JP2011252105A - 封止用エポキシ樹脂組成物及びこの組成物で封止した素子を備えた電子部品装置 - Google Patents

封止用エポキシ樹脂組成物及びこの組成物で封止した素子を備えた電子部品装置 Download PDF

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Abstract

【課題】AgやAuのような貴金属との接着性が良好で、耐リフロー性が良好となり、かつ成形性や耐湿性、高温放置特性等の信頼性を低下させずに難燃性が良好な封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれにより封止した素子を備えた電子部品装置を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有し、硬化剤が下記一般式(1)で示される化合物を含有する封止用エポキシ樹脂組成物。
Figure 2011252105

(ここで、R〜Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数6〜10のアリール基、及び炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜20の整数を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、封止用エポキシ樹脂組成物及びこの組成物で封止した素子を備えた電子部品装置に関する。
近年、半導体素子の高密度実装化が進んでいる。これに伴い、樹脂封止型半導体装置は、従来のピン挿入型のパッケージから、面実装型のパッケージが主流になっている。面実装型のIC、LSI等は、実装密度を高くし、実装高さを低くするために薄型、小型のパッケージになっており、素子のパッケージに対する占有面積が大きくなり、パッケージの肉厚は非常に薄くなってきた。さらにこれらのパッケージは、従来のピン挿入型のものと実装方法が異なっている。すなわち、ピン挿入型パッケージは、ピンを配線板に挿入した後、配線板裏面からはんだ付けを行うため、パッケージが直接高温にさらされることがなかった。しかし面実装型ICは、配線板表面に仮止めを行い、はんだバスやリフロー装置等で処理されるため、直接はんだ付け温度(リフロー温度)にさらされる。この結果、ICパッケージが吸湿した場合、リフロー時にこの吸湿水分が気化して、発生した蒸気圧が剥離応力として働き、素子、リードフレーム等のインサートと封止材との間で剥離が発生し、パッケージクラックの発生や電気的特性不良の原因となる。このため、はんだ耐熱性(耐リフロー性)に優れた封止材料の開発が望まれている。従って、封止材料としては、低吸湿に加え、リードフレーム(材質として、Cu,Ag,Au,Pd等)、チップ界面等の異種材料界面との接着性、密着性の向上が強く求められている。これらの要求に対応するために、主材となるエポキシ樹脂側から様々な検討がされているが、エポキシ樹脂側の改良だけでは、低吸湿化に伴う耐熱性の低下、密着性の向上に伴う硬化性の低下等が生じ、物性のバランスをとることが困難であった。
従って、上記背景から種々のエポキシ樹脂改質材が検討されており、その中の一例としてインデン・スチレン・フェノール共重合オリゴマー(例えば、特許文献1参照)や硫黄原子含有化合物(例えば、特許文献2、3参照)及び硫黄原子含有シランカップリング剤(例えば、特許文献4参照)がある。
特開平10−265650号公報 特開平11−12442号公報 特開2002−3704号公報 特開2000−103940号公報
しかしながら、インデン・スチレン・フェノール共重合オリゴマー(例えば、特許文献1参照)や硫黄原子含有シランカップリング剤(例えば特許文献4参照)を用いた場合は、AgやAuのような貴金属との接着性向上効果が乏しく、また硫黄原子含有化合物(例えば特許文献2、3参照)を文献開示の量を添加しても貴金属との接着性が十分に向上せず、いずれも耐リフロー性を満足するに至っていない。さらにはエポキシ化大豆油等の可塑剤、ゴム粒子等の可とう剤を添加しても耐リフロー性を満足するに至っていない。
本発明は、かかる状況に鑑みなされたもので、貴金属との接着性が良好で、耐リフロー性が良好となり、かつ成形性や耐湿性、高温放置特性等の信頼性を低下させずに難燃性が良好な封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれにより封止した素子を備えた電子部品装置を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の硬化剤を配合した封止用エポキシ樹脂組成物により上記の目的を達成しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下に関する。
(1)(A)エポキシ樹脂と、(B)硬化剤とを含有し、(B)硬化剤が、下記一般式(1)で示される化合物を含有する封止用エポキシ樹脂組成物。
Figure 2011252105
(ここで、R〜Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数6〜10のアリール基、及び炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜20の整数を示す。)
(2)(B)硬化剤として、さらに下記一般式(2)で示される化合物を含有する上記(1)に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
Figure 2011252105
(ここで、Rは、水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
(3)(B)硬化剤として、上記一般式(1)で示される化合物と上記一般式(2)で示される化合物を含有し、(1)の含有量が、(1)と(2)の総和に対して、5〜80質量%である上記(1)又は(2)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
(4)さらに(C)難燃剤を含有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
(5)(C)難燃剤として、水酸化アルミニウムを含有する上記(4)に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物で封止された素子を備えた電子部品装置。
本発明による封止用エポキシ樹脂組成物は、貴金属との接着性が良好で、耐リフロー性も良好な電子部品装置等の製品を得ることができ、その工業的価値は大である。
本発明による封止用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂を含有する。(A)エポキシ樹脂としては、従来公知のエポキシ樹脂を使用することができる。使用可能なエポキシ樹脂としては、封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているもので特に制限はないが、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの。ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換又は非置換のビフェノール等のジグリシジルエーテル。スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物、ナフタレン環を有するエポキシ樹脂、フェノール・アラルキル樹脂、ビフェニレン骨格を含有するフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、流動性及び耐リフロー性の観点からは、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂及び硫黄原子含有エポキシ樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からは、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましく、耐熱性及び低反り性の観点からは、ナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂が好ましく、難燃性の観点からは、ビフェニレン型エポキシ樹脂及びナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂が好ましく、硬化性の観点からは、ノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。難燃性の良好な樹脂を用いてノンハロゲン、ノンアンチモンとすることが、高温放置特性向上の観点から好ましい。
ビフェニル型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(3)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(4)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(5)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、硫黄原子含有エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(6)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2011252105
(ここで、R〜Rは、水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
Figure 2011252105
(ここで、R〜Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数6〜10のアリール基、及び炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
Figure 2011252105
(ここで、R〜Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜2のアルコキシ基から選ばれ、互いに同一であっても異なってもよい。nは0〜10の整数を示す。)
Figure 2011252105
(ここで、R〜Rは、水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基及び置換又は非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
上記一般式(3)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂としては、例えば、4,4′−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル又は4,4′−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3′,5,5′−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂、エピクロルヒドリンと4,4′−ビフェノール又は4,4′−(3,3′,5,5′−テトラメチル)ビフェノールとを反応させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、4,4′−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3′,5,5′−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。このような化合物としては、YX−4000(三菱化学株式会社製、商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(4)で示されるビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、R、R、R及びRがメチル基で、R、R、R及びRが水素原子であり、n=0を主成分とするYSLV−80XY(新日化エポキシ製造株式会社製、商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(5)で示されるエポキシ樹脂としては、例えばR〜Rが水素原子であるNC−2000−L(日本化薬株式会社製、商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(6)で示される硫黄原子含有エポキシ樹脂の中でも、R、R、R及びRが水素原子で、R、R、R及びRがアルキル基であるエポキシ樹脂が好ましく、R、R、R及びRが水素原子で、R及びRがtert−ブチル基で、R及びRがメチル基であるエポキシ樹脂がより好ましい。このような化合物としては、YSLV−120TE(新日化エポキシ製造株式会社製、商品名)等が市販品として入手可能である。これらのエポキシ樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(7)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2011252105
(ここで、R及びRは、水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基からそれぞれ独立して選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。)
上記一般式(7)中のRとしては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基等の炭素数1〜5の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、中でも、メチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、メチル基及び水素原子がより好ましい。Rとしては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基等の炭素数1〜5の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、中でも、水素原子が好ましい。このような化合物としては、HP−7200(DIC株式会社製、商品名)等が市販品として入手可能である。
ナフタレン型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(8)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(9)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2011252105
(ここで、R〜Rは、水素原子及び置換又は非置換の炭素数1〜12の一価の炭化水素基から選ばれ、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。pは1又は0で、l、mはそれぞれ0〜11の整数であって、(l+m)が1〜11の整数でかつ(l+p)が1〜12の整数となるよう選ばれる。iは0〜3の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数を示す。)
上記一般式(8)で示されるナフタレン型エポキシ樹脂としては、l個の構成単位及びm個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。R、Rが水素原子で、Rがメチル基である上記化合物としては、NC−7000(日本化薬株式会社製、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2011252105
(ここで、Rは、水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
上記一般式(9)で示されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、例えば、Rが水素原子である化合物等が挙げられ、このような化合物としては、E−1032(三菱化学株式会社製、商品名)等が市販品として入手可能である。
ビフェニレン型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(10)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、ナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(11)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2011252105
(上記一般式中のR〜Rは、全てが同一でも異なっていてもよく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基、及び、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、中でも、水素原子とメチル基が好ましい。nは0〜10の整数を示す。)
Figure 2011252105
(ここで、R〜Rは、水素原子及び置換又は非置換の炭素数1〜12の一価の炭化水素基から選ばれ、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは1〜10の整数を示す。)
ビフェニレン型エポキシ樹脂としては、NC−3000(日本化薬株式会社製、商品名)が市販品として入手可能である。またナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂としては、ESN−175等(新日化エポキシ製造株式会社製、商品名)が市販品として入手可能である。これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いても両者を組み合わせて用いてもよい。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(12)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2011252105
(ここで、Rは、水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
上記一般式(12)で示されるノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることによって容易に得られる。中でも、一般式(12)中のRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。nは0〜3の整数が好ましい。上記一般式(12)で示されるノボラック型エポキシ樹脂の中でも、硬化性の観点からは、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。このような化合物としては、EOCN−1020(日本化薬株式会社製、商品名)等が市販品として入手可能である。
また(A)エポキシ樹脂として下記構造式(13)のエポキシ樹脂も使用することができる。
Figure 2011252105
(一般式(13)中のRは、置換又は非置換の炭素数1〜12の炭化水素基及び置換又は非置換の炭素数1〜12のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜4の整数を示す。またRは、置換又は非置換の炭素数1〜12の炭化水素基及び置換又は非置換の炭素数1〜12のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。mは0〜2の整数を示す。)
上記一般式(13)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R、Rが水素原子である化合物が好ましく、このようなものとしては、YX−8800(三菱化学株式会社製、商品名)等が入手可能である。
本発明において用いられる(B)硬化剤は、上述した一般式(1)で示される化合物を含有する。
上記一般式(1)で示される化合物の中でも、R〜Rが水素原子である化合物が好ましい。このような化合物としては、DIC−BPF(DIC株式会社製、商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(1)で示される化合物には、上述した一般式(2)で示される化合物を併用することができる。
上記一般式(2)で示される化合物の中でも、Rが水素原子である化合物が好ましい。このような化合物としては、H−1(明和化成株式会社製、商品名)等が市販品として入手可能である。
上記硬化剤の性能を発揮するためには、その配合量を、硬化剤(1)と硬化剤(2)の配合比率は、硬化剤(1)と硬化剤(2)の総和に対して、硬化剤(1)の含有量は、5〜80質量%とすることが好ましく20〜70質量%がより好ましく、30〜60質量%とすることがさらに好ましい。5質量%以上であれば、耐リフロー性が向上し、80質量%以下では、硬化性が向上する。
また、上記硬化剤(1)と硬化剤(2)の配合量は、その性能を発揮するために、(1)と(2)の総和が硬化剤全体に対して、60質量%以上とすることが好ましく、80質量%以上とすることがさらに好ましい。
本発明には、従来公知の(B)硬化剤をさらに併用することができる。併用可能な硬化剤としては、封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているもので特に制限はないが、例えば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジシクロペンタジエン型フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトールノボラック樹脂等のジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、難燃性、成形性の観点からは、フェノール・アラルキル樹脂が好ましい。フェノール・アラルキル樹脂としては、下記一般式(14)で示されるフェノール樹脂が挙げられる。
Figure 2011252105
(ここで、Rは、水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
一般式(14)中のRが水素原子で、nの平均値が0〜8であるフェノール・アラルキル樹脂がより好ましい。具体例としては、p−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂、m−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂等が挙げられる。このような化合物としては、XLC(三井化学株式会社製、商品名)等が市販品として入手可能である。
また、耐リフロー性、難燃性、成形性の観点から、ナフトール・アラルキル樹脂が好ましい。ナフトール・アラルキル樹脂としては、例えば、下記一般式(15)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
Figure 2011252105
(ここで、R及びRは、水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基からそれぞれ独立して選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(15)で示されるナフトール・アラルキル樹脂としては、例えば、R、Rが全て水素原子である化合物等が挙げられ、このような化合物としては、SN−170(新日鐵化学株式会社製、商品名)が市販品として入手可能である。
また、低吸湿性の観点からは、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂が好ましい。ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂としては、例えば、下記一般式(16)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
Figure 2011252105
(ここで、R及びRは、水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基からそれぞれ独立して選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。)
上記一般式(16)で示されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂としては、例えば、R及びRが水素原子である化合物等が挙げられ、このような化合物としては、DPP(新日本石油精製株式会社製、商品名)等が市販品として入手可能である。
また、反り低減という観点からは、トリフェニルメタン型フェノール樹脂が好ましい。トリフェニルメタン型フェノール樹脂としては、例えば、下記一般式(17)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
Figure 2011252105
(ここで、Rは、水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
上記一般式(17)で示されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂としては、例えば、Rが水素原子である化合物等が挙げられ、このような化合物としては、MEH−7500(明和化成株式会社製、商品名)等が市販品として入手可能である。
また、耐リフロー性などの観点からは、ビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂が好ましい。ビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂としては、例えば、下記一般式(18)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
Figure 2011252105
上記一般式(18)中のR〜Rは、全てが同一でも異なっていてもよく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基、及び、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、中でも、水素原子とメチル基が好ましい。nは0〜10の整数を示す。
上記一般式(18)で示されるビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂としては、例えば、R〜Rが全て水素原子である化合物等が挙げられ、中でも、溶融粘度の観点から、nが1以上の縮合体を50質量%以上含む縮合体の混合物が好ましい。
このような化合物としては、MEH−7851(明和化成株式会社製、商品名)が市販品として入手可能である。
上記のアラルキル型フェノール樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
併用する上記エポキシ樹脂の中では、特にアラルキル型フェノール樹脂が流動性、耐リフロー性の観点から好ましい。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤の反応を促進させるために必要に応じて(D)硬化促進剤を用いることができる。(D)硬化促進剤は、封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているもので特に制限はないが、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物及びこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類及びこれらの誘導体、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらの誘導体、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等のホスフィン化合物及びこれらのホスフィン化合物に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、硬化性の観点から、トリフェニルホスフィンが好ましい。
中でも、難燃性、硬化性、流動性及び離型性の観点からは、第三ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物が好ましい。第三ホスフィン化合物としては、特に限定するものではないが、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチル−4−エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−エトキシフェニル)ホスフィン等のアルキル基、アリール基を有する第三ホスフィン化合物が好ましい。また、キノン化合物としては、o−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、ジフェノキノン、1,4−ナフトキノン、アントラキノン等があげられ、中でも、耐湿性、保存安定性の観点から、p−ベンゾキノンが好ましく、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加物が離型性の観点からより好ましい。
(D)硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に制限されるものではないが、封止用エポキシ樹脂組成物に対して0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。0.005質量%未満では、短時間での硬化性に劣る傾向があり、2質量%を超えると、硬化速度が速すぎて良好な成形品を得ることが困難になる傾向がある。
本発明では、必要に応じて(E)無機充填剤を配合することができる。無機充填剤は、吸湿性、線膨張係数低減、熱伝導性向上及び強度向上の効果があり、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維等が挙げられる。さらに、難燃効果のある無機充填剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、複合金属水酸化物、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛等が挙げられる。ここで、ホウ酸亜鉛としては、FB−290、FB−500(U.S.Borax社製、商品名)、FRZ−500C(水澤化学工業株式会社製、商品名)等が、モリブデン酸亜鉛としては、KEMGARD911B、911C、1100(Sherwin−Williams社製、商品名)等が各々市販品として入手可能である。
これらの無機充填剤は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、充填性、線膨張係数の低減の観点からは、溶融シリカが好ましく、高熱伝導性の観点からは、アルミナが好ましい。また、無機充填剤の形状は、充填性及び金型摩耗性の点から、球形が好ましい。
無機充填剤の配合量は、流動性、難燃性、成形性、吸湿性、線膨張係数低減、強度向上及び耐リフロー性の観点から、封止用エポキシ樹脂組成物に対して50質量%以上が好ましく、60〜95質量%が難燃性の観点からより好ましく、70〜90質量%がさらに好ましい。
50質量%未満では難燃性及び耐リフロー性が低下する傾向があり、95質量%を超えると流動性が不足する傾向があり、また難燃性も低下する傾向にある。
(E)無機充填剤を用いる場合、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、樹脂成分と充項剤との接着性を高めるために、(F)カップリング剤をさらに配合することが好ましい。(F)カップリング剤としては、封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているもので特に制限はないが、例えば、1級及び/又は2級及び/又は3級アミノ基を有するシラン化合物、エポキシシラン、メルカプトシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等が挙げられる。これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、流動性、金線変形低減、難燃性の観点からは、2級アミノ基を有するシランカップリング剤が好ましい。2級アミノ基を有するシランカップリング剤は、分子内に2級アミノ基を有するシラン化合物であれば特に制限はないが、例えば、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−アニリノメチルトリメトキシシラン、γ−アニリノメチルトリエトキシシラン、γ−アニリノメチルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノメチルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノメチルエチルジエトキシシラン、γ−アニリノメチルエチルジメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
カップリング剤の全配合量は、封止用エポキシ樹脂組成物に対して0.04〜5質量%であることが好ましく、0.05〜4.75質量%であることがより好ましく、0.1〜2.5質量%であることがさらに好ましい。フレームとの接着性の観点から、0.04質量%以上にすることが好ましく、パッケージの成形性の観点から、5質量%以下とすることが好ましい。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、さらに難燃性を向上する目的で、従来公知の(C)難燃剤、特に環境対応、信頼性の観点からは、ノンハロゲン、ノンアンチモンの難燃剤を必要に応じて配合することができる。例えば、赤リン、酸化亜鉛等の無機化合物とフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で被覆された赤リン及びリン酸エステル、ホスフィンオキサイド等のリン化合物、メラミン、メラミン誘導体、メラミン変性フェノール樹脂、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体等の窒素含有化合物、シクロホスファゼン等のリン及び窒素含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、複合金属水酸化物、酸化亜鉛、錫酸亜鉛、硼酸亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、ジシクロペンタジエニル鉄等の金属元素を含む化合物等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、難燃性の観点からは、水酸化アルミニウムが好ましい。水酸化アルミニウムの配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して10〜300質量部とすることが好ましく、20〜200質量部とすることがさらに好ましく、50〜150質量部とすることがさらに好ましい。
10質量部以上であると難燃性が向上し、300質量部以下であると流動性が向上する。水酸化アルミニウムとしては、BW103(日本軽金属株式会社製、商品名)等が市販品として入手可能である。
また、流動性の観点からは、リン酸エステル、ホスフィンオキサイド及びシクロホスファゼンが好ましい。リン酸エステルは、リン酸とアルコール化合物又はフェノール化合物のエステル化合物であれば特に制限はないが、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(2,6ジメチルフェニル)ホスフェート及び芳香族縮合リン酸エステル等が挙げられる。中でも、耐加水分解性の観点からは、下記一般式(19)で示される芳香族縮合リン酸エステルが好ましい。
Figure 2011252105
上記一般式(19)のリン酸エステルを例示すると、下記構造式(20)〜(24)で示されるリン酸エステル等が挙げられる。
Figure 2011252105
これらリン酸エステルの添加量は、充填剤を除く他の全配合成分に対して、燐原子の量で0.2〜3.0質量%の範囲内であることが好ましい。0.2質量%未満の場合は、難燃効果が低くなる傾向がある。3.0質量%を超えた場合は、成形性、耐湿性の低下や、成形時にこれらのリン酸エステルがしみ出し、外観を阻害する場合がある。
ホスフィンオキサイドを難燃剤として用いる場合、ホスフィンオキサイドとしては、下記一般式(25)で示される化合物が好ましい。
Figure 2011252105
(ここで、R、R及びRは、炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基及び水素原子を示し、すべて同一でも異なってもよい。ただしすべてが水素原子である場合を除く。)
上記一般式(25)で示されるリン化合物の中でも、耐加水分解性の観点からは、R〜Rが置換又は非置換のアリール基であることが好ましく、特に好ましくはフェニル基である。
ホスフィンオキサイドの配合量は、封止用エポキシ樹脂組成物に対してリン原子の量が0.01〜0.2質量%であることが好ましい。より好ましくは0.02〜0.1質量%であり、さらに好ましくは0.03〜0.08質量%である。0.01質量%未満であると、難燃性が低下し、0.2質量%を超えると、成形性、耐湿性が低下する。
シクロホスファゼンとしては、主鎖骨格中に下記一般式(26)及び/又は下記一般式(27)を繰り返し単位として含む環状ホスファゼン化合物、あるいはホスファゼン環中の燐原子に対する置換位置が異なる下記一般式(28)及び/又は下記一般式(29)を繰り返し単位として含む化合物等が挙げられる。
Figure 2011252105
ここで、上記一般式(26)及び上記一般式(28)中のmは、1〜10の整数で、R〜Rは、置換基を有しても良い炭素数1〜12のアルキル基、アリール基及び水酸基から選ばれ、全て同一でも異なっていても良い。Aは、炭素数1〜4のアルキレン基又はアリレン基を示す。上記一般式(27)及び上記一般式(29)中のnは、1〜10の整数で、R〜Rは、置換基を有しても良い炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基から選ばれ、全て同一でも異なっていても良く、Aは、炭素数1〜4のアルキレン基又はアリレン基を示す。また、式中m個のR、R、R、Rは、m個全てが同一でも異なっていても良く、n個のR、R、R、Rは、n個全てが同一でも異なっていても良い。
上記一般式(26)〜(29)において、R〜Rで示される置換基を有しても良い炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基としては、特に制限はないが、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、メシチル基等のアルキル基置換アリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基等が挙げられ、さらにこれらに置換する置換基としては、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルアミノ基等が挙げられる。
これらの中で、エポキシ樹脂組成物の耐熱性、耐湿性の観点からは、アリール基が好ましく、より好ましくはフェニル基もしくはヒドロキシフェニル基である。
また、上記一般式(26)〜(29)中のAで示される炭素数1〜4のアルキレン基又はアリレン基としては、特に制限はないが、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基等が挙げられ、エポキシ樹脂組成物の耐熱性、耐湿性の観点からは、アリレン基が好ましく、中でもフェニレン基がより好ましい。
環状ホスファゼン化合物は、上記一般式(26)〜(29)のいずれかの重合物、上記一般式(26)と上記一般式(27)との共重合物、又は上記一般式(28)と上記一般式(29)との共重合物であるが、共重合物の場合、ランダム共重合物でも、ブロック共重合物でも、交互共重合物のいずれでも良い。その共重合モル比m/nは、特に限定するものではないが、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性や強度向上の観点から、1/0〜1/4が好ましく、1/0〜1/1.5がより好ましい。また、重合度m+nは、1〜20であり、好ましくは2〜8、より好ましくは3〜6である。
環状ホスファゼン化合物として好ましいものを例示すると、下記一般式(30)の重合物、下記一般式(31)の共重合物等が挙げられる。
Figure 2011252105
(ここで、上記一般式(30)中のnは、0〜9の整数で、R〜Rは、それぞれ独立に水素又は水酸基を示す。)
Figure 2011252105
ここで、上記一般式(31)中のm、nは、0〜9の整数で、R〜Rは、それぞれ独立に水素または水酸基から選ばれ、R〜Rは、それぞれ独立に水素または水酸基から選ばれる。また、上記一般式(31)で示される環状ホスファゼン化合物は、次に示すm個の繰り返し単位(a)とn個の繰り返し単位(b)を交互に含むもの、ブロック状に含むもの、ランダムに含むもののいずれであってもかまわないが、ランダムに含むものが好ましい。
Figure 2011252105
中でも、上記一般式(30)でnが3〜6の重合体を主成分とするものや、上記一般式(31)でR〜Rが全て水素又は1つが水酸基であり、m/nが1/2〜1/3で、m+nが3〜6の共重合体を主成分とするものが好ましい。また、市販のホスファゼン化合物としては、SPE−100(大塚化学株式会社製、商品名)が入手可能である。
複合金属水酸化物を難燃剤として用いる場合、複合金属水酸化物は、下記組成式(32)で示される化合物が好ましい。
Figure 2011252105
(ここで、M、M及びMは、互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、e、f、p、q及びmは正の数、rは0又は正の数を示す。)
中でも、上記組成式(32)中のrが0である化合物、すなわち、下記組成式(33)で示される化合物がさらに好ましい。
Figure 2011252105
(ここで、M及びMは、互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、p、q及びlは正の数を示す。)
上記組成式(32)及び(33)中のM、M及びMは、互いに異なる金属元素であれば特に制限はないが、難燃性の観点からは、MとMが同一とならないようにMが第3周期の金属元素、IIA族のアルカリ土類金属元素、IVB族、IIB族、VIII族、IB族、IIIA族及びIVA族に属する金属元素から選ばれ、MがIB族、IIB族及びVIII族の遷移金属元素から選ばれることが好ましく、Mがマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スズ、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれ、Mが鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれることがより好ましい。流動性の観点からは、Mがマグネシウム、Mが亜鉛又はニッケルであることが好ましく、Mがマグネシウムで、Mが亜鉛であることがより好ましい。
上記組成式(32)中のp、q、rのモル比は本発明の効果が得られれば特に制限はないが、r=0で、p及びqのモル比p/qが、99/1〜50/50であることが好ましい。
市販品としては、例えば、上記組成式(33)のMがマグネシウム、Mが亜鉛で、pが7、qが3、lが10で、a、b、c及びdが1である水酸化マグネシウム・水酸化亜鉛固溶体複合金属水酸化物(タテホ化学工業株式会社製、商品名:エコーマグZ−10)を使用できる。なお、金属元素とは、半金属元素といわれるものも含めるものとし、非金属元素を除く全ての元素をさす。
なお、金属元素の分類は、典型元素をA亜族、遷移元素をB亜族とする長周期型の周期率表(出典:共立出版株式会社発行「化学大辞典4」1984年3月15日縮刷版第28刷)に基づいて行った。
複合金属水酸化物の形状は、特に制限はないが、流動性、充填性の観点からは、平板状より、適度の厚みを有する多面体形状が好ましい。複合金属水酸化物は、金属水酸化物と比較して多面体状の結晶が得られやすい。
複合金属水酸化物の配合量は、特に制限はないが、封止用エポキシ樹脂組成物に対して0.5〜20質量%が好ましく、0.7〜15質量%がより好ましく、1.4〜12質量%がさらに好ましい。0.5質量%未満では、難燃性が不十分となる傾向があり、20質量%を超えると、流動性及び耐リフロー性が低下する傾向がある。
トリアジン環を有する化合物としては、フェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物を共縮重合させたものが、難燃性、銅フレームとの接着性の観点から好ましい。フェノール性水酸基を有する化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール等のアルキルフェノール類、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等の多価フェノール類、フェニルフェノール、アミノフェノール、又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類あるいはこれらのフェノール性水酸基を有する化合物とホルムアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂等がある。中でも、成形性の観点からは、フェノール、クレゾール、あるいはこれらとホルムアルデヒドとの共縮重合物が好ましい。また、トリアジン誘導体としては、分子中にトリアジン核を有するものであれば特に限定はなく、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のグアナミン誘導体、シアヌル酸、メチルシアヌレート等のシアヌル酸誘導体が挙げられ、1種類のみまたは2種類以上の併用も可能である。中でも、成形性、信頼性の観点からは、メラミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン誘導体が好ましい。また、アルデヒド基を有する化合物としては、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する化合物に対するアルデヒド基を有する化合物の配合量は、モル比(アルデヒド基を有する化合物(モル)/フェノール性水酸基を有する化合物(モル))で0.05〜0.9になるようにすることが好ましく、0.1〜0.8とすることがより好ましい。0.05未満では、フェノール性水酸基に対するアルデヒド基を有する化合物の反応が起こりにくく、未反応フェノールが残りやすく、生産性が悪く、0.9を超えると、合成中ゲル化しやすくなる。
フェノール性水酸基を有する化合物に対するトリアジン誘導体の配合量は、1〜30質量%とすることが好ましく、さらには5〜20質量%とすることがより好ましい。1質量%未満では、難燃性に乏しく、30質量%を超えると、軟化点が高くなり、組成物作製時の混練性が低下する。トリアジン誘導体に対するアルデヒド基を有する化合物の配合量(モル比)は、特に制限はない。
フェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合物の合成時の反応温度は特に制限はないが、60〜120℃で行うことが好ましい。また、反応のpHは、3〜9が好ましく、4〜8がさらに好ましい。pHが3未満では、合成中に樹脂がゲル化し易く、9より高いと、フェノール樹脂とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合が起こりにくくなり、製造した樹脂の窒素含有量が低くなる。
なお、本発明において反応液のpHは、pHメータ(例えば、横河電機株式会社製の型番PH81)で測定する。標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液pH:4.01(25℃)、中性りん酸塩pH緩衝液pH:6.86(25℃))を用いて、2点校正した後、電極を反応液に入れて、2分以上経過して安定した後の値を採用する。
必要に応じて、フェノール性水酸基を有する化合物にアルデヒド基を有する化合物、トリアジン誘導体を反応させた後、常圧または減圧下での加熱蒸留等で、未反応のフェノール化合物及びアルデヒド基を有する化合物等を除去することができる。この時、未反応フェノール化合物の残存量が3%以下であることが好ましい。3%を超える場合は、成形性が低下する傾向がある。
また、得られた共縮重合物の軟化点は、40〜150℃であることが好ましい。40℃未満であると、ブロッキングしやすく、150℃を超える場合は、組成物の混練性が低下する。このフェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合物を例示するならば、下記構造式(34)〜(39)のものが挙げられる(n,mは正の整数)。
Figure 2011252105
フェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合物の数平均分子量は、500〜1000であることが好ましく、550〜800であることがさらに好ましい。500未満であると、成形性、耐リフロークラック性が低下し、1000を超える場合は、流動性が低下する傾向がある。また、重量平均分子量は、1500〜10000であることが好ましく、1700〜7000であることがさらに好ましい。1500未満であると、耐リフロークラック性が低下し、10000を超える場合は、流動性が低下する傾向がある。さらに、このフェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合物の分子量分布Mw/Mnは、2.0〜10.0であることが好ましく、3.0〜6.0であることがさらに好ましい。2.0未満であると、耐リフロークラック性が低下し、10.0を超える場合は、流動性が低下する傾向がある。
上記共縮重合物の中でも、フェノール樹脂とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共重縮合物であることが、耐リフロー性の観点からより好ましい。ここで用いられるフェノール樹脂としては、組成物で一般に使用されているもので特に限定はなく、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール等のアルキルフェノール類、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等の多価フェノール類、α−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類又はフェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール誘導体とホルムアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂等がある。中でも、成形性の観点からは、フェノールとホルムアルデヒドとの重縮合物であるフェノールノボラック樹脂が好ましい。
フェノール樹脂は、上記に列挙したようなものであれば、特にその合成方法は限定するものではないが、下記に示す方法により合成したものを用いた場合、その分子量、分子量分布を本発明で記載する好ましい範囲のものとして合成可能であるという点で、好適である。すなわち、フェノール樹脂を合成する際、フェノール誘導体とアルデヒド基を有する化合物の使用割合は、フェノール誘導体1モルに対してアルデヒド基を有する化合物が0.01〜2.0モルとすることが好ましく、0.05〜1.0モルとすることがより好ましい。0.01モル未満では、反応が不十分となり、分子量が上がらず、成形性、耐熱性、耐水性、難燃性、強度等が低下する傾向があり、2.0モルを超えると、分子量が大きくなりすぎて、混練性が低下する傾向がある。
この反応温度は、80〜220℃とすることが好ましく、100〜180℃とすることがより好ましい。80℃未満では、反応性が不充分となり、分子量が小さく、成形性が低下する傾向があり、220℃を超えると、フェノール樹脂を合成する際に、生産設備的に不利となる傾向がある。反応時間は、1〜30時間程度とすることが好ましい。
また、必要に応じてトリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン系触媒、p−トルエンスルホン酸、蓚酸等の酸触媒、水酸化ナトリウム、アンモニア等のアルカリ触媒等を、フェノール誘導体1モルに対して、0.00001〜0.01モル程度使用してもよい。また、反応系のpHは、1〜10程度とすることが好ましい。
このようにして、フェノール誘導体及びアルデヒド基を有する化合物を反応させた後、必要に応じて、未反応のフェノール誘導体、アルデヒド基を有する化合物、水等を加熱減圧下に除去することができるが、その条件は、一般的に、温度が80〜220℃、望ましくは100〜180℃、圧力が100mmHg以下、望ましくは60mmHg以下、時間が0.5〜10時間とすることが好ましい。
フェノール樹脂に、トリアジン誘導体及びアルデヒド基を有する化合物を添加し、反応させる際のトリアジン誘導体及びアルデヒド基を有する化合物の使用割合は、フェノール誘導体とアルデヒド基を有する化合物との重縮合物(フェノール樹脂)(未反応のフェノール誘導体、アルデヒド基を有する化合物、水等を加熱減圧下に除去したもの、あるいは前記除去を行っていないもの(この場合は、未反応フェノールも重縮合物の質量に含むこととする))100g対して、トリアジン誘導体を3〜50gとすることが好ましく、4〜30gとすることがより好ましい。また、アルデヒド基を有する化合物は、重縮合物(フェノール樹脂)100g対して、5〜100gとすることが好ましく、6〜50gとすることがより好ましい。トリアジン誘導体及びアルデヒド基を有する化合物を上記のような範囲とすることで、最終的に得られる重縮合物の分子量分布、窒素含有量を所望の範囲に容易に調整することができる。
反応温度は、50〜250℃とすることが好ましく、80〜170℃とすることがより好ましい。50℃未満では、反応が不充分となり、分子量が上がらず、成形性、耐熱性、耐水性、難燃性、強度等が低下する傾向があり、250℃を超えると、合成する際に、生産設備的に不利となる傾向がある。反応時間は、1〜30時間程度とすることが好ましい。
また、必要に応じてトリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン系触媒、蓚酸等の酸触媒を、フェノール誘導体1モルに対して、0.00001〜0.01モル程度使用してもよい。
また、反応系のpHは、1〜10程度とすることが好ましい。フェノール誘導体とアルデヒド基を有する化合物との重縮合物(フェノール樹脂)と、トリアジン誘導体及びアルデヒド基を有する化合物との反応の後、未反応のフェノール誘導体、アルデヒド基を有する化合物、水等を加熱減圧下に除去することができるが、その条件は、温度が80〜180℃、圧力が100mmHg以下、望ましくは60mmHg以下、時間が0.5〜10時間とすることが好ましい。合成に用いるトリアジン誘導体としては、分子中にトリアジン核を有する化合物であれば特に限定はなく、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のグアナミン誘導体、シアヌル酸、メチルシアヌレート等のシアヌル酸誘導体等が挙げられ、1種類のみまたは2種類以上の併用も可能である。中でも、成形性、信頼性の観点からは、メラミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン誘導体が好ましい。また、アルデヒド基を有する化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。
また、本発明では、さらなる反り低減の観点からケイ素含有重合物を含有してもよい。ケイ素含有重合物としては、下記の一般式(c)及び(d)で示される結合を有し、末端がR、水酸基及びアルコキシ基から選ばれた官能基であり、エポキシ当量が500〜4000であれば特に制限はないが、このような重合物として、例えば、分岐状ポリシロキサン等が挙げられる。
Figure 2011252105
(ここで、Rは、炭素数1〜12の置換または非置換の1価の炭化水素基から選ばれ、ケイ素含有重合物中の全Rはすべてが同一でも異なっていてもよい。Xは、エポキシ基を含む1価の有機基を示す。)
上記一般式(c)及び(d)中のRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられ、中でも、メチル基又はフェニル基が好ましい。
また、上記一般式(d)中のXとしては、2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基等が挙げられ、中でも3−グリシドキシプロピル基が好ましい。
また、ケイ素含有重合物の末端は、重合物の保存安定性の点から、前述のR、水酸基及びアルコキシ基のいずれかである必要がある。この場合のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられる。さらに、ケイ素含有重合物のエポキシ当量は、500〜4000の範囲であることが好ましく、より好ましくは1000〜2500である。500未満であると、封止用エポキシ樹脂組成物の流動性が低下する傾向にあり、4000を超えると、硬化物表面に染み出しやすく、成形不良を起こし易い傾向にある。ケイ素含有重合物は、さらに下記の一般式(e)で示される結合を有することが、得られる封止用エポキシ樹脂組成物の流動性と低反り性の両立の観点から好ましい。
Figure 2011252105
(ここで、Rは、ケイ素含有重合物中の全Rに対して炭素数1〜12の置換又は非置換の1価または2価の炭化水素基から選ばれ、ケイ素含有重合物中の全Rは、すべてが同一でも異なっていてもよい。)
上記一般式(e)中のRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられ、中でも、メチル基またはフェニル基が好ましい(2価の炭化水素基は、上記のRからH原子1個を除いてもの)。
このようなケイ素含有重合物の軟化点は、40〜120℃に設定されることが好ましく、50〜100℃に設定されることがより好ましい。40℃未満であると、得られる封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物の機械強度が低下する傾向にあり、120℃を超えると、封止用エポキシ樹脂組成物中へのケイ素含有重合物の分散性が低下する傾向にある。ケイ素含有重合物の軟化点を調整する方法としては、ケイ素含有重合物の分子量、構成結合単位(例えば(c)〜(e)含有比率等)、ケイ素原子に結合する有機基の種類を設定することで可能であるが、特に封止用エポキシ樹脂組成物へのケイ素含有重合物の分散性及び得られる封止用エポキシ樹脂組成物の流動性の観点から、ケイ素含有重合物中のアリール基の含有量を設定して軟化点を調整することが好ましい。この場合のアリール基とは、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられ、フェニル基がより好ましい。ケイ素含有重合物中のケイ素原子に結合した一価の有機基中のフェニル基の含有量を、好ましくは60〜99モル%、より好ましくは70〜85モル%に設定することで、所望の軟化点を有するケイ素含有重合物を得ることができる。
ケイ素含有重合物の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値で、好ましくは1000〜30000、より好ましくは2000〜20000、さらに好ましくは3000〜10000である。また。ケイ素含有重合物は、ランダム共重合体であることが好ましい。
このようなケイ素含有重合物は、以下に示す製造方法により得ることができるが、市販品としては、東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:AY42−119として入手可能である。
ケイ素含有重合物の製造方法は、特に制限なく公知の方法で製造することができる。例えば、加水分解縮合反応により上記(c)〜(e)単位を形成し得るオルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、シロキサン、あるいはそれらの部分加水分解縮合物を原料及び反応生成物を溶解可能な有機溶剤と原料のすべての加水分解性基を加水分解可能な量の水との混合溶液中に混合し、加水分解縮合反応させて得ることができる。この際、封止用エポキシ樹脂組成物中に不純物として含有される塩素量を低減させるためにオルガノアルコキシシラン及び/またはシロキサンを原料とすることが好ましい。この場合、反応を促進する触媒として、酸、塩基、有機金属化合物を添加することが好ましい。
ケイ素含有重合物の原料となるオルガノアルコキシシラン及び/またはシロキサンとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、フェニルビニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(フェニル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(フェニル)ジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(フェニル)ジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(フェニル)ジエトキシシラン、およびこれらの加水分解縮合物等が挙げられる。
ケイ素含有重合物の含有量は封止用エポキシ樹脂組成物全体の0.2質量%〜1.5質量%が好ましく、0.3〜1.3質量%がさらに好ましい。0.2質量%未満では、ケイ素含有重合物の添加効果が見られず、1.5質量%を超えると、得られる封止用エポキシ樹脂組成物の熱時硬度が低下する傾向にある。
また、本発明では、必要に応じて下記組成式(40)で表される化合物及び/又は下記組成式(41)で表される化合物をIC等の半導体素子の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から含有することができる。
Figure 2011252105
(0<x≦0.5、mは正の数)
Figure 2011252105
(0.9≦x≦1.1 0.6≦y≦0.8 0.2≦z≦0.4)
なお、上記組成式(40)の化合物は市販品として協和化学工業株式会社製、商品名:DHT−4Aとして入手可能である。また、上記組成式(41)の化合物は、市販品として東亞合成株式会社製、商品名:IXE500として入手可能である。また、必要に応じてその他の陰イオン交換体を添加することもできる。陰イオン交換体としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、例えば、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン等から選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、その他の添加剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、エステル系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、ポリエチレン、酸化ポリエチレン等の離型剤、カーボンブラック等の着色剤、シリコーンオイルやシリコーンゴム粉末等の応力緩和剤等を必要に応じて配合することができる。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は、各種原材料を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できるが、一般的な手法として、所定の配合量の原材料をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機、らいかい機、プラネタリミキサ等によって混合又は溶融混練した後、冷却し、必要に応じて脱泡、粉砕する方法等を挙げることができる。また、必要に応じて成形条件に合うような寸法及び質量でタブレット化してもよい。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物を封止材として用いて、半導体装置等の電子部品装置を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等も挙げられる。ディスペンス方式、注型方式、印刷方式等を用いてもよい。
本発明で得られる封止用エポキシ樹脂組成物により封止した素子を備えた本発明の電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材や実装基板に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載し、必要な部分を本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で封止した、電子部品装置等が挙げられる。
ここで、実装基板としては、特に制限するものではなく、例えば、有機基板、有機フィルム、セラミック基板、ガラス基板等のインターポーザ基板、液晶用ガラス基板、MCM(Multi Chip Module)用基板、ハイブリットIC用基板等が挙げられる。
このような素子を備えた電子部品装置としては、例えば、半導体装置が挙げられ、具体的には、リードフレーム(アイランド、タブ)上に半導体チップ等の素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物を用いてトランスファ成形等により封止してなる、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の樹脂封止型IC、テープキャリアにリードボンディングした半導体チップを、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で封止したTCP(Tape Carrier Package)、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップを、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で封止したCOB(Chip On Board)、COG(Chip On Glass)等のベアチップ実装した半導体装置、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で封止したハイブリッドIC、MCM(Multi Chip Module)マザーボード接続用の端子を形成したインターポーザ基板に半導体チップを搭載し、バンプまたはワイヤボンディングにより半導体チップとインターポーザ基板に形成された配線を接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で半導体チップ搭載側を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)等が挙げられる。また、これらの半導体装置は、実装基板上に素子が2個以上重なった形で搭載されたスタックド(積層)型パッケージであっても、2個以上の素子を一度に封止用エポキシ樹脂組成物で封止した一括モールド型パッケージであってもよい。
次に、実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜19、比較例1〜6)
エポキシ樹脂として、エポキシ当量:190、及び軟化点:65℃のo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(新日化エポキシ製造株式会社製、商品名:YDCN−500)(エポキシ樹脂1)、硬化剤として、水酸基当量:100の上記一般式(1)のビスフェノールF(DIC株式会社製、商品名:DIC−BPF)(硬化剤1)、軟化点:80℃、水酸基当量:106の上記一般式(2)のフェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社製、商品名:H−1)(硬化剤2)、硬化促進剤として、トリフェニルホスフィン(硬化促進剤1)、カップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシシラン)(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:Z−6040)(カップリング剤1)、γ―アニリノプロピルトリメトキシシラン(アニリノシラン)(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:Z−6883)(カップリング剤2)、添加剤として、硫黄系添加剤(大内新興化学工業株式会社製、商品名:ノクタイザーSS)(添加剤1)、エポキシ化大豆油(株式会社ADEKA製、商品名:O−130P)(添加剤2)、コアシェル型可とう化剤(三菱レイヨン株式会社製、商品名:SRK−200E)(添加剤3)、難燃剤として、水酸化アルミニウム(日本軽金属株式会社製、商品名:BW103)、縮合型芳香族系リン酸エステル(大八化学工業株式会社製、商品名:PX−200)、三酸化アンチモン及びエポキシ当量:397、軟化点:69℃、臭素含量:49質量%のビスフェノールA型臭素化エポキシ樹脂(新日化エポキシ製造株式会社製、商品名:YDB−400)、無機充填剤として、平均粒径:14.5μm、比表面積:2.8m/gの球状溶融シリカ、その他の添加剤として、カルナバワックス(クラリアント社製、商品名)及びカーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名:MA−100)をそれぞれ表1〜表3に示す質量部で配合し、混練温度:80℃、混練時間:10分の条件でロール混練を行い、実施例1〜19、比較例1〜6の封止用エポキシ樹脂組成物を作製した。
Figure 2011252105
Figure 2011252105
Figure 2011252105
作製した実施例1〜19、比較例1〜6の封止用エポキシ樹脂組成物の特性を、次の各試験により求めた。結果を表4〜表6に示す。
(1)スパイラルフロー
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、封止用エポキシ樹脂組成物を、トランスファ成形機により、金型温度:180℃、成形圧力:6.9MPa、硬化時間:90秒の条件で成形し、流動距離(cm)を求めた。
(2)熱時硬度
封止用エポキシ樹脂組成物を、上記(1)の成形条件で直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計を用いて測定した。
(3)難燃性
厚さ:1/8インチの試験片を成形する金型を用いて、封止用エポキシ樹脂組成物を上記(1)の成形条件で成形して、さらに180℃で5時間後硬化を行い、UL−94試験法に従って難燃性を評価した。
(4)耐リフロー性
(4.1)Cuリードフレーム
寸法:8mm×10mm×0.4mmのシリコンチップを搭載した外形寸法:20mm×14mm×2mmの80ピンフラットパッケージ(QFP)(リードフレーム材質:銅合金、ダイパッド部上面およびリード先端銀メッキ処理品)を、封止用エポキシ樹脂組成物を用いて上記(3)の条件で成形、後硬化して作製し、85℃、65%RH、168hrの条件で加湿して、210℃、220℃、230℃、10秒の条件でリフロー処理を行い、クラックの有無を観察し、試験パッケージ数(5個)に対する剥離、クラック発生パッケージ数で評価した。
(5)耐湿性
5μm厚の酸化膜上に線幅:10μm、厚さ:1μmのアルミ配線を施した寸法:6mm×6mm×0.4mmのテスト用シリコンチップを搭載した外形寸法:20mm×14mm×2.7mmの80ピンフラットパッケージ(QFP)を、封止用エポキシ樹脂組成物を用いて上記(3)の条件で成形、後硬化して作製し、前処理を行った後、加湿して所定時間毎にアルミ配線腐食による断線不良を調べ、試験パッケージ数(10個)に対する不良パッケージ数で評価した。
なお、前処理は、85℃、85%RH、72時間の条件でフラットパッケージを加湿後、215℃、90秒間のベーパーフェーズリフロー処理を行った。その後の加湿は0.2MPa、121℃の条件で行った。
(6)高温放置特性
5μm厚の酸化膜上に、線幅:10μm、厚さ:1μmのアルミ配線を施した5mm×9mm×0.4mmのテスト用シリコンチップを、部分銀メッキを施した42アロイのリードフレーム上に銀ペーストを用いて搭載し、サーモニック型ワイヤボンダにより、200℃でチップのボンディングパッドとインナリードをAu線にて接続した16ピン型DIP(Dual Inline Package)を、封止用エポキシ樹脂組成物を用いて上記(3)の条件で成形、後硬化して作製して、200℃の恒温槽中に保管し、所定時間毎に取り出して導通試験を行い、試験パッケージ数(10個)に対する導通不良パッケージ数で、高温放置特性を評価した。
Figure 2011252105
Figure 2011252105
Figure 2011252105
硬化剤として、上記一般式(1)で示される化合物を配合していない比較例1〜6のうち、比較例1〜6は、耐リフロー性が劣っている。また、比較例2、4及び5は、難燃性が劣っており、UL−94 V−0を達成していない。さらには、比較例6は、高温放置特性が劣っている。
これに対し、硬化剤として、上記一般式(1)で示される化合物を含有している実施例1〜19は、耐リフロー性が良好で、実施例17を除いては、UL−94 V−0を達成し、難燃性が良好で、また成形性も良好である。さらには、耐湿性及び高温放置といった信頼性にも優れている。

Claims (6)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤を含有し、(B)硬化剤が、下記一般式(1)で示される化合物を含有する封止用エポキシ樹脂組成物。
    Figure 2011252105
    (ここで、R〜Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数6〜10のアリール基、及び炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜20の整数を示す。)
  2. (B)硬化剤として、さらに下記一般式(2)で示される化合物を含有する請求項1に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
    Figure 2011252105
    (ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
  3. (B)硬化剤として上記一般式(1)で示される化合物と、上記一般式(2)で示される化合物とを含有し、(1)の含有量が、(1)と(2)の総和に対して、5〜80質量%である請求項1又は2に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
  4. さらに(C)難燃剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
  5. (C)難燃剤として、水酸化アルミニウムを含有する請求項4に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物で封止された素子を備えた電子部品装置。
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