JP2009102466A - 高い吸水倍率でかつ残留モノマーの少ない吸水性樹脂及びその製造方法 - Google Patents

高い吸水倍率でかつ残留モノマーの少ない吸水性樹脂及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い吸水性能を有し残留モノマーの低い吸水性樹脂を提供すること、及び、該吸水性樹脂を安価な方法で簡便に製造できる製造方法を提供すること。
【解決手段】水溶性不飽和カルボン酸アンモニウム塩を含有する単量体水溶液を下記(1)及び(2)の条件下で重合する重合工程を含むことを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。
(1)単量体水溶液における、前記水溶性不飽和カルボン酸アンモニウム塩の含有量が全単量体中の50mol%を超え、100mol%以下の範囲であること。
(2)ラジカル系光重合開始剤と過酸化物を用い、紫外線照射する。
この製造方法によって得られた吸水性樹脂からは副生成物としてのアクリルアミドは検出されない。
【選択図】なし

Description

本発明は、紙おむつ、生理用ナプキン等の衛生材料分野、農林業分野、土木分野等において幅広く利用されている吸水性樹脂及びその製造方法に関する。特に、高い吸水倍率を必要とする紙おむつ、生理用ナプキン等の衛生材料分野向けの吸水性樹脂及びその製造方法に関する。更に詳しくは不飽和カルボン酸アンモニウム塩の単量体を含む単量体水溶液をラジカル系光重合開始剤と過酸化物を用い紫外線照射により重合させることにより、高い吸水倍率と低い残留モノマー濃度を達成できるものである。
近年、紙おむつや生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料には、その構成材として、体液を吸収させることを目的とした吸水性樹脂が幅広く使用されている。これらの吸水性樹脂としてはアクリル酸−アクリル酸アルカリ金属塩の部分架橋重合体(例えば特許文献1参照)、デンプン−アクリロニトリルの加水分解物(例えば特許文献2参照)、デンプン−アクリル酸部分架橋物(例えば特許文献3参照)、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の加水分解物(例えば特許文献4参照)、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物(例えば特許文献5参照)などが挙げられる。
これらの吸水性樹脂は衛生材料向けに使用するために、残留モノマー量は厳しく制限されており、例えば吸水性樹脂工業会の「紙おむつ用吸水性樹脂自主基準」によると1000ppm以下であることが求められている。一般に吸水性樹脂のモノマーは水溶性であり、残留モノマーは可能な限り少なくした方が好ましく、様々な方法で残留モノマーの低減が図られてきた。例えば、ゲル状重合体を乾燥する前に無機塩、あるいはアスコルビン酸のような還元性物質を添加して残留モノマーを低減する方法(例えば特許文献6もしくは特許文献7参照)があげられる。しかし、この方法では添加する物質が吸水性樹脂に残存する事が懸念され、その安全性が問題となりうる。また、紫外線照射もしくは放射線を用いた方法など重合方法・条件の検討により残留モノマーの低減をはかった方法もあげられる(例えば特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14)。
特に特許文献8および9についてはラジカル系光重合開始剤と過酸化物の併用により、従来技術と比較して簡便な方法で残留モノマーと水可溶分の低減を可能にしている。しかし、この方法でも単量体にアクリル酸ナトリウムを用いているため、残留モノマーは400ppm以上存在し低減効果は不十分であるといえる。その他の文献の方法については場合によっては吸水性樹脂の物性、特に吸水倍率の低下が懸念され、好ましくない。
重合後に残存モノマーを抽出する方法も、抽出溶媒の残存が安全性の面から問題がある(例えば特許文献15)。
酸基の10〜96モル%がアルカリ金属塩および4〜50モル%がアンモニウム塩として中和された単量体を重合して得られたゲル重合体を加熱処理する方法も検討されている(例えば特許文献16)。しかし、実施例および比較例などの記載内容から、吸水倍率が低いことと残留モノマーがまだ多いため、アクリルアミドの生成を抑えるためにカルボン酸の中和がアルカリ金属塩とアンモニウム塩が併用された状態でかつ、アンモニウム塩が4〜50モル%でなければならないとされている。そのため、吸水倍率は通常のポリアクリル酸ナトリウム塩の吸水性樹脂と比較して同等である。
吸水性樹脂の性能として最も重要と考えられるのが吸水倍率である。この吸水倍率を上げる検討も行われている。その一例として電荷密度の高い吸水性樹脂を用いて吸水膨潤力自身を増加させる方法が提案されている。具体的には酸性基がリチウム塩の形で中和された吸水性樹脂が例示されている(例えば特許文献17)。すなわち、原子量が軽いリチウム塩を用いることにより、従来使用されてきたナトリウム塩、カリウム塩と比較して多くの官能基を導入でき電荷密度を上げることにより吸水膨潤力自身を増加させている。同様にアンモニウム塩でも吸水倍率を向上させることができる(例えば特許文献18、19)。しかし、リチウム塩を用いることは入手の簡便性から不利であり、好ましくない。また、上記文献で開示された通常の過酸化物や過酸化物と還元剤との組み合わせを開始剤として用いる方法で重合された吸水性樹脂の残留モノマーはまだまだ多いといえる。
一方で、これらの吸水性樹脂は単なる重合体として衛生材料に対して十分な物性を持たず、吸水倍率以外の様々な物性改良が施されている。そのときの指標として示されているのが、体液等の水性液体に接した際の優れた吸水倍率や吸水速度、ゲル強度、水性液体を含んだ基材から水を吸い上げる吸引力等がある。しかしながら、これらの特性間の関係は必ずしも正の相関関係を示さず、例えば、吸水倍率の高いものほど通液性、ゲル強度、吸収速度等の物性は低下してしまう傾向にあった。
そこで、このような吸水性樹脂の吸水速度などの諸特性をバランス良く改良する方法として吸水性樹脂の表面近傍を架橋する技術が知られており、これまでに様々な方法が提案されている。
例えば、架橋剤として、多価アルコールを用いる方法(例えば特許文献20、21参照)、多価グリシジル化合物、多価アジリジン化合物、多価アミン化合物、多価イソシアネート化合物を用いる方法(例えば特許文献22参照)、グリオキサールを用いる方法(例えば特許文献23参照)、多価金属を用いる方法(例えば特許文献24、25参照)、シランカップリング剤を用いる方法(例えば特許文献26、27、28参照)等が知られている。
また、架橋反応時に架橋剤を吸水性樹脂表面に塗布して均一な表面架橋を行う試みとして、架橋剤の添加時に、不活性無機粉末を存在させる方法(例えば特許文献29、30参照)、二価アルコールを存在させる方法(例えば特許文献31参照)、水とエーテル化合物とを存在させる方法(例えば特許文献32参照)、リン酸を存在させる方法(例えば特許文献33参照)等も知られている。
また、上記方法の応用例として、ブローイング剤の存在下で重合し、表面架橋処理することで吸水速度に優れ、かつ加圧下吸水倍率に優れた吸水性樹脂を製造する方法を開示した例もみられる(例えば特許文献34)。
吸水性樹脂の吸水速度を高める試みとして、表面積を大きくするために粒径を小さくしたり、リン片状や顆粒状あるいは多孔質にする方法(例えば特許文献35)などがあげられる。
しかしながら、一般に吸水性樹脂が小さな粒径に形成される場合には、水性液体との接触により吸水性樹脂はいわゆるママコ状態となり、吸水性樹脂そのものが止水層になってしまうため吸水倍率・吸水速度などが低下する。吸水性樹脂が凝集体に形成される場合も通常は、水性液体と接触することで凝集体そのものが凝集体内部でママコ状態となり吸収速度がかえって低下する。
このように、これらの方法によって吸水性樹脂の残留モノマー、吸水倍率や吸水速度といった諸物性のバランスは改良はなされるものの、未だに十分とは言い難く、更なる高品質化が求められている。特に近年の傾向である、吸水性樹脂を多量に使用し薄型化された衛生用品における吸収体に用いられる吸水性樹脂の必要特性を考えた場合、上記の従来方法では、まだまだ十分な物性レベルにまで到達していないのが現状である。
特開昭55−84304号公報 特公昭49−43395号公報 特開昭51−125468号公報 特開昭52−14689号公報 特公昭53−15959号公報 特開昭64−62317号公報 特開昭56−103207号公報 特許第3569322号公報 特許第3852515号公報 特開昭50−96689号公報 特開昭56−72005号公報 特開昭63−43930号公報 特開昭63−260906号公報 特開昭53−145895号公報 特開平1−29003号公報 特許第3259143号公報 特開平11−60975号公報 特開2004−315816号公報 特開2005−200630号公報 特開昭58−180233号公報 特開昭61−16903号公報 特開昭59−189103号公報 特開昭52−117393号公報 特開昭51−136588号公報 特開昭61−257235号公報 特開昭61−211305号公報 特開昭61−252212号公報 特開昭61−264006号公報 特開昭60−163956号公報 特開昭60−255814号公報 特開平1−292004号公報 特開平2−153903号公報 特表平8−508517号公報 特表8−509521号公報 特開平10−251308号公報
近年、紙おむつ等の吸収性物品は、安全性の観点から残留モノマーをできるだけ削減することと吸水性樹脂の使用量の低減を行うことが望まれており、その解決の手段として吸水性樹脂の吸水性能の向上と吸水速度の向上が求められている。
本発明の目的は、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の衛生材料に好適に用いることの出来る、従来達成困難であった高い吸水性能と吸水速度の高いバランスを有する吸水性樹脂を提供すること、及び、本発明の吸水性樹脂を安価な方法で簡便に製造できる製造方法を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意検討した結果、水溶性不飽和カルボン酸アンモニウム塩を含有するラジカル系光重合開始剤と過酸化物を用い、紫外線照射することで重合し、製造した吸水性樹脂を乾燥させた後、特定の条件で加熱処理を行うことで製造した吸水性樹脂は、残留モノマーが低くかつ吸水倍率が高いことを見出した。さらに、本発明の製造方法による吸水性樹脂からは副生成物としてのアクリルアミドは検出されない。
すなわち、本発明は以下に記載するとおりのものである。
[1]水溶性不飽和カルボン酸アンモニウム塩を含有する単量体水溶液を下記(1)及び(2)の条件下で重合する重合工程を含むことを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。
重合条件:
(1)単量体水溶液における、前記水溶性不飽和カルボン酸アンモニウム塩の含有量が全単量体中の50mol%を超え、100mol%以下の範囲であること。
(2)ラジカル系光重合開始剤と過酸化物を用い、紫外線照射する。
[2]水溶性不飽和カルボン酸アンモニウム塩を含有する単量体水溶液を下記(3)及び(4)の条件下で重合することを特徴とする、上記[1]の吸水性樹脂の製造方法。
(3)前記単量体水溶液の厚みを50mm以下にする。
(4)前記単量体水溶液中の溶存酸素を4ppm以下にする。
[3]前記水溶性不飽和カルボン酸アンモニウム塩がアクリル酸アンモニウム塩であることを特徴とする、上記[1]又は[2]の吸水性樹脂の製造方法。
[4]前記単量体水溶液が発泡剤を含有する状態で重合することを特徴とする上記[1]〜[3]の吸水性樹脂の製造方法。
[5]前記発泡剤が炭酸塩であることを特徴とする上記[4]の吸水性樹脂の製造方法。
[6]前記重合工程によって得た樹脂を乾燥処理する乾燥処理工程及び乾燥処理された樹脂を該乾燥処理工程の乾燥条件よりも10℃以上高い温度で加熱処理する加熱処理工程を含むことを特徴とする上記[1]〜[5]の吸水性樹脂の製造方法。
[7] 前記加熱処理を下記(5)及び(6)の条件下で行うことを特徴とする上記[6]の吸水性樹脂の製造方法。
(5)吸水性樹脂の乾燥条件よりも10℃以上高く、かつ100〜250℃の範囲で行う。
(6)吸水性樹脂の樹脂外表層の中和率が50mol%未満でかつ、樹脂中心部の中和率が50mol%以上となる加熱処理条件で行う。
[8]上記[1]〜[7]の吸水性樹脂の製造方法により製造された吸水性樹脂。
[9]残留モノマーが20ppm未満であることを特徴とする上記[8]の吸水性樹脂。
[10]保水倍率が40g/g以上でかつ57g/cmの加圧下吸水倍率が10g/g以上であることを特徴とする上記[8]又は[9]の吸水性樹脂。
本発明の吸水性樹脂は、保水倍率が40g/g以上でかつ57g/cmの加圧下吸水倍率で10g/g以上という、良好な吸水性能でかつ残留モノマーが20ppm以下と少なく、紙おむつなどの衛生材料用途などに好適である。
また、本発明の吸水性樹脂の製造方法では、溶媒による抽出工程などが無くかつ残留して各種物性に影響が懸念される添加剤等を添加しないなど、簡便に本発明の吸水性樹脂を製造できるため非常に有益である。
以下に本発明について更に詳細に説明する。
<本発明の製造方法について>
本発明の吸水性樹脂の製造方法とは、不飽和カルボン酸アンモニウム塩を含有する単量体溶液をラジカル系光重合開始剤と過酸化物の存在下で紫外線を照射することに重合して、得られる樹脂を乾燥後、加熱処理をする方法である。
本発明に用いられる不飽和カルボン酸アンモニウム塩単量体は特に限定するものではなく(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのアンモニウム塩があげられるが、好ましくは(メタ)アクリル酸のアンモニウム塩を用いる。不飽和カルボン酸アンモニウム塩の製造方法はカルボン酸の中和、もしくは不飽和アミド化合物もしくは不飽和ニトリル化合物の微生物になどによる加水分解などの誘導体でもかまわない。
本発明において、不飽和カルボン酸アンモニウム塩以外のその他単量体を添加することもできる。その他単量体成分としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの中で1種類、もしくは2種類以上を全単量体成分中の50mol%以下で添加することができる。架橋剤として添加されるカルボキシル基に対し縮合型架橋剤となる化合物を添加してもよい。縮合型架橋剤としてはエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物;(ポリ)グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの多価アルコール類;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンジアミンなどの多価アミン類;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの多価イオンなどがあげられる。
もう一つの架橋剤である重合性架橋剤を共重合することも問題ない。重合性架橋剤としてはジエチレングリコールジアクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ビスフェノールジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、テトラアリルオキシエタン、ジアリルオキシ酢酸塩などがあげられる。これらの重合性架橋剤の中でN,N’−メチレンビスアクリルアミドもしくはトリメチロールプロパントリアクリレートが特に望ましい。
他の添加物として吸水性樹脂の表面積を広げる事を目的として発泡剤を添加することが好ましい。発泡剤としては公知の炭酸塩を用いる事ができる。炭酸塩としては塩または混合塩を含むいずれの炭酸塩、炭酸水素塩が本発明でも使用されるが、本発明にとってより好ましい炭酸塩の例としては炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等およびこれらの水和物等があげられ、それらの1種類または2種類以上が用いられる。特に、本発明にとって好ましい炭酸塩は1価カチオン、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウムの炭酸塩または炭酸水素塩である。多価カチオン種からなる炭酸塩を用いた場合、カルボキシル基を有する重合体は多価カチオン種により金属架橋されて吸水性能に悪影響を及ぼす。
炭酸塩の単量体水溶液に対する添加量は単量体成分に対して0.01〜10重量%であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。炭酸塩の添加量が0.01重量%未満であると重合により得られる含水ゲルは多孔質体とならない。また、10重量%を超えて添加すると水可溶分が増加すると共に樹脂の保水能力にも支障をきたす。また、炭酸塩は紫外線照射前に添加することが好ましく、添加方法としては、炭酸塩をそのまま添加するかあるいは、任意の溶媒中に溶かし込み炭酸塩溶液として添加してもよい。
本発明には、気泡剤および発泡時期をコントロールする目的で消泡剤を使用することもできる。消泡剤としては一般的に破泡剤、抑泡剤、整泡剤等として公知のものを使用することができ、1種または2種類以上組み合わせて用いることもできる。消泡剤の具体的なものとしては、油脂類、脂肪酸類、低級アルコール類、高吸アルコール類、金属石鹸類、シリコーン類、疎水性シリカ・シリコーンコンパウンド類、脂肪酸エステル類、ポリグリコール類、ポリグリコールエステル類、ポリエーテル類、変性シリコーン類、油溶性ポリマー類、有機リン系化合物、硫酸化脂肪酸類、ポリエーテル誘導体、シリカ・変性シリコーンコンパウンド類などがあげられる。
単量体溶液の溶媒は、単量体の溶解性に優れたものであれば特に限定しない。特に好ましくは水単独であるが、エタノール、メタノール、アセトンなどの親水性溶媒を単独もしくは複数混合して使用しても良い。また、必要に応じて塩化ナトリウムなどの塩類、pHコントロールを目的としたアンモニアなどの塩基性化合物を添加しても良い。重合方法は溶液重合などの公知の方法を用いることができるが、水溶液重合が有機溶媒を使わないで済むなど、エネルギー的な観点からも好ましい。反応器の形式は紫外線照射により重合を開始するものであり、その要件を満たすものであれば特に限定するものではなく回分式もしくは連続式のいずれでもかまわない。公知の反応装置である、エンドレスベルトのような装置を用いてもかまわない。
本発明の吸水性樹脂を得るためには、重合開始方法としてラジカル系光重合開始剤と過酸化物を用いて紫外線照射をして重合することが必要である。ラジカル系光重合開始剤としては、例えば、一般に光重合に用いられているベンゾイン、ベンジル、アセトフェノン、ベンゾフェノンおよびこれらの誘導体があげられる。また、誘導体の例としては、ベンゾイン系のものとして、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン系のものとして、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシー1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチルー1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モンフォリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフェリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン系のものとして、O−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイルー4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキシ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等があげられる。
その他のラジカル系光重合開始剤としてはアゾ化合物も使用できアゾニトリル化合物、アゾアミジン化合物、アゾアミド化合物、アルキルアゾ化合物等も利用できる。しかし、この場合、比較的多量に添加する必要があることから、高重合度化が困難であるという理由から、ベンゾイル基を有するラジカル系光重合開始剤を用いる方が好ましい。光重合開始剤の添加量は単量体成分に対して0.0001〜0.1重量%であるのが好ましく、より好ましくは0.001〜0.01重量%である。光重合開始剤の添加量が単量成分に対して0.0001重量%未満であると重合性が極端に低くなり、他方、0.1重量%を超えると、低分子量体が増加する傾向にあり、水可溶分が増加する傾向にある。
本発明において過酸化物は残留モノマーを低減させるために用いられるものである。本発明にとり好ましい過酸化物の例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酢酸などの有機化酸化物、などの公知の開始剤が挙げられる。それらの1種類もしくは2種類以上を組み合わせ用いることもできる。過酸化物の添加量は単量体成分に対して0.001〜10重量%であるのが好ましく、より好ましくは0.01〜1重量%である。過酸化物の添加量が0.001重量%未満であると残留モノマーを十分に減少させることが困難になり、10重量%以上添加すると水可溶分が増加するとともに得られた吸水性樹脂が着色する場合がある。
重合開始前に予め単量体溶液中の脱酸素操作を行っておくことが好ましい。具体的には十分な時間の不活性ガスによるバブリングにより溶存酸素を取り除く。また、反応器内雰囲気も窒素、ヘリウムなどの不活性ガスに置換されていることが望ましい。本発明においては単量体水溶液の溶存酸素が4ppm以下にすることが好ましく、さらに好ましくは1ppm以下にすることである。単量体水溶液の溶存酸素が4ppmを超えると、重合開始時間が遅延し、また反応が完結せず、残留モノマーが増加する場合がある。さらに、反応器内は減圧、常圧、加圧のいずれであっても良い。
本発明においては紫外線の照射により重合を開始させるものであり、不飽和単量体水溶液中に紫外線が十分に透過させることが望ましい。単量体水溶液の厚みは反応温度(重合体の最高到達温度)の制御のためと紫外線の透過を十分に保つため50mm以下が好ましく、更に好ましくは20mm以下である。単量体水溶液の厚みが50mmを超えると紫外線照射が均一に行われなくなり、重合体が不均一になる場合がある。該単量体水溶液の厚みの下限値に特に制限はないが、生産性を考慮すると1mm以上が好ましい。
紫外線の光量は特に制限されないが、通常は10〜10000mJoul/cmとすればよい。この範囲より少ないと重合が不十分な場合があり、この範囲より多いと過剰照射のため、得られた重合体の架橋点が切断され、水可溶分が増える場合があるので好ましくない。また、紫外線照射に使用する光源としては、従来公知の光源が使用でき、例えば、水銀ランプ、メタルハイドランプ等を反応条件を考慮して使用すればよい。照射波長も特に制限されるものではなく、通常200〜450nmの波長光が用いられる。紫外線照射時間は上記光量になるように決定されるが、上記条件下、照射を開始した直後に重合が開始され、通常、10〜180秒の短時間の照射で十分に重合は完結する。
重合開始温度は0〜30℃で行う。紫外線照射前の不飽和単量体水溶液は、その液温が30℃以下に維持されているものが好ましく、より好ましくは0〜20℃に維持されているものである。該単量体水溶液が30℃を超える場合は、反応系の温度が高くなりすぎるため、低分子量化し、保水能力の低下、かつ水可溶分の増加を引き起こす可能性がある。該単量体水溶液温度の下限については特に制限はなく、該単量体水溶液が凍結しない温度であればよく、通常は0℃以上であればよい。
該単量体水溶液の濃度は単量体が溶解できる範囲であれば特に制限されるものではないが、10〜70重量%が好ましく、特にアクリル酸アンモニウムを単量体として用いる場合は、経済的、反応制御のしやすさなどの観点からは30〜65重量%が最も好ましい。
水溶性不飽和単量体が重合し始めると、系内の温度が上昇するが、優れた吸水性樹脂を得るためには系内の最高到達温度を120℃以下に抑える事が好ましく、より好ましくは100℃以下に抑えることである。系内の最高到達温度が120℃を超えると、単量体水溶液が重合して得られる重合体は、その水可溶分が増加する。また保水能力の悪いものとなる。重合時の最高到達温度抑制する方法としては種々考えられ、例えば、外部から重合体接触部分を冷却する方法、重合体に冷風を当てる方法等考えられるが、これらの方法は設備も大きくなるので、前記した条件、すなわち、単量体水溶液濃度を30〜65%にし、該単量体水溶液の温度を30℃以下にし、また、該単量体水溶液の厚みを50mm以下、好ましくは1〜20mmにするという条件を採用して、系内の最高到達温度を120℃以下に抑えることが望ましい。
反応後、溶液重合では含水ゲル状が生成する。これを粗解砕してから乾燥させる。乾燥後に数百μm程度にまで粉砕し造粒する。粒度分布は3000μm〜1μmに収まることが望ましく、特に望ましいのは1000μm〜50μm、更に望ましいのは900〜100μmである。粗解砕の方法としては、ゴム状弾性体を切断、押出しできる装置を用いることができ、例えば、カッター型切断機、チョッパー型切断機、ニーダー型切断機等、公知の技術を用いて用意に達成できる。カッター型切断機を用いた場合ゲル切断時のシェアーによりポリマーの劣化が少なく好ましい。乾燥されたゲルを粉砕するには従来公知の粉砕方法を採用することができる。例えば、振動式粉砕機、衝撃式粉砕機、摩擦型粉砕機等によって所望の粒度に粉砕することができる。
乾燥方法は特に限定するものではなく真空乾燥、熱風乾燥が望ましい。本発明に用いることのできる乾燥機は、通常の乾燥機や加熱炉を用いることができ、例えば、熱風乾燥機、流動層乾燥機、気流乾燥機、赤外線乾燥機、誘電加熱乾燥機などが挙げられる。乾燥温度は70℃〜180℃の範囲が好ましく、特に好ましくは100〜120℃である。
乾燥後、造粒された吸水性樹脂の加熱処理を行うが、加熱終了後に連続的に同じ乾燥機内で加熱しても良く、乾燥工程とは独立の工程としても良いが、加熱処理工程は乾燥工程よりも10℃以上高いことが必要である。加熱条件とは加熱温度と加熱時間の2つの要素からなり、吸水性樹脂の吸水性能に大きな影響をあたえる。要求される吸水性樹脂の特性によって変更されるが、乾燥条件よりも10℃以上高いことが好ましく、さらに好ましくは20℃以上、最も好ましくは30℃以上高いことかが好ましく、かつ100〜250℃の範囲であり、好ましくは120〜200℃、より好ましくは150〜170℃である。加熱時間は10分〜5時間が好ましく、最も好ましくは30分〜1時間である。この条件のもとで加熱処理を行うと、吸水性樹脂の樹脂外表層の中和率と樹脂中心部の中和率を好ましい範囲に調整することができる。この好ましい範囲としては、樹脂中心部のカルボキシル基アンモニア中和率が50mol%以上、好ましくは60mol%以上、最も好ましくは70mol%以上であり、樹脂外表面のカルボキシル基アンモニア中和率が50mol%未満、好ましくは45mol%以下、最も好ましくは40mol%以下である。樹脂中心部と樹脂外表面の中和率の差が5mol%以上であることが好ましく、さらに好ましくは10mol%以上である。
なお、加熱処理装置については特に制限無く、熱風乾燥機、流動層乾燥機、ナウター式乾燥機などの公知の装置が用いられる。
<微生物による加水分解により不飽和カルボン酸アンモニウムを得る方法について>
微生物による加水分解反応に供される不飽和ニトリルとは、分子内に不飽和結合とシアン基との両方を含む化合物のことをいう。不飽和結合とシアン基をそれぞれ多数含んでいてもかまわない。不飽和結合とは炭素原子間の結合に二重結合(エチレン結合)あるいは三重結合(アセチレン結合)を含むものをいう。このような化合物の例として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトンニトリル、ケイ皮酸ニトリルなどがあげられる。なかでもアクリロニトリル及びメタクリロニトリルが好ましく、特にアクリロニトリルが好ましい。
また、微生物による加水分解反応に供される不飽和アミドとは、分子内に不飽和結合と一般式R−CONH(Rはアルキル基、アリール基など)で表される官能基を両方含む化合物のことをいう。このような化合物としては、ケイ皮酸アミド、アクリルアミド、メタクリルアミドなどがあげられるが、アクリルアミド及びメタクリルアミドが好ましく、特にアクリルアミドが好ましい。
不飽和ニトリル及び/又は不飽和アミドの微生物による加水分解条件には特に制限はないが、該微生物としては、20重量%以上の濃度の不飽和カルボン酸アンモニウム水溶液を生産できる微生物が好ましい。このような微生物としては、アシネトバクター属、アルカリゲネス属、コリネバクテリウム属、ロドコッカス属、ゴルドナ属からなる群から選ばれた少なくとも一種を使用することが好ましい。上記微生物の中ではアシネトバクター属の微生物が好ましく、その中でも該微生物がアシネトバクターsp.AK226菌株(FERM BP−08590)、あるいはアシネトバクターsp.AK227菌株(FERM BP−08591)であることが最も好ましい。なお、アシネトバクターsp.AK226菌株(FERM BP−08590)およびアシネトバクターsp.AK227菌株(FERM BP−08591)の微生物学的性質は以下に示す通りである。
Figure 2009102466
Figure 2009102466
この微生物による加水分解法で生成される不飽和カルボン酸アンモニウム水溶液は、不飽和カルボン酸の二量体および/または水和物などの不純物量が極めて微量である。従って、該製法は好ましい方法である。
該不純物の具体的例としては、アクリル酸の場合では、アクリル酸の二量体であるβ−アクリロイルオキシプロピオン酸およびアクリル酸の水和物であるβ−ヒドロキシプロピオン酸、及びそれらの塩等が挙げられる。
<吸水性樹脂について>
本発明の吸水性樹脂は、ポリマー分子鎖中における繰り返し単位の50mol%以上がカルボキシル基含有単位からなる吸水性樹脂である。ポリマー分子鎖中における繰り返し単位のうちのカルボキシル基含有単位は、50mol%以上であることが必要であり、吸水性能の点から好ましくは80mol%以上、さらに好ましくは90mol%以上である。
本発明の吸水性樹脂を構成するカルボキシル基含有単位としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、ソルビン酸、けい皮酸、およびそれらの無水物やそれらの中和塩等の単量体から誘導される単位が挙げられる。
本発明の吸水性樹脂を構成するカルボキシル基を含有していない単位としては、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクレリート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペジリン、N−アクリロイルピロリジンなどのノニオン性化合物から誘導される親水性単位や、(メタ)アクリルニトリル、スチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソブテン、エチレン、プロピレン、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどの化合物から誘導される疎水性単位などがあげられる。
また、本発明の吸水性樹脂は、ポリマー分子鎖間の架橋剤となる単位が含まれていてもかまわない。例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ビスフェノールジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、テトラアリルオキシエタン、ジアリルオキシ酢酸塩などから誘導される単位が挙げられる。
また、カルボキシル基含有単位と縮合して架橋剤となる単位が含まれていてもかまわない。例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物;(ポリ)グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの多価アルコール類;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンジアミンなどの多価アミン類;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの多価イオン類などが挙げられる。
吸水性樹脂の形状は粒子状であれば懸濁重合による球状のもの、水溶液重合品を破砕した不定形のもの、比表面積を増やすための多孔質形状、球状粒子を複数凝集させた形状など特に限定されない。粒子径は特に限定されないが50μm以上の粒子径であることが、吸水性樹脂の取扱上、微紛の発生が問題となることが多いことから好ましい。更に好ましくは100μm以上であることである。吸水性樹脂の分級は篩いを用いて適時図ることが出来る。
本発明の製造方法にて製造した吸水性樹脂は高い吸水倍率を示すことが特徴の一つとしてあげられる。後述のTea−bag法による無加圧における吸水倍率の測定においては55g/g以上である事が好ましく、より好ましくは60g/g以上である。同様に後述の保水倍率の測定において40g/g以上である事が好ましく、より好ましくは42g/g以上、最も好ましくは45g/g以上である。また、57g/cmでの加圧下における吸水倍率が10g/g以上であることが好ましい。各数値がその値以下の場合、近年求められている衛生材料分野での、紙おむつなどの薄型化が達成できない可能性があり好ましくない。
本発明の製造方法により製造された吸水性樹脂の残留モノマーは、低い値を示す。本発明の製造方法による吸水性樹脂の残留モノマーは、20ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは15ppm以下、最も好ましくは10ppm以下である。残留モノマーはできるだけ少ないことが好ましい。また、本発明の製造方法による吸水性樹脂には、アクリルアミドの含有値は非常に低い値を示す。本発明の製造方法による吸水性樹脂のアクリルアミドは、1ppm以下であることが好ましく。さらに好ましくは0.1ppm以下である。
<中和塩について>
本発明の吸水性樹脂を構成するポリマー分子鎖中のカルボキシル基は、アンモニアで部分中和されている必要がある。アンモニアによるカルボキシル基全体の中和率は50mol%以上が好ましく、更に好ましくは55mol%以上、最も好ましくは60mol%以上である。
本発明の吸水性樹脂において、樹脂内部のカルボキシル基アンモニア中和率が樹脂外表面のカルボキシル基アンモニア中和率よりも高い状態で存在する分布構造を持つ。樹脂中心部のカルボキシル基アンモニア中和率が50mol%以上、好ましくは60mol%以上、最も好ましくは70mol%以上であり、樹脂外表面のカルボキシル基アンモニア中和率が50mol%未満、好ましくは45mol%以下、最も好ましくは40mol%以下である。樹脂中心部と樹脂外表面の中和率の差が5mol%以上であることが好ましく、さらに好ましくは10mol%以上である。樹脂中心部のカルボキシル基アンモニア中和率が上記の数値であると無加圧における吸水倍率の低下が起こりにくく好ましい。また、樹脂外表面のカルボキシル基中和率が上記の数値であると加圧下の吸水倍率が低下しにくく好ましい。
当該樹脂外表面とは、当該樹脂の外部に露出している部分を言う。また、当該樹脂中心部とは当該樹脂の樹脂外表面から最も内奥の部分を言う。
当該吸水性樹脂は樹脂内部にコア−シェル構造をもつが、樹脂全体として平均化されたカルボキシル基中和率は30mol%以上であることが好ましく、より好ましくは50mol%以上である。樹脂全体の平均カルボキシル基中和率が極端に低下すると無加圧化での吸水倍率の低下を招くことがあり、好ましくない。
当該樹脂内部のコア−シェル構造は、樹脂外表面と樹脂中心部のカルボキシル基中和率を赤外吸光分析法の一つである顕微ATR法によって測定することにより求めることができる。
樹脂外表面のカルボキシル基中和率の測定は顕微ATR法にて直接樹脂外表面を測定する。樹脂中心部の測定は、例えばウルトラミクロトーム(Reichert製 ULTRACUT N)を用いることにより樹脂を割断して中心部を露出させてから顕微ATR法にて測定する。測定装置は例えばBio−Rad社製 FTS−575などを用いることができる。
カルボン酸及びカルボキシレートの組成比を規定する指標として、1695cm−1(カルボン酸νC=0 ベースライン1774〜1616cm−1)および1558cm−1(カルボキシレートνCOO− ベースライン1616〜1500cm−1)のピーク面積比(1695/1558cm−1)を計算する。別途、全カルボン酸の10mol%,30mol%,50mol%,70mol%,90mol%,100mol%をアンモニアで中和した部分架橋ポリアクリル酸を標準サンプルとして測定し、作成した検量線より組成比を求める。
以下に本発明の具体的な実施例および比較例を示すが、本発明は下記の実施例に限定されない。
(1)無加圧における吸水倍率の測定方法;Tea−bag法
不織布製のティーバック式袋(7×9cm)に吸水性樹脂A(g)(約0.5g)を均一に入れ、液温25℃の生理食塩水500ccに1時間浸漬する。所定時間後にティーバック式袋を引き上げ、10分間自然に水切りを行った後にティーバック式袋の重量B(g)を測定する。ブランクとして同様の操作を、吸水性樹脂を加えずにティーバック式袋のみで行い、重量C(g)を計測する。吸水倍率を次式より求める。
吸水倍率(g/g)=(B(g)−C(g))/A(g)
(2)吸収速度の測定法;ボルテックス法
100ccのガラス製ビーカーに25℃に調整した0.9%の生理食塩水を50g測り取る。ここに30*8mmの回転子を入れ、回転計のついたマグネチックスターラーの上にのせ、600rpmで回転させる。非接触式回転計にて、回転数を確認する。吸水性樹脂を2.00g測り取り、ビーカーに投入する。吸水性樹脂投入後から、液表面が平らになるまでの時間を吸収時間とする。
(3)樹脂体外表面と中心部のカルボキシル基中和率の測定方法
(i)測定装置
測定装置はBio−Rad社製 FTS−575を用いた。
(ii)測定条件
顕微ATR法(結晶板Ge 1回反射)
Back Ground : Air 常温測定
アパーチャー : 50×50μm、
積算回数 : 100回
測定によって得られたスペクトルデータから1695cm−1(カルボン酸νC=0 ベースライン1774〜1616cm−1)および1558cm−1(カルボキシレートνCOO− ベースライン1616〜1500cm−1)のピーク面積比(1695/1558cm−1)を求める。
(iii)検量線の作成
検量線作成用試料として全カルボン酸の10mol%,30mol%,50mol%,70mol%,90mol%,100mol%をアンモニアで中和した部分架橋ポリアクリル酸を用いた。検量線試料を割断し、中心部分を顕微ATR法にて1試料につき5回実施。−COOH/−COO−ピーク面積比より検量線(5次多項式近似曲線)を作成した。割断はウルトラミクロトーム(Reichert社製 ULTRACUT N)にて行った。
(iv)サンプルの測定
検量線試料と同様に測定を行った。樹脂体外表面はATR法で直接測定し、樹脂体中心部はウルトラミクロトームにて割断を行ってからATR法にて測定を行った。樹脂体外表面は1試料につき3回、樹脂体中心部は1試料につき5回測定を行い、その平均値を測定結果とした。
(4)残留モノマーとアクリルアミドの測定方法
300mlのビーカーに吸水性樹脂1gを精秤し、生理食塩水を250g加えて2時間攪拌する。所定時間経過後、メンブレンフィルターでろ過し、ろ液を高速液体クロマトグラフィーで分析した。
高速液体クロマトグラフィーの分析条件は以下のとおりである。
カラム : 東ソー製 ODS80Ts
カラム温度 : 40℃
キャリアー : 10mMリン酸水溶液、0.7cc/minで流す
検出 : UV207nm
打ち込み量 : 50μl
(5)加圧下吸水倍率の測定
底面に250メッシュのナイロン網を貼ったアクリル樹脂製の円筒形器具(外径35.0mm、内径24.5mm、高さ30mm、重さ D(g))に、吸水性樹脂 E(g)(約0.16g)を均一になるように入れ、重りとして0.0psiでは何ものせないが、0g/cmでは21g・cm、57g/cmでは278.3gの分銅(外径24.5mm)をのせる。SUS製シャーレ(内径120mm)に生理食塩水を60cc入れ、円筒形器具を中に1時間置く。所定時間経過後、紙製タオルにて水切りを行い、天秤で器具全体の重量F(g)測定を行う。吸水倍率は次式(1)にて求める。
<式(1)>
吸水倍率(g/g)=(F(g)−D(g)−分銅の重さ(g))/E(g)
(6)保水倍率の測定
吸水性樹脂の保水力を示す指標として下記式(2)で表される「保水倍率」を用いる。
前記Tea−bag法の吸収倍率測定試験実施直後の含水樹脂を包含したティーバックを遠心分離機に入れ、250Gで3分間脱水し、重量を測定する。吸水性樹脂を用いずに同様の操作を行い、重量を測定しブランクとする。次式(2)に従って保水倍率を算出する。測定は3回行い、平均値を保水倍率とする。
<式(2)>
吸水性樹脂の保水倍率(g/g)={(吸水後遠心分離機で脱水後のティーバッグの重量)−(吸水後のブランクのティーバッグ重量)−(吸水性樹脂の重量)}/(吸水性樹脂の重量)
[製造例1]
(アクリル酸の中和によるアクリル酸アンモニウムの調製)
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を使用した。アクリル酸は使用する前に蒸留を行い、重合禁止剤を除去してから使用した。次に、アクリル酸100gを水91.02gに溶解した。この水溶液を氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ちながら、25重量%のアンモニア水溶液117.94gを攪拌しながら徐々に加え40重量%のアクリル酸アンモニウム水溶液を得た。
[製造例2]
(アクリルニトリルの加水分解によるアクリル酸アンモニウムの調製)
(1)生体触媒の調製
ニトリラーゼ活性を有するアシネトバクター エスピー AK226(FERM BP−08590)を塩化ナトリウム0.1%、リン酸2水素カリウム0.1%、硫酸マグネシウム7水和物0.05%、硫酸鉄7水和物0.005%、硫酸マンガン5水和物0.005%、硫酸アンモニウム0.1%、硝酸カリウム0.1%(いずれも重量%)を含む水溶液をpH=7に調製した培地で、栄養源としてアセトニトリル0.5重量%を添加し、30℃で好気的に培養した。これを30mMリン酸バッファー(pH=7.0)にて洗浄し菌体懸濁液(乾燥菌体15重量%)を得た。続いてアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、5%N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン水溶液、菌体懸濁液、30mMリン酸緩衝液の混合液に、2.5%過硫酸カリウム水溶液を混合して重量物を得た。最終的な組成は、乾燥菌体濃度3%、30mMリン酸バッファー(pH=7)52%、アクリルアミド18%、メチレンビスアクリルアミド1%、5%N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン水溶液12%、2.5%過硫酸カリウム水溶液14%(何れも重量%)とした。該重合物を約1×3×3mm角の粒子に裁断し固定化菌体を得た。この固定化菌体を30mMリン酸バッファー(pH=7)で洗浄し固定化菌体触媒(以下生体触媒)を調製した。
(2)生体触媒による加水分解
内容積500mlの三角フラスコに蒸留水400gを入れ、これに前述の生体触媒1g(乾燥菌体0.03gに相当)を金網かごに入れたものを液中にセットし、ゴム栓で封をした後、恒温水槽に浸けて内温を20℃に保ち、スターラーで攪拌した。
アクリロニトリルを間欠的に2重量%分フィード(アクリロニトリル濃度は0.5重量%以上で管理)し、アクリル酸アンモニウムの蓄積反応を行ったところ40重量%まで蓄積できた。
得られたアクリル酸アンモニウム水溶液は無色透明であった。また、同一条件で反応液を5L作製し、UF膜(旭化成ペンシル型モジュールSIP−0013)による精製操作を行ったところ、目詰まり等の現象は見られず、全液を処理することができ、高純度40重量%アクリル酸アンモニウム水溶液を得た。
[製造例3]
(アクリル酸の中和によるアクリル酸ナトリウムの調製)
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を使用した。アクリル酸は使用する前に蒸留を行い、重合禁止剤を除去してから使用した。次に、アクリル酸100.0gを水43.20gに溶解した。この水溶液を氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ちながら、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液166.7gを攪拌しながら徐々に加え40重量%の75mol%中和のアクリル酸ナトリウム水溶液を得た。
[製造例4]
(アクリル酸の中和によるアクリル酸アンモニウムの調製)
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を使用した。アクリル酸は使用する前に蒸留を行い、重合禁止剤を除去してから使用した。次に、アクリル酸100gを水150.73gに溶解した。この水溶液を氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ちながら、30重量%のアンモニア水溶液59.03gを攪拌しながら徐々に加え38重量%のアクリル酸アンモニウム水溶液を得た。
[実施例1]
製造例1の40重量%アクリル酸アンモニウム水溶液を300g、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0623g添加する。次に42重量%グリセリン水溶液をシリンジにて1.43g添加した。続いて光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンを0.0067gと過硫酸アンモニウムを0.0033g添加し、この単量体水溶液を10℃に冷却し、窒素ガスでバブリングすることにより脱気し、反応系中を窒素置換した。溶存酸素は1ppm以下となった。
この水溶液を水溶液厚み20mmとなるようにして、高圧水銀ランプ(SEN EngineeringCO.,Ltd.製 MUMK−20−25XE、20W、発光長253nm これを3台使用)を用いて、2分間紫外線を照射した(光量 684mJ/cm)。内部温度は13℃から開始して最高到達温度は約90℃であった。その後、ゲルを取り出し粗解砕を行ってから130℃の熱風乾燥機を用いて2時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて100〜850μmを回収する。これをイナートオーブンにて窒素雰囲気下で30分間、170℃で加熱した。このようにして得られた吸水性樹脂を吸水性樹脂(1)とする。
[実施例2]
製造例2の40重量%アクリル酸アンモニウム水溶液を300g、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0623g添加する。続いて光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンを0.0067gと過硫酸アンモニウムを0.0033g添加し、この単量体水溶液を10℃に冷却し、窒素ガスでバブリングすることにより脱気し、反応系中を窒素置換した。溶存酸素は1ppm以下となった。
この水溶液を水溶液厚み20mmとなるようにして、高圧水銀ランプ(SEN EngineeringCO.,Ltd.製 MUMK−20−25XE、20W、発光長253nm これを3台使用)を用いて、2分間紫外線を照射した(光量 684mJ/cm)。内部温度は13℃から開始して最高到達温度は約90℃であった。その後、ゲルを取り出し粗解砕を行ってから130℃の熱風乾燥機を用いて2時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて100〜850μmを回収する。
得られた吸水性樹脂50gをビーカーに仕込み、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル 0.1250g、水 3.000gを添加し、130℃で15分間加熱反応後、乾燥し表面架橋した吸水性樹脂を得た。その後、シリカを0.3000g添加し、混合した。
これをイナートオーブンにて窒素雰囲気下で10分間、180℃で加熱した。このようにして得られた吸水性樹脂を吸水性樹脂(2)とする。
[実施例3]
製造例2の40重量%アクリル酸アンモニウム水溶液を300g、トリメチロールプロパントリアクリレートを0.024g添加する。続いて光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンを0.0067gと過硫酸アンモニウムを0.0033g添加し、この単量体水溶液を10℃に冷却し、窒素ガスでバブリングすることにより脱気し、反応系中を窒素置換した。溶存酸素は1ppm以下となった。次いで炭酸水素ナトリウムを1.2gを混合した。
この水溶液を水溶液厚み20mmとなるようにして、高圧水銀ランプ(SEN EngineeringCO.,Ltd.製 MUMK−20−25XE、20W、発光長253nm これを3台使用)を用いて、2分秒間紫外線を照射した(光量 684mJ/cm)。内部温度は13℃から開始して最高到達温度は約90℃であった。その後、ゲルを取り出し粗解砕を行ってから130℃の熱風乾燥機を用いて2時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて100〜850μmを回収する。
得られた吸水性樹脂50gをビーカーに仕込み、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル 0.1250g、水 3.000gを添加し、130℃で15分間加熱反応後、乾燥し表面架橋した吸水性樹脂を得た。その後、シリカを0.3000g添加し、混合した。
これをイナートオーブンにて窒素雰囲気下で10分間、180℃で加熱する。このようにして得られた吸水性樹脂を吸水性樹脂(3)とする。
[実施例4]
実施例1においてイナートオーブンでの加熱条件を175℃で25分間としたこと以外は、実施例1と同様な操作を行い、吸水性樹脂を得た。このようにして得られた吸水性樹脂を吸水性樹脂(4)とする。
[実施例5]
実施例2において単量体水溶液の厚みを30mmとし、イナートオーブンでの加熱条件を165℃で45分間とした以外は、実施例2と同様な操作を行い、吸水性樹脂を得た。このようにして得られた吸水性樹脂を吸水性樹脂(5)とする。
[実施例6]
実施例3において単量体水溶液の厚みを10mmとした以外は、実施例3と同様な操作を行い、吸水性樹脂を得た。このようにして得られた吸水性樹脂を吸水性樹脂(6)とする。
[実施例7]
実施例3において炭酸水素ナトリウムを炭酸アンモニウムとした以外は実施例3と同様な操作を行い、吸水性樹脂を得た。このようにして得られた吸水性樹脂を吸水性樹脂(7)とする。
[実施例8]
実施例3において篩い分けを300〜106μmとした以外は実施例3と同様な操作を行い、吸水性樹脂を得た。このようにして得られた吸水性樹脂を吸水性樹脂(8)とする。
[実施例9]
実施例3において炭酸水素ナトリウム1.2gを炭酸水素アンモニウム2.4gとした以外は実施例3と同様な操作を行い、吸水性樹脂を得た。このようにして得られた吸水性樹脂を吸水性樹脂(9)とする。
[実施例10]
製造例1の40重量%アクリル酸アンモニウム水溶液を300g、トリメチロールプロパントリアクリレートを0.024g添加する。続いて光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンを0.0067gと過硫酸アンモニウムを0.0033g添加し、この単量体水溶液を10℃に冷却し、窒素ガスでバブリングすることにより脱気し、反応系中を窒素置換した。溶存酸素は1ppm以下となった。次いで炭酸水素ナトリウムを1.2gを混合した。
この水溶液を水溶液厚み20mmとなるようにして、高圧水銀ランプ(SEN EngineeringCO.,Ltd.製 MUMK−20−25XE、20W、発光長253nm これを3台使用)を用いて、2分間紫外線を照射した(光量 684mJ/cm)。内部温度は13℃から開始して最高到達温度は約90℃であった。その後、ゲルを取り出し粗解砕を行ってから130℃の熱風乾燥機を用いて2時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて100〜850μmを回収する。
このようにして得られた吸水性樹脂を吸水性樹脂(10)とする。
[比較例1]
製造例3の40重量%の75mol%中和アクリル酸ナトリウム水溶液を300g、トリメチロールプロパントリアクリレート0.036g添加する。続いて光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンを0.0067gと過硫酸ナトリウムを0.0033g添加し、この単量体水溶液を10℃に冷却し、窒素ガスでバブリングすることにより脱気し、反応系中を窒素置換した。
この水溶液を水溶液厚み20mmとなるようにして、高圧水銀ランプ(SEN EngineeringCO.,Ltd.製 MUMK−20−25XE、20W、発光長253nm これを3台使用)を用いて、2分間紫外線を照射した(光量 684mJ/cm)。内部温度は13℃から開始して最高到達温度は約90℃であった。その後、ゲルを取り出し粗解砕を行ってから130℃の熱風乾燥機を用いて2時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて100〜850μmを回収する。
得られた吸水性樹脂50gをビーカーに仕込み、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル 0.1250g、水 3.000gを添加し、130℃で15分間加熱反応後、乾燥し表面架橋した吸水性樹脂を得た。その後、シリカを0.3000g添加し、混合した。
これをイナートオーブンにて窒素雰囲気下で10分間、180℃で加熱する。このようにして得られた吸水性樹脂を比較吸水性樹脂(1)とする。
[比較例2]
製造例4の38重量%の75mol%中和アクリル酸アンモニウム水溶液を300g、トリメチロールプロパントリアクリレート0.1593g添加する。この単量体水溶液を30℃に調整し、窒素ガスでバブリングすることにより脱気し、反応系中を窒素置換した。次いで過硫酸アンモニウム0.9209gと亜硫酸水素ナトリウム0.0557gを添加し、重合を開始した。内部温度は30℃から開始して最高到達温度は約100℃であった。その後、ゲルを取り出し粗解砕を行ってから180℃の熱風乾燥機を用いて1時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて100〜850μmを回収する。
得られた吸水性樹脂50gをビーカーに仕込み、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル 0.1250g、水 3.000gを添加し、130℃で15分間加熱反応後、乾燥し表面架橋した吸水性樹脂を得た。その後、シリカを0.3000g添加し、混合した。
このようにして得られた吸水性樹脂を比較吸水性樹脂(2)とする。
測定した各吸水性樹脂の物性一覧を下の表3に示す。
Figure 2009102466

Claims (10)

  1. 水溶性不飽和カルボン酸アンモニウム塩を含有する単量体水溶液を下記(1)及び(2)の条件下で重合する重合工程を含むことを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。
    重合条件:
    (1)単量体水溶液における、前記水溶性不飽和カルボン酸アンモニウム塩の含有量が全単量体中の50mol%を超え、100mol%以下の範囲であること。
    (2)ラジカル系光重合開始剤と過酸化物を用い、紫外線照射する。
  2. 水溶性不飽和カルボン酸アンモニウム塩を含有する単量体水溶液を下記(3)及び(4)の条件下で重合することを特徴とする、請求項1記載の吸水性樹脂の製造方法。
    (3)前記単量体水溶液の厚みを50mm以下にする。
    (4)前記単量体水溶液中の溶存酸素を4ppm以下にする。
  3. 前記水溶性不飽和カルボン酸アンモニウム塩がアクリル酸アンモニウム塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  4. 前記単量体水溶液が発泡剤を含有する状態で重合することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法。
  5. 前記発泡剤が炭酸塩であることを特徴とする請求項4の吸水性樹脂の製造方法。
  6. 前記重合工程によって得た樹脂を乾燥処理する乾燥処理工程及び乾燥処理された樹脂を該乾燥処理工程の乾燥条件よりも10℃以上高い温度で加熱処理する加熱処理工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法。
  7. 前記加熱処理を下記(5)及び(6)の条件下で行うことを特徴とする請求項6に記載の吸水性樹脂の製造方法。
    (5)吸水性樹脂の乾燥条件よりも10℃以上高く、かつ100〜250℃の範囲で行う。
    (6)吸水性樹脂の樹脂外表層の中和率が50mol%未満でかつ、樹脂中心部の中和率が50mol%以上となる加熱処理条件で行う。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法により製造された吸水性樹脂。
  9. 残留モノマーが20ppm未満であることを特徴とする請求項8に記載の吸水性樹脂。
  10. 保水倍率が40g/g以上でかつ57g/cmの加圧下吸水倍率が10g/g以上であることを特徴とする請求項8又は9に記載の吸水性樹脂。
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