JP2009112935A - 廃棄物溶融炉の発生ガス管およびサイクロンのダスト付着防止方法およびその装置 - Google Patents

Abstract

【課題】廃棄物溶融炉から発生するダストを含む排ガス中に融点の高い粉体を吹き込んでダストに混入させてダストの融解、凝固による硬化を防止して付着力を抑制することにより発生ガス管およびサイクロン内部へのダストの付着を防止することができる廃棄物溶融炉の発生ガス管およびサイクロンのダスト付着防止方法およびその装置を提供する。
【解決手段】廃棄物溶融炉１から発生するダストを含む排ガスからダストを集塵するサイクロン３と廃棄物溶融炉１とに接続された、排ガスをサイクロン３へ導入する発生ガス管内に炭酸カルシウム添加装置９で炭酸カルシウムを添加して、炭酸カルシウムをダストに混入させてダストの融解、凝固を防止する廃棄物溶融炉の発生ガス管およびサイクロンのダスト付着防止方法。
【選択図】図１

Description

本発明は、廃棄物溶融炉から発生するダストを含む排ガスをサイクロンに導入する発生ガス管および排ガスからダストを除去するサイクロンのダスト付着防止方法およびその装置に関するものである。

廃棄物溶融炉では、装入された一般廃棄物あるいは産業廃棄物等は乾燥、熱分解、燃焼、溶融の過程を経て溶融処理され、廃棄物溶融炉から発生するダストを含む排ガスは廃棄物溶融炉に付帯する燃焼室へ導かれ完全燃焼される。

図３は従来の廃棄物溶融炉から燃焼室の一部を示す系統図である。

廃棄物溶融炉１から発生する可燃性ダストを含む排ガスは、発生ガス管２を通ってサイクロン３に導入されてダストが捕集される。ダスト捕集後の排ガスは燃焼室４に送って燃焼させ、燃焼により発生した燃焼排ガスは廃熱ボイラーに送られて熱回収される。サイクロン３で捕集された可燃性ダストは、ダストホッパー５に貯蔵した後、切り出し装置６から所定量を切り出し、ダスト吹込装置７により廃棄物溶融炉１の羽口８から炉内に吹き込まれる。

廃棄物溶融炉から発生するダストを含む排ガスの処理について、特許文献１には、廃棄物溶融炉からのダストを含む排ガスから塩化物を除去することにより塩化物によるボイラー配管等の腐食を防止するため、排ガス中のダストをサイクロンで捕集する前に、廃棄物溶融炉とサイクロンとを接続する発生ガス管に設けた脱塩剤添加装置で排ガスに消石灰を添加してガス状の塩化物を固体状の塩化物に変えてサイクロンで捕集することが開示されている。

しかしながら、廃棄物溶融炉の排ガス中のダストは塩化物、硫化物などの塩類が多く含まれるため、発生ガス中のアルカリ系塩化物（融点７００〜８００℃）のダストが高温で溶融あるいは半溶融状態となって凝固して硬化しており、発生ガス管やサイクロンに付着し、付着による設備の運転停止、ダクトやサイクロンの保守点検により、長期に安定して連続操業を維持することができないという問題がある。

付着を防止するため、特許文献２には、廃棄物溶融炉直後の発生ガス管から蒸気又は不活性ガスによって霧状化した冷却水を排ガス中に吹き込んで発生ガスの温度を低下させることにより、ガス中に含まれるダストが溶融あるいは半溶融状態となるのを防止して発生ガス管やその付属機器へのダスト付着を防止することが開示されている。
特開平１１−２２１５４５号公報 特開２００１−３３０２７号公報

前記特許文献２のように発生ガス管中のガス温度をダストが溶融しない温度以下に低下させることは、ガス温度が高くなり易い大型の溶融炉の場合やガス温度制御の遅れから限界があり、ダストが融解、凝固して硬化し、発生ガス管やその付属機器に付着していた。発生ガス管に接続されているサイクロンの内面および内筒へのダスト付着は、該部の圧力損失が大きくなることおよびダスト捕集率の低下を招き、溶融炉プロセスの安定稼働に支障を来たし、特にサイクロンでのダスト付着は影響が大である。しかしながら、ガス温度を溶融温度以下に保持することは困難であった。

また、発生ガス管内への付着は炉頂散水である程度緩和されるが、サイクロン内面および内筒部へのダスト付着は回避できなかった。

そこで、本発明は、廃棄物溶融炉から発生するダストを含む排ガス中に融点の高い粉体を吹き込んでダストに混入させてダストの融解、凝固による硬化を防止して付着力を抑制することにより発生ガス管およびサイクロン内部へのダストの付着を防止することができる廃棄物溶融炉の発生ガス管およびサイクロンのダスト付着防止方法およびその装置を提供するものである。

本発明の廃棄物溶融炉の発生ガス管およびサイクロンのダスト付着防止方法は、廃棄物溶融炉から発生するダストを含む排ガスからダストを集塵するサイクロンと前記廃棄物溶融炉とに接続された、前記排ガスをサイクロンへ導入する発生ガス管内に炭酸カルシウムを添加して、前記炭酸カルシウムをダストに混入させてダストの融解、凝固を防止することを特徴とする。添加する炭酸カルシウムの粒径は５μｍ〜２０μｍである微粉体が好ましい。

また、本発明の廃棄物溶融炉の発生ガス管およびサイクロンのダスト付着防止装置は、廃棄物溶融炉から発生するダストを含む排ガスからダストを集塵するサイクロンと前記廃棄物溶融炉とに接続された、前記排ガスをサイクロンへ導入する発生ガス管に、この発生ガス管内に炭酸カルシウムを添加する炭酸カルシウム添加装置を発生ガス管の上流側に設置したことを特徴とする。サイクロンにはサイクロン内の内筒を振動させる加振装置を設置してもよい。

本発明は、発生ガス管内の排ガス中に高融点（１３９０℃）の炭酸カルシウム（以下、「ＣａＣＯ_３」という。）を吹込むことで、ダストの溶融、凝固による硬化を防止することにより付着力を低減させて発生ガス管およびサイクロンへのダストの付着を防止することができる。

また、ＣａＣＯ_３はＨＣｌ、ＳＯ_Ｘと反応してＨＣｌ、ＳＯ_Ｘを低減でき、腐食環境が改善され、後流の燃焼室内やボイラチューブの腐食対策となる。

また、バグフィルタでのＨＣｌ除去のための消石灰吹込量が低減され、バグ内はＣａＣＯ_３となる。

また、サイクロンに加振装置を設置して内筒へ振動を与えることで、万が一ダストが付着しても振動によりダストを内筒から剥離させて容易に除去できるようにすることにより、付着を防止できるとともに、清掃作業が軽減される。

図１は本発明の方法を実施するための溶融炉プロセスの一部を示す系統図である。

廃棄物溶融炉１から排出されるダストを含んだ生ガスはサイクロン３と接続されている発生ガス管２を通ってサイクロン３に導入される。サイクロン３により捕集された可燃性のダストはホッパー５に一時的に貯蔵した後、切出装置６から所定量を切り出し、ダスト吹込装置７により廃棄物溶融炉内へ羽口８から吹き込まれ、ダスト中の可燃分が廃棄物溶融炉の熱源として利用される。サイクロン３でダストを取り除いた可燃性ガスは、燃焼室４へ送って燃焼させ、燃焼により発生した燃焼排ガスは、図示しない後流の廃熱ボイラーに送られて熱回収される。

本発明では、廃棄物溶融炉１とサイクロン３を接続する発生ガス管２の上流側にＣａＣＯ_３添加装置９が設けられている。廃棄物溶融炉１から排出される排ガス中のダストをサイクロン３で捕集する前に、ＣａＣＯ_３添加装置９で発生ガス管２内の排ガス中にＣａＣＯ_３を添加した後、サイクロン３で捕集する。排ガス中にＣａＣＯ_３を添加してダスト中に高融点のＣａＣＯ_３が混入することにより、ダストの融解、凝固による硬化が防止されて付着力が低減して発生ガス管２およびサイクロン３内での付着を防止することが可能となる。吹込み量はガス温度、ガス量に応じて制御する。

ダストのみと、ＣａＣＯ_３を添加したダストとの強度と付着力の変化を確認するため、ダストのみと、ＣａＣＯ_３を添加したダストとをそれぞれ９００℃で焼結した試験片について圧縮試験およびせん断試験を行った。その結果を表１に示す。

表１から、圧縮強度についてはＣａＣＯ_３を添加したダストが、ダストのみ（試験１）の約５０％低く、剪断力（付着力）については試験２で約３０％、試験３では約２％であった。このことから、ダストにＣａＣＯ_３を添加することにより、ダストの硬化が押さえられ、付着しにくいことが確認できた。

添加するＣａＣＯ_３の粒径は５μｍ〜２０μｍの微粉体が好ましい。また、ＣａＣＯ_３の吹込み添加量は、０．１〜１０ｋｇ／ごみ（ｔ）・時であり、少量で済む。

ＣａＣＯ_３の吹込装置９は、ＣａＣＯ_３吹込ホッパー１０に貯留されたＣａＣＯ_３を切出フィーダ１１で切り出し、窒素ガスで発生ガス管２内へ吹き込む。

図２は本発明において使用するサイクロンの一例を示す断面図である。

図２に示すサイクロン３は、万が一、ダストがサイクロン内および内筒１２に付着しても、ダストを除去することができるようにしたサイクロンである。サイクロン３の上部に設けられた、ダストを除去した排ガスを排出させる内筒１２に外部から振動を与える加振装置１３が設けられている。加振装置１３は、外部から振動を与える振動付与部材がサイクロン３の外筒鉄皮１４に前後進可能に支持され、振動付与部材１５の前進により振動付与部材１５の前端が内筒１２に接触する。たとえば、定期的に外部から振動付与部材１５をハンマーなどで叩くと、サイクロン３の外筒鉄皮１４と、振動付与部材１５を介して内筒１２とに振動が与えられ、ダストが外筒鉄皮１４や内筒１２に付着していた場合にはダストが剥離し落下して除去される。

本発明の方法を実施するための溶融炉プロセスの一部を示す系統図である。 本発明において使用するサイクロンの一例を示す断面図である。 従来の廃棄物溶融炉から燃焼室の一部を示す系統図である。

符号の説明

１：廃棄物溶融炉
２：発生ガス管
３：サイクロン
４：燃焼室
５：ダストホッパー
６：切り出し装置
７：ダスト吹込装置
８：羽口
９：ＣａＣＯ_３添加装置
１０：ＣａＣＯ_３吹込ホッパー
１１：切出フィーダ
１２：内筒
１３：加振装置
１４：外筒鉄皮
１５：振動付与部材

Claims (4)

1. 廃棄物溶融炉から発生するダストを含む排ガスからダストを集塵するサイクロンと前記廃棄物溶融炉とに接続された、前記排ガスをサイクロンへ導入する発生ガス管内に炭酸カルシウムを添加して、前記炭酸カルシウムをダストに混入させてダストの融解、凝固を防止することを特徴とする廃棄物溶融炉の発生ガス管およびサイクロンのダスト付着防止方法。
2. 上記炭酸カルシウムの粒径が５μｍ〜２０μｍである微粉体であることを特徴とする請求項１に記載の廃棄物溶融炉の発生ガス管およびサイクロンのダスト付着防止方法。
3. 廃棄物溶融炉から発生するダストを含む排ガスからダストを集塵するサイクロンと前記廃棄物溶融炉とに接続された、前記排ガスをサイクロンへ導入する発生ガス管に、この発生ガス管内に炭酸カルシウムを添加する炭酸カルシウム添加装置を発生ガス管の上流側に設置したことを特徴とする廃棄物溶融炉の発生ガス管およびサイクロンのダスト付着防止装置。
4. 上記サイクロンにサイクロン内の内筒を振動させる加振装置を設置したことを特徴とする請求項３に記載の廃棄物溶融炉の発生ガス管およびサイクロンのダスト付着防止装置。

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