JP2006328333A - イミド樹脂、および樹脂組成物、これからなる成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 他樹脂やコーティング剤等との接着性に優れ、特に実際の工程において乾燥が施される温度条件における接着性に好適な、且つ光学特性に優れる光学用成形体、及びフィルムを製造する為に使用するイミド樹脂を提供する事を目的とする。
【解決手段】 透明性などの光学特性に優れ、且つ他樹脂との接着に好適な水蒸気透過係数を有し、しかも配向複屈折が小さい本発明のイミド樹脂が上記課題を解決することを見いだし、本発明に至った。
【選択図】 なし
【解決手段】 透明性などの光学特性に優れ、且つ他樹脂との接着に好適な水蒸気透過係数を有し、しかも配向複屈折が小さい本発明のイミド樹脂が上記課題を解決することを見いだし、本発明に至った。
【選択図】 なし
Description
本発明は、透明性などの光学特性に優れ、且つ実用上適切な水蒸気透過度を有する樹脂に関する。
近年、電子機器はますます小型化し、ノートパソコン、携帯電話、携帯情報端末に代表されるように、軽量・コンパクトという特徴を生かした液晶表示装置が多く用いられるようになってきている。これら液晶表示装置は、偏光フィルムに始まり、その表示品位を保つ為に各種フィルムが用いられている。又、携帯情報端末や携帯電話向けに液晶表示装置を更に軽量化する目的で、ガラス基板の代わりに樹脂フィルムを用いたプラスチック液晶表示装置も実用化されている。
液晶表示装置のように、偏光を取り扱う場合、用いる樹脂フィルムは光学的に透明である事の他に、光学的に均質である事(光学異方性が小さい)、着色や変色が少ない事、点状或いはスジ状等の外観欠陥が少ない事が求められるのが一般的である。又、ガラス基板を樹脂フィルムに代えたプラスチック液晶表示装置用のフィルム基板の場合、複屈折と厚みの積で表される位相差が小さい事、更に、外部の応力等によりフィルムの位相差が変化しにくい事等が要求されることもある。
また、液晶表示装置と同様に、カメラ、フィルム一体型カメラ、ビデオカメラ等の各種撮影装置、CDやDVD等の光ピックアップ装置、プロジェクター等のOA機器等に使用される従来ガラスが用いられていたレンズも、軽量化を目的とした樹脂への置き換えが進んでいる。このようなプラスチックレンズは、温度や湿気等の使用環境による歪みによる焦点距離のズレの発生や射出成形等の加工時の応力発生等による位相差の影響を受けやすいため、外部応力により位相差が変化しにくい事がフィルムと同様に要求されている。
液晶表示装置に用いられるフィルムやシート、各種撮影装置や光ピックアップ装置用レンズ、光ファイバー等の光学用成形体(以下、フィルムやシートも含め、単に成形体と言うことがある)に用いられるプラスチックフィルムとして、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のエンジニアリングプラスチックスや、トリアセチルセルロース等のセルロース類のプラスチックからなる成形体が知られている。これらプラスチックを用いて成形体を成形する場合、プラスチックの溶融流動・溶剤乾燥収縮・熱収縮や搬送応力等により各種応力がかかり、得られる成形体には、応力により誘起される分子配向に起因する位相差が残存する。そのため必要に応じ熱アニール等の成形体に対する特別な処理を施し残存する応力を低減させなければならず製造工程が煩雑になるなどの問題がある。更に残存する応力を低減させた成形体も、その後の二次加工時の変形や使用時の応力等により引き起こされる分子の配向により新たな応力を生じるため、品質の安定性上問題となる。例えば、フィルムやレンズの場合、位相差が生じ、その結果フィルムに干渉縞が生じたり、像が歪んだりすることがある。
これらの問題を解決するため、より分極の小さい、すなわち、分子の配向による位相差が発現しにくいプラスチック成形体を得ることが試みられており、シクロオレフィン系樹脂や、マレイミド成分を有するオレフィン系樹脂が提案されている。 しかしながら上記シクロオレフィン系樹脂や、マレイミド成分を有するオレフィン系樹脂は、応力を受けた時に位相差を生じ易い(配向複屈折が大きい)という問題があった。
特許文献1によれば、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(シクロオレフィン系樹脂)からなるフィルムは、水蒸気透過度が、25μmの膜厚で100g/(m2・24hr)未満と極めて低い、偏光子保護フィルムが提案されている。しかし、我々の検討によれば、偏光子との接着不良が問題となっていた。すなわち、シクロオレフィン系樹脂を偏光子保護フィルムとして用い、偏光板を製造する際、偏光子の両面に偏光子保護フィルムが接着剤を介し貼り合わされるが、主に水系の接着剤が使用されているため、偏光子保護フィルムの水蒸気透過度が低すぎると乾燥が不充分となり、接着不良を生じていた。一方、従来偏光子保護フィルムとして一般的に用いられるトリアセチルセルロース系フィルム(80μm厚)は、水蒸気透過度が、40℃、90%RHにおいて、250g/(m2・24hr)程度と大きく(水蒸気透過係数は44.1)、接着性は問題ないが、貼り合わせ後の外部からの水蒸気の透過を抑制できず、偏光板の長期における耐久性の低下を招く。
特開平10−130402
本発明は以上のような課題を解決する為になされたものであり、他樹脂やコーティング剤等との接着性に優れ、特に実際の工程において乾燥が施される温度条件における接着性に好適な、且つ光学特性に優れる光学用成形体、及びフィルムを製造する為に使用するイミド樹脂を提供する事を目的とする。
上記課題を解決する為、本発明者等は鋭意検討を行った。その結果、透明性などの光学特性に優れ、且つ他樹脂との接着に好適な水蒸気透過係数を有し、しかも配向複屈折が小さい本発明のイミド樹脂が上記課題を解決することを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される単位と、下記一般式(2)で表される単位と、更に必要に応じ下記一般式(3)で表される単位を含んで形成されるイミド樹脂であり、40℃、90%RHにおける水蒸気透過係数が、2.5〜25g・mm/(m2・24hr)であることを特徴とするイミド樹脂、を提供する。
(ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
(ここで、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
(ここで、R7は、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8は、炭素数6〜10のアリール基を示す。)
(2)80℃、90%RHにおける水蒸気透過度が、10〜200g・mm/(m2・24hr)であることを特徴とする、(1)に記載のイミド樹脂を提供する。
(2)80℃、90%RHにおける水蒸気透過度が、10〜200g・mm/(m2・24hr)であることを特徴とする、(1)に記載のイミド樹脂を提供する。
(3)配向複屈折が0以上0.1×10−3以下である、(1)又は(2)の何れかに記載のイミド樹脂を提供する。
(4)(1)から(3)の何れかに記載のイミド樹脂を主成分とする樹脂組成物を提供する。
(5)(4)に記載の樹脂組成物からなる成形体を提供する。
本発明によれば、特定の水蒸気透過係数を示すイミド樹脂が、他樹脂やコーティング剤等との接着性に優れ、特に実際の工程において乾燥が施される温度条件における接着性に好適な、且つ光学特性に優れる光学用成形体、及びフィルムを製造する為に使用するイミド樹脂を提供できることとなり、有用である。
本発明のイミド樹脂は、下記一般式(1)で表される単位と、下記一般式(2)で表される単位と、更に必要に応じ下記一般式(3)で表される単位を含んで形成されるイミド樹脂であり、40℃、90%RHにおける水蒸気透過係数が、2.5〜25g・mm/(m2・24hr)であることを特徴とするイミド樹脂である。
(ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
(ここで、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。)
(ここで、R7は、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8は、炭素数6〜10のアリール基を示す。)
本発明のイミド樹脂を構成する、第一の構成単位は、下記一般式(1)で表されるものであり、一般的にグルタルイミド単位と呼ばれる事が多い(以下、一般式(1)をグルタルイミド単位と省略して示す事がある。)。
本発明のイミド樹脂を構成する、第一の構成単位は、下記一般式(1)で表されるものであり、一般的にグルタルイミド単位と呼ばれる事が多い(以下、一般式(1)をグルタルイミド単位と省略して示す事がある。)。
(但し、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を示す。)
好ましいグルタルイミド単位としては、R1、R2が水素又はメチル基であり、R3が水素、メチル基、ブチル基、またはシクロヘキシル基である。R1がメチル基であり、R2が水素であり、R3がメチル基である場合が、特に好ましい。
好ましいグルタルイミド単位としては、R1、R2が水素又はメチル基であり、R3が水素、メチル基、ブチル基、またはシクロヘキシル基である。R1がメチル基であり、R2が水素であり、R3がメチル基である場合が、特に好ましい。
該グルタルイミド単位は、単一の種類でもよく、R1、R2、R3が異なる複数の種類を含んでいても構わない。
尚、グルタルイミド単位は、以下に説明する第二の構成単位をイミド化する事により形成することが可能である。また、無水マレイン酸等の酸無水物又はそれらと炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸等もイミド化可能であり、グルタルイミド単位の形成に用いる事ができる。
本発明のイミド樹脂を構成する、第二の構成単位は、下記一般式(2)で表されるものであり、一般的には(メタ)アクリル酸エステル単位と呼ばれる事が多い(以下、一般式(2)を(メタ)アクリル酸エステル単位と省略して示す事がある。)。
(但し、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素又は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を示す。)
本発明のイミド樹脂を製造する際に、先ず(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体、または(メタ)アクリル酸エステル重合体を重合し、これを後イミド化して形成する場合、具体的に(メタ)アクリル酸エステル単位を残基として与える原料としては、特に限定するものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。これらの中で、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
本発明のイミド樹脂を製造する際に、先ず(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体、または(メタ)アクリル酸エステル重合体を重合し、これを後イミド化して形成する場合、具体的に(メタ)アクリル酸エステル単位を残基として与える原料としては、特に限定するものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。これらの中で、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
これら第二の構成単位は、単一の種類でもよく、R4、R5、R6が異なる複数の種類を含んでいても構わない。同様に、前記(メタ)アクリル酸エステル単位を残基として与える原料も複数の種類を混合して用いても構わない。
本発明のイミド樹脂に必要に応じて含有させる第三の構成単位は、下記一般式(3)で表されるものであり、一般的には芳香族ビニル単位と呼ばれる事が多い(以下、一般式(3)を芳香族ビニル単位と省略して示す事がある。)
(但し、R7は、水素又は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8は、炭素数6〜10のアリール基を示す。)
好ましい芳香族ビニル構成単位としては、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。これらの中でスチレンが特に好ましい。
好ましい芳香族ビニル構成単位としては、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。これらの中でスチレンが特に好ましい。
これら第三の構成単位は、単一の種類でもよく、R7、R8が異なる複数の種類を含んでいても構わない。
本発明のイミド樹脂中の、一般式(1)で表されるグルタルイミド単位の含有量は、例えばR3の構造にも依存するが、イミド樹脂の20重量%以上が好ましい。グルタルイミド単位の、好ましい含有量は、20重量%から95重量%であり、より好ましくは40〜90重量%、更に好ましくは、50〜80重量%である。グルタルイミド単位の割合がこの範囲より小さい場合、得られるイミド樹脂の耐熱性が不足したり、透明性が損なわれる事がある。また、この範囲を超えると不必要に耐熱性、溶融粘度が上がり、成形加工性が悪くなる他、得られるフィルムの機械的強度は極端に脆くなり、又、透明性が損なわれる事がある。
本発明のイミド樹脂中の、一般式(3)で表される芳香族ビニル単位の含有量は、イミド樹脂の総繰り返し単位を基準として、10重量%以上が好ましい。芳香族ビニル単位の、好ましい含有量は、10重量%から40重量%であり、より好ましくは15〜30重量%、更に好ましくは、15〜25重量%である。芳香族ビニル単位がこの範囲より大きい場合、得られるイミド樹脂の耐熱性が不足する。この範囲より小さい場合、得られるフィルムの機械的強度が低下することがある。
一般式(1)、(2)、(3)の割合を調整することで、各種要求される物性に調整する事が可能である。例えば、本発明のイミド樹脂を、先ず(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体を重合した後に、後イミド化して形成する場合、例えば(メタ)アクリル酸エステルと芳香族ビニルの重合割合を調整することで一般式(3)の割合を決め(一般式(3)の割合を0とする事も可)、更に後イミド化時の一級アミンの添加割合を調整する事で、更に一般式(1)、(2)の割合を調整する事ができる。
本発明のイミド樹脂には、必要に応じ、更に、第四の構成単位が共重合されていてもかまわない。第四の構成単位として、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体を共重合してなる構成単位を用いる事ができる。これらは樹脂中に、直接共重合してあっても良く、グラフト共重合してあっても構わない。
本発明のイミド樹脂を製造する際に、先ず(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体、又はメタクリル酸メチル重合体等の(メタ)アクリル酸エステル重合体を重合し、これをイミド樹脂化する場合、本発明で用いる事ができる(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル重合体は、イミド化反応が可能であれば、リニアー(線状)ポリマーであっても、またブロックポリマー、コアシェルポリマー、分岐ポリマー、ラダーポリマー、架橋ポリマーであっても構わない。ブロックポリマーはA−B型、A−B−C型、A−B−A型、又はこれら以外のいずれのタイプのブロックポリマーであっても構わない。コアシェルポリマーはただ一層のコア及びただ一層のシェルのみからなるものであっても、それぞれが多層になっていても構わない。
又、イミド樹脂は、1×104ないし5×105の重量平均分子量を有する事が好ましい。重量平均分子量が1×104を下回る場合には、フィルムにした場合の機械的強度が不足し、5×105を上回る場合には、溶融押出時の粘度が高く、成形加工性が低下し、成形品の生産性が低下する事がある。
本発明のイミド樹脂のガラス転移温度は110℃以上である事が好ましく、120℃以上である事がより好ましい。ガラス転移温度が上記の値を下回ると、耐熱性が要求される用途においては適用範囲が制限される。
本発明のイミド樹脂中で、一般式(3)を含有するタイプは、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体中の各構成単位量及びグルタルイミド単位の含有量を調節する事で実質的に配向複屈折を有さない特徴を付与する事も可能である(尚、必要に応じ、特定の配向複屈折に調整して使用することも可能である。)。配向複屈折とは所定の温度、所定の延伸倍率で延伸した場合に発現する複屈折の事をいう。本明細書中では、特にことわりのない限り、イミド樹脂のガラス転移温度より5℃高い温度で、100%延伸した場合に発現する複屈折の事をいうものとする。ここで、配向複屈折(△n)は、面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸、フィルムの厚さ方向をZ軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx、ny、nz、フィルムの厚さをdとし、nx、nyを用いて、△n=nx−nyで定義され、位相差計により測定される(面内位相差Reを用いれば、△n=Re/d)。
配向複屈折の値としては、0〜0.1×10−3である事が好ましく、0〜0.01×10−3である事がより好ましい。配向複屈折が上記の範囲外の場合、環境の変化に対して、成形加工時に複屈折を生じやすく、安定した光学的特性を得る事が難しくなる。
実質的に、光学等方性、及び配向複屈折を有さないイミド樹脂を得る為には、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体中の各構成単位量を調節、更にイミド化の程度を調製する必要があり、一般式(1)で示される繰り返し単位と、一般式(3)で示される繰り返し単位が、重量比で2.0:1.0〜4.0:1.0の範囲にある事が好ましく、2.5:1.0〜4.0:1.0の範囲がより好ましく、3.0:1.0〜3.5:1.0の範囲が更に好ましい。
本発明のイミド樹脂は、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体、又はメタクリル酸メチル重合体等の(メタ)アクリル酸エステル重合体にイミド化剤を処理する方法であれば各種方法で製造する事ができ、押出機等を用いてもよく、バッチ式反応槽(圧力容器)等を用いてもよい。
本発明のイミド樹脂の製造方法を押出機にて行う場合には、各種押出機が使用可能であるが、例えば単軸押出機、二軸押出機或いは多軸押出機等が使用可能である。特に、原料ポリマーに対するイミド化剤の混合を促進できる押出機として二軸押出機が好ましい。二軸押出機には非噛合い型同方向回転式、噛合い型同方向回転式、非噛合い型異方向回転式、噛合い型異方向回転式等があるが、二軸押出機の中では噛合い型同方向回転式が高速回転可能であり、原料ポリマーに対するイミド化剤の混合を促進できるので好ましい。これらの押出機は単独で用いても、直列につないでも構わない。
又、押出機には未反応のイミド化剤或いはメタノール等の副生物やモノマー類を除去する為に、大気圧以下に減圧可能なベント口を装着する事が好ましい。
イミド樹脂の製造を押出機の代わりに、例えば住友重機械(株)製のバイボラックのような横型二軸反応装置やスーパーブレンドのような竪型二軸攪拌槽などの高粘度対応の反応装置も好適に使用できる。
本発明のイミド樹脂を製造する際に用いるバッチ式反応槽(圧力容器)は原料ポリマーを溶解した溶液を加熱、攪拌でき、イミド化剤を添加できる構造であれば特に制限ないが、反応の進行によりポリマー溶液の粘度が上昇することもあり、攪拌効率が良好なものがよい。例えば、住友重機械(株)製の攪拌槽マックスブレンドなどを例示することができる。
本発明のイミド樹脂は、溶剤存在下で製造する場合、アクリル系樹脂を溶解できる、イミド化反応に対して非反応性溶媒を用いて、溶液状態のアクリル系樹脂にイミド化剤を添加することによって得られる。
イミド化反応に対する非反応性溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の脂肪族アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、クロロトルエン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のケトン、エーテル系化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また少なくとも2種を混合したものであってもよい。これらの中で、トルエン、およびトルエンとメチルアルコールとの混合溶媒が好ましい。
原料樹脂の非反応性溶媒に対する濃度は少ない方が製造コストの面からは好ましく、固形分濃度として10〜80%、特に20〜70%が好ましい。
本発明で使用されるイミド化剤は、一般式(1)で表されるグルタルイミド単位が得られるものであれば特に制限されないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン等の脂肪族炭化水素基含有アミン、アニリン、トルイジン、トリクロロアニリン等の芳香族炭化水素基含有アミン、シクロヘキシルアミン等などの脂環式炭化水素基含有アミンが挙げられる。また、尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素、1,3−ジプロピル尿素などの加熱によりこれらのアミンを発生する尿素系化合物を用いることもできる。これらのイミド化剤のうち、コスト、物性の面からメチルアミンが好ましい。
原料樹脂をイミド化剤によりイミド化する際にはイミド化を進行させ、かつ過剰な熱履歴による樹脂の分解、着色などを抑制するために、反応温度は150〜400℃の範囲で行う。180〜320℃が好ましく、さらには200〜280℃が好ましい。
一級アミンによりイミド化する際には、一般に用いられる触媒、酸化防止剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、収縮防止剤などを本発明の目的が損なわれない範囲で添加してもよい。
本発明のイミド樹脂は製造する際に副生するカルボキシル基や酸無水物基を減少させる目的で、エステル化剤による変性を行うことも可能である。
エステル化剤としては、例えば、ジメチルカーボネート、2,2−ジメトキシプロパン、ジメチルスルホキシド、トリエチルオルトホルメート、トリメチルオルトアセテート、トリメチルオルトホルメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルサルフェート、メチルトルエンスルホネート、メチルトリフルオロメチルスルホネート、メチルアセテート、メタノール、エタノール、メチルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、ジメチルカルボジイミド、ジメチル−t−ブチルシリルクロライド、イソプロペニルアセテート、ジメチルウレア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジメチルジエトキシシラン、テトラ−N−ブトキシシラン、ジメチル(トリメチルシラン)フォスファイト、トリメチルフォスファイト、トリメチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、ジアゾメタン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
本発明のイミド樹脂は、40℃、90%RHにおける水蒸気透過係数が、2.5〜25g・mm/(m2・24hr)であることが好ましい。水蒸気透過係数が2.5g・mm/(m2・24hr)未満の場合は、他樹脂との接着性、特に偏光子の両面に偏光子保護フィルムを貼合する偏光板のような、多層積層体における接着不良を起こす可能性がある。逆に、水蒸気透過係数が25g・mm/(m2・24hr)より大きい場合はあまりに水蒸気が通るため、水蒸気から保護する必要があるような用途において不都合が生じ、特に偏光子保護フィルムとして使用する場合には水分に弱い偏光子が長期にわたり水分に晒される事となり、偏光子保護フィルムの機能を発現し難くなる。
本発明のイミド樹脂は、40℃、90%RHにおける水蒸気透過係数が、2.5〜25g・mm/(m2・24hr)とともに、80℃、90%RHにおける水蒸気透過係数が、10〜200g・mm/(m2・24hr)であることがさらに好ましい。一般に水蒸気透過係数は環境の温度が高くなるほど大きくなる。成形体が通常使用される温度において適切な水蒸気透過係数を示す場合でも、接着剤等を塗布し、それを乾燥させる工程において適切な水蒸気透過係数でない場合は接着性を発現しない可能性がある。
本発明のイミド樹脂の水蒸気透過係数を好適な範囲とするためには、イミド樹脂中の(1)、(2)、(3)の割合を調整することにより可能である。また、イミド化剤の種類によっても可能である。 本発明における水蒸気透過係数は、JIS Z 0208に準拠して求める透湿度(g/(m2・24hr))と試料の厚み(mm)の積から求まるものである。
本発明の樹脂組成物からなる成形体を成形する方法としては、従来公知の任意の方法が可能である。例えば、射出成形、溶融押出フィルム成形、インフレーション成形、ブロー成形、圧縮成形、紡糸成形等が挙げられるが挙げられる。また、本発明の樹脂組成物を溶解可能な溶剤に溶解させた後、成形させる溶液流延法、スピンコート法も可能である。その何れをも採用する事が出来るが、溶剤を使用しない溶融押出法が、本発明の効果が顕著に表れ易く、又、製造コストや溶剤による地球環境や作業環境への影響等の観点から好ましい。
本発明のイミド樹脂を主成分とする光学用樹脂組成物(イミド樹脂単独または他の熱可塑性樹脂とのブレンド(組成物)でも良い)は、射出成形、溶融押出フィルム成形、インフレーション成形、ブロー成形、圧縮成形、紡糸成形などのような各種プラスチック加工法によって様々な成形品に加工できる。また、本発明のイミド樹脂を溶解する塩化メチレンなどの溶剤に溶解させ、得られるポリマー溶液を用いる流延法やスピンコート法によっても成形可能である。
成形加工の際には、一般に用いられる酸化防止剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、収縮防止剤などを本発明の目的が損なわれない範囲で添加した組成物としてもよい。
本発明のイミド樹脂を主成分とする光学用樹脂組成物から得られる成形体は、例えば、カメラやVTR、プロジェクター用の撮影レンズやファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズなどの映像分野、CDプレイヤーやDVDプレイヤー、MDプレイヤーなどの光ディスク用ピックアップレンズなどのレンズ分野、CDプレイヤーやDVDプレイヤー、MDプレイヤーなどの光ディスク用の光記録分野、液晶用導光板、偏光子保護フィルムや位相差フィルムなどの液晶ディスプレイ用フィルム、表面保護フィルムなどの情報機器分野、光ファイバ、光スイッチ、光コネクターなどの光通信分野、自動車ヘッドライトやテールランプレンズ、インナーレンズ、計器カバー、サンルーフなどの車両分野、眼鏡やコンタクトレンズ、内視境用レンズ、滅菌処理の必要な医療用品などの医療機器分野、道路透光板、ペアガラス用レンズ、採光窓やカーポート、照明用レンズや照明カバー、建材用サイジングなどの建築・建材分野、電子レンジ調理容器(食器)、家電製品のハウジング、玩具、サングラス、文房具、などに使用可能である。
以下実施例に従って本発明を具体的に説明する。実施例および比較例に示される各物性値の測定方法は以下の通りである。
(1)膜厚
デジマティックインジケーター(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定した。
デジマティックインジケーター(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定した。
(2)全光線透過率
JIS K7105−1981の5.5記載の方法により、日本電色工業(株)製分光式色差計NDH−300Aを用いて測定した。
JIS K7105−1981の5.5記載の方法により、日本電色工業(株)製分光式色差計NDH−300Aを用いて測定した。
(3)ヘーズ
JIS K7105−1981の6.4記載の方法により、日本電色工業(株)製分光式色差計NDH−300Aを用いて測定した。
JIS K7105−1981の6.4記載の方法により、日本電色工業(株)製分光式色差計NDH−300Aを用いて測定した。
(4)配向複屈折
フィルムから、幅50mm×長さ150mmのサンプルを切り出し、延伸倍率2倍で、ガラス転移温度より5℃高い温度で、一軸延伸フィルム(100%延伸)を作成した。この一軸延伸フィルムのTD方向の中央部から35mm×35mmの試験片を切り出した。この試験片を、自動複屈折計(王子計測機器株式会社製 KOBRA−WR)を用いて、温度23±2℃、湿度50±5%において、波長590nm、入射角0゜で位相差を測定した。この位相差を、デジマティックインジケーター(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定した試験片の厚みで割った値を配向複屈折とした。
フィルムから、幅50mm×長さ150mmのサンプルを切り出し、延伸倍率2倍で、ガラス転移温度より5℃高い温度で、一軸延伸フィルム(100%延伸)を作成した。この一軸延伸フィルムのTD方向の中央部から35mm×35mmの試験片を切り出した。この試験片を、自動複屈折計(王子計測機器株式会社製 KOBRA−WR)を用いて、温度23±2℃、湿度50±5%において、波長590nm、入射角0゜で位相差を測定した。この位相差を、デジマティックインジケーター(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定した試験片の厚みで割った値を配向複屈折とした。
(5)面内位相差Reおよび厚み方向位相差Rth
フィルムから、40mm×40mmの試験片を切り出した。この試験片を、自動複屈折計(王子計測株式会社製 KOBRA−WR)を用いて、温度23±2℃、湿度50±5%において、波長590nm、入射角0゜で面内位相差Reを測定した。デジマティックインジケーター(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定した試験片の厚みd、および、アッベ屈折計(株式会社アタゴ製 3T)で測定した屈折率n、自動複屈折計で測定した波長590nm、面内位相差Reおよび40°傾斜方向の位相差値から3次元屈折率nx、ny、nz、を求め、厚み方向位相差 Rth=|(nx+ny)/2−nz|×d (||は絶対値を表す)を計算した。
フィルムから、40mm×40mmの試験片を切り出した。この試験片を、自動複屈折計(王子計測株式会社製 KOBRA−WR)を用いて、温度23±2℃、湿度50±5%において、波長590nm、入射角0゜で面内位相差Reを測定した。デジマティックインジケーター(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定した試験片の厚みd、および、アッベ屈折計(株式会社アタゴ製 3T)で測定した屈折率n、自動複屈折計で測定した波長590nm、面内位相差Reおよび40°傾斜方向の位相差値から3次元屈折率nx、ny、nz、を求め、厚み方向位相差 Rth=|(nx+ny)/2−nz|×d (||は絶対値を表す)を計算した。
(6)透湿度
JIS Z 0208に準拠して、カップ法により、40℃、90%RHおよび80℃、90%RHにて測定した。なお、40℃試験は封印にパラフィンを使用し、80℃試験は封印にポリテトラフルオロエチレンパッキンを使用した。得られた透湿度(g/(m2・24hr))からとフィルムの厚み(mm)から、水蒸気透過係数を求めた。
JIS Z 0208に準拠して、カップ法により、40℃、90%RHおよび80℃、90%RHにて測定した。なお、40℃試験は封印にパラフィンを使用し、80℃試験は封印にポリテトラフルオロエチレンパッキンを使用した。得られた透湿度(g/(m2・24hr))からとフィルムの厚み(mm)から、水蒸気透過係数を求めた。
(7)イミド樹脂中の一般式(1)の割合
生成物のペレットをそのまま用いて、SensIR Tecnologies社製TravelIRを用いて、室温にてIRスペクトルを測定した。得られたスペクトルより、1720cm−1のエステルカルボニル基に帰属される吸収強度(Absester)と、1660cm−1のイミドカルボニル基に帰属される吸収強度(Absimide)の比からイミド化率(Im%(IR))を求めた。ここで、イミド化率とは全カルボニル基中のイミドカルボニル基の占める割合をいう。
生成物のペレットをそのまま用いて、SensIR Tecnologies社製TravelIRを用いて、室温にてIRスペクトルを測定した。得られたスペクトルより、1720cm−1のエステルカルボニル基に帰属される吸収強度(Absester)と、1660cm−1のイミドカルボニル基に帰属される吸収強度(Absimide)の比からイミド化率(Im%(IR))を求めた。ここで、イミド化率とは全カルボニル基中のイミドカルボニル基の占める割合をいう。
(8)ガラス転移温度(Tg)
生成物10mgを用いて、示差走査熱量計(DSC、株式会社島津製作所製DSC−50型)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minで測定し、中点法により決定した。
生成物10mgを用いて、示差走査熱量計(DSC、株式会社島津製作所製DSC−50型)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minで測定し、中点法により決定した。
(樹脂製造例1)
ポリメタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS)樹脂(一般式(2)と一般式(3)の組成は80モル%:20モル%)を、イミド化剤であるモノメチルアミン(三菱ガス化学株式会社製)によりイミド化し、イミド化MS樹脂を製造した。使用した押出機は口径15mmの噛合い型同方向回転式二軸押出機である。押出機の各温調ゾーンの設定温度を230℃、スクリュー回転数150rpm、MS樹脂を2.0kg/hrで供給し、モノメチルアミンの供給量はMS樹脂に対して40重量部とした。ホッパーからメタクリル系樹脂を投入し、ニーディングブロックによって樹脂を溶融、充満させた後、ノズルからモノメチルアミンを注入した。反応ゾーンの末端にはシールリングを入れて樹脂を充満させた。反応後の副生成物および過剰のメチルアミンをベント口の圧力を−0.08MPaに減圧して脱揮した。押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂は、水槽で冷却した後、ペレタイザでペレット化した。このイミド化MS樹脂は、実施形態に記載した一般式(1)で表される単位と一般式(2)で表される単位と一般式(3)で表される単位とが共重合したイミド樹脂に相当し、一般式(10)が70モル%のものであった。Tgは156℃であった。
ポリメタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS)樹脂(一般式(2)と一般式(3)の組成は80モル%:20モル%)を、イミド化剤であるモノメチルアミン(三菱ガス化学株式会社製)によりイミド化し、イミド化MS樹脂を製造した。使用した押出機は口径15mmの噛合い型同方向回転式二軸押出機である。押出機の各温調ゾーンの設定温度を230℃、スクリュー回転数150rpm、MS樹脂を2.0kg/hrで供給し、モノメチルアミンの供給量はMS樹脂に対して40重量部とした。ホッパーからメタクリル系樹脂を投入し、ニーディングブロックによって樹脂を溶融、充満させた後、ノズルからモノメチルアミンを注入した。反応ゾーンの末端にはシールリングを入れて樹脂を充満させた。反応後の副生成物および過剰のメチルアミンをベント口の圧力を−0.08MPaに減圧して脱揮した。押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂は、水槽で冷却した後、ペレタイザでペレット化した。このイミド化MS樹脂は、実施形態に記載した一般式(1)で表される単位と一般式(2)で表される単位と一般式(3)で表される単位とが共重合したイミド樹脂に相当し、一般式(10)が70モル%のものであった。Tgは156℃であった。
(樹脂製造例2)
メチルアミンの代わりにシクロヘキシルアミン(新日本理化株式会社製)とした。樹脂供給量は1.5kg/hrとし、シクロヘキシルアミンは40重量部とし、樹脂製造例1と同様に行った。一般式(1)が65モル%のものであった。Tgは164℃であった。
メチルアミンの代わりにシクロヘキシルアミン(新日本理化株式会社製)とした。樹脂供給量は1.5kg/hrとし、シクロヘキシルアミンは40重量部とし、樹脂製造例1と同様に行った。一般式(1)が65モル%のものであった。Tgは164℃であった。
(樹脂製造例3)
(1)以下の方法でメタクリル系樹脂組成物(コアシェルポリマー)を合成した。
(1)以下の方法でメタクリル系樹脂組成物(コアシェルポリマー)を合成した。
攪拌機付き8L重合装置に、以下の物質を仕込んだ。
脱イオン水 200部
ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム 0.25部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレート 0.15部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.005部
硫酸第一鉄 0.0015部
重合機内を窒素ガスで充分に置換し実質的に酸素のない状態とした後、内温を60℃にし、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子の原料となるブチルアクリレート(BA)70%およびメタクリル酸メチル(MMA)30%からなる単量体混合物100部に対し、メタクリル酸アリル(AlMA)2部およびクメンハイドキパーオキサイド(CHP)0.5部からなる単量体混合物>20部を10部/時間の割合で連続的に添加し、添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子を得た。重合転化率は99.5%であり、平均粒子径は800Åであった。その後、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム0.3部を仕込んだ後、内温を60℃にし、メタクリル酸エステル系重合体の原料となるスチレン(St)10%、MMA90%からなる単量体混合物100部に対し、tert−ドデシルメルカプタン(tDM)0.8部およびCHP0.5部からなる単量体混合物80部を10部/時間の割合で連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、メタクリル系樹脂組成物(コアシェルポリマー)を得た。重合転化率は99.0%であった。得られたラテックスを塩化カルシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥してメタクリル系樹脂組成物(C)の樹脂粉末(1)を得た。さらに、40ミリφベント付き単軸押出機を用いてシリンダ温度を230℃に設定して溶融混練を行い、ペレット化した。
脱イオン水 200部
ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム 0.25部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレート 0.15部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.005部
硫酸第一鉄 0.0015部
重合機内を窒素ガスで充分に置換し実質的に酸素のない状態とした後、内温を60℃にし、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子の原料となるブチルアクリレート(BA)70%およびメタクリル酸メチル(MMA)30%からなる単量体混合物100部に対し、メタクリル酸アリル(AlMA)2部およびクメンハイドキパーオキサイド(CHP)0.5部からなる単量体混合物>20部を10部/時間の割合で連続的に添加し、添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子を得た。重合転化率は99.5%であり、平均粒子径は800Åであった。その後、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム0.3部を仕込んだ後、内温を60℃にし、メタクリル酸エステル系重合体の原料となるスチレン(St)10%、MMA90%からなる単量体混合物100部に対し、tert−ドデシルメルカプタン(tDM)0.8部およびCHP0.5部からなる単量体混合物80部を10部/時間の割合で連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、メタクリル系樹脂組成物(コアシェルポリマー)を得た。重合転化率は99.0%であった。得られたラテックスを塩化カルシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥してメタクリル系樹脂組成物(C)の樹脂粉末(1)を得た。さらに、40ミリφベント付き単軸押出機を用いてシリンダ温度を230℃に設定して溶融混練を行い、ペレット化した。
(2)前述(1)で得られたメタクリル系樹脂組成物(コアシェルポリマー)を、イミド化剤であるモノメチルアミン(三菱ガス化学株式会社製)とした。樹脂供給量は1.0kg/hrとし、メチルアミンは10重量部とし、樹脂製造例1と同様に行い、イミド化MS樹脂を(コアシェルポリマー)製造した。一般式(1)が50モル%のものであった。Tgは135℃であった。
(実施例1〜3)
樹脂製造例1〜3の樹脂を用いて、固形分濃度20重量%の塩化メチレン溶液を作成し、ガラス板上に敷いたポリエチレンテレフタレート(帝人製テトロンHS)上にバーコーターを用いて流延し、室温で60分放置した。その後フィルムを剥し、4片固定治具に挟んで、100℃で1時間、更に各樹脂のTg+10℃で12時間の乾燥を行って、フィルムを得た。フィルム特性を表1に示した。
樹脂製造例1〜3の樹脂を用いて、固形分濃度20重量%の塩化メチレン溶液を作成し、ガラス板上に敷いたポリエチレンテレフタレート(帝人製テトロンHS)上にバーコーターを用いて流延し、室温で60分放置した。その後フィルムを剥し、4片固定治具に挟んで、100℃で1時間、更に各樹脂のTg+10℃で12時間の乾燥を行って、フィルムを得た。フィルム特性を表1に示した。
(比較例1)
富士写真フィルム製トリアセチルアセテートフィルム(40μm)のフィルム特性を表1に示した。ただし、100%延伸を試みると破断し、延伸ができなかった。
富士写真フィルム製トリアセチルアセテートフィルム(40μm)のフィルム特性を表1に示した。ただし、100%延伸を試みると破断し、延伸ができなかった。
(比較例2)
日本ゼオン製ゼオノア1420Rのキシレン溶液(樹脂濃度=35重量%)を調整して、ドープとした。該ドープを実施例1と同様にしてキャストし、室温で10分間放置後、さらに80℃で1時間、120℃で2時間、170℃で4時間乾燥させた後基材フィルムから剥がし、50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
日本ゼオン製ゼオノア1420Rのキシレン溶液(樹脂濃度=35重量%)を調整して、ドープとした。該ドープを実施例1と同様にしてキャストし、室温で10分間放置後、さらに80℃で1時間、120℃で2時間、170℃で4時間乾燥させた後基材フィルムから剥がし、50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表される単位と、下記一般式(2)で表される単位と、更に必要に応じ下記一般式(3)で表される単位を含んで形成されるイミド樹脂であり、40℃、90%RHにおける水蒸気透過係数が、2.5〜25g・mm/(m2・24hr)であることを特徴とするイミド樹脂。
- 80℃、90%RHにおける水蒸気透過度が、20〜200g・mm/(m2・24hr)であることを特徴とする、請求項1記載のイミド樹脂。
- 配向複屈折が0以上0.1×10−3以下である、請求項1又は2の何れかに記載のイミド樹脂。
- 請求項1から3の何れかに記載のイミド樹脂を主成分とする樹脂組成物。
- 請求項4に記載の樹脂組成物からなる成形体。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005158208A JP2006328333A (ja) | 2005-05-30 | 2005-05-30 | イミド樹脂、および樹脂組成物、これからなる成形体 |
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JP2006328329A (ja) * | 2005-05-30 | 2006-12-07 | Kaneka Corp | 表面保護フィルム用基材、および表面保護フィルム |
-
2005
- 2005-05-30 JP JP2005158208A patent/JP2006328333A/ja active Pending
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