JP2009112150A - 電力装置およびその制御方法並びに車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】バッテリに過大な電力が入力されるのを抑制する。
【解決手段】冷間時にバッテリの充放電電力Wbが制御用入力制限Win未満のときには(S230,S240)、冷間時でないときや冷間時でバッテリの充放電電力Wbが制御用入力制限Win以上のときに比して高い電圧を高電圧系の目標電圧VH*に設定すると共に(S260)、高電圧系の電圧VHが目標電圧VH*となるよう昇圧回路を制御する(S270)。この状態でバッテリの充電が行なわれるから、高電圧系に取り付けられたコンデンサにより大きなエネルギを蓄えることができ、冷間時にエンジンから予期しない大きなパワーが出力されたときでも、バッテリに過大な電力が入力されるのを抑制することができる。
【選択図】図6
【解決手段】冷間時にバッテリの充放電電力Wbが制御用入力制限Win未満のときには(S230,S240)、冷間時でないときや冷間時でバッテリの充放電電力Wbが制御用入力制限Win以上のときに比して高い電圧を高電圧系の目標電圧VH*に設定すると共に(S260)、高電圧系の電圧VHが目標電圧VH*となるよう昇圧回路を制御する(S270)。この状態でバッテリの充電が行なわれるから、高電圧系に取り付けられたコンデンサにより大きなエネルギを蓄えることができ、冷間時にエンジンから予期しない大きなパワーが出力されたときでも、バッテリに過大な電力が入力されるのを抑制することができる。
【選択図】図6
Description
本発明は、電力装置およびその制御方法並びに車両に関する。
従来、この種の電力装置としては、エンジンと、第1のモータジェネレータ(MG1)と、エンジンとモータジェネレータMG1と駆動軸とに接続された動力分割機構と、駆動軸に接続された第2のモータジェネレータMG2と、モータジェネレータMG1,MG2を駆動する二つのインバータと、充放電するメインバッテリと、メインバッテリからの電力をその電圧を変換して二つのインバータに供給する昇圧コンバータと、二つのインバータが共用する電力ラインとアースラインとの間に設けられたコンデンサと、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、メインバッテリを充電する場合、エンジンからの駆動力をモータジェネレータMG1の回転駆動によって電力に変換してメインバッテリを充電している。
特開2007−129799
こうした電力装置では、冷間時には、空気密度が大きくなるため、標準気温(例えば25度)のときと同様にエンジンを制御すると、予期しない大きなパワーがエンジンが出力されることによってモータジェネレータMG1によって予期しない大きな電力が発電され、その大きな電力がバッテリに充電される場合が生じ得る。
本発明の電力装置およびその制御方法並びに車両は、蓄電装置に過大な電力が入力されるのを抑制することを主目的とする。
本発明の電力装置およびその制御方法並びに車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の電力装置は、
内燃機関と、該内燃機関からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能な発電機と、を有する発電手段と、
充放電可能な蓄電手段と、
前記蓄電手段が接続された低電圧系と前記発電機の駆動回路が接続された高電圧系とに接続され、前記高電圧系の電圧を調整する高電圧系電圧調整手段と、
前記高電圧系に接続されたコンデンサと、
冷間時に前記蓄電手段に充電する冷間充電時には、前記高電圧系の電圧である高電圧系電圧が前記冷間時でないときに前記蓄電手段に充電する非冷間充電時よりも高い電圧となるよう前記高電圧系電圧調整手段を制御すると共に前記蓄電手段への充電が行なわれるよう前記内燃機関と前記発電機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
内燃機関と、該内燃機関からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能な発電機と、を有する発電手段と、
充放電可能な蓄電手段と、
前記蓄電手段が接続された低電圧系と前記発電機の駆動回路が接続された高電圧系とに接続され、前記高電圧系の電圧を調整する高電圧系電圧調整手段と、
前記高電圧系に接続されたコンデンサと、
冷間時に前記蓄電手段に充電する冷間充電時には、前記高電圧系の電圧である高電圧系電圧が前記冷間時でないときに前記蓄電手段に充電する非冷間充電時よりも高い電圧となるよう前記高電圧系電圧調整手段を制御すると共に前記蓄電手段への充電が行なわれるよう前記内燃機関と前記発電機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の電力装置では、冷間時に蓄電手段に充電する冷間充電時には、発電機の駆動回路およびコンデンサが接続された高電圧系の電圧である高電圧系電圧が冷間時でないときに蓄電手段に充電する非冷間充電時よりも高い電圧となるよう高電圧系電圧調整手段を制御すると共に蓄電手段への充電が行なわれるよう内燃機関と発電機とを制御する。これにより、冷間充電時に、発電機によって発電された電力をよりコンデンサに蓄えることができる。また、冷間充電時に、高電圧系の電圧を高くするために、より多くのエネルギを消費させることができる。これらの結果、内燃機関から予期しない大きなパワーが出力されて発電機によって大きな電力が発電されるときでも、蓄電手段に過大な電力が入力されるのを抑制することができる。
こうした本発明の電力装置において、前記制御手段は、前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段に充電してもよい制御用の許容電力である制御用入力制限を設定し、前記冷間充電時であって前記蓄電手段に入力される電力である入力電力が前記設定された制御用入力制限を超えている電力超過時に、前記高電圧系電圧が前非冷間充電時よりも高い電圧となるよう前記高電圧系電圧調整手段を制御する手段である、ものとすることもできる。
この電力超過時に高電圧系電圧が冷間充電時よりも高い電圧となるよう高電圧系電圧調整手段を制御する態様の本発明の電力装置において、前記制御手段は、前記電力超過時には、前記入力電力と前記設定された制御用入力制限とに基づいて前記高電圧系の目標電圧を設定すると共に前記高電圧系電圧が該設定した目標電圧となるよう前記高電圧系電圧調整手段を制御する手段であるものとすることもできる。この場合、前記制御手段は、前記電力超過時には、前記入力電力と前記設定された制御用入力制限との偏差が打ち消されるよう前記目標電圧を設定する手段であるものとすることもできる。また、前記制御手段は、前記電力超過時には、前記発電機の駆動状態に基づいて前記高電圧系の基本電圧を設定し、該設定した基本電圧と前記入力電力と前記設定された制御用入力制限とに基づいて前記目標電圧を設定する手段であるものとすることもできる。
本発明の電力装置において、前記冷間時は、外気の温度が所定温度以下のときであるものとすることもできるし、前記蓄電手段の蓄電量が所定蓄電量以下であるときに前記設定された制御用入力制限が所定電力以下のときであるものとすることもできる。
また、本発明の電力装置において、前記高電圧系電圧調整手段は、昇圧コンバータであるものとすることもできる。また、前記駆動軸と前記出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段を備える手段であるものとすることもできる。
本発明の車両は、上述のいずれかの態様の本発明の電力装置、即ち、基本的には、内燃機関と該内燃機関からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能な発電機とを有する発電手段と、充放電可能な蓄電手段と、前記蓄電手段が接続された低電圧系と前記発電機の駆動回路が接続された高電圧系とに接続され前記高電圧系の電圧を調整する高電圧系電圧調整手段と、前記高電圧系に接続されたコンデンサと、冷間時に前記蓄電手段に充電する冷間充電時には、前記高電圧系の電圧である高電圧系電圧が前記冷間時でないときに前記蓄電手段に充電する非冷間充電時よりも高い電圧となるよう前記高電圧系電圧調整手段を制御すると共に前記蓄電手段への充電が行なわれるよう前記内燃機関と前記発電機とを制御する制御手段と、を備える電力装置を搭載することを要旨とする。
この本発明の車両は、上述のいずれかの態様の本発明の電力装置を搭載するから、本発明の電力装置が奏する効果、例えば、蓄電手段に過大な電力が入力されるのを抑制することができる効果などと同様の効果を奏することができる。
本発明の電力装置の制御方法は、
内燃機関と該内燃機関からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能な発電機とを有する発電手段と、充放電可能な蓄電手段と、前記蓄電手段が接続された低電圧系と前記発電機の駆動回路が接続された高電圧系とに接続され前記高電圧系の電圧を調整する高電圧系電圧調整手段と、前記高電圧系に接続されたコンデンサと、を備える電力装置の制御方法であって、
冷間時に前記蓄電手段に充電する冷間充電時には、前記高電圧系の電圧である高電圧系電圧が前記冷間時でないときに前記蓄電手段に充電する非冷間充電時よりも高い電圧となるよう前記高電圧系電圧調整手段を制御すると共に前記蓄電手段への充電が行なわれるよう前記内燃機関と前記発電機とを制御する、
ことを特徴とする。
内燃機関と該内燃機関からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能な発電機とを有する発電手段と、充放電可能な蓄電手段と、前記蓄電手段が接続された低電圧系と前記発電機の駆動回路が接続された高電圧系とに接続され前記高電圧系の電圧を調整する高電圧系電圧調整手段と、前記高電圧系に接続されたコンデンサと、を備える電力装置の制御方法であって、
冷間時に前記蓄電手段に充電する冷間充電時には、前記高電圧系の電圧である高電圧系電圧が前記冷間時でないときに前記蓄電手段に充電する非冷間充電時よりも高い電圧となるよう前記高電圧系電圧調整手段を制御すると共に前記蓄電手段への充電が行なわれるよう前記内燃機関と前記発電機とを制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の電力装置の制御方法では、冷間時に蓄電手段に充電する冷間充電時には、発電機の駆動回路およびコンデンサが接続された高電圧系の電圧である高電圧系電圧が冷間時でないときに蓄電手段に充電する非冷間充電時よりも高い電圧となるよう高電圧系電圧調整手段を制御すると共に蓄電手段への充電が行なわれるよう内燃機関と発電機とを制御する。これにより、冷間充電時に、発電機によって発電された電力をよりコンデンサに蓄えることができる。また、冷間充電時に、高電圧系の電圧を高くするために、より多くのエネルギを消費させることができる。これらの結果、内燃機関から予期しない大きなパワーが出力されて発電機によって大きな電力が発電されるときでも、蓄電手段に過大な電力が入力されるのを抑制することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図であり、図2はモータMG1,MG2を含む電機駆動系の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図1に示すように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介して接続されたモータMG2と、直流電流を交流電流に変換してモータMG1,MG2に供給可能なインバータ41,42と、バッテリ50からの電力をその電圧を変換してインバータ41,42に供給可能な昇圧回路55と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結さ
れており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
れており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、図2に示すように、いずれも外表面に永久磁石が貼り付けられたロータと三相コイルが巻回されたステータとを備える周知の同期発電電動機として構成されている。インバータ41,42は、6つのトランジスタT11〜T16,T21〜26と、トランジスタT11〜T16,T21〜T26に逆方向に並列接続された6つのダイオードD11〜D16,D21〜D26と、により構成されている。トランジスタT11〜T16,T21〜T26は、それぞれインバータ41,42が電力ライン54として共用する正極母線54aと負極母線54bとに対してソース側とシンク側になるよう2個ずつペアで配置されており、対となるトランジスタ同士の接続点の各々にモータMG1,MG2の三相コイル(U相,V相,W相)の各々が接続されている。したがって、正極母線54aと負極母線54bとの間に電圧が作用している状態で対をなすトランジスタT11〜T16,T21〜T26のオン時間の割合を制御することにより三相コイルに回転磁界を形成でき、モータMG1,MG2を回転駆動することができる。インバータ41,42は、正極母線54aと負極母線54bとを共用しているから、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータに供給することができる。正極母線54aと負極母線54bとには平滑用のコンデンサ57が接続されている。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
昇圧回路55は、図2に示すように、2つのトランジスタT31,T32とトランジスタT31,T32に逆方向に並列接続された2つのダイオードD31,D32とリアクトルLとにより構成されている。2つのトランジスタT31,T32は、それぞれインバータ41,42の正極母線54aと負極母線54bとに接続されており、その接続点にリアクトルLが接続されている。また、リアクトルLと負極母線54bとにはそれぞれバッテリ50の正極端子と負極端子とが接続されている。したがって、トランジスタT31,T32をオンオフ制御することによりバッテリ50の直流電力をその電圧を昇圧してインバータ41,42に供給したり正極母線54aと負極母線54bとに作用している直流電圧を降圧してバッテリ50を充電したりすることができる。リアクトルLと負極母線54bとには平滑用のコンデンサ58が接続されている。以下、昇圧回路55より電力ライン54側を高電圧系といい、昇圧回路55よりバッテリ50側を低電圧系という。
バッテリ50は、実施例ではリチウムイオン電池として構成されており、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば,電圧センサ58aからのコンデンサ58の電圧VL(バッテリ50の端子間電圧Vb)やバッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサ58bからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ58cからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために、電流センサ58bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいて残容量SOCを演算したり、演算した残容量SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい制御用の許容電力である制御用入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の制御用入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて制御用入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した制御用入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。図3に電池温度Tbと制御用入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示し、図4にバッテリ50の残容量SOCと制御用入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、電圧センサ57aからのコンデンサ57の電圧VH(以下、高電圧系の電圧VHという)やイグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、昇圧回路55のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
なお、実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22とモータMG1とバッテリ50と昇圧回路55とコンデンサ57とエンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とハイブリッド用電子制御ユニット70とが本発明の電力装置に相当する。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、停車時の動作について説明する。図5は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される停車時制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図6は、昇圧回路55により高電圧系の電圧VHを調整するためにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される昇圧制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。以下、まず、図5のルーチンを用いてエンジン22やモータMG1の制御について説明し、その後、図6を用いて高電圧系の電圧制御について説明する。
図5の停車時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、モータMG1の回転数Nm1やバッテリ50の残容量SOCなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1の回転数Nm1は、回転位置検出センサ43により検出されたモータMG1の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の残容量SOCは、バッテリ50の充放電電流Ibの積算値に基づいて演算されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、バッテリ50の残容量SOCを閾値Slowおよび閾値Shiと比較する(ステップS110)。ここで、閾値Slowは、停車中にバッテリ50の充電を開始する残容量SOCであり、例えば、40%や45%などを用いることができる。また、閾値Shiは、停車中におけるバッテリ50の充電を終了する残容量SOCであり、例えば、60%や65%などを用いることができる。バッテリ50の残容量SOCが閾値Slow未満のときには、エンジン22が停止中であるのを確認して(ステップS120)、エンジン22を始動する制御信号をモータECU40とエンジンECU24とに送信してエンジン22を始動する(ステップS130)。エンジン22を始動する制御信号を受信したモータECU40は、エンジン22がモータリングされるようモータMG1を駆動制御し、エンジン22を始動する制御信号を受信したエンジンECU24はエンジン22の回転数Neが閾値Nrefに至ったときに燃料噴射と点火とを開始してエンジン22を始動する。
そして、バッテリ50の充電用のエンジン22の回転数として予め設定された値Nchをエンジン22の目標回転数Ne*として設定すると共にバッテリ50の充電用のエンジン22のトルクとして予め設定された値Tchをエンジン22の目標トルクTe*として設定してこれらをエンジンECU24に送信する(ステップS140)。ここで、値Nchおよび値Tchは、冷間時でないとき(例えば、標準気温(例えば25度)のとき)にバッテリ50を充放電する充放電電力が制御用入力制限Win以上となる範囲(充放電電力の絶対値が制御用入力制限Winの絶対値以下となる範囲)の値を用いるものとした。また、目標回転数Ne*および目標トルクTe*を受信したエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによりエンジン22が運転されるよう吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御を行なう。
次に、設定したエンジン22の目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(いま、停車中を考えているから値0)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と入力したモータMG1の回転数Nm1とエンジン22の目標トルクTe*と動力分配統合機構30のギヤ比ρとに基づいて式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算してこのトルク指令Tm1*をモータECU40に送信して(ステップS150)、このルーチンを終了する。ここで、式(1)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。エンジン22からの動力を用いてモータMG1によって発電しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図7に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。式(1)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。また、式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。トルク指令Tm1*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動するようインバータ41のスイッチング素子をスイッチング制御する。これにより、エンジン22からの動力(Ne*・Te*)を用いてモータMG1で発電し、この発電電力によりバッテリ50を充電することができる。なお、バッテリ50の残容量SOCが閾値Slow未満でもエンジン22が運転されているときには、既にエンジン22が始動されていると共にバッテリ50を充電するための目標回転数Ne*や目標トルクTe*,トルク指令Tm1*が設定されているから、エンジン22の始動や目標回転数Ne*や目標トルクTe*,トルク指令Tm1*の設定や、これらのエンジンECU24やモータECU40への送信を行なうことなく、このルーチンを終了する。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nr/ρ (1)
Tm1*=-ρ・Te*/(1+ρ)+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (2)
Tm1*=-ρ・Te*/(1+ρ)+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (2)
こうしてバッテリ50の充電が開始されてバッテリ50が充電されることによって、バッテリ50の残容量SOCが閾値Shi未満ではあるが閾値Slow以上となると、このバッテリ50の充電状態を継続するために、エンジン22の始動や停止を行なうことなく、このルーチンを終了する。
バッテリ50の充電が継続されている最中に、バッテリ50の残容量SOCが閾値Shi以上に至ると、エンジン22が運転されているのを確認して(ステップS160)、エンジン22を停止する制御信号をエンジンECU24に送信してエンジン22の運転を停止すると共に(ステップS170)、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定してモータECU40に送信して(ステップS180)、このルーチンを終了する。これにより、バッテリ50の充電を終了する。なお、バッテリ50の残容量SOCが閾値Shi以上でもエンジン22の運転が停止されているときには、既にエンジン22の運転停止がなされていると共にモータMG1のトルク指令Tm1*に値0が設定されているから、エンジン22の運転停止やトルク指令Tm1*の設定を行なうことなく、このルーチンを終了する。
以上、エンジン22やモータMG1の制御について説明した。次に、高電圧系の電圧制御について説明する。図6の昇圧制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、バッテリ50の端子間電圧Vbや充放電電流Ib,制御用入力制限Winなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS200)。ここで、バッテリ50の端子間電圧Vbおよび充放電電流Ibは、それぞれ電圧センサ58a,電流センサ58bにより検出されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の制御用入力制限Winは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量SOCとに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したバッテリ50の端子間電圧Vbに充放電電流Ibを乗じることによりバッテリ50の充放電電力Wbを計算すると共に(ステップ210)、高電圧系の目標電圧VH*の基本値としての仮目標電圧VHtmpを設定する(ステップS220)。ここで、バッテリ50の充放電電力Wbは、バッテリ50から放電が行なわれるときに正の値、バッテリ50に充電が行なわれるときに負の値が設定されるものとした。また、高電圧系の仮目標電圧VHtmpは、例えば、モータMG1の回転数Nm1とモータMG1から出力されるトルクTm1(トルク指令Tm1*に対応するトルク)とに基づいて設定することができる。モータMG1の回転数Nm1とトルクTm1と高電圧系の仮目標電圧VHtmpとの関係の一例を図8に示す。高電圧系の仮目標電圧VHtmpは、図示するように、モータMG1の回転数Nm1が大きくモータMG1から出力されるトルクTm1の絶対値が大きいほど大きくなる傾向に設定される。
続いて、冷間時か否かを判定すると共に(ステップS230)、バッテリ50の充放電電力Wbを制御用入力制限Win(負の値)と比較する(ステップS240)。ここで、冷間時か否かの判定は、例えば、外気の温度が所定温度(例えば、−20℃や−25℃など)より低いか否かを判定したり、バッテリ50の残容量SOCが閾値Shi以下のときに制御用入力制限Winが所定値Wrefより大きいか否か即ち制御用入力制限Winの絶対値が所定値Wrefの絶対値未満か否かを判定したりすることにより行なうことができる。冷間時には、空気密度が比較的大きいため、バッテリ50を充電するときに標準気温(例えば25度)のときと同様にエンジン22を制御すると、エンジン22から予期しない大きなパワーが出力され、これによってモータMG1により予期しない大きな電力が発電されることがある。ステップS230の冷間時か否かの判定は、モータMG1によって予期しない大きな電力が発電される可能性があるか否かを判定するものである。また、ステップS240のバッテリ50の充放電電力Wbと制御用入力制限Winとの比較は、モータMG1によって予期しない大きな電力が発電されることにより、バッテリ50に充電される実際の電力がバッテリ50に充電してもよい制御用の許容電力を超えているか否かを判定するものである。なお、実施例では、前述したように、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*として、冷間時でないときにバッテリ50を充放電する充放電電力Wbが制御用入力制限Win以上となる範囲の値Nchおよび値Tchを用いるものとしたから、冷間時でないときにエンジン22を目標回転数Ne*および目標トルクTe*からなる運転ポイントで運転してバッテリ50を充電するときには、充放電電力Wbは制御用入力制限Win以上となる。
冷間時でないときや、冷間時でバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win以上のとき即ち冷間時で充放電電力Wbの絶対値が制御用入力制限Winの絶対値以下のとき(バッテリ50を充電していないときや制御用入力制限Winの範囲内でバッテリ50を充電しているとき)には、ステップS220で設定した仮目標電圧Vhtmpを高電圧系の目標電圧VH*に設定すると共に(ステップS250)、高電圧系の電圧VHが目標電圧VH*となるよう昇圧回路55の2つのトランジスタT31,T32をスイッチング制御して(ステップS270)、このルーチンを終了する。これにより、高電圧系の電圧VHを目標電圧VH*にすることができる。
一方、冷間時でバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win未満のとき即ち冷間時で充放電電力Wbの絶対値が制御用入力制限Winの絶対値より大きいとき(制御用入力制限Winを超えた電力でバッテリ50を充電しているとき)には、仮目標電圧VHtmpと充放電電力Wbと制御用入力制限Winとを用いて次式(3)により高電圧系の目標電圧VH*を設定すると共に(ステップS260)、高電圧系の電圧VHが目標電圧VH*となるよう昇圧回路55の2つのトランジスタT31,T32をスイッチング制御して(ステップS270)、このルーチンを終了する。ここで、式(3)は、充放電電力Wbと制御用入力制限Winとの偏差が打ち消されるよう高電圧系の電圧VHを調整するためのフィーでバック制御における関係式であり、式(3)中、右辺第2項の「k3」は比例項のゲイン(正の値)であり、右辺第3項の「k4」は積分項のゲイン(正の値)である。いま、充放電電力Wbが制御用入力制限Win未満のときを考えているから、高電圧系の目標電圧VH*は、仮目標電圧VHtmpに比して高い電圧が設定されることになる。これにより、冷間時でないときや、冷間時でバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win以上のときに比して高電圧系の電圧を高くすることができる。前述したように、冷間時にバッテリ50を充電するときには、エンジン22から予期しない大きなパワーが出力されてモータMG1により予期しない大きな電力が発電されることがある。しかし、実施例では、このときに高電圧系の電圧VHをより高くすることにより、モータMG1により発電された発電電力をよりコンデンサ57に蓄えることができると共に昇圧回路55によるエネルギ消費を大きくすることができる。これらの結果、冷間時に、バッテリ50に過大な電力が入力されるのを抑制することができる。
VH*=VHtmp+k3(Win-Wb)+k4∫(Win-Wb)dt (3)
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、冷間時にバッテリ50を充電するときにバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win未満のときには、冷間時でないときや冷間時でバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win以上のときに比して高い電圧を高電圧系の目標電圧VH*に設定すると共に高電圧系の電圧VHが目標電圧VH*となるよう昇圧回路55を制御しながらバッテリ50の充電が行なわれるようエンジン22とモータMG1とを制御するから、バッテリ50に過大な電力が入力が入力されるのを抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、停車時の動作について説明したが、走行時には、冷間時にバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win未満のときに、冷間時でないときや冷間時でバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win以上のときに比して高い電圧を高電圧系の目標電圧VH*に設定すると共に高電圧系の電圧VHが目標電圧VH*となるよう昇圧回路55を制御し、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを設定すると共にこの要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御すればよい。こうすれば、実施例と同様にバッテリ50に過大な電力が入力されるのを抑制することができると共に、要求動力をリングギヤ軸32aに出力して走行することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、冷間時でバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win未満のときに、仮目標電圧VHtmpと、充放電電力Wbと制御用入力制限Winとの偏差と、に基づいて高電圧系の目標電圧VH*を設定するものとしたが、仮目標電圧VHtmpよりも高い電圧を高電圧系の目標電圧VH*に設定するものであればよく、例えば、仮目標電圧VHtmpよりも所定電圧だけ高い電圧を高電圧系の目標電圧VH*に設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、冷間時でバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win未満のときに、仮目標電圧VHtmpよりも高い電圧を高電圧系の目標電圧VH*に設定するものとしたが、冷間時であれば、充放電電力Wbが制御用入力制限Win未満か否かに拘わらず仮目標電圧VHtmpよりも高い電圧を高電圧系の目標電圧VH*に設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、減速ギヤ35を介して駆動軸としてのリングギヤ軸32aにモータMG2を取り付けるものとしたが、リングギヤ軸32aにモータMG2を直接取り付けるものとしてもよいし、減速ギヤ35に代えて2段変速や3段変速,4段変速などの変速機を介してリングギヤ軸32aにモータMG2を取り付けるものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図9の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図9における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図10の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22からの動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すると共にモータMG2からの動力を減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図11の変形例のハイブリッド自動車320に例示するように、駆動輪63a,63bに接続された駆動軸に変速機330を介してモータMGを取り付け、モータMGの回転軸にクラッチ329を介してエンジン22を接続する構成とし、エンジン22からの動力をモータMGの回転軸と変速機330とを介して駆動軸に出力すると共にモータMGからの動力を変速機330を介して駆動軸に出力するものとしてもよい。また、図12の変形例のハイブリッド自動車420に例示するように、エンジン22と、エンジン22からの動力により発電する発電機430と、発電機430やバッテリ50からの電力を用いて走行用の動力を出力するモータMGと、を備えるものとしても構わない。
また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車以外の車両や船舶,航空機などの移動体に搭載される電力装置の形態や建設設備などの移動しない設備に組み込まれた電力装置の形態としても構わない。さらに、こうした電力装置の制御方法の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22とモータMG1とが「発電手段」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当し、昇圧回路55が「高電圧系電圧調整手段」に相当し、コンデンサ57が「コンデンサ」に相当し、バッテリ50の充放電電流Ibに基づいて残容量SOCを演算すると共に電池温度Tbと残容量SOCとに基づいて制御用入力制限Winを設定するバッテリECU52と停車時にバッテリ50の残容量SOCが閾値Slow未満に至ったときにエンジン22を始動してエンジン22からの動力を用いてモータMG1で発電してバッテリ50の充電を開始し、バッテリ50の残容量SOCが閾値Shi以上に至ったときにエンジン22の運転を停止してバッテリ50の充電を終了する図5の停車時制御ルーチンを実行すると共に冷間時にバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win未満のときに充放電電力Wbと制御用入力制限Winとに基づいて冷間時でないときや冷間時でバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win以上のときに比して高い電圧を高電圧系の目標電圧VH*に設定すると共に高電圧系の電圧VHが目標電圧VH*となるよう昇圧回路55を制御する図6の昇圧制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70とハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号に基づいてエンジン22を制御するエンジンECU24とハイブリッド用電子制御ユニット70からのトルク指令Tm1*に基づいてモータMG1を制御するモータECU40とが「制御手段」に相当する。また、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当する。
ここで、「発電手段」が有する内燃機関としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「発電手段」が有する発電機としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、内燃機関からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能なものであれば如何なるタイプの発電機としても構わない。「蓄電手段」としては、リチウムイオン電池としてのバッテリ50に限定されるものではなく、鉛蓄電池やニッケル水素電池などの二次電池やキャパシタなど、充放電可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「高電圧系電圧調整手段」としては、2つのトランジスタT31,T32とトランジスタT31,T32に逆方向に並列接続された2つのダイオードD31,D32とリアクトルLとからなる昇圧コンバータとして構成された昇圧回路55に限定されるものではなく、蓄電手段が接続された低電圧系と発電機の駆動回路が接続された高電圧系とに接続され高電圧系の電圧を調整するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、停車時にバッテリ50の残容量SOCが閾値Slow未満に至ったときにエンジン22を始動してエンジン22からの動力を用いてモータMG1で発電してバッテリ50の充電を開始すると共にバッテリ50の残容量SOCが閾値Shi以上に至ったときにエンジン22の運転を停止してバッテリ50の充電を終了し、冷間時にバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win未満のときに充放電電力Wbと制御用入力制限Winとに基づいて冷間時でないときや冷間時でバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win以上のときに比して高い電圧を高電圧系の目標電圧VH*に設定すると共に高電圧系の電圧VHが目標電圧VH*となるよう昇圧回路55を制御するものに限定されるものではなく、走行時に、冷間時にバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win未満のときに高電圧系の電圧VHが冷間時でないときや冷間時でバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win以上のときに比して高い目標電圧VH*となるよう昇圧回路55を制御し、アクセル開度Accと車速Vとに基づく駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するものとしたり、冷間時にバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win未満のときに冷間時でないときや冷間時でバッテリ50の充放電電力Wbが制御用入力制限Win以上のときに比して所定電圧だけ高い電圧を高電圧系の目標電圧VH*に設定するものとしたり、冷間時であれば充放電電力Wbに拘わらず冷間時でないときに比して高い電圧を目標電圧VH*に設定するものとしたりするなど、冷間時に蓄電手段に充電する冷間充電時には高電圧系の電圧である高電圧系電圧が冷間時でないときに蓄電手段に充電する非冷間充電時よりも高い電圧となるよう高電圧系電圧調整手段を制御すると共に蓄電手段への充電が行なわれるよう内燃機関と発電機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる作動作用を有するものなど、駆動軸と出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれかに軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、電力装置や車両の製造産業などに利用可能である。
20,120,220,320,420 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35,減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、54a 正極母線、54b 負極母線、55 昇圧回路、57,58 コンデンサ、57a,58a 電圧センサ、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ、234 アウターロータ、329 クラッチ、330 変速機、430 発電機、MG,MG1,MG2 モータ、D11〜D16,D21〜D26,D31,D32 ダイオード、T11〜T16,T21〜T26,T31,T32 トランジスタ、L リアクトル。
Claims (10)
- 内燃機関と、該内燃機関からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能な発電機と、を有する発電手段と、
充放電可能な蓄電手段と、
前記蓄電手段が接続された低電圧系と前記発電機の駆動回路が接続された高電圧系とに接続され、前記高電圧系の電圧を調整する高電圧系電圧調整手段と、
前記高電圧系に接続されたコンデンサと、
冷間時に前記蓄電手段に充電する冷間充電時には、前記高電圧系の電圧である高電圧系電圧が前記冷間時でないときに前記蓄電手段に充電する非冷間充電時よりも高い電圧となるよう前記高電圧系電圧調整手段を制御すると共に前記蓄電手段への充電が行なわれるよう前記内燃機関と前記発電機とを制御する制御手段と、
を備える電力装置。 - 請求項1記載の電力装置であって、
前記制御手段は、前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段に充電してもよい制御用の許容電力である制御用入力制限を設定し、前記冷間充電時であって前記蓄電手段に入力される電力である入力電力が前記設定された制御用入力制限を超えている電力超過時に、前記高電圧系電圧が前非冷間充電時よりも高い電圧となるよう前記高電圧系電圧調整手段を制御する手段である、
電力装置。 - 前記制御手段は、前記電力超過時には、前記入力電力と前記設定された制御用入力制限とに基づいて前記高電圧系の目標電圧を設定すると共に前記高電圧系電圧が該設定した目標電圧となるよう前記高電圧系電圧調整手段を制御する手段である請求項2記載の電力装置。
- 前記制御手段は、前記電力超過時には、前記入力電力と前記設定された制御用入力制限との偏差が打ち消されるよう前記目標電圧を設定する手段である請求項3記載の電力装置。
- 前記制御手段は、前記電力超過時には、前記発電機の駆動状態に基づいて前記高電圧系の基本電圧を設定し、該設定した基本電圧と前記入力電力と前記設定された制御用入力制限とに基づいて前記目標電圧を設定する手段である請求項3または4記載の電力装置。
- 前記冷間時は、外気の温度が所定温度以下のときである請求項1ないし5のいずれか1つの請求項に記載の電力装置。
- 前記冷間時は、前記蓄電手段の蓄電量が所定蓄電量以下であるときに前記設定された制御用入力制限が所定電力以下のときである請求項1ないし5のいずれか1つの請求項に記載の電力装置。
- 前記高電圧系電圧調整手段は、昇圧コンバータである請求項1ないし7のいずれか1つの請求項に記載の電力装置。
- 請求項1ないし8のいずれか1つの請求項に記載の電力装置を搭載する車両。
- 内燃機関と該内燃機関からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能な発電機とを有する発電手段と、充放電可能な蓄電手段と、前記蓄電手段が接続された低電圧系と前記発電機の駆動回路が接続された高電圧系とに接続され前記高電圧系の電圧を調整する高電圧系電圧調整手段と、前記高電圧系に接続されたコンデンサと、を備える電力装置の制御方法であって、
冷間時に前記蓄電手段に充電する冷間充電時には、前記高電圧系の電圧である高電圧系電圧が前記冷間時でないときに前記蓄電手段に充電する非冷間充電時よりも高い電圧となるよう前記高電圧系電圧調整手段を制御すると共に前記蓄電手段への充電が行なわれるよう前記内燃機関と前記発電機とを制御する、
ことを特徴とする電力装置の制御方法。
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WO2011108058A1 (ja) * | 2010-03-01 | 2011-09-09 | トヨタ自動車株式会社 | 電動車両およびその制御方法 |
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-
2007
- 2007-10-31 JP JP2007283533A patent/JP2009112150A/ja active Pending
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