JP2009107180A - 光学フィルムの製造方法および光学フィルム - Google Patents

光学フィルムの製造方法および光学フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】厚さ精度が高いとともに、ダイラインがなく、さらに凹み欠陥が少ない、表面平滑性に優れた光学フィルムを製造することができる光学フィルムの製造方法、および当該製造方法によって作製されるフィルムを用いた各種光学フィルムを提供する。
【解決手段】溶融押出法によって、Tダイからシート状の熱可塑性樹脂を押し出す押出工程と、押出工程によって押し出されたシート状の熱可塑性樹脂を、2つの冷却ロールの間に挟み込むことによってフィルムを形成するフィルム形成工程と、を有し、フィルム形成工程では、2つの冷却ロールによってシート状の熱可塑性樹脂を挟み込む力をP(kgf)、前記Tダイから吐出されるシート状の熱可塑性樹脂の幅をH(cm)とした場合、3.0≦P/H≦20.0である。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶融押出法に基づく光学フィルムの製造方法、および当該製造方法によって作製される光学フィルムに関するものである。
近年、液晶表示装置では、光学的に透明であり、厚さ精度に優れ、かつ、フィルム表面の欠陥が少ない光学フィルムが求められている。
このような高品質の光学フィルムを得るために、溶液流延法に基づく光学フィルムの製造方法が多用されている。しかしながら、溶液流延法は、生産性が低いとともに、溶剤コストが高いという問題点を有している。
そこで、上記溶液流延法の問題点を解消するために、従来から、例えば単軸または二軸を有する押出機によって、溶融状態の樹脂をTダイから押出し、当該溶融状態の樹脂を1つの冷却ロールにて流延する溶融押出法によって光学フィルムを製造する方法が用いられている。
しかしながら、この方法では、フィルムの片面が大気に曝される為、作製されるフィルムが外気の影響を受けるという問題点を有している。つまり、フィルムの片面が大気に曝されていることによってフィルムの温度が不均一となり、その結果、厚さ精度が良好な光学フィルムを得ることが困難であるとともに、ダイライン(スジ故障)の発生等によってフィルムの表面を平滑にできないという問題を有している。なお、「ダイライン(スジ故障)」とは、Tダイの特定の位置に対応する成形物の位置に樹脂の押出方向に沿って連続的に発生する、肉眼でも観察可能なスジが意図される。
そこで、上記溶融押出法の問題点を解消するために、近年、Tダイから押出されるシート状の溶融樹脂を2つの平滑化ロールによって挟み込むことによって、ダイライン(スジ故障)が無い表面平滑性が高い光学フィルムを製造する方法が用いられている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
上記特許文献1および特許文献2には、ポリシングローラ法によって、熱可塑性樹脂であるセルロースアシレート樹脂からフィルムを製造する方法が記載されている。当該方法では、一対のローラの間にセルロースアセテート樹脂を挟み込むことによって、フィルムが製造されている。このとき、上記ローラ間に挟み込まれるセルロースアシレート樹脂には大きな圧力が加えられ、その結果、ダイラインの発生が防止されている。
また、溶融押出法では、フィルムの表面平滑性を損なう要因として、凹み欠陥の発生の有無も重要である。なお、「凹み欠陥」とは、フィルムを平滑化するための冷却ロールの汚れ等が光学フィルムに転写されることによって生じる、光学フィルム表面の凹が意図される。
上記凹み欠陥の発生を抑制するために、従来から、ローラの温度、熱可塑性樹脂フィルムの延伸時の温度、および熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度を制御することによって凹み欠陥の発生を抑制する光学フィルムの製造方法が用いられている(例えば、特許文献3参照)。
特開2007−168426号公報(平成19年7月5日公開) 特開2007−168425号公報(平成19年7月5日公開) 特開2007−30410号公報(平成19年2月8日公開)
しかしながら、上記従来の光学フィルムの製造方法では、製造された光学フィルムの表面平滑性が十分ではないという問題点を有している。
上記特許文献1または特許文献2に記載の製造方法は、基本的に溶融押出法によって光学フィルムを製造している。つまり、Tダイから押出されるシート状の溶融樹脂を2つの冷却ロールによって挟み込みながら当該溶融樹脂を冷却することによって、連続的に光学フィルムを製造している。このとき、上記従来の製造方法は、光学フィルムの製造過程で生じるダイラインの防止には着目しているが、同じく光学フィルムの製造過程で生じる凹み欠陥の防止には全く着目していない。それ故、製造されたフィルムは、多くの凹み欠陥を有している。
また、上記引用文献3に記載の方法は、熱可塑性樹脂フィルムの延伸時の温度が高いので、作製されるフィルムの強度が低下するという問題点を有している。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、厚さ精度が高い(厚さむらがない)とともに、ダイライン(スジ故障)がなく、さらに凹み欠陥が少ない(ロールの汚れがフィルムに転写されない)、表面平滑性に優れたフィルムを製造することができる光学フィルムの製造方法、および当該製造方法によって作製されるフィルムを用いた各種光学フィルムを提供することにある。
本発明の光学フィルムの製造方法は、上記課題を解決するために、溶融押出法によって、Tダイからシート状の熱可塑性樹脂を押し出す押出工程と、前記押出工程によって押し出されたシート状の熱可塑性樹脂を、2つの冷却ロールの間に挟み込むことによってフィルムを形成するフィルム形成工程と、を有し、前記フィルム形成工程では、2つの冷却ロールによってシート状の熱可塑性樹脂を挟み込む力をP(kgf)、前記Tダイから吐出されるシート状の熱可塑性樹脂の幅をH(cm)とした場合、3.0≦P/H≦20.0であることを特徴としている。
本発明の光学フィルムの製造方法では、前記熱可塑性樹脂は、アクリル系樹脂であることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法では、前記アクリル系樹脂は、下記一般式(1)にて示される構造単位と、下記一般式(2)にて示される構造単位および下記一般式(3)にて示される構造単位の少なくとも一方と、を有するイミド化アクリル系樹脂、つまり、
Figure 2009107180
(但し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rは、水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
Figure 2009107180
(但し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rは、水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
Figure 2009107180
(但し、Rは、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rは、炭素数6〜10のアリール基を示す。)
を有するイミド化アクリル系樹脂であることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法では、前記2つの冷却ロールの回転速度をR(cm/sec)、熱可塑性樹脂を押し出すための前記Tダイの吐出口から、前記2つの冷却ロールと熱可塑性樹脂との接触点までの距離をL(cm)とした場合、L/R≦1.0であることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法では、前記押出工程では、Tダイから押し出される熱可塑性樹脂の溶融粘度が、1500Pa・sec以下であることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法では、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTg(℃)、前記2つの冷却ロールの温度をT(℃)とした場合、Tg−50≦T≦Tg+30であることが好ましい。
また、本発明の偏光子保護フィルムは、上記課題を解決するために、上記光学フィルムの製造方法にて作製された光学フィルムからなることを特徴としている。
また、本発明の光学補償フィルムは、上記課題を解決するために、上記光学フィルムの製造方法にて作製された光学フィルムからなることを特徴としている。
本発明の光学フィルムの製造方法は、以上のように、溶融押出法によって、Tダイからシート状の熱可塑性樹脂を押し出す押出工程と、上記押出工程によって押し出されたシート状の熱可塑性樹脂を、2つの冷却ロールの間に挟み込むことによってフィルムを形成するフィルム形成工程と、を有し、上記フィルム形成工程では、2つの冷却ロールによってシート状の熱可塑性樹脂を挟み込む力をP(kgf)、上記Tダイから吐出されるシート状の熱可塑性樹脂の幅をH(cm)とした場合、3.0≦P/H≦20.0である方法である。
また、本発明の偏光子保護フィルムおよび光学補償フィルムは、本発明の製造方法によって作製された光学フィルムからなるものである。
それゆえ、本願発明は、線圧を低く抑えているためにロールの汚れがフィルムに転写されないので、フィルム表面の凹み欠陥を少なくする(例えば、50個/m以下)ことができるという効果を奏する。
また、本願発明は、2つのロールによって熱可塑性樹脂を挟み込むので、フィルムの厚さむらを小さくする(例えば、5μm以下)ことができるという効果を奏する。
また、線圧を低くしすぎればダイラインが発生するが、本願発明は独自の線圧の条件下にてフィルムを作製するので、ダイラインの発生を抑えることができるという効果を奏する。
本実施の形態の光学フィルムの製造方法は、押出工程とフィルム形成工程とを有するものである。以下に、各工程について説明する。
〔押出工程〕
押出工程では、溶融押出法によって、Tダイの吐出口からシート状の熱可塑性樹脂が押し出される。
上記押出工程では、Tダイの吐出口からフィルムの原材料である熱可塑性樹脂が押し出されるが、当該Tダイとしては特に限定されず、適宜公知のTダイを用いることができる。例えば、上記Tダイは、後述するシート状の熱可塑性樹脂を押し出し得る形状の吐出口を有するものであることが好ましいが、その形状は特に限定されない。また、上記吐出口の形状も特に限定されない。
上記押出工程では、Tダイの吐出口から、シート状の熱可塑性樹脂が押し出される。上記可塑性樹脂の形状としてはシート状であればよく、その厚さおよび幅は特に限定されない。
例えば、シート状の熱可塑性樹脂の厚さは、後段のフィルム形成工程にて、当該熱可塑性樹脂が2つの冷却ロールの間に挟みこまれ得る程度の厚さであればよく、特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂の厚さは、略20μm〜300μmであることが好ましいが、これに限定されない。熱可塑性樹脂の厚さが20μmよりも薄ければ、ロールの撓みの影響を大きく受けるために、製造される光学フィルムの厚さむらが大きくなる傾向を示す。一方、熱可塑性樹脂の厚さが300μmよりも厚ければ、ロールによって当該熱可塑性樹脂を薄く延ばすことができない。その結果、後段の工程において光学フィルムを製造することが困難になるとともに、製造される光学フィルムの膜厚が厚くなる傾向を示す。
また、シート状の熱可塑性樹脂の幅、換言すれば、押出方向に対して略垂直な方向への熱可塑性樹脂の長さであって、後段のフィルム形成工程において熱可塑性樹脂に加えられる力の方向に対して略垂直な方向への熱可塑性樹脂の長さも特に限定されない。後述するフィルム形成工程において詳細に説明するが、熱可塑性樹脂の幅は、フィルム形成工程において熱可塑性樹脂に対して加えられる力を考慮して設定すればよい。
上記押出工程では、Tダイの吐出口から押し出される熱可塑性樹脂の溶融粘度は特に限定されないが、例えば、1500Pa・sec以下であることが好ましい。なお、当該溶融粘度は、例えば、イミド化アクリル系樹脂内における各構造単位の含有率を変化させることによって調節することができる。また、当該溶融粘度は、適宜公知の方法にしたがって測定することが可能である。
Tダイの吐出口から押し出される熱可塑性樹脂の溶融粘度が上記範囲内であれば、より確実に、作製されるフィルムの厚さむらを減少させることができるとともに、ダイラインの発生を防止することができる。
上述したように、上記吐出口からは、熱可塑性樹脂が押し出される。上記熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネートまたは環状オレフィンコポリマーであることが好ましい。また、上記アクリル系樹脂としても特に限定されないが、例えば、イミド化アクリル系樹脂またはラクトン環含有アクリル系樹脂であることが好ましい。なお、上記熱可塑性樹脂の中では、イミド化アクリル系樹脂が最も好ましい。
上記イミド化アクリル系樹脂としては特に限定されないが、下記一般式(1)にて示される構造単位と、下記一般式(2)にて示される構造単位および下記一般式(3)にて示される構造単位の少なくとも一方と、を有するイミド化アクリル系樹脂であることが好ましい。なお、一般式(1)〜(3)にて示される構造単位を以下に示す。
Figure 2009107180
このとき、RおよびRは、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rは、水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。
また、一般式(1)にて示される構造単位としては、R、Rが水素またはメチル基であり、Rが水素、メチル基、ブチル基、またはシクロヘキシル基である構造単位が好ましい。また、Rがメチル基であり、Rが水素であり、Rがメチル基である場合が、最も好ましい。
また、一般式(1)にて示される構造単位は、単一のR、R、Rを含むものであってもよく、異なる複数の種類のR、R、Rを含むものであってもよい。
また、一般式(1)にて示される構造単位は、後述するように、アクリル系樹脂をイミド化することによって得られる。なお、このことについては、後述することにする。
Figure 2009107180
このとき、RおよびRは、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rは、水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。
また、一般式(2)にて示される構造単位の原料としては特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を用いることが好ましく、これらの中では、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
また、一般式(2)にて示される構造単位は、単一のR、R、Rを含むものであってもよく、異なる複数の種類のR、R、Rを含むものであってもよい。
Figure 2009107180
このとき、Rは、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rは、炭素数6〜10のアリール基を示す。
また、一般式(3)にて示される構造単位としては、Rが水素であるとともにRがフェニル基であるスチレン、Rがメチル基であるとともにRがフェニル基であるα−メチルスチレン等である構造単位が好ましい。また、一般式(3)にて示される構造単位としては、スチレンを用いることが最も好ましい。
また、一般式(3)にて示される構造単位は、単一のR、Rを含むものであってもよく、異なる複数の種類のR、Rを含むものであってもよい。
イミド化アクリル系樹脂中の一般式(1)で表される構造単位の含有量は特に限定されないが、例えばRの構造を考慮した場合、イミド化アクリル系樹脂の20重量%以上であることが好ましく、20重量%〜95重量%であることがより好ましく、40重量%〜90重量%であることがより好ましく、50〜80重量%であることが最も好ましい。
イミド化アクリル系樹脂中の一般式(1)で表される構造単位の含有量がこの範囲より小さい場合、得られるイミド化アクリル系樹脂の耐熱性が低下するとともに、透明性が低下する。一方、イミド化アクリル系樹脂中の一般式(1)で表される構造単位の含有量がこの範囲よりも大きい場合、得られるイミド化アクリル系樹脂の耐熱性および溶融粘度が不必要に上がり、成形加工性が低下する。また、得られるフィルムの機械強度が脆くなるとともに、透明性が低下する。
イミド化アクリル系樹脂中の一般式(3)にて示される構造単位の含有量は、イミド化アクリル系樹脂の総繰り返し単位を基準として、1重量%以上であることが好ましく、1重量%〜40重量%であることがより好ましく、1重量%〜30重量%であることがより好ましく、1〜25重量%であることが最も好ましい。イミド化アクリル系樹脂中の一般式(3)で表される構造単位の含有量がこの範囲よりも大きい場合、得られるイミド化アクリル系樹脂の耐熱性が低下する。一方、イミド化アクリル系樹脂中の一般式(3)で表される構造単位の含有量がこの範囲より小さい場合、得られるフィルムの機械的強度が低下する。
なお、主原料である一般式(2)および一般式(3)、並びにイミド化剤の割合を調整することによって、一般式(1)にて示される構造単位と、一般式(2)にて示される構造単位及び/又は一般式(3)で表される構造単位とを任意の割合で含有するイミド化アクリル系樹脂を得ることができる。
イミド化アクリル系樹脂には、必要に応じ、更に、第四の構造単位が共重合されていてもよい。第四の構造単位としては特に限定されないが、例えば、ニトリル系単量体(例えば、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル等)、マレイミド系単量体(例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等)を共重合してなる構造単位を用いることが可能である。これらは、イミド化アクリル系樹脂中に、直接共重合していてもよく、グラフト共重合していてもよい。
イミド化アクリル系樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、1×10〜5×10であることが好ましい。イミド化アクリル系樹脂の製造工程にて、樹脂に対して過剰な熱を与えると、樹脂の熱分解が生じて重量平均分子量が1×10を下回ったり、過度に架橋が生じて重量平均分子量が5×10を上回ったりする。したがって、樹脂に加える熱量を調節することによって、イミド化アクリル系樹脂の重量平均分子量を調節することができる。重量平均分子量が1×10を下回る場合には、作製されたフィルムの機械強度が不足し、5×10を上回る場合には、溶融押出時の粘度が高くなるので、成形加工性が低下するとともに、フィルムの生産性が低下することがある。したがって、上記構成によれば、所望の特性を有するフィルムを容易に作製することができる。
また、イミド化アクリル系樹脂のガラス転移温度は特に限定されないが、110℃以上であることが好ましく、120℃以上である事がより好ましい。上記構成であれば、作製されるフィルムの耐熱性を上昇させることができるので、当該光学フィルムを耐熱性が要求される用途に用いることができる。
上記イミド化アクリル系樹脂を作製するためには、公知の方法にしたがって、アクリル系樹脂とイミド化剤とを反応させることによってイミド化アクリル系樹脂を作製すればよい。以下に、イミド化アクリル系樹脂の製造方法について詳細に説明する。なお、以下に示すイミド化アクリル系樹脂の製造方法は単なる一例であって、当該製造方法に限定されない。
イミド化アクリル系樹脂の製造方法として、例えば、アクリル系樹脂をイミド化剤によって処理する第1反応工程と、当該第1反応工程における反応生成物をさらにエステル化剤によって処理する第2反応工程とを有する製造方法を挙げることができる。
上記第1反応工程では、先ずアクリル系樹脂を原料樹脂(主原料)として用い、これをイミド化剤(例えば、アンモニアまたは置換アミン等)によって処理した樹脂(以下、イミド樹脂中間体1と呼ぶ)を得る。
上記イミド樹脂中間体1は、第2反応工程においてエステル化剤によって処理される。そして、必要に応じて加熱処理等を行うことで、樹脂中に残存する酸成分(カルボキシ基及び酸無水物由来のもの)の割合が制御された樹脂(以下、イミド樹脂中間体2と呼ぶ)が得られる。このとき、エステル化剤によって処理すること無く、加熱処理等のみを行う事も可能である。上記第2反応工程において、加熱処理(押出機内での溶融樹脂の混錬/分散)のみを行った場合、イミド樹脂中間体1のカルボキシル基同士の脱水反応および/またはカルボキシル基とアルキルエステル基の脱アルコール反応等により、カルボキシル基の一部または全部を酸無水物基とすることが可能である。なお、加熱処理温度は特に限定されないが、過剰な加熱による樹脂の分解および着色を抑制する為に、反応温度は150℃〜400℃の範囲で行うことが好ましい。また、反応温度は、180℃〜320℃であることが更に好ましく、200℃〜280℃であることが最も好ましい。
更に、イミド樹脂中間体2を減圧脱揮することによって、樹脂中に含まれるエステル化剤を除去し、光学フィルムを製造するための原材料として用いられるイミド化アクリル系樹脂を得ることができる。
主原料となるアクリル系樹脂としては、無水マレイン酸等の酸無水物または、それらと炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコールとのハーフエステル(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸等)を挙げることができる。また、主原料となるアクリル系樹脂として、下記一般式(2)で示される構造単位と、下記一般式(3)で示される構造単位とからなるメタクリル酸メチル−スチレン共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体を挙げることができる。また、主原料となるアクリル系樹脂として、一般式(2)で示される構造単位からなるメタクリル酸メチル重合体等の(メタ)アクリル酸エステル重合体等を挙げることができる。
Figure 2009107180
但し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R6は、水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。
Figure 2009107180
但し、Rは、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rは、炭素数6〜10のアリール基を示す。
上記イミド化アクリル系樹脂を製造する場合、例えば、先ずメチルメタクリレート−スチレン共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体、またはメタクリル酸メチル重合体等の(メタ)アクリル酸エステル重合体等を重合し、これをイミド樹脂化することによって、イミド化アクリル系樹脂を得ることができる。この場合、(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル重合体は、イミド化反応が可能であればよく、その重合様式は特に限定されない。例えば、リニアー(線状)ポリマー、またブロックポリマー、コアシェルポリマー、分岐ポリマー、ラダーポリマー、または架橋ポリマーであり得る。また、ブロックポリマーは、A−B型、A−B−C型、A−B−A型、またはこれら以外の何れのタイプのブロックポリマーであってもよい。コアシェルポリマーは、ただ一層のコア、およびただ一層のシェルのみからなるものであっても、それぞれが多層になっているものであってもよい。
上記イミド化剤としては特に限定されず、適宜公知のイミド化剤を用いることができる。例えば、イミド化剤として、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン等の脂肪族炭化水素基含有アミン、アニリン、ベンジルアミン、トルイジン、トリクロロアニリン等の芳香族炭化水素基含有アミン、シクロヘキシルアミン等の脂環式炭化水素基含有アミン、アンモニア等を用いることができる。尿素、1,3−ジエチル尿素または1,3−ジプロピル尿素等に代表される、加熱によってこれらのアミンを発生することができる尿素系化合物を用いることも可能である。コストおよび物性を考慮すれば、これらのイミド化剤の内、メチルアミン、アンモニアまたはシクロヘキシルアミンが更に好ましく、メチルアミンが最も好ましい。
上記エステル化剤としては特に限定されず、適宜公知のエステル化剤を用いることができる。例えば、エステル以剤として、ジメチルカーボネート、2,2−ジメトキシプロパン、ジメチルスルホキシド、トリエチルオルトホルメート、トリメチルオルトアセテート、トリメチルオルトホルメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルサルフェート、メチルトルエンスルホネート、メチルトリフルオロメチルスルホネート、メチルアセテート、メタノール、エタノール、メチルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、ジメチルカルボジイミド、ジメチル−t−ブチルシリルクロライド、イソプロペニルアセテート、ジメチルウレア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジメチルジエトキシシラン、テトラ−N−ブトキシシラン、ジメチル(トリメチルシラン)フォスファイト、トリメチルフォスファイト、トリメチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、ジアゾメタン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル等を用いることができる。
エステル化剤の添加量は、製造される光学フィルムにおいて所望の物性を実現するために、樹脂中の酸成分の割合に応じて決定される。好ましくは、イミド樹脂中間体1の100重量部に対して、1〜100重量部のエステル化剤を用いることが好ましい。
なお、イミド樹脂中間体1をエステル化剤によって処理(または加熱処理)するときの反応系、またはイミド樹脂中間体2に対して、一般に用いられる触媒、酸化防止剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、収縮防止剤などを本発明の目的が損なわれない範囲で添加することも可能である。
〔フィルム形成工程〕
フィルム形成工程では、前記押出工程によって押し出されたシート状の熱可塑性樹脂が2つの冷却ロールの間に挟み込まれる。そして、熱可塑性樹脂に対して力が加えられることによって、当該熱可塑性樹脂からフィルムが形成される。
更に詳細には、上記2つの冷却ロールは対向して配置されており、その間にシート状の熱可塑性樹脂が挟み込まれる。そして、当該冷却ロールにより熱可塑性樹脂に対して力が加えられることによって、熱可塑性樹脂の膜厚が薄くなる。そして、その結果、所望の光学フィルムを作製することができる。このとき、本願発明では熱可塑性樹脂に対して独自に見出した条件下で力を加えることによって、作製されるフィルムの厚さむらの発生を防止することができるとともに、ダイラインおよび凹み欠陥の発生を防止することができる。以下に、フィルム形成工程において熱可塑性樹脂に対してかけられる力の設定方法について説明する。
フィルム形成工程では、2つの冷却ロールによってシート状の熱可塑性樹脂を挟み込む力をP(kgf)、前記Tダイから吐出されるシート状の熱可塑性樹脂の幅をH(cm)とした場合、3.0≦P/H≦20.0となるように、熱可塑性樹脂に対して線圧が加えられる。
例えば、図1に示すように、本実施の形態の製造方法では、第1ロール1と第2ロール4とが対向するように配置されている、そして、Tダイの吐出口2から押し出されたシート状の熱可塑性樹脂3が、第1ロール1と第2ロール4との間に挟みこまれる。このとき、第1ロール1と第2ロール4とによって挟み込まれることによって、幅H(cm)を有する熱可塑性樹脂3に対してP(kgf)の力が加えられる。なお、図1に示すように、熱可塑性樹脂3の幅H(cm)とは、力P(kgf)が加えられる方向に対して垂直な方向であるとともに、熱可塑性樹脂3の押出方向に対しても垂直な方向への、シート状の熱可塑性樹脂3の長さが意図される。また、上記力P(kgf)とは、シート状の熱可塑性樹脂3に対して垂直に加えられる力が意図される。なお、当該力は、第1ロール1および第2ロール4によって熱可塑性樹脂3に対して加えられる。
上記第1ロール1および第2ロール4としては特に限定されず、適宜、公知のロールを用いることが可能である。例えば、上記第1ロール1および第2ロール4として、同じロールを用いることも可能であり、異なるロールを用いることも可能である。例えば、上記第1ロール1および第2ロール4として異なるロールを用いる場合には、第1ロールとして弾性ロールを用い、上記第2ロール4として剛性ロールを用いることが好ましい。上記弾性ロールとしては特に限定されないが、例えば東芝機械株式会社製のTESロールを用いることが好ましい。また、上記剛性ロールとしては特に限定されない。
そして、本実施の形態の製造方法では、3.0≦P/H≦20.0となるように、熱可塑性樹脂3に対して力(線圧)が加えられている。
なお、熱可塑性樹脂3に対してP(kgf)の力を加える方法は特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂3の幅が変化する場合には、それに応じて力P(kgf)を変化させ得るように、少なくとも一方の側のロールを他方のロールに対して移動させればよい。また、熱可塑性樹脂3の幅がほぼ一定の場合には、当該幅に応じて、第1ロール1と第2ロール4との間の距離を固定すればよい。
また、各冷却ロールの温度は特に限定されず、適宜設定することができる。例えば、熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTg(℃)、2つの冷却ロールの温度をT(℃)とした場合、Tg−50≦T≦Tg+30となるように、各冷却ロールの温度を設定することが好ましい。なお、ここでいうガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)により測定したガラス転移温度のことをいう。
上記構成によれば、冷却ロールの温度と熱可塑性樹脂のガラス転移温度との差が小さいので、ガラス転移温度に近い温度条件下にて熱可塑性樹脂に線圧を加えることができる。その結果、生産される光学シートの厚さむらを小さくすることができるとともに、ダイラインおよび凹み欠陥の発生を抑えることができる。
また、上記冷却ロールの回転速度をR(cm/sec)、熱可塑性樹脂を押し出すための上記Tダイの吐出口から、前記2つの冷却ロールと熱可塑性樹脂との接触点までの距離をL(cm)とした場合、L/R≦1.0であることが好ましい。
なお、図1に示すように、第1ロール1と第2ロール4との接触面積が非常に小さい場合には、距離L(cm)は、Tダイの吐出口2から、円筒形状であるロール同士の接点までの距離に近似することができる。
上記構成によれば、吐出口2からロールまでの距離、換言すれば、熱可塑性樹脂3がロールに挟み込まれる前に移動する距離を短くすることができる。その結果、熱可塑性樹脂3がロールに挟み込まれる前に不均一に冷え始めることを防ぐことができるので、光学フィルムの厚さを均一にすることができる。
以上のようにして、所望の特使を有する光学フィルムを作製することができる。
〔光学フィルムの用途〕
本実施の形態の光学フィルムは、様々な用途に用いることが可能である。例えば、カメラやVTR、プロジェクター用の撮影レンズやファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズ等として映像分野に用いることが可能である。また、CDプレイヤー、DVDプレイヤーおよびMDプレイヤー等の光ディスク用ピックアップレンズ等としてレンズ分野に用いることが可能である。また、CDプレイヤー、DVDプレイヤーおよびMDプレイヤー等の光ディスクとして光記録分野に用いることが可能である。また、液晶用導光板、偏光子保護フィルムおよび位相差フィルム等の液晶ディスプレイ用フィルム、表面保護フィルム等として情報機器分野に用いることが可能である。また、光ファイバ、光スイッチ、光コネクター等として光通信分野に用いることが可能である。また、自動車ヘッドライト、テールランプレンズ、インナーレンズ、計器カバー、サンルーフ等として車両分野に用いることが可能である。また、眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、内視境用レンズ、滅菌処理の必要な医療用品等として医療機器分野に用いることが可能である。また、道路透光板、ペアガラス用レンズ、採光窓やカーポート、照明用レンズ、照明カバー、建材等に用いることが可能である。また、電子レンジ調理容器(食器)、家電製品、玩具、サングラス、文房具、等に用いることが可能である。
また、本実施の形態の製造方法によって作製された光学フィルムは、その中でも特に、偏光子保護フィルムまたは光学補償フィルムとして用いることが好ましい。
偏光子保護フィルムおよび光学補償フィルムは、表面平滑性の優れたフィルムによって作製されることが好ましい。さらに光学補償フィルムでは均一な位相差を有することが好ましい。そこで、本実施の形態の製造方法によって作製された光学フィルムを用いれば、位相差が実質的にない優れた偏光子保護フィルムを提供することが可能になる。また、本実施の形態の製造方法によって作製された光学フィルムを用いれば、均一な特定の位相差を有する位相差フィルムからなる光学補償フィルムを提供することが可能になる。
本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例および比較例における、フィルム表面の凹み欠陥の数、フィルム表面のダイラインの有無、フィルムの表面性、フィルムの厚さ、粘度変化率、およびイミド化率は、以下のようにして評価した。
〔フィルム表面の凹み欠陥の数〕
暗室内で1mのフィルム表面を目視にて観察し、株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープ(VH−Z75)によって、最大長さが10μm以上、深さが1μm以上の凹み欠陥の数をカウントした。なお、凹み欠陥の深さは、デジタルマイクロスコープによって、フィルム表面の平坦部と凹み欠陥の最深部と間の距離として測定した。
〔フィルム表面のダイラインの有無〕
フィルム表面を目視にて観察し、その有無を判定した。
〔フィルムの表面性〕
目視による観察を行い、上記凹み欠陥、およびダイライン以外のフィルムの表面平滑性の評価を行った。
〔フィルムの厚さ〕
アンリツ株式会社製の触針式連続フィルム厚み計(フィルムシックネステスタKG601B、および電子マイクロメータK3001A)を使用して、フィルムの厚さを測定した。
詳細には、フィルム内の領域であってフィルムの両端部からそれぞれ50mmを除いた領域から、フィルムの幅方向および長さ方向に、それぞれ幅30mm、長さ200mm以上の長さにフィルムを切り出し、当該切り出したフィルムの厚さを連続的に測定した。そして、フィルムの厚さの最大値と最小値との差を、厚さむらとした。
〔粘度変化率〕
株式会社東洋精機製作所製のキャピログラフ(PMD−C)を使用して、粘度変化率を測定した。
詳細には、温度270℃、ピストン降下速度2.0mm/分の条件下にて、樹脂をキャピログラフ内に滞留させた。滞留開始後、10分、および90分における溶融粘度を測定した。そして、滞留10分後に対する滞留90分後の粘度の変化率を、粘度変化率とした。
〔イミド化率〕
生成物のペレット1gをジクロロメタン5ccに溶解し、SensIR Tecnologies社製のTravelIRを用いて、室温にてIRスペクトルを測定した。
得られたスペクトルに基づいて、1720cm−1におけるエステルカルボニル基に帰属する吸収強度(Absester)と、1660cm−1におけるイミドカルボニル基に帰属する吸収強度(Absimide)との比から、イミド化率を求めた。なお、イミド化率とは、全カルボニル基におけるイミドカルボニル基の占める割合をいう。
〔ガラス転移温度〕
樹脂10mgを示差走査熱量計(DSC、株式会社島津製作所製のDSC−50型)を用い、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minの条件下にて測定を行った。次いで中点法によって、上記測定結果に基づいてガラス転移温度を決定した。
〔実施例1〕
樹脂としては、イミド化剤としてモノメチルアミンを用いて、市販のメタクリル酸メチル−スチレン共重合体(新日鐵化学(株)製MS−800)をイミド化したイミド樹脂を使用した。
上記イミド樹脂は、具体的には、直径が40mm、L/D(押出機の長さLと直径Dの比)が60である同方向噛合型二軸押出機を用いて、押出機各バレル温度を250℃、スクリューの回転数を150rpm、原料樹脂供給量を20kg/時間、モノメチルアミンの添加量を原料樹脂100部に対して20部、の条件にて作製された。なお、当該イミド樹脂のイミド化率は75%であり、粘度変化率は−5%であった。また、当該イミド樹脂のガラス転移温度は、130℃であった。
次いで、上記イミド樹脂を100℃にて5時間乾燥した後、26mm同方向二軸押出機と300mm幅の吐出口を有するTダイとを用いて、Tダイの吐出口での樹脂の溶融粘度が1000Pa・secで、且つ、L/R=0.5でシート状に押出し、P/H=5kgf/cmで東芝機械株式会社製TESロール(タッチロール)と金属製の冷却ロール(キャストロール)とによって当該シート挟み込んで冷却して、幅250mm、厚さ150μmのフィルムを得た。この際のタッチロールおよびキャストロールの温度は、それぞれ100℃であった。
このフィルムの厚さムラは3μmであり、フィルムの凹み欠陥は5個/mであった。更に、ダイラインは観察されず、表面性は良好であった。
〔実施例2〕
Tダイから樹脂をシート状に押出す際のL/Rが0.9であること以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製した。
このフィルムの厚さムラは3μmであり、フィルムの凹み欠陥は5個/mであった。更に、ダイラインは観察されず、表面性は良好であった。
〔実施例3〕
Tダイの吐出口における樹脂の溶融粘度が1400Pa・secであること以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製した。
このフィルムの厚さムラは3μmであり、フィルムの凹み欠陥は5個/mであった。更に、ダイラインは観察されず、表面性は良好であった。
〔実施例4〕
タッチロールおよびキャストロールの温度が130℃であること以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製した。
このフィルムの厚さムラは3μmであり、フィルムの凹み欠陥は5個/mであった。更に、ダイラインは観察されず、表面性は良好であった。
〔実施例5〕
タッチロールとキャストロールとによってフィルムを挟み込む際のP/Hが20kgf/cmであること以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製した。
このフィルムの厚さムラは3μmであり、フィルムの凹み欠陥は15個/mであった。更に、ダイラインは観察されず、表面性は良好であった。
〔実施例6〕
タッチロールとキャストロールとによってフィルムを挟み込む際のP/Hが10kgf/cmであること以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製した。
このフィルムの厚さムラは3μmであり、フィルムの凹み欠陥は5個/mであった。更に、ダイラインは観察されず、表面性は良好であった。
〔実施例7〕
タッチロールとキャストロールとによってフィルムを挟み込む際のP/Hが3kgf/cmであること以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製した。
このフィルムの厚さムラは3μmであり、フィルムの凹み欠陥は5個/mであった。更に、ダイラインは観察されず、表面性は良好であった。
〔比較例1〕
タッチロールとキャストロールとによってフィルムを挟み込む際のP/Hが2kgf/cmであること以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製した。
このフィルムの厚さムラは3μmであり、フィルムの凹み欠陥は5個/mであった。しかしながら、ダイラインが多数観察されるとともに、表面性も悪かった。
〔比較例2〕
タッチロールとキャストロールとによってフィルムを挟み込む際のP/Hが30kgf/cmであること以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製した。
このフィルムの厚さムラは3μmであり、フィルムの凹み欠陥は200個/mであった。なお、ダイラインは観察されなかった。
〔比較例3〕
タッチロールとキャストロールとによってフィルムを挟み込む際のP/Hが23kgf/cmであること以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製した。
このフィルムの厚さムラは3μmであり、フィルムの凹み欠陥は200個/mであった。なお、ダイラインは観察されなかった。
〔比較例4〕
タッチロールを用いなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製した。
このフィルムの厚さムラは10μmであり、フィルムの凹み欠陥は0個/mであった。しかしながら、多数のダイラインが観察された。
なお、各実施例および比較例の詳細を、表1および表2として以下にまとめた。
Figure 2009107180
Figure 2009107180
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以上のように、本発明では、溶融押出法にて押し出されたイミド化アクリル系樹脂を独自の線圧条件下にて冷却ロール間に挟み込むことによって、表面平滑性が高いフィルムを作製することが可能となる。そのため、本発明は、フィルムを製造する分野において広く利用することができる。更に具体的には、本発明は、偏光子保護フィルムおよび光学補償フィルム等に代表される各種光学フィルムの製造方法として利用することができる。
本発明における光学フィルムの製造方法の実施の一形態を示す模式図である。
符号の説明
1 第1ロール
2 吐出口
3 熱可塑性樹脂
4 第2ロール

Claims (8)

  1. 溶融押出法によって、Tダイからシート状の熱可塑性樹脂を押し出す押出工程と、
    前記押出工程によって押し出されたシート状の熱可塑性樹脂を、2つの冷却ロールの間に挟み込むことによってフィルムを形成するフィルム形成工程と、を有し、
    前記フィルム形成工程では、2つの冷却ロールによってシート状の熱可塑性樹脂を挟み込む力をP(kgf)、前記Tダイから吐出されるシート状の熱可塑性樹脂の幅をH(cm)とした場合、3.0≦P/H≦20.0であることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂は、アクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記アクリル系樹脂は、下記一般式(1)にて示される構造単位と、下記一般式(2)にて示される構造単位および下記一般式(3)にて示される構造単位の少なくとも一方と、を有するイミド化アクリル系樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
    Figure 2009107180
    (但し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rは、水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
    Figure 2009107180
    (但し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rは、水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
    Figure 2009107180
    (但し、Rは、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rは、炭素数6〜10のアリール基を示す。)
  4. 前記2つの冷却ロールの回転速度をR(cm/sec)、熱可塑性樹脂を押し出すための前記Tダイの吐出口から、前記2つの冷却ロールと熱可塑性樹脂との接触点までの距離をL(cm)とした場合、
    L/R≦1.0であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記押出工程では、Tダイから押し出される熱可塑性樹脂の溶融粘度が、1500Pa・sec以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTg(℃)、前記2つの冷却ロールの温度をT(℃)とした場合、
    Tg−50≦T≦Tg+30であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の製造方法にて作製された光学フィルムからなることを特徴とする偏光子保護フィルム。
  8. 請求項1〜6の何れか1項に記載の製造方法にて作製された光学フィルムからなることを特徴とする光学補償フィルム。
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