JP2009107349A - 平版印刷版の製版方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱により画像を形成し、プレートを経時した際でも良好な機上現像性を示し、かつ、より多くの印刷物を得ることができる平版印刷版用原版を提供する。
【解決手段】親水性支持体上に、画像形成に用いる熱で外壁が破れることなく、かつ熱により反応する官能基を有する化合物を含有しているマイクロカプセルからなる感熱層を設け、さらに光熱変換材料を感熱層かその隣接する層に含有していることを特徴とし、該マイクロカプセルの表面および表面付近の少なくともいずれかに該マイクロカプセルより拡散した前記化合物が存在することが好ましく、該親水性支持体が粗面化処理を行なった後、陽極酸化処理を行なったアルミニウム基板であることをが好ましく、該アルミニウム基板がさらにシリケート処理を行なったものであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は親水性表面を有する支持体、及び親水性の画像形成層からなるネガ型の平版印刷版用原版に関する。より詳しくは、ディジタル信号に基づいた走査露光による製版が可能であり、高感度且つ高耐刷性で残色、汚れのない印刷物を与えることが可能な平版印刷版用原版に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインクを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。このような平版印刷版用原版としては、従来、親水性支持体上に、親油性の感光性樹脂層(インク受容層)を設けたPS版が広く用いられ、その平版印刷版用原版からの平版印刷版の製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光した後、非画像部を現像液によって溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。
近年、画像情報をコンピュータを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広く普及してきており、この様な、ディジタル化技術に対応した、新しい画像出力方式が種々実用される様になってきた。これに伴い、レーザ光の様な指向性の高い活性放射線をディジタル化された画像情報に応じて走査し、リスフィルムを介することなく、直接印刷版を製造するコンピュータトゥ プレート(CTP)技術が切望されており、これに適応した印刷版用原版を得ることが重要な技術課題となっている。
他方、従来のPS版に於ける製版行程は、露光の後、非画像部を溶解除去する工程が不可欠であり、この様な付加的な湿式の処理が不可欠であるという点は、従来技術に対し、改善の望まれてきたもう一つの課題である。特に近年は、地球環境への配慮が産業界全体の大きな関心事となっている。処理の簡素化、乾式化、無処理化は、この様な環境面と、先述のディジタル化に伴った工程の合理化の両方の観点から、従来にも増して、強く望まれるようになっている。
この様な観点から、従来の処理工程をなくす方法の一つとして次のような方法が提案されている。即ち、印刷版用原版の非画像部の除去を通常の印刷過程のなかで行えるような感光層を用い、現像工程を行うことなく、露光後、印刷機上で現像し最終的な印刷版を得る方式である。この様な方法での平版印刷版の製版方式は機上現像方式と呼ばれる。具体的方法としては、例えば、湿し水やインク溶剤に可溶な感光層の使用、印刷機中の圧胴やブランケット胴との接触による力学的除去を行う方法等が挙げられる。しかしながら、従来のPS版を機上現像方式の印刷版に応用する場合、原版は露光後も、感光層が定着されないため、例えば、印刷機に装着するまでの間、版を完全に遮光及び/もしくは恒温条件にて保存しなければならないといった大きな問題点があった。
上述のような技術課題に対し、走査露光による印刷版の製造法として、最近、半導体レーザ、YAGレーザ等の固体レーザで高出力なものが安価に入手できるようになってきたことから、特に、これらのレーザを用いる方法が有望視されるようになってきた。これらの高出力レーザを用いた高パワー密度露光系では、従来の低〜中パワー密度露光用感光材料系に利用される光反応とは異なった、様々な現象を利用できる。具体的には、化学変化の他、相変化、形態変化、等の構造変化を利用できる。通常、このような高パワー密度露光による記録方式はヒートモード記録と呼ばれる。高パワー密度露光系では、多くの場合、感材に吸収された光エネルギーは、熱に変換され、生じた熱によって、所望の現象が引き起こされると信じられる為である。
この様なヒートモード記録方式の大きな長所は露光後の像の定着が必須ではないことにある。
即ち、ヒートモード感材の画像記録に利用される現象は、普通の強度の光に対する暴露や、普通の環境温度下では実質的に生じないため、露光後の画像の定着は必須ではない。従って、例えば、ヒートモード露光により不溶化若しくは可溶化する感光層を用い、画像露光後、任意の時間、たとえ環境光に暴露させてから現像(非画像部の除去)を行っても得られる画像に変化が生じないシステムが可能である。
従って、ヒートモード記録によれば、先述の機上現像方式に望ましい平版印刷版用原版を得ることも可能となる。
ヒートモード記録に基づく平版印刷版の好ましい製造法の一つとして、親水性の支持体上に親水性の画像形成層を設け、画像状にヒートモード露光し、親水性層の溶解性・分散性を変化させ、必要に応じ、湿式現像により未露光部を除去する方法が提案されている。
また、従来のヒートモード方式原版には、非画像部の汚れ性が悪い、若しくは画像部の強度が弱いという別の大きな問題があった。即ち、画像形成層中の支持体近傍での露光による溶解性変化が、画像形成層表面近傍に比較して小さいという点の改良が必要であった。該ヒートモード方式原版においては、ヒートモード露光時の熱の発生は記録層中の光吸収剤の光吸収に基くものであるため、熱の発生量は記録層表面で大きく、支持体近傍では小さいため、支持体近傍での記録層の溶解性変化の程度が比較的小さくなってしまうものである。結果としてしばしば、ヒートモードネガ型原版においては、本来疎水性のインク受容層を提供すべき露光部において、インク受容性層が現像及び/又は印刷工程中に除去されることがあった。この様な、ネガ型原版における画像部インク受容性層の除去は、印刷性能上耐刷性が悪いという問題を生じる。特に、印刷適性上好ましい、Alのような熱伝導性の高い金属支持体を用いた場合、熱拡散によって、一層、支持体近傍での温度上昇が妨げられるため、上述のような問題は顕著である。基板付近の十分な溶解性変化を得るためには、極端に大きな露光エネルギーを要するか、若しくは露光後の加熱といった後処理を実施する必要があった。
例えば、特許文献1に記載されているように、熱可塑性疎水性重合体微粒子を赤外線レーザー露光により熱融着させ画像形成させた上で、印刷機シリンダー上に版を取付け、湿し水および/あるいはインクにより機上現像する方法がある。しかしながらこのように単に熱融着で画像を作る方法では、良好な機上現像性を示すものの、アルミニウム基板上に直接感熱層を設けた場合、発生した熱がアルミニウム基板により奪われるために基板〜感熱層界面上で反応が起こらず、耐刷性が不十分となってしまう。
同様に特許文献2あるいは特許文献3にも熱可塑性微粒子を熱融着し機上現像により画像形成することが記載されているが、同様に耐刷性が不十分となってしまう。
また、特許文献4に記載されているように親油性感熱性層を多孔質親水性支持体上に設けて、赤外線レーザーを露光し、熱により基板に固着する方法が挙げられているが、親油性の皮膜では機上現像性が悪く、インキローラーあるいは印刷物へ親油性感熱層のかすが付着してしまう。
また、特許文献5に記載されているように親油性感熱性層を親水性膨潤層上に設けた場合、アルミニウム基板による熱の吸収は抑制されるが、親水性膨潤層が湿し水により膨潤していない状態でインクをつけるとインクの払いが悪くなり、損紙が多くなってしまう。
特許2938397号公報 特開平9−127683号公報 国際公開第99/10186号パンフレット 特開平8−48020号公報 特開平10−287062号公報
以上のように、機上現像性が良好であり、感度が高く、かつ高耐刷性を示す感熱性の感材はいまだ得られていない。そこで本発明は熱により画像を形成する印刷機上現像可能な平版印刷版用原版において、プレートを経時した際でも良好な機上現像性を示し、かつ、より多くの印刷物を得るようにすることを目的とするものである。
本発明は、画像形成に用いる熱で外壁が破れることなく、かつ熱により反応する官能基を有する化合物を含有しているマイクロカプセルからなる感熱層を設け、さらに光熱変換材料を感熱層かその隣接する層に含有していることにより、プレートを経時した際でも機上現像性が良好でありながら、かつ高耐刷である、印刷機上で現像可能な平版印刷版用原版を与えるものである。
本発明の平版印刷版用原版は、親水性支持体上に設ける感熱層中に、画像形成に用いる熱で外壁が破れることなく、かつ熱により反応する官能基を有する化合物を含有しているマイクロカプセルを含有させることにより、高感度且つ高耐刷性で残色、汚れのない印刷物を与えることが可能であり、さらにプレートを経時した際にも良好な機上現像性を示し、かつ、より多くの印刷物を得ることができたものである。また、支持体として、陽極酸化処理、さらにはシリケート処理を行ったアルミニウム基板を用いることにより、より良好な機上現像性を示すことができた。
以下本発明について詳細に説明する。
〔マイクロカプセル〕
本発明に使用されるマイクロカプセルは、画像形成に用いる熱で外壁が破れることなく、かつ熱により反応する官能基を有する化合物を含有しており、その平均粒径は0.01μm〜20μmが好ましいが、その中でも0.05μm〜2.0μmが更に好ましく、特に0.10μm〜1.0μmが最適である。平均粒径が大き過ぎると解像度が悪く、また小さ過ぎると経時安定性が悪くなってしまう。
これらのマイクロカプセルは、その中に含有される上記化合物の熱反応性基を介してマイクロカプセル同士で反応できる構造としても良いし、感熱層内に他の添加物として後述の親水性樹脂または低分子化合物を含有する場合にはそれらと反応できる構造としても良い。また2種類以上のマイクロカプセルに、互いに熱反応するような熱反応性基をそれぞれ持たせてマイクロカプセル同士を反応させることのできる構造としても良い。すなわち、これらの熱反応性基による反応としては、不飽和基による重合反応、イソシアナート基あるいはそれのブロック体と活性水素原子を有する化合物(例えばアミン、アルコール、カルボン酸など)による付加反応、エポキシ基とアミノ基・カルボキシル基・ヒドロキシル基との付加反応、カルボキシル基とヒドロキシル基あるいはアミノ基との縮合反応、酸無水物とアミノ基あるいはヒドロキシル基との開環付加反応などを挙げることができ、これらは化学結合が形成されればどのような反応でもよい。
このような熱反応性基を有する化合物を含有するマイクロカプセルは、例えば、アクリレート基、メタクリレート基、ビニル基、アリル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート、酸無水物およびそれらを保護した基等の熱反応性基を有する化合物(後に詳述する)をマイクロカプセルに内包させるか、これらの化合物をマイクロカプセルの外壁に導入する方法により得ることができる。また、熱反応性基
を有する化合物をマイクロカプセルに内包させると同時に、マイクロカプセルの外壁に該化合物を導入しても良い。
マイクロカプセルに含有される熱反応性基を有する化合物としては、不飽和基を有する化合物が挙げられ、不飽和基を有する化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いる事ができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものをあげる事ができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
一般式(A) CH2=C(R41)COOCH2CH(R42)OH
(ただし、R41およびR42は、HまたはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
さらに、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物類を用いても良い。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポ
キシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
エポキシ化合物としては、このましくはグリセリンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノール類あるいはポリフェノール類モシクハソレラノ水素添加物のポリグリシジルエーテル体などが挙げられる。
イソシアネートを有する化合物としては、好ましくはトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、あるいはそれらをアルコールあるいはアミン類でブロックした化合物を挙げることができる。アミン化合物としては、好ましくはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
ヒドロキシル基を有する化合物としては好ましくは、末端メチロールを有するような化合物、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール、ビスフェノール・ポリフェノール類などを挙げることができる。
カルボキシル基を有する化合物としては好ましくは、ピロメリット酸、トリメリット酸、フタル酸などの芳香族多価カルボン酸、アジピン酸などの脂肪族多価カルボン酸などが挙げられる。
酸無水物としては好ましくは、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などが挙げられる。
また、本発明の平版印刷版用原版において、好ましくは、上記具体的に詳述した熱反応性基を有する化合物を上記マイクロカプセルから拡散させ、その表面および表面付近の少なくともいずれかに存在させるようにすることにより、該化合物が画像形成時の熱により化学反応を起こし、これにより感熱層の画像部の分子構造は三次元架橋体に変化する。よって、画像形成前後において、画像部の水又は水溶液に対する溶解性の差は大きいものとなり、プレートを経時した際でも良好な機上現像性を示す。また、マイクロカプセルとして画像形成に用いる熱で外壁が破れないものを使用しているため、画像形成後においても、画像部内にマイクロカプセルが粒子として存在するので画像部の強度は高くなると考えられ、より多くの印刷物を得ることができる。なお、画像形成時に発生した熱により外壁が破れるマイクロカプセルは経時安定性が悪い。
なお、感熱層中のマイクロカプセルの表面および表面付近にこのマイクロカプセルより拡散した熱反応性基を有する化合物が存在する状態にするためには、例えば、該マイクロカプセルの外壁を膨潤させる溶剤に分散する手段等がある。
そのため、本発明に用いられる好ましいマイクロカプセルの外壁の材料は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ
アミド、およびこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。マイクロカプセルの外壁には、前記したように、熱反応性基を有する化合物を導入しても良い。
熱反応性基を有する化合物を含有物としてマイクロカプセル化する方法としては、公知のマイクロカプセル化法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許2800457号、同2800458号、にみられるコアセルベーションを利用した方法、英国特許990443号、米国特許3287154号、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−711号にみられる界面重合法による方法、米国特許3418250号、同3660304号にみられるポリマーの析出による方法、米国特許3796669号に見られるイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許3914511号に見られるイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許4001140号、同4087376号、同4089802号にみられる尿素−ホルムアルデヒド系あるいは尿素−ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許4025445号にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号にみられるモノマー重合によるinsitu法、英国特許930422号、米国特許3111407号にみられるスプレードライング法、英国特許952807号、同967074号にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
マイクロカプセルの外壁を膨潤させる溶剤は、マイクロカプセル分散溶剤(溶媒または塗布液ともいう)、マイクロカプセル壁の材質およびその壁厚、並びにマイクロカプセルに含有される熱反応性基を有する化合物等に依存するが、多くの市販されている溶剤から容易に選択することができる。例えば架橋ポリウレア、ポリウレタン壁からなる水分散性マイクロカプセルの場合、アルコール類、エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン類、多価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類などが好ましい。
具体的化合物としては、メタノール、エタノール、第3ブタノール、n−プロパノール、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどがあるがこれらに限られない。またこれらの溶剤を2種以上用いても良い。
マイクロカプセル分散溶剤には溶解しないが、前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いることができる。
マイクロカプセルの外壁を膨潤させる溶剤の添加量は、素材の組み合わせにより決まるものであるが、適性値より少ない場合は、画像形成が不十分となり、多い場合は分散液の安定性が劣化する。通常、塗布液の5〜95重量%が有効であり好ましい範囲は、10〜90重量%、より好ましい範囲は15〜85重量%である。
慣用のX線光電子分光法(ESCA)による表面測定技術がマイクロカプセル表面およびその付近に存在する熱反応性基を有する化合物の測定に使用できる。
〔光熱変換材料〕
また本発明の平版印刷版用原版は、その感熱層内またはそれに隣接する層内に光熱変換材料を含有していることにより、レーザー光照射等により画像書き込みを行うことができる。
さらに、光熱変換材料から発生される熱を有効に利用するために、光熱変換材料をマイクロカプセル内に含有させることが好ましい。光熱変換材料をマイクロカプセル内に含有することでマイクロカプセル内部から熱上昇が起こるため、内包物質のマイクロカプセル
外壁透過滲出、反応物質の反応活性化に対し、有効に熱を利用できる。これにより、本発明の平版印刷版用原版の耐刷性が向上できる。
その光熱変換材料としては、カーボンブラック・金属微粒子および色素など光源の波長を吸収するものであれば特に限定されないが特に赤外線を吸収し熱に変換する化合物が好ましい。
光熱変換材料は700nm以上の光を吸収する物質が特に好ましく、種々の顔料や染料を用いる事ができる。顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には親水性樹脂や親油性樹脂を表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シリカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤やエポキシ化合物、イソシアネート化合物等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。これらの顔料中、赤外光又は近赤外光を吸収するものが、赤外光又は近赤外光を発光するレーザでの利用に適する点で特に好ましい。
そのような赤外光又は近赤外光を吸収する顔料としてはカーボンブラック、親水性樹脂でコートされたカーボンブラックやシリカゾルで変性されたカーボンブラックが好適に用いられる。これらの中でも特に水溶性の樹脂と分散し易く、かつ親水性を損わないものとして、親水性樹脂やシリカゾルで表面がコートされたカーボンブラックが有用である。
顔料の粒径は0.01μm〜1μmの範囲にあることが好ましく、0.01μm〜0.5μmの範囲にあることが更に好ましい。顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
染料としては、市販の染料および文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。これらの染料中、赤外光、もしくは近赤外光を吸収するものが、赤外光もしくは近赤外光を発光するレーザでの利用に適する点で特に好ましい。
赤外光又は近赤外光を吸収する染料としては、例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号、米国特許第4,973,572号明細書、特開平10−268512号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム染料、英国特許434,875号記載のシアニン染料や米国特許第4,756,993号明細書記載の染料、米国特許第4,973,572号明細書に記載のシアニン染料および特開平10−268512号記載の染料を挙げることができる。
Figure 2009107349
[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、置換又は未置換のアルキル基;Z1及びZ2は置換もしくは未置換のフェニル基又はナフタレン基;Lは置換又は未置換のメチン基で、該置換基は、炭素数8以下のアルキル基、ハロゲン原子又はアミノ基であるか、該メチン基がその2つのメチン炭素上の置換基が相互に結合して形成された置換基を有していても良いシクロヘキセン環またはシクロペンテン環を含むものであってもよく、該置換基は炭素数6以下のアルキル基またはハロゲン原子;Xはアニオン基;nは1又は2;そしてR1、R2、R3、R4、R5、R6、Z1及びZ2の少なくとも一つは酸性基又は酸性基のアルカリ金属塩基又はアミン塩基を有する置換基を示す。
Figure 2009107349
[式中、R11は置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基又は置換もしくは未置換のヘテロ環基;R12及びR15は水素原子又は水素原子の代りに置換できる基:R13及びR14は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のアルコキシ基又は置換もしくは未置換のアルキル基、但しR13及びR14は同時に水素原子ではない:R16及びR17は置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、アシル基又はスルホニル基、又はR16とR17で非金属5員環もしくは6員環の形成を示す。]
また、染料として米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン染料、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物、エポリン社製Epolight III−178、EpolightIII−130、Epolight III−125等は特に好ましく用いられる。
これらの染料中、マイクロカプセル内に内包させる場合は、合成上の観点から、水と混合しない溶剤に溶解可能なものが好ましい。酢酸エチルに溶解できるものがさらに好ましい。具体的には炭素数4以上のアルキル鎖を含む油溶性シアニン、油溶性フタロシアニン、油溶性ポリメチン色素等が挙げられる。
マイクロカプセル外に添加する場合、特に好ましいものは上記の式(I)の水溶性のシアニン染料である。
下記に具体的な化合物を列記する。
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次に、光熱変換性の金属微粒子について述べる。金属粒子の多くは、光熱変換性であってかつ自己発熱性でもある。
好ましい金属微粒子として、Si、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、Ag、Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、W、Te、Pb、Ge、Re、Sbの単体又は合金あるいはそれらの酸化物、硫化物の微粒子が挙げられる。
これらの金属微粒子を構成する金属の中でも好ましい金属は、光照射によって熱融着し易い融点がおよそ1000℃以下で赤外、可視又は紫外線領域に吸収をもつ金属、たとえばRe、Sb、Te、Au、Ag、Cu、Ge、Pb及びSnである。
また、とくに好ましいのは、融点も比較的低く、熱線に対する吸光度も比較的高い金属の微粒子、たとえばAg、Au、Cu、Sb、Ge及びPbで、とくに好ましい元素はAg、Au及びCuが挙げられる。
また、例えばRe、Sb、Te、Au、Ag、Cu、Ge、Pb、Snなどの低融点金属の微粒子とTi、Cr、Fe、Co、Ni、W、Geなどの自己発熱性金属の微粒子を混合使用するなど、2種以上の光熱変換物質で構成されていてもよい。また、Ag、Pt、Pdなど微小片としたときに光吸収がとくに大きい金属種の微小片と他の金属微小片を組み合わせて用いることは好ましい。
以上に述べた金属単体及び合金の微粒子は、表面を親水性化処理することによって、本発明の効果がより発揮される。表面親水性化の手段は、親水性でかつ粒子への吸着性を有する化合物、例えば界面活性剤で表面処理したり、粒子の構成物質と反応する親水性基を持つ物質で表面処理したり、保護コロイド性の親水性高分子皮膜を設けるなどの方法を用いることができる。特に好ましいのは、表面シリケート処理であり、例えば鉄微粒子の場合は、70℃のケイ酸ナトリウム(3%)水溶液に30秒浸漬する方法によって表面を十分に親水性化することができる。他の金属微粒子も同様の方法で表面シリケート処理を行うことができる。
これらの粒子の粒径は、10μm以下、好ましくは、0.003〜5μm、さらに好ましくは、0.01〜3μmである。微小であるほど、熱融着温度は低下する、つまりヒートモードの光感度が高くなって好都合であるが、粒子の分散が難しく、10μm以上では、印刷物の解像度が悪くなる。
本発明において、これらの光熱変換材料を用いる場合、その添加量は、感熱層の全固形分中、1重量%以上であり、好ましくは2重量%以上、特に好ましくは5重量%以上で用いられる。光熱変換材料の含有量が1重量%未満であると感度が低くなってしまう。
〔親水性樹脂〕
本発明の平版印刷版用原版の感熱層中には親水性樹脂を添加しても良い。親水性樹脂を添加することで機上現像性が良好となるばかりか、感熱層自体の皮膜強度も上がる。親水性樹脂としては3次元架橋していないものが機上現像性が良好で好ましい。
親水性樹脂としては、例えばヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、アミノ、アミノエチル、アミノプロピル、カルボキシメチルなどの親水基を有するものが好ましい。具体的な親水性樹脂として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース及びそれらのNa塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも80重量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマー及びポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩のホモポリマー及びコポリマー等を挙げることができる。
親水性樹脂の感熱層中への添加量は、2%〜40%が好ましく、3%〜30%がさらに好ましい。2%より少ないと、皮膜強度が弱く、40%より多いと機上現像性は良くなるものの耐刷性が悪くなってしまう。
〔反応を開始あるいは促進する化合物〕
本発明の平版印刷版用原版の感熱層には、上記の熱反応性基を有する化合物を含有するマイクロカプセルを用いるので、必要に応じてこれらの反応を開始あるいは促進するような化合物を添加してもよい。たとえば熱によりラジカルあるいはカチオンを発生するような化合物を挙げることができ、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合物、過酸化物、アゾ化合物、ジアゾニウム塩あるいはジフェニルヨードニウム塩などを含んだオニウム塩、アシルホスフィン、イミドスルホナートなどが挙げられる。
これらの化合物は感熱層において1重量%〜20重量%の範囲で添加することができる。好ましくは3重量%〜10重量%の範囲である。これより多いと機上現像性が悪くなり、これより少ないと反応開始あるいは促進効果が弱くなり耐刷性が劣化する。
また、反応を効率よく進めるために、反応を開始あるいは促進する化合物をマイクロカプセル内に含有させることが好ましい。これらの化合物をマイクロカプセル内に含有させることで、熱反応性基を有する化合物とあらかじめ良く混ざり合った状態にすることができ、レーザー照射すると、内包物が滲出しながら反応が可能となる。これにより、本発明の平版印刷版用原版の耐刷性がさらに向上できる。
〔マイクロカプセルに含有される熱反応性基を有する化合物と反応する低分子化合物〕
本発明の平版印刷版用原版の感熱層には、さらに、画像形成に用いる熱で上記マイクロカプセルに含有される熱反応性基を有する化合物と反応することができる官能基およびその保護基を有する低分子化合物を含有することができる。これらの化合物の添加量は、感熱層中5重量%〜40重量%が好ましく、特に5重量%〜20重量%が好ましい。これより少ないと架橋効果が少なく耐刷性が不十分となり、これより多いと経時後の機上現像性が悪くなってしまう。このような化合物の具体例としては、前記マイクロカプセルに含有される熱反応性基を有する化合物の具体例と同様のものを挙げることができる。
〔その他の添加物〕
本発明では、さらに必要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、及び特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができる。
これらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、感熱層塗布液全固形分に対し、0.01〜10重量%の割合である。
また、本発明においては、感熱層塗布液の調製中あるいは保存中においてラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.01重量%〜約5重量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感熱層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.1重量%〜約10重量%が好ましい。
また、本発明における感熱層塗布液中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号や特開平3−208514号に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号、特開平4−13149号に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の感熱層塗布液中に占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
さらに、本発明に係る感熱層塗布液中には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
本発明の平版印刷版用原版を製造するには、通常、感熱層塗布液に必要な上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布すればよい。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独又は混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感熱層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版印刷版用原版についていえば一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす感熱層の皮膜特性は低下する。
本発明に係る感熱層塗布液には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、全感熱層の材料固形分中0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。
〔オーバーコート層〕
本発明の平版印刷版用原版は、親油性物質による感熱層表面の汚染防止のため、感熱層上に、水溶性オーバーコート層を設けることができる。本発明に使用される水溶性オーバーコート層は印刷時容易に除去できるものであり、水溶性の有機高分子化合物から選ばれた樹脂を含有する。ここで用いる水溶性の有機高分子化合物としては、塗布乾燥によってできた被膜がフィルム形成能を有するもので、具体的には、ポリ酢酸ビニル(但し加水分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩あるいはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリルアミドおよびその共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン及びその共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体およびそのアルカリ金属塩あるいはアミン塩、アラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ等)およびその変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等を挙げることができる。また、目的に応じて、これらの樹脂を二種以上混合して用いることもできる。
また、オーバーコート層には、前記の水溶性光熱変換剤を添加しても良い。さらに、オーバーコート層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテルなどの非イオン系界面活性剤を添加することができる。
オーバーコート層の乾燥塗布量は、0.1〜2.0g/m2が好ましい。それより少ないと、指紋付着汚れを起こし、それより多いと、機上現像性が悪くなる。
〔支持体〕
本発明の平版印刷版用原版において前記感熱層を塗布可能な親水性支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられる。
本発明の平版印刷版用原版に使用する支持体としては、軽量で表面処理性、加工性、耐食性に優れたアルミニウム板を使用することが好ましい。この目的に供されるアルミニウム材質としては、JIS1050材、JIS 1100材、JIS 1070材、Al−Mg系合金、Al−Mn系合金、Al−Mn−Mg系合金、Al−Zr系合金、Al−Mg−Si系合金などが挙げられる。
支持体に使用し得るアルミニウム材質に関する公知技術を以下に列挙する。
(1)JIS 1050材に関しては、下記の技術が開示されている。
特開昭59−153861号、特開昭61−51395、特開昭62−146694、特開昭60−215725、特開昭60−215726、特開昭60−215727、特開昭60−215728、特開昭61−272357、特開昭58−11759、特開昭58−42493、特開昭58−221254、特開昭62−148295、特開平4−254545、特開平4−165041、特公平3−68939、特開平3−234594、特公平1−47545、特開昭62−140894号公報など。また、特公平1−35910、特公昭55−28874等も知られている。
(2)JIS 1070材に関しては、下記の技術が開示されている。
特開平7−81264、特開平7−305133、特開平8−49034、特開平8−73974、特開平8−108659、特開平8−92679号など。
(3)Al−Mg系合金に関しては、下記の技術が開示されている。
特公昭62−5080、特公昭63−60823、特公平3−61753、特開昭60−203496、特開昭60−203497、特公平3−11635、特開昭61−274993、特開昭62−23794、特開昭63−47347、特開昭63−47348、特開昭63−47349、特開昭64−61293、特開昭63−135294、特開昭63−87288、特公平4−73392、特公平7−100844、特開昭62−149856、特公平4−73394、特開昭62−181191、特公平5−76530、特開昭63−30294、特公平6−37116号など。また、特開平2−215599、特開昭61−201747等も知られている。
(4)Al−Mn系合金に関しては、下記の技術が開示されている。
特開昭60−230951、特開平1−306288、特開平2−293189号など。また、特公昭54−42284、特公平4−19290、特公平4−19291、特公平4−19292、特開昭61−35995、特開昭64−51992、US5009722、US5028276、特開平4−226394等も知られている。
(5)Al−Mn−Mg系合金に関しては、下記の技術が開示されている。
特開昭62−86143、特開平3−222796、特公昭63−60824、特開昭60−63346、特開昭60−63347、EP223737、特開平1−283350、US4818300、BR1222777等が知られている。
(6)Al−Zr系合金に関して、下記の技術が知られている。
特公昭63−15978、特開昭61−51395、特開昭63−143234、特開昭63−143235等が知られている。
(7)Al−Mg−Si系合金に関しては、BR1421710等が知られている。
また、支持体用アルミニウム板の製造方法としては、下記の内容が使用できる。
前述のような含有成分及び、合金成分割合のアルミニウム合金溶湯を常法に従い清浄化処理を施し、鋳造する。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために、フラックス処理、Arガス、Clガス等を使った脱ガス処理や、セラミックチューブフィルタ、セラミックフォームフィルタ等のいわゆるリジッドメディアフィルターや、アルミナフレーク、アルミナボール等を濾材とするフィルタや、グラスクロスフィルター等を使ったフィルタリング、あるいは、脱ガスとフィルタリングを組み合わせた処理が行われる。これらの清浄化処理は、溶湯中の、非金属介在物、酸化物等の異物による欠陥、溶湯にとけ込んだガスによる欠陥を防ぐために、実施されることが望ましい。
溶湯のフィルタリングに関しては、特開平6−57342、特開平3−162530、特開平5−140659、特開平4−231425、特開平4−276031、特開平5−311261、特開平6−136466等が知られている。溶湯の脱ガスに関しては、特開平5−51659、特開平5−51660、実開平5−49148、特開平7−40017などが知られている。
以上のように、清浄化処理を施された溶湯を使って、鋳造を行う。鋳造方法に関しては、DC鋳造法に代表される、固定鋳型を用いる方法と、連続鋳造法に代表される、駆動鋳型を用いる方法がある。
DC鋳造法を用いた場合、冷却速度は、1〜300℃/秒の範囲で凝固される。1℃/秒未満であると、粗大な金属間化合物が多数形成される。
連続鋳造法には、ハンター法、3C法に代表される、冷却ロールを用いた方法、ハズレー法、アルスイスキャスターII型に代表される冷却ベルト、冷却ブロックを用いた方法が、工業的に行われている。連続鋳造法を用いた場合の冷却速度は、100〜1000℃/秒の範囲で凝固される。一般的に、DC鋳造法に比べて、冷却速度が速いため、アルミマトリックスに対する、合金成分の固溶度を高くできる特徴がある。連続鋳造法に関しては、本願発明者らによって、特開平3−79798、特開平5−201166、特開平5−156414、特開平6−262203、特開平6−122949、特開平6−210406、特開平6−262308等が開示されている。
DC鋳造を行った場合、板厚300〜800mmの鋳塊が製造できる。その鋳塊は、常法に従い、面削を行われ、表層の1〜30mm、望ましくは、1〜10mmを切削される。その後、必要に応じて、均熱化処理が行われる。均熱化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化してしまわないように、450〜620℃で1時間以上、48時間以下の熱処理が施される。1時間より短い場合は、均熱化処理の効果が不十分となる。次いで、熱間圧延、冷間圧延を行って、アルミニウム圧延板とする。熱間圧延の開始温度としては、350〜500℃の範囲とする。冷間圧延の前、または後、またはその途中において中間焼鈍処理を施しても良い。この場合の中間焼鈍条件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280℃〜600℃で2〜20時間、望ましくは、350〜500℃で2〜10時間加熱する方法や、連続焼鈍炉を用いて400〜600℃で360秒以下、望ましくは、450〜550℃で120秒以下の加熱処理が採用できる。連続焼鈍炉を使って、10℃/秒以上の昇温速度で加熱すると、結晶組織を細かくすることもできる。
以上の工程によって、所定の厚さ0.1〜0.5mmに仕上げられたAl板は平面性を
改善するために、ローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置によって、平面性を改善しても良い。平面性の改善は、板をシート状にカットした後に行っても良いが、生産性を向上させるためには、連続したコイルの状態で、平面性改善を行うことが望ましい。また、板巾を所定の巾に加工するため、スリッタラインを通すことが通常行われる。スリッタによって切られた板の端面は、スリッタ刃に切られるときに、せん断面と破断面の片方、あるいは両方が生じる。
板の厚みの精度は、コイル全長にわたって、±10μm以内、望ましくは±6μm以内が良い。また、幅方向の板厚差は6μm以内、望ましくは3μm以内がよい。また、板幅の精度は、±1.0mm以内、望ましくは±0.5mm以内が望ましい。Al板の表面粗度は、圧延ロールの表面粗さの影響を受けやすいが、最終的に中心線表面粗さ(Ra)で、Ra=0.1〜1.0μm程度に仕上げるのがよい。Raが大きすぎると、平版印刷版用としての粗面化処理、感熱層塗布をしたとき、Alのもともとの粗さすなわち、圧延ロールによって転写された粗い圧延条痕が感熱層の上から見えるため、外観上好ましくない。Ra=0.1μm以下の粗さは、圧延ロールの表面を過度に低粗度に仕上げる必要が有るため、工業的に望ましくない。
また、Al板同士の摩擦によるキズの発生を防止するために、Al板の表面に、薄い油膜をもうけても良い。油膜には、必要に応じて、揮発性のものや、不揮発性のものが適宜用いられる。油量が多すぎると、製造ライン中でスリップ故障が発生するが、油量が皆無だとコイル輸送中にキズが発生する不具合が生じるので、油量は3mg/m2以上で100mg/m2以下、望ましい上限は50mg/m2以下、更に望ましくは10mg/m2以下が良い。冷間圧延に関しては、特開平6−210308号等が開示されている。
連続鋳造を行った場合、例えば、ハンター法等の冷却ロールを用いると板厚1〜10mmの鋳造板を直接連続鋳造圧延でき、熱間圧延の工程を省略できるメリットが得られる。また、ハズレー法等の冷却ロールを用いると、板厚10〜50mmの鋳造板が鋳造でき、一般的に、鋳造直後に熱間圧延ロールを配置し連続的に圧延することで、板厚1〜10mmの連続鋳造圧延板が得られる。これらの連続鋳造圧延板は、DC鋳造の場合に説明したのと同じように、冷間圧延、中間焼鈍、平面性改善、スリット等の工程を経て0.1〜0.5mmの板厚に仕上げられる。連続鋳造法を用いた場合の中間焼鈍条件、冷間圧延条件については、特開平6−220593、特開平6−210308、特開平7−54111、特開平8−92709等が開示されている。
上記方法で製造したAl板は表面に粗面化処理等の表面処理を行い、感熱層を塗布して平版印刷版用原版とすることができる。粗面化処理には、機械的粗面化、化学的粗面化、電気化学的粗面化が単独又は組み合わせて行われる。また、表面のキズ付き難さを確保するための陽極酸化処理を行ったり、親水性を増すための処理を行うことも好ましい。
以下に支持体の表面処理について説明する。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、必要に応じ、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われてもよい。アルカリの場合、次いで酸性溶液で中和、スマット除去などの処理を行ってもよい。
次いで支持体と感熱層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理がなされている。この砂目立て処理法の具体的手段としては、サンドブラスト、ボールグレイン、ワイヤーグレイン、ナイロンブラシと研磨材/水スラリーによるブラシグレイン、研磨材/水スラリーを表面に高圧で吹き付けるホーニンググレインなどによる機械的砂目立て方法があり、またアルカリまたは酸あるいはそれらの混合物からなるエッチング剤で表面を粗面化処理する化学的砂目立て
方法がある。また英国特許第896,563号公報、特開昭53−67507号公報、特開昭54−146234号公報及び特公昭48−28123号公報に記載されている電気化学的砂目立て方法、または特開昭53−123204号公報、特開昭54−63902号公報に記載されている機械的砂目立て方法と電気化学的砂目立て方法とを組み合わせた方法、特開昭56−55261号公報に記載されている機械的砂目立て方法と鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液による化学的砂目立て方法とを組み合わせた方法も知られている。また上記支持体材料に、粒状体を接着剤またはその効果を有する方法で接着させて表面を粗面化する方法や、微細な凹凸を有する連続帯やロールを支持体材料に圧着させて凹凸を転写することによって粗面を形成させてもよい。
これらのような粗面化方法は複数を組み合わせて行ってもよく、その順序、繰り返し数などは任意に選択することができる。複数の粗面化処理を組み合わせる場合、その間に、続いて行う粗面化処理を均一に行えるようにするために酸またはアルカリ水溶液による化学的処理を行うことができる。上記、酸またはアルカリ水溶液の具体例としては、例えばフッ酸、フッ化ジルコン酸、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸などの酸および水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ水溶液が挙げられる。これらの酸またはアルカリ水溶液はそれぞれ一種または二種以上を混合して使用することができる。化学的処理はこれらの酸またはアルカリの0.05〜40重量%水溶液を用い、40℃〜100℃の液温において5〜300秒処理するのが一般的である。
前述のような粗面化処理すなわち砂目立て処理して得られた支持体の表面には、スマットが生成しているので、このスマットを除去するために適宜水洗あるいはアルカリエッチング等の処理を行うことが一般的に好ましい。このような処理としては、例えば特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチング法や特開昭53−12739号公報に記載されている硫酸デスマット法等の処理方法が挙げられる。
本発明に用いられるアルミニウム支持体の場合には、前述のような前処理を施した後、通常、耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させる。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するものならばいかなるものでも使用することができ、一般には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸あるいはこれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲にあれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2以上が好適であるが、より好ましくは2.0〜6.0g/m2の範囲である。陽極酸化皮膜が1.0g/m2未満であると耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
尚、このような陽極酸化処理は平版印刷版の支持体の印刷に用いる面に施されるが、電気力線の裏回りにより、裏面にも0.01〜3g/m2の陽極酸化皮膜が形成されるのが一般的である。また、アルカリ水溶液(例えば数%の苛性ソーダ水溶液)や、熔融塩中での陽極酸化処理や、例えばホウ酸アンモン水溶液を用いた無孔性陽極酸化皮膜を形成させる陽極酸化処理なども行うことができる。
陽極酸化処理を行う前に、特開平4−148991号や特開平4−97896号に記載されている水和酸化皮膜生成を行ってもよく、また、特開昭63−56497号や特開昭63−67295号に記載されている金属ケイ酸塩溶液中での処理、水和酸化皮膜生成処理や、特開昭56−144195号に記載されている化成皮膜生成処理などを行うこともできる。
本発明の平版印刷版用原版に用いられるアルミニウム支持体は、陽極酸化処理後に有機酸もしくはその塩による処理、または該有機酸もしくはその塩を感熱層塗布の下塗り層として用いることができる。有機酸またはその塩としては、有機カルボン酸、有機ホスホン酸、有機スルホン酸またはその塩等が挙げられるが、好ましくは有機カルボン酸またはその塩である。有機カルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪族モノカルボン酸類;オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸類;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸等の脂肪族ジカルボン酸類;乳酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のオキシカルボン酸類;安息香酸、マンデル酸、サリチル酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸類およびIa、IIb、IIIb、IVa、VIbおよびVIII族の金属塩およびアンモニウム塩が挙げられる。上記有機カルボン酸塩のうち好ましいのは蟻酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸、ラウリン酸、オレイン酸、コハク酸および安息香酸の上記金属塩およびアンモニウム塩である。これらの化合物は単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの化合物は水、アルコールに0.001〜10重量%、特に0.01〜1.0重量%の濃度となるよう溶解されるのが好ましく、処理条件としては25〜95℃、好ましくは50〜95℃の温度範囲、pHは1〜13、好ましくは2〜10、10秒〜20分、好ましくは10秒〜3分間支持体を浸漬するか、処理液を支持体に塗布する。
また、さらに陽極酸化処理後、以下のような化合物溶液による処理や、これらの化合物を、感熱層塗布の下塗り層として用いることができる。好適に用いられる化合物としては、例えば、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシン、β−アラニン、バリン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、トリプトファン、パラヒドロキシフェニルグリシン、ジヒドロキシエチルグリシン、アントラニル酸等のアミノ酸;スルファミン酸、シクロヘキシルスルファミン酸等のアミノスルホン酸;1−アミノメチルホスホン酸、1−ジメチルアミノエチルホスホン酸、2−アミノエチルホスホン酸、2−アミノプロピルホスホン酸、4−アミノフェニルホスホン酸、1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、1−アミノ−1−フェニルメタン−1,1−ジホスホン酸、1−ジメチルアミノエタン−1,1−ジホスホン酸、1−ジメチルアミノブタン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸等のアミノホスホン酸等の化合物が挙げられる。
また、塩酸、硫酸、硝酸、スルホン酸(メタンスルホン酸等)またはシュウ酸と、アルカリ金属、アンモニア、低級アルカノールアミン(トリエタノールアミン等)、低級アルキルアミン(トリエチルアミン等)等との塩も好適に使用することができる。
ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミンおよびその鉱酸塩、ポリ(メタ)アクリル酸およびその金属塩、ポリスチレンスルホン酸およびその金属塩、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸およびその金属塩、塩化トリアルキルアンモニムメチルスチレンのポリマーおよびその(メタ)アクリル酸とのコポリマー、ポリビニルホスホン酸等の水溶性ポリマーも好適に使用することができる。
さらに可溶性デンプン、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアガム、グアーガム、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、グルコース、ソルビトールなども好適に使用することができる。これらの化合物は単独でも2種以上を
組み合わせて用いてもよい。
処理の場合、これらの化合物は水かつ/またはメチルアルコールに0.001〜10重量%、特に0.01〜1.0重量%の濃度となるよう溶解されるのが好ましく、処理条件としては25〜95℃、好ましくは50〜95℃の温度範囲、pHは1〜13、好ましくは2〜10、10秒〜20分、好ましくは10秒〜3分間支持体を浸漬する。
感熱層塗布の下塗り層として用いる場合は、同様に水かつ/またはメチルアルコールに0.001〜10重量%、特に0.01〜1.0重量%の濃度となるように溶解され、必要に応じて、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpHを調節し、pH1〜12の範囲で使用することもできる。また、平版印刷版用原版の調子再現性改良のために黄色系染料を添加することもできる。有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。上記の被覆量が2mg/m2未満であると汚れ防止等の本来の目的に十分な効果が得られない。また、200mg/m2を越えると耐刷力が低下する。
なお支持体と感熱層との密着性を高めるための中間層を設けてもよい。密着性の向上のためには、一般に中間層は、ジアゾ樹脂や、例えばアルミニウムに吸着するリン酸化合物等からなっている。中間層の厚さは任意であり、露光した時に、上層の感熱層と均一な結合形成反応を行い得る厚みでなければならない。通常、乾燥固体で約1〜100mg/m2の塗布割合がよく、5〜40mg/m2が特に良好である。中間層中におけるジアゾ樹脂の使用割合は、30〜100%、好ましくは60〜100%である。
以上のような処理及び下塗り層付与の前に、陽極酸化処理された支持体は、水洗処理されたあと、現像液や湿し水への陽極酸化皮膜の溶解抑制、感熱層成分の残膜抑制、陽極酸化皮膜強度向上、陽極酸化皮膜の親水性向上、感熱層との密着性向上等を目的に、以下のような処理を行うことができる。
そのひとつとしては、陽極酸化皮膜をアルカリ金属のケイ酸塩水溶液と接触させて処理するシリケート処理が挙げられる。この場合、アルカリ金属ケイ酸塩の濃度は0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜15重量%であり、25℃でのpHが10〜13.5である水溶液に5〜80℃、好ましくは10〜70℃、より好ましくは15〜50℃で0.5〜120秒間接触させる。接触させる方法は、浸せきでもスプレーによる吹き付けでも、いかなる方法によってもかまわない。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液はpHが10より低いと液はゲル化し、13.5より高いと陽極酸化皮膜が溶解されてしまう。
本発明に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpH調整に使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記処理液にはアルカリ土類金属塩もしくは第IVb族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性塩が挙げられる。第IVb族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属もしくは第IVb族金属塩は単独または2種以上組み合わせて使用する事ができる。これらの金属塩の好ましい範囲は、0.01〜10重量%であり、更に好ましくは0.05〜5.0重量%である。
他には、各種封孔処理も挙げられ、一般的に陽極酸化皮膜の封孔処理方法として知られている、水蒸気封孔、沸騰水(熱水)封孔、金属塩封孔(クロム酸塩/重クロム酸塩封孔、酢酸ニッケル封孔など)、油脂含浸封孔、合成樹脂封孔、低温封孔(赤血塩やアルカリ土類塩などによる)などを用いる事ができるが、印刷版用支持体としての性能(感熱層との密着性や親水性)、高速処理、低コスト、低公害性等の面から水蒸気封孔が比較的好ましい。その方法としては、たとえば特開平4−176690号公報にも開示されている加圧または常圧の水蒸気を連続または非連続的に、相対湿度70%以上・蒸気温度95℃以上で2秒〜180秒程度陽極酸化皮膜に接触させる方法などが挙げられる。他の封孔処理法としては、支持体を80〜100℃程度の熱水またはアルカリ水溶液に浸漬または吹き付け処理する方法や、これに代えるか或いは引き続き、亜硝酸溶液で浸漬または吹き付け処理することができる。亜硝酸塩の例としては、周期律表のIa、IIa 、IIb 、IIIb、IVb、IVa 、VIa、VIIa、VIII族の金属の亜硝酸塩またはアンモニウム塩、すなわち亜硝酸アンモニウムが挙げられ、その金属塩としては、例えばLiO2、NaNO2、KNO2、Mg(NO22、Ca(NO22、Zn(NO32、Al(NO23、Zr(NO24、Sn(NO23、Cr(NO23、Co(NO22、Mn(NO22、Ni(NO22等が好ましく、特にアルカリ金属亜硝酸塩が好ましい。亜硝酸塩は2種以併用することもできる。
処理条件は、支持体の状態及びアルカリ金属の種類により異なるので一義的には決定できないが、例えば亜硝酸ナトリウムを用いた場合には、濃度は一般的には0.001〜10重量%、より好ましくは0.01〜2重量%、浴温度は一般的には室温から約100℃前後、より好ましくは60〜90℃、処理時間は一般的には15〜300秒、より好ましくは10〜180秒のそれぞれの範囲から選択すればよい。亜硝酸水溶液のpHは8.0〜11.0に調製されていることが好ましく、8.5〜9.5に調製されていることが特に好ましい。亜硝酸水溶液のpHを上記の範囲に調製するには、例えばアルカリ緩衝液等を用いて好適に調製することができる。該アルカリ緩衝液としては、限定はされないが例えば炭酸水素ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液、炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合水溶液、塩化ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液、塩酸と炭酸ナトリウムの混合水溶液、四ホウ酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液等を好適に用いることができる。また、上記アルカリ緩衝液はナトリウム以外のアルカリ金属塩、例えばカリウム塩等も用いることができる。
以上のような、シリケート処理または封孔処理を施したあと、感熱層との密着性をアップさせるために特開平5−278362号公報に開示されている酸性水溶液処理と親水性下塗りを行うことや、特開平4−282637号公報や特開平7−314937号公報に開示されている有機層を設けてもよい。
支持体表面に以上のような処理或いは、下塗りなどが施された後、支持体の裏面には、必要に応じてバックコートが設けられる。かかるバックコートとしては特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物および特開平6−35174号記載の有機または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH34、Si(OC254、Si(OC374、Si(OC494などのケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており特に好ましい。
平版印刷版用支持体として好ましい特性としては、中心線平均粗さで0.10〜1.2μmである。0.10μmより低いと感熱層と密着性が低下し、著しい耐刷の低下を生じてしまう。1.2μmより大きい場合、印刷時の汚れ性が悪化してしまう。さらに支持体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜0.65であり、0.15より白い場合、画像露光時のハレーションが強すぎ画像形成に支障をきたしてしまい、0.65より黒い場合、現像後の検版作業において画像が見難く、著しく検版性が悪いものとなってしまう。
なお、本発明の平版印刷版用原版は、その支持体として、粗面化処理を行なった後陽極酸化処理を行なったアルミニウム基板を用いることにより、より良好な機上現像性を得ることができる。その場合、さらにシリケート処理を行なったアルミニウム基板を用いることが、より好ましい。
本印刷版はアルミニウム基板上に水に不溶な親水性層あるいはレーザー露光により発熱しかつ水に不溶な親水性である層、あるいはアルミニウム基板上に断熱性を持たせるために有機ポリマーよりなる断熱層を設けたうえに、水に不溶な親水性層あるいはレーザー露光により発熱しかつ水に不溶な親水性である層を設けてもよい。
例えば、アルミニウム基板上にシリカ微粒子と親水性樹脂の親水性層を設けてもよい。さらにこの親水性層内に先に挙げた光熱変換材料を導入し、発熱性親水性層としてよい。このようにすることでアルミニウム基板に熱が逃げ難くなるのみか、レーザー露光により発熱する親水性基板として用いることができる。更にこの親水性層とアルミニウム基板の間に有機ポリマーからなる中間層を設けると、より一層熱がアルミニウム基板に逃げることを抑制することができる。支持体としては、機上現像性の観点から、多孔質でないものが良く、また親水性有機高分子材料を40%以上含むような水により膨潤するような支持体はインクが払われ難く問題となってしまう。
本発明に使用される親水層は3次元架橋しており、水及び/又はインキを使用する平版印刷で、浸し水に溶けない層であり、下記のコロイドからなることが望ましい。
ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、チタン、ホウ素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモン又は遷移金属の酸化物又は水酸化物のゾルゲル変換系からなるコロイドである。場合によってはこれらの元素の複合体からなるコロイドであっても良い。これらのコロイドは、上記の元素が酸素原子を介して網目状構造を形成すると同時に未結合の水酸基やアルコキシキ基を有していて、これらが混在した構造となっている。活性なアルコキシ基や水酸基が多い初期加水分解縮合段階から、反応が進行するにつれ粒子径は大きくなり不活性になる。コロイドの粒子は一般的には2nmから500nmで、シリカの場合5nmから100nmの球形のものが本発明では好適である。アルミニウムのコロイドのように100×10nmのような羽毛状のものも有効である。
更には、10nmから50nmの球状粒子が50nmから400nmの長さに連なったパールネック状のコロイドも用いることができる。
コロイドはそのもの単独で用いてもよく、更には親水性の樹脂と混合して用いることも可能である。また、架橋を促進させるために、コロイドの架橋剤を添加しても良い。
通常、コロイドは安定剤によって安定化されている場合が多い。カチオンに荷電しているコロイドではアニオン基を有する化合物、逆にアニオンに荷電しているコロイドではカチオン基を有する化合物が安定剤として添加されている。たとえば、ケイ素のコロイドではアニオンに荷電しているので、安定剤としてアミン系の化合物が添加され、アルミニウムのコロイドではカチオンに荷電しているので、塩酸や酢酸等の強酸が添加されている。この様なコロイドを基板上に塗布すると、常温で透明な皮膜を形成するものが多いが、コロイドの溶媒が蒸発しただけではゲル化は不完全で、安定剤を除去できる温度に加熱することによって、強固な3次架橋を行い、本発明に好ましい親水層となる。
上記のような安定化剤を用いずに、出発物質(例えば、ジ、トリ及び/又はテトラアルコキシシラン)から直接加水分解縮合反応を行わせ、適当なゾル状態を作りだしそのまま基板上に塗布し、乾燥させ反応を完了させても良い。この場合、安定化剤を含む場合よりも低温で三次元架橋させることができる。
この他、適当な加水分解縮合反応物を有機溶媒に分散安定化させたコロイドも本発明には好適である。溶媒が蒸発するだけで、三次元架橋した皮膜が得られる。これらの溶媒にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルーエテルやメチルエチルケトンのような低沸点の溶媒を選択すると、常温での乾燥が可能となる。とくに本発明では、メタノールやエタノール溶媒のコロイドが低温での硬化が容易であり有用である。
上記のコロイドと共に用いる親水性樹脂としては、例えばヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、アミノ、アミノエチル、アミノプロピル、カルボキシメチルなどの親水基を有するものが好ましい。具体的な親水性樹脂として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース及びそれらのNa塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも80重量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマー及びポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸あるいはその塩のホモポリマー及びコポリマー等を挙げることができる。
特に好ましい親水性樹脂は水溶性でない水酸基含有ポリマーで、具体的には、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマーとヒドロキシエチルアクリレートのコポリマーである。
これらの親水性樹脂はコロイドと共に用いられるが、その添加割合は親水性樹脂が水溶性の場合、親水層の全固形分の40重量%以下が好ましく、水溶性でない親水性樹脂の場合は全固形分の20重量%以下が好ましい。
これらの親水性樹脂はそのまま用いることもできるが、印刷時の耐刷力を増加させる目的で、コロイド以外の親水性樹脂の架橋剤を添加してもよい。この様な親水性樹脂の架橋剤としては、ホルムアルデヒド、グリオキザール、ポリイソシアネート及びテトラアルコキシシランの初期加水分解・縮合物、ジメチロール尿素やヘキサメチロールメラミンを挙げることができる。
本発明の親水層には上記の酸化物又は水酸化物のコロイドと親水性樹脂以外に、コロイドの架橋を促進する架橋剤を添加してもよい。その様な架橋剤としてはテトラアルコキシシランの初期加水分解縮合物、トリアルコキシシリルプロピル−N,N,N−トリアルキルアンモニウムハライドあるいはアミノプロピルトリアルコキシシランが好ましい。その添加割合は親水層の全固形分の5重量%以下であることが好ましい。
更に本発明の親水層には、感熱感度を高めるために親水性の光熱変換材料を添加してもよい。特に好ましい光熱変換材料は水溶性の赤外線吸収染料で、前記の式(I)のスルホン酸基やスルフォン酸のアルカリ金属塩基あるいはアミン塩基を有するシアニン染料である。これらの染料の添加割合は親水層の全量に対し、1重量%〜20重量%で、更に好ましくは5重量%〜15重量%である。
本発明の三次元架橋した親水層の塗布厚みは0.1μmから10μmであることが好ましい。より好ましくは、0.5μmから5μmである。薄すぎると、親水層の耐久性が劣り、印刷時の耐刷力が劣る。また厚すぎると、解像度が低下する。
以後、有機ポリマーよりなる中間層について述べる。中間層に用いることのできる有機ポリマーはポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、クレゾール樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ビニル樹脂など通常使用される有機ポリマーであれば問題なく使用することができる。これらは0.1g/m2〜5.0g/m2の塗布量であることが好ましい。0.1g/m2以下だと断熱効果が小さく、5.0g/m2より大きいと非画像部の耐刷性が劣化する。
本発明の平版印刷版用原版は高出力のレーザー露光により、画像形成することができるが、サーマルヘッドのような書込み機を用いてもよい。特に本発明では赤外または近赤外領域で発光するレーザーを用いることが好ましい。特に近赤外領域で発光するレーザーダイオードが特に好ましい。なお、この場合、その感熱層に含まれるマイクロカプセルの外壁が破れないエネルギー量で行う必要がある。
また、紫外線ランプによる記録も可能であるが、本発明においては、波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザにより画像露光されることが好ましい。レーザの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。記録材料に照射されるエネルギーは10〜300mJ/cm2であることが好ましい。
このようにして露光されたプレートは処理することなく、印刷機のシリンダーに取り付けられる。このようにして取り付けられたプレートは以下のような手順で印刷することができる。
(1)印刷版に湿し水を供給し、機上で現像した後に更にインクを供給して印刷を開始する方法、(2)印刷版に湿し水およびインクを供給し、機上で現像した後に印刷を開始する方法、(3)インクを版に供給し、湿し水を供給すると同時に紙を供給し印刷を開始する方法などがある。
またこれらのプレートは特許第2938398号に記載されているように、印刷機シリンダー上に取り付けた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、その後に湿し水及び/またはインクをつけて機上現像することも可能であり、好ましくは水又は水溶液によって現像可能な、あるいは現像することなしにそのまま印刷機に装着し印刷することが可能なものである。
以下、実施例をもって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜6、比較例1〜6
支持体(1)の作成(アルミニウム基板の作成)
99.5%以上のアルミニウムと、Fe 0.30%、Si 0.10%、Ti0.02%、Cu 0.013%を含むJIS A1050合金の溶湯を清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板厚0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
次に平版印刷版支持体とするための表面処理を行った。
まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去するため10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間脱脂処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。
次いで支持体と感熱層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1%の硝酸と0.5%の硝酸アルミを含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接給電セルにより電流密度20A/dm2、デューティー比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dm2を与えることで電解砂目立てを行った。その後10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間エッチング処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。(アルミニウム基板A)
さらに耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させた。電解質として硫酸20%水溶液を35℃で用い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電セルにより14A/dm2の直流で電解処理を行うことで2.5g/m2の陽極酸化皮膜を作成した。(アルミニウム基板B)
この後印刷版非画像部としての親水性を確保するため、シリケート処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5%水溶液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒となるよう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量は10mg/m2であった。以上により作成した支持体のRa(中心線表面粗さ)は0.25μmであった。(アルミニウム基板C)
支持体(2)の作成(アルミニウム基板上に発熱性親水性層を設けた支持体の作成)
メタノール240gにメタノールシリカゾル(日産化学(株)製:10nm〜20nmのシリカ粒子を30重量%含有するメタノール溶液からなるコロイド)45.2g、ポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.52g、赤外線吸収染料(I−32)3.2gを溶解し、先に得られたアルミニウム基板C上にバー塗布を行った。オーブンを用いて100℃30秒の条件で乾燥させた。塗布量は1.0g/m2であった。
支持体(3)の作成(アルミニウム基板上に断熱性層を設け更に発熱性親水層を設けた支持体の作成)
断熱性層の塗布
メチルエチルケトン100g、乳酸メチル90gにポリビニルブチラール樹脂10gを溶解し、先に得られたアルミニウム基板C上にバー塗布を行った。オーブンを用い100℃、1分の条件で乾燥した。塗布量は05g/m2であった。
発熱性親水性層の塗布
メタノール240gにメタノールシリカゾル45.2g、ポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.52g、赤外線吸収染料(I−32)3.2gを溶解し、先に得られた断熱層上にバー塗布を行った。オーブンを用いて100℃30秒の条件で乾燥させた。塗布量は1.0g/m2であった。
マイクロカプセルの合成
熱で外壁が破れないマイクロカプセルの合成(1)
油相成分としてD−110N(武田薬品工業製)30g、カレンズMOI(昭和電工製)(2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート)10g、トリメチロールプロパントリアクリレート10g、アリルメタクリレートとブチルメタクリレートの共重合体(モル比60/40)パイオニンA41C(竹本油脂製)10gを酢酸エチル60gに溶解した。水相成分としてPVA205(クラレ製)の4%水溶液120gを作成した。油相成分および水相成分をホモジナイザーを用いて10000rpmで乳化した。その後、水を40g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は20%であり、平均粒径は0.5μmであった。
熱で外壁が破れないマイクロカプセルの合成(2)
油相成分としてD−110N(武田薬品工業製)40g、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル20g、パイオニンA41C(竹本油脂製)0.1gを酢酸エチル60gに溶解した。水相成分としてPVA205(クラレ製)の4%水溶液120gを作成した。油相成分および水相成分をホモジナイザーを用いて10000rpmで乳化した。その後、水を40g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は20%であり、平均粒径は0.7μmであった。
熱により合体する微粒子状ポリマーの合成(1)(比較例)(反応基を持たない)
スチレン15g、ポリオキシエチレンフェノール水溶液(濃度9.84×10-3mol・l-1)200mlを加え、250rpmでかき混ぜながら、系内を窒素ガスで置換する。この液を25℃にした後、セリウム(IV)アンモニウム塩水溶液(濃度0.984×10-3mol・l-1)10ml添加する。この際、硝酸アンモニウム水溶液(濃度58.8×10-3mol・l-1)を加え、pH1.3〜1.4に調整する。その後8時間これを攪拌した。このようにして得られた液の固形分濃度は9.5%であり、平均粒径は0.4μmであった。
感熱層の塗布
以上のように作成した支持体(1)、(2)、(3)上に、合成例(1)、(2)のマイクロカプセルおよび合成例(1)の熱により合体する微粒子状ポリマーをそれぞれ含有する以下の組成よりなる塗布液を作成し、感熱層の塗布を行った。
感熱層塗布液組成
水 70 g
1−メトキシ−2−プロパノール 30 g
合成したマイクロカプセル(1)、(2)、
または熱により合体する微粒子状ポリマー(1)
(固形分換算で) 5g
ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g
p−ジアゾフェニルアミンの硫酸塩 0.3g
赤外線吸収染料(I−32) 0.3g
以上の液をバー塗布した後、オーブンで100℃60秒の条件で乾燥した。塗布量は0.5g/m2であった。
このようにして得られた機上現像可能な平版印刷版を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter 3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数105rpm、版面エネルギー200mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した後、処理することなく、印刷機ハイデルSOR−Mのシリンダーに取付け、湿し水を供給したのち、インキを供給し、さらに紙を供給し印刷を行った。すべてのプレートについて問題なく機上現像することができ印刷可能であった。各プレートで得られた印刷物の枚数を表−1に記載した。
Figure 2009107349
以上の結果から、マイクロカプセルを感熱層に有する平版印刷版の方が耐刷性について良好であることが分かった。またアルミニウム基板上に発熱性親水層を設けた支持体、あるいはアルミニウム基板上に断熱性層を設け更にその上に発熱性親水層を設けた支持体の方が耐刷性について良好となることが分かった。
レーザー照射時に熱で外壁が破れないマイクロカプセル(1)および(2)は、熱により合体する微粒子状ポリマー(1)よりも60℃、3日間経時し印刷した際に、汚れ難いことが分かった。
実施例7
支持体(3)の上に下記よりなる、感熱性層塗布液を塗布した。
水 70 g
1−メトキシ−2−プロパノール 30 g
合成したマイクロカプセル(1)(固形分換算で) 5 g
ポリアクリル酸(重量平均分子量 25000) 0.5g
ソルビトールトリアクリレート 1.0g
赤外線吸収染料(I−31) 0.3g
t−ブチルジフェニルヨードニウムの硫酸塩 0.3g
このようにして得られたプレートを、マルチチャンネルレーザヘッドを搭載した富士写真フイルム(株)製Luxel T−9000CTPにて、ビーム1本当たりの出力250mW、外面ドラム回転数400rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。実施例1〜6と同様に印刷したところ15000枚の正常な印刷を行うことができた。
実施例8
支持体(3)の上に下記よりなる、感熱性層塗布液を塗布した。
水 70g
1−メトキシ−2−プロパノール 30g
マイクロカプセル(2)(固形分換算で) 5g
ポリアクリル酸(重量平均分子量 25000) 0.5g
ジエチレントリアミン 1.0g
赤外線吸収染料(I−31) 0.3g
t−ブチルジフェニルヨードニウムの硫酸塩 0.3g
このようにして得られたプレートを、マルチチャンネルレーザヘッドを搭載した富士写
真フイルム(株)製Luxel T−9000CTPにて、ビーム1本当たりの出力250mW、外面ドラム回転数400rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。実施例1〜6と同様に印刷したところ30000枚の正常な印刷を行うことができた。
実施例9〜11
下記マイクロカプセル(3)および(4)を合成し、前記支持体(1)の上に下記よりなる感熱性層塗布液を塗布した以外は、実施例1〜6と同様に、平版印刷版用原版の作成、画像露光、印刷を行った。
熱で外壁が破れないマイクロカプセルの合成(3)
油相成分としてD110N(武田薬品工業製)30g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート10g、トリメチロールプロパンジアクリレート9g、アリルメタクリレートとブチルアクリレートの共重合体8g(モル比60/40)、赤外線吸収染料(I−33)3g、パイオニンA41C(竹本油脂性)0.1gを酢酸エチル60gに溶解した。水相成分としてはPVA205(クラレ製)の4%水溶液120gを作成した。油相成分および水相成分をホモジナイザーを用いて10000rpmで乳化した。その後水を40g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間撹拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は20%であり、平均粒径は0.6μmであった。
熱で外壁が破れないマイクロカプセルの合成(4)
油相成分としてD110N(武田薬品工業製)30g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート10g、トリメチロールプロパンジアクリレート9g、アリルメタクリレートとブチルアクリレートの共重合体8g(モル比60/40)、赤外線吸収染料(I−33)3g、パイオニンA41C(竹本油脂性)0.1g、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル1.0gを酢酸エチル60gに溶解した。水相成分としてはPVA205(クラレ製)の4%水溶液120gを作成した。油相成分および水相成分をホモジナイザーを用いて10000rpmで乳化した。その後水を40g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間撹拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は20%であり、平均粒径は0.6μmであった。
実施例9の感熱性層塗布液
水 70 g
1−メトキシ−2−プロパノール 30 g
合成したマイクロカプセル(3) 5 g
ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g
p−ジアゾジフェニルアミン硫酸塩 0.3g
実施例10の感熱性層塗布液
水 70 g
1−メトキシ−2−プロパノール 30 g
合成したマイクロカプセル(3) 5 g
ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g
パラジアゾジフェニルアミン硫酸塩 0.3g
赤外線吸収染料(I−32) 0.1g
実施例11の感熱性層塗布液
水 70 g
1−メトキシ−2−プロパノール 30 g
合成したマイクロカプセル(4) 5 g
ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g
パラジアゾジフェニルアミン硫酸塩 0.3g
赤外線吸収染料(I−32) 0.1g
実施例9、10における印刷可能枚数はいずれも10000枚であり、実施例11における印刷可能枚数は15000枚であり、マイクロカプセル内に光熱変換物質を含まない実施例1(5000枚)に比べ高耐刷性を示し、さらに反応を開始促進する化合物をマイクロカプセル内に入れることでさらなる高耐刷性を示した。また60℃、3日間経時し印刷した際の汚れ性は実施例1と同程度であった。
実施例12〜14
前記支持体(1)の作成工程によって得られるアルミニウム基板A〜Cを用いた以外は、実施例1と同様に、平版印刷版用原版の作成、画像露光、印刷を行い、その機上現像性を評価した。
なお、機上現像性は、印刷開始から100枚目の印刷物における150線/インチの網点のシャドー部が、何%まで再現できるかを観察し、その値が高いほど良好なものとした。結果を下記表−2に示す。
Figure 2009107349
上記表−2より、支持体として、陽極酸化処理、さらにはシリケート処理を行ったアルミニウム基板を用いた方が、機上現像性に優れていることが解った。

Claims (5)

  1. 親水性支持体上に、画像形成に用いる熱で外壁が破れることなく、かつ熱により反応する官能基を有する化合物を含有しているマイクロカプセルからなる感熱層を設け、さらに光熱変換材料を感熱層かその隣接する層に含有していることを特徴とする平版印刷版用原版。
  2. 前記マイクロカプセルの表面および表面付近の少なくともいずれかに該マイクロカプセルより拡散した前記化合物が存在することを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用原版。
  3. 熱により反応する官能基を有する化合物を含有するマイクロカプセルを該マイクロカプセルの外壁を膨潤させる溶剤に分散し、その分散液を親水性支持体上に塗布し乾燥させて得られたことを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用原版。
  4. 前記親水性支持体が粗面化処理を行なった後、陽極酸化処理を行なったアルミニウム基板であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用原版。
  5. 前記アルミニウム基板がさらにシリケート処理を行なったものであることを特徴とする請求項4記載の平版印刷版用原版。
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