JP2009113605A - ブレーキ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】リザーバタンクを小型化する。
【解決手段】ブレーキ制御装置10は、リザーバタンク26と、ポンプ34と、アキュムレータ50と、レベル低下スイッチと、増圧弁40および減圧弁42とを備える。ECU200は、ポンプ34を制御することによりアキュムレータの液圧を制御するとともに、増圧弁40、減圧弁42およびオイルポンプ34を制御することにより液漏れが発生しているか否かを検出する。ECU200は、レベル低下スイッチによりリザーバタンク26の液面レベルが所定の基準液面レベルよりも低くなったことが検出された場合、アキュムレータ50の液圧を液面レベル低下検出前よりも増加させ、さらにその後、液漏れが発生していることが検出された場合、アキュムレータ50の液圧を液漏れ検出前よりも減少させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に設けられた車輪に付与する制動力を制御するブレーキ制御装置に関する。
近年、車両における制動装置として、車両の走行状況に応じて最適な制動力を車両に与えるよう各車輪の制動力を制御する電子制御ブレーキシステムが多く採用されている。このような電子制御ブレーキシステムでは、圧力センサによって各車輪のホイールシリンダ圧を監視し、ホイールシリンダ圧が運転者のブレーキペダル操作量に基づいて演算される目標油圧になるように、電磁流量制御弁を制御している(たとえば特許文献1参照)。
特開2004−322843号公報
ところで、このような電子制御ブレーキシステムでは、通常、リザーバタンク内のフルード量を監視するために、リザーバタンクの液面レベルを検出する液面レベル検出装置が設けられる。そして、この液面レベル検出装置により、液面レベルが所定の基準液面レベルより低くなったことが検出された場合、フルードの液漏れが発生していると判断している。
電子制御ブレーキシステムでは、この液面レベル検出装置の作動に余裕を持たせるために、リザーバタンクの容量を十分に確保することが好ましい。リザーバタンクの容量が充分に確保できないと、工場出荷時のフルード注入ばらつきや、エンジンルーム内の温度変化によるフルードの収縮およびアキュムレータ蓄圧量の変化により、液面レベル検出装置が作動するまでのフルードの余裕がなくなり、フルードの液漏れにより液面レベルが低下したのではなく、ブレーキパッドの摩耗によって液面レベルが低下したような場合であっても、液面レベル検出装置が液漏れを検出してしまう可能性がある。
このようなブレーキパッドの摩耗による液漏れの誤判定を防ぐために、液漏れを判定する基準液面レベルをブレーキパッドの摩耗により低下する液面レベルよりも低く設定することも考えられるが、その場合は、液漏れを検出した後に十分なフルードがリザーバタンクに残っておらず、必要な制動力を発生させることができないおそれがある。
しかしながら、たとえば小型車などでは、エンジンルームのスペースの問題から、容量の大きなリザーバタンクを設けることが難しい場合がある。また、近年、車両衝突時に歩行者を保護するために、エンジンルームのフードとリザーバタンクとの間のスペースを充分に確保するという要求もあり、容量の大きなリザーバタンクを設けることは難しくなってきている。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、リザーバタンクを小型化することのできるブレーキ制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のブレーキ制御装置は、フルードの供給により車輪に制動力を付与する複数のホイールシリンダと、運転者により操作されるブレーキ操作部材と、ブレーキ操作部材の操作量に応じた液圧を発生させるマスタシリンダと、マスタシリンダとホイールシリンダの連通を遮断するマスタカット弁と、マスタシリンダに接続された、フルードを貯留するリザーバタンクと、リザーバタンクに接続された、フルードを加圧するポンプと、ポンプによって加圧されたフルードを蓄えるアキュムレータと、ポンプを制御することによりアキュムレータの液圧を制御するアキュムレータ圧制御部と、ホイールシリンダとアキュムレータとの間に設けられ、ホイールシリンダの液圧を制御する電磁流量制御弁と、マスタカット弁と電磁流量制御弁の作動を制御する電磁弁制御部と、リザーバタンクの液面レベルを検出する液面レベル検出装置と、液漏れが発生しているか否かを検出する液漏れ検出手段と、を備える。アキュムレータ圧制御部は、液面レベル検出装置によりリザーバタンクの液面レベルが所定の基準液面レベルよりも低くなったことが検出された場合、アキュムレータの液圧を液面レベル低下検出前よりも増加させ、さらにその後、液漏れ検出部により液漏れが発生していることが検出された場合、アキュムレータの液圧を液漏れ検出前よりも減少させる。
この態様によると、液面レベル検出装置によりリザーバタンクの液面レベルが基準液面レベルより低下しただけでは液漏れと判定せず、実際に液漏れが発生したか否かを検出しているので、リザーバタンクを小型化しても液漏れの誤判定を抑制することができる。
また、液面レベル検出装置により液面レベルの低下を検出した時点でアキュムレータの液圧を液面レベル低下検出前よりも増加させて蓄圧量を一時的に増加させておき、その後実際に液漏れの発生を検出した場合に、アキュムレータの液圧を液漏れ検出前よりも減少させ、蓄えておいたフルードを放出して制動に用いているので、液漏れ発生後でも適切な制動力を発生させることができる。アキュムレータを、液面レベル低下時の一時的なフルード保持手段として用いているので、通常時においてリザーバタンクを大きくする必要がなく、リザーバタンクの小型化が可能となる。
液漏れ検出部により液漏れが発生していることが検出された場合、電磁弁制御部は、複数のホイールシリンダのうち一部のホイールシリンダはマスタシリンダから液圧が付与され、残りのホイールシリンダはアキュムレータから液圧が付与されるようマスタカット弁と電磁流量制御弁を制御してもよい。
ポンプはモータによって駆動され、アキュムレータ圧制御部は、アキュムレータの液圧が所定のモータオン圧より小さい場合にモータを駆動し、アキュムレータの液圧が所定のモータオフ圧より大きい場合にモータを停止することにより、アキュムレータの液圧を制御してもよい。
アキュムレータ圧制御部は、液面レベル検出装置によりリザーバタンクの液面レベルが所定の基準液面レベルよりも低くなったことが検出された場合、モータオン圧およびモータオフ圧をそれぞれ液面レベル低下検出前よりも高い値に変更し、さらにその後、液漏れ検出部により液漏れが発生していることが検出された場合、モータオン圧およびモータオフ圧を液漏れ検出前よりも低い値に変更してもよい。
本発明によれば、リザーバタンクを小型化することのできるブレーキ制御装置を提供できる。
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るブレーキ制御装置10の構成を示す図である。図1に示すブレーキ制御装置10は、車両用の電子制御式ブレーキシステム(ECB)を構成しており、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル12の操作量に基づいて車両の4輪のブレーキを最適に制御するものである。
ブレーキペダル12は、運転者による踏み込み操作に応じた液圧を発生させるマスタシリンダ14に接続されている。ブレーキペダル12が踏み込まれると、マスタシリンダ14は、作動流体としてのフルードを送り出す。ブレーキペダル12には、その踏み込みストロークを検出するためのストロークセンサ46が設けられている。
マスタシリンダ14の一方の出力ポート14aには、運転者によるブレーキペダル12の操作力に応じた反力を創出するストロークシミュレータ24が接続されている。マスタシリンダ14とストロークシミュレータ24とを接続する流路の中途には、シミュレータカット弁23が設けられている。シミュレータカット弁23は、非通電時に閉状態にあり、運転者によるブレーキペダル12の操作が検出された際に開状態に切り換えられる常閉型の電磁開閉弁である。
また、マスタシリンダ14には、フルードを貯留するためのリザーバタンク26が接続されている。リザーバタンク26の詳細な構成については後述するが、リザーバタンク26には、リザーバタンク26内のフルードの液面レベルを検出する液面レベル検出装置が設けられている。
マスタシリンダ14の一方の出力ポート14aには、右前輪用のブレーキ油圧制御管16が接続されており、ブレーキ油圧制御管16は、図示されない右前輪に対して制動力を付与する右前輪用のホイールシリンダ20FRに接続されている。また、マスタシリンダ14の他方の出力ポート14bには、左前輪用のブレーキ油圧制御管18が接続されており、ブレーキ油圧制御管18は、図示されない左前輪に対して制動力を付与する左前輪用のホイールシリンダ20FLに接続されている。
右前輪用のブレーキ油圧制御管16の中途には、右マスタカット弁22FRが設けられており、左前輪用のブレーキ油圧制御管18の中途には、左マスタカット弁22FLが設けられている。これらの右マスタカット弁22FRおよび左マスタカット弁22FLは、何れも、非通電時に開状態にあり、通電時に閉状態に切り換えられる常開型電磁弁である。
また、右前輪用のブレーキ油圧制御管16の中途には、右前輪側のマスタシリンダ圧を検出する右マスタ圧力センサ48FRが設けられており、左前輪用のブレーキ油圧制御管18の途中には、左前輪側のマスタシリンダ圧を計測する左マスタ圧力センサ48FLが設けられている。ブレーキ制御装置10では、運転者によってブレーキペダル12が踏み込まれた際、ストロークセンサ46によりその踏み込み操作量が検出されるが、これらの右マスタ圧力センサ48FRおよび左マスタ圧力センサ48FLによって検出されるマスタシリンダ圧からもブレーキペダル12の踏み込み操作力(踏力)を求めることができる。このように、ストロークセンサ46の故障を想定して、マスタシリンダ圧を2つの圧力センサ48FRおよび48FLによって監視することは、フェイルセーフの観点からみて好ましい。なお、以下では適宜、右マスタ圧力センサ48FRおよび左マスタ圧力センサ48FLを総称して、マスタシリンダ圧センサ48という。
一方、リザーバタンク26には、油圧給排管28の一端が接続されており、この油圧給排管28の他端には、モータ32により駆動されるオイルポンプ34の吸込口が接続されている。オイルポンプ34の吐出口は、高圧管30に接続されており、この高圧管30には、アキュムレータ50とリリーフバルブ53とが接続されている。本実施の形態では、オイルポンプ34として、モータ32によってそれぞれ往復移動させられる2体以上のピストン(図示せず)を備えた往復動ポンプが採用される。また、アキュムレータ50としては、フルードの圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギに変換して蓄えるものが採用される。
アキュムレータ50は、オイルポンプ34によって例えば14〜22MPa程度にまで昇圧されたフルードを蓄える。また、リリーフバルブ53の弁出口は、油圧給排管28に接続されており、アキュムレータ50におけるフルードの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ53が開弁し、高圧のフルードは油圧給排管28へと戻される。更に、高圧管30には、アキュムレータ50の出口圧力、すなわち、アキュムレータ50におけるフルードの圧力を検出するアキュムレータ圧センサ51が設けられている。アキュムレータ50の詳細な構成については後述する。
そして、高圧管30は、増圧弁40FR,40FL,40RR,40RLを介して右前輪用のホイールシリンダ20FR、左前輪用のホイールシリンダ20FL、右後輪用のホイールシリンダ20RRおよび左後輪用のホイールシリンダ20RLに接続されている。以下、適宜、ホイールシリンダ20FR〜20RLを総称して「ホイールシリンダ20」といい、適宜、増圧弁40FR〜40RLを総称して「増圧弁40」という。増圧弁40は、何れも、非通電時は閉じた状態にあり、必要に応じてホイールシリンダ20の増圧に利用される常閉型の電磁流量制御弁(リニア弁)である。なお、図示されない車両の各車輪に対しては、ディスクブレーキユニットが設けられており、各ディスクブレーキユニットは、ホイールシリンダ20の作用によってブレーキパッドをディスクに押し付けることで制動力を発生する。
また、右前輪用のホイールシリンダ20FRと左前輪用のホイールシリンダ20FLとは、それぞれ減圧弁42FRまたは42FLを介して油圧給排管28に接続されている。減圧弁42FRおよび42FLは、必要に応じてホイールシリンダ20FR,20FLの減圧に利用される常閉型の電磁流量制御弁(リニア弁)である。一方、右後輪用のホイールシリンダ20RRと左後輪用のホイールシリンダ20RLとは、常開型の電磁流量制御弁である減圧弁42RRまたは42RLを介して油圧給排管28に接続されている。以下、適宜、減圧弁42FR〜42RLを総称して「減圧弁42」という。
右前輪用、左前輪用、右後輪用および左後輪用のホイールシリンダ20FR〜20RL付近には、それぞれ対応するホイールシリンダ20に作用するフルードの圧力であるホイールシリンダ圧を検出するホイールシリンダ圧センサ44FR,44FL,44RRおよび44RLが設けられている。以下、適宜、ホイールシリンダ圧センサ44FR〜44RLを総称して「ホイールシリンダ圧センサ44」という。
上述の右マスタカット弁22FRおよび左マスタカット弁22FL、増圧弁40FR〜40RL、減圧弁42FR〜42RL、オイルポンプ34、アキュムレータ50等は、ブレーキ制御装置10の油圧アクチュエータ80を構成する。そして、かかる油圧アクチュエータ80は、電子制御ユニット(以下「ECU」という)200によって制御される。
ECU200は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、エンジン停止時にも記憶内容を保持できるバックアップRAM等の不揮発性メモリ、入出力インターフェース、各種センサ等から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して取り込むためのA/Dコンバータ、計時用のタイマ等を備えるものである。
ECU200には、上述のマスタカット弁22FR,22FL、シミュレータカット弁23、増圧弁40FR〜40RL、減圧弁42FR〜42RL等の油圧アクチュエータ80を含む各種アクチュエータ類が電気的に接続されている。
また、ECU200には、制御に用いるための信号を出力する各種センサ・スイッチ類が電気的に接続されている。すなわち、ECU200には、ホイールシリンダ圧センサ44FR〜44RLから、ホイールシリンダ20FR〜20RLにおけるホイールシリンダ圧を示す信号が入力される。
また、ECU200には、ストロークセンサ46からブレーキペダル12のペダルストロークを示す信号が入力され、右マスタ圧力センサ48FRおよび左マスタ圧力センサ48FLからマスタシリンダ圧を示す信号が入力され、アキュムレータ圧センサ51からアキュムレータ圧を示す信号が入力される。
また、ECU200には、リザーバタンク26に設けられた液面レベル検出装置から、フルードの液面レベルを示す信号が入力される。また、ECU200には、リザーバタンク26の液面レベルの低下を運転者に知らせるための警告ランプ54が接続されている。
さらに、図示しないが、ECU200には、各車輪ごとに設置された車輪速センサから各車輪の車輪速度を示す信号が入力され、ヨーレートセンサからヨーレートを示す信号が入力され、操舵角センサからステアリングホイールの操舵角を示す信号が入力されたりしている。
このように構成されるブレーキ制御装置10では、運転者によってブレーキペダル12が踏み込まれると、ECU200により、ブレーキペダル12の踏み込み量を表すペダルストロークとマスタシリンダ圧とから車両の目標減速度が算出され、算出された目標減速度に応じて各車輪のホイールシリンダ圧の目標値である目標油圧が求められる。そして、ECU200により増圧弁40、減圧弁42が制御され、各車輪のホイールシリンダ圧が目標油圧になるよう制御される。
一方、このときマスタカット弁22FR及び22FLは閉状態とされ、シミュレータカット弁23は開状態とされる。よって、運転者によるブレーキペダル12の踏込によりマスタシリンダ14から送出されたフルードは、シミュレータカット弁23を通ってストロークシミュレータ24に流入する。
図2は、通常時におけるブレーキ制御装置10の動作を説明するための図である。図2は、リザーバタンク26とアキュムレータ50周辺の構成を示している。ここで、通常時とは、ブレーキ制御装置10に液漏れが発生しておらず、リザーバタンク26に十分なフルードが確保されている状態をいう。
リザーバタンク26の本体部140は、合成樹脂で形成され、内部にフルードを貯留可能な有底円筒状に形成されている。本体部140の上部には、フルードを注入するための開口部144が形成されている。この開口部144には、開口部144を塞ぐためのキャップ142が嵌合固定されている。
リザーバタンク26には、リザーバタンク26内のフルードの液面レベルLを検出する液面レベル検出装置としてのレベル低下スイッチ100が設けられている。レベル低下スイッチ100は、フルードの液面レベルLが所定の基準液面レベルLsよりも低くなった場合に、液面レベル低下信号をECU200に送信する。レベル低下スイッチ100は、既知のものを用いることができる。たとえば、液面の高さをフロートを使用して検出するものや、液面の高さを光学的に検出するものを用いることができる。本実施の形態では、フロートにはめ込まれた磁石が基準液面レベルLsを通過すると、OFF状態からON状態に切り替わるものとされる。基準液面レベルLsは、4輪のホイールシリンダ20に安定して適切な制動力を作用させることができるフルード量が確保されるように設定される。最適な基準液面レベルLsは、リザーバタンク26や油圧アクチュエータ80によって異なるので、適宜実験やシミュレーションによって定めればよい。
本体部140の底面からは、上方に向かって第1隔壁128と第2隔壁130が形成されている。第1隔壁128および第2隔壁130は、上端部の高さが基準液面レベルLsよりも低くなるように形成される。
第1隔壁128と第2隔壁130とによって、本体部140の基準液面レベルLsより下方の内部空間が、3つの空間に分けられる。すなわち、第1隔壁128と本体部140の側壁とによって、第1フルード貯蔵室116が形成され、第1隔壁128と第2隔壁130とによって、第2フルード貯蔵室118が形成され、第2隔壁130と本体部140の側壁とによってポンプ室120が形成される。
第1フルード貯蔵室116の底面には、第1フルード貯蔵室116をマスタシリンダ14の一方の出力ポート14aに連通させるための第1接続部122が形成されている。第2フルード貯蔵室118の底面には、第2フルード貯蔵室118をマスタシリンダ14の他方の出力ポート14bに連通させるための第2接続部124が形成されている。ポンプ室120の底面には、ポンプ室120をオイルポンプ34の吸込口に連通させるための第3接続部126が形成されている。
アキュムレータ50は、図2に示すように、ベローズ式のものであり、ハウジング168と、ベローズ160とを含む。ベローズ160は、その一端部がハウジング168に気密に取り付けられており、他端部には、端板165が取り付けられている。端板165により、ハウジング168の内部空間は2つの空間に仕切られている。本実施の形態では、ベローズ160の内側が高圧ガスが収容されたガス室164とされ、端板165で仕切られた2つの空間のうちベローズ160が存在する空間と反対側の空間が、オイルポンプ34から吐出された高圧のフルードが加圧下で蓄えられる蓄圧室162とされる。蓄圧室162には、高圧管30が接続されており、この高圧管30を介してフルードがオイルポンプ34から蓄圧室162に送り込まれ、蓄圧される。
アキュムレータ50の液圧であるアキュムレータ圧Pは、ECU200により制御される。すなわち、ECU200は、アキュムレータ圧Pを制御するアキュムレータ圧制御部として機能する。アキュムレータ圧Pは、アキュムレータ圧センサ51により検出される。
ECU200は、アキュムレータ圧Pが、所定のモータオン圧PONと所定のモータオフ圧POFFの範囲内となるように、オイルポンプ34を駆動するモータ32を制御する。すなわち、ECU200は、アキュムレータ圧Pがモータオン圧PONよりも小さい場合には、モータ32を回転させることによりオイルポンプ34を駆動し、アキュムレータ圧Pを増加させる。一方、アキュムレータ圧Pがモータオフ圧POFFよりも大きい場合には、モータ32の回転を停止することによりオイルポンプ34の駆動を停止する。このようにして、アキュムレータ50内には常時所定値以上の液圧が蓄圧されるようになっている。
図2に示すブレーキ制御装置10の通常時の動作においては、モータオン圧PONが標準モータオン圧PONMedに、モータオフ圧POFFが標準モータオフ圧POFFMedに設定される。従って、ECU200は、アキュムレータ圧Pを、標準モータオン圧PONMedと標準モータオフ圧POFFMedの範囲内となるように、モータ32を動作させる。このようにモータ32を制御することにより、アキュムレータ50の蓄圧量Vは、図2に示すように、標準モータオン圧PONMedに対応する蓄圧量である標準モータオン蓄圧量VONMed以上、且つ、標準モータオフ圧POFFMedに対応する蓄圧量である標準モータオフ蓄圧量VOFFMed以下の範囲に保たれる。
通常時において、ECU200は、右マスタカット弁22FRおよび左マスタカット弁22FLを閉弁状態とし、各ホイールシリンダ20がブレーキペダル12の踏み込み量に応じて算出された目標油圧となるように、増圧弁40、減圧弁42が制御される。この制御モードを通常制御モードと呼ぶ。アキュムレータ50に蓄圧されたフルードは、ブレーキペダル12の踏み込みによりホイールシリンダ圧を増圧し、その後、ブレーキペダル12が戻されると、減圧されて油圧給排管28を通ってリザーバタンク26に戻ってくる。アキュムレータ圧Pが標準モータオン圧PONMedより小さい値まで低下すると、モータ32が駆動され、リザーバタンク26からアキュムレータ50にフルードが供給されて、アキュムレータ50に蓄圧される。
図3は、液面レベルが基準液面レベルより低くなった場合の動作を説明するための図である。液面レベルLが基準液面レベルLsよりも低くなった場合、レベル低下スイッチ100はOFF状態からON状態に切り替わる。
ECU200は、レベル低下スイッチ100がON状態となった場合、アキュムレータ圧Pを液面レベル低下検出前、ここでは通常時よりも増加させる。具体的には、ECU200は、レベル低下スイッチ100がON状態となったことが検出された場合、モータオン圧PONおよびモータオフ圧POFFを、それぞれ液面レベル低下検出前よりも高い値に変更する。本実施の形態では、モータオン圧PONを、標準モータオン圧PONMedよりも高い値である高モータオン圧PONHiに変更し、モータオフ圧POFFを、標準モータオフ圧POFFMedよりも高い値である高モータオフ圧POFFHiに変更する。これにより、ECU200は、アキュムレータ圧Pが高モータオン圧PONHi以上となるようにモータ32を駆動するので、アキュムレータ圧Pが増大し、蓄圧量Vが増加する。このようにモータ32を制御することにより、アキュムレータ50の蓄圧量Vは、図3に示すように、高モータオン圧PONHiに対応する蓄圧量である高モータオン蓄圧量VONHi以上、且つ、高モータオフ圧POFFHiに対応する蓄圧量である高モータオフ蓄圧量VOFFHi以下の範囲に保たれる。
ECU200は、液面レベルLの低下が検出された場合、警告ランプ54を点灯させることにより、運転者に警報を発出してもよい。これにより、運転者は液面レベルLの原因を調べるなどの措置をとることができる。警報はブザーなどの音によるものであってもよい。
図4は、液漏れの発生を検出した場合の動作を説明するための図である。ブレーキ制御装置10において、4輪のいずれかのブレーキにおいて液漏れが発生したとする。この場合、液面レベルLがさらに低下し、やがてポンプ室120のフルードが無くなる。一方、右マスタカット弁22FRおよび左マスタカット弁22FLは閉弁状態であるので、第1フルード貯蔵室116および第2フルード貯蔵室118にはフルードが残っている。
ECU200は、レベル低下スイッチ100により液面レベルLが基準液面レベルLsより低くなったことが検出された場合、ブレーキ制御装置10において実際に液漏れが発生しているか否かを検出する。ECU200は、たとえば、増圧弁40が全て閉弁状態にしてモータ32を駆動させているにもかかわらずアキュムレータ圧Pが昇圧していかない場合、液漏れが発生したことを検出する。また、レベル低下スイッチ100とオイルポンプ34のインレット間に、液漏れ検出用のスイッチを設けて液漏れが発生したことを検出してもよい。
液漏れが発生していることが検出された場合、ECU200は、制御モードを通常制御モードからフェイルセーフモードに切り替える。フェイルセーフモードは、右マスタカット弁22FRおよび左マスタカット弁22FLを開弁状態にし、増圧弁40FR、増圧弁40FL、減圧弁42RLおよび減圧弁42RRを閉弁状態とする制御モードである。これにより、ホイールシリンダ20FRとホイールシリンダ20FLの前輪2系統が制御圧系統から分離され、ホイールシリンダ20FRおよびホイールシリンダ20FLは、マスタシリンダ14を液圧源としてホイルシリンダ圧が制御される静圧供給状態とされる。左右後輪のホイールシリンダ20FRとホイールシリンダ20RRは、アキュムレータ50を液圧源としてホイールシリンダ圧が制御される制御圧供給状態とされる。
図5は、液漏れ検出後の動作を説明するための図である。ブレーキ制御装置10において液漏れが発生していることが検出された場合、ECU200は、アキュムレータ圧Pを液漏れ検出前よりも減少させる。具体的には、ECU200は、液漏れの発生を検出した場合、モータオン圧PONおよびモータオフ圧POFFを、それぞれ液漏れ検出前よりも低い値に変更する。本実施の形態では、モータオン圧PONを、高モータオン圧PONHiよりも低い値である低モータオン圧PONLoに変更し、モータオフ圧POFFを、高モータオフ圧POFFHiよりも低い値である低モータオフ圧POFFLoに変更する。これにより、アキュムレータ圧Pが低下し、アキュムレータ50の蓄圧量Vは、図5に示すように、低モータオン圧PONLoに対応する蓄圧量である低モータオン蓄圧量VONLo以上、且つ、低モータオフ圧POFFLoに対応する蓄圧量である低モータオフ蓄圧量VOFFLo以下の範囲まで低下する。
アキュムレータ50の蓄圧量Vが低下することにより、アキュムレータ50から蓄圧量低下分のフルードが流出する。アキュムレータ50から流出されたフルードは、増圧弁40、ホイールシリンダ20、減圧弁42を経てオイルポンプ34の吸入口、およびリザーバタンク26に戻ってくる。図5には、アキュムレータ50の蓄圧量減少により、ポンプ室120の液面レベルLが上昇した様子が示されている。
図6は、前輪の系統において液漏れが発生していた場合の動作を説明するための図である。たとえば、右前輪のホイールシリンダ20FRの系統で液漏れが発生していた場合、第2フルード貯蔵室118のフルードが無くなるが、第1フルード貯蔵室116にはフルードが確保されているので、左前輪のホイールシリンダ20FLにはマスタシリンダ圧を付与することができる。一方、左後輪のホイールシリンダ20RLおよび右後輪のホイールシリンダ20RRには、アキュムレータ50に蓄圧されていたフルードを供給することができるので、左右後輪の制動力を確保することができる。
図7は、後輪の系統において液漏れが発生していた場合の動作を説明するための図である。左右後輪のいずれかの系統において液漏れが発生していた場合、時間の経過とともに、ポンプ室120のフルードおよびアキュムレータ50に蓄圧されていたフルードは減少し、やがて無くなるが、第1フルード貯蔵室116および第2フルード貯蔵室118にはフルードが確保されているため、左右前輪のホイールシリンダ20FR、ホイールシリンダ20FLにマスタシリンダからフルードが供給され、制動力を発生させることができる。
以上、説明したように、本実施の形態に係るブレーキ制御装置10によれば、レベル低下スイッチ100によりリザーバタンク26の液面レベルLが基準液面レベルLsより低下しただけでは液漏れと判定せず、実際に液漏れが発生したか否かを検出しているので、リザーバを小型化した場合であっても液漏れの誤判定を抑制することができる。
また、通常であれば、実際に液漏れが発生していることを検出した場合にはリザーバタンクにフルードがあまり残っておらず、適切な制動力を発生させることは難しい。本実施の形態に係るブレーキ制御装置10では、レベル低下スイッチ100により液面レベルLの低下を検出した時点でアキュムレータ50の蓄圧量Vを増加させ、アキュムレータ50に一時的にフルードを蓄えておき、その後実際に液漏れの発生を検出した場合に、蓄えておいたフルードを放出して制動に用いるので、液漏れ発生後でも、適切な制動力を発生させることができる。アキュムレータ50を、液面レベル低下時の一時的なフルード保持手段として用いているので、通常時においてリザーバタンク26を大きくする必要がなく、リザーバタンク26の小型化が可能となる。
高モータオン圧PONHiおよび高モータオフ圧POFFHi、並びに低モータオン圧PONLoおよび低モータオフ圧POFFLoは、液漏れ検出後に必要な制動力を確保できるよう適宜実験やシミュレーションにより定めればよい。
図8は、本実施の形態に係るブレーキ制御装置10の制御を示すフローチャートである。この制動制御フローは、所定の時間間隔で継続的に実行される。通常状態において、ブレーキ制御装置10は通常制御モードで制御されている。
まず、ECU200は、リザーバタンク26の液面レベル低下異常が既に発生しているか否かを示すレベル低下異常フラグがONとなっているか否かを判定する(S10)。
レベル低下異常フラグがOFFの場合(S10のN)、ECU200は、レベル低下スイッチ100がON状態となっているか否かを判定する(S12)。
レベル低下スイッチ100がOFF状態である場合(S12のN)、リザーバタンク26内にフルードが十分にあるとして、モータオン圧PON、モータオフ圧POFFは、標準モータオン圧PONMed、標準モータオフ圧POFFMedとし(S14、S16)、4輪のブレーキに対して通常の制御モードで制動力を発生させる(S18)。その後S10に戻り、制御フローが繰り返される。
一方、レベル低下スイッチ100がON状態である場合(S12のY)、ECU200は、液漏れ検出を行う(S20)。液漏れ検出は種々の手法を用いることができるが、ここでは、増圧弁40が全て閉弁状態にしてモータ32を駆動させているにもかかわらずアキュムレータ圧Pが昇圧していかない場合、液漏れ発生と判定する。
ECU200は、液漏れが発生したか否かを判定し(S22)、液漏れが発生していなかった場合(S22のN)、ECU200は、モータオン圧PONを、標準モータオン圧PONMedよりも高い値である高モータオン圧PONHiに変更し、モータオフ圧POFFを、標準モータオフ圧POFFMedよりも高い値である高モータオフ圧POFFHiに変更する(S24、S26)。これにより、アキュムレータ50の蓄圧量Vが増加する。その後、ECU200は通常制御モードで制御を行う(S18)。その後S10に戻り、制御フローが繰り返される。
液漏れが発生していた場合(S22のY)、ECU200は、レベル低下異常フラグをONに設定し(S28)、モータオン圧PONを、高モータオン圧PONHiよりも低い値である低モータオン圧PONLoに変更し、モータオフ圧POFFを、高モータオフ圧POFFHiよりも低い値である低モータオフ圧POFFLoに変更する(S30、S32)。これにより、アキュムレータ50の蓄圧量Vが低下して、アキュムレータ50から蓄圧量低下分のフルードが流出する。アキュムレータ50から流出されたフルードは、増圧弁40、ホイールシリンダ20、減圧弁42を経てオイルポンプ34の吸入口、およびリザーバタンク26に戻ってくる。
また、液漏れが発生していた場合(S22のY)、ECU200は、制御モードを通常制御モードからフェイルセーフモードに切り替える(S34)。これにより、左右後輪のホイールシリンダ20FRとホイールシリンダ20RRは、制御圧供給状態とされ、左右前輪のホイールシリンダ20FRおよびホイールシリンダ20FLは、静圧供給状態とされる。
前輪の系統において液漏れが発生していた場合、左後輪のホイールシリンダ20RLおよび右後輪のホイールシリンダ20RRには、アキュムレータ50に一時的に蓄圧されていたフルードを供給することができるので、左右後輪の制動力を確保することができる。後輪の系統において液漏れが発生していた場合、左右前輪のホイールシリンダ20FR、ホイールシリンダ20FLにマスタシリンダからフルードが供給され、制動力を発生させることができる。その後S10に戻り、制御フローが繰り返される。S10では、レベル低下異常フラグがONと判定されるので(S10のY)、S30〜S34のステップが繰り返し実行される。
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。これらの実施形態は例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明の実施の形態に係るブレーキ制御装置の構成を示す図である。 通常時におけるブレーキ制御装置の動作を説明するための図である。 液面レベルが基準液面レベルより低くなった場合の動作を説明するための図である。 液漏れの発生を検出した場合の動作を説明するための図である。 液漏れ検出後の動作を説明するための図である。 前輪の系統において液漏れが発生していた場合の動作を説明するための図である。 後輪の系統において液漏れが発生していた場合の動作を説明するための図である。 本実施の形態に係るブレーキ制御装置の制御を示すフローチャートである。
符号の説明
10 ブレーキ制御装置、 12 ブレーキペダル、 14 マスタシリンダ、 20 ホイールシリンダ、 26 リザーバタンク、 32 モータ、 34 オイルポンプ、 40 増圧弁、 42 減圧弁、 50 アキュムレータ、 51 アキュムレータ圧センサ、 100 レベル低下スイッチ、 200 ECU。

Claims (4)

  1. フルードの供給により車輪に制動力を付与する複数のホイールシリンダと、
    運転者により操作されるブレーキ操作部材と、
    前記ブレーキ操作部材の操作量に応じた液圧を発生させるマスタシリンダと、
    前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダの連通を遮断するマスタカット弁と、
    前記マスタシリンダに接続された、フルードを貯留するリザーバタンクと、
    前記リザーバタンクに接続された、フルードを加圧するポンプと、
    前記ポンプによって加圧されたフルードを蓄えるアキュムレータと、
    前記ポンプを制御することにより前記アキュムレータの液圧を制御するアキュムレータ圧制御部と、
    前記ホイールシリンダと前記アキュムレータとの間に設けられ、前記ホイールシリンダの液圧を制御する電磁流量制御弁と、
    前記マスタカット弁と前記電磁流量制御弁の作動を制御する電磁弁制御部と、
    前記リザーバタンクの液面レベルを検出する液面レベル検出装置と、
    液漏れが発生しているか否かを検出する液漏れ検出手段と、
    を備え、
    前記アキュムレータ圧制御部は、前記液面レベル検出装置により前記リザーバタンクの液面レベルが所定の基準液面レベルよりも低くなったことが検出された場合、前記アキュムレータの液圧を液面レベル低下検出前よりも増加させ、さらにその後、前記液漏れ検出部により液漏れが発生していることが検出された場合、前記アキュムレータの液圧を液漏れ検出前よりも減少させることを特徴とするブレーキ制御装置。
  2. 前記液漏れ検出部により液漏れが発生していることが検出された場合、前記電磁弁制御部は、前記複数のホイールシリンダのうち一部のホイールシリンダは前記マスタシリンダから液圧が付与され、残りのホイールシリンダは前記アキュムレータから液圧が付与されるよう前記マスタカット弁と前記電磁流量制御弁を制御することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
  3. 前記ポンプはモータによって駆動され、前記アキュムレータ圧制御部は、前記アキュムレータの液圧が所定のモータオン圧より小さい場合に前記モータを駆動し、前記アキュムレータの液圧が所定のモータオフ圧より大きい場合に前記モータを停止することにより、前記アキュムレータの液圧を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ制御装置。
  4. 前記アキュムレータ圧制御部は、前記液面レベル検出装置により前記リザーバタンクの液面レベルが所定の基準液面レベルよりも低くなったことが検出された場合、モータオン圧およびモータオフ圧をそれぞれ液面レベル低下検出前よりも高い値に変更し、さらにその後、前記液漏れ検出部により液漏れが発生していることが検出された場合、モータオン圧およびモータオフ圧を液漏れ検出前よりも低い値に変更することを特徴とする請求項3に記載のブレーキ制御装置。
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