JP5573581B2 - 廃棄物溶融スラグの水砕装置及び水砕方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、図3に示す従来の溶融スラグ水砕装置の水砕水スラッジ分離槽8では、その底部に堆積した水砕スラグ粒子の全てを排出することは難しく、一部が残留して底部に堆積する量が次第に増大する。すると、水砕水スラッジ分離槽8の有効な深さ、すなわち容量が少なくなるので、水砕水の線速度が増大し、水砕スラグ粒子を十分に沈降させ分離することが次第に困難になる。その結果、水砕水スラッジ分離槽8から水砕水ノズル4に送入される水砕水に水砕スラグ粒子が残留含有されることになり、水砕槽3の水砕水中の浮遊している水砕スラグ粒子がさらに増加する。そのため、水砕槽の水砕水の水質を清浄に維持することができず、溶融スラグを安定して水砕することができなくなり、水砕スラグの品質が低下するという問題が生じる。
廃棄物およびその焼却灰や飛灰には、有害物質、特に重金属類が含まれており、廃棄物や灰を溶融して得られる水砕スラグを土木資材等として利用する際には、水砕スラグから溶出される重金属類の量が基準値以下としなくてはならない旨、規定されている。なお、廃棄物や灰に含まれている重金属類のうち、特に鉛の含有量が多いため、処理の対象になっている重金属類は主として鉛である。
家庭ごみや海産物工場から排出される廃棄物のなかに廃貝殻が多量に含まれることがある。貝殻の主成分は炭酸カルシウム(CaCO3)であり、高温の溶融炉内でCaCO3は脱炭酸されて酸化カルシウムCaOが生成する。溶融スラグとCaOとの反応速度は高くなく、未反応のCaO粒子が溶融炉から水砕槽へ滴下供給されると、当初遊離CaO粒子として水砕水中に浮遊することとなる。
溶融炉から排出される溶融スラグと溶融メタルを水砕水により冷却固化して水砕スラグと水砕メタルを生成する水砕槽と、生成後、水砕槽の水砕水中を降下する水砕スラグと水砕メタルを水砕槽外へ搬出する搬出手段と、水砕槽からオーバーフローさせた水砕水を受け入れ、該水砕水中に浮遊する水砕スラグ粒子を沈降させスラッジとして水砕水から分離する水砕水スラッジ分離槽と、水砕水スラッジ分離槽から水砕スラグ粒子を分離した水砕水を水砕槽に戻す返流経路とを備える水砕装置において、
水砕槽内の搬出手段から離れた水砕水中から抽出された水砕スラグ粒子、鉛含有粒子、遊離CaO粒子を含有の粗粒子を含む水砕水を受け入れ、粗粒子を含む水砕水と粗粒子を含まない水砕水とに分離する湿式サイクロンと、湿式サイクロンから粗粒子を含む水砕水を受け入れ、該粗粒子を沈降させ水砕水から分離する粗粒子沈降槽とを備えていて、
水砕水スラッジ分離槽は湿式サイクロンから粗粒子を含まない水砕水を受け入れ、粗粒子沈降槽からは粗粒子が分離されて該粗粒子を含まなくなった水砕水を受け入れることとすることを特徴とする廃棄物溶融スラグの水砕装置。
溶融炉から排出される溶融スラグと溶融メタルを水砕槽にて水砕水により冷却固化して水砕スラグと水砕メタルを生成し、生成後、水砕槽の水砕水中を降下する水砕スラグと水砕メタルを搬出手段で水砕槽外へ搬出し、水砕水スラッジ分離槽にて水砕槽からオーバーフローさせた水砕水を受け入れ、該水砕水中に浮遊する水砕スラグ粒子を沈降させスラッジとして水砕水から分離し、水砕水スラッジ分離槽から水砕スラグ粒子を分離した水砕水を水砕槽に戻す水砕方法において、
湿式サイクロンにて、水砕槽内の搬出手段から離れた水砕水中から抽出され受け入れた水砕スラグ粒子、鉛含有粒子、遊離CaO粒子を含有の粗粒子を含む水砕水を、粗粒子を含む水砕水と粗粒子を含まない水砕水とに分離し、粗粒子沈降槽にて湿式サイクロンから受け入れた粗粒子を含む水砕水中の粗粒子を沈降させ該水砕水から分離し、水砕水スラッジ分離槽に湿式サイクロンから粗粒子を含まない水砕水を送水し、粗粒子沈降槽からは粗粒子が沈降分離されて該粗粒子を含まなくなった水砕水を送水することを特徴とする廃棄物溶融スラグの水砕方法。
ポンプ10は、水砕槽3内に設置され、水砕槽3内で浮遊している水砕スラグ粒子、鉛含有粒子、遊離CaO粒子等の粗粒子を含む水砕水を水砕槽3から抜き出し湿式サイクロン11へ送る。なお、このポンプ10は、水砕槽3外に設置することも可能である。
湿式サイクロン11は、水砕槽3から送られてくる、浮遊している水砕スラグ粒子、鉛含有粒子、遊離CaO粒子等の粗粒子を含む水砕水を受け入れ、該湿式サイクロン11の遠心力作用により、粗粒子を含む水砕水と粗粒子を含まない水砕水とに分離する。粗粒子を含む水砕水は、粗粒子を含まない水砕水よりも比重が大きいために遠心力を受けて半径外方に移動しながら降下して、下部排出口11Bから粗粒子沈降槽12へ送られ、粗粒子を含まない水砕水が上部排出口11Cから上記管路6Aに送られる。
粗粒子沈降槽12は、湿式サイクロン11の下部排出口11Bから、粗粒子を含む水砕水を受け入れ、粗粒子を沈降させ水砕水から分離するようになっている。
この水砕水スラッジ分離槽8については、図3に示される従来装置にてすでに説明済みであるが、ここで、本実施形態で設けられた湿式サイクロン11との関係での説明を加えておく。
3 水砕槽
3B 搬出手段(コンベア)
8 水砕水スラッジ分離槽
10 水中ポンプ
11 湿式サイクロン
12 粗粒子沈降槽
Claims (4)
- 溶融炉から排出される溶融スラグと溶融メタルを水砕水により冷却固化して水砕スラグと水砕メタルを生成する水砕槽と、生成後、水砕槽の水砕水中を降下する水砕スラグと水砕メタルを水砕槽外へ搬出する搬出手段と、水砕槽からオーバーフローさせた水砕水を受け入れ、該水砕水中に浮遊する水砕スラグ粒子を沈降させスラッジとして水砕水から分離する水砕水スラッジ分離槽と、水砕水スラッジ分離槽から水砕スラグ粒子を分離した水砕水を水砕槽に戻す返流経路とを備える水砕装置において、
水砕槽内の搬出手段から離れた水砕水中から抽出された水砕スラグ粒子、鉛含有粒子、遊離CaO粒子を含有の粗粒子を含む水砕水を受け入れ、粗粒子を含む水砕水と粗粒子を含まない水砕水とに分離する湿式サイクロンと、湿式サイクロンから粗粒子を含む水砕水を受け入れ、該粗粒子を沈降させ水砕水から分離する粗粒子沈降槽とを備えていて、
水砕水スラッジ分離槽は湿式サイクロンから粗粒子を含まない水砕水を受け入れ、粗粒子沈降槽からは粗粒子が分離されて該粗粒子を含まなくなった水砕水を受け入れることとすることを特徴とする廃棄物溶融スラグの水砕装置。 - 湿式サイクロンは、粒径範囲が10〜600μmの粗粒子を含む水砕水と該粗粒子を含まない水砕水とに分離可能であることとする請求項1に記載の廃棄物溶融スラグの水砕装置。
- 溶融炉から排出される溶融スラグと溶融メタルを水砕槽にて水砕水により冷却固化して水砕スラグと水砕メタルを生成し、生成後、水砕槽の水砕水中を降下する水砕スラグと水砕メタルを搬出手段で水砕槽外へ搬出し、水砕水スラッジ分離槽にて水砕槽からオーバーフローさせた水砕水を受け入れ、該水砕水中に浮遊する水砕スラグ粒子を沈降させスラッジとして水砕水から分離し、水砕水スラッジ分離槽から水砕スラグ粒子を分離した水砕水を水砕槽に戻す水砕方法において、
湿式サイクロンにて、水砕槽内の搬出手段から離れた水砕水中から抽出され受け入れた水砕スラグ粒子、鉛含有粒子、遊離CaO粒子を含有の粗粒子を含む水砕水を、粗粒子を含む水砕水と粗粒子を含まない水砕水とに分離し、粗粒子沈降槽にて湿式サイクロンから受け入れた粗粒子を含む水砕水中の粗粒子を沈降させ該水砕水から分離し、水砕水スラッジ分離槽に湿式サイクロンから粗粒子を含まない水砕水を送水し、粗粒子沈降槽からは粗粒子が沈降分離されて該粗粒子を含まなくなった水砕水を送水することを特徴とする廃棄物溶融スラグの水砕方法。 - 湿式サイクロンにて粒径範囲が10〜600μmの粗粒子を含む水砕水と該粗粒子を含まない水砕水とに分離することとする請求項3に記載の廃棄物溶融スラグの水砕方法。
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