次に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
(1)第1実施形態
図1〜図18は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。
その半導体装置は、キャパシタ下部電極のコンタクト領域上に導電性プラグが形成されるプレーナ型のFeRAMである
最初に、図1(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、n型又はp型のシリコン(半導体)基板1の表面を熱酸化することにより素子分離絶縁膜10を形成し、この素子分離絶縁膜10でトランジスタの活性領域を画定する。その素子分離絶縁膜10の上面は、シリコン基板1の上面から約200nm程度の高さとなる。このような素子分離構造はLOCOS(Local Oxidation of Silicon)と呼ばれるが、これに代えてSTI(Shallow Trench Isolation)を採用してもよい。
次いで、シリコン基板1の活性領域にp型不純物、例えばボロンを導入して第1、第2pウェル2、3を形成した後、その活性領域の表面を熱酸化することにより、ゲート絶縁膜4となる熱酸化膜を約6〜7nmの厚さに形成する。
続いて、シリコン基板1の上側全面に、厚さ約50nmの非晶質シリコン膜と厚さ約150nmのタングステンシリサイド膜を順に形成する。なお、非晶質シリコン膜に代えて多結晶シリコン膜を形成してもよい。その後に、フォトリソグラフィによりこれらの膜をパターニングして、シリコン基板1上にゲート電極5aを形成すると共に、素子分離絶縁膜10上に配線5bを形成する。
そのゲート電極5aのゲート長はデザインルールに従って設定され、本実施形態では約0.35μmとする。なお、これよりも短いデザインルールに従い、0.18μm若しくは0.13μmのゲート長としてもよい。
更に、ゲート電極5aをマスクにするイオン注入により、ゲート電極5aの横のシリコン基板1にn型不純物としてリンを導入し、第1〜第3ソース/ドレインエクステンション6a〜6cを形成する。
その後に、シリコン基板1の上側全面に絶縁膜を形成し、その絶縁膜をエッチバックしてゲート電極5aと配線5bの横に絶縁性スペーサ7として残す。その絶縁膜として、例えばCVD法により酸化シリコン膜を形成する。
続いて、この絶縁性スペーサ7とゲート電極5aをマスクにしながら、シリコン基板1に砒素等のn型不純物を再びイオン注入することにより、ゲート電極5aの側方のシリコン基板1に第1〜第3ソース/ドレイン領域8a〜8cを形成する。
更に、シリコン基板1の上側全面に、スパッタ法によりコバルト膜等の高融点金属膜を形成する。そして、その高融点金属膜を加熱させてシリコンと反応させることにより、第1〜第3ソース/ドレイン領域8a〜8cにおけるシリコン基板1上にコバルトシリサイド層等の高融点シリサイド層9を形成し、各ソース/ドレイン領域8a〜8cを低抵抗化する。なお、このような高融点金属シリサイド層は、ゲート電極5aや配線5bの表層にも形成される。
その後に、素子分離絶縁膜10の上等で未反応となっている高融点金属層をウエットエッチングして除去する。
ここまでの工程により、シリコン基板1の活性領域には、ゲート絶縁膜4、ゲート電極5a、及び第1〜第3ソース/ドレイン領域8a〜8c等によって構成される第1、第2MOSトランジスタTR1、TR2が形成されたことになる。
これらのトランジスタのうち、第1MOSトランジスタTR1はセル領域に形成され、それらのゲート電極5aは互いに平行に形成されてワード線の一部を構成する。一方、第2MOSトランジスタTR2は周辺回路領域に形成される。
次に、図1(b)に示すように、シリコン基板1の上側全面に、プラズマCVD法で酸窒化シリコン(SiON)膜を厚さ約200nmに形成し、それを第1カバー絶縁膜13とする。
更に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により、この第1カバー絶縁膜13の上に第1絶縁膜14として酸化シリコン(SiO)膜を厚さ約600nmに形成した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法で第1絶縁膜14を約200nm程度研磨し、第1絶縁膜14の上面を平坦化する。
次いで、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により、この第1絶縁膜14の上に再び酸化シリコン膜を厚さ約100nmに形成し、この酸化シリコン膜を第1キャップ絶縁膜15とする。
その後に、これらの絶縁膜14、15の脱水処理として、窒素雰囲気中において基板温度を約650℃とするアニールを約30分間行う。
このアニールを終了した後に、第1キャップ絶縁膜15上にスパッタ法により第1アルミナ膜16を厚さ約20nmに形成する。この第1アルミナ膜16に対してアニールを行ってもよい。そのアニールは基板温度を650℃、処理時間を60秒とし、酸素雰囲気中において行われる。
次に、図2(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、第1アルミナ膜16の上に、スパッタ法により第1導電膜21としてプラチナ膜を形成する。この第1導電膜21は、後でパターニングされてキャパシタ下部電極になり、その膜厚は約155nmである。また、酸化シリコンよりなる第1キャップ絶縁膜15の上に第1導電膜21を直接形成せず、第1アルミナ膜16の上に第1導電膜21を形成することにより、第1導電膜21を構成するプラチナの配向が良好となる。
そして、この第1導電膜21の上に、スパッタ法によりPZT膜を150〜200nmの厚さに形成して、このPZT膜を強誘電体膜22とする。
なお、強誘電体膜22の成膜方法としては、スパッタ法の他に、MOCVD(Metal Organic CVD)法やゾル・ゲル法もある。更に、強誘電体膜22の材料は上記のPZTに限定されず、SrBi2Ta2O9、SrBi2(TaxNb1-x)2O9、Bi4Ti2O12等のBi層状構造化合物や、PZTにランタンをドープしたPLZT(Pb1-xLaxZr1-yTiyO3)、或いはその他の金属酸化物強誘電体で強誘電体膜22を構成してもよい。
ここで、スパッタ法で形成されたPZTは、成膜直後では殆ど結晶化しておらず、強誘電体特性に乏しい。そこで、強誘電体膜22を構成するPZTを結晶化させるための結晶化アニールとして、酸素含有雰囲気中で基板温度を約563℃とするRTA(Rapid Thermal Anneal)を約90秒間行う。そのアニールの雰囲気における酸素濃度は特に限定されないが、本実施形態では、流量が1.95リットル/分のアルゴンガスと流量が0.055リットル/分の酸素ガスとの混合雰囲気で結晶化アニールを行う。
なお、MOCVD法で強誘電体膜22を形成する場合は、この結晶化アニールは不要である。
次に、上記の強誘電体膜22の上に、スパッタ法で第1酸化イリジウム(IrO2)膜を厚さ約50nmに形成し、この第1酸化イリジウム膜に対して酸素含有雰囲気中でRTAを施す。そのRTAの条件は、例えば、基板温度が708℃で処理時間が20秒である。また、アニール雰囲気は、流量が2リットル/分のアルゴンガスと流量が0.02リットル/分の酸素ガスの混合雰囲気である。
その後に、第1酸化イリジウム膜の上にスパッタ法により第2酸化イリジウム膜を厚さ約200nmに形成し、これら第1、第2酸化イリジウム膜よりなる積層膜を第2導電膜23とする。
次に、図2(b)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、フォトリソグラフィにより第2導電膜23をパターニングして上部電極23aを形成する。そして、このパターニングにより強誘電体膜22が受けたダメージを回復させるために、強誘電体膜22に対する回復アニールを縦型炉内で行う。この回復アニールは酸素含有雰囲気において行われ、その条件は、例えば、酸素流量20リットル/分、基板温度650℃、及び処理時間60分である。
次いで、フォトリソグラフィで強誘電体膜22をパターニングすることにより、PZT等の強誘電体材料で構成されるキャパシタ誘電体膜22aを形成する。このパターニングでキャパシタ誘電体膜22aが受けたダメージは回復アニールによって回復される。この回復アニールは、縦型炉を用いて酸素含有雰囲気中で行われ、その条件として基板温度350℃、処理時間60分が採用される。また、そのアニール雰囲気には、酸素ガスが20リットル/分の流量で供給される。
続いて、図3(a)に示すように、シリコン基板1の上側全面に、水素や水分等の還元性物質からキャパシタ誘電体膜22aを保護するための第2アルミナ膜25をスパッタ法で厚さ約50nmに形成する。そして、スパッタによりキャパシタ誘電体膜22aが受けたダメージを回復させるために、酸素含有雰囲気中で基板温度を550℃とする回復アニールを約60分間行う。この回復アニールは縦型炉を用いて行われ、流量が20リットル/分の酸素ガスがアニール雰囲気に供給される。
次に、図3(b)に示すように、フォトリソグラフィで第1導電膜21と第2アルミナ膜25とをパターニングすることにより、キャパシタ誘電体膜22aの下の第1導電膜21を下部電極21aにすると共に、この下部電極21aを覆うように第2アルミナ膜25を残す。
その後に、プロセス中にキャパシタ誘電体22aが受けたダメージを回復させるために、基板温度650℃、処理時間60分、酸素流量20リットル/分の条件で、酸素含有雰囲気中においてキャパシタ誘電体膜22aに回復アニールを施す。その回復アニールは、例えば縦型炉を用いて行われる。
ここまでの工程により、シリコン基板1のセル領域には、下部電極21a、キャパシタ誘電体膜22a、及び上部電極23aをこの順に積層してなるキャパシタQが形成されたことになる。
続いて、図4(a)に示すように、シリコン基板1の上側全面に、キャパシタ誘電体膜22aを保護するための第3アルミナ膜27をスパッタ法で約20nmの厚さに形成する。この第3アルミナ膜27は、その下の第2アルミナ膜25と協同して、水素や水分等の還元性物質がキャパシタ誘電体膜22aに至るのを防止し、キャパシタ誘電体膜22aが還元されてその強誘電体特性が劣化するのを抑えるように機能する。
そして、基板温度550℃、処理時間60分の条件で、酸素含有雰囲気となっている縦型炉内においてキャパシタ誘電体膜22aに対して回復アニールを施す。
次いで、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により、上記の第3アルミナ膜25上に酸化シリコン膜を厚さ約1500nmに形成し、その酸化シリコン膜を第2絶縁膜28とする。この後に、第2絶縁膜28の上面をCMP法で研磨して平坦化する。
ここで、酸化シリコンよりなる第2絶縁膜28には、キャパシタ誘電体膜22aを還元させる水分が含まれている恐れがある。
そこで、次の工程では、図4(b)に示すように、N2Oプラズマにより第2絶縁膜28を脱水すると供に、その表面を窒化して第1窒化膜29を形成し、水分ブロック性に優れた第1窒化膜29で外部雰囲気の水分がキャパシタ誘電体膜22aに至るのを阻止するようにする。
このN2Oプラズマ処理の条件は特に限定されないが、本実施形態ではPVD(Physical Vapor Deposition)装置に流量が1000sccmのN2Oガスと流量が285sccmのN2ガスとを供給する。そして、これらのガスを周波数が13.56MHzでパワーが600W〜900Wの高周波電力でプラズマ化し、圧力3.0Torr、基板温度350℃〜390℃、及び処理時間130秒〜300秒の条件で処理を行う。
なお、第1窒化膜29の水素や水分のブロック性を高めるため、この条件よりも高周波電力のパワーを高め、第2絶縁膜28の上面を強く窒化することも考えられる。
しかし、本願発明者が行った調査によれば、900Wよりも高いパワーで窒化を行うと、このN2Oプラズマ処理においてキャパシタ誘電体膜22aが受けたダメージを回復アニールで回復できなくなることが明らかとなった。従って、このN2Oプラズマ処理では、高周波電力のパワーを900W以下とするのが好ましい。
図19は、このようにして形成された第1窒化膜29の深さと窒素濃度との関係を示すグラフである。
同図の実線のグラフに示されるように、N2Oプラズマによる窒化により、第2絶縁膜28の表面から約10nm程度の深さの表層部分に第1窒化膜29が形成される。
また、N2Oプラズマによる窒化は第2絶縁膜28の表面近傍にだけ及ぶため、第2絶縁膜29では深さ方向に沿って窒素濃度が次第に減少する。
なお、第1窒化膜29は、第2絶縁膜28よりも窒素濃度が高い膜ではあるが、窒素とシリコンのみからなる膜になるとは限らず、膜中に酸素が含まれた酸窒化シリコン膜になることもある。
ここで、N2Oプラズマによる窒化処理に代えて、CVD法で第1窒化膜29を形成することも考えられる。しかし、CVD法によって窒化シリコン膜や酸窒化シリコン膜を形成するには、反応ガスとしてシラン(SiH4)やアンモニア(NH3)を使用する必要があり、これらのガスに含まれる水素によってキャパシタ誘電体膜22aが還元して劣化するおそれがある。したがって、キャパシタ誘電体膜22aが劣化するのを効果的に防ぐには、本実施形態のように水素を含まないN2Oプラズマによって第2絶縁膜28を窒化し、第1窒化膜29を形成する必要がある。
なお、仮にCVD法によって第1窒化膜29を形成した場合、その窒素濃度のプロファイルは図19の点線のようになる。これに示されるように、CVD法では、第1窒化膜29の下面において窒素濃度が急激に変化し、本実施形態のような緩やかなプロファイルとはならない。
続いて、図5(a)に示すように、第1窒化膜29の上に、TEOSガスを用いるCVD法により酸化シリコン膜を20nm〜100nmの厚さに形成し、その酸化シリコン膜を第3絶縁膜30とする。
この第3絶縁膜30は、後述の一層目金属配線のパターニング時にエッチングが第1窒化膜29に及ぶのを防ぐ目的で形成されるので、そのエッチングを吸収するのに必要な厚さでれば十分であり、デバイスの微細化のためになるべく薄く、例えば第2絶縁膜28よりも薄く形成するのが好ましい。
また、膜中に水分が含まれ易い塗布法でこの第3絶縁膜30を形成すると、膜中の水分によってキャパシタ誘電体膜22aが劣化し易いので、上記のようにCVD法により第3絶縁膜30を形成するのが好ましい。
なお、この第3絶縁膜30は、一層目金属配線を形成する前に形成されるものであるから、配線を介さずに第1窒化膜29の上に直接形成される。
その後、図5(b)に示すように、この第3絶縁膜30の上面をN2Oプラズマに曝して窒化し、第2窒化膜31を形成する。
その第2窒化膜31は、プロセス中に発生する水分や水素等の還元性物質をブロックするために形成されるが、後述のように最終的には除去され、製品としての半導体装置には残存しない。そのため、本工程でのN2Oプラズマ処理は、窒化による還元性物質のブロック性能の向上よりも、処理コストの低減を優先させるべく、第2絶縁膜28に対するN2Oプラズマ処理(図4(b))よりも窒化の度合いを抑えるのが好ましい。
窒化の度合いを抑えるには、高周波電力のパワー、処理時間、及び基板温度のいずれかを図4(b)におけるよりも低下させる。例えば、高周波電力のパワーを525W、処理時間を120秒、基板温度を350℃とする。なお、ガス流量については、N2Oガスを1000sccm、N2ガスを285sccmとする。また、圧力は3.0Torrとする。高周波電力の周波数は図4(b)におけるのと同じである。
これにより、第1、第2窒化膜29、31によってキャパシタQの上方が覆われた構造が得られる。このような二層構造の窒化膜は、単層の窒化膜よりも水素や水分のブロック性に優れているので、製造途中でキャパシタ誘電体膜22aが水分等により還元された劣化するのを効果的に防止できる。
また、第2窒化膜31は、図19で示した第1窒化膜29における窒素濃度プロファイルと同様に、第3絶縁膜30の表層のみを窒化して得られたものであり、窒素濃度は第3絶縁膜30の深さ方向に沿って減少する。
そして、反応ガス中に水素を含むCVD法でこの第2窒化膜31を形成しようとすると水素によってキャパシタ誘電体膜22aが劣化するので、第1窒化膜29と同様に、第2窒化膜31は窒化処理によって形成するのが好ましい。
次に、図6に示すように、第2窒化膜31の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第1レジストパターン35を形成する。
次いで、第1レジストパターン35をマスクに用いながら、第2窒化膜31から第1カバー絶縁膜13までをドライエッチングすることにより、キャパシタQから間隔をおいた部分のこれらの絶縁膜に第1ホール36を形成する。
このドライエッチングは、平行平板型プラズマエッチング装置(不図示)において行われる。そして、酸化シリコンよりなる膜に対してはC4F8、O2、及びArの混合ガスがエッチングガスとして用いられ、窒化シリコンや酸窒化シリコンよりなる膜に対してはC4F8、CF4、O2、及びArの混合ガスがエッチングガスとして用いられる。
このエッチングが終了後、第1レジストパターン35は除去される。
次に、図7に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、第1ホール36の内面と第2窒化膜31の上に、厚さ約20nmのチタン膜と厚さ約50nmの窒化チタン膜とをこの順に形成し、これらをグルー膜とする。
次いで、グルー膜の上にCVD法によりタングステン膜を形成し、このタングステン膜で第1ホール36を完全に埋め込む。その後に、第2窒化膜31上の余分なグルー膜とタングステン膜をCMP法により除去し、これらの膜を第1ホール36内にのみ第1導電性プラグ37として残す。
このようにして形成された第1導電性プラグ37は、第1〜第3ソース/ドレイン領域8a〜8cや配線5bと電気的に接続される。
ところで、第1導電性プラグ37は、非常に酸化され易いタングステンを主に構成されているため、酸素含有雰囲気中で容易に酸化してコンタクト不良を引き起こす恐れがある。
そこで、第1導電性プラグ37の酸化を防止するために、第1導電性プラグ37と第2窒化膜31のそれぞれの上面に、酸化防止絶縁膜38としてCVD法により酸窒化シリコン膜を厚さ約100nmに形成する。
なお、酸窒化シリコン膜に代えて窒化シリコン膜を酸化防止絶縁膜38として形成してもよい。これについては後述の第2〜第4実施形態でも同様である。
次に、図8に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、酸化防止絶縁膜38上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第2レジストパターン45を形成する。
次いで、第2レジストパターン45をマスクにしながら、酸化防止絶縁膜38、第1、第2窒化膜29、31、第2、第3絶縁膜28、30、及び第2、第3アルミナ膜25、27をエッチングする。これにより、上部電極23aと下部電極21aのそれぞれの上に第2ホール41を形成する。
この後に、第2レジストパターン45は除去される。
このようにして形成された第2ホール41は、上部電極23aや下部電極21と後述の金属配線とを電気的に接続するために使用されるが、その側壁には酸化シリコンよりなる第2絶縁膜28が露出しており、その側壁から外部雰囲気の水分や水素が侵入して、図中の経路Pを通って水分等がキャパシタ誘電体膜22aに至るおそれがある。
また、このように側壁から第2絶縁膜28に水分が浸入すると、半導体装置が完成した後も水分が第2絶縁膜28に水分が残留し、その水分によってキャパシタQが劣化して、半導体装置を長期にわたって使用するのが困難になるという問題も発生する。
そこで、次の工程では、図9に示すように、第2ホール41の側壁の酸化シリコンをN2Oプラズマに曝して窒化することにより、窒化された側壁を絶縁性バリア膜47にする。その絶縁性バリア膜47は、酸化シリコンよりも水素又は水分を透過し難い材料である窒化シリコンよりなるため、側壁からキャパシタ誘電体膜22aに至る水分の侵入経路Pを遮断することができる。
このN2Oプラズマ処理の条件は特に限定されないが、図4(b)で説明した第2絶縁膜28に対するN2Oプラズマ処理のように窒化の度合いを高めた条件では、キャパシタ誘電体膜22aがダメージを受けるおそれがある。そのため、本実施形態では、図5(b)で説明した第3絶縁膜30に対するN2Oプラズマ処理と同じ条件を採用することで、窒化の度合いを抑制し、キャパシタ誘電体膜22aが受けるダメージを低減させる。
続いて、図10に示すように、ここまでの工程でキャパシタ誘電体膜22aが受けたダメージを回復させるために、酸素含有雰囲気となっている縦型炉にシリコン基板1を入れ、基板温度500℃、酸素ガス流量20リットル/分、及び処理時間60分の条件で、キャパシタ誘電体膜22aに対して回復アニールを施す。
この回復アニールは、本実施形態のように図9のN2Oプラズマ処理よりも後に行うのが好ましい。これらの工程順を逆にすると、回復アニールによってダメージから回復されたキャパシタ誘電体膜22aが、N2Oプラズマ処理によって再びダメージを受けてしまうからである。
また、第1導電性プラグ37の上に酸化防止絶縁膜38を形成したので、このように酸素含有雰囲気中でアニールを行っても、第1導電性プラグ37が酸化してコンタクト不良を引き起こすのが防止される。
次に、図11に示すように、酸窒化シリコンよりなる酸化防止絶縁膜38をエッチバックして除去する。
このエッチバックは、平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)装置において、アルゴンガス、C3F8ガス、及びCF4ガスの混合ガスをエッチングガスとして行われる。その条件は特に限定されないが、本実施形態ではアルゴンガスの流量を694sccm、C3F8ガスの流量を88sccm、CF4ガスの流量を191sccm、圧力を1700mTorr、周波数が13.56MHzの高周波電力のパワーを400W、エッチング時間を40秒とする。
このエッチング条件は、酸化シリコンよりも窒化シリコンを選択的にエッチングする条件であるため、酸化防止絶縁膜38だけでなくその下の第2窒化膜31もエッチングされると供に、酸化シリコンよりなる第3絶縁膜30がエッチングのストッパとなる。
また、このエッチングは異方性エッチングなので、第2ホール41の側壁に形成されている絶縁性バリア膜47はエッチングされずに残存する。
続いて、図12に示すように、第3絶縁膜30と第1導電性プラグ37のそれぞれの上面、及び第2ホール41の内にスパッタ法により金属積層膜を形成し、その金属積層膜をパターニングして一層目金属配線(導電性部材)50とする。本実施形態では、その金属積層膜として、約150nmの厚さの窒化チタン膜、約550nmの厚さの銅含有アルミニウム膜、約5nmの厚さのチタン膜、及び約150nmの厚さの窒化チタン膜をこの順に形成する。
金属積層膜をパターニングするためのエッチングでは、金属積層膜の残渣を残さないために、そのエッチング量を金属積層膜の厚さよりも多くするオーバーエッチングが行われる。そのようなオーバーエッチングをしても、第1窒化膜29にエッチングが及ぶのが第3絶縁膜30によって防止されるため、第1窒化膜29がエッチングによって膜減りせず、第1窒化膜29による水分や水素のブロック性を維持することが可能となる。
第3絶縁膜30が薄すぎると、第3絶縁膜30によるオーバーエッチングの吸収が困難となるので、20nm以上の厚さに第3絶縁膜30を形成するのが好ましい。
その一層目金属配線50のうち、キャパシタQの上に形成されたものは、上記の第2ホール41を通じてそれぞれ上部電極23aや下部電極21aと電気的に接続される。
その後、窒素雰囲気において基板温度350℃、処理時間30分の条件で第3絶縁膜30をアニールして脱水する。
次に、図13に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、一層目金属配線50と第3絶縁膜30の上に、スパッタ法により第4アルミナ膜51を厚さ約20nmに形成する。その第4アルミナ膜51は、水素や水分等の還元性物質をブロックしてキャパシタ誘電体膜22aを保護する機能を有する。
次いで、この第4アルミナ膜51の上に、TEOSガスを反応ガスとして使用するプラズマCVD法により酸化シリコン膜を厚さ約2600nmに形成し、この酸化シリコン膜を第4絶縁膜52とする。
そして、この第4絶縁膜52の上面をCMP法により研磨して平坦化した後、CMPにより吸湿した第4絶縁膜52を脱水する目的で、第4絶縁膜52対してN2Oプラズマ処理を行う。その条件は、例えば、基板温度350℃、処理時間4分である。
その後、TEOSガスを反応ガスとして使用するCVD法により、第4絶縁膜52の上に酸化シリコン膜を厚さ約100nmに形成し、その酸化シリコン膜を第2キャップ絶縁膜53とする。CMPの際に際4絶縁膜52の上面にマイクロスクラッチと呼ばれる小さな傷が形成されることがあるが、このように第2キャップ絶縁膜53を形成することで、その傷を埋め込むことが可能となる。
更に、この第2キャップ絶縁膜53の上に、水素等の還元性物質をブロックするための第5アルミナ膜54をスパッタ法で厚さ約50nmに形成する。
そして、TEOSガスを反応ガスとして使用するCVD法により、この第5アルミナ膜54の上に第2カバー絶縁膜55として酸化シリコン膜を約100nmの厚さに形成する。
その後に、第2カバー絶縁膜55に対してN2Oプラズマ処理を行い、第2カバー絶縁膜55を脱水する。そのプラズマ処理は、例えば基板温度350℃で約2分間行われる。
続いて、図14に示すように、第2カバー絶縁膜55から第4アルミナ膜51までをパターニングし、これらの膜に第3ホール58を形成する。
そして、この第3ホール58内と第2カバー絶縁膜55上とに、スパッタ法でグルー膜61として窒化チタン膜を約50nmの厚さに形成する。更に、このグルー膜61の上にCVD法によりタングステン膜を形成した後、第2カバー絶縁膜55上の余分なタングステン膜をエッチバックして除去し、タングステン膜を第3ホール58内のみに第2導電性プラグ60として残す。
なお、エッチバックに代えてCMPによりタングステンを除去してもよい。
次に、図15に示すように、グルー膜61と第2導電性プラグ60のそれぞれの上にスパッタ法で金属積層膜を形成し、その金属積層膜とグルー膜61とをパターニングして二層目金属配線62とする。その金属積層膜は、下から順に約550nmの厚さの銅含有アルミニウム膜、約5nmの厚さのチタン膜、及び約150nmの厚さの窒化チタン膜である。
次いで、図16に示すように、図13〜図14の工程を再び行うことにより、第5絶縁膜65、第3キャップ絶縁膜66、第6アルミナ膜67、及び第3カバー絶縁膜68をこの順に形成する。なお、第5絶縁膜65、第3キャップ絶縁膜66、及び第3カバー絶縁膜68は酸化シリコンよりなる。
そして、これらの膜をパターニングして第4ホール69を形成した後、窒化チタンよりなるグルー膜70とタングステンよりなる第3導電性プラグ71とを形成する。
次に、図17に示すように、グルー膜70と第3導電性プラグ71の上に、厚さが約500nmの銅含有アルミニウム膜と厚さが約150nmの窒化チタン膜をこの順に積層してなる金属積層膜スパッタ法で形成する。そして、この金属積層膜とグルー膜70とをパターニングし、三層目金属配線72を形成する。
続いて、図18に示すように、三層目金属配線72の上に、第1パッシベーション膜75としてCVD法で酸化シリコン膜を約100nmの厚さに形成する。そして、この第1パッシベーション膜75を脱水する目的で、基板温度350℃、処理時間2分の条件で、第1パッシベーション膜75に対してN2Oプラズマ処理を行う。
そして、酸化シリコンよりも水分ブロック性に優れた窒化シリコンよりなる第2パッシベーション膜76を第1パッシベーション膜75の上にCVD法で厚さ約350nmに形成する。
その後に、第2パッシベーション膜76の上にポリイミドよりなる保護絶縁膜77を形成し、本実施形態に係る半導体装置の基本構造を完成させる。
以上説明した本実施形態によれば、図4(b)と図5(b)とを参照して説明したように、第2、第3絶縁膜28、30のそれぞれの上面をN2Oプラズマにより窒化することにより、第1、第2窒化膜29、30を形成した。
このように窒化膜の二層構造を形成することで、図11の工程において酸窒化シリコンよりなる酸化防止絶縁膜38をエッチバックする際、第2窒化膜30がエッチングされても、酸化シリコンよりなる第3絶縁膜30がエッチングストッパとして機能するので、第1窒化膜29にまでエッチングが及ばない。
そのため、半導体装置が完成した状態でも第1窒化膜29が残存するので、第1窒化膜29による水分ブロック性が維持され、外部雰囲気中の水分や水素がキャパシタ誘電体膜22aに至るのを第1窒化膜29で効果的に阻止することが可能となる。これにより、耐湿性に優れた強誘電体キャパシタQを備えた半導体装置を提供することができると供に、該半導体装置の長期的な信頼性を向上させることができる。
図20は、第2絶縁膜28において残留若しくは再吸着する水分が、N2Oプラズマ処理により第2絶縁膜28に第1窒化膜29を形成することで、実際に低減することを示すグラフである。
このグラフはTDS(Thermal Desorption Method)により得られたものであり、横軸はサンプルの加熱時間を示し、縦軸はサンプルから脱離した水イオンの強度を示す。
これに示されるように、「第1窒化膜29無し」のサンプル1では、200℃〜400℃程度の温度で水分が出ている。これより高い温度になると、水分が出尽くしてしまうので、水分量は低下する。
これに対し、「第1窒化膜有り」のサンプル2〜6では、サンプル1と比較して出てくる水分量が少ない。
この結果から、N2Oプラズマ処理により第2絶縁膜28の上面に第1窒化膜29を形成することで、第2絶縁膜28に残留する水分や、第2絶縁膜28に再吸着する水分量が実際に低減することが明らかとなった。
更に、本実施形態では、図9に示したように、キャパシタQの下部電極21aや上部電極23aが露出する第2ホール41の側壁もN2Oプラズマにより窒化し、該側壁に絶縁性バリア膜47を形成したので、第2ホール41aの側壁からキャパシタQに水分や水素が侵入し難くなり、半導体装置の耐湿性が更に向上する。
これにより、製造途中で水分や水素によってキャパシタ誘電体膜22aが劣化するのが抑制され、キャパシタ誘電体膜22aの残留分極量等の強誘電体特性が向上する。しかも、半導体装置の完成後に第2絶縁膜28に残留する水分量が低減されるので、半導体装置を長期間使用しても強誘電体キャパシタQの性能を維持することが可能となり、半導体装置の長期信頼性も向上する。
・第1比較例
図21(a)、(b)に、第1比較例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
この比較例では、図5(a)で説明した第3絶縁膜30の形成を省略している。
そのため、図21(a)に示すように、図7で説明した酸化防止絶縁膜38の形成工程において、第1窒化膜29の上に酸化防止絶縁膜38が直接形成されることになる。
この状態で、図11で説明した酸化防止絶縁膜38のエッチバックを行うと、図21(b)に示すように、酸窒化シリコンよりなる酸化防止絶縁膜38と供に第1窒化膜29もエッチングされて除去されてしまう。
その結果、第2絶縁膜28の上面には、水分や水素等の還元性物質からキャパシタ誘電体膜22aを保護するための窒化膜が存在しなくなり、強誘電体キャパシタQを備えた半導体装置の耐湿性が劣化することになる。
・第2比較例
図22は、第2比較例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
第1比較例では、既述のように、第2絶縁膜28の上面から窒化膜が消失し、半導体装置の耐湿性が低下した。
この問題に鑑み、図22に示すように、第2絶縁膜28の途中の深さに、水分や水素に対するブロック性に優れたアルミナ膜等の絶縁性酸化金属膜79を挿入することも考えられる。
このように絶縁性酸化金属膜79を形成することで、第1比較例よりは半導体装置の耐湿性が向上する。
しかし、アルミナ等の絶縁性酸化金属は化学反応を用いてエッチングするのが困難なので、エッチングにより第2絶縁膜28に第1ホール36や第2ホール41を形成する工程(図6、図8)において、これらのホールの深さをコントロールするのが難しい。そのため、オーバーエッチングによって第2ホール41下の上部電極23aが大きく掘られる場合がある。本願発明者の調査によると、このように上部電極23aがエッチングされると、その下のキャパシタ誘電体膜22aの強誘電体特性、例えば残留分極電荷量が低下することが明らかとなった。
これに対し、本実施形態で形成される第1、第2窒化膜29、31は化学的に容易にエッチングできるので、各ホール36、41の深さをコントロールし易くなり、不必要に上部電極23aがエッチングされる危険性が無い。
(2)第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図23〜図26は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。
第1実施形態では、図9に示したように、第2ホール41の側壁を窒化して絶縁性バリア膜47を形成し、側壁からキャパシタ誘電体膜22aに至る水分の侵入経路を遮断した。
これに対し、本実施形態では、第2ホール41の側壁を窒化せずに、以下のようにして絶縁性バリア膜を形成する。
最初に、図23に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、第1実施形態で説明した図1〜図8の工程を行った後、第2ホール41内と酸化防止絶縁膜38上とにALD(Atomic Layer Deposition)法によりアルミナ膜を厚さ約20nm〜50nmに形成し、そのアルミナ膜を絶縁性バリア膜80とする。
ALD法での成膜条件は特に限定されないが、本実施形態では、オゾンガスと流量が100sccm〜300sccmのTMA(trimethyl aluminum)ガスとを5秒程度の周期で交互にチャンバに供給する。このときのオゾンガスの流量は、チャンバ内の圧力が0.8Torr〜1.0Torrになるような流量とする。
絶縁性バリア膜80の成膜方法としてALD法を用いることで、スパッタ法を用いる場合よりもキャパシタ誘電体膜22aが成膜時に受けるダメージを低減することができる。
但し、キャパシタ誘電体膜22aが受けるダメージが問題にならないなら、スパッタ法でキャパシタ誘電体膜22aを形成するようにしてもよい。
また、絶縁性バリア膜80は、酸化シリコンよりも水素又は水分を透過し難い材料である絶縁性酸化金属よりなる膜であればアルミナ膜に限定されない。そのような絶縁性酸化金属としては、酸化チタン(TiOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化マグネシウム(MgOx)、及び酸化チタンマグネシウム(MgTiOx)があり、このうちのいずれかで絶縁性バリア膜80を構成し得る。これらの絶縁性酸化金属膜は、水分や水素等の還元性物質をブロックする機能に優れており、還元性物質からキャパシタ誘電体膜22aを保護する絶縁性バリア膜80として好適である。
なお、還元性物質をブロックする機能を十分に確保するには、絶縁性バリア膜80を20nm以上の厚さに形成するのが好ましい。但し、その膜厚を厚くし過ぎると、後述の工程で絶縁性バリア膜80をエッチバックするのが困難となるので、その膜厚は50nm以下とするのが好ましい。
次いで、図24に示すように、ここまでの工程でキャパシタ誘電体膜22aが受けたダメージを回復させるため、酸素含有雰囲気においてキャパシタ誘電体膜22aに対して回復アニールを行う。
その回復アニールは、縦型炉において、基板温度を500℃、酸素流量を20リットル/分、処理時間を60分として行われる。
続いて、図25に示すように、絶縁性バリア膜80と酸化防止絶縁膜38を異方的にエッチバックすることにより、第2ホール41の底部から絶縁性バリア膜80を選択的に除去すると供に、第2ホール41の側壁に絶縁性バリア膜80を残す。
このエッチバックの条件は特に限定されない。本実施形態では、平行平板型RIE装置において、アルゴンガス、C3F8ガス、及びCF4ガスの混合ガスをエッチングガスとしてこのエッチバックを行う。また、アルゴンガスの流量を694sccm、C3F8ガスの流量を88sccm、CF4ガスの流量を191sccm、圧力を1700mTorr、周波数が13.56MHzの高周波パワーの電力を400W、処理時間を40秒とする。
この後は、第1実施形態で説明した図12〜図18の工程を行うことにより、図26に示すような本実施形態に係る半導体装置の基本構造を完成させる。
以上説明した本実施形態によれば、図25に示したように、絶縁性酸化金属よりなる絶縁性バリア膜80を第2ホール41の側壁に形成した。
これにより、外部雰囲気中の水分や水素等の還元性物質が第2ホール41の側壁を通ってキャパシタ誘電体膜22aに至るのが防止されるので、還元性物質によってキャパシタ誘電体膜22aが還元されて劣化するのを抑制することができる。
(3)第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
本実施形態でも、第2実施形態と同様にアルミナ等により絶縁性バリア膜80を形成する。但し、本実施形態は、第2ホール41の側壁に絶縁性バリア膜80を残す方法が第2実施形態と異なる。
図27〜図32は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。
まず、第1実施形態で説明した図1〜図8の工程を行った後、酸化防止絶縁膜38(図8参照)をエッチバックして除去することにより、図27に示す断面構造を得る。なお、そのエッチバック条件は、図11で説明したのと同様なので、ここでは省略する。
次いで、図28に示すように、第2実施形態の図23で説明したのと同じ成膜条件を用いて、第3絶縁膜30上、第1導電性プラグ37上、及び第2ホール41内に絶縁性バリア膜80としてアルミナ膜を形成する。
第2実施形態で説明したように、キャパシタ誘電体膜22aが受けるダメージを低減するという観点からすると、スパッタ法よりもALD法で絶縁性バリア膜80を形成するのが好ましい。
絶縁性バリア膜80はアルミナ膜に限定されない。アルミナ以外の絶縁性酸化金属、例えば酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、及び酸化チタンマグネシウムのいずれかで絶縁性バリア膜80を構成し得る。これらの材料は、酸化シリコンよりも水素又は水分を透過させ難いので、絶縁性バリア膜80として好適である。
次に、図29に示すように、絶縁性バリア膜80の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像することにより、第3レジストパターン81を形成する。
そして、第3レジストパターン81をマスクにして絶縁性バリア膜80をエッチングすることにより、第2ホール41の底部の絶縁性バリア膜80を選択的に除去すると供に、第2ホール41の側壁に絶縁性バリア膜80を残す。
なお、第1導電性プラグ37上の絶縁性バリア膜80は、このエッチングでは除去されずに残存したままとなる。
この後に、第3レジストパターン81は除去される。
続いて、図30に示すように、ここまでの工程でキャパシタ誘電体膜22aが受けたダメージを回復させるため、酸素含有雰囲気となっている縦型炉においてキャパシタ誘電体膜22aに対して回復アニールを行う。その回復アニールの条件は、例えば、基板温度が500℃、酸素流量が20リットル/分、処理時間が60分である。
次いで、図31に示すように、シリコン基板1の上側全面にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第4レジストパターン82を形成する。
次に、第4レジストパターン82をマスクにして絶縁性バリア膜80をエッチングする。これにより、絶縁性バリア膜80がパターニングされて、第1導電性プラグ37の上の絶縁性バリア膜80が選択的に除去される。
なお、第3絶縁膜30上の一部の絶縁性バリア膜80は、このパターニングでも除去されず、第1導電性プラグ37の横に残存する。
このエッチングを終了後、第4レジストパターン82は除去される。
この後は、第1実施形態で説明した図12〜図18の工程を行うことにより、図32に示すような本実施形態に係る半導体装置の基本構造を完成させる。
以上説明した本実施形態によれば、図30に示したように、回復アニールのときに第1導電性プラグ37上に絶縁性バリア膜80が形成されているので、アニール雰囲気中の酸素から第1導電性プラグ37を保護することができ、第1導電性プラグ37を構成するタングステンが酸化することに起因した第1導電性プラグ37のコンタクト不良を防止できる。
また、第3絶縁膜30の上面の一部に残存した絶縁性バリア膜80により、水分等の還元性物質が外部からキャパシタ誘電体膜22aに至るのをある程度抑制することができる。
更に、第2実施形態と同様に、第2ホール41の側壁に絶縁性バリア膜80が形成されるので、外部雰囲気中の水素や水分が第2ホール41の側壁からキャパシタ誘電体膜22aに至るのを防止でき、半導体装置の耐湿性を高めることができる。
(4)第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図33〜図40は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。なお、これらの図において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態と同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
この半導体装置を製造するには、まず、第1実施形態で説明した図1(a)〜図5(b)の工程を行う。
次いで、図33に示すように、第2窒化膜31の上に、バッファ絶縁膜85として酸化シリコン膜を20〜100nmの厚さに形成する。その酸化シリコン膜はCVD法により形成され、TEOSガスがその反応ガスとして使用される。
本実施形態は、このようにバッファ絶縁膜85を形成する点で第1実施形態と相違する。
また、膜中に水分が含まれ易い塗布法でバッファ絶縁膜85を形成すると、膜中の水分によってキャパシタ誘電体膜22aが劣化し易いので、CVD法によりバッファ絶縁膜85を形成するのが好ましい。
なお、バッファ絶縁膜85は、一層目金属配線を形成する前に形成されるものであるから、配線を介さずに第2窒化膜31の上に直接形成される。
次いで、図34に示すように、第1実施形態の図6の工程と同様に、第1レジストパターン35をマスクにしてバッファ絶縁膜85から第1カバー絶縁膜13までをドライエッチングして、キャパシタQから間隔をおいた部分のこれらの絶縁膜に第1ホール36を形成する。
このエッチングを終了後、第1レジストパターン35は除去される。
次いで、図35に示すように、第1実施形態と同じようにして第1ホール36内に第1導電性プラグ37を埋め込む。そして、酸化され易いタングステンを主にして構成される第1導電性プラグ37を酸素含有雰囲気から保護すべく、第1導電性プラグ37とバッファ絶縁膜85のそれぞれの上面に、酸化防止絶縁膜38としてCVD法により酸窒化シリコン膜を厚さ約100nmに形成する。
次に、図36に示すように、第1実施形態と同様に酸化防止絶縁膜38の上に第2レジストパターン45を形成する。
そして、この第2レジストパターン45をマスクにして酸化防止絶縁膜38から第2アルミナ膜25をエッチングし、下部電極21aと上部電極23aの上のこれらの膜に第2ホール41を形成する。
この後に、第2レジストパターン45は除去される。
次いで、図37に示すように、第1実施形態の図10で説明したのと同じ条件を用いて、酸素含有雰囲気中でキャパシタ誘電体膜22aに対して回復アニールを行う。
このように回復アニールを行っても、第1導電性プラグ37の上に予め酸化防止絶縁膜38を形成しておいたので、第1導電性プラグ37の酸化を防止することができる。
次に、図38に示すように、酸窒化シリコンよりなる酸化防止絶縁膜38をエッチバックして除去する。
このエッチバックは、第1実施形態と同じエッチング条件で行われ、アルゴンガス、C3F8ガス、及びCF4ガスの混合ガスがエッチングガスとして使用される。
このエッチングガスに対し、酸化シリコンよりなるバッファ絶縁膜85はエッチング耐性を有するので、このエッチバックにおいてバッファ絶縁膜85は除去されずに残存する。そのため、第1実施形態ではこのエッチバックによりエッチングされた第2窒化膜31が、バッファ絶縁膜85によってエッチング雰囲気から保護されるようになり、エッチバックが終了した後も第2窒化膜31はエッチングされずに残存する。
次に、図39に示すように、バッファ絶縁膜85と第1導電性プラグ37のそれぞれの上面、及び第2ホール41の内面にスパッタ法により金属積層膜を形成する。その金属積層膜は、下から順に、約150nmの厚さの窒化チタン膜、約550nmの厚さの銅含有アルミニウム膜、約5nmの厚さのチタン膜、及び約150nmの厚さの窒化チタン膜である。
そして、エッチングによりこの金属積層膜をパターニングすることにより、バッファ絶縁膜85の上に一層目金属配線50を形成する。
このエッチングでは、金属積層膜のエッチング残渣を残さないために、そのエッチング量を金属積層膜の厚さよりも厚くするオーバーエッチングが行われる。このようにオーバーエッチングをしても、バッファ絶縁膜85によってエッチングが吸収されるため、第2窒化膜31がエッチングされることはない。
この後は、第1実施形態で説明した図13〜図18の工程を行うことにより、図40に示すような本実施形態に係る半導体装置の基本構造を完成させる。
以上説明したように、本実施形態によれば、第2窒化膜31の上に酸化シリコンよりなるバッファ絶縁膜85を形成した。そのため、酸窒化シリコンよりなる酸化防止絶縁膜38をエッチバックする工程(図38)や、エッチングにより一層目金属配線50を形成する工程(図39)において、第2窒化膜31にエッチングが及ぶのをバッファ絶縁膜85で阻止することができ、第2窒化膜31が形成されたままにすることができる。その結果、第1窒化膜29と第2窒化膜31の2つの窒化膜によって水分や水素をブロックすることができ、最終的に第1窒化膜29しか残らない第1実施形態と比較して、強誘電体キャパシタQを備えた半導体装置の耐湿性を更に向上させることが可能となる。
(5)第5実施形態
上記した第1〜第4実施形態ではプレーナ型のFeRAMについて説明した。これに対し、本実施形態では、スタック型のFeRAMについて説明する。
図41〜図56は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。なお、これらの図において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態と同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
最初に、図41(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、第1実施形態の図1(a)の工程を行った後、シリコン基板1の上側全面に、カバー絶縁膜88としてプラズマCVD法で酸窒化シリコン膜を厚さ約200nmに形成する。
次いで、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により、このカバー絶縁膜88の上に第1絶縁膜89として酸化シリコン膜を厚さ約600nmに形成する。そして、CMP法によりこの第1絶縁膜89を約200nm程度研磨し、第1絶縁膜89の上面を平坦化する。
その後に、これらの絶縁膜88、89の脱水処理として、窒素雰囲気中において基板温度を約650℃とするアニールを約30分間行う。
そして、絶縁膜88、89をパターニングすることにより、これらの絶縁膜に第1ホール89aを形成する。次いで、第1ホール89a内と第1絶縁膜89上にグルー膜としてチタン膜と窒化チタン膜をこの順に形成する。これらの膜はスパッタ法により形成され、チタン膜の厚さは約20nm、窒化チタン膜の厚さは約50nmとされる。
更に、このグルー膜の上にCVD法でタングステン膜を形成し、そのタングステン膜で第1ホール89aを完全に埋め込む。そして、CMP法により第1絶縁膜89上の余分なグルー膜とタングステン膜を研磨して除去し、これらの膜を第1ホール89a内にのみ第1導電性プラグ90として残す。
その後に、第1絶縁膜89をN2Oプラズマに曝して脱水すると供に、その表面を窒化して水分の再吸着を防止する。そのN2Oプラズマ処理の条件は特に限定されないが、本実施形態では基板温度を350℃として2分間その処理を行う。
次に、図41(b)に示すように、第1導電性プラグ90の酸化を防ぐ第1酸化防止絶縁膜92として、CVD法により酸窒化シリコン膜を厚さ約100nmに形成する。
なお、酸窒化シリコン膜に代えて窒化シリコン膜を第1酸化防止絶縁膜92として形成してもよい。これについては後述の第6実施形態でも同様である。
更に、後述のキャパシタの下部電極との密着性を高めるべく、第1酸化防止絶縁膜92の上に酸化シリコン膜を厚さ約100nmに形成し、その酸化シリコン膜を絶縁性密着膜93とする。
続いて、図42(a)に示すように、各絶縁膜92、93をパターニングして第1ソース/ドレイン領域8a上のこれらの絶縁膜に第2ホール93aを形成し、更にこの第2ホール93a内に第2導電性プラグ94を形成する。
その第2導電性プラグ94は、チタン膜と窒化チタン膜との積層膜よりなるグルー膜と、タングステン膜とをこの順に形成してなり、その形成方法は第1導電性プラグ90と同様である。
その後、基板温度350℃、処理時間2分の条件で、N2Oプラズマ処理により絶縁性密着膜93の脱水と水分の再吸着防止を図る
次に、図42(b)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、絶縁性密着膜93の上に、スパッタ法で厚さ約20nmのチタン膜95xを形成する。このチタン膜95xは、自身の配向の作用によってその上方に形成される強誘電体膜の配向を揃える役割を果たす。
次いで、チタン膜95xの上に、スパッタ法により厚さ約100nmの窒化チタンアルミニウム(TiAlN)膜95yと厚さ約100nmの酸化イリジウム膜95zとをこの順に形成し、各膜95x〜95yで第1導電膜95を構成する。
このように第1導電膜95中に窒化チタンアルミニウム膜95yを形成することで、後述の酸素含有雰囲気中での回復アニールの際に酸素が酸化イリジウム膜95zを透過しても、その酸素を窒化チタンアルミニウム膜95yでブロックすることができ、第2導電性プラグ94が酸化してコンタクト不良を起こすのを抑制できる。なお、窒化チタンアルミニウム膜95yは、酸化しても導電性を保つので、このようにプラグ94上で酸素をブロックする膜として好適である。
次に、この第1導電膜95の上にMOCVD法によりPZT膜を厚さ約120nmに形成し、そのPZT膜を強誘電体膜96とする。
次に、強誘電体膜96の上に、スパッタ法で第1酸化イリジウム膜を厚さ約50nmに形成し、この第1酸化イリジウム膜に対して酸素含有雰囲気中でRTAを施す。そのRTAの条件は、例えば、基板温度が725℃で処理時間が60秒である。また、アニール雰囲気には0.025リットル/分の酸素ガスが供給される。
その後に、第1酸化イリジウム膜の上にスパッタ法により第2酸化イリジウム膜を厚さ約100nmに形成し、これら第1、第2酸化イリジウム膜よりなる積層膜を第2導電膜97とする。
そして、この第2導電膜97に対し、基板温度700℃、酸素流量0.025リットル/分、処理時間60秒の条件で、酸素含有雰囲気中においてRTAを行う。
続いて、図43に示すように、第2導電膜97の上に、第1マスク材料層98としてスパッタ法により窒化チタン膜を厚さ約200nmに形成する。
更に、TEOSガスを用いるCVD法により、この第1マスク材料層98の上に酸化シリコン膜を厚さ約700nmに形成し、この酸化シリコン膜を第2マスク材料層99とする。
その後に、第2マスク材料層99上に、キャパシタ平面形状の第1レジストパターン91を形成する。
次に、図44に示すように、第1レジストパターン91をマスクにして第2マスク材料層99をエッチングし、第2ハードマスク99aを形成する。
更に、図45に示すように、第2ハードマスク99aをマスクにしながら第1マスク材料層98をエッチングすることにより、第1ハードマスク98aを形成する。第1レジストパターン91は、このエッチングの雰囲気に曝されることで膜減りし、エッチングの終了時には殆ど消失する。
次いで、図46に示すように、第1、第2ハードマスク98a、99aをマスクにしながら、第1導電膜95、強誘電体膜96、及び第2導電膜97を一括エッチングする。これにより、下部電極95a、キャパシタ誘電体膜96a、及び上部電極97aをこの順に積層してなるキャパシタQが図示のように形成される。
このキャパシタQを構成する下部電極95aは、第2導電性プラグ94と直接接続されており、更にその下の第1導電性プラグ90を介して第1ソース/ドレイン領域8aと電気的に接続される。
また、このようにキャパシタQの直下において第1、第2導電性プラグ90、94の二段プラグとし、これらのプラグが埋め込まれるホール89a、93aを別々に形成することで、これらのホールのアスペクト比が小さくなり、ホール形成が容易となる。
この後に、第1、第2ハードマスク98a、99aをドライエッチングとウエットエッチングによって除去する。
そして、ここまでの工程においてキャパシタ誘電体膜96aが受けたダメージを回復するため、酸素含有雰囲気となっている縦型炉においてキャパシタ誘電体膜96aに対して回復アニールを行う。その回復アニールの条件は特に限定されない。本実施形態では、基板温度350℃、酸素流量20リットル/分、処理時間40分の条件でそのアニールを行う。
次に、図47に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、シリコン基板1の上側全面に、水分や水素等の還元性物質からキャパシタ誘電体膜96aを保護するために、これらの還元性物質をブロックする能力に優れた第1アルミナ膜100をALD法で厚さ約50nmに形成する。
次いで、この第1アルミナ膜100の上に、第2絶縁膜101として酸化シリコン膜を約1500nmの厚さに形成する。この酸化シリコン膜は、隣接するキャパシタQ間の狭い空間を埋め込むため、埋め込み特性に優れたHDPCVD(High Density Plasma CVD)法で形成するのが好ましい。
そして、この第2絶縁膜101の上面をCMP法により研磨して平坦化した後、還元性物質からキャパシタ誘電体膜96aを保護するための第2アルミナ膜102を第2絶縁膜101の上にALD法で約50nmの厚さに形成する。
更に、第2アルミナ膜102の上に、第3絶縁膜103として厚さが約100nmの酸化シリコン膜を形成する。その酸化シリコン膜は、TEOSガスを使用するCVD法により形成され得る。
次いで、図48に示すように、第3絶縁膜103の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第2レジストパターン105を形成する。
そして、この第2レジストパターン105をマスクにして第3絶縁膜103から第1酸化防止絶縁膜92までをエッチングすることにより、第1導電性プラグ90の上のこれらの絶縁膜に第3ホール107を形成する。
その後に、第2レジストパターン105は除去される。
次に、図49に示すように、第3ホール107内と第3絶縁膜103上とにスパッタ法でグルー膜として厚さ約20nmのチタン膜と厚さ約50nmの窒化チタン膜をこの順に形成する。更に、このグルー膜の上にCVD法によりタングステン膜を形成し、そのタングステン膜で第3ホール107を完全に埋め込む。そして、第3絶縁膜103上の余分なグルー膜とタングステン膜とをCMP法により研磨して除去し、これらの膜を第3ホール107内にのみ第3導電性プラグ108として残す。第3導電性プラグ108は、その下の第1導電性プラグ90に直接接続される。
また、第3導電性プラグ108は、酸化され易いタングステンを主にして構成されるので、半導体装置の製造途中で酸化してコンタクト不良を起こし易い。
そこで、次の工程では、図50に示すように、第3導電性プラグ108と第3絶縁膜103のそれぞれの上に第2酸化防止絶縁膜110としてCVD法により酸窒化シリコン膜を厚さ約100nmに形成し、酸素含有雰囲気から第3導電性プラグ108を保護するようにする。
次に、図51に示すように、第2酸化防止絶縁膜110の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第3レジストパターン111を形成する。
そして、第3レジストパターン111をマスクにして第2酸化防止絶縁膜110から第1アルミナ膜100までをエッチングし、上部電極97aの上のこれらの膜に第4ホール112を形成する。
このエッチングを終了後、第3レジストパターン111を除去する。
ところで、この第4ホール112の側壁には酸化シリコンよりなる第2絶縁膜101が露出しているので、外部雰囲気中の水分や水素がその側壁から侵入し、第1実施形態で説明したような経路Pを通って水分等がキャパシタ誘電体膜96aに至る恐れがある。
そこで、次の工程では、図52に示すように、第4ホール112の側壁をN2Oプラズマに曝して窒化することにより、窒化された側壁を絶縁性バリア膜114にし、側壁からキャパシタ誘電体膜96aに至る水分の侵入経路Pを遮断する。
第1実施形態で説明したように、窒化シリコンは酸化シリコンよりも水素又は水分を透過させ難いので、絶縁性バリア膜114として好適である。
このN2Oプラズマ処理の条件は特に限定されない。本実施形態ではPVD装置に流量が1000sccmのN2Oガスと流量が285sccmのN2ガスとを供給し、これらのガスを周波数が13.56MHzでパワーが525Wの高周波電力でプラズマ化し、圧力3.0Torr、基板温度350℃、及び処理時間120秒の条件でこのN2Oプラズマ処理を行う。
次いで、図53に示すように、ここまでの工程でキャパシタ誘電体膜96aが受けたダメージを回復させるために、縦型炉を用いて酸素含有雰囲気中においてキャパシタ誘電体膜96aに対して回復アニールを行う。
その回復アニールの条件は、例えば、基板温度500℃、酸素ガス流量20リットル/分、及び処理時間60分である。
このように酸素含有雰囲気でアニールを行っても、第3導電性プラグ108は第2酸化防止絶縁膜110で保護されているため、タングステンを主にして構成される第3導電性プラグ108が酸化してコンタクト不良が発生することはない。
続いて、図54に示すように、平行平板型RIE装置を用いて、酸窒化シリコンよりなる第2酸化防止絶縁膜110をエッチバックして除去する。このエッチバックでは、アルゴンガス、C3F8ガス、及びCF4ガスの混合ガスがエッチングガスとして使用される。各ガスの流量は、例えば、アルゴンガスが694sccm、C3F8ガスが88sccm、CF4ガスが191sccmである。また、エッチング時の圧力は1700mTorrである。そして、周波数が13.56MHzでパワーが400Wの高周波電力をエッチング雰囲気に印加し、エッチング時間を40秒とする。
なお、このエッチングは異方性エッチングであるため、第4ホール112の側壁に形成された絶縁性バリア膜114はエッチングされずに残存する。
次いで、図55に示すように、上部電極97aと接続されるように、第4ホール112内に第4導電性プラグ(導電性部材)117を形成する。
そのような第4導電性プラグ117を形成するには、第4ホール114内と第3絶縁膜103上とにグルー膜として窒化チタン膜をスパッタ法で厚さ約50nmに形成し、更にこのグルー膜の上にCVD法でタングステン膜を形成して、そのタングステン膜で第4ホール112を完全に埋め込む。そして、第3絶縁膜103上の余分なグルー膜とタングステン膜とをCMP法により研磨して除去することで、これらの膜で構成される第4導電性プラグ117が第4ホール112内に形成され得る。
次に、図56に示すように、第4導電性プラグ117と第3絶縁膜103のそれぞれの上にスパッタ法で金属積層膜を形成し、その金属積層膜をパターニングして一層目金属配線120を形成する。その金属積層膜は、下から順に約550nmの厚さの銅含有アルミニウム膜、約5nmの厚さのチタン膜、及び約150nmの厚さの窒化チタン膜である。
以上により、本実施形態に係る半導体装置の基本構造が完成した。
上記した本実施形態によれば、図52を参照して説明したように、第4ホール112の側壁に露出している第2絶縁膜101を窒化して絶縁性バリア膜114にしたので、外部の水分や水素等の還元性物質が該側壁を通ってキャパシタ誘電体膜96aに至るのが阻止され、これらの還元性物質に起因したキャパシタ誘電体膜22aの劣化を防止することができ、半導体装置の耐湿性を高めることが可能となる。
(6)第6実施形態
次に、本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図57〜図60は、本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。
第5実施形態では、図52に示したように、第4ホール112の側壁を窒化して絶縁性バリア膜114を形成し、側壁からキャパシタ誘電体膜96aに至る水分の侵入経路を遮断した。
これに対し、本実施形態では、以下のようにしてアルミナ膜等の絶縁性酸化金属膜を絶縁性バリア膜として形成する。
最初に、図57に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、第5実施形態で説明した図41〜図51の工程を行った後、第4ホール112内と第2酸化防止絶縁膜110の上に、絶縁性バリア膜130としてアルミナ膜を厚さ約20〜50nmに形成する。
そのアルミナ膜の成膜方法は限定されないが、成膜時にキャパシタ誘電体膜96aが受けるダメージを低減するという観点からすると、ALD法でアルミナ膜を形成するのが好ましい。その場合、成膜ガスとしてはTMAガスが用いられる。そして、チャンバ内の圧力が0.8Torr〜1.0Torrになるようにオゾンガスの流量を調節しながら、オゾンガスと流量が100sccm〜300sccmのTMAガスとを5秒程度の周期で交互にチャンバに供給することで、アルミナ膜が形成される。
なお、キャパシタ誘電体膜96aが受けるダメージが問題にならないなら、スパッタ法によりアルミナ膜を形成してもよい。
また、絶縁性バリア膜130は、酸化シリコンよりも水素又は水分を透過させ難い材料である絶縁性酸化金属よりなる膜であればアルミナ膜に限定されない。そのような絶縁性酸化金属としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、及び酸化チタンマグネシウムがあり、このうちのいずれかで絶縁性バリア膜130を構成し得る。
次に、図58に示すように、ここまでの工程でキャパシタ誘電体膜96aが受けたダメージを回復するため、酸素含有雰囲気の縦型炉においてキャパシタ誘電体膜96aに対して回復アニールを行う。その回復アニールの条件は、例えば、基板温度500℃、酸素ガス流量20リットル/分、及び処理時間60分である。
続いて、図59に示すように、絶縁性バリア膜130と第2酸化防止絶縁膜110とをエッチバックすることにより、第4ホール112の底部と第3絶縁膜103上の絶縁性バリア膜130を除去し、該絶縁性バリア膜130を第4ホール112の側壁に選択的に残す。
そのようなエッチバックは、アルゴンガス、C3F8ガス、及びCF4ガスの混合ガスをエッチングガスとして用い、平行平板型RIE装置において行われる。なお、各ガスの流量や圧力等の条件は図54で説明したのと同じなので、ここでは省略する。
この後は、第5実施形態で説明した図55〜図56の工程を行うことにより、図60に示すような本実施形態に係る半導体装置の基本構造を完成させる。
以上説明した本実施形態によれば、図59に示したように、絶縁性酸化金属よりなる絶縁性バリア膜130を第4ホール112の側壁に形成した。
これにより、第5実施形態と同様に、外部雰囲気中の水分や水素等の還元性物質が第4ホール112の側壁を通ってキャパシタ誘電体膜96aに至るのが防止されるので、還元性物質によってキャパシタ誘電体膜96aが還元されて劣化するのを抑制することができる。
1…シリコン基板、2、3…第1、第2pウェル、4…ゲート絶縁膜、5a…ゲート絶縁膜、5b…配線、6a〜6c…第1〜第3ソース/ドレインエクステンション、7…絶縁性スペーサ、8a〜8c…第1〜第3ソース/ドレイン領域、9…高融点シリサイド層、10…素子分離絶縁膜、13…第1カバー絶縁膜、14…第1絶縁膜、15…第1キャップ絶縁膜、16…第1アルミナ膜、21…第1導電膜、21a…下部電極、22…強誘電体膜、22a…キャパシタ誘電体膜、23…第2導電膜、23a…上部電極、25…第2アルミナ膜、27…第3アルミナ膜、28…第2絶縁膜、29…第1窒化膜、30…第3絶縁膜、31…第2窒化膜、35…第1レジストパターン、36…第1ホール、37…第1導電性プラグ、38…酸化防止絶縁膜、41…第2ホール、45…第2レジストパターン、47…絶縁性バリア膜、50…一層目金属配線、51…第4アルミナ膜、52…第4絶縁膜、53…第2キャップ絶縁膜、54…第5アルミナ膜、55…第2カバー絶縁膜、58…第3ホール、60…第2導電性プラグ、61…グルー膜、62…二層目金属配線、65…第5絶縁膜、66…第3キャップ絶縁膜、67…第6アルミナ膜、68…第3カバー絶縁膜、69…第4ホール、70…グルー膜、71…第3導電性プラグ、72…三層目金属配線、75…第1パッシベーション膜、76…第2パッシベーション膜、77…保護絶縁膜、80…絶縁性バリア膜、81…第3レジストパターン、82…第4レジストパターン、85…バッファ絶縁膜、88…カバー絶縁膜、89…第1絶縁膜、89a…第1ホール、90…第1導電性プラグ、91…第1レジストパターン、92…第1酸化防止絶縁膜、93…絶縁性密着膜、94…第2導電性プラグ、95x…チタン膜、95y…窒化チタンアルミニウム膜、95z…酸化イリジウム膜、95…第1導電膜、95a…下部電極、96…強誘電体膜、96a…キャパシタ誘電体膜、97…第2導電膜、97a…上部電極、98…第1マスク材料層、98a…第1ハードマスク、99…第2マスク材料層、100…第1アルミナ膜、101…第2絶縁膜、102…第2アルミナ膜、103…第3絶縁膜、105…第2レジストパターン、107…第3ホール、108…第3導電性プラグ、110…第2酸化防止絶縁膜、111…第3レジストパターン、112…第4ホール、114…絶縁性バリア膜、117…第4導電性プラグ、120…一層目金属配線、130…絶縁性バリア膜。