第1図は本発明の一実施例である携帯電話機(なお、本願発明は、携帯電話機に限定されるものではない)のブロック図である。
CPU11は装置全体を制御するものであり、その実行プログラムはROM(リード・オンリー・メモリ)12に記憶され、CPU11はその実行プログラムをROM12から読み出し、その実行プログラムに含まれる命令を逐次解釈して装置全体の制御を行うものである。
RAM(ランダム・アクセス・メモリ)13はその制御に必要なワークエリアが形成されるともに、保存パラメータやそのほか制御に必要ないろいろなパラメータや管理情報等を記憶するものである。RAM13に音声情報及びメール情報を記憶することができる。なお、RAM13に音声情報及びメール情報を記憶する代わりに、音声情報及び/又はメール情報を記憶する専用のRAMを設けてもよい。操作入力・表示部14は各種の操作キーと操作ガイダンス等を表示する表示器からなり、オペレータが装置を操作するためのものである。
通話部15は、音声を出力するスピーカ153や音声を入力するマイク152や通話回路151から構成される。スピーカ153は、イヤホンであってもよい。通話回路151は、マイク152から入力されたアナログの音声信号をデジタル化として、通信手段16(又は広域無線通信手段29及び無線LAN通信手段31)に送出し、通信手段16(又は広域無線通信手段29及び無線LAN通信手段31)から入力されたデジタル音声信号をアナログに変換してスピーカ等に出力するものである。また、音声信号を増幅したり又は減衰することにより音量を調整したり、音声信号の周波数特性を変化させることにより音質を良くしたりする回路も含まれている。また、マイク152からスピーカ153への音の回り込みを制御するいわゆる側音制御もこの通話回路151で行う。
通信手段16は、後述する広域無線通信、無線LAN通信手段以外の通信手段であり、音声信号とデータ信号を送受信する。具体的には、無線USB、ブルートゥース、赤外線などの通信を行う。
撮影手段(カメラ手段)18は撮影対象物を画像データに変換するものであり、具体的には撮像素子であるCCD(CharGe Coupled DevICe)等が使用される。CCDは撮影対象物からの光信号を受光し、それをアナログの電気信号に変換して出力するものである。画像処理回路19はCCDが出力するアナログ電気信号を受信し、それをA/D変換することによりデジタル画像信号を得る。さらに、そのデジタル画像信号に対して画像処理(密度変換、フィルタリング、最適化処理、拡大縮小、圧縮伸張等)を行う。画像処理された画像データは画像(フレーム)メモリ20に記憶される。画像表示手段21は画像処理回路19によって画像処理された画像データを液晶画面等(プラズマディスプレイ、CRT(Cathode-ray Tube)等)の画像表示手段で表示するものである。TV受信手段22はTV用アンテナ、検波部、チューナ部等から構成されるもので、TV放送用電波を受信し、TV画像信号を出力する。TV画像信号は画像処理回路19に入力され、所定の画像処理を行った後、画像(フレーム)メモリ20に蓄積され、その画像(フレーム)メモリ20に蓄積された画像データは画像表示手段21に出力され、TV画像が表示される。また、画像(フレーム)メモリ20に蓄積された画像データはTV画像録画手段23で記憶媒体に保存することにより、TV画像を撮影手段18で取得した画情報と同様に取り扱うことができる。なお、画像表示手段21で表示する代わりに、操作入力・表示部14で表示するようにしてもよい。なお、TV画像録画手段23として、本体に内蔵した画像用メモリ、本体に内蔵したハードディスク、外付けのICカードメモリ、外付けのハードディスク等が用いられる。
外部I/F手段24は、ケーブルなどの有線を使用してPC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器に接続して、データ等の送受信を行うものである。具体的には、装置専用のI/FやUSB(Universal Serial Bus)等の汎用のI/Fがある。
メモリカードI/F手段2.5は、ICカード、メモリカード、メモリユニット等、記憶媒体を搭載した装置と接続して、データの送受信を行うものである。GPS(全地球測位システム)手段26は、人工衛星からの電波を受信し、その到達時間のずれを検出し、最終的に通信装置が位置する緯度と経度などの地球上の位置情報を算出するものである。ICタグ手段27はリーダライタ装置と無線でデータの送受信を行うものである。ICタグ手段27は、電波信号を送受信するためのアンテナ用コイル、共振コンデンサ、変復調回路、整流平滑回路からなる無線通信手段とICタグに内蔵されたCPU、ROM(書き換え可能なROMでもよい。)、RAMから構成される。ICタグ手段27は、リーダライタ装置28から送信されてくる高周波の電力用電波信号をアンテナと共振用コンデンサで受信し、整流平滑回路で整流平滑化して、一定電圧の動作用電源を作成してICタグ内部に供給する。また、リーダライタ装置28から送信されてくる信号は、電力用電波信号に重畳されており、受信した信号は変復調回路によって復調される。ICタグ手段27のCPUはICタグ手段27のROMに記憶されたプログラムによって動作するものであり、ICタグ手段27のRAM上に動作に必要なワークエリアを形成しながら、ICタグ全体の動作の制御を行うものである。ICタグは一度情報を書き込んだら二度と変更できないリードオンリーのものと、後から書き換えが可能なものや、追記のみ可能なもの(追記型)がある。
広域無線通信手段29は、広域の無線通信ネットワークを使用してデータ又は音声の送受信を行うものである。広域無線としてば、コネクション型、コネクションレス型を利用することができる。また、インターネットを用いることができる。
ラジオ放送受信手段30は、ラジオ放送局から送信されるラジオ放送用電波信号を受信し、受信した電波信号を音声データに変換する。音声データに変換されたデジタル音声は、通話回路でアナログ音声に変換され、スピーカ(又はイヤホン)153から出力するものである。
無線LAN通信手段31は、無線LANを使用してデータ又は音声の送受信を行うものである。無線LANとしては、家庭内のLAN、駅等に設けたLAN、会社内のLAN等を利用することができる。
また、言うまでもないが、図1の構成はすべて備えている必要はなく、必要な構成を最低限備えていればよいものである。
図2はオールIP(インターネットプロトコル)化された携帯電話機のブロック図である。図2の携帯電話機は、基地局用無線I/F手段321、LAN用無線I/F手段322、IP手段33、通話回路341、マイク342、スピーカ343、GPS手段35、操作入力・表示部36、CPU37、ROM38及びRAM39から構成されている。
図2の携帯電話機において、基地局用無線I/F手段321は携帯電話機と広域無線基地局との間で無線交信を行うI/Fである。また、LAN用無線I/F手段322は、携帯電話機とLAN用無線基地局との間で無線交信を行うI/Fである。従来では、基地局用無線I/F手段は、専用のプロトコルが使用されていたが、基地局側とそれを利用する通信装置の間にインターネット網やIP網を利用するケースが増えている。さらに、LAN用のプロトコルはもともとIPによって、通信が行われていることから、基地局用無線I/F手段をIP化することにより、部品の共通化が図れ、コストダウンが見込める。そこで本実施例のように、基地局用無線I/F手段321とLAN用無線I/F手段322では、IPを使用する。
IP手段33は、音声に使用するVOIP手段と、データ通信に使用するデータ用IP手段の2種類がある。
音声に使用するVOIP手段は通話回路から送られてきたアナログの音声信号をデジタルデータに変換し、さらに必要であれば符号化圧縮する。次に、音声信号データを送信用のIPパケットに埋め込み、順次、基地局用無線I/F手段321又はLAN用無線I/F手段322に送り出す。また基地局用無線I/F手段321又はLAN用無線I/F手段322から入力される受信用のIPパケットから音声信号データを取り出し、必要であれば復号伸張し、さらにデジタルの音声信号データをアナログの音声信号に変換し、通話回路に送出する。
データ通信に使用するデータ用IP手段の場合は、VOIP手段の通話回路の代わりに、例えばメモリ手段と入出力を行ってもよいし、専用のデータ処理手段を備えてもよい。また、IP手段33は呼制御を行うための制御用IPパケットを組立て、順次、基地局用無線I/F手段321又はLAN用無線I/F手段322に送り出す。さらに、基地局用無線I/F手段31又はLAN用無線I/F手段33から入力される受信した制御用IPパケットを、解析するために分解する。このような制御用IPパケットの送出、受信はIP手段33とは独立した別の手段で行うようにしてもよい。IP手段33の動作制御はCPU37で行ってもよいし、専用のLSIを使用してもよい。
通話回路341、マイク342、スピーカ343、GPS手段35、操作入力・表示部36、CPU37、ROM38及びRAM39は、図1に準じて理解されるので、説明を省略する。
(一般のIP電話機のブロック図)
図3は一般のIP電話機のブロック図である。図3の携帯電話機は、IP手段41、回線接続I/F手段42、ICタグ手段44、通話回路431、マイク432、スピーカ433、GPS手段45、操作入力・表示部46、CPU47、ROM48、RAM49から構成されている。
図3におけるブロックの各要素は、図2及び図3で説明したので、図3の説明は省略する。
(通信プロトコル)
実施例の1つとして、通信装置(または通信端末装置)は携帯電話機、端末情報(端末識別情報)は携帯電話の電話番号として説明する。
図4、図5に携帯電話機で使用する通信プロトコルの一実施例を示す。まず、図4を用いて、発呼側端末と基地局間における発信接続と切断シーケンスについて説明する。発呼側端末はオフフック及びダイアルの後に、基地局へ呼設定信号(SETUP)、発信無線状態報告信号を送信し(S1)、基地局側から呼設定受付信号(CALL PROC)を受信する(S2)。基地局は認証手順(S3)を行った後、無線チャネル指定信号を送信する(S4)。発呼側端末は指定されたチャネルを捕捉し、無線回線の設定を行う。次に基地局から呼出信号(ALERT)を受信し(S5)、呼出音(RBT)を受話器に送出する。着信側の通信端末装置の応答があると、基地局から発呼側端末へ応答信号(CONN)が送信され(S6)、ここから課金が開始されるとともに、通話が始まる(S7)。通話が終了すると、発呼側端末から切断信号(DISC)が基地局へ送信される(S8)。基地局は解放信号(REL)を発信側の通信端末装置へ送信し(S9)、ここで課金が終了する。発呼側端末は基地局へ解放完了信号(REL COMP)を送信し(S10)、基地局から無線チャネル切断信号を受信する(S11)。最後に、発呼側端末は、無線チャネル切断確認信号を送信して(S12)、通信に使用した無線チャネルを開放し、無線回線の切断を行う。
次に、図5を用いて、着呼側端末と基地局間における発信接続と切断シーケンスについて説明する。着呼側端末は、基地局からの呼出信号を受信すると(S15)、着信無線状態報告信号を基地局へ送信する(S16)。基地局では、着信無線状態報告信号受信して、認証手順を行う(S17)。基地局は認証を行った後、無線チャネル指定信号を着信側の通信端末装置へ送信し、無線チャネルの指定を行う(S18)。無線チャネルの指定後、基地局から着呼側端末へ、呼設定信号(SETUP)が送信され(S19)、着呼側端末は着信音(RGT)を生成した後、基地局へ呼出信号(ALERT)を送信する(S20)。着呼側端末のオフフックにより応答信号(CONN)が基地局へ送信され(S21)、基地局から着呼側端末へ、応答確認信号(CONN ACK)が送信され(S22)て、通信(通話)が開始され(S23)、課金が始まる。切断シーケンスは、図4における発呼側からの切断とほぼ同じなので、説明を省略する。
図6(A)及び(B)に携帯電話機のデータ通信のプロトコルの一実施例を示す。まず、端末側がサーバ手段からデータを取得する場合に使用するPull型シーケンスについて図6(A)を用いて説明する。
最初に、端末側は、基地局に対して通信登録要求信号を送出する(S41)。基地局側は認証を要求するために通信認証要求信号を端末側へ送信する(S42)。端末側は、通信認証応答信号を基地局へ送信し(S43)、基地局側は認証が成立すれば、通信登録応答信号を端末側へ送信する(S44)。端末側は、回線接続を要求するために、仮想回線接続要求信号を基地局側へ送信し(S45)、基地局は、仮想回線接続応答信号を端末側へ送信することにより、通信回線が仮想的に確保される(S46)。次に、端末側はHTTPプロトコルを使用して、データを要求するGet信号を基地局側へ送信する(S47)。基地局側は、その応答信号として、Ack信号を端末側へ送信する(S48)。基地局は要求されたデータを含むResponse信号を端末側へ送信する(S49)。端末側はResponse信号の応答信号としてAck信号を基地局側へ送信する(S50)。以下、必要なだけデータ取得が行われる。
次に、図6(B)を用いて、基地局側から通信端末装置へ着信通知して情報を送信(メール受信など)するPush型シーケンスについて説明する。
まず、基地局から端末側へ呼び出し信号を送信する(S51)。次に、端末側は基地局に対して通信登録要求信号を送出する(S52)。基地局側は認証を要求するために通信認証要求信号を端末側へ送信する(S53)。端末側は、通信認証応答信号を基地局へ送信する(S54)。基地局側は、認証を行い、認証が成立すれば、通信登録応答信号を端末側へ送信する(S55)。基地局は、回線接続を要求するために、仮想回線接続要求信号を端末側へ送信し(S56)、端末側は、仮想回線接続応答信号を基地局側へ送信することにより、通信回線が仮想的に確保される(S57)。基地局は着信通知信号を端末側へ送信し(S58)、端末側はその応答として、Ack信号を基地局側へ送信する(S59)。端末側はデータを要求するために、Get信号を基地局側へ送信する(S60)。基地局側はその応答信号として、Ack信号を端末側へ送信する(S61)。基地局は要求されたデータを含むResponse信号を端末側へ送信する(S62)。端末側はResponse信号の応答信号としてAck信号を基地局側へ送信する(S63)。以下必要なだけデータ取得が行われる。
なお、前述したプロトコルシーケンス中において、通信装置又は相手装置の端末識別情報(電話番号、端末番号、ID番号、機番、移動機番号、メールアドレス、URL、URI等)やサービス識別情報(電話番号、メールアドレス、URL、通話、電子メール、インターネットアクセス、データダウンロード等)を含ませて、情報の授受を行うことができる。さらに、通信装置又は相手装置の端末識別情報やサービス識別情報を、それぞれについて複数持ち(通信装置の記憶手段に記憶する)、それらを選択して使用することにより、特定のサービスを特定の端末識別情報で使用することや、選択した端末識別情報に課金するなどの多彩なサービスを享受することができる。
次にIP電話の通信回線側の装置について説明する。
(IP電話の通信回線側の装置)
<DHCPサーバ>
DHCPは、インターネットに一時的に接続するコンピュータに、IPアドレスなど必要な情報を自動的に割り当てるプロトコルである。DHCPサーバには、ゲートウェイサーバやDNSサーバのIPアドレスや、サブネットマスク、クライアントに割り当ててもよいIPアドレスの範囲などが設定されており、ダイヤルアップなどの手段を使ってアクセスしてきたコンピュータにこれらの情報を提供する。クライアントが通信を終えると自動的にアドレスを回収し、他のコンピュータに割り当てる。DHCPを使うとネットワークの設定に詳しくないユーザでも簡単にインターネットに接続することができ、また、ネットワーク管理者は多くのクライアントを容易に一元管理することができる。
<DNSサーバ>)
DNSサーバは、インターネット上でのコンピュータの名前にあたるドメイン名を、住所にあたるIPアドレスと呼ばれる数字の列に変換するコンピュータシステムである。
個々のネームサーバは、自分が管理するネットワークに接続されたコンピュータのドメイン名とIPアドレスの対応表を持っており、外部からの問い合わせに答える。
インターネットには無数のネームサーバが存在しており、ドメイン名に対応した階層構造になっている。最上位に位置するネームサーバは「ルートサーバ」と呼ばれ、全世界に複数台が分散配置されている。
全世界のネームサーバが連携してドメイン名とIPアドレスを対応させるシステムを「DNS」(Domain Name System)と呼ぶため、ネームサーバは「DNSサーバ」とも呼ばれる。
「WWW.patent.co.jp」というドメイン名を持ったコンピュータのIPアドレスを探す場合、まずルートサーバに問い合わせる。
ルートサーバは「jp」ドメイン全体を管理するネームサーバのアドレスを答えるので、「jp」ドメインのネームサーバに問い合わせを送る。
「jp」ドメインを管理するネームサーバは、さらに「co」ドメインのネームサーバのアドレスを答え、「co」ドメインのネームサーバは「patent」ドメインのネームサーバを答え、「patent」ドメインのネームサーバは「WWW」というコンピュータのIPアドレスを回答する。
<NAT>
組織内でのみ通用するIPアドレス(ローカル・アドレス)と、インターネット上のアドレス(グローバル・アドレス)を透過的に相互に変換する機能をいう。この機能によって、インターネットに接続された企業などで、一つのグローバルなIPアドレスを複数のコンピュータで共有することができる。最近不足がちなグローバルIPアドレスを節約できる。
<IPマスカレード>
ローカル・アドレスをグローバル・アドレスに変換するとき、一つのローカル・アドレスをポート番号付きのグローバル・アドレスに変換する機能をいう。このように、通信ポート番号を識別して、ローカル・アドレスとIPアドレスの対応関係を管理することで、一つのグローバル・アドレスで複数のローカル・ノードが同時に通信可能となる。
これにより、一つのグローバル・アドレスで複数のマシンから同時に接続することが可能となる。ただし、ポート番号への変換が行なわれるため、インターネット側から内部のマシンに接続を開始するような使い方はできず、ICMPも利用できないなどの制限がある。最近のブロードバンドルータなどではこうした制限を緩和するための独自の実装を行なっているものもある。
<ENUM>
電話番号をURIへと変換するためのプロトコルである。ITU(国際電気通信連合)が定めた国際的に一意な電話番号体系(「E164」と呼ばれる)と特殊なドメイン領域(「.e164.arpa」のサブドメイン)をDNSで対応させることにより、電話番号とネット上のサービスやアドレスを対応させる。1つの番号に対応させるアドレスなどは複数でもよい。例えば、自分の電話番号をENUMで電子メールアドレスやFAX番号、WebサイトのURLなどと対応させておけば、電話番号が自分へのアクセス手段の統一的な識別番号として利用できるようになる。
「03-1234-5678」という電話番号に対応するENUMのドメイン名は、先頭の0を日本の国番号81で置換して逆順に並べた「8.7.6.5.4.3.2.1.3.1.8.e164.arpa」となる。このDNSレコードに対応するアドレスなどを保管しておくのである。
<SIP>
図7に標準の呼制御プロトコルのうちの1つであるSIP(Session Initiation Protocol)の通信モデルのプロトコルを示す。まず、発呼側から「INVITE」というリクエストメッセージを送出する(S71)。「INVITE」はセッションの起動信号であり、それには発呼側が受信可能なセッションの属性がSDP(Session DescrIPtion Protocol)で示されている。具体的には、発呼側の受信条件(コーデック、ポート番号等)と送信条件を提示するものである。着呼側は「INVITE」を受信し、呼び出し状態になったことを通知するために「180 RINGING」を発呼側へ送信する(S72)。この「180 RINGING」で着呼側の受信条件(コーデック、ポート番号等)と送信条件を提示してもよいが、通常は次の「200 OK」で提示する。次に着呼側が通話可能状態になったことを通知するために「200 OK」を発呼側へ送信する(S73)。それには着呼側が受信可能なセッションの属性がSDPで示されている。この「200 OK」で着呼側の受信条件(コーデック、ポート番号等)と送信条件を提示する。次に、発呼側が「ACK」を着呼側へ送信し(S74)、これにより通信に利用可能な属性がネゴシエーションされる。本発明では便宜上ここまでを接続フェーズと定義している。次に、メディア(音声、画像、動画等)の転送が開始される(S75)。本発明ではこのメディアの転送期間中を便宜上、データ送受信フェーズと定義している。通信を終了するときには止める側が「BYE」信号を送信する(S76)ことにより通信終了を要求し、それを受信した側は、その応答である「200 OK」信号を送信して通信を終了する(S77)。本発明ではこのフェーズを便宜上、切断フェーズと定義している。
(携帯電話機のシステムの概要)
次に、携帯電話機(移動機)のシステムの概要を説明する。移動通信システムは、複数の移動通信交換局を有する移動通信用ネットワークと携帯電話機から構成されている。また、移動通信用ネットワークは、交換網と、移動機と実際に信号を送受信する基地局とを有する。移動機と基地局とは、共通制御チャネル及び通信チャネルを利用して通信を行う。
携帯電話は基地局との間の通信方式によって世代が分けられており、現在までに市販された携帯電話は大きく分けると3世代になる。
第1世代の携帯電話(1G)は、FDMA方式を採用したいわゆる「アナログ携帯電話」で、元々1980年代に自動車電話として提供されていたものを、重いながらもそれなりに持ち歩けるようにした電話だった。第1世代携帯電話は既に日本ではサービスが終了しているが、アメリカなどの国ではまだ利用されている。
第2世代の携帯電話(2G)では通信のデジタル化やTDMA方式の採用が行われ、電波の利用効率が大幅に改善された。また、電話機の軽量化や低価格化も第2世代で急激に進み、携帯電話は1990年代後半に爆発的に普及した。第2世代にあたる通信方式には、NTTドコモとJフォンが採用しているPDCや、ヨーロッパ各国で広く使われているGSMなどがあり、現在はほぼ成熟期を迎えている。PHSも通信方式としては第2世代にあたる。
1998年には、第2世代のサービスを一歩進めた「第2.5世代(2.5G)」と呼ばれるサービスとして、CDMA方式を採用したCDMAONEサービスを開始した。また、2001年頃にはヨーロッパ各国の携帯電話キャリアが、GSM方式のネットワークで115Kbps程度の高速通信を可能にするGPRSのサービスを開始し、通話よりもデータ通信を重視したサービスの展開が始まった。
そして、第3世代の携帯電話(3G)ではCDMA方式を採用することにより、雑音や途切れの少ない会話が可能になり、データ通信でも最高で384kbps程度という、2Gでは実現不可能な高速通信が可能になった。第3世代の携帯電話サービスでは、より品質の高い無線通信ネットワークをベースとした、携帯電話を利用したブロードバンドサービスの提供が計画されている。
携帯電話を利用したサービスは多様化する傾向にある。
1Gや2Gの前半期に行われていたサービスは、電話をかける、受けるといった純粋な通話サービスだけだった。しかし、2Gの後半や2.5Gになって、まず携帯電話加入者同士でのショートメッセージサービス(SMS)が始まった。
そして、携帯電話からインターネットに接続してWebサイトを見たり、電子メールを送受信するといった、携帯電話のインターネット端末化が急激に進んだ。現在の携帯電話はこのインターネット端末化がさらに進んだ製品になっており、インターネットからの音楽・動画配信サービスに対応する、一部の3Gサービスではテレビ電話が可能になるなど、携帯電話の機能は増えつづけている。
さらに、通話とは直接関係しない、デジタルカメラ機能、アプリケーションソフトの実行機能、あるいはGPS機能といった機能が搭載された携帯電話も出回っており、携帯電話はインターネット端末という枠を超え、携帯情報端末(PDA)としての機能を備えた機器に進化しつつある。
<基地局>
携帯電話と直接交信する、携帯電話網の末端にあたる装置である。電柱やビルの屋上、電話ボックス、地下鉄ホームの天井などにも設置される。
1つの基地局で通話できる人数は限られるため、繁華街などの人の多い場所では、2個以上の基地局設備が同じ場所に置かれていることもある。
携帯電話が基地局と電波で交信できる範囲がいわゆる「通話エリア」で、この範囲内でしか通話することができない。
初期のPHSなどは、通話しながら移動すると、交信中の基地局の電波が届かなくなり、通話が途切れてしまっていた。携帯電話や最近のPHSはこの弱点を克服するため、端末の移動にしたがって最も受信感度の高い基地局に交信相手を切り替える「ハンドオーバー」機能を持っている。
<ゾーン構成法>
公衆移動通信では、一般に広いサービスエリアをカバーすると同時に、多数の加入者を収容する必要があり、限られた周波数の中でこれを実現するためには、サービスエリアを多数のゾーン(領域、セル)に分割し、分割したゾーン内にそれぞれの基地局を設置し、同じ周波数を地理的に離れたゾーンで再利用することにより、周波数の有効利用を図る方法が一般に採用される。このように、サービスエリアを複数のゾーンに分割してカバーする方法を、1つの基地局で広いサービスエリアをカバーする大ゾーン方式に対して、小ゾーン方式、又はセル方式と呼ぶ。セル方式には、1つの基地局において無指向性のアンテナを用いて1つのゾーンを構成する方法の他に、1つの基地局において指向性アンテナを用いて複数の扇形ゾーン(セクタ)を構成する方法も採用されている。これは干渉方向が実質上指向性方向に限定できるなどの利点がある。
<マルチチャネルアクセス方式>
移動機と基地局とが、呼損を少なくし、無線周波数をより有効に使用するためには、移動機により使用できる周波数を限定せずに、なるべく多くのチャネルを使用可能とするために、マルチチャネルアクセス方式を用いる。各移動機に複数の無線周波数を共通に所有させ、発着時には空いたチャネルを適時割り当てて使用する方法をマルチチャネルアクセス方式と呼ぶ。現在では、PLL(Phse Locked Loop)を用いた周波数シンセサイザの発達により、数千チャネル単位の切替が可能な移動機を低コストで実現している。
マルチチャネルアクセス方式として、FDMA(Frequency Division Multiple Access)、TDMA(Time Division Multiple Access)、CDMA(Code Division Multiple Access)とを用いることができる。
<位置登録>
移動機は、ゾーンを跨いで移動を行うので、現在、どこのゾーン(エリア)に属しているのか、不明である。しかしながら、移動機の呼出が有った場合に、1つの移動機を呼び出すために、全国の基地局から呼出を行うのは非効率的であるので、移動機の位置をあるエリア単位(位置登録エリア)でネットワーク側に登録して、移動機に対する着信はどのエリア内だけを呼び出す方法が用いられる。このため、移動機が位置登録エリアを越えて移動した場合には、移動機からネットワーク側に位置登録を行う必要がある。これは以下の手順で行われる。
(1)移動機が基地局から共通制御チャネルで報知される位置登録を受信することにより、エリアを越えたことを認識する。
(2)移動機は共通制御チャネルで基地局を介して移動通信交換局に位置登録要求する。
(3)移動通信交換局はネットワーク側のホームメモリ局にある、当該移動機の位置登録を更新する。
(4)移動通信交換局は基地局を介して移動機に位置登録を受け付けた旨を通知する。
<着信接続>
移動機は通常、共通制御チャネルを受信しており、自移動機に対する呼出信号を待ち受けている。一般電話から移動機への着信時の接続制御は次のように行われる。
(1)発信した一般電話から一般電話網を介して移動通信網内の最寄りの移動通信交換局Aまで回線が接続される。
(2)移動通信交換局Aは、ホームメモリ局に問い合わせ、当該移動機の位置登録エリアを知る。
(3)移動通信交換局Aは、当該移動機にエリアの移動通信交換局Bまで回線を接続し、当該エリア内のすべての基地局から、移動機を呼び出す。
(4)移動機は、呼出に対して、基地局を介して移動通信交換局Aに応答を返し、移動通信ネットワーク側で当該移動機が存在する基地局を特定する。
(5)移動通信ネットワーク側では、未使用の通信チャネルから当該呼のための通信チャネルを選択し、基地局側からの送信を開始すると共に、移動機に、共通制御チャネルを用いて通知する。
(6)移動機が、通知された通信チャネルに切り換えて、通信を確立することにより、無線回線接続制御は完了する。
<発信接続>
移動機から一般電話への発信は以下の手順で行われる。
(1)移動機は基地局を介して移動通信交換局に発信要求する。
(2)移動通信ネットワーク側では、未使用の通信チャネルから当該呼のための通信チャネルを選択し、基地局側からの送信を開始するとともに、移動機に通知する。
(3)移動機は、通知されたチャネルに切り換えて通信チャネルを確立する。
(4)移動通信交換局は相手の一般電話の最寄りの固定電話網との接続点まで移動通信網内の回線を伸ばし、固定網に乗り入れ、固定網で相手の一般電話まで接続する。
<ハンドオフ>
移動機が通信中にゾーンを越えて移動した場合には、通信を接続するために通信を行う基地局を移行先ゾーンの基地局に切り換える必要がある。この切替制御を通信中チャネル切替、又はハンドオフと呼ぶ。
移動機のゾーン移行の検出方法にはいくつかの方法があり、TDMAを採用したデジタル方式では、移動機側でTDMAの空きスロットを利用して、周辺ゾーンからの信号の受信レベルを測定比較する方法が採用されている。
移動機でゾーン移行を検出後、以下の手順でハンドオフを行う。
(1)移動機から切替先ゾーンの候補をネットワーク側に報告する。
(2)移動通信ネットワーク側では、切替先ゾーンの通話チャネルに空きがあることを確認し、その中から割り当てるチャネルを選択する。
(3)切替先のゾーンの基地局では、当該チャネルの送信を開始するとともに、通信中の基地局を介して、移動機に当該チャネルに切り替えるように通知する。
(4)移動機は当該チャネルに切り替えて、切替先ゾーンの基地局との間で通信チャネルを確立する。
<認証機能>
端末の正当性を検証するために、秘匿性を高めた暗号技術を用いている。ネットワークと端末には非公開の暗号化鍵を登録しており、ネットワークは乱数を端末に対して送信している。端末は乱数と暗号化鍵を用いて演算を行い、演算結果をネットワークへ返送する。ネットワークは自身で演算を行った結果と返送された結果を照合することにより、当該端末の正当性を確認する。無線区間上は乱数と演算結果のみが送受され安全性を確保している。認証は端末からの発信時、着信時、位置登録要求時、ハンドオーバ要求時に行われる。
<無線LAN>
無線通信でデータの送受信をするLANのことである。特に、IEEE 802.11諸規格に準拠した機器で構成されるネットワークのことを指す場合が多い。
レイアウト変更が多いオフィスではLANケーブルの引き直しの度に多くの時間と費用が費やされるが、無線LANではこのような問題は生じない。
100Mbpsの100BASE−TX規格が浸透している有線LANに比べて伝送速度が11Mbps程度(IEEE 802.11Bの場合)とさほど速くない。
<インターネット>
通信プロトコルTCP/IPを用いて全世界のネットワークを相互に接続した巨大なコンピュータネットワーク。
その起源は米国防総省の高等研究計画局(ARPA)が始めた分散型コンピュータネットワークの研究プロジェクトであるARPAnetであるといわれている。1986年に、ARPAnetで培った技術を元に学術機関を結ぶネットワークNSFnetが構築された。これが1990年代中頃から次第に商用利用されるようになり、現在のインターネットになった。
学術ネットワークの頃は主に電子メールやNetNewsが利用されていたが、ハイパーリンク機能を備えたマルチメディアドキュメントシステムWWWが登場すると、ビジネスでの利用や家庭からの利用が爆発的に増大し、世界規模の情報通信インフラとしての地位を得るに至った。
インターネットは全体を統括するコンピュータの存在しない分散型のネットワークであり、全世界に無数に散らばったサーバコンピュータが相互に接続され、少しずつサービスを提供することで成り立っている。
インターネット上で提供されるサービスやアプリケーション(WWWやFTP、電子メールなどの基本的なものからクレジット決済などの高度なものまで)は、そのほとんどがTCP/IPという機種に依存しない標準化されたプロトコルを利用しており、インターネット上では機種の違いを超えて様々なコンピュータが通信を行なうことができる。
インターネットに参加するためには、インターネットに既に参加しているネットワークに専用回線で接続する必要がある。一般家庭などから接続する場合は、公衆回線(電話回線やISDN回線・ADSL回線など)からの通信を受け付けてインターネットに接続してくれるインターネットサービスプロバイダと呼ばれる業者と契約する必要がある。
<WWW>
インターネットやイントラネットで標準的に用いられるドキュメントシステム。HTMLという言語で文書の論理構造や見栄えを記述し、文書の中に画像や音声など文字以外のデータや、他の文書の位置(ハイパーリンク)を埋め込むことができる。インターネット標準のドキュメントシステムとして1990年代中頃から爆発的に普及し、現在では世界規模での巨大なWWW網が築かれている。インターネットで最も多く利用されるアプリケーションである。
<ハイパーリンク>
文書内に埋め込まれた、他の文書や画像などの位置情報である。ハイパーリンクを用いて複数の文書、および関連する画像などのオブジェクトを関連付けたシステムをハイパーテキストという。WWWはハイパーテキストの代表例で、Webブラウザで文書を表示し、リンクのある場所を,マウスでクリックすると、関連づけられたリンク先にジャンプするようになっている。
<ハイパーテキスト>
コンピュータを利用した文書システムの一つ。文書の任意の場所に、他の文書の位置情報(ハイパーリンク)を埋めこみ、複数の文書を相互に連結できる仕組みのことである。
専用の閲覧ソフトウェアを使って文書を表示すると、リンクをたどって次々と文書を表示することができる。リンク機能を使って静止画や動画、音声、音楽など、様々な情報を一つの文書の中に埋めこむことができるシステムもある。
インターネットを通じて構築されている世界規模の巨大な文書システムであるWWWもハイパーテキストの一つである。
(モバイル・セントレックス)
現在、モバイル・セントレックスなるシステムが開発されている。モバイル・セントレックスとは、一般的には企業向けの電話システムで、携帯電話(モバイル・セントレックス端末、以下単に端末あるいは携帯電話と称する)を企業の内線電話として使用できるようにしたものであり、会社の外では、従来の携帯電話として使用できる。モバイル・セントレックスは現在リリースされて間もないため、いろいろな課題や不具合を抱えている。本実施例はそれらの課題や不具合を解決するものである。
従来、企業などの内線電話はPBX(構内交換機)と呼ばれる機器を建物内に設置して運用しなければならなかったが、近年では電話をIP化してPBXを排除し、IP電話サーバの運用を通信事業者が請け負う「IPセントレックス」が注目された。モバイル・セントレックスでは固定電話機と建物内の回線網も排除してしまい、個々人の持つ携帯電話を内線電話機に利用する。これにより、配置転換やレイアウト変更に伴う配線工事やPBXの設定変更等は一切不要になるほか、常に持ち歩く携帯電話では「席を外す」ことがなくなり、電話を取り次ぐ必要もなくなる。オフィスの内外を問わず常に連絡できるようになる。
モバイル・セントレックスの方式としては、携帯電話に無線LANのI/Fを搭載して社内の無線LAN設備を利用して内線通話を実現する方法(方式A)と、通常の携帯電話を使用して、企業内に携帯電話の提供会社(いわゆる通信キャリア)が無線基地局を設置して内線通話を実現する方法(方式B)の2つの方法が考えられる。また、それらの方法を小規模企業や家庭に応用した方法(方式C)も考えられる。
また、携帯電話の代わりにIP電話を使用するIPセントレックスがある。
それは、通信事業者が提供する企業向けのIP電話サービスの一種で、IP電話のサーバの保守・運用を請け負うアウトソーシングサービスである。
一般的な企業の電話システムは、内線電話網と外線がPBX(構内交換機)という機器に接続され、制御されている。内線通話や代表電話、保留、転送などの機能はPBXが提供している。
IPセントレックスでは、企業内の電話システムをIP電話に切り替えて、企業内のPBXを無くし、通信事業者が提供するサーバに接続して通話を行なう。従前のPBXにおける内線機能などはこのサーバ(IP-PBX)が提供する。サーバは通信事業者の拠点に設置されており、そこまでの通信にはインターネットなどで利用する一般的なデータ通信サービスを使う。
PBXやそれに代わるIP電話サーバを社内に設置し、保守・運用する必要ないため、コストや人員を節減できる。また、既存の(LANなどの)IPネットワークに相乗りできるため、内線電話網を敷設するコストもかからない。
拠点が全国に分散しているような場合、従来の電話システムでは拠点間の通話は外線通話だったが、IPセントレックスでは離れた拠点同士も内線網に組み込むことができる。
(モバイル・セントレックス(その1))
図8にモバイル・セントレックスの方式Aのシステム図を示す。
会社50は事業所51と本社52からなり、事業所51と本社52は専用線(WAN)53等で接続されている。インターネットへはプロバイダ54を介して接続されている。事業所51や本社52にはLAN回線が敷設されており、IP―PBX512、SIPサーバ513、プレゼンスサーバ514、その他のサーバ(メールサーバ、Webサーバ、プリンタサーバ、蓄積サーバ、ファイアオール、プロキシサーバ等)、コンピュータ(パーソナルコンピュータ、ワークステーション等)517、519、無線LAN基地局516、518、ルータ515、ハブ、その他LANI/Fを持つ装置(プリンタ、MFP、複写機、ファクシミリ装置、スキャナー)等がLANを介して相互に接続されている。PSTN56は一般加入者電話網であり、通常の電話(いわゆる固定電話等)サービスを提供するものである。携帯電話キャリア(携帯電話通信事業者)のネットワーク57は基地局(S)572、573と通信システムの設備を備え、携帯電話装置574に対して、携帯電話サービスを提供する。
ここでは、発呼装置と着呼装置を接続する装置(無線LAN基地局、IP―PBX、各サーバ装置等)を基地局側設備装置と呼ぶ。
方式Aの携帯電話520、521、574は、社内では、社内に設置された無線LAN基地局(以下、APあるいはローカル基地局と呼ぶ)516、518につながるVOIP電話(IP電話)として利用でき、社外では携帯電話会社の基地局(以下、単に基地局と呼ぶ)572、573につながる携帯電話として利用できる。
携帯電話520が、社内において内線で携帯電話521と通話する場合には(内線電話あるいは内線通話)、携帯電話520は近くのAP518に接続し、IP−PBX512を介して、相手端末に接続されているA516を通して相手端末521と通話を行う。このIP-PBX512は内線の通話を制御するための制御装置であり、一般的にはIP電話の接続制御を行なうSIPサーバの機能を内蔵している。
また、通常の内線電話機とIP電話を接続するための変換も行なっている。SIPサーバ機能はIP−PBXに内臓している必要は無く、IP−PBXとは別に設置されていてもよい。
また、SIPサーバとは、SIP端末同士の呼接続のための位置情報の中継、発呼要求、応答の中継等を行う装置である。
社内において、例えば、携帯電話520が、外線で通話する場合は(外線電話あるいは外線通話)、近くのAP518に接続し、IP―PBX512を介して一般加入者電話網(PSTN等)56に接続する(第1の外線電話あるいは第1の外線通話)。このときIP―PBX512は、IP電話を一般加入電話網56に接続するためのプロトコル変換やデータ変換を行なう。また、外線電話のもう1つの方法としては、例えば、携帯電話520が、AP518に接続してIP―PBX512を介して、社内のLANを使用し、プロバイダ54を介して通信網(インターネット、IP電話網、一般加入者電話網等)に接続して通話することができる(第2の外線電話あるいは第2の外線通話)。
また、端末が携帯電話の場合には、APと接続する代わりに通信キャリアの基地局に接続して通話することができる。例えば、携帯電話520が、AP518に接続する代わりに、直接、基地局572に接続することができる(携帯電話による電話あるいは携帯電話による通話、単に携帯電話あるいは携帯通話と呼ぶ)(第3の外線通話)。
このようにいろいろな種類の通話方法(ダイヤル方法、発信方法)があるので、使用する方法の選択のやり方や、どの方法が選択されたかを判断する判断方法として、より利便性の高い方法を考案する必要がある。
内線電話は、発呼装置(電話をかける側の携帯電話)が相手装置(電話を受ける側の携帯電話)の内線番号をダイヤル発信(発呼)することによって開始される。ここで内線番号とは、一般的には通常の一般加入者電話網で使用される電話番号(10桁)あるいは携帯電話網で使用される電話番号(11桁)と異なるもので、内線番号に使用される電話番号の桁数は少ない(例えば4桁)のが一般的である(少ない方が早く電話がかけることができたり、番号を覚えやすいと利点がある)。いくつもの拠点がある大きな企業においてはその拠点を示す番号を内線番号の前に付与して、使用する場合もある。また、外線番号と内線番号が同じ番号として使用する場合も考えられる。このとき、その番号を使用してダイヤル発信する場合、内線を使用するのかあるいは外線を使用するのかは、その電話番号以外のもので区別する必要がある(後述する)
一方、外線電話は、発呼装置が相手装置の電話番号(外線番号)をダイヤル発信することによって開始される。
また、携帯電話による電話の場合には、発呼装置が相手装置の携帯電話の電話番号をダイヤル発信することによって開始される。
発呼装置が使用しようとしているのが外線電話かあるいは内線電話かを判断するのはIP―PBXが行う(もちろん別の装置でもよい)。判断の方法としては、外線電話の場合には、相手装置の電話番号の先頭に所定の桁数の番号あるいは記号を付加したダイヤル情報をダイヤル発信する方法(いわゆる0発信はこの方法に含まれる)がある。IP―PBXは受信したダイヤル情報を解析して、所定の番号あるいは記号、またはその番号あるいは記号に応じた情報を検出した場合に外線電話と判断する。付加する番号あるいは記号は電話番号の先頭に限らず、その中や後ろに付加してもよい。また内線電話の場合にも所定の桁数の番号あるいは記号(外線電話に使用する番号あるいは記号とは異なったものを使用する)を相手の電話番号に付加するようにしてもよい。このような方法は外線番号と内線番号が同じ場合にも適用することができる。
別の方法としては、ダイヤル発信された電話番号の桁数によって外線電話か内線電話かを区別する方法がある。一般の電話番号は10桁あるいは11桁なので、10桁以上ダイヤル番号を検出すると外線電話、9桁以下は内線電話と判断する。あるいは内線の電話番号として4桁を使用している場合には4桁以下の場合は内線番号、5桁以上は外線番号と判断してもよい。
また別の方法として、ダイヤル発信するときに、外線を使用するか内線を使用するかを指示する操作を行うことが考えられる。
また別の方法としては、電話番号の先頭番号が0かどうかで判断するものであり(前述した所定の番号を付加する方法とは別の方法である)、0であれば外線番号であると判断して、その電話番号をそのまま外線番号としてダイヤル発信し、0でなければ内線番号としてダイヤル発信するものである。この場合、内線番号の先頭は0を使用しないように割り付ける必要があり、また、外線番号は0を省かないで入力する必要がある。最近は携帯電話が1人1台と普及しており、地域番号(03、045等)を省かないで入力する方法が定着しているので、この方法はかなり有力である。他の方法に比べると、相手の電話番号の入力以外に入力する番号やその他の操作も必要ないので、操作回数が最も少ない方法のうちの1つである。
また、外線電話をかける場合においても、第1の外線電話を使用するのかあるいは第2の外線電話を使用するのかを判断する必要がある。この場合にも所定の桁数の所定の番号あるいは記号を相手の電話番号に付加する方法が使用できる。
使用する端末が携帯電話の場合であってその端末が社内にある場合、APと基地局の両方に接続することができる場合がある。そうすると、内線電話ではない電話(外線電話)をする態様として、APに接続する場合(第1の外線電話、第2の外線電話)と基地局に接続する携帯電話による電話の2つの方法のどちらかを選択することができる。発呼する場合に、APと基地局のどちらの局を使用して電話するかは、接続する局が異なるため、携帯電話機自信が判断して決めなければならない。
その判断の方法の実施例としては、操作者が操作するために入力する情報に基づいて決定するものである。その判断の方法としては、発呼する電話番号に所定の桁数の番号または記号を付加し(付加しない場合も含む)、その所定の桁数の番号または記号に基づいて、第1の外線電話、第2の外線電話あるいは携帯電話で発呼するのかを決定するものである。例えばAP接続の場合には所定の桁数の所定の番号または記号を付加し、基地局接続の場合に相手の携帯電話番号をそのままダイヤル発信する。あるいはダイヤル発信する前あるいは後に、ダイヤル発信する局としてAPあるいは基地局のどちらかを選択することも考えられる。
別の実施例としては、発呼する相手の電話番号に応じて決定するものである。例えば発呼する電話番号がIP電話の電話番号(050−)ならば、IP電話の外線(第2の外線手段)を使用して発呼するものである。このようにIP電話同士のように同じ通信方式で通信を行うことにより、例えば途中のプロトコル変換等の設備を使用しないので、通信代を安くできる可能性がある。
別の実施例としては、あらかじめ使用する外線方法を設定(任意に設定できる)しておく方法がある。例えば、あらかじめ第1の外線電話を使用するように設定されている場合に、発呼する相手の電話番号が入力されるとともに、発呼命令が入力された場合には、第1の外線電話手段を使用して発呼するものである。
会社内から会社内の相手側に内線を使用して電話をかける場合、すなわち内線電話番号で電話をかける場合、相手側(相手装置)が会社内にいないと、電話が繋がらないという問題がある。特に、モバイル・セントレックスシステムにおいては、そのために最初から外線電話番号(特に携帯の電話番号)で電話をかける頻度が多くなり、電話料金(通話料金)が多くかかるという問題がある。この課題を解決するための発明の一実施例として、内線(内線手段)と外線(外線手段)を自動的に切り替える手段を説明する。
まず、電話をかけるときの相手先としては社内の人(その会社に勤めている人)とそれ以外の人(社外の人)(その会社に属していない人)の2つの場合がある。社内の人に対しては外線電話(第1〜第3の外線手段)と内線電話を使用することができる(内線電話のみの場合もある)一方、社外の人は外線電話でしか通話を行うことができない。
そこで、発呼装置が発呼する相手の電話番号を解析して、その解析結果に基づいて内線を使用するか、外線を使用するかを決定する。発呼装置がダイヤルする電話番号を受信した電話番号解析装置(AP、SIPサーバ、呼制御装置、IP−PBX等)は、まずその電話番号が社内の電話番号なのか、あるいは社外の電話番号であるのかを判断する。その判断の方法としては、受信した電話番号が外線電話番号かあるいは内線電話番号のどちらかであるかを解析する。その方法としては前述した外線電話番号あるいは内線電話番号の特徴を解析することにより判断することができる。その解析結果、その電話番号が内線番号であれば社内の電話番号であると判断することができる。その電話番号が外線電話番号であれば次のステップへ進む。次に、あらかじめ電話番号対応テーブル(外線電話番号とそれに対応する内線電話番号が使用者の名称等とともに登録されている)に社内で使用する外線電話番号を登録しておき、その電話番号対応テーブルと受信した電話番号を照合することにより判断する。受信した電話番号が社外の電話番号であると判断した場合には、外線手段によってその電話番号をダイヤル発信するものである。
ここで受信した電話番号が社内の電話番号として外線電話番号あるいは内線電話番号の2つの場合があるので以下説明する。
次に受信した電話番号を内線番号と判断した場合について説明する。
発呼装置は相手装置の内線電話番号を会社内のAP装置にダイヤル発信した場合であって、相手装置の内線電話番号を受信した会社内の制御装置(AP装置、SIPサーバあるいはIP-PBX等)は、その内線電話番号の通信装置が会社内にいるかどうかを調査する(在席調査手段)。具体的には会社内の端末の位置を記憶している位置登録サーバ(携帯電話システムのホームメモリ局と同じ機能を持っている)に、該当する着呼装置がどこにいるのかを問い合わせる。調査の結果、会社内に存在すれば、該当エリアを担当しているAP装置に対して該当の相手装置の呼び出しを指示する(第2の発呼手段)。
また在席調査手段による調査の結果、相手装置が会社内にいなければ、制御装置が管理する記憶装置に記憶されている電話番号対応テーブル(社内の端末装置の外線電話番号と内線電話番号の対応表)を参照して、着呼装置の内線電話番号に対応している外線電話番号を取得し、第1の外線電話手段あるいは第2の外線電話手段を使用して外線電話番号をダイヤル発信することにより、会社外にいる相手装置を呼び出す。
この時、基地局側設備装置は、内線で繋がったか(あるいは内線で繋ぐか)、外線で繋がったか(外線で繋ぐか)の情報を発呼装置に通知し、その情報を受信した発呼装置はその情報を報知する(例えば表示部にその情報を表示する)。
また、基地局側設備装置は、内線で繋がった場合の通話時間と、外線で繋がった場合の通話時間を記憶することにより、通信履歴を管理することができる。またその情報に基づいてそれぞれの通話料金を算出することができる。このように外線通話と内線通話を別々に管理することにより、内線の場合は、無料にしたり、あるいは定額制にするというようなサービスを行うことが出来る。
一方、電話番号対応テーブルに受信した内線電話番号に対応した外線電話番号がなければ、その電話装置は内線専用の電話機であると判断することができる。従って、その場合は接続することができない旨の情報(話中、ビジー、エラー等)を発呼装置に通知する。
次に、受信した電話番号を社内の外線電話番号と判断した場合について説明する。
この場合は、まず、電話番号対応テーブルを参照して受信した外線電話番号に対応する内線電話番号があるかどうかを検査する。もし対応する内線電話番号がなければ、そのまま外線電話手段によってその電話番号をダイヤル発信する。一方、対応する内線電話番号があれば、その内線電話番号の通信装置が会社内にいるかどうかを調査する(在席調査手段)。それは会社内の端末の位置を記憶している位置登録サーバ(携帯電話システムのホームメモリ局と同じ機能を持っている)に、該当する着呼装置がどこにいるのかを問い合わせる。調査の結果、会社内に存在すれば、該当エリアを担当しているAP装置に対して該当の相手装置の呼び出しを指示する(第3の発呼手段)。
また在席調査手段による調査の結果、相手装置が会社内にいなければ、受信した外線電話番号を第1の外線電話手段あるいは第2の外線電話手段を使用して外線電話番号をダイヤル発信することにより、会社外にいる相手装置を呼び出す。
端末装置が着呼装置の場合に電話を受ける態様としては、内線電話で着呼する、プロバイダを介して着呼する、PSTNからIP―PBXを介して着呼する(いわゆるダイヤルイン、直通)、携帯電話として着呼する4つの場合がある。このように端末が携帯電話の場合には、内線番号(ex.1234)、IP電話の番号(050―)、ダイヤルイン(直通)の番号(030―)、携帯電話の番号(090−)として4つ以上の電話番号を持つことができる。
従って、発信者番号通知を行う場合に、この複数の電話番号のうちどの電話番号を通知するかという問題がある。
基地局側設備装置(通信網側)が、通知する電話番号を選択して、相手側装置(被呼側)に通知する方式について説明する。
通信網側(AP,サーバ、IP−PBX、小型基地局、小型交換機等)はあらかじめ、携帯電話機の外線電話番号(ダイヤルインの番号)、内線番号、IP電話の番号、携帯電話の番号、端末識別番号(移動機番号、ID番号等、電話番号も端末識別番号のうちの1つである)の対応テーブル(第 図の電話番号テーブル)を、扱う携帯電話機の台数分、電話番号対応テーブルとして記憶している。
発呼側の携帯電話は、発呼するときに、通信網側に、相手側(被呼側)の電話番号を通知するとともに、自装置の電話番号(前述した複数の電話番号のうち少なくとも1以上の電話番号)あるいは端末識別番号を通知する。通信網側は、発呼側の携帯電話機が発呼した相手側の電話番号を受信し、それが内線電話番号であれば、その電話番号が存在する基地局を探して(位置管理サーバ装置に問い合わせる)呼接続するとともに、電話番号対応テーブルに記憶されている発呼側の携帯電話の内線電話番号を、相手側に通知する。受信した相手側の電話番号が外線電話番号であれば、外線を使用して発呼するとともに、電話番号対応テーブルに記憶されている発呼側の携帯電話の外線電話番号(ダイヤルイン番号、IP電話番号)あるいは携帯電話番号を、相手装置に通知する。また、通信網側は、受信した被呼側の電話番号に関わらず、電話番号対応テーブルに記憶されている発呼側の外線電話番号と内線電話番号の2つ電話番号を通知してもよい。
発信者番号通知の別の実施例としては、発呼する携帯電話自身が、相手装置に通知する電話番号を決定する方式がある。今、携帯電話機が外線電話用の電話番号(携帯電話として使用する通常の電話番号)と、内線電話用の電話番号の2つの電話番号を使用できる場合を考える。内線電話番号として4桁の電話番号を使用すると仮定する。会社の中で内線電話番号を使用して電話をする場合、通常は相手の内線電話番号を発呼する。この場合、内線電話番号は4桁であるので、発呼する携帯電話機は、4桁の電話番号で発呼した場合は、内線電話による通話あるいは通信であることが判別できる。この通話あるいは通信が内線電話番号によるものと判断した場合には、相手先あるいは通信網へ通知する自端末装置の電話番号は、自端末装置の内線番号である。また、発呼する電話番号が内線電話番号ではない場合(外線電話番号の場合)、すなわち、発呼した電話番号が例えば5桁以上の場合は外線電話番号と判断して、自端末装置の外線電話番号を相手先あるいは通信網に通知する。あるいは、発呼する電話番号に限らず、自端末装置の持つすべての電話番号(外線電話番号と内線電話番号の2つ)を通知してもよい。通知された相手は、通知された電話番号の桁数から、どちらの番号が内線番号なのか外線番号なのかを知ることができる。また、会社の外(会社内の無線基地局のエリア外)から電話をかける場合には、自端末装置の外線電話番号を、相手装置あるいは通信網側に通知する。
また、複数の無線LAN基地局をまとめて、1つの基地局とみなして通信制御を行うようにしてもよい。この場合、ホストとなる1つの無線LAN基地局を設定し、他の無線LAN基地局をホスト無線LAN基地局のスレーブとして制御するものであり、ホスト無線LAN基地局が通常の携帯電話の基地局のように振る舞うものである。
また、通話のデータとデータ通信のデータをパケットデータとして処理することにより、通話中でもインターネットやサーバを利用してデータ通信を行うことも出来る。
(モバイル・セントレックス(その2))
図9に方式Bのシステム図を示す。
方式Bの携帯電話は、社内では、社内に設置された小型基地局につながる内線電話として、社外では、携帯電話会社の基地局につながる携帯電話として利用できる。
会社70は事業所71と本社72からなり、事業所71と本社72は、携帯電話キャリアのネットワーク74で接続されている。なお、事業所71内には、小型基地局712、713が設置されている。
は事業所71内において内線で通話する場合には、社内に設置されている小型基地局712、713に接続し、通信キャリアの設備711、携帯電話キャリアのネットワーク74を介して、あるいは、直接相手端末に接続されている小型基地局712、713を通して、相手端末と通話を行う。
社内において外線で通話する場合は、小型基地局712、713に接続し、IP−PBX714を介して一般加入者電話網73に接続する。あるいは、通信キャリアネットワーク74を介して、一般加入者電話網などの電話網に接続する。また、通話中でも小型交換機712、713を利用してデータ通信を行うことも出来る。
(モバイル・セントレックス(その3))
図10に方式Cのシステム図を示す。
方式Cの携帯電話システムは現時点では、まだ、サービスが提供されていない。しかしながら、無線LANを使用するIP電話と、携帯電話の2通りの使い方できるため、それに起因するいろいろな課題や不具合が発生する。本発明はそのような不具合を解決し、使い勝手のよい家庭版モバイル・セントレックスを提供する。
方式Cの携帯電話は、家庭内では、家庭内に設置された無線LAN基地局(AP)につながるVOIP電話として利用でき、外では携帯電話会社の基地局に繋がる携帯電話として利用できる。
図10のシステムのネットワークは、家庭内ネットワーク80、一般加入者電話網PSTN90、インターネット94及び携帯電話キャリアのネットワーク96から構成されている。
家庭内ネットワーク80は、携帯端末86、87、PC81、82及び電話機88が、相互に、AP82、83、各種サーバ84及びプロバイダ設備(コントローラ)85により、相互に通信が可能となっている。
更に、携帯端末86、87、PC81、82及び電話機88が、相互に、AP82、83、各種サーバ84及びプロバイダ設備85により、外のPSTN90、プロバイダ92、SIPサーバ93、インターネット94及び携帯電話キャリアのネットワーク96を利用することができる。
携帯端末86が、家庭内において内線で、相手端末87に通話する場合には、近くのAP82に接続し、プロバイダ設備(コントローラ)85を介して、相手端末87に接続されているAP83を通じて相手端末87と通話を行う。このプロバイダ設備(コントローラ)85は、内線の通話を制御するための制御装置であり、一般的にはIP電話の接続制御を行うSIPサーバの機能を持っている。
さらに、携帯端末86が、家庭内において外線で通話する場合(IP電話)は、近くのAP82に接続し、内部のプロバイダ設備(コントローラ)85、外部のプロバイダ92を介して、IP電話網(インターネット94)に接続する。あるいは、プロバイダ設備(コントローラ)85で、IP電話から通常の電話へプロトコル変換を行い、一般加入者電話網PSTN90に接続することもできる。
また、公衆無線LANが使用できる場所においては、公衆無線LANの無線LAN基地局100(図10では、一つの無線LAN基地局しか、図示していないが、実際は、駅、公共施設等の人が集合する施設に無線LAN基地局が存在している。)に接続して、IP電話として使用することができる。
次に、携帯端末を、家庭(小規模企業、SOHO等でもよい)に設置されている無線LAN基地局あるいは公衆無線LANに設置されている無線LAN基地局に接続して、IP電話として使用する具体例を説明する。ここでは、無線LANも含めて携帯電話サービスを行っている通信キャリアを使用する場合を、図10及び図11を用いて説明する。
<位置登録>
携帯電話(携帯端末)99は、無線LAN基地局100が定期的に発信する信号(ビーコン)を受信すると(S110)、無線LAN地局100を介して位置登録サーバ101に対して位置登録を要求する(S111)。位置登録サーバ101は、電波の最も強い基地局又は次に説明するように、携帯電話(携帯端末)99が選択した基地局に携帯電話(携帯端末)99に移動したとして、該当携帯電話の位置登録を更新して、その旨を携帯電話に通知する。つまり、無線LAN基地局100を通常の基地局と同様に扱うことによって、無線LANシステムを既存の携帯電話のシステムに組み込むことができる。無線LAN基地局101は通常の基地局のミニチュア版(小型版)として動作するものである。無線LAN基地局101と交換機との間で使用するプロトコルを、通常の基地局と交換機との間で使用するプロトコル(基地局/交換機プロトコル)と同じあるいは同等のプロトコルや、またはそのサブセット版のプロトコルを使用することによって、既存のシステムを変更することなくシステムを構築することができる。もちろん専用プロトコルを使用してもよい。
また、位置登録を確実にあるいは素早く行うために、携帯電話99に備えられたLANボタン(位置登録ボタン、接続ボタン等)を操作することによって、無線LAN基地局101と接続を開始するようにしてもよい。あるいは、携帯電話99の充電を開始するとき(充電機に差し込まれた場合等)に無線LAN基地局101への接続を試みるようにしてよい。
逆に、LAN回線が混雑している場合(通話用や他のデータ通信によって通信速度が落ちている場合などがあり、その状況は例えば無線LAN基地局101が他の装置からその状況を通知してもらうか、あるいは無線LAN基地局101自信が回線の状態を検出して、携帯電話へ通知する)には無線LAN基地局101への接続を行わないように制御してもよい。
図11に戻って、携帯電話(携帯端末)99からの位置登録の要求を受けると、各基地局は、携帯電話(携帯端末)99に、応答する。
この応答信号を受信して、携帯電話(携帯端末)99は、位置登録の状況あるいは無線LAN基地局101との接続状況、その他の情報を携帯電話の表示部に表示するようにしてもよい(S112)。接続状況やその他の情報とは、例えば、
1.LANに接続している旨の情報
2.LANに接続できない旨の情報(その理由も)
3.LAN無線基地局からの応答がない旨の情報(基地局の故障、エリア外、パワーオフ)
4.LAN無線基地局は使用しようとしている通信の種類(通話あるいはデータ通信等)をサポートしていない旨の情報
5.LAN無線基地局がビジー(空きチャンネルがない)等の情報
6.接続している無線LAN基地局の種類(自宅、公衆、基地局の識別情報や識別番号)
7.携帯電話と無線LAN基地局で使用してプロトコルの種類やバージョン情報
8.無線LAN基地局の電波の強弱の情報
9.通信中の通信の通信速度(回線速度)
10.無線LAN基地局を提供している通信キャリアに関する情報(名称、商標、ブランド名、仕様等)
また、使用できる基地局(無線LAN基地局や通常の基地局、また、使用できる無線LAN基地局や通常の基地局もそれぞれ複数ある場合もある)が複数ある場合も想定できるので、その基地局に関する情報を携帯電話の表示部に表示(アイコンや図形や記号、あるいはテキスト情報をリスト表示する)してもよい。使用できる基地局の判断は、その基地局の通信エリアに入っていること(例えばビーコンを受信できる等)から判断する。あるいはGPS機能を使用して取得した位置情報に基づいた場所の周辺に存在する基地局を表示する。またその基地局の情報とは、前述した接続状況やその他の情報であってもよいし、その他の情報として、
1.現在接続している基地局を示す情報。
2.接続をするにあたって、お勧めの基地局を示す情報(通話品質、電波の強弱、通信スピード等の回線品質に基づいて判断する)
3.回線使用料金に関する情報(無料か有料か、単位時間あるいは単位データ量あたりの使用料金
等がある。
また位置登録した基地局と位置登録可能な基地局(まだ位置登録されていないが、ビーコンを検出している基地局)を区別できるように表示部に表示する。
図11に戻って、表示された基地局に関する情報を見て。ユーザは、使用する基地局を変更するか否かを判断する(S113)。
使用する基地局を変更しない場合(S113でNoの場合)は、ステップS115に飛ぶ。使用する基地局を変更する場合(S113でYesの場合)は、表示された基地局の中から、変更する基地局を選択して、基地局に送信する。選択された基地局によって、位置登録サーバに対して、携帯電話(携帯端末)99の位置登録の更新がなされる。
このとき、接続したい基地局を選択して接続を実行すると、その選択した基地局と接続を開始される。
なお、機器の省エネの目的のために、無線LAN基地局が使用できない状況のときは、携帯電話機の無線LAN用回路への電源をオフするようにしてもよい。例えば、
1.ビーコンを検出できない場合
2.どの無線LAN基地局とも接続していない場合
3.接続していた無線LAN基地局の通信エリアの外に出た場
また、それとは逆に、携帯電話機の電池を充電しているときには、無線LAN用回路(その他の機能の回路であってもよい)への電源はオフにしないようにしてもよい。
また、複数のビーコンを受信することが出来れば、複数の基地局を位置登録するようにしてもよい。
<発呼動作>
上述したように、図11のステップ115で、基地局の選択が行われると、位置登録が行われる。
また、同時に、図11のステップ115で、基地局の選択が行われると、選択された基地局に対して、相手、携帯電話(携帯端末)を特定して、発呼処理が開始される(S116)。
なお、発呼処理を開始するときに、無線LANのアクセスポイントや小型基地局のエリア内にいる場合には、通話のために発呼する場合やあるいは通信のために接続する場合など、無線LANのアクセスポイントや小型基地局を優先的に接続し、無線LANのアクセスポイントや小型基地局のエリア内にいない場合には、基地局に接続するようにしてもよい。前述した選択を装置が自動で行っても良いし、また通信可能な複数のアクセスポイントや基地局を装置の表示部に表示し、操作者が接続する先を選択するようにしてもよい。
また、使用するアプリケーション(通話、メール、Web)に応じて使用する基地局を選択するようにしてもよい。また、通話は通常の携帯電話による通話と、VOIPを使用してIP電話による通話や、メールはEメールやショートメール(通話のプロトコルを使用した簡易メール)、Webは通信キャリアが独自に提供するものや、一般のインターネットに接続するもの等、いろいろある。従って、例えばEメールのアプリケーションで送信する場合は、無線LAN基地局を介して送信し、ショートメール用のアプリケーションで送信する場合は、携帯電話の基地局を介して送信するようにしてもよい。
また、無線LAN基地局を介して発呼した場合でも、LAN回線が他の通信で混んでいる場合や、所定の障害などで使用できない場合には、携帯電話の基地局に接続しなおして発呼を行うようにしてもよい。またその逆でもよい。
また所定の無線LAN基地局を介して発呼した場合でも、その基地局が他の通信のために混雑している場合には、他の無線LAN基地局を経由して発呼するようにしてもよい。
また、発呼するときに接続する基地局の選択の基準として、使用料金が安くなる通信回線を選択するようにしてもよい。この場合は、各通信回線の使用料金情報(あらかじめ携帯電話にその情報をダウンロードしておいてもよい)に基づいて決定することになる。あるいは、接続しようとしている相手装置の識別情報(識別番号、電話番号、アドレス情報等)に応じて、使用する通信回線を選択するようにしてもよい。例えば、相手の電話番号がIP電話の電話番号(050−)の場合には、無線LAN基地局を選択し、相手の電話番号が携帯電話の電話番号(090−)の場合には、携帯電話の基地局を選択する。
また、相手の電話番号が緊急用電話番号(110番、119番等)かどうかに応じて、接続する基地局を選択するようにしてもよい。
また、使用する通信回線(自装置と相手装置の2つがある)に応じて呼び出し音(コールバック音)、ビジー音、リンギング音(呼出音)、表示部に表示する情報を変えるようにしてもよい。
図11に戻って、発呼処理を開始したとき、選択した基地局との間の回線が混んでいない場合(S117でNoの場合)は、発呼を行い(S119)。選択した基地局との間の回線が混んでいる場合(S117でYesの場合)は、基地局を変更した上で発呼を行う(S118、S119)。
発呼が行われると、通信相手に番号が通知され(S119)、通信が行われる(S120)。
<通信中>
図12を用いて通話中に通信回線が混んで混信が無視出来なくなった場合等について説明する。通話中あるいはデータ通信中(メール、インターネット通信)に、通信が混雑した場合やノイズなどの影響によりスループット(データの実効速度)が落ちた場合(S121でYesの場合)に、スループットが早い他の通信回線に切り替える(S122)。例えば、LAN回線に接続していてデータの転送スピードが落ちた場合(他のPCや携帯電話による通信の影響、電波の強さ、通信エラー数、データ再送数)に、携帯電話の基地局へ切り替えるようにする。そしてLAN回線のデータ転送のスピードが回復したとき(S123でYesのとき)、接続をLAN回線に戻すようにする(S124)。また、その切り替わりの情報を通信履歴としてメモリに記憶するとともに、メモリから読み出して表示するようにしてもよい。
また、LAN回線でデータ通信を行いながら、携帯電話の基地局経由で通話を行う(もちろんLAN回線で通話を行ってもよい)マルチアクセスも可能である。
ここで、無線LAN回線と携帯電話を提供する通信キャリアが別会社の場合について説明する。
無線LAN回線と携帯電話を提供する通信キャリアが同じ場合には、無線LAN基地局を携帯電話の基地局と同じように扱うことにより、1つの電話番号で発着信できたが、別会社の場合には携帯電話は、IP電話用の電話番号と、携帯電話用の電話番号の2つの電話番号を持つことになる。従って電話を受けるときは、相手側がどちらの電話番号を発呼するかによってIP電話で着信するのか、携帯電話で着信するのかが決まる。また、発呼する場合にはどの通信回線を使用するのかを選択しなければならないが、基本的には前述したように通信キャリアが同じ場合とほぼ同等である。異なるのは発信者番号通知を行うときに、通信キャリアが異なる場合に、どちらの電話番号を相手装置に通知するかを選択する必要があるということである。それは使用する通信回線によって決めるのが通常である。例えばIP電話を使用して発呼する場合は、自分のIP電話の電話番号を相手に通知する。
(モバイル・セントレックス(その4))
次に一台の携帯電話で、企業内と家庭の両方で使用できるシステム(方式D)について説明する。図13に方式Dのシステム図の例を示す。図13のシステムは、図8のシステムに対して、家庭ネットワーク(Home)60が、追加されたシステムである。
家庭ネットワーク(Home)60は、プロバイダ59を介して、インターネット58に接続されている。
この実施例は、企業で契約しているプロバイダ54、携帯電話サービスを提供している通信キャリア(ネットワーク57のキャリア)、家庭で契約しているプロバイダ59はそれぞれ異なるものとする。この例では携帯電話の通信キャリアが携帯電話機(このとき、携帯電話用の電話番号は割り当てられていて、さらに、複数の携帯用の電話番号を持つこともできる)を販売し、その携帯電話機に備えられている無線LANインターフェイスを使用してIP電話を使用するものであり、それにはLAN回線をインターネットに接続するプロバイダと契約して、そのプロバイダにIP電話の電話番号を割り当ててもらうものである。そうすると、企業用(会社用)として使用する電話番号(050−XXX)、携帯電話の電話番号(090−)、家庭用の電話番号(050−△△△)の3つの電話番号が使用できるように、複数の電話番号が設定(割り当てられている)されている。それらの電話番号は、おのおののプロバイダあるいは携帯電話サービスの提供会社が管理するものである。その管理の方法としては、携帯電話機の固有の識別番号(移動機番号、製造番号、シリアル番号、ID番号、MACアドレス、IPアドレス等)に対してそれぞれの通信キャリアの電話番号を対応させるものである。電話番号毎に通信キャリアが別なので、同じ識別番号を使用できる。従って、通信キャリアは、通信手順において、携帯電話の識別番号を取得することができれば、識別番号と電話番号の対応テーブルによって対応する電話番号を知ることができる。あるいは、通信手順において、電話番号を直接通信キャリアに通知するようにしてもよい。電話番号を通知する方式を採用すれば、1つの通信キャリアあるいはプロバイダにおいて複数の電話番号を割り当てることが可能である。
複数の自分の電話番号(自装置の電話番号、自局の電話番号)をどのように選択して使用するのかを説明する。
まず、発呼する場合で、相手の電話番号を入力手段から入力する場合には、その入力の前あるいは入力の後に、複数の自分の(自装置の)電話番号のうちどれを使用するのかを選択する。
電話帳から相手の電話番号を選択する場合には、あらかじめ電話帳あるいは電話帳に登録されている相手の電話番号毎に設定されている自分の電話番号を使用して発呼する。
着信履歴から相手の電話番号を選択する場合には、その着信で相手がかけてきた自分の電話番号で発呼する。それには、各着信において相手がかけてきた自分の複数の電話番号のうち相手が電話をかけてきた電話番号(相手がダイヤル発信した電話番号)を、その他の着信履歴情報(相手の電話番号、着信日時、応答の有無、呼出時間、相手の名称等)とともに着信履歴手段に記憶しておくものである。
発信履歴から相手の電話番号を選択する場合は、前に発信したときに使用して、他の発履歴情報(相手の電話番号、発信日時、応答の有無、呼出時間、相手の名称等)とともに記憶していた自分の電話番号を使用する。
つぎに、着信する場合(電話を受ける場合)について説明する。通常は、発呼した相手がダイヤルした電話番号で電話を受ける(着信する)。このとき、自装置の携帯電話がその電話番号で電話を受けることができる状態であれば問題はないが、複数の自分の電話番号において、携帯電話のある場所によって使用できる電話番号と使用できない電話番号がある。そこで使用できない電話番号に電話がかかってきた場合に、使用できる電話番号に電話を転送する。それには、基地局側において、自装置の携帯電話番号の識別番号とそれに対応する複数の電話番号を電話番号管理手段(電話番号管理テーブル等)に記憶(登録)しておき、その電話番号毎にその電話番号のステータス情報(その電話番号が使えるどうかの情報、位置登録されているかどうかを示す情報、状態情報(話中、ビジー、電源オフ、プレゼンス情報等))、を登録しておき、さらに更新も行う。基地局側は、電話がかかってきた電話番号を取得した後に、電話番号管理手段にその電話番号が記憶されているかどうか検索し、記憶されていなければ、その電話番号に対応する識別番号を持つ携帯電話を呼び出す。記憶されていれば、その電話番号に対応する識別番号に対応する電話番号について、ステータス情報を調査し、その結果に基づいて、着信する電話番号を選択する。例えば、複数の電話番号のうち、そのとき使用できる電話番号のうち優先順位が高い電話番号を呼び出すものである。このように電話を自動で転送することができるので、電話がつながらない機会を減らすことができる。
また、このように複数の電話番号を使用することによって電話番号毎に課金される結果、目的別(会社用とプライベート用)に通信料金の管理をすることができる。
このように複数のプロバイダや携帯電話の通信キャリアを使用する場合には、それぞれ提供される複数の電話番号を使用する必要があるが、プロバイダあるいは通信キャリア同士でローミングを行うことにより、他のプロバイダで異なるプロバイダの電話番号を使用することができたり、あるいは1つの電話番号で複数のプロバイダあるいは通信キャリアを使用することができる。
また、これらのプロバイダあるいは通信キャリアが1つの通信事業者でそのサービスを提供する場合には、各無線LAN基地局や携帯電話の基地局を管理することができ、そうすると携帯電話機の位置登録を1つのホームメモリで管理することができるので、電話番号を1つに統一することができる。
これにより、会社で使用する電話機、外出先で使用する電話機、無線LANのホットスポットで使用する電話機、家庭内で使用する電話機等の複数台の電話機を1台の電話機に集約することができ、使い勝手の向上を期待することができる。
また、複数の携帯電話で1つの電話番号を使用する場合も考えられる。つまりその電話番号を会社の代表番号として使用する場合、あるいは1つの家庭でその家族の共通の電話番号として使用する場合等がある。この場合は基地局側において1つの電話番号に複数の携帯電話の識別番号を登録しておく。携帯電話が発呼するときは、前述した複数の電話番号を持つ場合と同じように、使用する電話番号を選択する。携帯電話に着信する場合は、基地局側は位置登録されている複数の携帯電話を同時に呼び出し、最初に応答した携帯電話と通信を行うようにしてもよい。あるいは、あらかじめ優先順位をつけておいて、位置登録されている携帯電話の中から優先順位の高い携帯電話を呼び出す。このとき、応答がなかった場合には、次の優先順位の携帯電話を呼び出すようにしてもよい。
(モバイル・セントレックス(その5))
ここで説明する方式Eは、企業内及び企業外の無線LAN回線を提供する通信キャリア、PSTNを提供する通信キャリア及び携帯電話を提供する通信キャリアが同一であるような場合である。この場合では、内線か外線かの区別は、物理的なものでなく、契約で定まる。
外線は通常の携帯電話の通話そのものであり、内線は内線として契約した電話番号同士の通話として適用されるものである。つまり、電話番号AとBについて内線契約した場合、電話番号Aと電話番号B同士の通話あるいはデータ通信は内線扱いとなり、電話番号Aあるいは電話番号Bと他の電話番号との通信は外線扱いとなる。つまり内線と外線の違いは主にはその通信料金ということになる。そうすると、内線と外線の相違点はそのハードウェアの相違ではなく、契約あるいは料金体系の相違という見方もできる。つまり高い料金体系のものが外線であり、それよりも安い料金体系のものが内線ということができる。また、そのシステムの規模を切り口にして考えると、図14に示すように最も大きなシステムが外線であり、そのシステムに含まれるシステムが内線ということもできる。そうするとその内線に含まれるシステムも内線ということができ、複数の内線が存在することも可能である。従って、1つの内線から見ると外側のシステムは外線であり、その外線の外側のシステムもその外線からみると外線になるように、外線と内線は相対的なもの(広義な意味)ということもできる。
一般的には外線とは一般電話加入者電話網(PSTN)のことであり、内線とはその会社が独自に構築したあるいは通信キャリアから借りているその会社専用の通信回線(WAN)であるが(狭義の意味)、厳密な定義付けをすると前述した定義を使用しなければならない場面もある。本明細書に記載されている発明は、前述した広義の意味から狭義の意味までのあらゆる場合に適用できるのは言うまでもないことである。
ここまでは、通信の種類として通話の場合の実施例を説明してきたが、データ通信にも適用できることは言うまでもない。例えばデータ通信の一実施例としは電子メールがあるが、その場合には、相手(被呼側)の電話番号を相手のメールアドレスに、発呼側の電話番号を発呼側のメールアドレスに置き換えることによって前述した技術が適用可能である。またデータ通信として、インターネットに接続してデータの送受信を行う場合には、相手の電話番号をURI(あるいはURL)に、自分の電話番号を自分のIPアドレスに置き換えることによって前述した技術が適用可能である。
<モバイル・セントレックスシステム等における電話の転送>
モバイル・セントレックスシステムは従来の内線交換システムを置き換えることを目的としているので、内線交換機で使用されていた機能を継承する必要がある。そのうちの重要な機能は電話の転送機能である。
転送機能とは、例えば代表電話にかかってきた電話に応答した人が、電話をかけてきた人に通話したい人(転送先)の名前を聞き、転送先の内線電話を呼出すことにより、電話の取り次ぎを行う機能である。もちろん、転送先の内線電話だけではなく、外線電話に転送してもよい。
従来の内線交換システムで使用されていた電話機はいわゆる多機能電話(ビジネスフォン)であり、その多機能を実現するために多数の操作キーを備えていた。しかしながら、モバイル・セントレックスでは携帯電話を使用するので、使用できる操作キーが限られているため、その操作性が悪くなるという問題が発生している。
本発明は操作性の良い転送機能を実現することを目的とする。
転送方法としてパーク機能を利用して転送する方法がある。パーク機能とは、例えば代表電話番号(ダイヤルイン番号、あるいは直通番号でもよい)に着信した電話を自分の電話機でピックアップ(例えば自分の電話機の受話器を持ち上げ(オフフック)所定の番号をダイヤルすると、その着信した電話を自分の電話機に転送することが出来る機能)し、電話をかけてきた人に取り次ぎ先の相手を聞き、その着信を一時的に保留する番号(例えば1〜9、保留番号)に対応する所定の操作キーを操作して保留し、取次先の相手に対して、その保留している番号を口頭で教えて受話器を置く(オンフック)。取り次ぎ先の相手は告げられた番号に対応する操作キーを押すと、電話をかけてきた相手と通話することができる。この機能は、取り次ぎ先の人の電話番号を調べたり、覚えておく必要がないという利点がある。しかしながら、携帯電話機では操作キーが限られているのでパーク機能専用のキーを備えることは困難という問題がある。
そこで、本発明の一実施例として、専用のキーの代用としてテンキーを使用する方法を、図15を用いて説明する。
代表電話番号(ダイヤルイン番号、あるいは直通番号でもよい)に着信があった(S131)。この着信した電話を自分の電話機でピックアップするために受話器を持ち上げ(オフフック)る(S132)次いで、保留したい番号に対応するテンキー(例えば1)を押す(S133)。その情報は通話を制御している通話制御装置(例えばSIPサーバ、IP−PBX等)に通知され、通話制御装置はその番号が空いているかどうか(その番号に他の着信が保留されていないかどうか)を検査し(S134)、空いているならばその旨をピックアップした携帯電話に通知する。空いている情報を受け取った携帯電話はその旨を表示装置に表示する(S136)。操作者はその表示を見て、取り次ぎ先に保留している番号を伝え電話を切る(S137)。取り次ぎ先の人は保留している番号に対応するテンキーを押して応答ボタンを押す(オフフック)と(S138)、保留されていた着信が取り次ぎ先の電話に転送されて、通話が開始される(S139)。また、保留するときに指定した番号が空いてなかった場合には、通話制御装置はその旨を通知するものである(S140)。ピックアップした携帯電話は通知された情報を表示装置に表示する。
また、パーク機能の別の実施例として、ピックアップした着信の保留について、保留するというコマンド(命令)を通話制御装置に通知し、そのコマンドを受信した通話制御装置は、保留するために空いている番号を調査して、空いている番号のうちの1つを決定して携帯電話にその番号を通知する。空いている番号を受け取った携帯電話はその番号を表示部に表示し、操作者がその番号に保留を決定する操作を行った場合に、その保留決定の旨を通話制御装置に通知する。その保留決定の情報を受け取った通話制御装置は、その番号に着信した呼を保留する。
またピックアップした時点で、通話制御装置がピックアップした携帯電話に空いている保留番号を通知するようにしてもよい。
しかしながら、パーク機能には取り次ぎ先の人がそばにいなければ電話を転送することが出来ないという欠点がある。その欠点を補う転送方法として、取り次ぎ先の電話番号を入力することにより直接転送する方法が考えられる(直接転送)。しかしこの直接転送も転送先の電話番号を覚えている必要があり、また覚えていない場合には、紙に印刷されて電話表から転送先の電話番号を探さなければならないという問題がある。
そこで、本発明の一実施例として、代表にかかってきた電話をピックアップした時に、転送先の電話番号の候補リスト(電話場号とその持ち主の名前が対応付けられている一覧表)を携帯電話の表示部に表示する例について図16を用いて説明する。
大規模な企業であれば社内の一フロアにたくさんの従業員がいる場合があり、そのときすべて従業員の電話リストを表示すると、転送先の人の電話番号を探すのが困難になる。そこで、ピックアップできる電話番号を制限することにより(実際には複数の電話番号をグルーピングする)、転送先候補リスト中の電話番号の数を制限することができる。グルーピングは携帯電話にあらかじめ備えられている電話帳61に電話番号を登録し、転送先であることを示すフラグ(転送フラグ)を付加しておく。
代表番号に着信があり(S141)、ピックアップしたときに(S142)、電話帳61を参照して、転送フラグが付加されている電話番号のリストを表示する(S143)。そして転送先の電話番号を選択して転送を実行すると(S144)、転送先の電話番号をダイヤル発信する(S145)。このあと転送先が応答したことを確認し(S146)、電話を切る(オンフック:S147)と電話をかけてきた装置と転送先の装置が接続されて転送処理が完了する。
この場合、転送先が応答したかどうかを確認(応答したかどうかは自分が転送先と通話することにより確認できる)する必要があるので(転送先が応答する前に自分が電話を切ると通話が切断されてしまうという問題がある)、転送先との通話による確認を省きたい場合には、自分の切断のタイミングが難しいという問題があった。そこで、通話制御装置が転送先の応答を検出した場合に、ピックアップした携帯電話が電話を切断するかしないかに関わらず、通話を転送先に繋ぎ変えて自動的に転送を完了する。あるいは転送先の電話番号を発呼した直後(まだ転送先が応答していなくても)に、通話制御装置がその呼を保留しておき、転送先が応答したときにその保留していた呼を転送先に接続するようにしてもよい。
以上のパーク機能や転送機能は、代表の電話番号に着信した呼に限らず、携帯電話毎に割り付けられたダイヤルイン番号(直通番号)に着信した場合にも応用できる。つまり、着信に対して応答した場合以降の動作は、前述した代表電話番号に着信した呼をピックアップした場合以降の動作を応用することができる。
また、ダイヤルインで直接かかってきた電話をピックアップした後に、その電話のユーザが戻ってきた場合であっても、そのピックアップした電話の内線番号を入力して転送する必要があり、使い勝手が悪かった。そこで本発明ではその不具合を解決した一実施例を説明する。
ピックアップした後に、元に戻すために所定のボタンを押す。このとき、ダイヤルインで電話がかかってきた場合には、IP―PBXあるいはSIPサーバはダイヤルインでかかってきた電話番号を記憶しているため、そのダイヤルインの電話番号に対応する内線番号を、記憶手段に記憶されているダイヤルイン番号(外線番号)と内線番号の対応が記載されている電話番号テーブルを検索することにより、目的の内線番号を探し出すことができる。そこで、IP―PBXあるいはSIPサーバはその検索して探し出した内線番号に電話を転送するものである。そうすると、ピックアップした操作者は、電話番号を覚えていなくても電話を元に戻すことができる。
(自動転送機能)
前述した転送機能は、人(電話を受けた人)が介在したが、それを自動で行うことも可能である。
代表電話に電話がかかってきた場合、その代表電話が使用中(通話中、データ通信中など)の場合がある。話中であるので、通常のシステムでは、電話をかけてきた相手に対して話中音を返すので(実際には相手側の交換機が話中音を送出する)、電話が集中してかかってきた時には、電話がつながらないという問題がある。本発明はその不具合を解決するものである。図17を用いて説明する。
代表電話(あらかじめ所定の番号をIP−PBXに代表電話番号として登録しておく)に電話がかかってきた場合(S151)、その代表電話が使用中で無ければ(S152でNoの場合)、通話が行われる(S154)。
しかしながら、その代表電話が使用中の場合(S152でYesの場合)、IP−PBXはその代表電話番号に対応する電話機(固定電話機、携帯電話機、IP電話機など)の状態をプレゼンスサーバ装置に問い合わせる(S153:この問い合わせを定期的に行い、あらかじめその状態の情報をIP−PBXの記憶装置にキャッシングしていてもよい。またもちろんIP―PBXがプレゼンスサーバの機能を備えていてもよい。)。ここで、その電話が通話中で使用できない場合、あらかじめIP―PBXに登録されている電話番号(通常は内線電話番号であるが、内線扱いの電話番号や外線電話番号も使用できる)を持つ電話の状態をプレゼンスサーバ装置に問い合わせる。このような問い合わせは転送先の電話番号が登録されている数だけ行うことができる。その問い合わせに対して、プレゼンスサーバから使用できる旨の通知があれば(S155でYesの場合)、IP―PBXはその電話機に対して呼出しを行う(S156)。その呼出しに対して電話機が応答すれば、その着信を転送先の電話機に接続するものである(S158)。
別の実施例としては、IP―PBXが管理している電話番号あるいは、代表番号や転送先番号としてあらかじめ登録されている電話番号のすべてに対して問い合わせを行い、その問い合わせに応答してきた電話機の中から、あらかじめ登録されている優先順に従って呼出しを行うものである。この問い合わせは、問い合わせ用のプロトコルを使用する。
転送先の電話機にもダイヤルインあるいは直通の電話番号が割り当てられている場合や携帯電話の電話番号も持っている場合には、直接電話がかかってきたのか、あるいは転送されてきたのか区別がつかないという問題ある。そこで前述した転送と、通常の直接の着信とを区別するために、着信音の種類を別々に設定できるようにする。また、区別できるように表示を変えて表示するようにしてもよい。IP−PBXは、呼出しの対象となる電話機を呼出す呼出信号に、通常の着信と転送を区別する情報をのせて送信する。呼出された電話機は、IP−PBXから受信した呼出信号の種類あるいはその信号に含まれている情報によって、通常の着信かあるいは転送かを判断する。
また、このとき、IP―PBXに備えられている留守録手段が動作するように設定されていれば、代表電話機が使用できない場合や、それに加えて応答できる電話機が他にない場合に、留守録機能を動作させることにより、電話をかけてきた人のメッセージを録音する。また、あらかじめ登録してある電話番号に発呼して、この録音したメッセージを送信するようにしてもよい。
代表電話が話中の場合の例を示したが何らかの原因で使用できない場合(例えば故障中など)や、代表電話機がモバイル・セントレックス電話機であって、それを持って外出した場合や、携帯電話として使用して(通話中、データ通信中等)いた場合にも応用できる。
(プレゼンス機能)
プレゼンス機能とは、携帯電話のユーザの状態あるいはステータス(例えば在席、電話中、外出中、食事中、会議中、帰宅中等)をプレゼンスサーバに登録しておき、他の携帯電話からそのステータス(状態)を参照できるというものである。
モバイル・セントレックスで提供されている従来のプレゼンス機能は、内線用の通信回線を利用して、携帯電話のユーザが自分でステータスをプレゼンスサーバに登録していた。従って、プレゼンス機能は、内線用の専用の通信回線を使用するサービスであり、使用する電話番号も内線番号で管理するため、公共の通信網を使用する一般ユーザ間では使用できなかった。本発明はそのような課題を解決するものである。
本発明の一実施例を、図18を用いて説明する。携帯電話のユーザに通信網を提供する通信キャリアは、その通信網(無線LAN回線、携帯電話網等)に接続されたプレゼンスサーバを設置する。携帯電話はプレゼンス機能を使用するためのプロトコルを実装している。プレゼンスサーバには、プレゼンス機能を使用する複数のユーザの外線用の電話番号(携帯の電話番号、IP電話番号等)が1つのユーザグループとして登録されている(S161)。グループの登録とグループへの電話番号の登録は登録用のプロトコルを使用して各携帯電話からおこなうことができる。携帯電話はプレゼンスサーバに対して、プレゼンスの問い合わせを行うために問い合せ信号と、自装置の電話番号を通知する(S162)。問い合せ信号と電話番号を受け取ったプレゼンスサーバは、その電話番号が登録されているかどうかを検索し、登録されていれば(S163でYesの場合)、その電話番号が属しているグループに登録されている電話番号の電話機のプレゼンス情報を、問い合せてきた電話機に対して通知するものである(S164)。プレゼンス情報を受信した電話機は受信したプレゼンス情報を表示部に表示する(S165)。このプレゼンス情報はHTML等のハイパーテキスト(ページ記述言語)(XML,HTML,SGML,XHTML,CHTML,HDML,DHTML,BML等)で構成すると汎用性が高まる。そうすると通信回線としてインターネットを使用することが出来るため距離の離れたユーザであってもプレゼンス機能を利用することが出来る。携帯電話はWebブラウザを実装すれば、プレゼンス情報をブラウザで表示することができとともに、インターネットを介して多くのWebサーバにアクセスすることができる。また共通電話帳をハイパーテキストで作成し、共通電話帳用サーバに記憶することによって、電話帳を共通で使用することができる。またこの共通電話帳を拡張して、プレゼンス情報を一緒に搭載させるようにしてもよい。また、前述したページ記述言語を閲覧するためのWebブラウザを備えたPC(パーソナルコンピュータ)やコンピュータからも閲覧することができる。この場合、認証するためには、公知の認証技術(例えばパスワード、公開鍵による認証等)を使用することができる。
プレゼンスサーバへのステータスの登録(あるいはステータスの更新、プレゼンス情報の更新)は、自動登録と手動登録の2種類がある。自動登録するステータスの種類としては、携帯電話の位置情報に基づくもの(在宅中または外出中)や、携帯電話の使用状況(通話中または待ち受け中)に基づくものがある。
まず、位置情報に基づくステータスの自動登録の具体例を説明する。
在宅中とは、無線LAN基地局の電波の届く範囲にいることを表すステータスである。具体的には、携帯電話が家庭内に設置された無線LAN基地局(携帯電話の基地局でもよい)の電波の届く範囲内にあれば、プレゼンスのステータスを「在宅」とするもので、家庭内に設置された無線LAN基地局が発信するビーコンを捕らえた携帯電話が位置登録を行った場合に在宅中になる。逆に外出することによって、無線LAN基地局の電波の届く範囲を超えて、通常の携帯電話の基地局の範囲の位置として位置登録変更を行った場合に外出中になるものである。
以下、その具体例を説明する。まず、プレゼンスサーバに、位置情報(無線LAN基地局あるいは基地局に付けられた識別情報、あるいは位置情報に関連する情報等)とその位置情報に対応する名称(例えば「自宅」「外出」「会社」「電波の届かない所」「横浜駅」「新宿」「実家」「学校」「大学」「公共施設」「神奈川県」「厚木市」等の任意な名称)を登録する。登録方法は、登録した基地局のセル内に入った状態で基地局に接続する。これにより位置登録が更新される。次にその基地局を介してプレゼンスサーバに接続して登録作業を開始する。このとき、その基地局に対応した名称を携帯電話の操作部から入力するとともに、登録操作を行うと、プレゼンスサーバは位置登録サーバに位置情報を問い合わせて位置情報を入手する。その入手した位置情報と入力された名称を対応付けて記憶装置に記憶するものである。
次に、プレゼンスのステータスの更新を説明する。携帯電話の位置情報は位置登録サーバが管理しているので、プレゼンスサーバは位置登録サーバに、携帯電話の位置情報(無線LAN基地局あるいは基地局に付けられた識別情報等)を問い合わせる。次に位置登録サーバから受信した位置情報と、プレゼンスサーバにあらかじめ登録されている複数の位置情報(それぞれに名称が設定されている)を比較し、その結果に基づいて対応するステータス(名称)に更新するものである。あるいは、一致する位置情報がプレゼンスサーバに登録されていなくても、例えば取得した位置情報が「自宅」以外であれば「外出」というステータスにしてもよい。
次に、携帯電話の使用状況に基づくステータスの自動登録の具体例を説明する。携帯電話の使用状況としては「通話中」「データ通信中」「発信中」「受信中」「発呼中」「着呼中」「電源オフ中」「充電中」等がある。「通話中」「データ通信中」「発信中」「受信中」「発呼中」「着呼中」等のステータスを確認したい場合は、プレゼンスサーバは呼制御あるいは通信制御を行っている通信制御装置(SIPサーバ、呼制御装置、基地局側装置等)に、携帯電話の通信状況を問い合わせることによって行うことができる。「電源オフ中」「充電中」等のステータスは、プレゼンスサーバが直接携帯電話に問い合わせることによって行うことができる。
ここまでは、プレゼンスサーバがプレゼンス情報を更新する仕組みについて説明したが、逆に位置登録サーバ、通信制御装置あるいは携帯電話がプレゼンスサーバに対してプレゼンス情報の更新の要求を送ってもよい。またこの更新は定期的に更新してもよいし、所定のイベントが起こってからそれを決起にして更新作業を開始してもよい。
次にステータスの手動登録および更新について説明する。
これについては任意のステータスが定義可能である。例えば「食事中」「就寝中」等のステータスをあらかじめプレゼンスサーバに登録しておく。次に携帯電話とプレゼンスサーバを通信接続し、携帯電話を操作することによりプレゼンスサーバへステータスの登録あるいは変更依頼を通知するものである。プレゼンスサーバのその依頼を受け付けて、プレゼンス情報の反映するものである。
携帯電話機の種類によって備えられている機能が異なるので、自動登録できるステータスも異なる。従って、備えられている機能に応じてステータス情報を登録する。一実施例をあげると、固定電話(無線電話ではない電話機)の場合は、「充電中」「データ通信中」「外出」などのステータスは登録できないことになる。
<プレゼンス機能の応用>
前述したプレゼンス機能を使用して、局側の装置(通信回線側の装置)や自装置の動作を決定することができる。つまり、ある所定のイベントが起こった場合(例えば着信や発信などの通信制御に関係する状態の変化等)プレゼンス機能におけるステータスの状態に応じて、通信回線側の装置や自装置の動作を決定するものである。
例えば、ステータスが「電話中」になっている場合において、着信があった場合、通信回線側の装置は、そのステータスを確認し、「電話中」のステータスであれば、端末装置に接続しないようにする。あるいはそのとき、回線側の装置の留守番電話機能を起動し、発呼側のメッセージを録音あるいは記憶するものである。あるいは、通信回線の装置は「電話中」のステータスを確認しても(しなくても良い)、端末装置に接続し着呼を知らせる。端末装置側では、端末装置の設定においてはステータスが「電話中」のときの動作は「留守録」なので、その着呼に応答して留守番電話機能を起動して、発呼側のメッセージを録音あるいは記憶するものである。
また、ステータスが「電話中」で着信がある場合の例で説明すると、プレゼンス機能を使用しているグループ内のメンバーからの着信の場合には、端末装置の設定は「留守録」とし、グループ以外からの着信の場合には「着信音を鳴らせて着信する」のように異なった設定するようにして、装置の動作を決定するようにしてもよい。
図19に各ステータスに対応する通信回線側装置の動作、端末装置の動作の設定の例を示す。
つまり、ステータスが「電話中」のとき、回線制御装置は、接続しない、留守録する、接続する、ビジーのメッセージを返す、のいずれかを行うようにしてもよい、また、このとき、端末装置は、応答しない、留守録する、着信音を鳴らさない、のいずれかを行うようにしてもよい。
また、ステータスが「外出中」のとき、回線制御装置は、転送する、留守録する、接続しない、外出中である旨のメッセージを返す、のいずれかを行うようにしてもよい、また、このとき、端末装置は、転送する、留守録する、のいずれかを行うようにしてもよい。
また、ステータスが「在席中」のとき、回線制御装置は、回線の接続を行い。このとき、端末装置は、応答する、着信音を鳴らす、留守録する、のいずれかを行うようにしてもよい。
(節電機能)
本発明は装置の節電の目的のために衝撃センサ、加速度センサ、特に3軸加速度センサを使用する。
3軸加速度センサは、3次元空間における加速度、傾き、振動をX、Y、Z軸の3軸成分に分けて検出するセンサです。この3軸加速度センサは、高感度のため重力(加速度9.8m/s2)を静止状態で測定できます。そのため、傾きの検出から瞬間(f≦200Hz)加速度の検出が可能です。この加速度センサは、3軸(X、Y、Z)方向の加速度・傾き・衝撃等を検出し、加速度の他に傾斜角度・振動の測定を可能にするものです。
携帯電話では、GPS(グローバルポジショニングシステム)を使った位置情報サービスなど、動きを検出してユーザをサポートする高機能アプリケーションの搭載が進んでいます。しかし、位置情報に方位情報を付加するために現在使用されている地磁気センサでは、携帯電話機を持つ角度によって誤差が生じるため、精度が不十分でした。また、ポータブル音楽プレーヤなどハードディスクドライブ(以下HDD)内蔵の携帯機器では、落下によるハードディスク損傷が問題となっています。そのため、傾きを感知して方位情報の誤差を修正することができ、かつ、機器がどのような姿勢で落下しても落下を加速度により感知して、HDDが衝撃を受ける前に磁気ヘッドをディスク外の安全な領域へと退避させ、HDDの損傷を回避することができる、3軸加速度センサが求められていました。加速度センサはピエゾ抵抗効果を利用して3軸方向の加速度、傾き、衝撃等を検出し、この信号をデジタル出力するものです。
本実施例では、図20に示すように、この加速度センサの出力結果を解析して(S166)、ユーザが携帯電話機に触れたのか、手に持っているのか、あるいは操作中なのか等の装置の状態を判断する。その解析結果、その出力において、加速度が発生していない、傾きの変化がない、衝撃が発生していない等(またはそれらの組み合わせ)であれば装置は静止している(ユーザが持ち歩いていない、操作していない、手に持っていないなど)と判断して(S167でYes)、省エネ動作を開始するかあるいは省エネ動作を継続する(S168)。もし、加速度が発生している、傾きが変化している、衝撃が発生している等の出力(またはそれらの組み合わせ)があれば、装置は動いていると判断して(S167でNo)、そのとき省エネ動作を行っていたならば省エネ動作を解除して待機動作に戻るように制御する(S169)。
省エネ動作としては、CPUの動作停止、HDDの回転停止、表示部の表示オフ、表示部のバックライトオフ、操作キーのバックライトオフ、位置登録試行の回数低減、基地局(無線LAN基地局、携帯電話基地局)へ送信する電波の強さの低減、所定の回路(特に待機時に電流を多く消費する回路)への電源供給の低減等がある。
加速センサの出力結果に加えて、その出力の時間経過に伴う変化(加速度センサ出力の出力パターン)や、その時の日時、時刻情報、そのときの装置の動作状態(所定の機能を実行中、待機状態、省エネ状態)、あるいは装置の動作状態を記憶しているメモリにより、装置がどのような状態にいるのか予想を行うことによって装置の制御や省エネ制御を行う。
ここで、省エネの例として携帯電話の位置登録処理について説明する。
携帯電話がセルの中にいて、基地局を介して位置登録が無事に行えたときには、ある程度の時間をおいてから次の位置登録を試行します。また、圏外になると、通信可能な基地局を探すために、すぐに位置登録の試行を行うようになっています。このように位置登録の試行が多いと、位置登録を行うためのビーコンを受信しようとする処理の回数が増え、当然消費電力も多くなります。従って、位置登録の試行が少なければ少ないほど、消費電力を少なくすることができ、電池の持ちをよくすることができる。
そこで、本発明は、所定の条件に応じて位置登録試行の回数を変更する。すなわち、位置登録試行の回数を多くする必要がない場合(例えば携帯電話を使っていない場合等)には位置登録試行の回数を減らすものである。所定の条件のパラメータとして、加速度センサの出力、時間情報(時刻情報、曜日、日時情報)、通信可能な基地局に関する情報等を使用する。具体的に例をあげると、
1.携帯電話が操作されない時間の長さに応じて登録回数を減らす。操作されていないかどうかは、加速度センサあるいは衝撃センサの出力を解析して判断する。あるいは、操作キーの入力で判断してもよい。
2.所定の時間帯(たとえば夜中から朝にかけて)の場合に、登録回数を減らす。
3.所定の曜日(たとえば日曜日、祝日等)の場合に、登録回数を減らす。
4.ホームメモリ局のエリア内であれば、登録回数を減らす(あるいは増やす。)
また、位置登録試行の回数を変更する代わりに、基地局へ送信する電波の強さを変更するようにして、省エネを行ってもよい。
また、セキュリティ向上のために、前述した省エネモードへの移行の代わりに、または移行とともに携帯電話の操作のロックがかかるようにしてもよい。ロックする対象は、携帯電話の操作の他に、例えば発信禁止、電話帳操作禁止、電子マネーに関する操作禁止など、機能別にロックをかけるようにしてもよい。
(不在着信お知らせ機能)
不在着信(着信があったが応答操作されなかった場合)があった場合(通常は電話による着信であるが、メール受信、プッシュ信号の受信であってもよい)、着信ランプを定期的に点灯することによって、ユーザに対して着信があったことを知らせている。しかしながら、着信ランプを定期的に点灯させるとその分電池の消耗が大きくなるため、省エネに反していた。本発明のそのような課題を解決するものである。
そこで、図21に示すようにして、この問題を解決する。着信があったとき(S171)、加速度センサ又は衝撃センサの出力を解析して、不在か否かを判断する。不在で無ければ(S172でNo)、着信通知を行う。しかしながら、不在の場合(S172でYesの場合)は、着信通信を行うことなく、着信のあった旨を記憶装置62に記憶する(S173)。その後、加速度センサ又は衝撃センサによって、装置の動きを検出することによってユーザが装置に触れたかどうかを検出する。装置の動きが検出されたとき(S174でYesのとき)、記憶装置62を参照して、不在着信があればユーザに報知する(S175)。報知する方法としては、バイブレータによる振動、着信ランプあるいはバックライトの点灯あるいは点滅、鳴動手段による鳴動がある。また着信あるいは受信の種類に応じて、これらの報知パターン(鳴動、点灯、振動等のパターン)を変更することによって、どのような報知なのかを知ることができる。
また、報知の回数は1度報知するとその後は報知しないようにしてもよい。また、前述した装置の動きを検出する毎に報知を行ってもよい。この場合は、他の所定の操作によって報知を終了するようにする。
表示部に表示されている不在着信を示す情報にアクセスしたり、又は、単に操作ボタンの操作によって、報知が確実に確認されたと推定できる場合にはそれ以降の報知を中止するようにしてもよい。
装置の動きの種類としては、一方向あるいは多方向に発生する加速度、装置の傾き、装置の回転運動、装置の振動等がある。
動きパターン(動作の種類)
1.静止状態から上に加速度が働く:ポケットから出す
2.規則的な上下運動:歩行、走行
3.下に加速度:落下
4.規則的あるいは連続的な衝撃:操作キーの操作
5.独自な衝撃:2つ折りオープン、閉じる
6.回転(90度、180度、270度、360度(1回転)、複数回転)
このように装置を操作したときだけ報知し、定期的に報知しないので、節電になる。
また不在着信に限らず、ユーザに対して報知するその他の機能に対しても適用することができる。
また、車を運転しているときに電話がかかってきても電話に出ることが出来ない場合がある。そのとき、装置に対する衝撃の回数、衝撃の強さ、衝撃の長さに応じて、装置の制御を変更するようにしてもよい。
例えば、電話がかかってきたときに、
衝撃が1回:着呼(着信)に応じて鳴動させていた鳴動音を停止する。
連続2回:鳴動音を停止して、着呼に応答する。
連続3回:鳴動音を停止、着呼に応答、メッセージ(例えば電話に出ることができない、しばらくお待ちください等)を送出する。衝撃を与える回数に代えて、衝撃の強さに応じて、あるいは衝撃の長さに応じて前述した動作を行うようにしてもよい。
また、衝撃の代わりに、回転(90度、180度、1回転、複数回転等)を検出して前述した動作を行うようにしてもよい。
また、前述した装置の動きに応じたセンサの出力を記憶しておき、あらかじめその出力情報と装置の制御動作を対応づけて登録しておいて、その装置の動きに対応した制御動作を設定するようにしてもよい(学習機能)。
(インテリジェント短縮ダイヤル方式)
短縮ダイヤルとは、所定の短縮番号(例えば01)を入力して発信ボタン(オフフックボタン)が押されると、あらかじめその短縮番号に対応付けされていた相手の電話番号を発呼(電話番号をダイヤル発信する)するというものである。しかしながら、数ある短縮番号のどの短縮番号に発呼したい相手の電話番号が登録されているのかは、例えば相手の名称、電話番号、短縮番号等が登録されている電話帳を片っ端から調べたり、あるいはその電話帳の検索機能を使用して短縮番号を検索する方法があるが、いずれも操作に手間がかかり面倒であった。
短縮ダイヤルによる電話番号の発呼の手順としては、まず携帯電話の待機状態において、テンキーを使用して短縮番号を入力し、その後に発信ボタンを押すことにより行われる。今までの携帯電話においては、そのときの表示部の表示としては、単に入力された短縮番号が表示されているに過ぎなかった。
そこで、本発明の一実施例について図22を用いて説明する。図22(A)の待機状態において、テンキーから短縮番号のうちの最初の番号(通常は一番高い位の数字)が入力されたときに、その番号に属する1以上の短縮番号とその短縮番号に対応する相手先の名称、電話番号、メールアドレス、その他電話帳の項目等の一覧表リストを表示するものである。例えば、短縮番号として00〜99まで使用できるものとして、入力された最初の番号が0であれば、図22(B)に示すように、00〜09までの短縮番号のリストを表示す。このとき、入力された番号をリストとともに表示する。なお、黒の逆三角を押下すると、画面が下方にスクロールする。
また、短縮番号をリスト表示するかしないかを、短縮番号毎に、設定できるようにしてもよい。
図22(B)において、さらに、1を入力すると、短絡番号「01」が選択され、図22(C)の画面となり、この画面で発信釦(又は、実行キー、オフフックでもよい。)を押下すると、図22(D)の画面となり、その短縮番号に登録されている電話番号をダイヤル発信する。
なお、3桁以上の番号を入力すると、短縮ダイヤルでない、通常のダイヤル操作となる。例えば、図22(C)の画面において、更に「1」を入力すると、図22(E)の画面となり、通常のダイヤル操作が行える。
なお、図22(B)において、「1」を入力する代わりに、リスト表示されている複数の短縮番号とそれに関係する情報(電話番号、名称、メールアドレス等)のうち所望の短縮番号を、カーソルキー等を操作して選択するようにしてもよい。
また、図22(C)において、発信釦でなく、メール釦を押下すると、メールを送信することができる。
表示画面が小さくて一度にすべてのリストを表示できない場合には、スクロール表示で対応する。また、10以降の短縮番号のリストについては、スクロール表示で表示できるようにしてもよい。次に、2番目の番号が入力されると、その確定した短縮番号のみのリストを表示するようにしてもよいし、あるいは複数の短縮番号のリストを表示するとともに、確定した短縮番号部分の表示領域を選択表示(表示を反転させる等)してもよい。このとき、実行キーが押されると、その選択された短縮番号に対応する電話番号をダイヤル発信する。実行キーが押されずに3番目の番号が入力された場合には、入力されている番号は通常の電話番号と判断し、短縮番号のリスト表示を消して、入力された番号のみを表示させるようにしてもよい。
また、短縮番号にメールアドレスを対応させて、短縮番号の入力の後に、実行キー(メール用のキー)が押された場合には、あて先にそのメールアドレスが入っている新規メール作成画面を表示させるようにしてもよい。
(番号ポータビリティ)
契約している携帯電話の事業者を変えても、識別番号(電話番号、メールアドレス、URI等)が変わらずに済むようにする制度を番号ポータビリティあるいはナンバー・ポータビリティ、MNP(mobile number portability)という。
それを実現する方法として、ある識別番号が別の事業者の契約に変更されていた場合に、変更先の事業者に通信を受け渡す仕組みが必要である。そこで、各事業者は新たに、識別番号とその識別番号が移転した先の事業者をリストにした移転情報データベースを用意する。契約が変更された識別番号に対する通信があると、移転情報データベースに基づいて変更後の事業者に接続するものである。その接続の方法としては図23のリダイレクション方式と図24転送方式があり次に説明する。
・リダイレクション方式
(1)発呼端末が、移転元事業者Aから移転先事業者Bに移転した電話番号(090-abcd-efgh)に発信する。
(2)発信網(事業者Cのネットワーク)の機器BS1は、発信網の交換機EX1に着呼端末の電話番号を通知する。
(3)発信網の交換機EX1は、移転元ネットワークの交換機EX2へ接続して着呼端末の電話番号を通知する。
(4)移転元ネットワークの交換機EX2は、通知を受けた着呼端末の電話番号が移転情報データベースに記憶されているかどうかを照会する。
(5)移転元ネットワークの交換機EX2は、照会の結果の移転情報を発信網の交換機EX1へ通知する。
(6〜8)発信網の交換機EX1は、移転情報に基づいて、移転先網の交換機EX3及び基地局BS2を介して、着呼端末に接続する。
・転送方式
(1)発呼端末が、移転元事業者Aから移転先事業者Bに移転した電話番号(090-abcd-efgh)に発信する。
(2)発信網(事業者Cのネットワーク)の機器BS1は、発信網の交換機EX1に着呼端末の電話番号を通知する。
(3)発信網の交換機EX1は、移転元ネットワークの交換機EX2へ接続して着呼端末の電話番号を通知する。
(4)移転元ネットワークの交換機EX2は、通知を受けた着呼端末の電話番号が移転情報データベースに記憶されているかどうかを照会する。
(5)移転元ネットワークの交換機EX2は、照会の結果の移転情報に基づいて、呼を移転先ネットワークに転送するとともに、照会の結果の移転情報を発信網の交換機EX1へ通知する。
(6、7)移転先ネットワークの交換機EX3は、基地局BS2を介して、着呼端末に接続する。
本実施例について、図25を用いて説明する。
図23との構成上の相違は、リダイレクション方式において、発信網の交換機EX1が、移転情報を格納する移転情報データベース2を備えていることである。なお、図24の転送方式において、発信網の交換機EX1が、移転情報を格納する移転情報データベース2を備えるようにしても、同様に実施できる。
この移転情報データベース2には、上記(5)で通知された移転情報(発信網が発信した電話番号(移転元の電話番号)と移転先の事業者又はネットワーク、履歴情報(参照)回数等)を記憶しておき、次に、同じ電話番号に発呼する通信があると上記(2)から(5)を省略して、直接、移転先の事業者に接続するものである。
また、移転情報データベース2に記憶されている情報をキャッシングメモリ(アクセススピードが他の記憶手段よりも速い記憶手段、あるいは他の情報と区別され、特にアクセスが早くなるように工夫された記憶方法)に記憶するようにしてもよい。
また、ダイヤルする電話番号が発信網の事業者(例ではC事業者)で最初に契約した番号であっても、前述した例と同様に移転情報データベース2によって確認するようにしてもよい。
また、移転元の事業者においても、移転した電話番号をキャッシングメモリに記憶することにより、接続や問い合わせの多い電話番号をすばやくリダイレクションあるいは転送することができる。
このように、移転情報データベース2を利用することにより、リダイレクションあるいは転送にかかる時間を短縮することができ、より早く相手先に接続することができる。
また、移転情報データベースを各事業者(A、B、Cの事業者)が、リダイレクション方式あるいは転送方式において、各事業者が共通の移転情報データベース(各事業者のすべての移転情報が含まれている)71を、図26に示すように、共通で使用するようにしてもよい。あるいは、移転情報データベースを各事業者が別々にもつが、図27に示すように、常に同じデータになるように、例えば、事業者Aの移転情報データベース72をコピーして、B、Cの事業者の移転情報データベース74、74とするようにしてもよい。そうすると、リダイレクションあるいは転送にかかる時間を短縮することができ、より早く相手先に接続することができる。
図28に、移転情報データベースに格納されている情報の例を示す。図28のデータベースは、契約時、第1の変更、第2の変更、第3の変更・・・の情報が、番号毎に格納されたものである。図28によれば、「090−abc−efg」の番号は、当初、事業者Aがサービスする番号であったが、その後、当該番号が事業者Bがサービスする番号に変更されたことがわかる。
また、移転先(例ではB事業者)において、着呼端末の電話番号がリダイレクトあるいは転送されてきた場合、移転先自身に移転された電話番号であるかどうかを検査(B事業者が自身の電話番号として管理している電話番号DBを検索する)して、自身に移転されていた場合には、着呼端末に接続し、移転されていなければその旨の情報をリダイレクト(移転情報を伝えた事業者(この場合はA事業者)あるいは転送してきた事業者に通知するものである。
(放送番組とWebページの表示)
アナログ放送の他に、地上デジタル放送で行なわれる携帯電話などの移動体向けの放送(ワンセグ)がある。
日本の地上デジタル放送方式では、1つのチャンネルが13の「セグメント」に分割されており、これをいくつか束ねて映像やデータ、音声などを送信している。ハイビジョン放送(HDTV)は12セグメント必要だが、通常画質の放送(SDTV)は4セグメントで済むため、3つの異なる番組を1つのチャンネルで同時に放送することもできる。
このセグメントのうち、1つは移動体向け放送に予約されており、これを使って放送を行なうのがワンセグである。帯域が通常放送の1/4と狭いため、QVGA(320×240ピクセル)サイズの低解像度の映像しか伝送できないが、携帯端末の特性を活かし、通信機能や位置情報を活用した新たな試みができる。
映像の符号化にはH.264(MPEG−4 AVC)が、音声の符号化にはAAC LCが使われる。静止画はJPEG、GIF、アニメーションGIFに対応。著作権保護技術として当初はスクランブル化が検討されたが見送られ、CCI(Copy Control Information)によるコピー制御が使われることになった。データ放送部分はBMLによる情報の記述が可能で、ワンセグ独自の拡張として、携帯端末の持つ電子メールやスケジュール帳、GPSによる位置情報などとの連携が可能になる。
放送番組とWebページ(放送番組を提供している業者以外の業者が提供しているコンテンツ)を同時に表示できないルールがある。そうすると、必要なときに、その都度、そのアプリケーションを起動するようにすると、起動に時間がかかり実用的ではない。
そこで、本実施例では、図29に示すように、放送番組を受信して表示する放送番組用のアプリケーションと、Webページを表示するアプリケーション(いわゆるWebブラウザ)の両方を起動しておき(S201、S202)、選択して(S203)、一方のアプリケーションの表示のみを表示し、他方のアプリケーションの表示はオフにしておく(S204)。あるいは、マルチウィンド表示して、一方を表示しているときはもう一方はその後ろに隠しておき、その表示に対応する小さなアイコンを画面の隅にあるはアイコン表示用のアイコンバーに表示させておくものである。そのウィンドの切り替えは、後ろのウィンドを直接選択するか、あるいはアイコンをクリックする。
また、前記アイコンにテンキーの数字キーを対応させておいて、その数字キーが操作されるとその数字キーに対応しているアイコンのアプリケーション画面が表示されるようにしてもよい。
あるいは、2画面以上を備えている携帯端末装置においては、一方の画面に受信した放送番組を表示し、他方の画面にWeb情報を表示するようにしてもよい。このとき、所定の操作をすると、表示画面を互いに交換できるようにすると便利である。
携帯端末でTV放送やインターネット経由あるいは通信キャリアのサービスによるストリームデータ配信によって放送番組や動画を手軽に視聴できるようになってきている。つぎに広告(CM)のビジネスモデルを、図30を用いて説明する。
まずユーザの所有する携帯端末に広告を提供する広告提供業者(携帯電話の通信キャリア、コンテンツ業者等)が広告を送り込むビジネスモデル(いわゆるプッシュ型)について説明する。携帯端末を所有しているユーザと契約した広告提供業者は、契約条件に基づいてあるいは定期的に広告データ(動画、静止画、データが記憶されている場所を表すURI等)を携帯端末にプッシュ用プロトコルを使用して送信する(S211)。その広告データを受信したユーザはその広告データを携帯端末にあらかじめ備えられている再生用アプリケーションを起動して視聴するものである(S212)。あるいは広告データとともに再生用アプリケーションを受信するようにしてもよい。このとき、契約内容によるが、広告データを受信するための回線使用料金は無料(低額でもよい)にして、多くのユーザが契約を締結し易くする。具体的には、パケットデータのヘッダに広告データである旨の情報や低額あるいは無料の旨の情報を付加し、そのヘッダの情報に基づいて通信料金を決定するものである。
広告提供業者は広告主から広告料の支払いを受ける。この広告料金は、ユーザに広告データを送信した回数やユーザが広告データを視聴した回数に基づいて算出される。ユーザが広告データを視聴した回数は、広告データあるいは再生用アプリケーションの所定の領域(履歴情報を記憶する領域)に記憶される。この領域には広告データを視聴した回数以外に、視聴した日時、視聴した部分の情報、ユーザが入力したデータ等のユーザ情報が記憶される。広告提供業者は所定の期間が過ぎると広告データあるいは再生用アプリケーションを回収し、回収したデータからユーザが視聴した履歴情報を読み出し、その情報に基づいて広告料金を算出する。あるいは、携帯端末が広告データあるいは再生用アプリケーションの要求に応じて自ら履歴情報を広告提供業者に送信するようにしてもよい。また広告料金を、送信する回数に関わらず定額料金としてもよい。
また広告提供業者が携帯電話の通信キャリアである場合には、ユーザに広告データを送信した回数やユーザが広告データを視聴した回数に基づいて、通話料金やデータ通信の料金をディスカウントすることにより、広告提供の契約数を増やすことができる。
次に、プル型の実施例を、図31を用いて説明する。この場合はユーザが自らあるいはユーザの設定において広告データを広告提供業者のサーバからダウンロードする方法である。
携帯端末のメニューから広告データをダウンロードするためのメニューを選択する(S213)。メニューが選択されると、広告データが記憶されているアドレス(URL,URI等)のリストが表示される(S214)、次に、このアドレスのうちの1つが選択される(S215)と、そのアドレスのあて先に記憶されている広告データの一覧表が表示され(S216)、その広告データを選択(S217)してダウロード開始を指示すると、携帯端末の記憶部に広告データがダウンロードされる(S218)。このダウンロードに関わる通信料金を通常の料金よりも低額にあるいは無料にすることにより、利用者を多く獲得することが期待できる。この通信料金は広告のダウンロードにかかるものと、このサーバ装置の所定のディレクトリーの中にいて広告データを探したり、広告データに関する情報を受信するのにかかる料金もあるので、その両方についてディスカウントする。広告提供業者は、この広告のダウンロードの回数をカウントし、そのカウント結果に基づいて広告料金を算出し、広告主に請求する。あるいはプッシュ型のときに説明したように、携帯端末は広告データに関わる履歴情報を記憶しておき、その情報を広告提供業者に通知し、その情報に基づいて広告料金を算出するようにしてもよい。
(自動ブックマーク)
インターネットにおいて検索エンジンが提供されている。過去に検索したWebページを再び表示したいときには、Webブラウザが提供しているブックマークに登録するか、同じキーワードを入力して目的のWebページを探すしか方法はない。前者の方法では、ブックマークに追加しなかった場合や追加忘れの場合には利用することができない。後者の場合は探し出す手間が毎回かかるという問題がある。
そこで、図32に示す本実施例では検索履歴を利用して、前述した問題を解決するものである。すなわち、Webブラウザで検索エンジンを利用してWebページを検索するときに、検索エンジンに入力したキーワードの履歴を記憶部76に記憶する(S221)。記憶するデータは最初に入力されたキーワード(基本キーワード)と目的のWebページに到達するまでに検索エンジンにさらに入力されたキーワード(追加キーワード)や(検索のために入力されたテキストあるいは画像データ)、そのキーワードによって検索された結果、リストアップされたWebページにおいて、ユーザが選択したWebページのURL(つまりリンク情報)や、さらにそのリンク先のWebページにおいて選択されたURL(つまりリンクを辿るために選択したURLすべて)、Webページに滞在した時間、Webページに入力したデータを記憶する。そしてその履歴情報を基本キーワードと対応づけておくものである。このようにして基本キーワードとそれに対応する履歴情報を自装置の記憶手段に複数記憶しておく。
次に、検索履歴情報表示用の入力手段にキーワードが入力されたとき(S222)、検索履歴情報の基本キーワードに同じキーワードがあるかどうかを検索し(S223)、同じキーワードがあればその履歴情報のリストを表示する(S224)。そして所定のURLが選択(S225)されると、そのURLのWebページを表示するものである(S226)。履歴情報を表示するときに、履歴情報として記憶したデータに基づいて、表示するURLの順序を決定して表示する。つまり、キーワード検索の目的のWebページを推測して、そのページのURL等の情報を最初に表示するものである。順序を決定するパラメータとしては、Webページに滞在した時間(長ければ目的のWebページの可能性が高い)、所定の入力を行った事実(何かを入力したということはそのページが目的のページの可能性が高い)等の情報がある。
また、検索エンジンにキーワード入力したときに検索履歴情報を表示するようにしてもよい。この場合は検索エンジンによって検索結果が表示されるが、それとは別の表示(例えば別の表示ウィンドを表示する)で検索履歴情報を表示するようにしてもよい。
検索履歴情報を表示するときには、URLの他にそのURLに滞在した時間、使用した日時、そのWebページに関する情報(タイトル、要約、抜粋、画像等)等を表示する。
また検索履歴情報を表示するときに、すべてのURLを表示するようにすると、必要としていないURL(目的のWebページにたどり着くための単なるリンクアドレスや、検索時に使用したが必要としなくなったURL等)も表示すると表示画面が複雑になり使いにくい。そこで、必要ないURLを推測(検索したときのリンクのたどり方に基づいて推測する)してそのURLを表示しないようにする。例えば、そのURLに滞在した時間が極端に短い場合のURL、末端のリンク先のWebページにおいて滞在時間が短い場合にそこまでに辿ったリンクのすべてのURL等を表示しないようにする。
またこの検索履歴情報を編集できるようにしてもよい。
(TV放送番組や動画のダウンロード)
最近では一般家庭でも光ファイバを使用することができるようになってきた。光ファイバの通信速度の高速化によって、TV放送の番組を視聴や動画のダウンロードが可能となってきている。しかしながら、配信するユーザの数が多くなればなるほど、放送番組を配信するサーバの負荷が大きくなり、より高速なサーバ装置を用意したり、あるいはサーバ装置の台数を増やす必要があり運用コスト高くなるという課題がある。
そこで、本発明の一実施例として、TV放送の番組の配信の方法として、キャスティング・グリッド方式を説明する。
キャスティング・グリッド方式とは、TV放送の放送番組データや動画データをサーバ装置からユーザの受信装置(SB(セットボックス))に配信し、そのSBから他のSBへ次々とデータをバケツリレー方式で転送するものである。この方式の利点は、サーバ装置としては、すべてのSBに自分自身ですべのデータを配信する方式に比べて高速処理のサーバ装置を用意する必要がないというものがある。
ここで、家庭で設置されているSBに注目すると、そのSBで使用している通信回線の通信速度が速いほど、あるいはSBの画像処理能力あるいは通信処理能力が高ければ高いほど、受信した放送番組データをたくさんのSBに転送することができる(SBの転送能力)。そこで、転送先のSBの数に応じて、TV放送の視聴あるいは放送番組あるいは動画データのダウンロードの使用料金(基本料金、使用データ量に応じた料金等)を変更するようにする。転送するSBの数が多くなればサーバ装置の負荷が減るので、例えば、転送するSBの数が多ければ使用料金を減額することができる。
また、配信先のSBの数が多くなれば、配信に成功したかどうかの確認信号をより多く受信する必要があり、サーバ装置の高速化は必要になるという課題がある。
そこで、サーバ装置はすべのSBから確認信号を受信するのではなく、末端のSB、すなわちもう次に転送の必要のないSBのみがサーバ装置へ確認信号を送信するようにするものである。このようにすると、途中のSBが正しくデータを受信したがどうかは、そのSBが転送したすべてのSBに関係するSBであってその末端のすべてのSBが受信OKの信号をサーバ装置へ返信した場合には、そのSBが正しく受信していると推測できる。
このキャスティング・グリッド方式は光ファイバのように高速な通信回線を前提としているが、次世代の高速無線通信(例えばWi-MAXなど)を使用する装置にも応用できる。
通常の通話以外のサービスで、PTT(PUSH TO TALK)がある。専用ボタンを押し続けている間に、相手に対して音声データを送ることができるものであり、トランシーバ的な使い方ができる。通常の通話のように相手と同時に話すことは出来ない。しかしながら、複数の相手に対して音声データを送ることができる。しかしながら、まだ利便性に欠ける問題がある。
本発明の一実施例のPTTは通常の通話に比べて使用するプロトコルは簡易的なプロトコルを使用することによって手軽な通話を実現する。例えば、通常の通話を行うための呼制御を行わず、論理チャネルを確保するのみで(場合によっては論理チャネルの確保も省略する)直接音声データを相手装置に送りつけることでPTTを実現する。
次にPTTの本発明の一実施例を説明する。
1.電話機Bの電話帳からPTTで会話する相手(名称、電話番号、アドレス等を選ぶ)を選択する(電話機A)。
2.PTTの通話用ボタンを押しつづけている間、マイクに向かって話す。通話ボタンを離すことによりその通話は終了する。
3.電話機Aに対して呼び出しが通知され、電話機Aの呼び出し音が鳴り、つづいて電話機Bからの音声が再生される。
4.電話機Aの通話用ボタンを押しながら話す。
5.電話機Bに呼出音が鳴り、つづいて電話機Aからの音声が再生される。
このとき、PTTを行っている途中で、通常の通話に切替えたい場合に、電話機の切替ボタンを操作すると、そのときに行っていたPTTの相手先の電話番号を発呼することにより、通常の通話の呼制御を行い、相手電話機を呼び出して通常の電話(両方同時に会話することができる)をすることができる。このとき、一対一のPTTの場合は相手は一つなのでその電話番号で呼び出せばよいが、PTTの相手が複数の場合には、その相手に対応した電話番号を複数表示し、その中から電話番号を選択して発呼するようにしてもよい。
また、逆に、相手先と通常の通話を行っているときに、PTTへの切替操作を行うと、以後、PTTモードになり、その相手先とPTTによる会話が可能となる。
通常の電話においては、発信記録や着信記録を記憶する履歴手段があるが、PTTの場合も発信や着信の履歴(相手名所、電話番号、通話日時等)を記憶することができる。
また、通常の電話をしているときや他の操作を行っていてPTTのメッセージを直接聞くことができないときにPTTの着信があった場合には、その着信履歴を記憶するとともに、PTTの音声データをメモリに記憶する。さらに、着信があった旨を示す表示を表示部に表示し、その表示が選択された場合には、PTTの会話モードに移行し、記憶しているPTTの音声データを再生するものである。その後はPTTの通話ボタンを押すことによって、着信のあった相手装置に対してPTTでの通話が可能となる。
このようにPTTと通常の電話を簡単に切り替えられるようにすることにより、ユーザの使用状況に合った便利な使い方を提供することができる。
また、110番や119番などの緊急用の電話番号や、特殊サービス用の電話番号等の所定の電話番号(PTTでは利用できない電話番号)に対してPTTの呼出をした場合には、自動的に通常の電話に切り替えて発呼するようにしてもよい。
またPTTで複数の相手と通話中に、その複数の相手のうち一以上の相手を選択した相手に対してのみ、自分の発した音声がその相手にのみ聞こえるように制御してもよい。その相手の選択は例えば表示された電話番号やその電話番号に対応させた表示情報(文字、アイコン、記号、キャラクター、画情報、アニメーション等)を選択することにより行う。
また、PTT中に電話がかかってきた場合について説明する。発信者権(発呼した装置が持つもので、例えば発信者が通話を終了(切断)するとPTTが終了する)を持つ装置(通常は発呼装置)に電話の着呼があった場合、その電話に応答すると、通常はPTT終了してしまうので、電話に応答する前に、発信者権をPTTしている複数の通話相手のうち一以上の相手に渡す。相手装置の選択は、この場合も前述したような選択方法が使用できる。発信者権を渡したあとに着呼があった(呼出中の)電話に応答して、通常の通話を行えばよい。一方、PTT中に発信者権を持たない装置に電話の着呼があった場合には、そのまま応答することにより、PTTから離脱して通常の通話を行うものである。PTTの発呼装置または着呼装置に表示部に、PTTに参加している一以上の相手装置(自装置も含む)の表示情報を表示し、さらにその装置の状態表示(PTT呼出に応答無、PTT参加中、PTT途中離脱、発呼装置、発信者権等の表示やそのような表示に対応した文字、アイコン、記号、キャラクター、画情報、アニメーション等)を表示し、その装置の状態が変化する毎に状態表示を変更するようにしてもよい。
今まで、実施例として携帯電話、IP電話を挙げたが、通信端末装置としてはその他にICカード、ICタグリーダ装置、移動無線機、無線LANを使用したIP電話、IP通信端末装置、一般加入者電話機、通信機能付コンピュータ(パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ゲーム機等)、IPテレビ電話、腕時計、PHS、PDA、カーナビ等の通信機能を備えた通信装置があり、それぞれの通信装置が使用できる通信プロトコルを使用して実施可能である。ぞれぞれの通信装置の構成は公知であるため、ブロック図による図示は省略するが、本発明の特徴に係る手段は前記実施例と同様に備えているものである。
また無線LANの代わりにWi-MAX、ブルートゥース、IrDA、WUSB、ICタグ等の無線I/Fを使用してもよい。
また発明の技術内容によっては、通信機能が必要のないものもあり、その場合には通信機能が備わっていない単なる装置にも適用が可能である。例えばシステム全体を1つの装置に適用した場合等がある。
また、本文中に記載があって、特にブロック図に図示していない「〜手段」は、専用ハードウェアで構成されているか、あるいはCPU,ROM,RAMと若干のハードウェアで構成されているものである。
また、今までの実施例およびおのおのの構成は本発明の特徴を備えている限り適宜組み合わせ可能であり、1つの実施例の中で直接言及していない他の実施例および構成も適用可能である。多数の発明が本明細書に記載されているため、そのすべての組み合わせの説明とその効果を記載することは事実上不可能であるため、代表的なもののみの記載に留め、その他の組み合わせの記載については省略するしかない。従って、その組み合わせの具体的な実施と効果については当業者が想定できるものは、本明細書に記載されているものとみなすことができるのは言うまでもないことである。
また、本願は記載の冗長度を少なくするために、省略できる説明(例えば実施例が共通で使用でき場合等)は極力省略している。従って、「なお書き」で「〜にも適用できる」旨の記載は共通部分の説明や公知技術の説明を省略しているものであるので、そのような場合は、それらの説明が記載されていることは自明である。
また、発明の構成あるいはその構成の構成要素については、日本語の特性上、単数を表現しているように解釈できる場合があるが、単数で表現している場合であっても、特に単数に限定している場合を除いて、基本的には複数の構成あるいは構成要素が備わっている場合にも適用できるものである。
また、本発明において複数の要素(構成)を持つ場合には、その要素の数は本実施例に記載している要素の数には限定されるものではない。
また、技術の進歩とともに1つの装置の中により多くの機能を詰め込むことが可能となるので、実施例の説明のなかで、発明の構成あるいは構成要素が別々に分かれている実施例があってもそれに限定されるものではない。またその逆も言える。従って、装置あるいは回路そのものではなく、機能で発明を捉えることが必要な場合もある。