は、脂肪内のグリセロールにエステル化されて自然に生じることはほとんどなく、これらは概して腸内の発酵による副産物である。物理的に、短鎖脂肪酸は、「その性質が全く「脂肪様」ではなく、実際に、それらは水との完全混和性を有する親水性物質である」として特徴付けられている(非特許文献17)。
短鎖酸および短鎖残基を有するトリグリセリドの代謝を調査した早期の研究では、脂肪における栄養価と炭素原子数との規則的な関係は示さなかった(非特許文献18)。例えば、食事の5パーセント乃至10パーセントのレベルでラットに供給したときには、トリアセチンおよびトリブチリンは栄養価が高く、試験を行った脂肪のうちの上位20乃至25パーセントにおいて体重が増加したのに対して、トリプロピオニンおよびトリイソバレリンは毒性があった。1929年、Ecksteinは、トリオレインおよび酪酸ナトリウムを供給したラットが同じ割合で成長したことを報告した(非特許文献19)。
1935年、Holtらは、一日あたりに保持される脂肪は、乳脂対照群における供給よりも(88.9パーセント)、トリブチリンで強化したミルクを与えた乳児の方が多い(90.1乃至90.2パーセント)ことに気付いた。この研究では、比較的短鎖の脂肪酸が、より良く吸収されると結論した(非特許文献20、非特許文献21)。同様の結果がトリアセチンによっても得られ、コーン油がより高いカロリーレベルをもたらしたが、トリブチリンおよびトリアセチンの吸収は、コーン油の吸収よりも優れていた(非特許文献22)。ラット食のグルコースおよびでんぷんの半分をトリアセチン、トリプロピオニン、またはトリブチリンに置き換えても、可消化、代謝性、または正味のエネルギー測定値には顕著な影響を及ぼさなかったが、トリブチリンを与えた2つの実験において、また、トリアセチンを与えた1つの実験において、体重の増加が少ないことが観察された(非特許文献23)。
生体外消化性の研究によれば、トリブチリンは、膵臓リパーゼによって容易に切断される。鎖長の関数として、脂肪分解を測定したデータは、トリブチリンが、他の基質よりもはるかに速く加水分解されることを示している(3つの同じC4乃至C18のアシル基を有するトリグリセリドとの比較は、非特許文献24を、3つの同じC2乃至C18のアシル基を有するトリグリセリドとの比較は、非特許文献25を参照のこと)。しかし、一部の報告書では、3つの同じC2乃至C6のアシル基を有するトリグリセリドと比較して(非特許文献26)、また、3つの同じC2乃至C18のアシル基を有するトリグリセリドと比較して(非特許文献27)、トリプロピオニンの方がわずかに良好であると評価している。実際に、トリブチリンは非常に良好な基質であり、また、トリグリセリドは均一溶液内での酵素測定を可能にするのに十分に水溶性であるので、しばしばリパーゼ基質の標準として選択される(非特許文献28)。
他のリパーゼ製剤は、短鎖トリグリセリドを容易に切断する。トリブチリンは、母乳リパーゼによって最大初速度で加水分解されるが、ブタ肝臓リパーゼは、C2乃至C18トリグリセリドと比較した研究において、他のものよりもはるかに速い初速度でトリプロピオニンおよびトリブチリンを加水分解することが分かった(非特許文献29)。トリブチリンは、母乳の胆汁酸塩活性化リパーゼによって、C6乃至C18トリグリセリドよりも容易に加水分解された(非特許文献30)。肝臓リパーゼは、トリバレリン(trivalerin)を最も速く、トリブチリンを次に速く加水分解する(非特許文献31)。
長鎖(約C16乃至C24)脂肪酸を有するトリグリセリド、および短鎖脂肪酸を有するものとは対照的に、中鎖トリグリセリド(概して、カーネル油またはラウリン酸脂肪から得られ、C6乃至C12、大部分はC8乃至C10の脂肪酸で置換されたものを包含する)は、長鎖脂肪酸を有するものよりも、異なる異化経路を経て、より迅速に吸収および代謝されるので、特に興味深い(非特許文献32)。したがって、中鎖トリグリセリドは、未熟児の粉乳、および複数の吸収不良症候群の治療に用いられている。Kaunitzらによる給餌研究では、ラットの体重維持および肥満制御における中鎖トリグリセリドの有効性を示した(非特許文献33)。
複数の研究グループは、中鎖置換基と結合するステアリンおよび/またはベヘン酸を有するトリグリセリドを、低カロリーの脂肪として用いることができることを提起することによって、中鎖脂肪酸の物理的および栄養的特性を用いた。例えば、特許文献14(1993年5月19日)(C6乃至C10残基として定義された中鎖置換基)、および特許文献15(1990年6月19日)(C4乃至C12残基として定義された中鎖置換基)を参照のこと。しかし、後者の公報は、微量のC4脂肪酸だけを例証し、さらに、0乃至1の長鎖不飽和残基の組み込みを提起している。第1位にステアリン酸を、また他の位置に中鎖および不飽和残基を有する低カロリーのトリグリセリド混合物も提起されている(特許文献16)。
中鎖および長鎖部分を有するトリグリセリドの多型性は、概して、安定したβ結晶構造を有する傾向にあることで、長鎖部分を有する脂肪に類似している。これは、それらを含有する脂肪混合物の粒状性、およびチョコレート組成物におけるブルームの発生に寄与する。滑らかな混合物の調製には、綿密な置換基の選択および/または調質が必要である。この不利点の無い低カロリー脂肪混合物を有することが望ましい。また、真のトリグリセリドであるが、最低限のカロリーを供給し、多種多様な製品での使用を可能にする機能性を呈する脂肪を有することが望ましい。
米国特許第6,369,252号では、構造化脂質およびその混合物、ならびに酵素法を開示している。本特許によれば、トリアシルグリセロールの自己酸化速度および融解特性は、トリアシルグリセロール分子内の不飽和脂肪酸の位置の影響を受ける可能性がある、としている。したがって、第2位に不飽和脂肪酸を有するトリアシルグリセロールは、酸化に関して、第1位および第3位にあるものよりも安定している。米国特許第6,277,432号では、混合物の40乃至95パーセントが、ジ短鎖種と、第2位のものを含む3乃至40パーセントの脂肪酸部分とを含む、短鎖と、飽和長鎖と、不飽和長鎖の脂肪酸残基との種々の組み合わせを有するトリアシルグリセリドの混合物を主成分とする可塑性脂肪組成物が、不飽和長鎖であることを開示している。
特許文献17では、3つの利用可能なトリアシルグリセロールの位置の中でランダムに配置された、短鎖(S)、中鎖(M)、および長鎖(L)飽和脂肪酸を有する、少なくとも24パーセントの新規構造を含有する新規トリアシルグリセロール組成物を開示している。この組成物は、テーブルスプレッドおよび他の食品の調製に有用な、カロリーを低減した脂肪の種類に属する。トリアシルグリセロールのグリセロール主鎖に対する脂肪酸のランダムな機構が確認された(非特許文献34)。
また、文献では、ステアリン酸の生物学的利用能を減じる原因として、高融点のモノグリセリドおよびジグリセリドの消化副産物の作用も確認している(非特許文献35)。文献にはさらに、カロリー利用能と、トリアシルグリセロール組成物との経験的な関係を展開する研究が記載されている(非特許文献36)。短鎖と長鎖の両方を含有する構造化トリアシルグリセロールにおける、短鎖酸の、長鎖脂肪酸と比較して、改善された開裂速度が報告されている(非特許文献37)。中鎖および長鎖脂肪酸を含有する構造化脂質の消化および吸収が文献に記載されている(非特許文献38)。食品成分の利用可能なカロリー含量を減じる脂質構造成分の使用が提起されている(非特許文献39)。文献では、また、大豆および菜種に由来する80パーセントのジアシルグリセロールの構造を含有する特定の市販の調理油製品は、他の油に比べて、体内の過剰な脂肪組織として被着する可能性が低いことが提起されている(非特許文献40)。脂肪または油に由来する生物学的に利用可能なエネルギーを判断する方法もまた、記載されている(非特許文献41)。一部の市販の合成脂肪および油は、相互排他的ではあるが、カロリー低減、体重管理、または健康効果をもたらすものとして宣伝されている。
米国特許第4,364,868号明細書 米国特許第4,839,192号明細書 米国特許第4,873,109号明細書 米国特許第4,390,561号明細書 米国特許第4,447,462号明細書 米国特許第4,486,457号明細書 米国特許第4,865,866号明細書 米国特許第4,883,684号明細書 米国特許第2,614,937号明細書 米国特許第2,615,159号明細書 米国特許第2,615,160号明細書 米国特許第3,192,057号明細書 米国特許第3,388,085号明細書 欧州特許出願公開第0 322 027 B1号明細書 特公平2−158,695号公報 米国特許第4,832,975号明細書 米国特許第5,380,544号明細書 Kennedy,「Structured Lipids:Fats of the Future」、Food Technology、November 1991、76−83 Deuel、The Lipids、Vol.II、Interscience Publishers、1955、pp.218−220 Carroll、J.Nutr.64:399−410の408にて(1957) Hashim、Am.J.Clin.Nutr.31:S273−276(1978) Mattson、J.Nutr.69:338−342(1959) Mattoson、J.Nutr.109:1682−1687(1979)、Table3、pp.1685) Tomerell、J.Nutr.95:583−590(1968) Lovegren、J.Amer.Oil Chem.Soc.55:310−316(1978) Mattson、J.Nutr.59:277−185(1956) Ambrose,J Nutr.58:113−124(1956) Coleman、J.Amer.Oil Chem.Soc.40:737−742(1963) Jackson、J.Amer.Cher.Soc.73:4280−4284(1951) Jackson、J.Amer.Chem.Soc.74:4827−4829(1952) Baur、J.Amer.Oil Chem.Soc.31:147−151(1954) Feuge, Food Technology 9:314−318(1955) Cummings、Gut 22:763−779(1981) Bailey’s Industrial Oil and Fat Products、4th.Ed.J.Wiley、New York 1979、volume 1、pp.16−17 Ozaki、Biochem.Z.177:156−167(1926)の163 J.Biol.Chem.81:163−628(1929)の622 J.Ped.6:427−480(1935)、Table VIII、pp.445 Conclusions、number 4、pp.477 Snyderman、Arch.Dis.Childhood 30:83−84(1955) McAtee、Life Sci.7:769−775(1968) Sobotka、J.Biol.Chem. 105: 199−219(1934) Desnuelle、J.Lipid Res.4:369−384(1963) Weinstein、J.Biol.Chem.112:641−649(1936) Wills、The Enzymes of Lipid Metabolism(Desnuelle,P.,Ed.)、Pergamon Press、N.Y.、1961、pp.13−19 Ravin、Arch.Biochern.Biophys、42:337−354(1953)353 Schonheyderら、Enzymologia 11:178−185(1943) Wang、J.Biol.Chem.258:9197−9202(1983) Sobotka、J.Biol.Chem.105:199−219(1934) Babayan、Dietary Fat Requirements in Health and Development(Beare−Rogers,J.Ed.)、A.O.C.S.1988、Chapter 5、pp.73−86 J.Amer.Oil Chem.Soc.35:10−13(1957) Klemann、J.Agric.Food Chem.、「Random Nature of Tricacylglycerols Produced by the Catalyzed Interesterification of Short− and Long−Chain Fatty Acid Triglycerides」、1994、42、442−446 Dreher、「Salatrim:A Triglyceride−Based Fat Replacer」、Nutrition Today、1998、33、164−170 Klemann、「Estimation of the Absorption Coefficient of Stearic Acid in Salatrim Fats」、J.Agric.Food Chem.、1994、42、484−488 Hayes、「In Vivo Metabolism of Salatrim Fats in the Rat」、J.Agric.Food Chem.、1994、42、500−514 Fat Digestion and Absorption、Chapter 11、「Digestion and Absorption of Structured Lipids」、pp.235−243、AOC Press 2000 Structured and Modified Lipids、Chapter 18、Auerbachら、「Reduced−Energy Lipids」、Marcel Dekker、pp.485−510 Health Begets Wealth」、Prepared Foods、21−22(2001年4月) Finley、「Growth Method for Estimating the Caloric Availability of Fats and Oils」、J.Agric.Food Chem.、1994、42、489−494) Finley、「Growth Method for Estimating the Caloric Availability of Fats and Oils」、J.Agric.Food Chem.、1994、42、489−494 P.S.MacLean、J.A.Higgins、G.C.Johnson、B.K.Fleming−Elder、J.C.Peters、J.O.Hill、「Metabolic adjustments with the development,treatment,and recurrence of obesity in obesity−prone rats」、Am.J.Physiol.Regul.Integr.Comp.Physiol.、287(2):R288−97、2004 Finley、Growth Method for Estimating the Caloric Availability of Fats and Oils」、J.Agric.Food Chem.、1994、42、489−494 P.S.MacLean、J.A.Higgins、G.C.Johnson、B.K.Fleming−Elder、J.C.Peters、J.O.Hill、「Metabolic adjustments with the development,treatment,and recurrence of obesity in obesity−prone rats」、Am.J.Physiol.Regul.Integr.Comp.Physiol.、287(2):R288−97、2004
本発明は、概して、食品の調製に有用な構造化脂質組成物に関する。脂質組成物は、次の組成式(A)のグリセロール部分にエステル化した脂肪酸R1、R2、およびR3を有する、可食性合成トリグリセリドの混合物を含む。
Figure 2009114449
式中、R1、R2、およびR3のそれぞれは、独立して2個乃至24個の炭素原子を有する脂肪酸残基を含む。本願明細書において、構造化脂質組成物は、R1、R2、またはR3位置のうちの1つに領域特異的に配置した特定の脂肪酸を有する脂質を意味する。
一形態では、混合物内の、少なくとも約14重量パーセント、好ましくは約14乃至30パーセント、より好ましくは約30乃至60重量パーセント、より好ましくは60乃至95重量パーセントのトリグリセリドが、少なくとも、(1)独立して2個乃至4個の炭素原子を有する飽和短鎖脂肪酸残基(「S」)、および6個乃至12個の炭素原子を有する飽和中鎖脂肪酸残基(「M」)から成る群から選択された2つのR基と、(2)14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖脂肪酸残基(「U」)として残りのR基とを有する。
特に好適な形態では、このような混合物は、少なくとも、(1)独立して2個乃至4個の炭素原子を有する飽和短鎖脂肪酸残基(「S」)、および6個乃至12個の炭素原子を有する飽和中鎖脂肪酸残基(「M」)から成る群から選択されたR2基と、(2)14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖脂肪酸残基(「U」)を有する両端の基R1およびR3のうちの少なくとも1つと、(3)2個乃至4個の炭素原子を有する飽和短鎖脂肪酸残基(「S」)か、6個乃至12個の炭素原子を有する飽和中鎖脂肪酸残基(「M」)か、または14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖脂肪酸残基(「U」)を有する、短鎖脂肪酸残基である基R1およびR3のうちの他方と、を有する少なくとも14重量パーセントのトリグリセリドを含む。
また、本願明細書の脂質組成物の混合物は、一般組成式(B)で特徴付けられる、短鎖脂肪酸残基(S)と、中鎖脂肪酸残基(M)との和(「S+M」)と、飽和長鎖脂肪酸と、14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖脂肪酸残基との和(「L+U」)との比率において、
(B)混合物のモル比=(S+M)/(L+U)
混合物全体のモル比が、約0.6乃至約3.8であることが好ましく、約0.6乃至約2.4であることがより好ましい。約0.6乃至約3.8の混合物全体のモル比(B)によって、本願明細書の構造化トリグリセリドの混合物は、コーン油よりも少ない生物学的に利用可能なエネルギー(すなわち、約9kcal/g未満)を供給する。約0.6乃至約2.4の混合物全体のモル比(B)によって、本願明細書の構造化脂質組成物の混合物は、コーン油よりも少ない生物学的に利用可能なエネルギー(すなわち、約9kcal/g未満)を供給する。そして、哺乳類の消化管内で消化されたときに、それらは、同等量の消化されたコーン油よりも、効果的にそのエネルギー含量をより多くエネルギー消費(すなわち「燃焼」)に転換し、体脂肪の蓄積(すなわち「蓄え」)がより少なくなる形態で吸収および代謝される。カロリーが最も減じられるのは、概して比率Bの下限に達したときに見られると考えられ、また、燃焼と貯蔵効果との比率が最も大きくなるのは比率Bの上限に達するときに見られると考えられる。好適な一形態では、「L」は、ゼロとなるかまたはゼロに近くなり得る。しかし、場合によっては、「L」は、ゼロより大きい場合もある。すなわち、例えば、構造化脂質が、上記に定義したように、好ましくはそのグリセロール部分内に長鎖脂肪酸残基を含まない場合であっても、混合物全体は、一部の長鎖飽和脂肪酸を含むことができる。
好適な一実施形態では、混合物内の、少なくとも約14重量パーセント、好ましくは少なくとも31乃至95重量パーセントの合成トリグリセリドが、(1)2個乃至4個の炭素原子を有する飽和短鎖脂肪酸残基としてのR2基と、(2)14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖脂肪酸残基としてのR1またはR3基のうちの1つと、(3)2個乃至4個の炭素原子を有する飽和短鎖脂肪酸残基(すなわち、SSUまたはUSS構造)としてのR1またはR3基の他方と、を有する。このような混合物は、約7乃至約8kcal/gの生物学的に利用可能なエネルギーを供給し、さらに、対照コーン油と比較して、このエネルギーの15乃至80パーセントを体脂肪に対して、熱に転じる。またこの混合物は、下述するように、状況に応じてある程度のL基を含有することもできる。
別の形態では、混合物は、(1)14個乃至24個の炭素原子を有する飽和長鎖脂肪酸残基(L)としてのR2基と、(2)6個乃至12個の炭素原子を有する飽和中鎖脂肪酸残基(M)としてのR1またはR3のうちの1つと、(3)14個乃至24個の炭素原子を有する飽和長鎖脂肪酸残基としてのR1またはR3基のうちの他方(L)(すなわち、MLLおよび/またはLLM構造)とを含む、約30乃至約80重量パーセントのトリグリセリドを含むこともできる。このような形態では、混合物は、約4乃至約6kcal/gの生物学的に利用可能なエネルギーを供給する。
一側面では、混合物内に存在する短鎖トリグリセリド部分(S)は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、またはそれらの混合物から得ることができる。混合物内に存在する中鎖トリグリセリド部分(M)は、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、またはそれらの混合物から得ることができる。混合物内に存在する長い不飽和トリグリセリド部分(U)は、パルミトレイン酸、オレイル酸、バクセン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、およびそれらの混合物から得ることができる。また、混合物内に存在するあらゆる長鎖不飽和(すなわち、炭素対炭素の二重結合が無い)トリグリセリド部分(L)は、ステアリン酸、ラウリン酸、ベヘン酸、アラキジン酸、パルミチン酸、またはそれらの混合物から得ることができる。本願明細書に記載された方法によって提供された、更なる脂質組成物および合成トリアシルグリセロールも提供される。
本願明細書に記載された脂質組成物は、驚くべき特性を呈する。脂質組成物は、第1位および/または第3位に、実質的な健康促進の不飽和長鎖脂肪酸残基を含有するとともに、概して、約8kcal/g未満、具体的には約7kcal/g未満、より具体的には約6kcal/g未満の生物学的に利用可能なエネルギーを供給する、低カロリー、低脂肪の組成物または混合物である。好ましくは0.6乃至2.4のモル比(S+M)/(L+U)によって、このような脂質混合物は、脂肪組織内に蓄積された脂肪をエネルギーとして使用するための流動化および代謝を最適に高め、(第2位とは異なり)再合成および脂肪の貯蔵に利用されにくい。低カロリーの脂質組成物は、高含量の(例えば、ステアリン酸から得られた)飽和長鎖脂肪酸(L)をトリアシルグリセロール構造へ組み込まずに提供される。また本発明の新規脂質組成物は、トランス脂肪酸を含まずに(すなわち、基本的に、トランス不飽和を含有するアシル基を含まずに)調製することもできる。また、本発明の脂質組成物によって、カロリー低減、体重管理、健康効果、およびそれらの組み合わせを提供する等の、非常に望ましい食事効果を同時に提供することもできる。脂質組成物の成分合成トリグリセリドは、哺乳類の消化管内で消化されたときに、効果的にそのエネルギー含量をより多くエネルギー消費に転換し、体脂肪の蓄積がより少なくなる様態で吸収および代謝される。
この新規脂質組成物の実施形態は、通常の室温で液体および実質的に液体の油を含むが、他の組成物は、安定した非粒状の結晶構造を有する、幅広い温度範囲にわたって可塑的であり、冷蔵庫温度において塗り広げることが可能である。例えば、一形態では、本願明細書の混合物は、約24℃で実質的に液体の油である。この新規脂質組成物および成分トリグリセリドは、可食性であり、液体植物油および水素化脂肪の代わりに、種々の加工食品に使用することができる。
上述した概要では、本発明は、少なくとも2種類の合成構造化脂質を包含することができる新規組成物に関し、それらの合成構造化脂質は、便宜上、ここではそれぞれの調製手順によって参照する。(I)種の脂質組成物は、段階的な位置特異的酵素媒介による合成によって調製される、S、M、および/またはU鎖酸残基を有するトリアシルグリセロールを含む。(II)種の脂質組成物は、単一ステップのランダムなエステル交換合成によって調製され、(i)SおよびU鎖酸残基を、単独で、またはMおよびLを有するトリアシルグリセロールとの混合物で有するトリアシルグリセロール構造か、または代替的に(ii)S、M、およびU鎖酸残基を含む。
(I)種の脂質組成物では、短鎖(S)、中鎖(M)、および/または不飽和(U)長鎖酸残基を有する、トリアシルグリセロールは、構成酸を、それらの相対的な大きさに反比例する速度で放出する、内因性酵素によって加水分解される。短鎖は、中鎖よりも速く切断され、そしてまた中鎖は、長鎖酸よりも速く切断される。したがって、哺乳類における自然な消化プロセスは、段階的にこれらの構造化トリアシルグリセロールから代謝性エネルギーを放出し、長時間にわたり、持続的な生物学的に利用可能なエネルギー源をもたらす。この特性は、消費者に新たな利益を提供する種々の食品形態に活用することができる。結果として生じた構造は、段階的な位置特異的酵素媒介による合成によって生成することができ、また、従来の油処理および精製技術を用いて合成混合物から濃縮することができる、新規組成物である。
一実施形態では、MMM(またはSSS)トリアシルグリセロールを、最初に、それぞれUMU(またはUSU)トリグリセリドを含有する中間生成物を形成するのに十分な、固定化した1,3位特異リパーゼのような1位および3位に特異的な酵素の存在下で、UUU(または代替的に、LLL)トリアシルグリセロールと反応させ、次いで、その中間性生物を、UMS(またはUSM)トリグリセリドを形成するのに十分な、1位および3位特異酵素の存在下で、SSS(またはMMM)(出発化合物とは異なる方)とさらに反応させる。第1位または第3位に不飽和長鎖酸(U)を含有する組成物は、代謝経路が、再合成および脂肪蓄積ではなく、エネルギーの利用を好む傾向となるので、特に好ましい。
短鎖、中鎖、および不飽和長鎖酸残基を含有する本発明の実施形態による、合成UMS(またはUSM)トリアシルグリセロール構造は、新規の栄養特性を有する新規組成物である。これらの油は、標準的な酵素加水分解を受け、酸鎖を、それらの相対的サイズに反比例する速度で放出する。いかなる構造化脂肪も、これまで、この非常に望ましい利益に利用されたことは無かったと考えられる。理論によって制限する意図は無いが、短鎖および中鎖酸は、炭水化物のように迅速に代謝してそれらのエネルギーを使い果たし、一方で、長鎖不飽和酸は、遊離酸として、または2−モノグリセリドおよび/または1−モノグリセリドとして吸収され、よりゆっくりと代謝される。用いる合成方法に応じて、不飽和酸は、トリアシルグリセロールの約67乃至約100パーセントにおいて、末端グリセロール位置を占めることができる。短鎖または中鎖アシル基の選択的な開裂は、トリアシルグリセリドの再合成および脂肪蓄積経路には効率的に利用できない、1−モノグリセリドを残す傾向がある。したがって、これらの油は、概して体脂肪として容易に蓄積されず、それらのエネルギーおよび栄養価を高め、それらの体脂肪としての蓄積を最小限に抑える。
(II)種の脂質組成物に関しては、脂肪酸エステルおよび短鎖(または中鎖)トリグリセリドからの、トリアシルグリセロールの単一ステップのランダム化合成は、健康を促進する脂肪酸(例、共役リノール酸、オメガ3−脂肪酸、単不飽和酸等)を供給することができ、また、脂肪組織内に蓄積される脂肪の流動化および代謝を刺激することができる、新規の中性油を提供する。一側面では、これらの新規の油の組成は、大部分がUSS構造のものから、USS、SUS、UUS、およびUSUの分子形態の混合物まで多岐にわたる。好適な実施形態は、約31乃至約95パーセントのUSSトリアシルグリセロール構造を有し、約7乃至約8kcal/gの生物学的に利用可能なエネルギーを供給する。また、USSとLLM構造との混合物を含有する、非常に望ましい混合組成物も提供することができる。これらは、約4乃至約6kcal/gの生物学的に利用可能なエネルギーを供給し、所望の健康を促進する脂肪酸の送達を可能にし、食品における幅広い機能的適用を可能にする。別の実施形態では、新規SMU構造を、ランダムなエステル交換および単離手法から得ることができる。単一ステップの単純な化学作用を活用することで、複数ステップの手法と比較して、製造コストが削減され、また、設備投資および総原料コストが削減される。
本発明は、短鎖および/または中鎖、および不飽和長鎖酸部分を、ランダムまたは位置特異的に配置した構造化トリグリセリドの合成によって、低カロリー、低脂肪脂質の食事性および代謝特性を著しく高めることができる発見に基づいている。新規の構造化脂質組成物の実施形態は、通常の室温で液体および実質的に液体の油を含むが、他の組成物は、幅広い温度範囲にわたって可塑的であり、冷蔵庫温度において拡散可能であり、安定した非粒状の結晶構造を有する。この新規の構造化脂質組成物および成分トリグリセリドは、可食性であり、液体植物油および水素化脂肪の代わりに、種々の加工食品に使用することができる。好適な形態では、構造化トリグリセリドの混合物は、基本的にトランス脂肪酸を含まない。
短鎖部分の脂肪族部分をSで示し、中鎖部分をMで示し、不飽和長鎖部分をUで示す。好適な構造化脂質組成物は、少なくとも約14重量パーセントを有する合成トリグリセリドの混合物、好ましくは約14乃至30重量パーセント、より好ましくは約30乃至60パーセント、および最も好ましくは60乃至95パーセントの、次の組成式(A)を有する合成トリグリセリドの混合物を含む。
Figure 2009114449
式中、基R1、R2、およびR3は、独立して2個乃至24個の炭素原子を有する脂肪酸残基を含み、少なくとも、(1)R基のうちの2つは、独立して2個乃至4個の炭素原子を有する飽和短鎖脂肪酸残基(「S」)、および6個乃至12個の炭素原子を有する飽和中鎖脂肪酸残基(「M」)から成る群から選択され、(2)残りのR基は、14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖脂肪酸残基(「U」)である。1つの好適な形態では、少なくとも、R2基は、独立して2個乃至4個の炭素原子を有する飽和短鎖脂肪酸残基(S)、または6個乃至13個の炭素原子を有する飽和中鎖脂肪酸残基(M)から成る群から選択され、(2)R1またはR3基のうちの1つは、14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖脂肪酸残基(U)であり、(3)両端の基R1およびR3の他方は、2個乃至4個の炭素原子を有する飽和短鎖脂肪酸残基(「S」)か、6個乃至12個の炭素原子を有する飽和中鎖脂肪酸残基(「M」)か、または14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖脂肪酸残基(「U」)である。本願明細書では、上述の組成式(A)(および類似するトリグリセリド組成式)におけるR1、R2、およびR3脂肪酸の位置は、それぞれsn−1、sn−2、およびsn−3、または第1位、第2位、および第3位と称する。
本願明細書において、長鎖飽和脂肪酸残基(L)は、いかなる不飽和も含まない(すなわち、炭素対炭素の二重結合の無い)、14個乃至24個の炭素原子を有する炭素鎖を意味し、中鎖飽和脂肪酸残基(M)は、いかなる不飽和も含まない、6個乃至12個の炭素原子を有する炭素鎖を意味し、短鎖飽和脂肪酸残基(S)は、いかなる不飽和も含まない、2個乃至4個の炭素原子を有する炭素鎖を意味し、長鎖不飽和脂肪酸残基(U)は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する14個乃至24個の炭素原子を有する炭素鎖を意味する。
特に好ましい実施形態では、混合物内の少なくとも約14重量パーセント、より具体的には約31乃至95重量パーセントのトリグリセリドは、(1)2個乃至4個の炭素原子を有する飽和短鎖脂肪酸残基としてのR2基と、(2)14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖脂肪酸残基(U)としてのR1またはR3基のうちの1つと、(3)2個乃至4個の炭素原子を有する飽和短鎖脂肪酸残基としてのR1またはR3基の他方とを含む(すなわち、SSUおよび/またはUSS構造)。このような形態では、合成トリグリセリドの混合物は、約7乃至約8kcal/gの生物学的に利用可能なエネルギーを供給する。
また、本願明細書の構造化脂質組成物の混合物は、一般組成式(B)を特徴とする、短鎖脂肪酸残基(S)と、中鎖脂肪酸残基(M)との和(「S+M」)と、飽和長鎖脂肪酸と、14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖脂肪酸残基との和(「L+U」)との比率において、
(B)混合物のモル比=(S+M)/(L+U)
混合物のモル比が、約0.6乃至約3.8であることが好ましく、約0.6乃至約2.4であることがより好ましい。約0.6乃至約3.8の混合物のモル比(B)によって、本願明細書の構造化トリグリセリドの混合物は、コーン油よりも少ない生物学的に利用可能なエネルギー(すなわち、約9kcal/g未満)を供給する。約0.6乃至約2.4の混合物のモル比(B)によって、本願明細書の構造化脂質組成物の混合物は、コーン油よりも少ない生物学的に利用可能なエネルギー(すなわち、約9kcal/g未満)を供給する。そして、哺乳類の消化管内で消化されるときに、それらは、吸収され、同等量の消化されたコーン油よりも、効果的にそのエネルギー含量をより多くエネルギー消費(すなわち「燃焼」)に転換し、体脂肪の蓄積(すなわち「蓄え」)がより少なくなるモノマーに代謝される。
カロリー含量をより顕著に低減するには、約0.6に近いモル比「B」を有する、飽和脂肪酸含量が比較的高い構造化脂質組成物が好ましい。またこの条件は、機能性に固形脂肪を必要とする特定の食品用途に有用な、高レベルの固形脂肪含量にも寄与する。一方で、過剰に吸収されたカロリーエネルギーを、体脂肪の蓄積よりも、多く熱に変換する構造化脂質を供給するには、約2.4に近いモル比「B」を有する飽和脂肪酸含量が比較的高い構造化脂質組成物が好ましい。またこの条件は、種々の食品用に好適な液体油に極めて好ましい。これら2つの特定の調製の間には、一連の異なる組成が存在し、比例した、カロリー低減、および体脂肪蓄積からのエネルギーの転換のレベルを提供する。同様に重要なことは、この構成の範囲内において、脂質の特定の機能的要件は、同時にバランスをとり、特定の栄養的な利益とともに最適な製品性能を達成することができる、という事実である。1つの手法によれば、特に好適な混合物は、1.5乃至約1.9のモル比Bを有し、概して、どちらの所望の効果も高レベルで提供する。
また本発明の構造化トリグリセリド混合物は、組成式(A)以外の他の種を含有することもできる。好適な実施形態は、様々なトリアシルグリセロール主鎖の鎖長、反応物質比率、および反応条件を持つ鎖酸部分の位置特異的配置を操作する特殊合成手法を使用した、規定の生成物種を最大化または濃縮する混合物を含む。あまり望ましくないトリグリセリド種を減じる精製手法を用いて、例えば、異臭をもたらす低分子量のトリグリセリドを除去することもできる。
好適な組成物は、構造化トリグリセリドと、所望のモル比の範囲内にある他の非構造性脂肪との混合物を含むことができるが、組成物全体のモル比Bが約0.6乃至3.8、好ましくは約0.6乃至2.4の範囲内にあれば、構造化トリグリセリドだけを含む組成物も許容可能であるとも考えられる。同様に、混合物は、構造化トリグリセリドと、個々にはモル比Bを満たさないが、混合したときにモル比Bを満たし、上述した所望の効果も提供する混合物全体を提供する、他の非構造性脂肪との混合物を含むことができると予想される。
好適な構造化トリグリセリドでは、短鎖部分(S)は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、またはそれらの混合物から得られる。中鎖部分(M)は、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、またはそれらの混合物から得られる。長鎖部分(U)は、パルミトレイン酸、オレイル酸、バクセン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、またはそれらの混合物から得られる。そして、混合物内に存在するあらゆる長鎖不飽和トリグリセリド(L)は、ステアリン酸、ラウリン酸、ベヘン酸、アラキジン酸、パルミチン酸、またはそれらの混合物から得られることができる。
短鎖または揮発性酸残基は、4個までの炭素を有する。短鎖残基は、組成式S1COOHのカルボン酸から得られ、式中、S1は、1個乃至3個の炭素を有する短鎖脂肪族基である。本願明細書に示されるように、トリグリセリドが、2個、3個、または4個の炭素を有する酸から得られた懸垂基を有するものとした場合、大部分が2個、3個、または4個の炭素を有する酸から得られた組成物が含まれる。酸S1COOHによるグリセロールヒドロキシルのアシル化は、短鎖SまたはS1の、エステル結合(−O−(CO)−)によるグリセロール主鎖への付着をもたらす。2個以上の短鎖基がグリセリドに付着する場合、その基は、同一、または異なる場合がある。本願明細書において、「酸残基」という用語は、短鎖、中鎖、長鎖部分(ここではSまたはS1)、およびカルボニル基を含むアシル基を指す。
短鎖アシル基Sは、直鎖または分岐鎖となる場合があり、また、これに限定されないが、酢酸(エタン酸)、プロピオン酸(プロパン酸)、酪酸(ブタン酸)等を含む、あらゆる合成または天然有機酸から得ることができる。本願明細書において、化学名は、異性体変種を含む。例えば、「酪酸」は、ノルマル酪酸(ブタン酸)、イソ酪酸(2−メチルプロパン酸)等を含む。好適な酸は、酢酸、酪酸、酢酸と酪酸との混合物、酢酸とプロピオン酸との混合物、酢酸とプロピオン酸と酪酸との混合物である。
中鎖アシル基Mは、これに限定されないが、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、ペラルゴン酸(ノナン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)等を含む、組成式M1COOHのあらゆる合成または天然有機中鎖脂肪酸から得られる。好適な中鎖脂肪酸は、主に(すなわち、少なくとも約75パーセント)、好ましくは少なくとも約90パーセントのカプリル酸、カプリン酸、またはこれらの酸の混合物を含有する。
不飽和長鎖のU基も、混合物内に存在する。それらは、単不飽和または多価不飽和となり得る。脂肪酸を含む不飽和脂質油および脂肪酸部分を組み込んだ脂質は、特に興味深いものであり、U基の源として本発明での使用に好適なものである。これらの脂質油内の脂肪酸鎖は、直鎖か、分岐鎖か、または環状構造とすることができる。脂肪酸鎖は、直鎖型の炭化水素鎖(「直鎖」は、シスおよび/またはトランス主鎖構成を包含する)であることが好ましい。脂肪酸または脂肪酸部分を含有する脂質は、両親媒性であることが好ましい。好適な不飽和脂質には、多数の容易に利用できる、長鎖脂肪酸はその部分を含む、植物油、動物油、および魚油が挙げられる。本発明は、不飽和トリグリセリド油、多価不飽和脂肪酸油、および他の長鎖不飽和脂肪酸油の処理に特に有用である。ここで再び、脂肪酸部分の直鎖アルキル鎖を有する脂質油が好適である。
不飽和長鎖アシル基Uは、組成式U1COOH(式中、U1はC15乃至C19の不飽和基)の不飽和酸から得られる。これらの基には、これに限定されないが、パルミトレイン酸(9−ヘキサデセン酸)、オレイン酸(シス−9−オクタデカン酸)、エライジン酸(トランス−9−オクタデカン酸)、バクセン酸(トランス−11−オクタデカン酸)、リノール酸(シス、シス−9,12−オクタデカン酸)、リノレン酸(9,12,15−オクタデカトリエン酸、および6,9,12−オクタデカトリエン酸)、エレオステアリン酸(9,11,13−オクタデカトリエン酸)、アラキドン酸(5,8,11,14−エイコサテトラエン酸)等の酸が挙げられる。種々のU基(および、該当する場合は飽和長鎖基(L))は、大豆、ベニバナ、ヒマワリ、ゴマ、落花生、コーン、オリーブ、米糠、カラシ種、綿実、ケシの実、菜種、魚、メドウフォーム等の油から得られた脂肪酸の混合物か、ババスナッツ油、パーム油、獣脂、ラード、シアバター等のような脂肪か、またはホホバ油のような植物ワックスから得ることができる。
完成した脂質組成物の物理的特性(例、融点または食事性特性)を操作するために、本願明細書に指示された他の脂質構造の基準を満たすと仮定して、状況に応じて長鎖飽和アシルL懸垂基を含むこともできる。すなわち、例えば、上述に定義した好適なトリグリセリド構造は、グリセロール部分に長鎖飽和脂肪酸を含まないが、混合物全体は、その上にこのような脂肪酸を有する他のトリグリセリドを含むことができる。このような基は、組成式L1COOHの脂肪酸から得ることができ、式中、L1は、15個乃至39個、好ましくは15個乃至21個の炭素を有する飽和脂肪族基である。このようなL基は、これに限定されないが、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、アラキジン酸(エイコサン酸)、ベヘン酸(ドコサン酸)等の酸を含む、あらゆる合成または天然の直鎖または分岐鎖飽和有機酸から得ることができる。L基は、トリグリセリドへの組み込みの前後に水素化されたU基から得ることができる。完全な水素化脂肪は、一般的に、5以下、場合によっては2未満のヨウ素価を有する。水素化落花生油、水素化オリーブ油、水素化大豆油、水素化胡麻油、および水素化コーン油等のような、少なくとも約70パーセントの、好ましくは少なくとも約75パーセントのステアリン酸残基を有する水素化脂肪が特に望ましい。L部分は、水素化ヒマワリ油、水素化ベニバナ油、および水素化カノーラのような、約90パーセントのステアリン酸残基を有する水素化脂肪から得ることができる。高ベヘン酸含量を呈するL部分を有する実施形態は、水素化菜種油、水素化魚油、および水素化メドウフォーム油から得ることができる。他の実施形態は、例えば、水素化ココナッツ、ヤシ、またはパーム核油と菜種油との混合物、水素化カノーラまたは大豆油と菜種油との混合物等から得られたL基のような、より多様な鎖長を呈する懸垂基を有する水素化油の混合物から得られる。
例えば、本願明細書の混合物は、(1)14個乃至24個の炭素原子を有する飽和長鎖脂肪酸残基(L)としてのR2基と、(2)6個乃至12個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸残基(M)としてのR1またはR3基のうちの1つと、(3)14個乃至24個の飽和長鎖脂肪酸残基(L)を有するR1またはR3基の他方と、を有する約30乃至80重量パーセントのトリグリセリドを含むこともできる。このような混合物は、約4乃至約6kcal/gの生物学的に利用可能なエネルギーを供給することが好ましい。
S、M、U基、およびL基(適用可能な場合)は、例えば、非水素化されたか、部分的に水素化されたか、または完全に水素化された、酪農乳脂、ココナッツ、パーム核等の油および脂肪の特定の画分から得られたもののような、酸の混合物から得ることができる。脂肪混合物および/または画分、結晶化した脂肪、エステル交換した脂肪、およびこれらの混合物も用いることができる。トリグリセリド調製のための出発材料は、市販品から得るか、または天然源から分離することができる。別様には、成分トリグリセリドは、天然または加工した脂肪または油、あるいはそれらの画分から分離することができる。必要とされるか望ましい場合、混合物は、水蒸気脱臭、濾過、分別蒸留、および類似した精製方法を用いて精製することができる。
本発明の低カロリー、低脂肪の脂質組成物を構成する成分トリグリセリドは、合成手順を使用して調製することができ、そのように調製することが好ましい。また、本願明細書では、望ましい特性を有するこのような新たな脂質を合成するための方法も提供する。本プロセスは、脂質構造化と称されることがあり、その生成物は、構造化脂質または構造化グリセロールエステル(SGE)と称される。構造化脂質は、同じグリセロール部分にエステル化された少なくとも2つの異なる脂肪酸を含む、合成アシルグリセロール、好ましくはトリアシルグリセロールである。別様には、構造化脂質は、ホスホグリセリドの水酸基にエステル化された1つ以上の脂肪酸を有するホスホグリセリドである。化学的および酵素的プロセス、すなわち直接エステル化、酸分解、およびエステル−エステル置換反応を用いて、本願明細書に提供される、脂質を合成または再構成することができる。
上述した組成式(A)の範囲では、本願明細書に記載された混合物は、少なくとも次の2つのグループの合成構造化脂質を包含する新規組成物に関し、便宜上、ここでは、それらは、それぞれの調製手順によって参照される。(I)種の脂質組成物は、段階的な位置特異的酵素媒介による合成によって調製された、S、M、および/またはU鎖酸残基を有するトリアシルグリセロールを含む。(II)種の脂質組成物は、単一ステップのランダムなエステル交換合成によって調製され、(i)SおよびU鎖酸残基を、単独で、またはMおよびLを有するトリアシルグリセロールとの混合物で有するトリアシルグリセロール構造か、または代替的に(ii)S、M、およびU鎖酸残基を含む。
位置特異的な酵素媒介合成を経た構造化脂質
(I)種の脂質組成物では、短鎖(S)、中鎖(M)、および不飽和(U)長鎖酸残基を有するトリアシルグリセロールは、構成酸を、それらの相対的な大きさに反比例する速度で放出する、内因性酵素によって加水分解される。短鎖は、中鎖よりも速く切断され、そして、中鎖は、長鎖酸よりも速く切断される。したがって、哺乳類における自然な消化プロセスは、段階的にこれらの構造化トリアシルグリセロールから代謝性エネルギーを放出し、長時間にわたり、持続的な生物学的に利用可能なエネルギー源をもたらす。この特性は、消費者に新たな利益を提供する種々の食品形態に活用することができる。
SMU構造は、位置特異的酵素媒介による合成によって段階的に生成することができ、また状況に応じて、従来の油処理および精製技術を用いて、合成混合物から濃縮することができる、新規組成物である。
一実施形態では、MMM(またはSSS)トリアシルグリセロールを、最初に、1,3位特異的リパーゼのような1位および3位特異的酵素の存在下で、UUU(または代替的に、LLL)トリアシルグリセロールと反応させて、USU(またはUMU)トリグリセリドを含有する中間生成物を形成し、次いで、その中間性生物を、1位および3位特異的酵素の存在下で、MMM(またはSSS)(出発化合物とは異なる方)とさらに反応させて、USM(またはUMS)トリグリセリドを形成する。
より具体的には、反応物質は、比較的中温の条件(例、約55乃至約65℃)で、固定化した1,3位特異リパーゼを含有するカラム充填床反応器を介して給送することができる。最初の通過後に、第1、第3位のMMMのうちの1つがUと置き換えられて、UMMが生成され、2回目の反応器の通過後に、残りの第1、第3位もUと置き換えられ、UMU中間体が生成される。UMU中間体は濃縮することができ、次いで、SSSとともに、固定化した1,3位特異リパーゼを含有する別のカラム充填床反応器を通過させて、UMSを生成することができる。このUMSは、短鎖、中鎖、および不飽和長鎖酸部分を有するトリアシルグリセロールであり、U部分は、トリグリセリドの第1位および第3位にあるが、第2位には無い。
得られたUMS(またはUSM)脂質組成物は、低カロリー、低脂肪の組成物、または、それらの混合物である。概して、このような脂質組成物は、8kcal/g未満、具体的には7.8kcal/g未満、より具体的には7.5kcal/g未満の生物学的に利用可能なエネルギーを供給するとともに、第1位または第3位に、相当量の健康を促進する不飽和長鎖脂肪酸残基を含有する。第1位または第3位に不飽和長鎖酸(U)を含有する組成物は、それらが脂肪組織内に蓄積されにくく、より選択的にエネルギーに使用されるので、特に望ましい。Uアシル部分が、グリセロール部分の第1位または第3位に配置されているときには、それらを再合成および脂肪の蓄積に利用することができない。これらの構造化脂質は、また、少なくとも1つの短鎖(S)および中鎖脂肪酸(M)をも含有し、それらの相対的サイズに反比例する速度でそれらの成分酸を放出するため、迅速な吸収およびエネルギー放出に有用である。脂質組成物の成分合成トリグリセリドは、哺乳類の消化管内で消化されたときに、効果的にそのエネルギー含量(kcal/g)をより多くエネルギー消費に転換し、体脂肪の蓄積がより少なくなる様態で吸収および代謝される。また脂質組成物は、基本的にトランス脂肪酸を含まずに調製することもできる。したがって、持続的にエネルギーが放出され、脂肪の蓄積を低減または抑える、バランスの取れた食事性脂質組成物が提供される。成分脂肪酸、およびトリアシルグリセロールまたはグリセロリン脂質分子内のそれらの位置は、最適な様態で、構造化脂質の機能および物理的特性、および想定される健康効果に寄与する。
ここで示すように、これらの酵素反応は、リパーゼによって触媒される。リパーゼ酵素は、酵素の再利用を可能にし、連続的なプロセスを容易にするように固定化されることが好ましい。リパーゼの固定化に好適な支持物質は、いろいろな場所で入手できる。固定化リパーゼは、Novo Nordisk Biochem North America社(Franclinton、NC)から購入することができる。リパーゼは、吸着によってイオン交換樹脂内に固定化される。さらに、リパーゼは、吸着、共有結合、または米国特許第6,369,252号に記載されているように、好適な架橋剤で架橋することによって固定化することができる。加えて、リパーゼは、熱安定性があることが好ましい。
リパーゼの特異性は、古典的に次のような主要タイプに分けられている。脂質クラス(例、単純な複合および派生脂質)、位置(例、第1位、第2位、または第3位)、脂肪酸(例、基質特異的、立体化学的)、およびこれらの組み合わせ。これらの、それぞれのカテゴリーのリパーゼは、本願明細書で使用することができ、同じかまたは異なる種類から得られた組み合わせを含む。
好適なリパーゼには、シュードモナスセパシア(Pseudomonas cepacia)、カンジダアンタクチカ(Candida antarctica)、アスペルギルスエスピー(Aspergillus sp.)、ペニシリウムエクスパンサム(Penicillium expansum)由来の非特異的リパーゼ、リゾムコールミーヘイ(Rhizomucor miehei)、アスペルギルスアリズス(Aspergillius arrhizus)由来のsn−1,3位置特異的リパーゼ、カンジダアンタクチカA由来のsn−2位置特異的リパーゼが挙げられる。他には、ゲオトリクムカンジダム(Geotrichum candidum)由来のシス−9不飽和脂肪酸特異的リパーゼ、およびペニシリウムロックフォルチ(Penicillium roqueforti)由来の短鎖脂肪酸特異リパーゼが挙げられる。好適なホスホリパーゼの例には、蛇毒由来のホスホリパーゼA1およびA2が挙げられ、それらは、それぞれ、グリセロリン脂質のsn−1位およびsn−2位に特異的である。
リパーゼは、トリアシルグリセロールの修飾において、幾通りかの方法で使用することができる。水媒体では、リパーゼが適切なエステル基質と組み合わせられるときには、加水分解が支配的な反応である。有機媒体では、エステル化およびエステル交換反応が支配的である。さらに、これらの酵素が有機、または、水媒体−有機媒体混合の環境内に配置されたときには、化学選択性の変化、立体選択性の変化、安定性の向上、および合成の増加のような新規特性を呈する。好適な合成方法では、加水分解が好都合ではない場合に、有機溶媒を使用する。
概して、酵素反応は、構造化脂質を化学合成するよりも、副産物、特に脂肪酸石鹸の生成が少ない。あらゆる副産物または不要な画分は、精製によって除去することができる。必要に応じて、酵素反応の後に、標準的な手法によって精製を行うことができる。例えば、薄層クロマトグラフィ(TLC)、溶媒蒸発、カラムまたはフラッシュクロマトグラフィ、分取高性能液体クロマトグラフィ(prep−HPLC)、超臨界流体クロマトグラフィ(SFC)、および短経路蒸留手法を用いることができる。遊離脂肪酸は、蒸留または他の適切な手法によって除去することができる。
一実施形態では、特に栄養剤を提供するときに、1,3位特異的リパーゼを使用して、第2位に開始脂肪酸を保持する構造化脂質生成物を提供する。例えば、消化中に膵臓リパーゼによって生成される2−モノ−アシルグリセロールは、腸壁を介するエステル化脂肪酸の主要担体である。これらの2−モノグリセリドは、遊離脂肪酸とともにミセル内に含有され、このような運搬を容易にする。第2位でエステル化された脂肪酸を含有する構造化脂質は、したがって、概ね十分に吸収される。第2位に必須脂肪酸(EFA)を含有し、第1位または第3位に短鎖または中鎖脂肪酸を含有するトリアシルグリセロールは、したがって、必須脂肪酸(essential fatty acids:EFA)および迅速なエネルギー源を効率的に提供するという利点を有する。
位置特異的な酵素媒介合成による脂質混合生成物は、概して、周囲温度状態(例、約24℃)で長期保存可能な実質的に液体の油であり、バルク食品に容易に組み込み、混合することができる。トリアシルグリセロールの自己酸化の速度および融解特性は、特定の環境下で、トリアシルグリセロール分子内の不飽和脂肪酸の位置の影響を受けるが、グリセロールの第1位または第3位に不飽和脂肪酸を有する本発明のトリアシルグリセロールは、酸化に対して十分に安定しており、現実的で、長期保存可能な可食性脂質を含有する生成物を提供することが観察された。
特定の一実施形態では、少なくとも50重量パーセント、具体的には少なくとも70重量パーセント、より具体的には少なくとも90重量パーセントの、酵素媒介合成を経て調製された脂質組成物は、トリグリセリドを含み、そこでは、(1)R2基は、2個乃至4個の炭素原子を有する短鎖脂肪酸残基(S)、および6個乃至12個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸残基(M)から成る群から選択され、(2)R1またはR3基のうちの1つは、14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖脂肪酸残基(U)であり、(3)R1およびR3基の他方は、R2とは異なり、2個乃至4個の炭素原子を有する短鎖脂肪酸残基(S)、および6個乃至12個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸残基(M)から成る群から選択される。
酵素媒介合成における上述の構造化脂質の混合物を形成するための特定の方法では、次の反応物質、(i)SSS、MMM、およびそれらの混合物から成る群から選択された第1の合成トリグリセリドであって、各S基は、独立して2個乃至4個の炭素原子を有する短鎖脂肪酸残基であり、各M基は、独立して6個乃至12個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸残基である、第1の合成トリグリセリドと、(ii)UUU、LLL、およびそれらの混合物から成る群から選択された第2の合成トリグリセリドであって、各L基は、独立して14個乃至24個の炭素原子を有する飽和長鎖脂肪酸残基であり、各U基は、独立して14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖脂肪酸残基である、第2の合成トリグリセリドと、(iii)1,3位特異リパーゼと、(iv)酸またはC2−C4アルコール酸エステルとが組み合わせられ、以下の組成式(C)を有する第3の合成トリグリセリドを形成できる状態で行われる。
Figure 2009114449
式中、Ryは、上記に定義したようにS基またはM基であり、RxおよびRzは、脂肪酸残基であり、RxおよびRzのうち内の少なくとも1つは、上記に定義したU基および/またはL基である。
更なる一実施形態では、上記に定義した、第3の合成トリグリセリドは、以下を含む脂質組成にさらに含めることができる。(b)上記に定義した合成トリグリセリドSSSおよび/またはMMMと、(c)1,3位特異的リパーゼと、(d)酸またはC2−C4アルコール酸エステルとを含む脂質組成物内にさらに含めることができ、以下の組成式を有する第4の合成トリグリセリドを形成できる状態で組み合わせられる。
Figure 2009114449
式中、Rtは、上記に定義したSまたはM基であり、RsおよびRuのうちの1つは、上記に定義したUまたはL基であり、他の基は上記に定義したMまたはS基であり、Rtとは異なる。用いるリパーゼおよびエステルは、第3の合成トリグリセリドの調製に用いたリパーゼおよびエステルと同じか、または異なるものとすることができる。この実施形態によって、グリセロール部分にいくつかの1,3位の飽和長鎖酸残基を含むトリグリセリドを、本願明細書に規定したように、U含量が保持される程度まで含有することができる(すなわち、少なくとも約30重量パーセントの1,3位のトリアシルグリセロールは、14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖脂肪酸残基(「U」)である)。少量のL基を含有することで、得られる脂質混合物の物理的または食事性機能を改良する特定の用途において有用となり得る。
ランダムなエステル交換を経た構造化グリセロールエステル(SGE)
他の脂質組成物は、U鎖酸残基との組み合わせで、SまたはMを有するのみの、またはMおよびL、または、MおよびU鎖酸残基を有するトリアシルグリセロールとの混合のトリアシルグリセロール構造を含む。またこのようなトリグリセリド混合物は、単一ステップのランダムなエステル交換合成によって調製することができる。
脂肪酸エステルおよび短鎖(または中鎖)トリグリセリドからの、トリアシルグリセロールの単一ステップのランダム化合成を用いて、健康を促進する脂肪酸(例、共役リノール酸、オメガ3−脂肪酸、単不飽和酸等)を供給することができ、また、脂肪組織内に蓄積される脂肪の流動化および代謝を刺激することができる、新規中性油を提供することができる。これらの新規の油の組成物は、大部分がUSS形態のものから、USS、SUS、UUS、およびUSU形態の混合物まで多岐にわたる。好適な実施形態(不要な揮発性画分の除去後)は、約50乃至約100パーセント(最も好ましくは約65乃至70パーセント)のUSSトリアシルグリセロール構造を有し、約7乃至約8kcal/gの生物学的に利用可能なエネルギーを供給する。また、LLM構造と組み合わせたUSSを含有する、非常に望ましい混合組成物も提供することができる。すなわち、U基は、ジ短鎖トリグリセリド内の第1位または第3位を占め、それによって、(加水分解されて吸収されたときに)再合成および脂肪蓄積に容易に利用できない、不飽和長鎖グリセリド基を提供する。これらのUSS構造は、約7乃至約8kcal/gの生物学的に利用可能なエネルギーを供給し、所望の健康を促進する脂肪酸の送達を可能にし、食品における幅広い機能的適用を可能にする。混合物内にLLM構造を含有することで、4乃至5kcal/gの生物学的に利用可能なエネルギーが生じ、所望の不飽和および多価不飽和脂肪酸が同時に送達され、脂肪からの総食事性カロリーの制御が可能になる。別の実施形態では、新規のSMU構造を、ランダムなエステル交換および単離手法から得ることができる。単一ステップの単純な化学作用を活用することで、複数ステップの手法と比較して、製造コストが削減され、また、設備投資および総原料コストが削減される。
上述のトリグリセリドで強化した望ましいトリグリセリド混合物は、短鎖トリグリセリド(または短鎖部分で強化したトリグリセリド)および中鎖トリグリセリド(または中鎖部分で強化したトリグリセリド)と、長鎖トリグリセリドとのランダムなエステル交換を用いて調製されるが、長鎖トリグリセリドは、水素化長鎖残基で強化したトリグリセリドであり、所望の含量の短鎖、中鎖、および長鎖部分を有するトリグリセリドの生成を最大化する、所定のモル比の反応物質を用いることが好ましい。ナトリウムメトキシドのような強塩基を、反応のための化学物質触媒として用いることが好ましい。通常、その後には、所望の量の合成トリグリセリドの混合物を得るように精製が行われる。好適な精製方法を選択して、所望のトリグリセリド種の単離を最大化させることができる。例えば、ジ短鎖種(例、SSUおよびSUS)が望まれる場合は、粗生成物を水で洗浄し、水相を除去し、その後に約100℃に加熱して残留水を除去することができる。水蒸気脱臭を好都合に用いて、所望のジ短鎖種を残して過剰な短鎖トリグリセリドを回収することができる。SMU/SUM/MSUが望まれる別の実施形態では、水蒸気脱臭を用いて、反応時に形成されたSSS、SSM、SMS、MMS、MSM、およびMMM種を除去することもできる。SMU/SUM/MSU種でさらに強化した混合物は、水蒸気消臭した生成物の分子的な蒸留によって得ることができる。このような手法を用いることで、約75パーセント以上、さらには約90パーセント以上のSMU/SUM/MSU種を含有する混合物を得ることができる。
一実施例では、ジ短鎖不飽和トリグリセリドの生成に用いた、代表的なランダムなエステル交換反応混合物は、約1乃至約25モルの短鎖トリグリセリドと、約0.5乃至約10モルの非水素化油とを含み、特に、約5乃至15モルの短鎖トリグリセリドと、約5モルの不飽和長鎖酸を有するトリグリセリドとを含む。
別の実施例では、短鎖(S)、中鎖(M)、および不飽和長鎖(U)酸残基の生成に用いる、代表的なエステル交換反応混合物は、約1乃至約15モルの短鎖トリグリセリドと、約1乃至約10モルの中鎖トリグリセリドと、約0.5乃至約5モルの非水素化油とを含み、特に、約5乃至約10モルの短鎖トリグリセリドと、約2乃至約7モルの中鎖トリグリセリドと、約0.7乃至約2モルの不飽和長鎖酸を有するトリグリセリドとを含む。
特定の一実施形態では、脂質組成物は、ランダムなエステル交換を経て調製され、そこでは、少なくとも約80重量パーセントの混合物がトリグリセリドを含み、(1)R2基は、2個乃至4個の炭素原子を有する短鎖(S)脂肪酸残基であり、(2)R1およびR3基のうちの1つは、14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖(U)脂肪酸残基であり、もう一方の基は、2個乃至4個の炭素原子を有する短鎖(S)脂肪酸残基である(すなわち、SSUまたはUSS)。このような脂質混合物は、約7乃至約8kcal/gの生物学的に利用可能なエネルギーを供給する。別の特定の実施形態では、ジ短鎖種を含む脂質組成物は、約30乃至約80重量パーセントのトリグリセリドをさらに含み、(1)R2基は、14個乃至24個の炭素原子を有する飽和長鎖脂肪酸残基(L)であり、(2)R1またはR3基のうちの1つは、6個乃至12個の炭素原子を有する中鎖(M)脂肪酸残基であり、(3)R1またはR3基の他方は、14個乃至24個の炭素原子を有する飽和長鎖(L)脂肪酸残基である。得られた脂質組成物は、約4乃至約6kcal/gの生物学的に利用可能なエネルギーを供給する。
本願明細書に記載された混合物の利点は、ジ短鎖(SSU/SUS)またはSMU/SUM/MSU種で強化されたトリグリセリド混合物の独特の特性により、単独で、またはハードストックまたは液体油と混合して用いて、種々の食品に好適な特性を有する低カロリー、低トランスの混合物が得られることである。
本願明細書に記載された低カロリートリグリセリド混合物は、単独で、または1つ以上の脂肪または脂肪模倣剤と組み合わせて、十分な可塑性を脂肪成分に提供するのに効果的な量で、および/または脂肪によるカロリーの有意なカロリー低減を提供するのに効果的な量で、あらゆる食品成分に組み込まれる。例えば、約10パーセント以上の置換がこの目的に効果的であり、また、多くの場合、少なくとも約25パーセント、好ましくは少なくとも約30パーセント、より好ましくは約50乃至約100パーセントの置換が望ましい。
通常の脂肪成分の少なくとも一部を、本発明の低カロリートリグリセリドと置換することによって改善することができる例示的な食品には、これに限定されないが、エネルギーバー、インスタントのシリアル、クッキー、クラッカ、ビスケット、ケーキ等の焼いた食品(これらは、本発明の低カロリートリグリセリドに加えて、少なくとも小麦粉またはスターチ成分を含有する)、脂肪または油で揚げるか、またはコーティングされ、および/または低カロリートリグリセリドに加えて、少なくとも小麦粉またはスターチ成分も含有するスナック製品、低カロリートリグリセリドおよび水相を含む、脂肪相を有するエマルジョンを含有する、マーガリン製品(例、高脂肪、低脂肪、および人工脂肪製品)、サラダドレッシング、およびマヨネーズのようなエマルジョン製品、低カロリートリグリセリドおよびチョコレートのような香料に加えて、糖、アスパルテーム、または他の人工甘味料のような甘味料を含有する、キャンディおよび砂糖菓子、および低カロリートリグリセリドに加えて、乳漿、カゼイン、カゼイン塩等のような乳タンパク質を含有する酪農製品の代替物、が挙げられる。またマーガリン製品は、一般的に乳成分をバター香料も含有しているが、サラダドレッシングは、スパイス、マヨネーズ、および卵を含有する。焼いた製品の中で、ケーキ、およびクッキーは甘味料も含有し、クラッカは一般的に塩を含有する。またそれらは、低カロリーまたは低カロリー脂肪として、脂肪の融解特性を変更および改善するために、また、天然脂肪に対する食用代替物として用いることもできる。また構造化脂質および構造化脂質を含む混合物は、種々の生理的用途に用いることもできる。
以下の実施例は、本発明を例証するために含めたものであり、限定するためのものではない。特に明記しない限り、全ての部分および割合は、重量によるものである。全ての特許公報および本願明細書に開示された参考文献は、参照することにより本願明細書に組み込まれる。
実施例1:構造化グリセロールエステル(SGE)のリパーゼ触媒による合成。
本実施例は、リパーゼ触媒による合成および反応物質の操作を経て、短鎖、中鎖、不飽和長鎖、および/または飽和長鎖酸置換基の異なる組み合わせを有する、トリグリセリド混合物の調査を例証するものである。
特定のグリセロール位置に脂肪族脂肪酸残基を有する構造化グリセロールエステル(SGE)を、1,3位特異酵素触媒および充填床反応器を使用して合成した。生成物は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によって特徴付けた。
方法および材料。
ポリマー結合リパーゼ(ムコールミーヘイ:Mucor miehei;IM−60)は、Novo Industries社から入手した。充填床反応器(packed−bed reactor:PBR)は、60℃に保持したNeslab RTE−110熱調節バスに接続した32×1.2cmのジャケット付ガラス反応器内に、6.2gのIM−60を入れて構成した。Ismatec社製の蠕動ポンプにて、反応物質を、PBRの通過につき約40乃至約43分の平均露出時間にわたって、1.0mL/分でPBRを通して供給した。
結果:1−ステアロイル−2,3−ジ(ブチロイル)グリセロール。
ヘキサン内の9:1のモル比のステアリン酸エチル(少量のエチルパルミチン酸塩を含有する)およびトリブチリンを、(1mL/分の流量で)60℃の充填床反応器内でIM−60触媒に露出させて、次の定量的収量のモノ長鎖生成物を生成した。HPLCの分析によると、1−ステアロイル−2,3−ジ(ブチロイル)グリセロール、および少量の1−パルミトイル−2,3−ジ(ブチロイル)グリセロール。
1,3−ジ(ステアロイル)−2−ブチロイルグリセロール。
同じ溶液の反応物質を、(1mL/分の流量で)60℃のPBR内でIM−60触媒により長く露出させて(すなわち、2回以上PBRを通過させて)、約88パーセントの1,3−ジ(ステアロイル)−2−ブチロイルグリセロールと、約8パーセントの1−ステアロイル−2,3−ジ(ブチロイル)グリセロールと、約4パーセントのトリステアリンとを生成した。
1−ステアロイル−3−オレオイル−2−ブチロイルグリセロール。
3:1のモル比のオレイン酸および1,3−ジ(ステアロイル)−2−ブチルグリセロールを含有するヘキサンの溶液を、(1mL/分の流量で)60℃のPBR内でIM−60触媒を通して循環させた。HPLC分析では、主要生成物が1−ステアロイル−3−オレオイル−2−ブチロイルグリセロール(40パーセント)であることを示した。また、次の少量の生成物が検出された。1,3−ジ(オレオイル)−2−ブチロイル−グリセロール(12パーセント)、1,3−ジ(ステアロイル)−2−ブチロイルグリセロール(16パーセント)、1,3−ジ(オレオイル)−2−ステアロイルグリセロール(18パーセント)、およびトリオレイン(14パーセント)。
これらの実験的な試験結果は、トリアシルグリセロール上の酸鎖の位置特異的配置が、リパーゼ触媒合成および反応物質の適切な操作を経て得られることを示した。
実施例2:SMU構造化脂質の酵素触媒合成。
本実施例では、リパーゼ触媒による合成を経た、短鎖、中鎖、および不飽和長鎖酸置換基を有するトリグリセリド混合物の調製を実証する。
トリカプリリン(8.0g、14.4ミリモル)と、オレイン酸(45.8g、162ミリモル)と、130mLのヘキサンとを混合して、固定化1,3位特異的リパーゼである、Novo IM−60(ムコールミーヘイ)を含有するカラム充填床反応器に2回給送した。反応器は60℃に保持し、平均流量は1mL/分とした。最終的なカラム流出液を、(ヘキサンを除去するために)真空回転蒸発器で濃縮し、(未反応のオレイン酸を除去するために)流下薄膜を通過させた。粗生成物(15.7g)は、約14.8パーセントのOCCと、約76.1パーセントのOCOと、約9.0パーセントのOOO(「O」は、オレイン酸由来のアシル基であり、「C」は、カプリル酸由来のアシル基である)で構成されていた。粗生成物は、6.2g(60.8ミリモル)のメチル酪酸塩および約55mLのヘキサンと混合した。約75mLの最終的な溶液の約半分を、充填床反応器(60℃、1mL/分)を2回通過させたところ、約60.5パーセントのBCO−グリセロール(ブチル−カプリリル−オレイルグリセロール)への変換が得られた。質量スペクトル分析では、この組成物の主成分が、BCOトリアシルグリセロールに予想された、分子量(580g/モル)を有することを示した。
実施例3:SSUを含む油のカロリー利用能に関する動物の摂食研究。
動物の摂食研究を行って、本願明細書で述べたトリグリセリド混合物を代表する試験油を含む、各種の食用油の消化および吸収を評価した。ウィーンリング(Weenling)ラットを被験物として使用した。ベニバナ油(1.0モル)およびトリプロピオニンまたはトリブチリン(2.5、4または12モル)の6つの混合物をエステル交換した。この6つの組成物を、表1に示す以下の量の反応物質で調製した。
Figure 2009114449
表1の反応物質から生成された試験油の最終組成物を以下の表2および表3に示す。
Figure 2009114449
Figure 2009114449
各試験油に対して、表1に定義したような脂肪酸成分の混合物を、触媒量のナトリウムメトキシド(約0.3パーセント)の存在下で、125℃で20分間激しく撹拌してランダムにエステル交換した。反応物質の比率が、最終組成物を決定した。反応混合物を約30℃に冷却して、約5重量パーセントの水を添加した後に、水相を除去した。粗生成物を、約0.5パーセントの漂白土(Tonsil Optimum FF)および1000ppmのクエン酸(水に溶解)によって、100℃で約0.5乃至1時間、真空下で撹拌して脱色し、石鹸を除去した。漂白した生成物をフィルタ処理し、濾液を真空水蒸気脱臭して、未反応の短鎖トリグリセリドを除去した。精製した油はランダム化構造であり、標準周囲温度において完全な液体のままであった。長鎖酸に対する短鎖酸の最終的なモル比は、高解像度NMRを使用して測定し、この単一の測定によって、ランダムな反応に対する最終的な組成物のプロファイルを定義する。
上記にて生成された6つの組成物の部分を試験材料として用い、ウィーンリングラットに(総食事の10重量パーセントで)14日間与えた。対照群には、試験材料の代わりに食事の10重量パーセントで、コーン油を与えた。摂食期間の終了時の動物の体重増加を用いて、公表された方法を使用して試験材料のカロリー利用能を評価した(非特許文献42)。全ての試験材料は、対照コーン油よりも少ないカロリーを供給し、その値は8.15乃至7.12kcal/gであった。比較のために、コーン油は、概して約9kcal/gを供給する。データの線図は、最も高い短鎖/不飽和反応物質比率から生成した組成物のカロリー低減が最大であることを示した。これらの組成物では、USS+SUS構造のレベル(すなわち、モノ長鎖構造)は、少なくとも41パーセントであり、99パーセント以上にもなり得る。データの線図(kcal/g対組成物)を図1に示す。
実施例4:SMU含有油のカロリー利用能を測定するための動物の摂食研究。
第2の動物の摂食研究を行い、本発明を代表する試験油を含む、各種の食用油の消化および吸収を評価した。ウィーンリングラットを被験物として使用し、実施例3と同じプロトコルを使用した。本研究では、既定の成長方法を用いて、複数の試験油のカロリー利用能を評価すること、および齧歯動物内の身体組成のLunar DPX−IQデュアルエネルギーX線吸光光度評価によって本方法の使用をさらに確認することを目的とした(非特許文献43)。規定の成長モデルは、非特許文献44に記載されている。
試験油および食事の調製。
ベースライン期間に用いた対照食およびALラットに対する研究全体は、標準的なAIN93G食(Finleyら)に類似したが、必須脂肪酸を提供するためだけに十分な最低限の量の脂肪を用いた。試験食は、50パーセントのCR食と同じものに、AL食における総カロリーの約18パーセントを占める、コーン油、または4つの試験油のうちの1つを加えたものであった。コーン油は、標準的な源から得た。構造化グリセロールエステルを含む4つの試験油を調製し、これらの油は、特定量の短鎖、中鎖、長鎖飽和、および不飽和脂肪酸を有するトリグリセリド複合物の特定の混合物で構成した。
試験油は、強塩基としてのナトリウムメトキシドによって触媒したトリグリセリドの混合物のランダムなエステル交換によって調製した。各試験油に対して、脂肪酸成分の混合物を、表3に示したような、トリプロピオニン、トリブチリン、市販の媒体鎖トリグリセリド(Neobee M5、Stepan Company、Northfield、IL)、トリステアリン、高オレイン酸カノーラ油によって提供した。反応物質は、触媒量のナトリウムメトキシド(約0.3パーセント)の存在下で、150℃で約4乃至5時間激しく撹拌して確実に反応を完了させた。(Neobee M5は、概して、8個の炭素原子を有する約67パーセントの中鎖トリグリセリドと、10個の炭素原子を有する約33パーセントの中鎖トリグリセリドとを含有する。)混合物は、約95℃に冷却して、水で反応停止した。漂白土を添加し、真空および加熱によって生成物を乾燥させた。真空濾過により粗生成物を形成した。それぞれの原油は、真空水蒸気で消臭して、短鎖および中鎖酸残基を含有する過剰な揮発性トリアシルグリセロールを除去した。最終的な収量を表4に示す。
Figure 2009114449
所与の試験油試料に適用可能な各種の食事の等級、その成分脂肪酸の相対的割合、および異なる長さの鎖酸の特定の比率を表5に示す。表5では、次の略語を使用した。SCA(またはS)=短鎖酸(C2、C3、C4)、MCA(またはM)=媒体鎖酸(C8、C10、C12)、LCA(またはL)=長鎖飽和酸(C14、C16、C18、C20、C22、C24)、UFA(またはU)=不飽和脂肪酸(C16:1、C18:1、C18:2、C18:3、全て約100パーセントシス)。
Figure 2009114449
MCA、LSAおよびUFAの割合は、高温毛細管ガスクロマトグラフィで測定した。短鎖酸はガスクロマトグラフィで測定するには不安定すぎるので、SCAの割合は、差の%で計算した。(S)/(M+U+L)のモル比も、高解像度の陽子NMRで測定した。
また各試験油試料は、高温GCを使用した分析も行って、完全なトリアシルグリセロールのプロファイルを決定した。結果を以下の表6に示す。
Figure 2009114449
試験動物に与えられた全ての食事の実際の組成(試料1、3、5、7、対照コーン油、AL、および50パーセントCR)を、表7および8に示す。炭水化物/脂肪カロリーの除去または置換によって、食事のカロリー濃度が変化していることに特に留意されたい。食事は特別に設計され、各グループが正確に同じ量のビタミン、ミネラル、およびタンパク質を摂取するように調整することができるようにした。
グループ間の唯一の差異は、炭水化物および特定の脂肪としてのカロリーの排除および追加における差異であった。本成長モデルの仮説は、油が異なるカロリー利用能値を呈するということであり、この値は、異なる吸収、代謝、および/または堆積を表し、(脂肪量として)不要な体重増加を防ぐために、食品内の主要成分として特定の油組成物の追求を推進する。
Figure 2009114449
Figure 2009114449
体重および体重増加速度。
体重増加は、3日目から14日目まで分析し、それぞれについて回帰方程式を計算した。体重は、供給期間全体にわたって測定した。これらの急激な給餌法に基づいた成長曲線は、基本的に直線であることが分かった。各グループの成長速度が脂肪の利用能の関数であると仮定して、利用可能なカロリー値は、回帰方程式を使用し、既知の標準としてコーン油を用いて、各補給脂肪について推定した。各試験油の利用可能なカロリー値および計算した回帰方程式を、以下の表9に要約する。全ての試験油は、対照コーン油に対して、生物学的に利用可能なエネルギーの低減を示した(すなわち、約9kcal/g未満)。
Figure 2009114449
各試験油の生物学的利用能は、コーン油を標準として用いて、体重増加の回帰方程式から計算した。この計算では、カロリー利用能は、体重増加の一次関数である。体重増加の比率(試験油/コーン油)に標準の既知の利用能(9kcal/g)を乗じて、各油の生物学的利用能を得た。
身体組成。
複数の身体組成の終了点を、動物の摂食研究の終わりに測定した。その測定の1つは体脂肪含量であった。身体組成は、非特許文献45に記載されているように、デュアルエネルギーX線吸光光度法によって評価して、除脂肪量(「FEM」、すなわち、骨および除脂肪体重)または脂肪量(「FM」)を測定した。要約したものを以下の表10に示す。
Figure 2009114449
油ごとに、sn−2位の短鎖脂肪酸(S)と中鎖脂肪酸(M)との割合を測定した。さらに、sn−1位および/またはsn−3位に長鎖飽和脂肪酸(L)、およびsn−1位および/またはsn−3位に長鎖不飽和脂肪酸(U)も有するトリグリセリドの割合も測定した。結果を下記の表11に示す。
Figure 2009114449
図2に示されるように、体脂肪率、および、試験油混合物の、第2位にSまたはMを有し、第1または第3位にUを有するトリグリセリドの割合の線図は、体脂肪率とこれらのグリセロールエステルとの間の明確な逆比例関係を示す。この関係は、第2位に不飽和残基および中鎖または短鎖の酸残基を含むトリアシルグリセロール組成物は、成長する動物においてあまり効率的に脂肪組織に変換されないことを示している。むしろ、トリアシルグリセロール組成物は、蓄積されるのではなく燃焼される。
試験結果は、ランダム化された脂肪の包括的な構造モデルを検証するものである。上述のモデルを用いて、いかなる脂肪または油のカロリー含量をも予測することができ、脂肪を「蓄積」ではなく、「燃焼」する構造を選択することができ、また、収量、機能性、カロリー、および体重管理の最良の組み合わせの新たな油を設計することができる。
本方法および組成物の性質を説明するために、本願明細書において図とともに説明した部分および成分の、細目、材料、および機構の種々の変更は、添付の請求項に示された原理および趣旨の範囲内で、当業者によって行うことができる。
図1は、実施例3の試験油に対するカロリー対組成物の線図である。 図2は、第2位に短鎖脂肪酸残基を有し、第1位および/または第3位に不飽和長鎖脂肪酸を有する、実施例4の例示的な混合物における体脂肪率およびトリグリセリドの割合の線図である。

Claims (25)

  1. 以下の組成式の合成トリグリセリドの混合物を含む、食品の調製に有用な脂質組成物であって、
    Figure 2009114449
    式中、中央の基R2および両端の基R1およびR3は、独立して2個乃至24個の炭素原子を有する脂肪酸残基を含み、 前記混合物内の少なくとも約14重量パーセントの前記トリグリセリドは、構造化トリグリセリドであり、前記中央の基R2は、2個乃至4個の炭素原子を有する短鎖脂肪酸残基か、または6個乃至12個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸残基であり、前記両端の基R1またはR3のうちの1つは、14個乃至24個の炭素原子と、少なくとも1つの二重結合とを有する不飽和長鎖脂肪酸残基であり、前記両端の基R1またはR3の他方は、2個乃至4個の炭素原子を有する短鎖脂肪酸残基か、6個乃至12個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸残基か、または14個乃至24個の炭素原子と、少なくとも1つのC−C二重結合とを有する不飽和長鎖脂肪酸残基であり、前記トリグリセリドの混合物は、次式で定義される、短鎖脂肪酸残基(S)と、中鎖脂肪酸残基(M)と、14個乃至24個の炭素原子を有し、C−C二重結合を持たない飽和長鎖脂肪酸残基(L)と、不飽和長鎖脂肪酸残基(U)との、約0.6乃至約3.8であるモル比を有する、脂質組成物。
    モル比=(S+M)/(L+U)
  2. 前記モル比が約0.6乃至約2.4であり、哺乳類の消化管内で消化されるときに、前記合成トリグリセリドの混合物は、同等量の消化されたコーン油よりも、効果的にそのエネルギー含量をより多くエネルギー消費に転換し、体脂肪の蓄積がより少なくなるように吸収および代謝される、請求項1に記載の脂質組成物。
  3. 前記混合物内の少なくとも約14重量パーセントのトリグリセリドは、2個乃至4個の炭素原子を有する短鎖脂肪酸残基としての前記R2基と、 14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖脂肪酸残基としての前記R1およびR3基のうちの1つと、2個乃至4個の炭素原子を有する短鎖脂肪酸残基としての前記R1およびR3基のうちの他方と、を有する、請求項1に記載の脂質組成物。
  4. 前記合成トリグリセリドの混合物は、約7乃至約8kcal/gの生物学的に利用可能なエネルギーを供給する、請求項3に記載の脂質組成物。
  5. 前記混合物内の約30乃至約80重量パーセントのトリグリセリドは、14個乃至24個の炭素原子を有する飽和長鎖脂肪酸残基としての前記R2基と、6個乃至12個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸残基としての前記R1およびR3基のうちの1つと、14個乃至24個の炭素原子を有する飽和長鎖脂肪酸残基としての前記R1およびR3基の他方と、を有する、請求項1に記載の脂質組成物。
  6. 前記合成トリグリセリドの混合物は、約4乃至約6kcal/gの生物学的に利用可能なエネルギーを供給する、請求項5に記載の脂質組成物。
  7. 前記混合物内の少なくとも約50重量パーセントの前記トリグリセリドは、2個乃至4個の炭素原子を有する短鎖脂肪酸残基、6個乃至12個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸残基、およびその混合物から成る群から選択された前記R2基と、14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖脂肪酸残基である前記R1またはR3基のうちの1つと、R2とは異なり、2個乃至4個の炭素原子を有する短鎖脂肪酸残基、および6個乃至12個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸残基から成る群から選択された、前記R1およびR3基の他方と、を有する、請求項1に記載の脂質組成物。
  8. 前記合成トリグリセリドの混合物は、基本的にトランス脂肪酸を含まない、請求項1に記載の脂質組成物。
  9. 前記合成トリグリセリドの混合物は、約24℃で実質的に液体の油を含む、請求項1に記載の脂質組成物。
  10. 請求項1に記載の脂質組成物を含有する食品。
  11. 同等量のトウコロコシ油を有する食品と比較して、前記脂質組成物を含有する前記食品が、哺乳類の消化管内で消化および代謝されるときに、前記脂質組成物は、効果的にそのエネルギー含量をより多くエネルギー消費に転換し、体脂肪の蓄積がより少なくなるように吸収および代謝される量で存在する、請求項10に記載の食品。
  12. 構造化脂質の混合物を形成するための方法であって、
    (i)以下の基およびその混合物からなる群から選択された第1の合成トリグリセリドで、
    Figure 2009114449
    各S基は、独立して2個乃至4個の炭素原子を有する短鎖脂肪酸残基であり、各M基は、独立して6個乃至12個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸残基である、第1の合成トリグリセリドと、
    (ii)以下の基およびその混合物から成る群から選択された第2の合成トリグリセリドで、
    Figure 2009114449
    各L基は、独立して14個乃至24個の炭素原子を有する飽和長鎖脂肪酸残基であり、各U基は、独立して14個乃至24個の炭素原子を有する不飽和長鎖脂肪酸残基である、第2の合成トリグリセリドと、
    (iii)1,3位特異的リパーゼと、
    (iv)酸またはC2−C4酸エステルと、を反応させるステップを含み、
    前記反応させるステップは、以下の組成式を有する第3の合成トリグリセリドを形成できる条件で行われ、
    Figure 2009114449
    式中、前記Ryは、上記に定義した、S基またはM基のうちの1つであり、前記Rxおよび前記Rzは、脂肪酸残基であり、前記Rxおよび前記Rzのうちの少なくとも1つは、上記に定義したU基である、方法。
  13. 反応条件が、以下の組成式を有する第4のトリグリセリドの形成を可能にし、
    Figure 2009114449
    前記Rt基は、上記に定義したS基またはM基のうちの1つであり、前記RsまたはRu基のうちの1つは、上記に定義したU基であり、前記RsまたはRu基の他方は、前記M基および前記S基から選択され、Rtとは異なる、請求項12に記載の方法。
  14. xおよびRzのうちの1つは、Uである、請求項12に記載の方法。
  15. sおよびRuのうちの1つは、Uである、請求項13に記載の方法。
  16. 脂質成分を含有する食品成分が、哺乳類の消化管内に吸収および代謝されるときに、より多くのエネルギー含量を発熱プロセスに転じ、そのエネルギー含量の体脂肪への蓄積を少なくする方法であって、請求項1に記載の合成トリグリセリドの混合物によって、前記脂質成分の少なくとも一部を置換するステップを含む、方法。
  17. 構造化脂質の混合物を形成するための方法であって、
    約1乃至約15モルの短鎖トリグリセリド(SSS)、
    約1乃至約10モルの中鎖トリグリセリド(MMM)、および
    約0.5乃至約5モルの不飽和長鎖トリグリセリド(UUU)の成分の塩基触媒エステル交換を含み、
    反応させるステップは、以下の組成式を有する合成トリグリセリドの混合物を形成できる条件で、塩基触媒の存在下で行われ、
    Figure 2009114449
    式中、基R1、R2、およびR3は、独立して2乃至24個の炭素原子を有する脂肪酸残基を含み、前記混合物内の少なくとも約14重量パーセントのトリグリセリドは、2個乃至4個の炭素原子を有する短鎖脂肪酸残基(S)、および6個乃至12個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸残基(M)から成る群から独立して選択された前記R2基を有し、前記R1およびR3基のうちの1つは、14個乃至24個の炭素原子(U)、および少なくとも1つの二重結合をその中に有する不飽和長鎖脂肪酸であり、前記R1およびR3基の他方は、2個乃至4個の炭素原子を有する短鎖脂肪酸残基か、6個乃至12個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸残基か、または14個乃至24個の炭素原子、および少なくとも1つのC−C二重結合をその中に有する不飽和長鎖脂肪酸である、方法。
  18. 前記合成トリグリセリドの混合物は、次式の、前記短鎖脂肪酸残基(S)と、前記中鎖脂肪酸残基(M)と、14個乃至24個の炭素原子を有する飽和長鎖脂肪酸残基(L)と、長鎖不飽和脂肪酸残基(U)との、約0.6乃至約3.8であるモル比を有する、請求項17に記載の方法。
    モル比=(S+M)/(L+U)
  19. 前記モル比が約0.6乃至約2.4であり、哺乳類の消化管内で消化されたときに、前記合成トリグリセリドの混合物は、同等量の消化されたコーン油よりも、効果的にそのエネルギー含量をより多くエネルギー消費に転換し、体脂肪の蓄積がより少なくなるように吸収および代謝される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記SSSトリグリセリドは、酢酸、プロピオン酸、酪酸、およびその混合物のトリグリセリドから成る群から選択され、前記MMMトリグリセリドは、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、およびそれらの混合物のトリグリセリドから成る群から選択され、前記LLLトリグリセリドは、ステアリン酸、ラウリン酸、ベヘン酸、アラキジン酸、パルミチン酸、およびその混合物のトリグリセリドから成る群から選択され、前記UUUトリグリセリドは、パルミトレイン酸、オレイル酸、バクセン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、およびその混合物のトリグリセリドから成る群から選択される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記合成トリグリセリドの混合物から揮発性トリアシルグリセロールを除去するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記合成トリグリセリドの混合物は、約7乃至約8kcal/gの生物学的に利用可能なエネルギーを供給する、請求項17に記載の方法。
  23. 前記合成トリグリセリドの混合物は、さらに、14個乃至24個の炭素原子を有する飽和長鎖脂肪酸残基(L)としての前記R2基と、 6個乃至12個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸残基(M)としての前記R1およびR3基のうちの1つと、14個乃至24個の炭素原子を有する飽和長鎖脂肪酸残基(L)としての前記R1およびR3基の他方とを有する、トリグリセリドを約30乃至約80重量パーセント含む、請求項17に記載の方法。
  24. 前記合成トリグリセリドの混合物は、約4乃至約6kcal/gの生物学的に利用可能なエネルギーを供給する、請求項23に記載の方法。
  25. 前記塩基触媒は、ナトリウムメトキシドである、請求項17に記載の方法。
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