JP2006328330A - イミド樹脂及びこれを用いる光学用樹脂組成物、成形体 - Google Patents

イミド樹脂及びこれを用いる光学用樹脂組成物、成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来、ガラスが用いられていた部材の多くが、樹脂に置き換えられている。しかし、未だ耐熱性や耐光性の問題でガラスを樹脂に置換することができない部材が存在する。本発明は、耐光性と耐熱性が良好な高透明性イミド樹脂を提供することを目的とする。
【解決手段】 (メタ)アクリル酸エステルとグルタルイミド単位を有する、特定構造のイミド樹脂を提供した。これにより、透明性を維持しつつ、耐光性と耐熱性を両立することが可能である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐光性に優れたイミド樹脂、またはこれを含有する光学用樹脂組成物、成形体に関する。
近年、電子機器はますます小型化し、ノートパソコン、携帯電話、携帯情報端末に代表されるように、軽量・コンパクトという特長を生かし、多様な用途で用いられるようになってきている。一方、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイの分野では画面の大型化に伴う重量増を抑制することも要求されている。
上述のような電子機器をはじめとする、透明性が要求される用途においては、従来ガラスが使用されていた部材を透明性が良好な樹脂へ置き換える流れが進んでいる。
ポリメタクリル酸メチルを代表とする種々の透明樹脂は、ガラスと比較して成形性、加工性が良好で、割れにくい、さらに軽量、安価という特徴などから、液晶ディスプレイや光ディスク、ピックアップレンズなどへの展開が検討され、一部実用化されている。
一方、光ディスク用記録媒体の大容量化に伴い、短波長のレーザー光が読み取りや書き込み用の光源として使用されるようになっている。特に次世代DVDに使用されるレーザー光はブルーレーザー(波長405nm)が使用される予定であり、ピックアップレンズにはブルーレーザーの長時間連続照射試験においても色の変化や光線透過率変化の変化が小さいこと、また光源から非常に近いこともあり、耐光性に加えて耐熱性も必要な特性である。ポリスチレンは透明性は良好なものの、耐光性及び耐熱性が低く、ポリメタクリル酸メチルは透明性と耐光性が良好であり、価格も比較的安価である特徴を有しているものの、耐熱性が低いため、適用範囲が制限される。
また、高透明性と耐熱性が両立された材料としては、ポリカーボネートやシクロオレフィンポリマーといった樹脂が知られているが、耐光性という面では不十分であり、耐光性と耐熱性が両立された高透明性樹脂が望まれていた。
特開平9-263694
従って、本発明は、上記課題を鑑みて成されたものであって、耐光性と耐熱性が良好な高透明性イミド樹脂を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を鑑み鋭意検討した結果、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含有するイミド樹脂であり、当該イミド樹脂の120℃における耐光促進試験前後での黄色度の変化(ΔYI)が3以下であり、かつ耐光促進試験前後における波長405nmでの光線透過率の変化値が15%以内であることを特徴とするイミド樹脂を提供した。
Figure 2006328330
(ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
Figure 2006328330
(ここで、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
また、ガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする、前記イミド樹脂を提供した。これによれば、耐熱性と耐光性が両立することが可能である。
また、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を含有する前記イミド樹脂を提供した。
Figure 2006328330
(ここで、R7は、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8は、炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
また、配向複屈折が0以上0.1×10-3以下である前記イミド樹脂を提供した。これによれば、実質的に配向複屈折がゼロであり、かつ耐熱性と耐光性を両立することが可能である。
本発明によれば、耐光性と耐熱性が良好な高透明性イミド樹脂を提供することが可能となり、従来、耐熱性や耐光性の問題でガラスの置換ができなかった部材へ適用できる可能性があり有用である。
本発明は、特定の条件で(メタ)アクリル酸エステル系樹脂をイミド化剤で処理する方法により得られる耐光性と耐熱性が両立されたイミド樹脂に関するものである。
本発明におけるイミド樹脂とは、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含有するものである。
Figure 2006328330
(ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
Figure 2006328330
(ここで、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
一般式(1)で表される繰り返し単位は、R1が水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、R2が水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、R3が炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基であれば、どのような構造であっても良い。
一般式(1)で表される繰り返し単位は、単一の種類でもよく、R1、R2、R3が異なる複数の種類を含んでいても構わない。
また、一般式(1)で表される繰り返し単位をモノマー単位から重合して与える場合、モノマー単位としては例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル等が使用できる。
一般式(2)で表される繰り返し単位は、R4が水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、R5が水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、R6が炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基であれば、どのような構造であっても良い。
一般式(2)において、好ましい繰り返し単位としては、R4、R5が水素またはメチル基であり、R6が水素、メチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、またはベンジル基である。R4が水素であり、R5がメチル基であり、R6がメチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基である場合が、特に好ましい。
一般式(2)で表される繰り返し単位は、単一の種類でもよく、R4、R5、R6が異なる複数の種類を含んでいても構わない。
尚、一般式(2)で表される繰り返し単位は、一般式(1)で表される繰り返し単位をイミド化することにより形成することが可能である。また、無水マレイン酸等の酸無水物またはそれらと炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸などもイミド化可能であり、グルタルイミド単位の形成に用いることができる。
また、本発明のイミド樹脂は下記一般式(3)で表される繰り返し単位を更に含有していることが好ましい。(以下、一般式(3)を芳香族ビニル単位と省略して示すことがある。)
Figure 2006328330
(ここで、R7は、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8は、炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
一般式(3)で表される繰り返し単位は、R7は、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8は、炭素数5〜15の芳香環を含む置換基であれば、どのような構造であってもよい。好ましい芳香族ビニル構成単位としては、R7が水素又はメチル基であり、R8がフェニル基である。
また、一般式(3)で表される繰り返し単位をモノマー単位から重合して与える場合、モノマー単位としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等が使用できる。
芳香族ビニル単位は、単一の種類でもよく、R7、R8が異なる複数の種類を含んでいてもかまわない。
本発明のイミド樹脂中の、一般式(2)で表されるグルタルイミド単位の含有量は、例えばR6の構造にも依存するが、イミド樹脂の10重量%以上が好ましい。グルタルイミド単位の好ましい含有量は、15重量%から90重量%であり、より好ましくは20〜80重量%である。グルタルイミド単位の割合がこの範囲より小さい場合、得られるイミド樹脂の耐熱性が不足したり、透明性が損なわれることがある。また、この範囲を超えると黄色度が悪くなる他、得られる成形体の機械的強度は極端に脆くなり、また、透明性が損なわれることがある。
イミド樹脂の、一般式(3)で表される芳香族ビニル単位の含有量は、イミド樹脂の総繰り返し単位を基準として、10重量%以上が好ましい。芳香族ビニル単位の、好ましい含有量は、10重量%から40重量%であり、より好ましくは15〜30重量%、さらに好ましくは、15〜25重量%である。芳香族ビニル単位がこの範囲より大きい場合、得られるイミド樹脂の耐熱性が不足する。この範囲より小さい場合、得られる成形体の機械的強度が低下することがある。
一般式(1)、(2)、(3)の割合を調整することで、各種要求される物性に調整することが可能である。例えば、本発明のイミド樹脂を、先ずメタクリル酸メチル−スチレン共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体を重合した後にイミド化して形成する場合、例えば(メタ)アクリル酸エステルと芳香族ビニルの重合割合を調整することで一般式(3)の割合を決め(一般式(3)の割合を0とすることも可)、更にイミド化時のイミド化剤の添加割合を調整することで、更に一般式(1)、(2)の割合を調整することができる。
本発明のイミド樹脂には、必要に応じ、更に、第四の構成単位が共重合されていてもかまわない。第四の構成単位として、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系単量体を共重合してなる構成単位を用いることができる。これらは熱可塑性樹脂中に、直接共重合してあっても良く、グラフト共重合してあってもかまわない。
本発明における耐光促進試験とは、120℃、湿度50%の雰囲気において、放射照度0.53KW/m2のメタルハライドランプを積算光量が50MJ/m2となるまで照射する試験であり、試験に用いるサンプルは厚み3.2mmのASTM1号ダンベル試験片である。
また、本発明のイミド樹脂は、耐光促進試験前後での黄色度の変化(ΔYI)が3以下であることが必要である。ここでいう黄色度とは、前記イミド樹脂を射出成形により得られる厚さ3.2mmのASTM1号ダンベル試験片をJIS K7105−1981の6.3記載の方法により、分光式色差計SE−2000(日本電色工業(株)製)を用いて測定した値であり、黄色度の変化(ΔYI)とは耐光促進試験後の黄色度から耐光促進試験前の黄色度を差し引いた値のことを指す。この黄色度の変化値が3より大きい場合、ピックアップレンズの用途において無色透明性を維持することが非常に難しい。
また、本発明のイミド樹脂は耐光促進試験前後における波長405nmでの光線透過率の変化値が15%以内であることが必要である。ここでいう光線透過率とは、前記イミド樹脂を射出成形により得られる厚さ3.2mmのASTM1号ダンベル試験片を分光光度計(U−3300、日立製作所(株)製)を用いて測定した値であり、光線透過率の変化値は耐光促進試験前の波長405nmでの光線透過率から耐光促進試験後の波長405nmでの光線透過率を差し引いた値のことを指す。この波長405nmでの光線透過率の変化値が15%より大きい場合、ピックアップレンズの用途において長時間連続使用する場合に必要とされる十分なレーザー強度が得られないことや信頼性及び実用性に欠ける問題がある。
また、本発明におけるイミド樹脂はガラス転移温度(Tg)が120℃以上であることが耐熱性の面から好ましい。尚、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(島津製作所社製DSC-50)を用いて、昇温速度20℃/分で測定したガラス転移温度(Tg)である。
さらに、本発明のイミド樹脂は、配向複屈折が0以上0.1×10-3以下であることが必要である。尚、ここでいう配向複屈折とは、上記イミド樹脂を溶液流延法により得られるフィルムをガラス転移温度+5℃で2倍に一軸延伸後、自動複屈折計(王子計測機器株式会社製 KOBRA−WR)を用いて、温度23±2℃、湿度50±5%、波長590nm、入射角0゜の条件で測定した複屈折である。
本発明のイミド樹脂中で、一般式(3)を含有するタイプは、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体中の各構成単位量及びグルタルイミド単位の含有量を調節する事で実質的に配向複屈折を有さない特徴を付与する事も可能である(尚、必要に応じ、特定の配向複屈折に調整して使用することも可能である。)。配向複屈折とは所定の温度、所定の延伸倍率で延伸した場合に発現する複屈折の事をいう。本明細書中では、特にことわりのない限り、イミド樹脂のガラス転移温度より5℃高い温度で、100%延伸した場合に発現する複屈折の事をいうものとする。ここで、配向複屈折は、成形体の面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸、成形体の厚さ方向をZ軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx、ny、nz、成形体の厚さをdとし、面内位相差をReとした場合、nx、nyを用いて、△n=nx−ny=Re/dで定義され、位相差計により測定される。
配向複屈折の値としては、0以上0.1×10-3以下である事が好ましく、0以上0.01×10-3以下である事がより好ましい。配向複屈折が上記の範囲外の場合、環境の変化に対して、成形加工時に複屈折を生じやすく、安定した光学的特性を得る事が難しくなる。
実質的に配向複屈折を有さないイミド樹脂を得るためには、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体中の各構成単位量を調節、更にイミド化の程度を調製する必要があり、一般式(2)で示される繰り返し単位と、一般式(3)で示される繰り返し単位が、重量比で2.0:1.0〜4.0:1.0の範囲にあることが好ましく、2.5:1.0〜4.0:1.0の範囲がより好ましく、3.0:1.0〜3.5:1.0の範囲が更に好ましい。
本発明のイミド樹脂は以下の方法により好適に製造することができる。
本発明における(メタ)アクリル酸エステル系樹脂とは、前記一般式(1)で示される繰り返し単位からなるメタクリル酸メチル重合体等の(メタ)アクリル酸エステル重合体、又は前記一般式(1)で示される繰り返し単位と、前記一般式(3)で示される繰り返し単位からなるメタクリル酸メチル−スチレン共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体を示す。また、本発明における(メタ)アクリル酸エステル系樹脂はリニアー(線状)ポリマーであっても、またブロックポリマー、コアシェルポリマー、分岐ポリマー、ラダーポリマー、架橋ポリマーであっても構わない。ブロックポリマーはA−B型、A−B−C型、A−B−A型、またはこれら以外のいずれのタイプのブロックポリマーであっても構わない。コアシェルポリマーはただ一層のコアおよびただ一層のシェルのみからなるものであっても、それぞれが多層になっていても構わない。
(メタ)アクリル酸エステル系樹脂を主原料とし、これにアンモニアまたは置換アミンなどの一級アミンを処理することで得ることができる。
前述のような製造方法以外でも本発明のイミド樹脂が得られる方法であれば、特に製造方法に制限はない。
本発明の一級アミンは一般式(2)で表されるグルタルイミド単位を生成できるものであれば特に制限はないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン等の脂肪族炭化水素基含有アミン、アニリン、ベンジルアミン、トルイジン、トリクロロアニリン等の芳香族炭化水素基含有アミン、シクロヘキシルアミン等などの脂環式炭化水素基含有アミンが挙げられる。また、尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素、1,3−ジプロピル尿素の如き加熱によりこれらのアミンを発生する尿素系化合物を用いることもできる。これらの一級アミンのうち、コスト、物性の面からメチルアミン、アンモニア、シクロヘキシルアミンが好ましく、中でも、メチルアミンが特に好ましい。
本発明のイミド樹脂を得るには、不活性ガス雰囲気下で(メタ)アクリル酸エステル系樹脂を一級アミンで処理することが好ましい。酸素存在下で一級アミンとの処理を行うと、耐光試験前後での黄色度が悪化する場合がある。
一級アミンの添加量は、必要な物性を発現するためのイミド化率によって決定されるが、40重量部以下が好ましく、30重量部以下がより好ましい。用いる一級アミンの添加量が40重量部より多い場合には、イミド樹脂の黄色度の変化が大きくなる場合があるため、無色透明な樹脂を得ることができないことがある。
本発明のイミド樹脂を得るには、不活性ガス雰囲気下で一級アミンと処理することが可能な装置であれば特に制限はないが、例えば、押出機などを用いてもよくバッチ式反応槽(圧力容器)などを用いてもよい。
本発明のイミド樹脂の製造方法を押出機にて行う場合には、各種押出機が使用可能であるが、例えば単軸押出機、二軸押出機あるいは多軸押出機等が使用可能である。特に、原料ポリマーに対する一級アミンの混合を促進できる押出機として二軸押出機が好ましい。二軸押出機には非噛合い型同方向回転式、噛合い型同方向回転式、非噛合い型異方向回転式、噛合い型異方向回転式等があるが、二軸押出機の中では噛合い型同方向回転式が高速回転が可能であり、原料ポリマーに対する一級アミンの混合を促進できるので好ましい。これらの押出機は単独で用いても、直列につないでも構わない。
本発明のイミド樹脂を得るにはイミド化を進行させ、かつ過剰な熱履歴による樹脂の分解、黄色度などを抑制するために、反応温度は150〜400℃の範囲で行う。180〜320℃が好ましく、さらには200〜290℃が好ましい。
また、押出機には未反応の一級アミンあるいは一級アルコール類などの副生物やモノマー類を除去するために、大気圧以下に減圧可能なベント口を装着することが好ましい。
押出機の代わりに、例えば住友重機械(株)製のバイボラックのような横型二軸反応装置やスーパーブレンドのような竪型二軸攪拌槽などの高粘度対応の反応装置も好適に使用できる。
本発明のイミド樹脂の製造方法をバッチ式反応槽(圧力容器)で行う際には、原料樹脂を不活性ガス雰囲気下において加熱により溶融、攪拌でき、一級アミンを添加できる構造であれば特に制限ないが、反応の進行により溶融粘度が上昇することもあり、攪拌効率が良好なものがよい。例えば、住友重機械(株)製の攪拌槽マックスブレンドなどを例示することができる。
一級アミンによりイミド化する際には、一般に用いられる触媒、酸化防止剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、収縮防止剤などを本発明の目的が損なわれない範囲で添加してもよい。
本発明のイミド樹脂は製造する際に副生するカルボキシル基や酸無水物基を減少させる目的で、エステル化剤による変性を行うことも可能である。
エステル化剤としては、例えば、ジメチルカーボネート、2,2−ジメトキシプロパン、ジメチルスルホキシド、トリエチルオルトホルメート、トリメチルオルトアセテート、トリメチルオルトホルメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルサルフェート、メチルトルエンスルホネート、メチルトリフルオロメチルスルホネート、メチルアセテート、メタノール、エタノール、メチルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、ジメチルカルボジイミド、ジメチル−t−ブチルシリルクロライド、イソプロペニルアセテート、ジメチルウレア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジメチルジエトキシシラン、テトラ−N−ブトキシシラン、ジメチル(トリメチルシラン)フォスファイト、トリメチルフォスファイト、トリメチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、ジアゾメタン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
また、イミド樹脂は、1×104ないし5×105の重量平均分子量を有することが好ましい。重量平均分子量が1×104を下回る場合には、成形品にした場合の機械的強度が不足し、5×105を上回る場合には、溶融時の粘度が高く、成形加工性が低下し、成形品の生産性が低下することがある。
本発明のイミド樹脂には、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂を添加することができる。
成形加工の際には、一般に用いられる酸化防止剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、収縮防止剤などを本発明の目的が損なわれない範囲で添加してもよい。
本発明のイミド樹脂から得られる成形品は、そのまま最終製品として各種用途に使用する事ができる。或いは各種加工を行って、種々の用途に使用できる。例えば、カメラやVTR、プロジェクター用の撮影レンズやファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズなどの映像分野、CDプレイヤーやDVDプレイヤー、MDプレイヤーなどの光ディスク用ピックアップレンズなどのレンズ分野、CDプレイヤーやDVDプレイヤー、MDプレイヤーなどの光ディスク用の光記録分野、液晶用導光板、偏光子保護フィルムや位相差フィルムなどの液晶ディスプレイ用フィルム、表面保護フィルムなどの情報機器分野、光ファイバ、光スイッチ、光コネクターなどの光通信分野、自動車ヘッドライトやテールランプレンズ、インナーレンズ、計器カバー、サンルーフなどの車両分野、眼鏡やコンタクトレンズ、内視境用レンズ、滅菌処理の必要な医療用品などの医療機器分野、道路透光板、ペアガラス用レンズ、採光窓やカーポート、照明用レンズや照明カバー、建材用サイジングなどの建築・建材分野、電子レンジ調理容器(食器)等が挙げられる。特に、本発明のイミド樹脂はブルーレーザーを光源として用いる次世代DVD用のピックアップレンズやディスク基盤及びディスク基盤の保護層として好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明の構成、効果をさらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(1)イミド化率の測定
生成物のペレットをそのまま用いて、SensIR Tecnologies社製TravelIRを用いて、室温にてIRスペクトルを測定した。得られたスペクトルより、1720cm-1のエステルカルボニル基に帰属される吸収強度(Absester)と、1660cm-1のイミドカルボニル基に帰属される吸収強度(Absimide)の比からイミド化率(Im%)を求めた。ここで、イミド化率とは全カルボニル基中のイミドカルボニル基の占める割合をいう。
(2)ガラス転移温度(Tg)
生成物10mgを用いて、示差走査熱量計(DSC、(株)島津製作所製DSC−50型)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minで測定し、中点法により決定した。
(3)成形方法
生成物のペレットを100℃で12時間以上乾燥後、射出成形機(型締め圧:80トン)を用いて、シリンダー温度は生成物のガラス転移温度+100℃、金型温度は50℃にて厚み3.2mmのASTM1号ダンベル試験片を用いて以下の評価を行った。
(4)耐光性促進試験
スガ試験機(株)製メタリングウェザーメーター(M6T型)にて、光源を放射照度0.53KW/m2のメタリングランプ、温度120℃、湿度50%の条件において、厚み3.2mmのASTM1号ダンベル試験片に対して積算光線量が50MJ/m2になるまで光照射した。
(5)黄色度
厚み3.2mmのASTM1号ダンベル試験片の中央部を切り出し、JIS K7105−1981の6.3記載の方法により、日本電色工業(株)製分光式色差計SE−2000を用いて測定した。
(6)光線透過率
厚み3.2mmのASTM1号ダンベル試験片の中央部を切り出し、日立製作所(株)製U−3300分光光度計を用いて405nmの光線透過率を測定した。
(7)ヘーズ
厚み3.2mmのASTM1号ダンベル試験片を、JIS K7105−1981の6.4記載の方法により、日本電色工業(株)製濁度計NDH−300Aを用いて測定した。
(8)配向複屈折
生成物を塩化メチレンに溶解させ、溶液流延法により厚さ50μmのキャストフィルムを得た。得られたキャストフィルムから、幅50mm×長さ150mmのサンプルを切り出し、延伸倍率2倍で、ガラス転移温度より5℃高い温度で、一軸延伸フィルムを作成した。この一軸延伸フィルムのTD方向の中央部から35mm×35mmの試験片を切り出した。この試験片を、自動複屈折計(王子計測機器株式会社製 KOBRA−WR)を用いて、温度23±2℃、湿度50±5%において、波長590nm、入射角0゜で位相差を測定した。この位相差を、デジマティックインジケーター(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定した試験片の厚みで割った値を配向複屈折とした。
(実施例1)
原料の樹脂としてポリメタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS)樹脂[一般式(1)と一般式(3)の組成は80モル%:20モル%]100重量部を、イミド化剤であるモノメチルアミン(三菱ガス化学株式会社製)を20重量部用いて、イミド樹脂を製造した。
使用した押出機はL/D=90、口径40mmの噛合い型同方向回転式二軸押出機である。ホッパーより不活性ガスである窒素を200ml/minの流量で押出機内にフローした。押出機の反応ゾーン(一級アミン添加口からベント口の間)の設定温度を270℃、スクリュー回転数は200rpmとした。ホッパーから110℃で8時間乾燥させた原料樹脂を20kg/hrで供給し、ニーディングブロックによって樹脂を溶融、充満させた後、ノズルから樹脂に対して20重量部のモノメチルアミンを注入した。反応ゾーンの末端(ベント口の手前)にはリバースフライトを入れて樹脂を充満させた。反応後の副生成物および過剰のメチルアミンをベント口の圧力を−0.092MPaに減圧して除去した。押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂は、水槽で冷却した後、ペレタイザでペレット化した。
得られたイミド樹脂の得られたの種々の特性を評価し、その結果を表1に示した。
(実施例2〜5および比較例1〜5)
原料の(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の種類およびイミド化条件を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にイミド樹脂の製造を行った。得られたイミド樹脂及び各種高透明性樹脂(MS樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー)の特性を評価し、その結果を表1及び表2に示した。
比較例1、2で用いている樹脂は透明性は高いものの、耐熱性を有していない。
また、比較例3,4,5で用いている樹脂は透明性、耐熱性を有しているものの、耐光促進試験前後での黄色度の変化値(ΔYI)が大きく、また耐光促進試験前後での波長405nmの光線透過率の変化値も大きいため、耐光性を有していない。
Figure 2006328330
Figure 2006328330

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含有するイミド樹脂であり、当該イミド樹脂の120℃における耐光促進試験前後での黄色度の変化(ΔYI)が3以下であり、かつ耐光促進試験前後における波長405nmでの光線透過率の変化値が15%以内であることを特徴とするイミド樹脂。
    Figure 2006328330
    (ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
    Figure 2006328330
    (ここで、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
  2. ガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする請求項1記載のイミド樹脂。
  3. 更に一般式(3)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする請求項項1または2の何れか1項に記載のイミド樹脂。
    Figure 2006328330
    (ここで、R7は、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8は、炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
  4. 配向複屈折が0以上0.1×10-3以下である、請求項1から3の何れか1項に記載のイミド樹脂。
  5. 請求項1から4の何れか1項に記載のイミド樹脂を主成分とする光学用樹脂組成物。
  6. 請求項5記載の光学用樹脂組成物からなる成形体。
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