JP2004024982A - 溶融排ガスの処理方法 - Google Patents

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Yoshiaki Shimizu
清水 由章
Shigeyoshi Tagashira
田頭 成能
Shoji Umezono
梅園 庄治
Kenzo Ogura
小倉 賢蔵
Teppei Nakajima
中島 鉄平
Shigeo Yamagata
山形 成生
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Abstract

【課題】都市ごみ及び/又は産業廃棄物の焼却残渣を溶融炉に供給し溶融処理する際に発生する溶融排ガスを処理するに際し、発生するダストの量が少なく、そのダストの重金属固定処理に必要な薬剤が少なくてすみ、そのダストの重金属固定処理が容易にでき、かつ、溶融排ガス中の有害成分を極低濃度とすることができる溶融排ガスの処理方法を提供する。
【解決手段】都市ごみ及び/又は産業廃棄物の焼却残渣を溶融炉に供給し溶融処理する際に発生する溶融排ガスをバグフィルタに通した後、スクラバーに通して処理する溶融排ガスの処理方法であって、前記バグフィルタにアルカリ薬剤(消石灰等)を前記焼却残渣1tあたり10〜100kgの量で投入することを特徴とする溶融排ガスの処理方法。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融排ガスの処理方法に関する技術分野に属するものであり、詳細には、都市ごみ及び/又は産業廃棄物の焼却残渣を溶融炉に供給し溶融処理する際に発生する溶融排ガス(以下、溶融炉排ガスともいう)の処理方法に関する技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
都市ごみや産業廃棄物などの焼却炉から排出される焼却残渣(主灰、飛灰、および、これらの混合物等)は、従来埋立処分されてきたが、埋立用地のひっ迫に伴って、有害物質の分解・固定化、ならびに焼却残渣の資源化を目指して溶融処理技術が普及している。この溶融処理技術において溶融炉が用いられる。
【0003】
焼却残渣の主成分は、酸化ケイ素、酸化カルシウムおよびアルミナであるが、その他に鉛、水銀、カドミウムなどの有害重金属類と、塩素、硫黄化合物を含んでいる。
【0004】
鉛、水銀、カドミウムなどの重金属類は、高温にて揮発しやすい性質を有するため、溶融炉に投入されると、蒸発・ガス化して溶融炉排ガス(以下、溶融排ガスともいう)に移行する。
【0005】
塩素、硫黄化合物は、溶融炉内の高温により塩化水素、硫黄酸化物といった酸性ガスとなり、これも溶融炉排ガスに移行する。
【0006】
溶融炉排ガスが溶融炉より抜き出された後に減温されると、高温にてガス化していた鉛、水銀、カドミウムなどの重金属類は、再度固化してダストとなる。溶融排ガスの処理システムには、このダストと酸性ガス両方の除去が求められることとなる。
【0007】
溶融排ガス中ダストの処理方法としては、バグフィルタ、電気集じん器、サイクロン等が公知である。鉛は両性金属とよばれ、中性域では安定であるが、酸性やアルカリ性では可溶性の化合物を形成して溶出することがあり、溶融排ガス由来のダストはpHが4〜5程度の酸性を示すことが多いことから、鉛をはじめとする重金属類の溶出が問題となることがある。
【0008】
酸性ガスの処理方法としては、バグフィルタへの消石灰吹き込みや湿式スクラバによる方法が知られている。
【0009】
バグフィルタへの消石灰吹き込みによる方法は溶融排ガス中のダスト(以下、溶融飛灰ともいう)と酸性ガスを一度に除去できる利点を有するが、酸性ガスを高効率で除去する場合は、消石灰を多量に吹き込む必要がある。このことから、バグフィルタから排出されるダストは、過剰消石灰によりpH12以上のアルカリ性となり、やはり鉛の溶出が問題化することが多かった。また、多量の消石灰により、ダストそのものが増量するという問題もある。
【0010】
なお、バグフィルタから排出されたダストは、最終的には廃棄(埋立)処分されるが、鉛等の重金属類の溶出を抑制するための処理(以下、重金属固定処理という)をし、重金属類の溶出性を低減させてから、埋立処分される。この重金属固定処理は、通常、ダストに水と重金属固定材(薬剤)を添加して混合する方法により行われる。通常、この水の量は約20質量%、重金属固定材の量は5質量%である。このとき、重金属固定処理に必要な薬剤が少なく、その処理が容易にできることが望まれる。即ち、バグフィルタから排出されるダストは、重金属固定処理に必要な薬剤が少なくてすみ、重金属固定処理が容易なダストであることが望まれる。重金属固定処理に必要な薬剤が多い場合や、その処理が困難である場合は、それ自体が新たな問題点となり、支障がある。
【0011】
溶融炉排ガスを処理する方法は、これまでにも種々の方法が提示されており、代表的なものとして、特開2001−311515 号公報、特開2001−330237 号公報、特開平10−225612号公報、特開2000−202395号公報に記載されたものなどが知られている。
【0012】
これらの方法の中、特開2001−311515 号公報に記載の方法は、溶融炉排ガスをバグフィルタにて処理した後、スクラバにより処理するものである。この方法では、バグフィルタへの消石灰添加に言及があるものの、その量については記載がなく、消石灰添加量が少ない場合あるいは多い場合は、重金属固定処理に多量の薬剤が必要で且つ重金属固定処理が困難なダストが発生する可能性がある。
【0013】
特開2001−330237 号公報に記載の方法は、溶融炉排ガスを第1のバグフィルタにて処理した後、さらに第2のバグフィルタにより処理するものである。この方法では、第1のバグフィルタへの消石灰添加に言及がなく、重金属固定処理に多量の薬剤が必要で且つ重金属固定処理が困難なダストが発生する可能性がある。また、酸性ガスの高効率除去を行う場合は、消石灰添加量が多くなり、第2のバグフィルタからの発生ダストが多量となる問題点がある。
【0014】
特開平10−225612号公報に記載の方法は、上記特開2001−330237 号公報記載の方法と同じく、溶融炉排ガスを第1のバグフィルタにて処理した後、さらに第2のバグフィルタにより処理するものである。上記特開2001−330237 号公報記載の方法の場合と同様の問題点がある。
【0015】
特開2000−202395号公報に記載の方法は、溶融炉排ガスを第1のバグフィルタにて処理した後、さらに第2のバグフィルタにより処理するものである。この方法の特徴は、第1のバグフィルタへの消石灰添加を行わず、第2のバグフィルタへ消石灰を添加して回収した反応アルカリ灰により、第1のバグフィルタから発生した溶融飛灰(ダスト)のpH調整を行うことである。この方法においても、第1のバグフィルタへの消石灰添加には言及がなく、溶融飛灰(ダスト)と反応アルカリ灰を個別に貯留・運搬・混合する設備が必要となる。また、酸性ガスの高効率除去を行う場合は、消石灰添加量が多くなり、第2のバグフィルタからの発生ダストが多量となる問題点がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、都市ごみ及び/又は産業廃棄物の焼却残渣を溶融炉に供給し溶融処理する際に発生する溶融排ガスを処理するに際し、発生するダストの量が少なく、そのダストの重金属固定処理に必要な薬剤が少なくてすみ、そのダストの重金属固定処理が容易にでき、かつ、溶融排ガス中の有害成分(鉛等の重金属類、酸性ガス)を極低濃度とすることができる溶融排ガスの処理方法を提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る溶融排ガスの処理方法は、請求項1〜2記載の溶融排ガスの処理方法(第1発明〜第2発明に係る溶融排ガスの処理方法)としており、それは次のような構成としたものである。
【0018】
即ち、請求項1記載の溶融排ガスの処理方法は、都市ごみ及び/又は産業廃棄物の焼却残渣を溶融炉に供給し溶融処理する際に発生する溶融排ガスをバグフィルタに通した後、スクラバーに通して処理する溶融排ガスの処理方法であって、前記バグフィルタにアルカリ薬剤を前記焼却残渣1tあたり10〜100kgの量で投入することを特徴とする溶融排ガスの処理方法である(第1発明)。
【0019】
請求項2記載の溶融排ガスの処理方法は、前記アルカリ薬剤が消石灰である請求項1記載の溶融排ガスの処理方法である(第2発明)。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は例えば次のようにして実施する。
都市ごみ及び/又は産業廃棄物の焼却残渣を溶融炉に供給し溶融処理する際に発生する溶融排ガスをバグフィルタに通した後、スクラバーに通して処理する。このとき、前記バグフィルタにアルカリ薬剤を前記焼却残渣1t(トン)あたり10〜100kgの量で投入する。即ち、前記溶融炉に供給された焼却残渣をAトンとすると、バグフィルタにアルカリ薬剤をA×10〜A×100kg投入する。例えば、前記溶融炉に供給された焼却残渣が1tの場合、バグフィルタにアルカリ薬剤を10〜100kg投入する。前記アルカリ薬剤としては、例えば消石灰を用いる。
【0021】
このような形態で本発明が実施される。以下、本発明について主にその作用効果を説明する。
【0022】
本発明に係る溶融排ガスの処理方法は、前述の如く、都市ごみ及び/又は産業廃棄物の焼却残渣を溶融炉に供給し溶融処理する際に発生する溶融排ガスをバグフィルタに通した後、スクラバーに通して処理する溶融排ガスの処理方法であって、前記バグフィルタにアルカリ薬剤を前記焼却残渣1tあたり10〜100kgの量で投入するようにしている。
【0023】
このようにバグフィルタにアルカリ薬剤を焼却残渣1tあたり10〜100kgの量で投入すると、重金属固定処理に必要な薬剤が少なくてすみ且つ重金属固定処理が容易にできるダストが発生する。即ち、バグフィルタから排出されるダストは、重金属固定処理に必要な薬剤が少なくてよく且つ重金属固定処理が容易にできるダストである。しかも、上記アルカリ薬剤の投入量は、このようなダストを発生させるのに適合した量となっているので、過剰でなく、このため発生するダストの量が少ない。従って、バグフィルタから排出されるダストは、量が少なく、また、その重金属固定処理に際し、必要な薬剤が少なくてよく、且つ、その重金属固定処理が容易にできる。
【0024】
上記バグフィルタにおいては、溶融排ガス中の鉛等の重金属類(ダスト状態)が上記ダストに含まれた状態で除去される。即ち、上記ダストがバグフィルタから排出されて、溶融排ガスと分離され、この溶融排ガス中の重金属類の濃度が極めて低くなる。ここで、溶融排ガス中の酸性ガスも、ある程度は除去され、上記アルカリ薬剤の投入量(焼却残渣1tあたり10〜100kg)の範囲内においてアルカリ薬剤の投入量が多いほど酸性ガスの除去率が高くなるが、アルカリ薬剤の投入量が少ない場合には酸性ガスは完全には除去されず、溶融排ガス中に残留する。
【0025】
本発明に係る溶融排ガスの処理方法においては、上記バグフィルタから出た溶融排ガスは、スクラバーに入る。このスクラバーにおいて、溶融排ガス中の酸性ガスが除去される。即ち、上記バグフィルタから出た溶融排ガス中には前記の如く酸性ガスが残留する場合があるが、その酸性ガスは上記スクラバーにおいて除去され、溶融排ガスと分離され、この溶融排ガス中の酸性ガスの濃度を極めて低くすることができる。
【0026】
従って、本発明に係る溶融排ガスの処理方法によれば、都市ごみ及び/又は産業廃棄物の焼却残渣を溶融炉に供給し溶融処理する際に発生する溶融排ガスを処理するに際し、発生するダストの量が少なく、そのダストの重金属固定処理に必要な薬剤が少なくてすみ、そのダストの重金属固定処理が容易にでき、かつ、溶融排ガス中の有害成分(鉛等の重金属類、酸性ガス)を極低濃度とすることができる。
【0027】
本発明に係る溶融排ガスの処理方法において、バグフィルタに投入するアルカリ薬剤の量を焼却残渣(溶融炉に供給され溶融処理される焼却残渣)1tあたり10〜100kgの量としているのは、10kg未満にすると、バグフィルタから排出されるダストは、重金属固定処理に必要な薬剤が少なくてすまなくなるという不具合、及び/又は、重金属固定処理が容易にできなくなるという不具合があり、一方、100kg超にすると、上記10kg未満の場合と同様の不具合があると共に、バグフィルタから排出されるダストの量が多くなり、ダスト発生量を充分に少なくすることができないという不具合があるからである。
【0028】
本発明は、前述の本発明の目的を達成すべく、種々の条件で実験を重ね、得られたデータを解析するという研究を鋭意行い、その結果、得られた知見に基づき完成されたものである。即ち、都市ごみ及び/又は産業廃棄物の焼却残渣を溶融炉に供給し溶融処理する際に発生する溶融排ガスをバグフィルタに通した後、スクラバーに通して処理するに際し、前記バグフィルタにアルカリ薬剤を前記焼却残渣1tあたり10kg未満あるいは100kg超の量で投入すると、前述のような不具合があるが、前記焼却残渣1tあたり10〜100kgの量で投入すると、発生するダストの量が少なく、そのダストの重金属固定処理に必要な薬剤が少なくてすみ、そのダストの重金属固定処理が容易にでき、かつ、溶融排ガス中の有害成分(鉛等の重金属類、酸性ガス)を極低濃度とすることができるようになるという知見を得、かかる知見に基づき完成されたものである。
【0029】
前記バグフィルタに投入するアルカリ薬剤の量を焼却残渣(溶融炉に供給され溶融処理される焼却残渣)1tあたり20〜90kgの量とすると、さらに、ダストの重金属固定処理に必要な薬剤の量が少なくてすみ、ダストの重金属固定処理が容易にできるようになる。このような薬剤の必要量をさらに少なくしたり、重金属固定処理をより容易にできるようにするためには、前記アルカリ薬剤の量を焼却残渣1tあたり30〜80kgの量とすることが望ましく、40〜60kgの量とすることは更に望ましい。
【0030】
前記バグフィルタに投入するアルカリ薬剤としては、その種類は特には限定されず、種々のものを用いることができ、例えば消石灰を用いることができる(第2発明)。この他、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、重曹、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等を用いることができる。消石灰は、コスト安く、ごみ焼却施設にて一般的に用いられている。
【0031】
前記溶融炉としては、その種類は特には制限されず、種々のものを用いることができ、例えば、プラズマ式、アーク式、抵抗式、燃料式のもの等を用いることができる。
【0032】
前記バグフィルタとしては、その種類は特には制限されず、種々のものを用いることができ、例えば、パルス式、逆洗式のもの等を用いることができる。
【0033】
前記スクラバーとしては、その種類は特には制限されず、種々のものを用いることができ、例えば、NaOH中和式、 Ca(OH)中和式のもの等を用いることができる。
【0034】
なお、バグフィルタにアルカリ薬剤を投入することは、バグフィルタにアルカリ薬剤投入口を設けること等によりアルカリ薬剤を直接バグフィルタに投入することには限定されず、何かを介しても結果的にアルカリ薬剤がバグフィルタに入ることも含まれており、例えば、溶融炉とバグフィルタとの間の溶融排ガスの送給菅内(流路)へアルカリ薬剤を導入して結果的にバグフィルタに導入させる方法を用いることもできる。通常、後者の溶融排ガスの送給菅内への導入により行う。
【0035】
バグフィルタへのアルカリ薬剤の投入は、通常、溶融排ガスをバグフィルタに導入しながらアルカリ薬剤を連続的に投入する方法により行う。
【0036】
バグフィルタに投入されたアルカリ薬剤は、焼却残渣に触れるのではなく、溶融排ガスと触れるが、バグフィルタに投入するアルカリ薬剤の量は、焼却残渣(溶融炉に供給され溶融処理される焼却残渣)を基準とし、この1tに対する量で表し、焼却残渣1tあたり10〜100kgとした。
【0037】
【実施例】
本発明の実施例および比較例を以下説明する。なお、本発明は本実施例に限定されるものではない。比較例は本発明の実施例に対する比較のための例であり、従来技術の例に限定されるものではない。
【0038】
図1に実施例および比較例に係る溶融排ガスの処理に用いた設備を示す。この設備は、都市ごみ及び/又は産業廃棄物の焼却残渣を溶融処理するプラズマ溶融設備と、このプラズマ溶融設備から発生する溶融排ガスを処理する設備とを有するものである。
【0039】
プラズマ溶融設備は、溶融炉本体1にトランスファートーチ2またはノントランスファートーチ3を挿入することができ、これらのトーチへ電力を供給する電源装置4、空気を供給するコンプレッサ5、ならびに、空気量を制御する調節弁6および空気流量計7が具備されている。都市ごみ及び/又は産業廃棄物の焼却残渣(灰)は、灰供給機50によって溶融炉本体1へ供給・溶融され、内部に溶融浴8を形成する。溶融スラグ9は、この溶融浴8からオーバーフローして排出される。また、溶融浴底レベルには、溶融メタルを排出するためのメタル排出孔10と開孔機11が設置されている。
【0040】
溶融炉から発生する排ガス(溶融排ガス)12は、減温塔13にて150 ℃〜240 ℃に温度調整された後、バグフィルタ14に入る。このバグフィルタ14の前段(手前)には消石灰切出装置15が設けられており、ここから任意量の消石灰を溶融排ガス送給菅を介してバグフィルタ14に投入することができる。バグフィルタ14にて捕集されたダストは、ダストコンテナ16に排出され、ダスト計量器17にて重量測定される。バグフィルタ14にてダストを除去された排ガスは、湿式スクラバ18にて酸性ガス(塩化水素、硫黄酸化物)を除去した後に大気へ放出される。なお、バグフィルタ14としては、パルス式のものを用いた。湿式スクラバ18としては、NaOH中和式のものを用いた。
【0041】
排ガス中の塩化水素と硫黄酸化物の測定装置は、バグフィルタ出口19と湿式スクラバ出口20に設置した。
【0042】
このような設備を用い、都市ごみ及び/又は産業廃棄物の焼却残渣(灰)を溶融炉1に供給し溶融処理する際に発生する溶融排ガスをバグフィルタ14に通した後、湿式スクラバー18に通した。このとき、溶融排ガスをバグフィルタ14に導入させながら、バグフィルタ14にアルカリ薬剤として消石灰を投入した。この消石灰の投入に際し、消石灰の投入量(kg/焼却残渣1tあたり)をパラメータとして変化させた。そして、バグフィルタ14から排出されたダストについて、水:約20質量%と重金属固定材(薬剤):5質量%を添加する重金属固定処理をした後、鉛の溶出試験を行った。また、バグフィルタ14出口での排ガス中の塩化水素濃度の測定を行った。更に、湿式スクラバー18から排出された排ガスについて、塩化水素濃度および硫黄酸化物濃度の測定を行った。なお、鉛の溶出試験は、試験材(上記重金属固定処理後のダスト)を10倍量の水にて6時間抽出すること(環境庁告示13号法)により、行った。
【0043】
この結果を試験運転条件とともに表1に示す。トーチとしては、トランスファートーチ2の方を用いた。この表1において、消石灰添加量は、焼却残渣1tあたりの消石灰の投入量である。ダスト鉛溶出濃度は、前記試験材(重金属固定処理後のダスト)の溶出試験で溶出した鉛の量(mg/試験液1リットルあたり)である。
【0044】
図2に、バグフィルタ14に投入した消石灰添加量(kg/焼却残渣1tあたり)と、バグフィルタ14から排出されたダストについてのダスト鉛溶出濃度(重金属固定処理後のダストの鉛溶出性)との関係を、まとめたものを示す。
【0045】
図2からわかるように、焼却残渣(灰)1tあたりの消石灰添加量が10kg未満の場合は、ダスト鉛溶出濃度が高く、多量の鉛が溶出するが、10kg以上になると、基準値[法律で定められている埋立処分基準(上限値)]の0.3mg/L(リットル)を下回り、必要とされる値を満たしている。さらに消石灰添加量を増加させ、100kgを超えると再度ダスト鉛溶出濃度が高くなり、鉛溶出量が増加している。特に、消石灰添加量:110kg超では、ダスト鉛溶出濃度:0.3mg/L超となり、消石灰添加量の増大に伴ってダスト鉛溶出濃度が増大している。これは過剰の消石灰によりダストがアルカリ化したため、前述の如く両性金属の鉛が溶出したものと考えられる。
【0046】
図3に、バグフィルタ14に投入した消石灰添加量(kg/焼却残渣1tあたり)と、ダスト発生量(バグフィルタ14からのダストの排出量)、バグフィルタ出口19での排ガス中の塩化水素濃度、及び、湿式スクラバ出口20での排ガス中の塩化水素濃度との関係を示す。図3からわかるように、消石灰添加量の増大に伴い、バグフィルタ出口19での排ガス中の塩化水素濃度は低くなるが、ダスト発生量は増大していく傾向がある。消石灰添加量が少ない場合、バグフィルタ出口19での排ガス中の塩化水素濃度は非常に高くなるにもかかわらず、その後の湿式スクラバ出口20での排ガス中の塩化水素濃度は充分に低く、安定して20ppm以下になる。なお、消石灰添加量が多い場合、バグフィルタ出口19での排ガス中の塩化水素濃度も低く、その後の湿式スクラバ出口20での排ガス中の塩化水素濃度も充分に低く、安定して20ppm以下になる。
【0047】
従って、バグフィルタ14への消石灰の投入量は10〜100kg(焼却残渣1tあたり)とするのがよく、そうすることによって、ダスト鉛溶出濃度(重金属固定処理後のダストの鉛溶出性)を充分に低く(0.3mg/Lより少なく)することができ、また、スクラバ出口20での排ガス中の酸性ガスを極低濃度(20ppm以下)とすることができる。同時に、バグフィルタ14での消石灰の投入量が過剰にならず、ダスト発生量を抑えることができる。
【0048】
このように、バグフィルタ14への消石灰の投入量が10〜100kg(焼却残渣1tあたり)の場合には、バグフィルタ14からの排出ダストを重金属固定処理する際の重金属固定材(薬剤)の添加量は5質量%でよく、これによりダスト鉛溶出濃度(重金属固定処理後のダストの鉛溶出性)を0.3mg/L未満とすることができる。
【0049】
これに対して、バグフィルタ14への消石灰の投入量が10kg未満の場合には、重金属固定処理の際の重金属固定材(薬剤)の添加量は5質量%では不充分であり、ダスト鉛溶出濃度を0.3mg/L以下とすることが難しく、ダスト鉛溶出濃度を確実に0.3mg/L以下とするためには、重金属固定処理の際の重金属固定材の添加量は5質量%よりも多くする必要があり、消石灰の投入量が少なくなるに伴って重金属固定材の添加量を多くする必要があると共に、重金属固定処理が困難となる。例えば、消石灰の投入量が5kgの場合、重金属固定材の添加量を25質量%とする必要がある。
【0050】
バグフィルタ14への消石灰の投入量が100kg超の場合にも、重金属固定処理時の際の重金属固定材の添加量は5質量%では不充分であり、ダスト鉛溶出濃度を0.3mg/L以下とすることが難しく、ダスト鉛溶出濃度を確実に0.3mg/L以下とするためには、重金属固定処理の際の重金属固定材の添加量は5質量%よりも多くする必要があり、消石灰の投入量が多くなるに伴って重金属固定材の添加量を多くする必要があると共に、重金属固定処理が困難となり、また、発生するダストの量も多くなる。例えば、消石灰の投入量が130kgの場合、重金属固定材の添加量を30質量%とする必要がある。
【0051】
以上のことは、バグフィルタへの消石灰の投入量を10〜100kg(焼却残渣1tあたり)とすることによって、発生するダストの量が少なく、そのダストの重金属固定処理に必要な薬剤が少なくてすみ、そのダストの重金属固定処理が容易にでき、かつ、溶融排ガス中の有害成分(鉛等の重金属類、酸性ガス)を極低濃度とすることができることを示している。
【0052】
なお、上記実施例および比較例においては、バグフィルタ14に投入するアルカリ薬剤として消石灰を用いたが、これに代えて炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、重曹を用いた場合も上記実施例および比較例の場合と同様の傾向の結果が得られる。
【0053】
上記実施例および比較例においては、バグフィルタ14としてパルス式を用いたが、これに代えて逆洗浄式を用いた場合も上記実施例および比較例の場合と同様の傾向の結果が得られる。
【0054】
上記実施例および比較例においては、湿式スクラバ18としてNaOH中和式を用いたが、これに代えて Ca(OH)中和式を用いた場合も上記実施例および比較例の場合と同様の傾向の結果が得られる。
【0055】
上記実施例および比較例においては、プラズマ溶融炉1のトーチとしてトランスファートーチ2を用いたが、これに代えてノントランスファートーチ3を用いた場合も上記実施例および比較例の場合と同様の傾向の結果が得られる。
【0056】
上記実施例および比較例においては、溶融炉としてはプラズマ溶融炉を用いたが、このプラズマ溶融炉に代えてアーク式や抵抗式あるいは燃料式の溶融炉を用いた場合も上記実施例および比較例の場合と同様の傾向の結果が得られる。
【0057】
【表1】
Figure 2004024982
【0058】
【発明の効果】
本発明に係る溶融排ガスの処理方法によれば、都市ごみ及び/又は産業廃棄物の焼却残渣を溶融炉に供給し溶融処理する際に発生する溶融排ガスを処理するに際し、発生するダストの量が少なく、そのダストの重金属固定処理に必要な薬剤が少なくてすみ、そのダストの重金属固定処理が容易にでき、かつ、溶融排ガス中の有害成分(鉛等の重金属類、酸性ガス)を極低濃度とすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例および比較例に係る溶融排ガスの処理に用いた設備の概要を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例および比較例に係る消石灰添加量とダスト鉛溶出濃度との関係を示す図である。
【図3】本発明の実施例および比較例に係る消石灰添加量とダスト発生量および塩化水素濃度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1・・・プラズマ溶融炉、 2・・・トランスファートーチ、3・・・ノントランスファートーチ、 4・・・プラズマ電源装置、5・・・空気圧縮機、 6・・・空気調節弁、 7・・・空気流量計、8・・・スラグ浴、 9・・・溶融スラグ、 10・・・メタル排出孔、11・・・開孔機、 12・・・排ガス、 13・・・減温塔、14・・・バグフィルタ、 15・・・消石灰切出装置、16・・・ダストコンテナ、 17・・・ダスト計量器、18・・・湿式スクラバ、 19・・・バグフィルタ出口排ガス測定器、20・・・湿式スクラバ出口排ガス測定器、 50・・・灰供給機。

Claims (2)

  1. 都市ごみ及び/又は産業廃棄物の焼却残渣を溶融炉に供給し溶融処理する際に発生する溶融排ガスをバグフィルタに通した後、スクラバーに通して処理する溶融排ガスの処理方法であって、前記バグフィルタにアルカリ薬剤を前記焼却残渣1tあたり10〜100kgの量で投入することを特徴とする溶融排ガスの処理方法。
  2. 前記アルカリ薬剤が消石灰である請求項1記載の溶融排ガスの処理方法。
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