JP2009105012A - 金属蒸気放電灯及び照明器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】変退色を抑制するとともに、特殊演色性評価係数R9を中心とする赤の見え方を改善することを課題とする。
【解決手段】外管バルブ3と、この外管バルブ3の外面に形成された紫外線カット膜5を有した金属蒸気放電灯1であり、紫外線カット膜5はインジウムがドープされた酸化亜鉛粒子とコバルトおよびアルミニウムの少なくとも一種を主成分とする複合酸化物からなる粒子を主体とした膜であり、光学特性として波長600nmの光のカット率が20〜50%、特殊演色性評価係数R9が60以上であり、かつ光学特性として50%カット波長が390〜425nmであることを特徴とする金属蒸気放電灯。
【選択図】 図3
【解決手段】外管バルブ3と、この外管バルブ3の外面に形成された紫外線カット膜5を有した金属蒸気放電灯1であり、紫外線カット膜5はインジウムがドープされた酸化亜鉛粒子とコバルトおよびアルミニウムの少なくとも一種を主成分とする複合酸化物からなる粒子を主体とした膜であり、光学特性として波長600nmの光のカット率が20〜50%、特殊演色性評価係数R9が60以上であり、かつ光学特性として50%カット波長が390〜425nmであることを特徴とする金属蒸気放電灯。
【選択図】 図3
Description
本発明は、紙繊維などの変退色原因となる紫外線をカットした紫外線カット膜を備えた金属蒸気放電灯及びこの放電灯を備えた照明器具に関する。
周知の如く、紫外線カット膜を設けた高圧放電ランプ及び該ランプを利用した照明器具は、紫外線及び一部青色光を必要としない生物等の損傷防止や紙・布等の劣化防止、低誘虫用など照明に主として利用されている。
従来の紫外線カット膜を設けた高圧放電ランプは、点灯中外管バルブが高温になるため、外管バルブの外表面に耐久性及びコストの点で優れた酸化亜鉛粒子を主成分とする紫外線吸収皮膜を形成した紫外線カットフィルタ付きランプが知られている(例えば特許文献1)。
また、例えば紫外線をカットするための膜材料には、酸化亜鉛(ZnO)系材料が主に使用されている。ここで、紫外線をカットするために使用されているZnO系被膜は、50%カット波長が約380nm以下であるが、紫外線による劣化防止の効果を向上させるためにはより長波長側の光をカットすることが望ましい。このため、例えばBiまたはInをドープしたZnO系材料を用いた紫外線カット膜が提案されている。
高圧放電ランプの外方に放射される紫外線量をさらに抑制するために、石英製発光管又は外管バルブの表面に平均粒径0.5μm以下の酸化亜鉛の被膜を形成することも提案されている(特許文献2)。
ガラスバルブの外表面に紫外線抑制剤を混入したフッ素樹脂よりなる被膜を形成した、光拡散形管球が提案されている(特許文献3)。この管球に形成された被膜は、紫外線抑制剤の粒径、フッ素樹脂に対する紫外線抑制剤の含有率を特定の数値範囲に規制することによって防爆作用、紫外線カット作用及び光拡散作用を実現し、且つ被膜強度を高くして剥離を防止することができる。
特開2001−143657号公報
特開平3−34254号公報
特開平3−295149号公報
上述したように、ZnO微粒子材料またはInドープZnO系の材料を用いて紫外線カット膜を形成すれば、変退色を抑制することが可能である。一方、セラミックバルブを発光管に適用したいわゆるセラミックメタルハライドランプは、その特性上、平均演色評価数Raが90以上と高くなり、好適な照明空間を作り出すことが可能である。しかし、上述した紫外線カット膜を形成した場合には、セラミックメタルハライドランプであってもそのカット波長の特性から、特殊演色性評価係数R9が低下してしまい、特に赤色の見え方が悪くなってしまう。
本発明は、こうした問題点に鑑みなされたもので、変退色を抑制するとともに、特殊演色性評価係数R9を中心とする赤色の見え方を改善した金属蒸気放電灯及び照明器具を提供することを目的とする。
請求項1記載の金属蒸気放電灯は、外管バルブと、この外管バルブの外面に形成された紫外線カット膜を有した金属蒸気放電灯であり、紫外線カット膜はインジウムがドープされた酸化亜鉛(ZnO)粒子とコバルトおよびアルミニウムの少なくとも一種を主成分とする複合酸化物からなる粒子を主体とした膜であり、光学特性として波長600nmの光のカット率が20〜50%、特殊演色性評価係数R9が60以上であり、かつ光学特性として50%カット波長が390〜425nmであることを特徴とする。
複合酸化物の粒子はコバルトおよびアルミニウムのうちいずれか一方が酸化物換算で50質量%以上占めるものであり、他の組成はカット波長の特性が損われなければ特段制約されず、例えばクロム(Cr)等を有していてもよい。なお、カット波長の特性上、最も好ましいのはコバルトとアルミニウムとの組み合わせによる複合酸化物である。「50%カット波長」とは、紫外線カット膜が形成された外管バルブの透光性基材を含んだ透過率のうち、紫外線に近い短波長側の可視光帯域でカット作用により減少する透過率の値が50%となった波長を意味する。
請求項2記載の金属蒸気放電灯は、前記紫外線カット膜の膜厚が0.3μm〜2μmで、前記インジウムがドープされた酸化亜鉛粒子の平均粒径が100nm〜200nmであることを特徴とする。
請求項3記載の照明器具は、器具本体と、この器具本体に配設された請求項1若しくは請求項2記載の金属蒸気放電灯とを具備することを特徴とする。
請求項3記載の照明器具は、器具本体と、この器具本体に配設された請求項1若しくは請求項2記載の金属蒸気放電灯とを具備することを特徴とする。
請求項1記載の金属蒸気放電灯によれば、インジウムがドープされた酸化亜鉛粒子とコバルトおよびアルミニウムの少なくとも一種を主成分とする複合酸化物粒子を主体とした被膜を用いることによって光学特性としての600nmを中心としたカット率、特殊演色性評価係数R9、及び50%カット波長を上述したように規定することにより、色温度を大幅に変化させることなく、変退色を抑制することができ、更にR9を中心とする見え方を改善でき、変退色抑制と超高演色のメタルハライドランプで金属蒸気放電灯が実現できる。
請求項2記載の金属蒸気放電灯によれば、紫外線カット膜の膜厚、酸化亜鉛粒子の平均粒径を上記のように規定することにより、高い透過率と誘虫性を低減する効果が高いランプ又は照明器具を得ることができる。
請求項3記載の照明器具によれば、請求項1又は2記載の金属蒸気放電灯を備えているので、種々の発光特性や電気特性に優れた照明器具が得られる。
請求項3記載の照明器具によれば、請求項1又は2記載の金属蒸気放電灯を備えているので、種々の発光特性や電気特性に優れた照明器具が得られる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本発明の金属蒸気放電灯において、紫外線カット膜は外管バルブの外面に形成される。
本発明の金属蒸気放電灯において、紫外線カット膜は外管バルブの外面に形成される。
この紫外線カット膜の望ましい光学特性は、波長600nmを中心とする光カット率が20〜50%であり、特殊演色性評価係数R9が60以上、好ましくは80以上であり、かつ50%カット波長が390〜425nmである。ここで、50%カット波長が390nmより短波長側であると、ZnO微粒子を用いた従来の紫外線カット膜とほぼ同程度の効果しか得られずそれ以上の低誘虫効果は望めない。また、50%カット波長が波長425nmよりも長波長側になると、カット膜の透過光が黄色味を帯びてくるため被照明物を自然な色で照明できなくことから望ましくない。
紫外線カット膜はその厚さによって波長に対する透過率特性が異なる。図1は、本実施形態の紫外線カット膜を例えばパイレックス(登録商標)ガラス等からなる透光性基板に形成し、この被膜の厚さを変えたときの透過率と波長との関係を調べた結果を示すグラフである。図1において、曲線(a)は例えば膜厚約1.0μmで、曲線(b)はその2倍の膜厚の紫外線カット膜の場合を示す。図1より、波長600nm付近で透過率が他の波長領域より小さいが、膜厚が大きい場合(曲線(b)の場合)は特にその特性が顕著であることが明らかである。
紫外線カット膜の膜厚を0.3〜2μm、インジウムドープ酸化亜鉛(ZnO:In)粒子の平均粒径を100nm〜200nmとすることによって、さらに高い透過率と誘虫性を低減する効果が高いランプ又は照明器具を得ることができる。
本発明において、外管バルブに紫外線カット膜を形成しなかったランプ、及び本実施形態の紫外線カット膜をコートしたランプについて、波長に対する相対放射エネルギー特性を調べたところ、図2に示す結果が得られた。なお、図2において、曲線(a)は膜なしのランプ、曲線(b)は本実施形態の紫外線カット膜付きランプの場合を示す。図2では、755nmから長波長側ではカット作用に差がないため、紫外線カットの有無ではほとんど同じ放射エネルギー特性を示している。図2より、曲線(b)の場合、曲線(a)と比べ、波長600nm付近で相対放射エネルギーが小さく抑えられていることが明らかである。なお、両曲線は途中でオーバーラップしている部分が多いが、便宜上、曲線(b)は太線で示している。
次に、本発明の具体的な実施形態について説明する。但し、本発明は下記に述べるものに限定されない。
(第1の実施形態)
図3は、本発明の第1の実施形態に係る金属蒸気放電灯の一例を示す。図中の符番1は金属蒸気放電灯としてのメタルハライドランプであり、発光管2を備えている。この発光管2の周囲には、発光管2を保護する透明な外管バルブ3が設けられている。前記外管バルブ3には、発光管2と導通する給電手段としてのE形口金4が取り付けられている。外管バルブ3の外面には紫外線カット膜5が形成されている。紫外線カット膜4はインジウムがドープされた酸化亜鉛(ZnO)粒子とコバルト(Co)およびアルミニウム(Al)を主成分とする複合酸化物からなる顔料系粒子を主体とした膜であり、光学特性として600nmを中心としてカット率20〜50%とし、特殊演色性評価係数R9が60以上であり、かつ光学特性として50%カット波長が390〜425nmである。この紫外線カット膜4のカット作用により、発光管2から放射される光のうち波長600nm付近の光が効果的にカットされ、またメタルハライドランプ1の外管バルブ3からは、ほとんど可視光だけが放射される。
(第1の実施形態)
図3は、本発明の第1の実施形態に係る金属蒸気放電灯の一例を示す。図中の符番1は金属蒸気放電灯としてのメタルハライドランプであり、発光管2を備えている。この発光管2の周囲には、発光管2を保護する透明な外管バルブ3が設けられている。前記外管バルブ3には、発光管2と導通する給電手段としてのE形口金4が取り付けられている。外管バルブ3の外面には紫外線カット膜5が形成されている。紫外線カット膜4はインジウムがドープされた酸化亜鉛(ZnO)粒子とコバルト(Co)およびアルミニウム(Al)を主成分とする複合酸化物からなる顔料系粒子を主体とした膜であり、光学特性として600nmを中心としてカット率20〜50%とし、特殊演色性評価係数R9が60以上であり、かつ光学特性として50%カット波長が390〜425nmである。この紫外線カット膜4のカット作用により、発光管2から放射される光のうち波長600nm付近の光が効果的にカットされ、またメタルハライドランプ1の外管バルブ3からは、ほとんど可視光だけが放射される。
前記紫外線カット膜4は、次のようにして外管バルブ3に形成する。即ち、まず、紫外線カット材料としてのInドープZnO粒子を、例えば水溶液中の酢酸亜鉛と塩化インジウムを加水分解後乾燥し、熱処理して製造する。この紫外線カット材料のインジウムドープ量は、Znに対して2.5〜20質量%である。この紫外線カット材料としてのInドープZnO粒子にCoおよびAlを主成分とする平均粒径10〜300nmの複合酸化物粒子(CoAl2O4)を質量比率10:90〜90:10の割合で混合し、この混合粒子をジエチレングリコールモノエチルエーテルなどの有機溶媒に分散させ、有機シリコン化合物からなるバインダーを混合してInドープZnO粒子および複合酸化物粒子10〜20質量%の範囲となるように所望の濃度の分散液を調整する。次に、この分散液を外管バルブ3の外表面に塗布し、紫外線カット材料膜を0.3〜2μmの範囲、例えば1μmで形成する。つづいて、この塗膜を180〜250℃で30分間熱処理して、紫外線カット膜5を形成する。
第1の実施形態によれば、光学特性として600nmを中心としてカット率20〜50%とし、600nm近傍の橙に相当するピークを調整することにより、色温度を大幅に変化させることなく、また変退色を抑制しかつ特殊演色性評価係数R9を中心とする見え方を改善できる。従って、セラミックメタルハライドランプに適用することで変退色を防止した金属蒸気放電灯を実現できる。
事実、リフレクタタイプの現行ランプ(従来例1)、第1の実施形態のような複合酸化物が混合されていない紫外線カット膜が形成されたセラミックメタルハライドランプ(従来例2)及び本発明に係る紫外線カット膜付高演色セラミックメタルハライドランプについて、夫々色温度(TCP)、色偏差(Duv.)、平均演色評価数(Ra)及び特殊演色性評価係数(R9〜R15)を調べたところ、下記表1に示す結果が得られた。表1より、本発明のランプの場合は、膜無しランプに対して色温度は若干高くなるが、紫外線カット作用に加えて色偏差は−2と低く、更に平均演色評価数も95と従来例2のランプよりも高く、さらには特殊演色性評価係数も91以上と高くなり、種々の光学特性に優れた数値を呈するランプであることが確認できた。
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係る照明器具を示す概略断面図である。但し、図3と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番11は、第1の実施形態と同様な光学特性を有する前記紫外線カット膜5を前面カバーガラス13に用いた照明器具を示す。金属蒸気放電灯14は、外管バルブ3に紫外線カット膜が設けられていないメタルハライドランプである。金属蒸気放電灯14は、照明器具11に収容して使用される。照明器具11、下面が開放された反射体15を有し、この反射対15の天井面にはソケット16を備えている。金属蒸気放電灯14は、その口金を蒸気ソケット16に螺合することにより照明器具11に取り付けられている。紫外線カット膜11は、第1の実施形態と同様な方法によりカバーガラス13に形成される。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る照明器具を示す概略断面図である。但し、図3と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番11は、第1の実施形態と同様な光学特性を有する前記紫外線カット膜5を前面カバーガラス13に用いた照明器具を示す。金属蒸気放電灯14は、外管バルブ3に紫外線カット膜が設けられていないメタルハライドランプである。金属蒸気放電灯14は、照明器具11に収容して使用される。照明器具11、下面が開放された反射体15を有し、この反射対15の天井面にはソケット16を備えている。金属蒸気放電灯14は、その口金を蒸気ソケット16に螺合することにより照明器具11に取り付けられている。紫外線カット膜11は、第1の実施形態と同様な方法によりカバーガラス13に形成される。
第2の実施形態の照明器具によれば、光色変化などがなく紫外線及び一部青色光を必要としない生物等の損傷防止や紙、布等の劣化防止、低誘虫用として最適な照明器具が得られる。
この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1,14…金属蒸気放電灯、2…発光管、3…外管バルブ、5,12…紫外線カット膜、11…照明器具、13…前面カバーガラス、15…反射体。
Claims (3)
- 外管バルブと、この外管バルブの外面に形成された紫外線カット膜を有した金属蒸気放電灯であり、
紫外線カット膜はインジウムがドープされた酸化亜鉛(ZnO)粒子とコバルトおよびアルミニウムの少なくとも一種を主成分とする複合酸化物からなる粒子を主体とした膜であり、光学特性として波長600nmの光のカット率が20〜50%、特殊演色性評価係数R9が60以上であり、かつ光学特性として50%カット波長が390〜425nmであることを特徴とする金属蒸気放電灯。 - 前記紫外線カット膜の膜厚が0.3μm〜2μmで、前記インジウムがドープされた酸化亜鉛粒子の平均粒径が100nm〜200nmであることを特徴とする請求項1記載の金属蒸気放電灯。
- 器具本体と、この器具本体に配設された請求項1若しくは請求項2記載の金属蒸気放電灯とを具備することを特徴とする照明器具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007278125A JP2009105012A (ja) | 2007-10-25 | 2007-10-25 | 金属蒸気放電灯及び照明器具 |
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
JP2011040734A (ja) * | 2009-07-17 | 2011-02-24 | Leader Well Technology Co Ltd | 酸化亜鉛バリスタを作製するための2つの独立した処理手順を介して酸化亜鉛バリスタを製造するプロセス |
-
2007
- 2007-10-25 JP JP2007278125A patent/JP2009105012A/ja active Pending
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JP2011040734A (ja) * | 2009-07-17 | 2011-02-24 | Leader Well Technology Co Ltd | 酸化亜鉛バリスタを作製するための2つの独立した処理手順を介して酸化亜鉛バリスタを製造するプロセス |
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