JP2009106855A - 排ガス成分浄化用触媒材及び同触媒材付パティキュレートフィルタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】活性アルミナと、Zr、Nd、並びにCe及びNd以外の希土類金属Mを含有するZrNd系複合酸化物とを含有する排ガス成分浄化用触媒材において、活性アルミナの二次粒子表面にZrNd系複合酸化物の一次粒子を分散して担持させ、該ZrNd系複合酸化物の一次粒子にはZrO2が55mol%以上90mol%未満の割合で含まれているようにする。
【選択図】図5
Description
上記ZrNd系複合酸化物の一次粒子にはZrO2が55mol%以上90mol%未満の割合で含まれていることを特徴とする排ガス成分浄化用触媒材である。
この実施形態の特徴は、上記触媒層7が、図5に模式的に示す触媒粒子(触媒材)を含有することである。すなわち、この触媒粒子は、活性アルミナの一次粒子(白丸の粒子;Al2O3)が凝集してなる二次粒子の表面に、Zr、Nd、並びにCe及びNd以外の希土類金属Mを含有するZrNd系複合酸化物の一次粒子(並行斜線を付した粒子;ZrNdMO)が分散して担持されてなり、活性アルミナの一次粒子(Al2O3)及びZrNd系複合酸化物の一次粒子(ZrNdMO)各々に触媒金属としてPt(黒丸で表している。)が担持されている。活性アルミナの一次粒子の平均粒径は1nm〜100nm(1nm以上100nm以下)であり、その二次粒子の平均粒径は200nm〜500nmであり、ZrNd系複合酸化物の一次粒子の平均粒径は5nm〜50nmである。
上記排ガス成分浄化用触媒材は、以下の方法によって調製することができる。
Alイオン及びLaイオンを含む原料溶液を調製する。Al源としては硝酸アルミニウム九水和物を、La源としては硝酸ランタン六水和物を、それぞれ採用することができる。Al源及びLa源各々の所定量と水とを混合して原料溶液(酸性)とする。
上記活性アルミナ粒子前駆体の沈殿物を含む溶液を遠心分離器にかけて上澄み液を除去する。この上澄み液を除去した沈殿脱水物にさらにイオン交換水を加えて攪拌し再び遠心分離器にかける(脱水する)、という水洗・脱水操作を必要回数繰り返す。当該水洗・脱水操作により、余剰塩基性溶液が除去される。
上記沈殿脱水物を乾燥させた後、焼成し、粉砕する。乾燥は、例えば大気雰囲気において100℃〜250℃程度の温度に所定時間保持することによって行なうことができる。焼成は、例えば大気雰囲気において400℃〜600℃程度の温度に数時間保持することによって行なうことができる。これにより、La2O3を含有する活性アルミナの一次粒子が凝集してなる二次粒子の粉末が得られる。
Zrイオン、Ndイオン、並びにCe及びNd以外の希土類金属Mのイオンを含む酸性溶液に上記二次粒子の粉末を分散させてなる溶液を調製する。Zr源としてはオキシ硝酸ジルコニウム二水和物を、Nd源としては硝酸ネオジムをそれぞれ採用することができる。希土類金属M源としては、La、Pr、Y等の硝酸塩を採用することができる。これらZr源、Nd源及びM源各々の所定量と上記二次粒子の粉末と水とを混合する。
上記ZrNd系複合酸化物粒子前駆体の沈殿が上記二次粒子表面に析出してなる溶液を遠心分離器にかけて上澄み液を除去する。この上澄み液を除去した後、さらにイオン交換水を加えて攪拌し再び遠心分離器にかける(脱水する)、という水洗・脱水操作を必要回数繰り返す。当該水洗・脱水操作により、余剰塩基性溶液が除去される。
上記ZrNd系複合酸化物粒子前駆体の沈殿が表面に析出している二次粒子を乾燥させた後、焼成し、粉砕する。乾燥は、例えば大気雰囲気において100℃〜250℃程度の温度に所定時間保持することによって行なうことができる。焼成は、例えば大気雰囲気において400℃〜600℃程度の温度に数時間保持することによって行なうことができる。以上により、上記二次粒子表面にZrNd系複合酸化物の一次粒子が分散して担持されたサポート材粉末が得られる。
得られたサポート材粉末に触媒金属イオンを含有する触媒金属溶液を添加混合し、蒸発乾固させた後、粉砕する。これにより、図5に示す触媒粒子よりなる触媒材が得られる。触媒金属溶液としては、ジニトロジアミン白金硝酸溶液や硝酸パラジウム水溶液等の貴金属溶液を採用することができる。サポート材粉末に触媒金属溶液を含浸させ、乾燥・焼成するようにしてもよい。
−供試材の調製−
ZrNd系複合酸化物の好ましい組成を策定するために、希土類金属MとしてLa、Pr及びY各々を採用し、且つNd2O3及びMの酸化物の配合比率が異なる各種の複合酸化物粉末を調製した。各複合酸化物粉末にジニトロジアミン白金硝酸溶液及びイオン交換水を混合して蒸発乾固を行ない、十分に乾燥させた後、500℃×2時間(大気中)で焼成することにより、Ptを担持させた各触媒材を調製した。但し、これら触媒材には活性アルミナは含まれていない。
供試材を固定床模擬ガス流通反応装置に取り付け、模擬排ガス(O2;10%,NO;300ppm,H2O;10%,残N2)を空間速度80000/hで供試材に流し、且つ供試材入口ガス温度を15℃/分の速度で上昇させていき、該温度が590℃に達した時点のカーボン燃焼速度を測定するとともに、CO発生量を求めた。この場合、カーボン燃焼速度は、カーボンの燃焼によって生成するCO及びCO2量に基いて次式により算出した。結果を表1に示す。
カーボン燃焼速度(g/hr)
={ガス流速(L/hr)×[(CO+CO2)濃度(ppm)/(1×106)]}×12(g/mol)/22.4(L/mol)
−供試材の調製−
上述の触媒材の調製法により、ZrNd系複合酸化物粒子中のZrO2比率(ZrO2/ZrNdMOのmol%)、並びに活性アルミナ二次粒子(La2O3比率;5質量%)とZrNd系複合酸化物粒子との合計量に占める該ZrNd系複合酸化物粒子の割合(以下、これを「ZrNdMO比率」という。)が相異なる実施例の各触媒材を調製した。ZrNd系複合酸化物粒子の希土類金属MとしてはPrを採用し、そのPr2O3比率は12mol%に固定した。また、触媒金属Ptの担持には蒸発乾固法を採用した。
上記実施例及び比較例の各供試材について、フィルタ1L当たり10gのカーボン(カーボンブラック)を排ガス通路壁面に堆積させた後、上述のカーボン燃焼性能試験により、温度590℃でのカーボン燃焼速度を測定した。実施例の結果を表2に、比較例の結果を表3に示す。
上記実施例及び比較例の各供試材について、上記カーボン燃焼性能試験の場合とは異なり、カーボンブラックを堆積させることなく、排ガス中のHC及びCOの浄化に関するライトオフ特性を調べた。すなわち、各供試材を模擬ガス流通反応装置にセットし、模擬排ガス(O2;10%,H2O;10%,NO;100ppm,C3H6;200ppmC,CO;400ppm,残N2)を空間速度50000/hで供試材に流し、且つ供試材入口ガス温度を15℃/分の速度で上昇させていった。そして、供試材下流で検出されるガスの各成分(HC、CO)濃度が、供試材に流入するガスの各成分(HC、CO)濃度の半分になった時点(すなわち浄化率が50%になった時点)の供試材入口ガス温度T50(℃)を求めた。実施例の結果を表4に、比較例の結果を表5に示す。
この実施形態は、ZrNd系複合酸化物粒子を担持させる二次粒子が、活性アルミナの一次粒子とCeZr系複合酸化物の一次粒子とによって形成されていることを特徴とし、触媒粒子の他の構造的特徴は実施形態1と同じである。この場合、活性アルミナの一次粒子とCeZr系複合酸化物の一次粒子とが互いに混ざり合って凝集し二次粒子を形成している。触媒金属は、ZrNd系複合酸化物の一次粒子及び活性アルミナの一次粒子に担持されている他、CeZr系複合酸化物の一次粒子にも担持されている。CeZr系複合酸化物の一次粒子の平均粒径は5nm〜100nmである。
本実施形態の排ガス成分浄化用触媒材は、以下の方法によって調製することができる。
実施形態1の<触媒材の調製法>で説明した方法によって、活性アルミナ粒子前駆体の沈殿を生成させた溶液を得る。
Ceイオン、Zrイオン、並びにCe以外の希土類金属Rのイオンを含む原料溶液を調製する。Ce源としては硝酸セリウム(III)六水和物を、Zr源としてはオキシ硝酸ジルコニウム二水和物を、それぞれ採用することができる。Ce以外の希土類金属R源としては、Nd、La、Pr、Y等の硝酸塩を採用することができる。これらCe源、Zr源及びR源各々の所定量と水とを混合して原料溶液(酸性)とする。
上記各工程で得られた活性アルミナ粒子前駆体とCeZr系複合酸化物粒子前駆体とを混合する。すなわち、上記活性アルミナ粒子前駆体の沈殿物を含有する溶液とCeZr系複合酸化物粒子前駆体の沈殿物を含有する溶液とを混合する。その際、各溶液のpHは互いに同一になるように調整しておく。
上記活性アルミナ粒子前駆体及びCeZr系複合酸化物粒子前駆体の沈殿物を含む混合溶液を遠心分離器にかけて上澄み液を除去する。この上澄み液を除去した沈殿脱水物にさらにイオン交換水を加えて攪拌し再び遠心分離器にかける(脱水する)、という水洗・脱水操作を必要回数繰り返す。当該水洗・脱水操作により、余剰塩基性溶液が除去される。
上記沈殿脱水物を乾燥させた後、焼成し、粉砕する。乾燥は、例えば大気雰囲気において100℃〜250℃程度の温度に所定時間保持することによって行なうことができる。また、焼成は、例えば大気雰囲気において400℃〜600℃程度の温度に数時間保持することによって行なうことができる。これにより、活性アルミナの一次粒子とCeZr系複合酸化物の一次粒子とが互いに混ざり合って凝集した二次粒子の粉末が得られる。
実施形態1の場合と同様に、Zrイオン、Ndイオン、並びにCe及びNd以外の希土類金属Mのイオンを含む酸性溶液に上記二次粒子の粉末を分散させてなる原料溶液を調製し、これに塩基性溶液を添加混合することにより、ZrNd系複合酸化物粒子前駆体の沈殿を上記二次粒子の表面に析出させる。そうして、水洗・脱水の工程及び乾燥・焼成の工程を順に行うことにより、上記二次粒子表面にZrNd系複合酸化物の一次粒子が分散して担持されたサポート材粉末が得られる。
得られたサポート材粉末に触媒金属イオンを含有する触媒金属溶液を添加混合し、蒸発乾固させた後、粉砕する。これにより、本実施形態に係る触媒材が得られる。触媒金属溶液としては、ジニトロジアミン白金硝酸溶液や硝酸パラジウム水溶液等の貴金属溶液を採用することができる。サポート材粉末に触媒金属溶液を含浸させ、乾燥・焼成するようにしてもよい。
−供試材の調製−
CeZr系複合酸化物(CeZrRO)における希土類金属Rの種類及び配合比率を変えた種々の複合酸化物粉末を調製した。CeO2とZrO2のモル比は1:3とした。各複合酸化物粉末にジニトロジアミン白金硝酸溶液及びイオン交換水を混合して蒸発乾固を行ない、十分に乾燥させた後、500℃×2時間(大気中)で焼成することにより、Ptを担持させた各触媒材を調製した。但し、これら触媒材には活性アルミナは含まれていない。
−供試材の調製−
上記触媒材の調製法により、活性アルミナとZrNd系複合酸化物とCeZr系複合酸化物との比率をAl2O3:ZrNdMO:CeZrRO=66:22:12(質量比)に固定し、CeZr系複合酸化物のCeO2比率及びZrNd系複合酸化物のZrO2比率が異なる複数種の実施例触媒材を調製した。この実施例触媒材は、サポート材粉末にPtが担持されてなり、そのサポート材は二次粒子表面にZrNd系複合酸化物の一次粒子が分散して担持されたものであり、その二次粒子は活性アルミナ粒子とCeZr系複合酸化物粒子とが混ざり合って形成されている。
実施例及び比較例の各供試材に上述の熱エージング処理及びカーボン堆積処理を行なった後、上述のカーボン燃焼性能試験により、温度590℃でのカーボン燃焼速度を測定した。実施例の結果を表6に示し、比較例の結果を表7に示す。
上記実施例及び比較例の各供試材に上述の熱エージング処理を行なった後、カーボン堆積処理を行うことなく、上述のライトオフ性能評価試験により、HC及びCOの浄化に関するライトオフ温度を測定した。実施例の結果を表8に示し、比較例の結果を表9に示す。
−供試材の調製−
上記触媒材の調製法により、活性アルミナとZrNd系複合酸化物とCeZr系複合酸化物との比率(Al2O3:ZrNdMO:CeZrROの質量比)が異なる4種類の実施例触媒材を調製した。この実施例触媒材は、サポート材粉末にPtが担持されてなり、そのサポート材は二次粒子表面にZrNd系複合酸化物の一次粒子が分散して担持されたものであり、その二次粒子は活性アルミナ粒子とCeZr系複合酸化物粒子とが混ざり合って形成されている。
実施例及び比較例の各供試材に上述の熱エージング処理及びカーボン堆積処理を行なった後、上述のカーボン燃焼性能試験により、温度590℃でのカーボン燃焼速度を測定した。結果を表10及び図13に示す。
上記実施例及び比較例の各供試材に上述の熱エージング処理を行なった後、カーボン堆積処理を行うことなく、上述のライトオフ性能評価試験により、HC及びCOの浄化に関するライトオフ温度を測定した。HC浄化のライトオフ温度を表11及び図14に示し、CO浄化のライトオフ温度を表11及び図15に示す。
2 排ガス流入路(排ガス通路)
3 排ガス流出路(排ガス通路)
4 栓
5 隔壁
6 細孔通路(排ガス通路)
7 触媒層
Claims (6)
- 一次粒子として活性アルミナ粒子を含み該一次粒子が凝集してなる二次粒子の表面に、Zrと、Ndと、Ce及びNd以外の希土類金属Mとを含有するZrNd系複合酸化物の一次粒子が分散して担持されており、
上記ZrNd系複合酸化物の一次粒子にはZrO2が55mol%以上90mol%未満の割合で含まれていることを特徴とする排ガス成分浄化用触媒材。 - 請求項1において、
上記活性アルミナの一次粒子と上記ZrNd系複合酸化物の一次粒子との合計量に占める該ZrNd系複合酸化物の一次粒子の割合が20質量%以上90質量%以下であることを特徴とする排ガス成分浄化用触媒材。 - 請求項1又は請求項2において、
上記ZrNd系複合酸化物の希土類金属MはLa及びPrから選ばれる少なくとも一種であり、該ZrNd系複合酸化物は、上記希土類金属Mの酸化物M2O3を20mol%以下の割合で含有することを特徴とする排ガス成分浄化用触媒材。 - 活性アルミナの一次粒子と、CeとZrとを含むCeZr系複合酸化物の一次粒子とが互いに混ざり合って凝集してなる二次粒子の表面に、Zr、Nd、並びにCe及びNd以外の希土類金属Mを含有するZrNd系複合酸化物の一次粒子が分散して担持されており、
上記CeZr系複合酸化物の一次粒子にはCeO2が20mol%以上45mol%以下の割合で含まれ、
上記ZrNd系複合酸化物の一次粒子にはZrO2が55mol%以上75mol%以下の割合で含まれていることを特徴とする排ガス成分浄化用触媒材。 - エンジンから排出されるパティキュレートを捕集するフィルタ本体の排ガス通路壁面に触媒層が形成されているパティキュレートフィルタであって、
上記触媒層に請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載された排ガス成分浄化用触媒材が含まれていることを特徴とするパティキュレートフィルタ。 - 請求項5において、
上記排ガス成分浄化用触媒材には、触媒金属としてPtが担持されていることを特徴とするパティキュレートフィルタ。
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