JP2009105283A - 多層プリント配線板用樹脂付き銅箔及びそれを用いて作製される多層プリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】6−置換グアナミン化合物(a)、フェノール性化合物(b)、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(c)及び有機溶剤(d)を含有し、均一溶液である熱硬化性樹脂組成物又は、該熱硬化性樹脂組成物に、更に1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(e)を加えて、6−置換グアナミン化合物(a)と反応させて得られ、均一溶液である熱硬化性樹脂組成物を、銅箔の片面に塗工した後、Bステージ化して得られた多層プリント配線板用樹脂付き銅箔及び、それ用いて作製された多層プリント配線板である。
【選択図】なし
Description
しかしながら、これらの熱硬化性樹脂はメラミン樹脂やグアナミン化合物をホルムアルデヒド等のアルデヒド類を用いて縮合させたものであり、有機溶剤への溶解性は改良されているものの、熱分解温度が低く、近年要求される鉛フリーはんだへの耐熱性や銅付き耐熱性が不足する。また微細な加工処理・配線形成において、銅箔接着性や可とう性、靭性が不足し、回路パターンが断線や剥離を生じたり、ドリルや打ち抜きにより穴あけ等の加工をする際にクラックが発生する等の不具合が生じる。
また、一般にポリイミド樹脂は、その耐熱性、誘電特性を特徴としてポリイミドフィルムとして各産業で使用されているが、そのほとんどがポリイミド単独のフィルムであり多層プリント配線板用樹脂付き銅箔の製造には使用困難である。
1.下記一般式(I)に示す6−置換グアナミン化合物(a)、フェノール性化合物(b)、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(c)及び有機溶剤(d)を含有し、均一溶液である熱硬化性樹脂組成物(これを「熱硬化性樹脂組成物A」と称する。)を銅箔の片面に塗工した後、Bステージ化して得られる多層プリント配線板用樹脂付き銅箔。
3.有機溶剤(d)が窒素非含有有機溶剤である上記1又は2の多層プリント配線板用樹脂付き銅箔。
4.窒素非含有有機溶剤がアルコール系有機溶剤(d1)又はアルコール系有機溶剤(d1)と、エーテル系有機溶剤(d2)、ケトン系有機溶剤(d3)及び芳香族系有機溶剤(d4)のうちの少なくとも一種とを含む有機溶剤である上記3の多層プリント配線板用樹脂付き銅箔。
5.窒素非含有有機溶剤が、プロピレングリコールモノメチルエーテル又はメチルセロソルブと、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノンのうちの少なくとも一種とを含む有機溶剤である上記4の多層プリント配線板用樹脂付き銅箔。
6.上記1〜5のいずれかの多層プリント配線板用樹脂付き銅箔を用いて作製された多層プリント配線板。
また、本発明の多層プリント配線板用樹脂付き銅箔に用いられる熱硬化性樹脂組成物は(a)〜(d)成分の均一溶液又は更に(e)成分を加えて(a)成分と反応させて得られた均一溶液であり、毒性の高いN,N−ジメチルホルムアミド等の窒素含有有機溶剤を用いることがなく、安全性や作業環境にも優れるものであることから、上記の優れた性能を有する多層プリント配線板用樹脂付き銅箔を有利に提供することができる。
先ず、本発明の多層プリント配線板用樹脂付き銅箔に用いられる熱硬化性樹脂組成物Aは、下記一般式(I)に示す6−置換グアナミン化合物(a)、フェノール性化合物(b)、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(c)及び有機溶剤(d)を含有した均一溶液である。
(b)成分のフェノール性化合物としては、例えば、フェノール、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ナフトール、(o−,m−,p−)クレゾール、ビスフェノールA及びビスフェノールF並びに軟化点120℃以下のフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、トリフェニルメタンフェノール樹脂、ビフェニレンフェノールアラルキル樹脂及びナフトールアラルキル樹脂等が挙げられる。
これらの中で、グアナミン化合物の溶解性を高める効果が大きく、誘電特性、耐熱性、接着性から、軟化点120℃以下のフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂及びフェノールアラルキル樹脂がより好ましく、より安価であり難燃性に優れる点から軟化点120℃以下のクレゾールノボラック樹脂が特に好ましい。
0.5≦〔−NH2基の当量〕/〔ヒドロキシ基当量〕≦5.0
に示す範囲内となる量であることが望ましい。該当量比を5.0以下とすることにより、有機溶剤への溶解性が不足したり、ゲル化を起こすことがなく、0.5以上とすることにより熱硬化性樹脂の耐熱性が低下することがない。
これらの中で、誘電特性、耐熱性、耐湿性及び金属箔接着性の点からビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が好ましく、難燃性や成形加工性の点からビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましく、安価であることからフェノールノボラック型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂が特に好ましい。
エポキシ樹脂の硬化剤の例としては、無水マレイン酸、無水マレイン酸共重合体等の酸無水物、ジシアノジアミド等のアミン化合物、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、フェノールアラルキル樹脂等のフェノール化合物等が挙げられる。これらの中で、耐熱性、誘電特性が良好となるフェノールノボラック、クレゾールノボラック、フェノールアラルキル樹脂等のフェノール化合物が好ましく、安価であり、難燃性や接着性が向上することからクレゾールノボラック型フェノール樹脂が特に好ましい。
エポキシ樹脂の硬化促進剤の例としては、イミダゾール類及びその誘導体、第三級アミン類及び第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
成分(a)及び成分(b)の含有量を、難燃性や接着性、比誘電率の観点より下限値以上とし、耐熱性の観点より上限値以下とするのが好ましい。また成分(c)の含有量を、難燃性や接着性、耐熱性の観点より下限値以上とし、比誘電率の観点より上限値以下とするのが好ましい。
即ち、従来はメラミン樹脂やグアナミン化合物の溶剤として、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有有機溶剤が用いられていたが、このような窒素原子含有有機溶剤を併用することは、本発明の目的にそぐわないものであり、窒素非含有有機溶剤を使用することが好ましい。
窒素非含有有機溶剤としては、アルコール系有機溶剤(d1)又はアルコール系有機溶剤(d1)と、エーテル系有機溶剤(d2)、ケトン系有機溶剤(d3)及び芳香族系有機溶剤(d4)のうち少なくとも一種とを含む有機溶剤であることが好ましい。
アルコール系有機溶剤(d1)としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられ、これらの中で、溶解性や低毒性である点からブチルセロソルブ及びプロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましく、揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶剤として残りにくいプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
エーテル系有機溶剤(d2)としてはテトラヒドロフラン等、ケトン系有機溶剤(d3)としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等、芳香族系有機溶剤(d4)としては、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種又は2種以上を混合して使用できる。
(d2)〜(d4)の有機溶剤中で、溶解性や低毒性である点から、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノンが好ましく、また、副反応を抑制する点からメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤がより好ましく、揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶剤として残りにくいメチルエチルケトンが特に好ましい。
均一に溶解するためには20〜130℃に加熱することが好ましく、40〜100℃に加熱することがさらに好ましい。
この反応では、N−置換マレイミド化合物(e)に対し、6−置換グアナミン化合物(a)が、Michael付加することにより、N−置換マレイミド基を有するグアナミン化合物となる。N−置換マレイミド化合物(e)とグアナミン化合物の反応物は、熱硬化性樹脂との硬化反応性を有するものとなり、この反応物を熱硬化性樹脂に使用することにより、ビスマレイミド構造とグアナミン構造を有する、誘電特性、難燃性及び耐熱性に更に優れた熱硬化性樹脂が得られる。
N−置換マレイミド化合物(e)としては、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン等が挙げられ、これらの中で、反応率が高く、より高耐熱性化できるビス(4−マレイミドフェニル)メタン、m−フェニレンビスマレイミド及びビス(4−マレイミドフェニル)スルホンが好ましく、安価である点からm−フェニレンビスマレイミド及びビス(4−マレイミドフェニル)メタンがより好ましく、溶剤への溶解性の点からビス(4−マレイミドフェニル)メタンが特に好ましい。
N−置換マレイミド化合物(e)の使用量は、6−置換グアナミン化合物(a)の−NH2基の当量と、N−置換マレイミド化合物(e)のC=C基の当量の当量比が、次式
0.1≦〔C=C基当量の総和〕/〔−NH2基の当量〕≦1.2
に示す範囲内となる量であることが望ましい。該当量比を0.1以上とすることにより有機溶剤への溶解性が不足することがなく、1.2以下とすることにより熱硬化性樹脂の接着性及び耐熱性が低下することがない。
また、この反応には、必要により任意に反応触媒を使用することができる。反応触媒の例としては、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
無機充填剤の含有量は、(a)〜(d)成分の合計量(熱硬化性樹脂組成物Aの場合)又は(a)〜(e)成分の合計量(熱硬化性樹脂組成物Bの場合)100質量部に対し、0〜300質量部とすることが好ましく、20〜200質量部とすることがより好ましく、20〜150質量部とすることが特に好ましい。無機充填剤の含有量を300質量部以下とすることにより、成形性や接着性の低下がなくなる。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
有機充填剤の例としては、シリコーンパウダー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル等の有機物粉末などが挙げられる。
こうして得られた多層プリント配線板は、さらに前記工程を繰り返して多層化したり、また、プリプレグや銅箔を重ね合せ、熱板プレス機を用いて加熱加圧成形をすることにより多層化を行なっても良い。
なお、以下の各実施例および各比較例で製造した樹脂付き銅箔は、以下の方法で試料を作製し、性能を測定・評価した。
各実施例および各比較例で製造した樹脂付き銅箔2枚を、そのまま樹脂面が内側になるよう張り合わせ、熱板プレスで120℃、0.49MPa(5kgf/cm2)の条件で30分、さらに170℃で2時間熱硬化させ、一体成形して樹脂付き銅箔試料を作製した。
(試料2:硬化皮膜)
試料1の樹脂付き銅箔試料をエッチングし、物性測定用の硬化皮膜を得た。
銅箔18μm厚のガラスエポキシ両面銅張積層板から内層回路を形成し、さらにメック社のエッチボンド処理した基板の両面に、各実施例および各比較例で製造した樹脂付き銅箔の樹脂面が接するように重ね、熱板プレスを用い、0.49MPa(5kgf/cm2) 、120℃、20分、次いで2.45MPa(25kgf/cm2) 、170℃、2時間の条件にて硬化し、積層板を作製した。
試料3の積層板において、所定のスルーホール部はドリルで穴をあけ、レーザービア部は、まず穴位置をエッチングレジストを用いて選択的に銅箔を除去してガイドを設け、レーザー加工機により穴明けを行なった。次に、スルーホール部とレーザービア部のスミヤをデスミヤ処理して除去した後、無電解銅めっき及び電解銅めっきにより穴部を導通させ、市販のエッチングレジストを介したエッチングによりパターンを形成し、多層プリント配線板を作製した。
(1)ガラス転移温度(Tg)
試料2の硬化皮膜について、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、評価基板の熱膨張特性を観察することにより評価した。
(2)線膨張係数(CTEα1)の測定
試料1の樹脂付き銅箔試料について、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、線膨張係数を測定した。
(3)比誘電率及び誘電正接の測定
試料2の硬化皮膜について、比誘電率測定装置(Hewllet・Packerd社製、HP4291B)を用いて、JIS K6911に従い、周波数1GHzでの比誘電率及び誘電正接を測定した。
試料2の硬化皮膜を23℃±2℃に管理された蒸留水に浸漬し、24時間後の質量変化より吸水率を測定した。
(5)銅箔接着性(銅箔ピール強度)の評価
JIS C6481に従って、試料3の積層板を銅エッチング液に浸漬することにより、1cm幅の帯部分を残して銅箔を取り除いた評価基板を作製し、オートグラフ〔島津製作所(株)製AG−100C〕を用いて帯部分のピール強度を測定した。
試料4の多層プリント配線板(10cm×10cm)を288℃±3℃のはんだ槽に10秒間浸漬する操作を5回繰り返した後、銅箔と樹脂の剥がれを確認し、次のように評価した。
OK:剥がれ無し、 NG:剥がれ有り
試料4の多層プリント配線板について、ラインアンドスペース 75μm/75μmの回路の剥がれを目視で検査し、次のように評価した。た。
OK:剥がれ無し、 NG:剥がれ有り
(8)難燃性の評価
0.4mmの厚さのFR−4基材に硬化塗膜で80μmになるように両面に絶縁層を形成し、UL94の試験法(V法)に準じて評価した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ベンゾグアナミン:31質量部、クレゾールノボラック樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名:KA−1163、軟化点110℃〕:15質量部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名:N−770〕:54質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル:67質量部を入れ、80℃に昇温して均一に溶解し、熱硬化性樹脂組成物〔樹脂組成物(X−1)〕を製造した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ベンゾグアナミン:21質量部、クレゾールノボラック樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名:KA−1163、軟化点110℃〕:14部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名:N−770〕:43質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル:67質量部を入れ、80℃に昇温して均一に溶解した。次いで、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:22質量部を添加し、80℃で8時間反応を行い、熱硬化性樹脂組成物〔樹脂組成物(X−2)〕を製造した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ベンゾグアナミン:31質量部、フェノールアラルキル樹脂〔明和化成(株)製、商品名:MEH−7800H、軟化点85℃〕:15質量部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名:N−770〕:54部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル:67質量部を入れ、80℃に昇温して均一に溶解し、熱硬化性樹脂組成物〔樹脂組成物(X−3)〕を製造した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ベンゾグアナミン:21質量部、フェノールアラルキル樹脂〔明和化成(株)製、商品名:MEH−7800H、軟化点85℃〕:14質量部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名:N−770〕:43質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル:67質量部を入れ、80℃に昇温して均一に溶解した。次いで、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:22質量部を添加し、80℃で8時間反応を行い、熱硬化性樹脂組成物〔樹脂組成物(X−4)〕を製造した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ベンゾグアナミン:31質量部、クレゾールノボラック樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名:KA−1163、軟化点110℃〕:15質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名:N−673〕:質量54部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル:67質量部を入れ、80℃に昇温して均一に溶解し、熱硬化性樹脂組成物〔樹脂組成物(X−5)〕を製造した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ベンゾグアナミン:31質量部、2−ナフトール〔関東化学(株)製〕:15質量部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名:N−770〕:54質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル:67質量部を入れ、80℃に昇温して均一に溶解し、熱硬化性樹脂組成物〔樹脂組成物(X−6)〕を製造した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ベンゾグアナミン:31質量部、ビスフェノールF〔三井化学(株)製〕:15質量部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名:N−770〕:54質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル:67質量部を入れ、80℃に昇温して均一に溶解し、熱硬化性樹脂組成物〔樹脂組成物(X−7)〕を製造した。
実施例1〜7では上記の製造例1〜7で得られた樹脂組成物(X−1)〜樹脂組成物(X−7)、比較例1ではフェノールノボラック型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名:N−770〕、比較例2ではクレゾールノボラック型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名:N−673〕を使用し、また、エポキシ硬化剤としてクレゾールノボラック樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名:KA−1165〕、無機充填剤として溶融シリカ〔アドマテック(株)製、商品名:SC2050−KC〕、難燃剤としてジアルキルホスフィン酸アルミニウム塩〔クラリアント(株)製、商品名:OP−930〕を使用して、第1表に示す割合で配合し、さらに希釈剤としてメチルエチルケトン(MEK)使用して、樹脂分70%の均一な塗布用ワニスを得た。得られた塗布用ワニスを、ダイコーターを用いて、乾燥塗膜の膜厚が60μmになるように18μm厚の銅箔の粗面上〔古河サーキットフォイル(株)製、商品名:F3−WS〕に塗布し、40〜120℃で乾燥して樹脂付き銅箔を製造した。
各実施例および各比較例で得られた樹脂付き銅箔について、前記の方法により、ガラス転移温度(Tg)、線膨張係数(CTEα1)、比誘電率(1GHz)、誘電正接(1GHz)および吸湿性(吸水率)を測定し、銅箔接着性(銅箔ピール強度)、はんだ耐熱性、パターン成形性および難燃性について評価した。結果を第1表に示す。
一方、比較例は、ガラス転移温度(Tg)、熱膨張係数(CTEα1)、比誘電率、誘電正接、耐湿性、銅箔接着性、はんだ耐熱性、パターン成形性及び難燃性の全てにバランスがとれたものが無く、いずれかの特性に劣っている。
本発明の樹脂付き銅箔およびそれを用いた多層プリント配線板は、熱硬化性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)が高く、樹脂付き銅箔の熱膨張係数(CTEα1)が小さいことから優れた耐熱性を有し、積層板の銅箔ピール強度が大きいことから導体との充分な金属箔接着性を有し、多層プリント配線板のはんだ耐熱性が高いので金属付き耐熱性に優れていることが分かる。
また、本発明の樹脂付き銅箔に用いられる熱硬化性樹脂組成物は、比誘電率、誘電正接、耐湿性および難燃性に優れ、本発明の多層プリント配線板はパターン成形性にも優れている。
このように本発明の樹脂付き銅箔およびそれを用いた多層プリント配線板は、容易に成形でき、金属箔接着性、耐熱性、耐湿性、難燃性、金属付き耐熱性、比誘電率及び誘電正接の全てにバランスがとれており、電子機器用プリント配線板として有用である。
Claims (6)
- 請求項1における熱硬化性樹脂組成物に、更に1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(e)を加えて、6−置換グアナミン化合物(a)と反応させて得られ、均一溶液である熱硬化性樹脂組成物を銅箔の片面に塗工した後、Bステージ化して得られる多層プリント配線板用樹脂付き銅箔。
- 有機溶剤(d)が窒素非含有有機溶剤である請求項1又は2に記載の多層プリント配線板用樹脂付き銅箔。
- 窒素非含有有機溶剤がアルコール系有機溶剤(d1)又はアルコール系有機溶剤(d1)と、エーテル系有機溶剤(d2)、ケトン系有機溶剤(d3)及び芳香族系有機溶剤(d4)のうちの少なくとも一種とを含む有機溶剤である請求項3に記載の多層プリント配線板用樹脂付き銅箔。
- 窒素非含有有機溶剤が、プロピレングリコールモノメチルエーテル又はメチルセロソルブと、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノンのうちの少なくとも一種とを含む有機溶剤である請求項4に記載の多層プリント配線板用樹脂付き銅箔。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の多層プリント配線板用樹脂付き銅箔を用いて作製される多層プリント配線板。
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