JP2010153221A - 高圧放電ランプおよび照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】演色性などの発光特性、特に赤色演色評価数R9に優れた高圧放電ランプおよび照明装置を提供。
【解決手段】気密容器内に発光物質および希ガスからなる放電媒体を封入した発光管4と、この発光管4包囲する外囲器1と、この外囲器1の表面に、点灯時、波長550〜600nm間に少なくとも1吸収ピークを有する有機化合物を含むシリコーン樹脂をコーティングして形成した可視選択吸収膜6とを具備えている高圧放電ランプLおよび照明装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、色温度などの発光特性を改善したメタルハライドランプなどの高圧放電ランプおよび照明装置に関する。
従来、食品や衣料などの赤を中心とする展示商品を照明する光源として、バルブにネオジウムガラスを用い波長582nm付近の黄色光をカットし赤を効果的に見せることのできるハロゲン電球などの電球が多用されていた。
これら電球に比べて高効率、高演色性、長寿命の光源として、店舗、工場、ホールやスポーツ施設などの照明用として、近時、高圧放電ランプが広く用いられるようになってきている。
そして、高圧放電ランプは、色温度3000〜4200K、平均演色評価数Raも比較的高く、ランプの用途に応じ発光物質を選択するなどして対処しているが、上記店舗などの照明用として用いられる高圧放電ランプは、色温度3000〜3500K、平均演色評価数Raは比較的高いものの赤色演色評価数R9が60〜70前後のものが殆どで、食品や衣料などにおいて赤色の見え方が悪くこれら商品の照明には不向きであった。
そこで、発光管や発光管を包囲する外囲管の表面に光干渉膜などからなるフィルター膜を形成して、可視光領域における短波長側の光出力を低減させ色温度は下げるが、平均演色評価数Raを維持ないしは高めながら赤色演色評価数R9も高めて赤の見え方を改善した高圧放電ランプが開発されている。
しかし、この高圧放電ランプは多重管構造内の石英ガラスが用いられた発光管の表面にフィルター膜が形成されたものであって、点灯時に相当高温になる発光管においては光学特性や膜強度が早期に劣化して発光特性の低下が早く生じるとともに被膜の形成作業を高温下で行わなければならないなどの問題があった。
この高圧放電ランプにおいては、近時、耐熱性や耐薬品性などに優れたアルミナなどのセラミックスからなる容器が用いられるようになりさらに諸発光特性の向上と発光管の小形化がはかれるようになってきた。
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、近時、耐熱性や耐薬品性などに優れたアルミナなどのセラミックスからなる容器が用いられるようになりさらに諸発光特性の向上と小形化がはかれるようになってきた発光管を用いた放電ランプに好適する、演色性などの発光特性、特に赤色演色評価数R9に優れた品質および作業性など生産性の向上がはかれた高圧放電ランプおよび照明装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の高圧放電ランプは、気密容器内に発光物質および希ガスからなる放電媒体を封入した発光管と;この発光管を包囲する外囲器と;この外囲器の表面に、点灯時、波長550〜600nm間に少なくとも1吸収ピークを有する有機化合物を含むシリコーン樹脂をコーティングして形成した可視選択吸収膜と;を具備していることを特徴とする。
上記構成の本発明の高圧放電ランプは、発光管を包囲して外囲器を形成する内管や外管などの表面に、波長550〜600nm間に少なくとも1つの吸収ピークを有し黄色光を低減して照射光の黄色味を減らす可視選択吸収膜が形成してあるので、600nm以上に発光ピークを有する赤色の見え方のよい、所定の発光特性を呈する高圧放電ランプを得ることができる。
この可視選択吸収膜は、発光管を封装する内管や内管を収容する外管あるいは発光管を囲うよう設けられた発光管の破損時、破片の飛散を防止する中管(シュラウド)などの外囲器を構成する多重管のいずれかの表面に形成されていれば上記作用を奏する高圧放電ランプを得ることができる。
なお、吸収膜の形成面は、外囲器の内側、外側いずれの側の表面でもよく、形成作業などを考慮して選べばよい。また、発光管の表面に直接の形成は、被膜の早期劣化を招くので好ましくない。
また、本発明では用途などを考慮すると定格電力が200W以下のランプに適用するのが好ましい。
なお、本発明および以下の各発明は下記の態様であることを許容する。
〔発光管について〕 本発明において、発光管はセラミックスまたは石英ガラスなどの硬質ガラスからなる透光性かつ耐熱性の材料から形成された略円筒状(T形)、略球状(G形など)、略楕円球状(T形やG形などの複合形)などをなす気密容器に、少なくとも一対の電極およびこの電極の支持と給電をなす電流導入導体ならびに放電媒体を備えている。特にセラミックス製の容器を用いる場合には、小形で高効率化をはかることができる。
〔電極について〕 電極は、透光性気密容器内に少なくても一対が封装されて先端が互いに離間して放電空間に臨んでいる。また、電極は、タングステン(W)、ドープドタングステン、レニウム(Re)、レニウム−タングステン合金(Re−W)またはモリブデン(Mo)などの耐火性金属を用いて形成することができる。また、電極軸が電極を兼ねてもよいがその表面積を大きくして放熱を良好にするために、必要に応じて例えばタングステン線のコイルを巻装していてもよい。
〔放電媒体について〕 放電媒体は、水銀や金属ハロゲン化物などおよび始動用の希ガスにより構成される。また、好適にはランプ電圧形成物質を含むことができる。
金属ハロゲン化物の場合は、少なくとも発光金属のハロゲン化物を含むものとする。発光金属のハロゲン化物としては、既知の各種発光金属およびそれらの組み合わせの金属ハロゲン化物を用いることができる。
希ガスは、少なくとも高圧放電ランプを始動させるときに放電を開始させるのに寄与する。しかし、具体的なガスの種類は限定されない。一般照明用の高圧放電ランプの場合、好適にはアルゴン(Ar)ガスが用いられるが、アルゴン(Ar)とネオン(Ne)の混合ガスであってもよい。
ランプ電圧形成物質は、主として緩衝体として点灯中に一対の電極間に現れる電圧を形成するのに主体的に寄与する放電媒体であり、水銀および/または金属ハロゲン化物を用いることができる。ランプ電圧形成物質としての金属ハロゲン化物には、蒸気圧の比較的高い金属のハロゲン化物などを用いることができる。
〔外囲器について〕 外囲器とは二重管構造の場合は発光管を封装する内管を、また、三重管構造の場合はこの内管およびこの内管を収容する外管あるいは発光管を囲うよう設けられた発光管の破損時、破片の飛散を防止する中管(シュラウド)および中管を収容する外管を指す。また、PAR形などの反射形の容器の場合は、光放射をするレンズなどの前面透光部部分およびこの前面部分に連接する反射体部を外管(外囲器)と称する。
内管の材質は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラスあるいはソーダライムガラスなど特段限定されない。しかし、内管を石英ガラスで形成することにより耐熱性が向上するので、小形化を図ることができる。内管は、外管で覆われるので、指で直接内管を触れることがなくなり、内管が汚損することもない。
また、一般照明用の高圧放電ランプとしては、内管内部を真空または不活性ガス(例えば、窒素(N)やアルゴン(Ar)など)雰囲気にするのが一般的であり、また、内管は、発光管を所要に始動するために必要に応じて始動用の部品要素、例えば紫外線発生源、高電圧パルス発生器または近接導体などを内部の所定位置に収納することができる。
外管は、硬質ガラスや半硬質ガラスを用いて、T形、BT形、PAR形やR形など各種形状の管を所望に応じて適宜選び採用することができる。また、発光管や内管などを内蔵する外管の態様は、外部に対して気密および連通のいずれであってもよい。
〔可視選択吸収膜について〕 可視選択吸収膜は、波長550〜600nm間に少なくとも1つの吸収ピークを有し黄色光を低減し照射光の黄色味を減らし、かつ、波長600nm以上に発光ピークを有し吸収した光で元々不足している赤色の発光を補正する。この吸収膜の形成材料としては、例えば約574nm付近に吸収ピークがあるジオキサジンバイオレット超微粒子などの有機化合物を含むシリコーン樹脂を用いることができる。
シリコーン樹脂は高温環境下で使用しても初期の膜強度、透光性能が低下しにくいので本発明の成膜材料として好適である。100℃以上の高温下での長期間使用にも耐えうる耐熱性シリコーン樹脂であれば更に好ましい。
この被膜の耐熱温度は約300℃程度で、高温となる発光管の容器では劣化して所定の作用効果を奏さないので、発光管を包囲する内管や中管あるいはこれらを収容する外管などの外囲器の内外面のいずれか一方の表面に形成する。
また、外管がPAR形やR形などの反射形状の場合は、前面の透光部側に吸収膜が形成される。
〔口金について〕 口金は、高圧放電ランプの本体をソケットに保持し、電源と電気的に接続する機能を果たすランプ構成要素であり、ねじ込み形(E形など)、差込み形(G形やS形など)、ピンなし差込み形やバイポスト形の口金など既知の多様な構造を採用することができる。
口金は、一般的には最外の外囲器の端部に接合固定される。固定手段は、接着剤を用いる場合、ランプ点灯中の動作温度に耐えるものであれば材質は特段限定されないが、耐熱性のセラミックス系の無機質接着剤が好適である。なお、接着剤を用いないで、嵌合、螺合やかしめなどの機械的な固着手段によって接合される態様でもよい。
本発明の請求項2に記載の高圧放電ランプは、発光管を包囲する外囲器が反射膜が形成された反射鏡部と前面透光部とからなり、この前面透光部の表面に可視選択吸収膜が形成されていることを特徴とする。
このPAR形やR形などの反射形の外管の場合は、光放射をするレンズなどの前面透光部の表面に吸収膜を形成することにより上記請求項1に記載と同様な作用を奏する高圧放電ランプを得ることができる。
なお、上記可視選択吸収膜の膜厚は、1〜10μmで形成されているのが好ましく、この膜厚範囲内としておくことにより、光学特性や被膜強度に影響を及ぼしたり、材料使用量の増加の抑制がはかれる高圧放電ランプを得ることができる。
本発明の請求項3に記載の高圧放電ランプは、上記可視選択吸収膜が酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウムのうちの少なくとも一種を含有し、膜厚が1〜10μmで形成されていることを特徴とする。
上記材料を添加することにより膜厚、透過率の調整がはかれるとともに被膜強度が向上した高圧放電ランプを得ることができる。
本発明の請求項4に記載の照明装置は、器具本体と;この器具本体内に配設されたソケットと;このソケットに装着された上記請求項1ないし3のいずれか一に記載された高圧放電ランプと;を具備していることを特徴とする。
上記請求項1ないし3のいずれか一に記載された高圧放電ランプが装着された照明装置(器具)であって、放電ランプが請求項1ないし3に記載された作用を奏するので、所定の発光特性を呈する照明を行うことができる。
なお、この照明装置(器具)は、本体内に反射体や光放射側に透光性のレンズや前面カバー部材が設けられていてもよい。
本発明の請求項5に記載の照明装置は、器具本体と;この器具本体に配設された反射体およびソケットと;このソケットに装着された、容器内に発光物質および希ガスからなる放電媒体を封入した発光管を外囲器内に収容してなる高圧放電ランプと;この器具本体の開口部を閉塞するよう設けられた透光性前面カバー部材と;この透光性カバー部材の表面に、高圧放電ランプの点灯時、波長550〜600nm間に少なくとも1吸収ピークを有する有機化合物を含むシリコーン樹脂をコーティングして形成した可視選択吸収膜と;を具備していることを特徴とする。
上記構成の本発明の照明装置は、器具本体の開口部を閉塞するよう設けられた透光性前面カバー部材の表面に、放電ランプの発光時、波長550〜600nm間に少なくとも1つの吸収ピークを有し黄色光を低減して照射光の黄色味を減らす可視選択吸収膜が形成してあるので、600nm以上に発光ピークを有する赤色の見え方のよい、所定の発光特性を呈する照明装置を得ることができる。
なお、この場合も上記可視選択吸収膜の膜厚は、1〜10μmで形成されているのが好ましく、この膜厚範囲内としておくことにより、光学特性や被膜強度に影響を及ぼしたり、材料使用量の増加の抑制がはかれる照明装置を得ることができる。
本発明の請求項6に記載の照明装置は、上記可視選択吸収膜が、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウムのうちの少なくとも一種を含有し、膜厚が1〜10μmで形成されていることを特徴とする。
上記材料を添加することにより膜厚、透過率の調整がはかれるとともに被膜強度の向上した照明装置を得ることができる。
なお、上記各照明装置(器具)は、器具本体内に点灯回路装置を備えていても、本体外に点灯回路装置を設け放電ランプと接続されるものであってもよい。
請求項1および2の発明によれば、照射光の黄色味を減らし赤色の見え方がよく、高い演色性を示すとともに、かつ、色偏差duvを−側に制御可能で変化が少ない、食品、衣料など暖色系の赤色を中心とする商品を照明するのに適する高圧放電ランプを提供することができる。
請求項3の発明によれば、発光特性、被膜強度や生産性に優れた高圧放電ランプを提供することができる。
請求項4の発明によれば、請求項1ないし4の少なくとも一に記載の効果を奏する高圧放電ランプを備えているので、諸発光特性に優れた照明装置(器具)を提供することができる。
請求項5の発明によれば、照射光の黄色味を減らし赤色の見え方がよく、高い演色性を示すとともに、かつ、色偏差duvを−側に制御可能で変化が少ない、食品、衣料など赤色を中心とする商品を照明するのに適する照明装置(器具)を提供することができる。
請求項6の発明によれば、発光特性、被膜強度や生産性に優れた照明装置(器具)を提供することができる。
なお、上記請求項4ないし6に記載の照明装置(器具)は、鮮魚、精肉、果物、野菜、生花などの色彩商品の照明、洋品店などの衣料などの照明あるいは家庭の食卓などの照明に用い効果が大きい。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明に関わる例えば定格ランプ電力が70Wの反射形の高圧放電ランプLを示す正面図である。
この高圧放電ランプLは、椀状の反射鏡部2と透光部を形成する前面レンズ3とからなる硬質ガラス製のPAR形の外管(バルブ)1内に発光管4が配設されるとともに反射鏡部2の基端部には口金5が接合されている。
そして、このPAR形の外管1は、反射鏡部2の内側または外側表面、ここでは内表面にアルミニウム(Al)などからなる反射膜(図示しない)が、また、前面レンズ3の内側または外側表面、ここでは外側表面に可視選択吸収膜6が形成されているとともに両者の重合した開口部において接着剤を介してや機械的な接合あるいは融合して一体的に構成されている。
上記発光管4は、詳細を図示しないが例えば透光性多結晶アルミナセラミックスからなる略球形状などをした気密容器の対向する部位にこの気密容器と連通して一対の封止体としての小径筒部が設けられ、この小径筒部内には電流導入導体が封止され、この電流導入導体の先端は放電空間を形成する気密容器内に突出して放電電極をなし、また、気密容器内には、発光金属として例えばナトリウム(Na)、タリウム(Tl)およびツリウム(Tm)などの希土類金属のグループから選択された金属のハロゲン化物、始動ガスとしてアルゴン(Al)および水銀(Hg)などからなる放電媒体を封入して構成された公知のメタルハライドランプである。
そして、この発光管4は、外管1を形成する反射鏡部2の基端部に封着されたステムやフェルール(金環)などに植設したリード線に反射鏡部2内の焦点付近に位置するよう支持されるとともにこのリード線を介し口金5と電気的な接続がなされている。
なお、本発明は高圧放電ランプLとして、発光管4を直接外管(バルブ)1内に収容した二重管構造であっても、あるいは発光管4を石英ガラスなどの硬質ガラス製の内管に収容されたものを、さらにPAR形の外管(バルブ)1内に収容した三重管構造であってもよい。また、この三重管構造の場合、内管および外管(バルブ)1はそれぞれが真空や不活性ガス雰囲気の気密構造であるのが好ましいが、いずれか一方が気密構造であればよい。
外管1を構成する前面の透光部(レンズ)3の外側表面に形成された可視選択吸収膜6は、波長550〜600nm間に少なくとも1吸収ピーク、例えば約574nm付近に1ピークを有し波長600nm以上に発光があるジオキサジンバイオレット超微粒子を含むシリコーン樹脂のコーティング被膜である。
この被膜6の形成は、まず、例えば耐熱温度約325℃の耐熱性シリコーン系樹脂(イソプロアルコールとエタノール系約8wt%)に、平均粒径が約100nmのジオキサジンバイオレットの超微粒子をシリコーン系樹脂に対し約0.25wt%添加した有機化合物からなるコーティング液を用意する。
つぎに、このコーティング液中に透光部(レンズ)3の外側表面を浸漬して一定速度で引き上げた後、透光部(レンズ)3の外側表面に付着した塗膜を自然乾燥させ、塗膜が乾燥したら大気雰囲気中において約120℃、約30分の熱処理を行うことにより膜厚約2μmの被膜6を得ることができる。
なお、この形成された被膜6の膜厚は、1〜10μmの範囲であれば所望の発光特性を満足できるので好ましい。
上記構成の本実施の形態に示す高圧放電ランプLは口金5がソケットに装着され、口金5側が上方や下方にくる鉛直または水平あるいは傾斜した状態で点灯され、直射光および反射光が前面レンズ3および可視選択吸収膜6を透過して放射される。
因みに、上記高圧放電ランプLの定格点灯時の発光特性は、外管(バルブ)1の前面レンズ3に可視選択吸収膜6を形成していない構成の放電ランプが、色温度約2911K、色偏差duv約−0.0031、平均演色評価数Ra約93.3、赤色演色評価数R9約49で発光するのに対して、上記構成のランプの外管1の外側表面にジオキサジンバイオレット超微粒子を主体とした可視選択吸収膜6を形成した後の放電ランプLは、色温度が約2699K、色偏差duv約−0.0130、平均演色評価数Ra約91.2、赤色演色評価数R9約68で発光した。
図2は本発明の上記高圧放電ランプLに係る前面レンズ3の外側表面にジオキサジンバイオレット超微粒子を主体した上記材料を用い形成した可視選択吸収膜6の透過率(%)を示したグラフで、図中、横軸は波長(nm)、縦軸は透過率(×100%)を対比させてある。
この図2から明らかなように、波長550〜600nm間の約574nm付近に吸収ピークがある。なお、波長550nm以下にもピークが発生しているが、これはジオキサジンバイオレット超微粒子の粒子径がやや大きく、また、分散状態が悪く、一部微粒子が固まって吸収がブロードになったもので、その改善は容易に行うことができる。
また、図3は本発明の上記高圧放電ランプL(実線)と、被膜6を形成する前の被膜6なしの高圧放電ランプ(点線)との発光スペクトル分布を示すグラフで、図中、横軸は波長(nm)、縦軸は放射エネルギー強度(×100%)を対比させてある。また、表1は上記両者の光束比、色度座標(x、y)、色温度(CCT(K))、色偏差(duv)、演色評価数(Ra、R9〜R15)などの諸発光特性の比較表である。
なお、表1中、Raは平均演色評価数、R9〜R15は特殊演色評価数で、R9は赤色演色評価数である。
Figure 2010153221
すなわち、上記ジオキサジンバイオレット超微粒子を主体とした被膜6は、波長574nm付近などに吸収ピークを有し550〜600nmの黄色光を低減し照射光の黄色味を減らし、かつ、600nm付近以上に発光ピークを有した赤色の見え方がよく、高い演色性を示すとともに、かつ、色偏差duvを−側に制御可能で変化が少ない、食品、衣料など暖色系の赤色を中心とする商品を照明するのに適する放電ランプを得ることができる。
また、本発明の高圧放電ランプLは、被膜6の形成作業も焼成温度が従来よりも低いなど生産性も向上することができる。
図4は本発明に関わる屋内照明用のスポットライトからなる照明装置(器具)の実施の形態を示す要部断面正面図である。
この照明装置(器具)7は、天井面などに取り付けられた取付台71、支柱72、少なくとも一面に光放射する開口部73を有する箱状の器具本体74、器具本体74に設けられたソケット75および反射鏡76、上記開口部73を覆い設けられたガラスや合成樹脂などからなる透光性前面カバー部材77、この透光性前面カバー部材77の内側または外側、ここでは内側の表面に上記実施の形態で示すと同様な材料や手段で形成された可視選択吸収膜6およびT形などの外管からなる外囲器1(表面には上記可視選択吸収膜6が形成されていない。) 内に発光管を収容した通常のメタルはライドランプなどの高圧放電ランプL1を主要部材として構成されている。
なお、器具本体74は、取付台71に対し支柱72を介し水平面内および鉛直面内の回動が可能になっている。また、点灯回路装置(図示しない)は、器具本体74内や取付台71内に配設されていても、天井裏などに別置配設されていてもよい。
この照明装置(器具)7において、ソケット75に装着した高圧放電ランプL1が点灯回路装置(図示しない)を介し点灯されると、直射光および反射鏡76からの反射光が光放射する開口部73に設けられた透光性前面カバー部材76を介し衣類などの商品に向け光照射される。
このとき、可視選択吸収膜6に入射し透光性前面カバー部材77を透過した照射光透光性前面カバー部材77を透過しは、上記実施の形態で示すと同様に波長574nm付近などに吸収ピークを有し550〜600nmの黄色光を低減し照射光の黄色味を減らし、600nm付近以上に発光ピークを有した赤色の見え方がよく、高い演色性を示すとともに、かつ、色偏差duvを−側に制御可能で変化が少ない、食品、衣料など暖色系の赤色を中心とする商品を照明するのに適する照明装置(器具)を得ることができる。
また、上記実施の形態で示した本発明の外囲器1の表面に可視選択吸収膜6が形成してある高圧放電ランプLも、この種構造の照明装置(器具)7を用い点灯することができるが、この場合は反射鏡76と透光性前面カバー部材77あるいは反射鏡76と透光性前面カバー部材77表面の可視選択吸収膜6は不要である。
なお、本発明は上記実施の形態に限るものではない。例えば、上記実施の形態では高圧放電ランプをPAR形の外囲器を有する反射形のランプで説明したが、その外囲器形状は、A形、G形、T形、PS形、BT形あるいはR形などあるいはこれらの複合形状で形成されているものでよく、反射膜などは必須のものではない。
また、外囲器を形成する外管や内管の材質は、石英ガラスまたはホウケイ酸ガラスやアルミノシリケートガラスなどの硬質ガラスあるいはソーダライムガラスなどの軟質ガラスを用いることができる。
また、外囲器は二重管や三重管など多重管に適用でき、これら外囲器は気密性であっても非気密性であってもよく発光管容器の飛散を防止する中管(シュラウド)が設けられたものであってもよい。
また、可視選択吸収膜は上記形状の外囲器(中管を含む。)の内外表面のいずれかに形成されていればよく、被膜形成部は品種、形状、大きさや点灯時温度などを考慮して決めればよい。
また、高圧放電ランプの種類としてはメタルハライドランプに限らず、高圧水銀ランプや高圧ナトリウムランプなどのランプでもよく、要するに可視選択吸収膜が形成していない状態で所定の発光特性を有するランプに適用して上記作用効果を奏する。
また、照明装置(器具)の構造や用途も上記実施の形態に示したものに限らず、各種照明装置(器具)の透光性前面カバー部材の表面に上記特性を奏する可視選択吸収膜を形成してもよい。
なお、本発明の高圧放電ランプを用いる照明装置(器具)の場合には、器具本体内に反射板や光放射側にレンズなどの透光性前面カバー部材が設けられていなくてもよく、透光性前面カバー部材があってもこの前面カバー部材には可視選択吸収膜の形成は不要である。また、透光性前面カバー部材に可視選択吸収膜が形成してある照明装置(器具)の場合には、光源となる高圧放電ランプの外囲器には可視選択吸収膜の形成は不要である。
また、点灯回路装置器具の配置は、器具本体内であっても、本体外に設けられ高圧放電ランプと接続されるものであってもよい。
この照明装置は、食品や衣類などを扱う 店舗あるいは飲食店などにおける照明用として好ましい。
また、ランプの外囲器または照明装置(器具)の透光性前面カバー部材の表面に形成する可視選択吸収膜の材料は、ジオキサジンバイオレットに限らず、シアニン系、スクアリリウム系、アゾメチン系、キサンテン系、オキソノール系やアゾ系などの各種化合物や有機化合物を用いることができる。
また、このジオキサジンバイオレット超微粒子などに酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化イットリウム(Y2 3)のうちから選ばれた少なくとも一種の微粒子を適量添加混合して被膜を形成してもよく、この添加によって膜厚、透過率の調整がはかれるとともに被膜強度の向上がはかれる。
また、外管、内管や前面レンズなどの外囲器あるいは照明装置(器具)の前面カバーなどにおける被膜の形成部は、これら部材の内外面の一方でよく被膜の耐熱温度、形成作業性などを考慮して決めればよい。
また、上記ジオキサジンバイオレット超微粒子を主体として形成した被膜およびジオキサジンバイオレット超微粒子に酸化亜鉛などの酸化物微粒子を添加して形成した被膜の膜厚は1〜10μmの範囲であれば、上記発光特性の範囲を満足でき、1μm未満の場合は、吸収がある有機化合物の濃度を高くする必要があり透過率低下など光学特性に影響を及ぼす易く、また、10μmを超えると材料使用量の増加や被膜強度の低下が起り易く、かつ、透過率の変動も大きくなる。
なお、所定範囲の諸発光特性を得るには被膜の膜厚などを調整することにより行うことができ、この調整はコーティング液からの外管などの引き上げ速度やコーティング液への浸漬回数を変えることにより所望の膜厚が得られる。また、被膜の形成はコーティング液への浸漬に限らず、吹き付けや蒸着などの手段であってもよい。
本発明の高圧放電ランプの実施の形態を示す正面図である。 図1に示す高圧放電ランプに係る前面レンズに形成した可視選択吸収膜の透過率(%)を示したグラフである。 図1に示す高圧放電ランプの発光スペクトル分布を示すグラフである。 本発明の照明装置(器具)の実施の形態を示す一部断面正面図である。
符号の説明
L、L1:高圧放電ランプ(メタルハライドランプ)
1:外管(外囲器)
2:反射鏡部
3:透光部(レンズ)
4:発光管
6: 可視選択吸収膜
7:照明装置(器具)
74:器具本体
77:透光性前面カバー

Claims (6)

  1. 気密容器内に発光物質および希ガスからなる放電媒体を封入した発光管と;
    この発光管を包囲する外囲器と;
    この外囲器の表面に、点灯時、波長550〜600nm間に少なくとも1吸収ピークを有する有機化合物を含むシリコーン樹脂をコーティングして形成した可視選択吸収膜と;
    を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ。
  2. 発光管を包囲する外囲器が反射膜が形成された反射鏡部と前面透光部とからなり、この前面透光部の表面に可視選択吸収膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の高圧放電ランプ。
  3. 上記選択吸収膜は、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウムのうちの少なくとも一種を含有し、膜厚が1〜10μmで形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の高圧放電ランプ。
  4. 器具本体と;
    この器具本体内に配設されたソケットと;
    このソケットに装着された上記請求項1ないし3のいずれか一に記載された高圧放電ランプと;
    を具備していることを特徴とする照明装置。
  5. 器具本体と;
    この器具本体に配設された反射体およびソケットと;
    このソケットに装着された、容器内に発光物質および希ガスからなる放電媒体を封入した発光管を外囲器内に収容してなる高圧放電ランプと;
    この器具本体の開口部を閉塞するよう設けられた透光性前面カバー部材と;
    この透光性カバー部材の表面に、上記高圧放電ランプの点灯時、波長550〜600nm間に少なくとも1吸収ピークを有する有機化合物を含むシリコーン樹脂をコーティングして形成した可視選択吸収膜と;
    を具備していることを特徴とする照明装置。
  6. 上記可視選択吸収膜は、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウムのうちの少なくとも一種を含有し、膜厚が1〜10μmで形成されていることを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
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