JP2008034350A - 高圧放電ランプおよび照明器具 - Google Patents

高圧放電ランプおよび照明器具 Download PDF

Info

Publication number
JP2008034350A
JP2008034350A JP2007077509A JP2007077509A JP2008034350A JP 2008034350 A JP2008034350 A JP 2008034350A JP 2007077509 A JP2007077509 A JP 2007077509A JP 2007077509 A JP2007077509 A JP 2007077509A JP 2008034350 A JP2008034350 A JP 2008034350A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ultraviolet cut
ultraviolet
wavelength
cut filter
discharge lamp
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007077509A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Kawakatsu
晃 川勝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Lighting and Technology Corp
Original Assignee
Toshiba Lighting and Technology Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Lighting and Technology Corp filed Critical Toshiba Lighting and Technology Corp
Priority to JP2007077509A priority Critical patent/JP2008034350A/ja
Publication of JP2008034350A publication Critical patent/JP2008034350A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】
耐久性、耐熱性に優れ、紫外線および青色の光吸収特性を容易に制御することが可能な紫外線カットフィルタ付を提供する。
【解決手段】
高圧放電ランプL2の紫外線カットフィルタFは、外管バルブ11の外表面にインジウム(In)がドープされた酸化亜鉛(ZnO)微粒子からなる紫外線カット材料を塗布して紫外線カット被膜が形成されており、この紫外線カット被膜は波長390nmのカット率が90%以上、短波長吸収端側の透過率50%波長が405〜425nmであり、かつ波長500nm以上の全可視光透過率が85%以上である。そして、誘虫効果のある光を有効にカットしつつ可視光透過量の低下が抑えられ、紫外線カットフィルタFを透過する紫外線を有効にカットし、透過可視光の出力を大きく低下させずに昆虫の飛来を抑制することが可能となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、少なくとも紫外線をカットし、可視光を透過する紫外線カットフィルタを形成する紫外線カットフィルタを備えた高圧放電ランプおよび照明器具に関する。
紫外線を遮断(カット)するカットフィルタを設けた高圧放電ランプが知られている。これら光源および照明器具は、紫外線および一部青色光を必要としない生物等の損傷防止や紙・布等の劣化防止、低誘虫用など照明に主として利用されるものである。
従来のこれらの紫外線カットフィルタ付き高圧放電ランプは、高温になるため、透光性のガラスの表面に耐久性およびコスト面に優れた酸化亜鉛(ZnO)微粒子を主成分とする紫外線吸収被膜をバルブ外表面に形成した紫外線カットフィルタ付ランプが知られている(例えば特許文献1参照)。
また、紫外線カット特性を改善するために、ZnOにIn,Bi,Feをドープし、ドープ金属濃度が表面から中心に変化した紫外線カットフィルタおよび管球が特開2006−298749号に提案されている(例えば特許文献2参照)。
特開2001−143657号公報 特開2006−298749号公報
特許文献1の高圧放電ランプは、無機酸化物である酸化亜鉛(ZnO)微粒子を主成分とした紫外線カットフィルタが形成されているので、紫外線カットフィルタの耐熱性、耐久性に優れているが、カット波長は波長約380nm以下であり紫外線カット特性は不十分である。
特許文献2の紫外線カットフィルタおよび管球は、紫外線カット特性が向上するものの、特にバルブ温度が150℃前後から最大400〜500℃の高温になる金属蒸気放電灯に適用した場合には、紫外線近傍の透過率低下などの問題があり、金属蒸気放電灯とそれを光源とする照明器具に応用した場合光色の変化などの見え方、演色性の低下が問題となる場合がある。
本発明は、有害な飛来昆虫を誘引する原因となる紫外線をカット膜を有する金属蒸気放電灯とそれを光源とする照明器具において紫外線カットが良好であり、かつ光束低下、光色や色温度変化がなく良好な金属蒸気放電灯とそれを光源とする照明器具を提供する。
本発明の高圧放電ランプは、透光性ガラス基材表面にインジウム(In)がドープされた酸化亜鉛(ZnO)微粒子を主体とする紫外線カット材料を塗布して紫外線カット被膜が形成されており、透光性ガラス基材を含めた波長390nmのカット率が90%以上、短波長吸収端側の透過率50%波長が405〜425nmであり、かつ波長500nm以上の全可視光透過率が85%以上である紫外線カットフィルタと;この紫外線カットフィルタに周囲が覆われた発光管と;を具備していることを特徴とする。
酸化亜鉛(ZnO)微粒子にインジウム(In)をドープすると半導体微粒子となり、その半導性の付与によって本来約380nm以下であったカット波長が長波長側にシフトする。
カット波長を長波長側に大幅シフトさせると、紫外線による損傷生物等の損傷防止や紙、布等の劣化防止、低誘虫用などに関しては改善されるが、青色光の一部がカットされることにより光色変化、透過率低下等が発生する。
このドープ金属の濃度を調整することによってカット波長を調整することが可能である。インジウムの亜鉛に対するドープ量は質量比率で2.5〜7.5%である。
バルブ温度が、150℃前後から最大400〜500℃の高温になる金属蒸気放電灯では、紫外線カットフィルタにはインジウム(In)がドープされた酸化亜鉛(ZnO)微粒子が90質量%以上含有されており、この紫外線カットフィルタ中のカーボン残留量が0.5質量%以下とするのが好ましい。このような紫外線カットフィルタは、膜耐熱温度を400℃以上にすることが可能である。無機バインダー成分としてSiO,ZrOなどの金属酸化物は、20wt%以下がのぞましい。
また、紫外線カットフィルタの膜厚を0.5〜2.0μm、インジウム(In)がドープされた酸化亜鉛(ZnO)微粒子の平均粒径を100〜200nmにすることによって紫外線カットフィルタの平均可視透過率を90%以上にすることが好ましい。
高圧放電ランプは、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、水銀ランプ等の金属蒸気放電ランプを意味する。バルブ温度が、150℃前後から最大400〜500℃の高温になる高圧放電ランプの発光管を覆う紫外線カットフィルタは、発光管を外方から気密に封止する外管バルブを透光性ガラス基材として設けてもよいし、この外管バルブと発光管との間に配設されるシュラウドと呼ばれる飛散防止用の円筒体を透光性ガラス基材として設けたものであってもよい。
バルブ温度が、150℃前後から最大400〜500℃の高温になる高圧放電ランプの発光管を覆う紫外線カットフィルタの光学特性は、波長390nmのカット率が90%以上、短波長吸収端側の透過率50%波長が405〜425nmであり、かつ波長500nm以上の全可視光透過率が85%以上である。このため、紫外線による損傷生物等の損傷防止や紙、布等の劣化防止、低誘虫用などが良好でかつ光色変化がない良好な紫外線カットフィルタ付き高圧放電ランプまたはこのランプを装着した照明器具が得られる。
「短波長吸収端側の透過率50%波長」は、紫外線カット被膜が形成された透光性ガラス基材を含んだ紫外線カットフィルタの透過率のうち、紫外線側の可視光帯域で透過率が減少する波長領域において透過率が50%となっている波長を示す。
さらに、上記微粒子の最外表面上に酸化珪素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)または酸化イットリウム(Y)のうち少なくとも一種を主成分とする層が形成されていてもよい。酸化珪素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)または酸化イットリウム(Y)は、化学的安定性に優れた材料であり、かつ被膜形成も比較的容易なので、前記微粒子の最外表面に層状に形成することによって紫外線カットの性能を大きく損なうことなく耐久性を一層改善することができる。この層の厚さは、1.0〜30nm、好ましくは3.0〜10nmの範囲とするのが望ましい。層の厚さが1.0nm未満だと耐久性の改善効果が十分に得られず、30nmを超えると紫外線のカット効果が損なわれるので好ましくない。
紫外線カット被膜は、所定のランプ特性を備えていれば、その構成は特に制約されないが、所望の光をカットしつつカットする波長以外の光を良好に透過させるため、その膜厚は0.5〜2.0μmの範囲内とするのが好ましい。
請求項2は、請求項1記載の紫外線カットフィルタにおいて、透光性基材表面と紫外線カット被膜との間または紫外線カット被膜上に酸化亜鉛(ZnO)および酸化セリウム(CeO)の少なくとも一種の微粒子を塗布して形成された第2被膜が積層されていることを特徴とする。
第2の被膜を積層することにより、波長380nm以下のUV−AおよびUV−B領域における紫外線カットを改善したフィルタ付き高圧放電ランプまたは器具が得られる。
請求項3は、請求項1または2記載の紫外線カットフィルタにおいて、紫外線カット被膜に酸化亜鉛(ZnO)および酸化セリウム(CeO)の少なくとも一種の微粒子が添加されていることを特徴とする。波長380nm以下のUV−AおよびUV−B領域における紫外線カットを改善したフィルタ付き高圧放電ランプまたは器具が得られる。
紫外線カット被膜に酸化亜鉛微粒子または酸化セリウム微粒子の少なくとも一方を添加することにより、紫外線カット被膜のUV−AおよびUV−B領域における紫外線カット特性が向上し、かつ可視光透過量の低下を極力抑えることができる。
請求項5の紫外線カットフィルタの膜厚は0.5〜2.0μmであり、インジウム(In)がドープされた酸化亜鉛(ZnO)微粒子の平均粒径が100〜200nmであって、紫外線カットフィルタの平均可視透過率が90%以上であることを特徴とする。
照明器具は、天井直付け器具、ダウンライトや透光器等を含み、カバーには板状のカバーの他、グローブを含むものである。
上記紫外線カットフィルタ付の高圧放電ランプはバルブ温度が、150℃前後から最大400〜500℃の高温になる条件でそのフィルタの光学特性により光出力が極端に低下することがなく、光源の発光色や色温度変化を少なくすることができる。
本発明の紫外線カットフィルタ付き高圧放電ランプおよびそれと組み合わせた照明器具は、紫外線透光性バルブ表面にインジウム(In)がドープされた酸化亜鉛(ZnO)微粒子主体とする紫外線カット材料を塗布して紫外線カット被膜が形成されており、バルブ温度が、150℃前後から最大400〜500℃の高温になるこの紫外線カット被膜付き透光性基材は波長390nmのカット率が90%以上、短波長吸収端側の透過率50%波長が405〜425nmであり、かつ波長500nm以上の全可視光透過率が85%以上であるので、光色変化などがなく紫外線および一部青色光を必要としない生物等の損傷防止や紙・布等の劣化防止、低誘虫用として最適である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照にして説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態としての高圧放電ランプを示す概略正面図である。L2は高圧放電ランプとしての250W級のメタルハライドランプであり、このメタルハライドランプL2には発光管40の周囲に発光管40を保護する透明な外管バルブ11が設けられている。外管バルブ11には発光管40と導通する給電手段としてのE形口金3が取付けられている。
この外管バルブ11の外表面には、紫外線カットフィルタFが形成されている。紫外線カットフィルタFは、波長390nmのカット率が90%以上であり、短波長吸収端側の透過率50%波長が405〜425nmであり、かつ波長500nm以上の全可視光透過率が85%以上である。この紫外線カットフィルタFにより、発光管40から放射される光のうち紫外線および波長400〜425nmの光が効果的にカットされる。これにより、メタルハライドランプL2の外管11からは、ほとんど可視光だけが放射される。
第1の実施形態のメタルハライドランプL2によれば、光色変化などがほとんどなく、紫外線および一部青色光を必要としない生物等の損傷防止や紙、布等の劣化防止、低誘虫用として最適な紫外線カットフィルタ付きの高圧放電ランプを提供することができる。
紫外線カットフィルタFを構成する紫外線カット材料は、インジウムがドープされた酸化亜鉛(ZnO)微粒子を主体とするものである。このインジウムがドープされた酸化亜鉛(ZnO)微粒子は、略球形状であって粒径10〜200nm、好ましくは100〜200nmの範囲であって、例えば約150nmの微粒子である。
次に、紫外線カットフィルタFの製造方法について説明する。まず、紫外線カット材料としてのInドープZnO粒子を、例えば水溶液中の酢酸亜鉛と塩化インジウムを加水分解後乾燥し、熱処理して製造する。この紫外線カット材料のインジウムドープ量は、Znに対して2.5〜7.5質量%である。この紫外線カット材料としてのInドープZnO粒子をエタノール+水の溶媒に分散させ、シリカバインダー等添加して10〜20質量%の範囲内の所望の濃度の分散液を調整する。この分散液を外管バルブ11の外表面に塗布し、紫外線カット材料塗膜を0.5〜2.0μmの範囲、例えば約1.0μmで形成する。この塗膜を300〜700℃の大気中雰囲気で所定時間熱処理して、紫外線カット被膜3が形成される。
紫外線カットフィルタFは、紫外線カット被膜3の主たる紫外線カット材料であるInドープZnO粒子の光学特性および膜厚を適宜調整することによって、波長390nmのカット率が90%以上、短波長吸収端側の透過率50%波長が405〜425nmであり、かつ波長500nm以上の全可視光透過率が85%以上となる特性を得ることができる。これにより、光色変化などがなく紫外線および一部青色光を必要としない生物等の損傷防止や紙、布等の劣化防止、低誘虫用として最適な紫外線カットフィルタ付きのメタルハライドランプを提供することができる。
なお、紫外線カットフィルタFは、メタルハライドランプLの外管バルブ11の外表面に塗布することに限らず、外管バルブ11の内外面いずれか一方の面に形成すればよい。また、紫外線カットフィルタFの望ましい光学特性は、50%カット波長が約400〜425nmであり、かつ500nm以上の全透過率が85%以上である。50%カット波長が波長400nmより短波長側であると、ZnO微粒子を用いた従来の紫外線カットフィルタとほぼ同程度の効果しか得られず、それ以上の低誘虫効果は望めない。50%カット波長が波長425nmよりも長波長側になると、フィルタの透過光が黄色味を帯びてくるため被照明物を自然な色で照明できなくなることから望ましくない。
また、紫外線カットフィルタFの90質量%以上がInドープZnO微粒子であり、フィルタ中のカーボン残留量を0.5質量%以下にすることにより、フィルタの耐熱温度を400℃以上にすることができるので、点灯中高温になる高圧放電ランプに紫外線カットフィルタFを塗布形成するにあたって最適な耐熱特性を得ることができる。カーボン残留量が0.5質量%を超えていると、ランプを継続点灯していくことにより透過率が低下しやすくなる。
また、紫外線カットフィルタFの膜厚を0.5〜2.0μm、InドープZnO微粒子の平均粒径を100〜200nmとすることによって、さらに高い透過率と誘虫性を低減する効果が高いランプまたは照明器具を得ることができる。
図2は、第1の実施形態の紫外線カットフィルタFの分光透過率を示すグラフである。図2のグラフにおいて、(A)および(B)は紫外線カット材料にInドープZnO粒子を用いた紫外線カットフィルタを示し、(C)は上記特許文献1に記載されているZnOを紫外線カット材料に用いた従来の紫外線カットフィルタを示している。なお、(A)は紫外線カット材料としてのInドープZnO粒子のIn/Zn(モル比)が約5.0、(B)は同約3.5の材料を示している。
図2に示すように、各紫外線カットフィルタの短波長吸収端側の透過率(Transmission)50%波長は、(A)が約418〜420nm、(B)が約415nm、(C)が約385nmであった。また、波長450nm以上の可視光の透過率は(A)よりも(B)の紫外線カットフィルタの方が高くなっている。このことから、(B)の紫外線カットフィルタを用いたメタルハライドランプとすることによって、紫外線カットが良好であり、かつ光束低下、光色や色温度変化がない良好な金属蒸気放電灯を提供することができる。
図3は、第1の実施形態のメタルハライドランプの分光放射特性(Relative Intensity ? wave length)を示すグラフ、図4は図3の400〜500nmの波長範囲を拡大したグラフである。図3および図4のグラフにおいて、(A)は太破線、(B)は細線、(C)は一点破線でそれぞれ示している。(D)で示す太線は外管バルブ11に紫外線カットフィルタを設けていないときの分光放射特性を示しており、波長450nm以上では(A)〜(D)の放射特性にはほとんど差が見られないので、太線(D)のみ記載している。また、波長380nm以下では、(A)〜(C)の放射特性にはほとんど差がなかった。
なお、図3および図4の(E)で示す点線は、昆虫の比視感度(Relative Luminousity factor ? wave length)曲線を示し、(F)で示す実線は製紙の相対損傷度曲線D(λ)を示している。
図3および図4に示すように、(A)および(B)の紫外線カットフィルタ付のメタルハライドランプは、波長405〜425nmの領域の青色光を有効にカットしていることがわかる。これに対し、(C)の紫外線カットフィルタ付のメタルハライドランプは、波長405nm未満の紫外線をカットしていることが分かるが、405nm以上の光はほとんどカットしていないので、(D)の分光放射特性とほとんど変わらないものである。
なお、(A)および(B)の紫外線カットフィルタ付のメタルハライドランプは、波長405〜425nmの領域の青色光を有効にカットしているので、紫外線カットフィルタ無しの(D)の分光放射特性に比べて全光束が若干低下するが、実用上5%程度低下しても一般照明用途としては問題なく利用可能である。
図5は、図3の(E)で示す昆虫の比視感度曲線からシミュレーションで表した短波長吸収端側の透過率50%波長毎の誘虫性を示すグラフ(Light Trap Possibility - cut-wave length)である。(A)および(B)の紫外線カットフィルタ付のメタルハライドランプは、誘虫性のファクター(Light Trap Possibility:任意値)が0.3以下と低いのに対し、(C)で示す従来の紫外線カットフィルタ付のメタルハライドランプの場合には、誘虫性のファクターが0.5を超えてしまっているので好ましくない。
図6は、図3の(F)で示す製紙の相対損傷度曲線D(λ)からシミュレーションで表した短波長吸収端側の透過率50%波長毎の損傷係数を示すグラフ(Damage Factor - cut-wave length)である。(A)および(B)の紫外線カットフィルタ付のメタルハライドランプは、損傷係数(Damage Factor)が0.25以下と低く、製紙工場などで使用しても紙片の損傷が問題にはならないのに対し、(C)で示す従来の紫外線カットフィルタ付のメタルハライドランプの場合には、損傷係数が0.4を超えてしまっているので、製紙工場などで使用する照明用光源としては好ましくない。
図7は、(A)ないし(C)の紫外線カットフィルタ付のメタルハライドランプのx−y色度値を示すグラフである。短波長吸収端側の透過率50%波長が(C)→(B)→(A)と大きくなるにつれてx−y色度値も上昇していることが分かるが、一般照明用の演色性には影響のないレベルである。
紫外線カット被膜は、第1の実施形態で説明したように紫外線カット材料としてのInドープZnO粒子をエタノール+水の溶媒に分散させて所定濃度の分散液を調整した後、5〜50質量%の範囲内で略同粒径の酸化亜鉛微粒子を所定量添加し、その後透光性基材1の表面にフローコート等で塗布し、300〜500℃の大気中雰囲気で所定時間熱処理して製膜してもよい。酸化亜鉛微粒子を所定量添加することによって、紫外線カットフィルタFのUV−AおよびUV−B領域における紫外線カット特性が向上し、かつ可視光透過量の低下を極力抑えることが可能となる。なお、酸化亜鉛微粒子の添加に代えて、またはこれに追加して酸化セリウム微粒子を添加してもよい。
第1の実施形態では、外管バルブ11の表面に紫外線カット被膜を形成して紫外線フィルタFを構成したが、この外管バルブ11の表面と紫外線カット被膜との間に酸化亜鉛微粒子および酸化セリウム微粒子からなる第2被膜を積層してもよい。第2被膜は、粒径約50nmの酸化亜鉛微粒子および酸化セリウム微粒子を同等比率で20質量%分散されたエタノール分散液を調整し、この分散液を外管バルブの外表面にフローコート等で塗布して形成する。その後、第1の実施形態で調整した紫外線カット材料としてのInドープZnO粒子が分散された分散液を第2被膜3aの表面にフローコート等で塗布して紫外線カット被膜の塗膜を形成する。そして、積層された両被膜を300〜500℃の大気中雰囲気で同時に熱処理して製膜することができる。この積層被膜を有する紫外線カットフィルタは、紫外線カット被膜のUV−AおよびUV−B領域における紫外線カット特性が向上し、かつ可視光透過量の低下を極力抑えることができる。なお、この第2被膜は紫外線カット被膜の外側表面に形成してもよい。
図8は、本発明の第2の実施形態の照明器具を示す概略断面図である。本実施形態では、上記紫外線カットフィルタFを前面カバーガラスFに用いた照明器具である。高圧放電ランプL2は、外管バルブ11に紫外線カットフィルタが設けられていない250W級のメタルハライドランプであり、照明器具30に収容されて使用される。本例の照明器具30は下面が開放された反射体31を有し、この反射体31の天井面にソケット32を備えている。反射体31の開口部には紫外線カットフィルタFとしての前面カバーガラスが設けられている。メタルハライドランプL2はその口金を上記ソケット32に螺合することにより照明器具30に取り付けられる。
前面カバーガラスFは、その外表面に紫外線カット材料としてのInドープZnO粒子を主体として第1の実施形態と同様な方法によって形成されている。前面カバーガラスFは、光学特性が波長390nmのカット率が90%以上、短波長吸収端側の透過率50%波長が405〜425nmであり、かつ波長500nm以上の全可視光透過率が85%以上となっている。
このような照明器具30であれば、光色変化などがなく紫外線および一部青色光を必要としない生物等の損傷防止や紙、布等の劣化防止、低誘虫用として最適な照明器具を提供することができる。
なお、上記実施形態で説明した紫外線カットフィルタFに反射防止効果を有するSiO保護膜を組み合わせると可視光透過率を高くすることが可能である。例えば、紫外線カットフィルタFの上に反射防止効果を有するSiO微粒子を主体とした反射防止膜を形成するか、または紫外線カットフィルタFが形成された面とは反対側の表面にSiO微粒子を主体とした反射防止膜を形成することができる。この反射防止効果を有するSiO保護膜は、有機Si化合物を熱分解することによって多孔質のSiO被膜によって構成してもよい。
例えば、照明器具の硬質バルブ製カバーガラスの透過率は、理想的には最大約92%(実際には92〜90%前後)であるが、SiO微粒子を主体とした反射防止膜を形成することによって紫外線カットフィルタFを設けた場合であっても、紫外線カットフィルタFを形成しない場合よりも高い透過率を得ることも可能である。
SiO微粒子を主体とした反射防止膜は、以下のように形成することが可能である。紫外線カットフィルタFの表面または紫外線カットフィルタFの形成面と反対側のカバーガラス表面にSiO粒子(粒径約50nm)を例えば5〜15質量%の濃度となるようにエタノール等の溶媒に分散し、適時バインダーとしてSi化合物などを添加した溶液を塗布し、乾燥させる。または、カバーガラス全体を上記溶液に浸漬し、引き上げ乾燥させる。この後、200〜500℃で熱処理し、0.2〜0.5μmの反射防止被膜を形成する。これにより、前面ガラスの光学特性として50%カット波長約400〜425nmでかつ500nm以上の全透過率が92%以上の高透過率の高透過率のUVカット機能を有する照明器具を提供することができる。また、紫外線カットフィルタFの上に最外層として反射防止被膜を形成することによって過酷な使用条件、雰囲気であっても耐久性が高い高透過率UVカット機能を有する照明器具を提供することができる。なお、この反射防止膜を高圧放電ランプの外管バルブに形成しても同様の効果が得られることはいうまでもない。
本発明の第1の実施形態としての高圧放電ランプを示す概略正面図。 図1の高圧放電ランプの紫外線カットフィルタの分光透過率を示すグラフ。 図1のメタルハライドランプの分光放射特性を示すグラフ。 図3の400〜500nmの波長範囲を拡大したグラフ 図3で示す昆虫の比視感度曲線からシミュレーションで表した誘虫性を示すグラフ。 図3で示す製紙の相対損傷度曲線からシミュレーションで表した損傷係数を示すグラフ。 図1のメタルハライドランプのx−y色度値を示すグラフ。 本発明の第2の実施形態の照明器具を示す概略断面図。
符号の説明
11・・・外管バルブ、F・・・紫外線カットフィルタ、L2…高圧放電ランプ、30…照明器具、40・・・発光管。

Claims (7)

  1. 透光性ガラス基材表面にインジウム(In)がドープされた酸化亜鉛(ZnO)微粒子を主体とする紫外線カット材料を塗布して紫外線カット被膜が形成されており、透光性ガラス基材を含めた波長390nmのカット率が90%以上、短波長吸収端側の透過率50%波長が405〜425nmであり、かつ波長500nm以上の全可視光透過率が85%以上である紫外線カットフィルタと;
    この紫外線カットフィルタに周囲が覆われた発光管と;
    を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ。
  2. 透光性ガラス基材表面と紫外線カット被膜との間または紫外線カット被膜上に酸化亜鉛(ZnO)および酸化セリウム(CeO)の少なくとも一種の微粒子を塗布して形成された第2被膜が積層されていることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
  3. 紫外線カット被膜に酸化亜鉛(ZnO)および酸化セリウム(CeO)の少なくとも一種の微粒子が添加されていることを特徴とする請求項1または2記載の高圧放電ランプ。
  4. 紫外線カットフィルタにはインジウム(In)がドープされた酸化亜鉛(ZnO)微粒子が90質量%以上含有されており、この紫外線カットフィルタ中のカーボン残留量が0.5質量%以下であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の高圧放電ランプ。
  5. 紫外線カットフィルタの膜厚は0.5〜2.0μmであり、インジウム(In)がドープされた酸化亜鉛(ZnO)微粒子の平均粒径が100〜200nmであって、紫外線カットフィルタの平均可視透過率が90%以上であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の高圧放電ランプ。
  6. 器具本体と;
    この器具本体に配設された請求項1ないし5いずれか一記載の高圧放電ランプと;
    を具備していることを特徴とする照明器具。
  7. 器具本体と;
    この器具本体に配設された光源と;
    この光源を覆うように前記器具本体に配設された透光性ガラスカバーと;
    この透光性ガラスカバーを透光性ガラス基材としてその透光性ガラス基材表面にインジウム(In)がドープされた酸化亜鉛(ZnO)微粒子主体とする紫外線カット材料を塗布して紫外線カット被膜が形成されており、透光性ガラス基材を含めた波長390nmのカット率が90%以上、短波長吸収端側の透過率50%波長が405〜425nmであり、かつ波長500nm以上の全可視光透過率が85%以上である紫外線カットフィルタと;
    を具備していることを特徴とする照明器具。
JP2007077509A 2006-06-30 2007-03-23 高圧放電ランプおよび照明器具 Pending JP2008034350A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007077509A JP2008034350A (ja) 2006-06-30 2007-03-23 高圧放電ランプおよび照明器具

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006181293 2006-06-30
JP2007077509A JP2008034350A (ja) 2006-06-30 2007-03-23 高圧放電ランプおよび照明器具

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008034350A true JP2008034350A (ja) 2008-02-14

Family

ID=39123526

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007077509A Pending JP2008034350A (ja) 2006-06-30 2007-03-23 高圧放電ランプおよび照明器具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008034350A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2112684A3 (en) * 2008-04-25 2010-06-16 Toshiba Lighting & Technology Corporation High-pressure discharge lamp and lighting equipment
WO2010098252A1 (ja) * 2009-02-24 2010-09-02 パナソニック電工株式会社 害虫防除装置

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6380458A (ja) * 1986-09-25 1988-04-11 Ushio Inc 発光管用石英
JPH01112651A (ja) * 1987-10-27 1989-05-01 Matsushita Electric Works Ltd 蛍光放電灯
JPH073189A (ja) * 1993-06-21 1995-01-06 Akiyama Seiji ランプ用防虫塗料
JP2001043829A (ja) * 1999-07-29 2001-02-16 Nec Lighting Ltd 冷陰極蛍光ランプ
JP2002080788A (ja) * 2000-09-06 2002-03-19 Fuji Photo Film Co Ltd 紫外線吸収塗料
JP2002150827A (ja) * 2000-07-31 2002-05-24 Fuji Photo Film Co Ltd 紫外線吸収蛍光灯カバー及び照明器具
JP2003054947A (ja) * 1994-12-13 2003-02-26 Nippon Shokubai Co Ltd 酸化亜鉛系微粒子、および、その用途
JP2004207100A (ja) * 2002-12-26 2004-07-22 Nichia Chem Ind Ltd 結着剤及びそれを用いた蛍光ランプ
JP2005011665A (ja) * 2003-06-19 2005-01-13 Harison Toshiba Lighting Corp 冷陰極蛍光ランプ
JP2005162914A (ja) * 2003-12-03 2005-06-23 Nippon Shokubai Co Ltd 紫外線遮断膜、紫外線遮断用金属酸化物粒子および紫外線遮断材料形成用組成物
JP2005221750A (ja) * 2004-02-05 2005-08-18 Toshiba Lighting & Technology Corp 光カットフィルタ、管球および照明器具
JP2006099966A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Hitachi Lighting Ltd Hidランプ

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6380458A (ja) * 1986-09-25 1988-04-11 Ushio Inc 発光管用石英
JPH01112651A (ja) * 1987-10-27 1989-05-01 Matsushita Electric Works Ltd 蛍光放電灯
JPH073189A (ja) * 1993-06-21 1995-01-06 Akiyama Seiji ランプ用防虫塗料
JP2003054947A (ja) * 1994-12-13 2003-02-26 Nippon Shokubai Co Ltd 酸化亜鉛系微粒子、および、その用途
JP2001043829A (ja) * 1999-07-29 2001-02-16 Nec Lighting Ltd 冷陰極蛍光ランプ
JP2002150827A (ja) * 2000-07-31 2002-05-24 Fuji Photo Film Co Ltd 紫外線吸収蛍光灯カバー及び照明器具
JP2002080788A (ja) * 2000-09-06 2002-03-19 Fuji Photo Film Co Ltd 紫外線吸収塗料
JP2004207100A (ja) * 2002-12-26 2004-07-22 Nichia Chem Ind Ltd 結着剤及びそれを用いた蛍光ランプ
JP2005011665A (ja) * 2003-06-19 2005-01-13 Harison Toshiba Lighting Corp 冷陰極蛍光ランプ
JP2005162914A (ja) * 2003-12-03 2005-06-23 Nippon Shokubai Co Ltd 紫外線遮断膜、紫外線遮断用金属酸化物粒子および紫外線遮断材料形成用組成物
JP2005221750A (ja) * 2004-02-05 2005-08-18 Toshiba Lighting & Technology Corp 光カットフィルタ、管球および照明器具
JP2006099966A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Hitachi Lighting Ltd Hidランプ

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2112684A3 (en) * 2008-04-25 2010-06-16 Toshiba Lighting & Technology Corporation High-pressure discharge lamp and lighting equipment
WO2010098252A1 (ja) * 2009-02-24 2010-09-02 パナソニック電工株式会社 害虫防除装置
US8844192B2 (en) 2009-02-24 2014-09-30 Panasonic Corporation Insect pest-controlling apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7187622B2 (ja) 光源システム
US5627426A (en) Lamp with IR reflecting film and light-scattering coating
EP2567402B1 (en) Light source
JP2006344576A (ja) 紫外線濾過および防爆機能を有するナイトランプ膜
KR20010080627A (ko) 전기 램프
KR100872615B1 (ko) 자외선컷 재료, 자외선컷 필터, 관구 및 조명기구
EP0617300B1 (en) Lamp with IR reflecting film and light-scattering coating
JP2008034350A (ja) 高圧放電ランプおよび照明器具
JP2005221750A (ja) 光カットフィルタ、管球および照明器具
KR20070012224A (ko) 자외선 차단 재료, 자외선 차단 가시 선택 투과 필터, 가시선택 투과 수지 재료, 광원 및 조명 장치
JP2008112695A (ja) 高圧放電ランプおよび照明器具
JPH02253554A (ja) 紫外線遮蔽ランプ及びその製法
JP2006091532A (ja) 紫外線カット部材、ランプ及び照明器具
JP2005019317A (ja) 管形ヒータ
JP2008305748A (ja) 電球形蛍光ランプ
JP5045979B2 (ja) 紫外線カットフィルタ、管球および照明器具
JP2009152171A (ja) 高圧放電ランプ及び照明器具
JP5157258B2 (ja) 高圧放電ランプ及び照明器具
JP2005221751A (ja) 光カットフィルタ、管球および照明器具
JP2006332000A (ja) 発光性紫外線カット材料、発光性紫外線カットフィルタ、ランプおよび照明器具
JP4370971B2 (ja) 蛍光ランプおよび照明器具
JP2009105012A (ja) 金属蒸気放電灯及び照明器具
EP2112684A2 (en) High-pressure discharge lamp and lighting equipment
JP3079811U (ja) コーティング被膜付きカバー
JP2009135106A (ja) 高圧放電ランプ及び照明器具

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20081224

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090917

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110721

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110804

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120105