次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。まず、実施例のパチンコ包装装置の概要について説明し、その後、本発明に特有の構成について詳述する。図1は実施例のパチンコ包装装置30の正面図、図2はパチンコ包装装置30の側面図、図3はパチンコ包装装置30が有する包装ステーションHSの要部概略斜視図である。
図示するように、パチンコ包装装置30は、L形、I形等の形鋼を溶接して形成した装置架台32を備え、この架台のほぼ中央に包装ステーションHSを有する。パチンコ包装装置30は、図2に示すように、装置架台32の一端側(図1の紙面奥側)から包装ステーションHSの上部にかけて、長尺状のシート体TSを送り出すシート送り機構SRを有する。また、パチンコ包装装置30は、包装ステーションHSの周囲に、パチンコ機Pをシート体TSで包装するための包装機構HKを有する。以下、各機構について詳述する。
パチンコ包装装置30は、図1において、包装ステーションHSの右方にパチンコ機Pの搬入コンベヤ34を備え、左方にパチンコ機Pの搬出コンベヤ36を備える。これら両コンベヤは、図3に示すように、多列に配置されたローラ35aと左右のガイド35bを有する。ローラ35aは、駆動モータ34a或いは駆動モータ36aとチェーン(図示略)にて連結され、モータの回転に伴って回転して、ローラ上のパチンコ機Pを搬送する。ガイド35bは、パチンコ機Pの幅に併せて対向配置され、搬送中のパチンコ機Pを下端で案内する。なお、パチンコ機Pの上端位置にも、図示しないガイドが設けられており、搬送中における倒れ防止が図られている。
本実施例のパチンコ包装装置30に搬入されるパチンコ機Pは、遊技に必要な釘、役もの、ハンドル、電装品等の遊戯機器パーツが組み込み済みのものである。このパチンコ機Pは、パチンコ機長手方向を上下方向にした正立状態で、パチンコ機横方向に沿って搬送される。
次に、包装ステーションHSについて説明する。
この包装ステーションHSは、装置外部から搬入されたパチンコ機Pを包装位置で待機させ、当該遊技機を包装位置に保持ユニット40で保持する。
保持ユニット40は保持台42を備え、この保持台42は、シリンダ44により昇降自在とされている。保持台42は、上記のコンベヤと同様に、多列のローラ41aとガイド41bを備え、搬入コンベヤ34から搬出コンベヤ36に至る搬送路を形成する。保持台42は、図示しない上下のガイドシャフトにより支持されており、シリンダ44による昇降時において、不用意に回転しないようになっている。ガイド41bは、搬送路前後の搬入コンベヤ34並びに搬出コンベヤ36におけるガイド35bに併せて装着されており、後述するように包装されたパチンコ機Pも案内および保持できるようにされている。
搬入コンベヤ34は、搬送経路中に第1ストッパシリンダ37を備え、当該シリンダのヘッドをローラより上に突出させることで、パチンコ機Pを装置外部の待機位置STに待機させる。そして、搬入コンベヤ34は、この待機位置STのパチンコ機Pを保持台42に搬入する。こうして搬入されたパチンコ機Pは、ガイド41bで保持され、保持ユニット40と搬出コンベヤ36との間に配置された第2ストッパシリンダ38により、包装ステーションHSにおける包装位置に止め置かれる。包装ステーションHSは、パチンコ機Pを保持ユニット40から搬出コンベヤ36に送り込むための送り出しシリンダ45を備え、包装完了後のパチンコ機Pを搬出コンベヤ36に送り込む。搬出コンベヤ36は、このパチンコ機Pを装置外部の所定場所、例えば出荷ステーションまで搬送する。
次に、包装ステーションHSに待機・保持されたパチンコ機Pに対してシート体TSを送り出す、シート送り機構SRについて説明する。図4はローラ配置の様子を示す説明図である。
まず、シート体TSについて説明する。シート体TSは、ポリエチレン製のシート(厚み約0.04mm)を上下に重ね合わせて袋状とした長尺シートであり、ロール状に巻き取られた状態で台車Dから供給される。台車Dは、シートロールのコア部分を受ける支持台Dsを有し、この支持台で支持した状態でシートロールをパチンコ包装装置30にセットする。支持台Dsは、荷重センサ等によりシート体TSの残り量を検出し、巻き取り残量が僅かになると、図示しないランプやブザー等によりシート体TSの交換時期を報知する。
シート送り機構SRは、台車位置の上方に、テンションローラ50と、第1ローラ51、第2ローラ52、第3ローラ53とを備え、HSの上方に末端ローラ対54を備える。シート体TSは、ロール状に巻き取られた状態から引き出されて上記各ローラに掛け渡され、末端ローラ対54で挟持される。末端ローラ対54は、保持ユニット40の保持台42に対向するよう配設されており、ローラ長手方向は保持ユニット40におけるパチンコ機Pの横方向に沿ったものとされている。
第1ないし第3のローラの少なくとも一つは、ローラモータ55と連結され、当該モータの回転に伴ってシート体TSを下流側(末端ローラ対54の側)に送り出す。本実施例では、第1ローラ51と第2ローラ52を駆動ローラとした。末端ローラ対54は、一方のローラがローラモータ56と連結されている。よって、この末端ローラ対54は、当該モータの回転に伴ってシート体TSをシート端部の側から下向きに送り出し、モータ停止によりシート体TSを保持する。このように送り出されたシート体TSは、上記したローラの位置関係から、保持台42に保持されたパチンコ機Pの上端にシート体端部TSEを対向させる。
図4に示すように、第1ローラ51は、ローラ表面にシート穿孔用の円錐突起51aを多列に有する。よって、この第1ローラ51は、その回転に伴ってシート送りを行う際に、円錐突起51aによってシート体TSに貫通孔SKをあけ、孔周囲を凸部SBとした状態でTSを下流のローラに送り出す。この凸部SBは、第2ローラ52のローラ表面に当たってシートのローラ巻き込みに対して摩擦力を作用させる。従って、第2ローラ52は、自身の回転に伴って、シート体TSを確実かつ円滑に下流に送り出すので、シート送り出しの信頼性を高めることができる。また、この凸部SBは、末端ローラ対54においても摩擦力を作用させるので、末端ローラ対54によるシート送り出し並びにシート保持の信頼性も高まり好ましい。
この円錐突起51aは、第1ローラ51の他に、第2ローラ52や第3ローラ53にも設けるようにし、各ローラで長手方向における円錐突起51aの設置位置をずらすようにすることもできる。こうすれば、下流のローラにおける凸部SBによる摩擦力作用が高まり、シート送り出しの信頼性向上に有益である。特に、末端ローラ対54では、シート挟持によるシート保持の信頼性がより高まるので、保持したシート体TSのシート体端部TSEの位置の再現性が向上する。このため、パチンコ機Pの後述の包装の様子を均一化することもできる。
本実施例では、シート体TSの送り出しに関与する上記各ローラのうち、シート体搬送経路の最下流に位置する末端ローラ対54を次のように構成した。この末端ローラ対54は、図示するようにローラ表面に導電性シートからなる導電表層54aを有し、図示しない接触端子と導電コードにてこの導電表層54aを装置架台32に対して電気的に導通させている。装置架台32は、向上フロアに設置されていることから、導電表層54aは装置架台32を経てアース接続されていることになる。従って、この末端ローラ対54より上流においてシート体TSに静電気が帯電していても、この静電気は、末端ローラ対54の導電表層54aへのシート体TSの接触により、導電表層54aから装置架台32を経てアース放電される。しかも、シート体TSの表裏面にこの導電表層54aが接触するので、シート体TSの静電気をより確実に放電できる。
この場合、導電表層54aを、図示しない接触端子と導電コードにて放電アンテナ(図示略)に接続するようにすることもできる。こうすれば、シート体TSに帯電した静電気を、放電アンテナから大気放電でき、アース放電経路用の配線を要しない。
また、末端ローラ対54を導電性の材料から形成したり、導電表層54aを導電性塗料の塗布から形成することもできる。更には、末端ローラ対54の他、第1ローラ51〜第3ローラ53のいずれのローラも、末端ローラ対54のように導電表層54aを有するようにしてもよい。こうすれば、より多くの箇所で静電気放電を起こすことができるので、シート体TSを静電気に帯電していない状態にし易い。
末端ローラ対54や第1ローラ51〜第3ローラ53は、シート体TSの送り出しに不可欠なものである。よって、これらローラを導電表層54aを有するものとすることで、こうしたローラを静電気放電に有効利用できる。
次に、包装機構HKについて説明する。包装機構HKは、末端ローラ対54の下方に、シート端部保持機構THと、シート上端接着機構JSと、パチンコ機サイド把持機構SGと、シート拡張機構SFと、シート下端接着機構KSとを有する。図5はシート端部保持機構THとシート上端接着機構JSの概略構成を説明するための概略斜視図、図6はシート端部保持機構THによるシート体TSの端部保持の様子を説明するための説明図、図7はシート上端接着機構JSの構成並びにシート接着と切断の様子を説明するための説明図である。
シート端部保持機構THは、末端ローラ対54で保持されて未拡張の状態のシート体TSを、そのシート体端部TSEの側で保持すると共に、後述のシート拡張機構SFによるシート拡張を保持する。
図1と図2並びに図5に示すように、シート端部保持機構THは、末端ローラ対54で保持されたシート体TSを挟んで吸引パッド61〜66を対向して有する。吸引パッド61〜64は、シート横方向に配置され、図1におけるシート左端側で吸引パッド61と吸引パッド62が、シート右端側で吸引パッド63と吸引パッド64が対向する。吸引パッド65と吸引パッド66は、シート体TSの左右外側に位置して、対向する。
図6に示すように、吸引パッド61は、ゴム、樹脂、エラストマー等の弾性材料で椀状に形成され、その椀状部内の空気を吸引するための吸引管路61aを有する。吸引パッド61は、この吸引管路61aを介して空気吸引機67と接続されている。よって、吸引パッド61は、この空気吸引機67の吸引を経て、図6に示すように、パッド前方のシート体TSを椀状部内面に吸着させて吸引し、吸引停止により、シート吸引を解除する。吸引パッド61は、前後退用のシリンダ61bのロッド先端に装着されており、シート体吸着のまま、前後進する。他の吸引パッドもこの吸引パッド61と同様に構成されている。
吸引パッド61ないし吸引パッド64は、初期位置として、図6に示すように、末端ローラ対54に保持されて垂れ下がったシート体TSと僅かな隙間を残して向き合う。吸引パッド65と吸引パッド66は、初期位置として、シート体TSの長手方向端部と僅かな隙間を残して向き合う。こうした初期位置にある状態で、吸引パッド61ないし吸引パッド64は、空気吸引機67による空気吸引を受け、図示するようにシート体TSを吸着し、該当するシリンダの後退により、初期位置から後退する。これにより、それまで重なっていたシート体TSは、シート体端部TSEが離れるように拡張する。この拡張に併せて、吸引パッド65と吸引パッド66の吸着・後退が行われる。なお、シート端部保持機構THによる上記のシート保持・拡張は、後述するようにシート拡張機構SFの動作と関連着けて実施される。
上記したように、吸引パッド61ないし吸引パッド64は、シート体TSの送り出しに関与する最下流の末端ローラ対54よりも下流側で、シート体TSに接触する。よって、この吸引パッド61ないし吸引パッド64をそれぞれ導電性のパッドとし、これらを装置架台32と電気的に導通するように構成することもできる。こうすれば、次の利点がある。
末端ローラ対54が導電表層54aを有しないローラである場合には、シート体送り出しに際してこの末端ローラ対54、延いては第1ローラ51〜第3ローラ53の各ローラがシート体TSに接触することで、シート体TSに静電気が帯電することがある。しかしながら、最下流ローラによりも下流の吸引パッド61ないし吸引パッド64が導電性を有していれば、シート体TSにその搬送過程で帯電した静電気を、確実にこの吸引パッド61ないし吸引パッド64にて放電でき、好ましい。なお、吸引パッド61ないし吸引パッド64を導電性とした上で、末端ローラ対54についても導電表層54aを有するようにすることもできる。
また、吸引パッド61ないし吸引パッド64は、シート体TSの膨らまし(拡張)に不可欠なものである。よって、これら吸引パッド61ないし吸引パッド64を導電性のものとすることで、こうしたパッドを静電気放電に有効利用できる。なお、導電性とした吸引パッド61ないし吸引パッド64による静電気放電は、これ単独で行うようにできるほか、導電表層54aを有する末端ローラ対54による静電気放電と併用するようにすることもできる。
シート上端接着機構JSは、パチンコ機Pの包装後においてシート体TSをパチンコ機P上端で接着(熱溶着)すると共に、接着部より上流でシート体TSを切断する。
図2に示すように、シート上端接着機構JSは、包装ステーションHSを挟んで対向する左右の溶着ユニット71、72と、カッタ73を有する切断ユニット74を備える。図5と図7に示すように、溶着ユニット71は、切断ユニット74と共に基台71aに固定され、シリンダ71bにより前後退する。この場合、基台71aは、図示しない水平の案内シャフトにより支持されているので、溶着ユニット71と切断ユニット74は、水平のまま前後退する。溶着ユニット71は、シート体TSより幅広の切欠凹所71cを備え、当該凹所の前面をシート体TSの熱溶着が可能な温度まで昇温させるヒータを内蔵する。
溶着ユニット72は、溶着ユニット71と同様、基台72aに水平に固定され、シリンダ72bにより前後退する。この溶着ユニット72は、溶着ユニット71の切欠凹所71cに入り込む突部72cを備え、当該突部前面をシート体TSの熱溶着が可能な温度まで昇温させるヒータを内蔵する。これら両溶着ユニットは、図2に示すように、末端ローラ対54で保持されたシート体TSから離れた位置を初期位置とし、その位置から、図示するようにシート体TSを切欠凹所71cと突部72cで挟持する位置まで前進する。
切断ユニット74は、ロッドレスシリンダとして構成され、カッタ73は、シート体TSと干渉しないユニット端部の初期位置に待避している。切断ユニット74は、カッタ73をシート体TSの幅以上のストロークで初期位置からシート幅方向に移動させ、このカッタ移動の間にシート体TSを切断する。なお、この切断ユニット74によるシート切断、両溶着ユニットによるシート溶着の実行手順については、後述する。
次に、パチンコ機サイド把持機構SGとシート拡張機構SF並びにシート下端接着機構KSについて説明する。図8はパチンコ機サイド把持機構SGの要部の概略構成を説明するための説明図、図9はシート拡張機構SFの概略構成を説明するための説明図、図10はシート拡張機構SFが有するシート拡張ロッド96L、96Rによるシート体TSの拡張の様子をパチンコ機上面側から見て説明するための説明図、図11は同じくシート拡張ロッド96L、96Rによるシート体TSの拡張の様子をパチンコ機正面側から見て説明するための説明図、図12はシート下端接着機構KSの概略構成をシート拡張機構SFと共に説明するための説明図、図13はシート下端接着機構KSによるシート接着の様子を説明するための説明図である。
パチンコ機サイド把持機構SGは、図1に示すように、包装ステーションHSにおけるパチンコ機Pの左右に把持プレート80L、把持プレート80Rを対向させて備える。図8に示すように、把持プレート80Rは、前面に円錐状のスパイク81を備え、シリンダ82により前後退可能とされている。把持プレート80Lについても同様である。なお、各把持プレートは、図示しない案内シャフトにより支持されているので、パチンコ機側面に正対したまま前後退する。
パチンコ機サイド把持機構SGは、左右の把持プレート80L、80Rをシート体TSより外側の初期位置(図1参照)から包装ステーションHSの側に前進させ、各把持プレートをパチンコ機Pの両側面に押し付ける。こうすることで、パチンコ機サイド把持機構SGは、パチンコ機Pを把持する。この場合、各把持プレートは、前面のスパイク81をパチンコ機側面に押し込むので、パチンコ機Pを確実に把持できる。把持プレート80L、80Rは、スパイク81を有しないものとすることもできる。なお、このパチンコ機サイド把持機構SGによるパチンコ機把持の実行手順については、後述する。
シート拡張機構SFは、末端ローラ対54に保持されたシート体TSをシート体端部TSEの側から膨らますと共に、その膨らみを維持するものであり、空気吹出体85と拡張維持ユニット90F、90Bを有する。
空気吹出体85は、図2および図6に示すように、両端が閉塞された管状体とされており、末端ローラ対54に保持されたシート体TSのシート体端部TSEより下方に位置し、この位置を初期位置とする。空気吹出体85は、シリンダ86により、初期位置とその側方の待避位置との間を水平に前後退可能とされている。なお、空気吹出体85は、正立状態の後述のシート拡張ロッド96L、96Rと干渉しないように、退避位置に後退するようにされている。
初期位置にある空気吹出体85は、コンプレッサ87の送り出した空気を吹出孔85aからシート体端部TSEに向けて吹き出す。この吹出孔85aは、シート体端部TSEに沿った長孔形状のものでもよく、シート体端部TSEに沿って複数の孔を配置したものでもよい。管状体の空気吹出体85に替えて、いわゆるエアガンを複数用い、各エアガンを上記のように前後退可能とした上で、各ガンの吹出口から空気を吹き出すようにすることもできる。なお、この空気吹出体85による空気吹出の実行手順については、後述する。
このように空気吹出体85からエアを吹き出すに当たり、次のように構成することもできる。
つまり、コンプレッサ87からのエア供給に代え、イオン化エア生成装置からのエア供給を行う。このイオン化エア生成装置は、内蔵する電極針でコロナ放電を起こし、この電極針領域にエアを通気することで、エアを正電荷に帯電させた状態、或いは交互に正電荷・負電荷に帯電させた状態で送り出す。こうすれば、空気吹出体85は、正電荷に帯電したエアをシート体TSに吹き付けるので、このエア吹き付けにより、シート体TSの静電気を放電させつつ、シート体TSを拡張させることができる。なお、こうした帯電エアを吹き出す空気吹出体85による静電気放電は、これ単独で行うようにできるほか、導電表層54aを有する末端ローラ対54による静電気放電、導電性とした吸引パッド61ないし吸引パッド64による静電気放電と、種々選択して併用するようにすることもできる。
拡張維持ユニット90F、90Bは、図2に示すように、包装ステーションHSにおけるパチンコ機Pの前後に位置する。拡張維持ユニット90Fと拡張維持ユニット90Bはミラー反転の関係にあるため、その構成は、拡張維持ユニット90Bについて説明する。
図9に示すように、拡張維持ユニット90Bは、装置架台32に対して垂直に支持された2本の案内シャフト91と、この両シャフトに案内された基部92と、基部前面から突出した左右の支持脚93と、各支持脚にシリンダ99L、99Rを介して装着された左右の前面プレート94L、94Rを有する。各前面プレートには、その背面にロータリーソレノイド95L、95Rが装着されている。各ロータリーソレノイドの回転ロッド(図示省略)は、対応する前面プレートを貫通し、ロッド先端にシート拡張ロッド96L、96Rを有する。
ロータリーソレノイド95Lとロータリーソレノイド95Rは、対応するシート拡張ロッド96L、96Rが図示する水平姿勢にある状態を初期位置とする。ロータリーソレノイド95Lは、この初期位置から反時計回りに約90°回転して、シート拡張ロッド96Lを正立姿勢に旋回させる。ロータリーソレノイド95Rは、初期位置から時計回りに約90°回転して、シート拡張ロッド96Rを正立姿勢に旋回させる。また、両ロータリーソレノイドは、それぞれ反転して、対応するシート拡張ロッドを正立姿勢から水平姿勢に復帰旋回させる。
ここで、拡張維持ユニット90F、90Bが有するシート拡張ロッド96L、96Rと、包装ステーションHSにおけるパチンコ機Pとの位置関係について説明する。
図10に示すように、拡張維持ユニット90F、90Bは、それぞれのロータリーソレノイドを、その回転軸心がパチンコ機Pの平面視外郭の側面より外側に位置するようにして備える。また、拡張維持ユニット90F、90Bがシート拡張ロッド96L、96Rを水平姿勢の初期位置におくとき、そのシート拡張ロッド96L、96Rは、パチンコ機Pの平面視外郭の前後面より外側にある。よって、シート拡張ロッド96L、96Rがそれぞれ上記したように正立旋回すると、正立したシート拡張ロッド96L、96Rは、パチンコ機Pの平面視外郭形状より大きな方形形状を形成し、この方形形状内にパチンコ機Pを位置させる。
シート拡張ロッド96L、96Rは、図11に示すように、先端にピン97を有する。よって、各シート拡張ロッドは、正立旋回すると、ロッド先端でシート体TSにピン97を係合させる。なお、ピン97の設置に替えて、シート拡張ロッドを水平姿勢から90°を越えて、例えば約100°ほど旋回させ、ロッド先端でシート体TSにテンションをかけるようにして、ロッド先端とシート体TSを係合させることもできる。
このように旋回駆動するシート拡張ロッド96L、96Rは、それぞれの前面プレート94L、94Rとロータリーソレノイドごと、シリンダ99L、99Rにより図10中の矢印で示すように前後退する。そして、このシリンダによりパチンコ機Pに近づいた前進端位置に移動すると、シート拡張ロッド96L、シート拡張ロッド96Rは、ロータリーソレノイドの制御を経て上記のように旋回する。また、シート拡張ロッド96L、96Rは、シリンダ99L、99Rにより後退端位置(初期位置)に有る場合は、水平姿勢を採るようにされている。なお、各前面プレートは、図示しない案内シャフトによりガイドされているので、パチンコ機Pに対向したまま前後退する。
上記した拡張維持ユニット90F、90Bは、上下駆動用のモータ98と連結されており、このモータの回転に伴って上下動する。この場合、拡張維持ユニット90F、90Bは、末端ローラ対54の側を初期位置とし、この位置から下端位置まで上下移動する。初期位置は、この位置でシート拡張ロッド96L、96Rが正立したときに、図6に示すように、ロッド先端が拡張済みシート体TSに入り込むことができる位置とされている。また、下端位置は、後述するようにパチンコ機Pがシート体TSに収容されたときに、拡張維持ユニット上のシート下端接着機構KSが図13に示すようにパチンコ機P下方に入り込むことができる位置とされている。なお、この拡張維持ユニット90F、90Bの上下動並びにシート拡張ロッド96L、96Rの旋回の実行手順については、後述する。
上記したように、拡張維持ユニット90F、90Bのシート拡張ロッド96L、96Rは、上記したシート体TSに内側から接触してその拡張維持に有効である。よって、このシート拡張ロッド96L、96Rをそれぞれ導電性のロッドとし、これらを装置架台32と電気的に導通するように構成することもできる。こうすれば、シート体TSの膨らまし(拡張)に伴い、このシート体TSの静電気放電を起こすことができると共に、部材の共有ができ好ましい。なお、こうしたシート拡張ロッド96L、96Rによる静電気放電は、これ単独で行うようにできるほか、導電表層54aを有する末端ローラ対54による静電気放電、導電性とした吸引パッド61ないし吸引パッド64による静電気放電、帯電エアの吹き出す空気吹出体85による静電気放電と、種々選択して併用するようにすることもできる。
シート下端接着機構KSは、パチンコ機Pの包装後においてシート体TSをパチンコ機P下端で接着(熱溶着)する。このシート下端接着機構KSは、図2に示すように、溶着ユニット101を拡張維持ユニット90Bに、溶着ユニット102を拡張維持ユニット90Fに載置して備える。
溶着ユニット101、102は、既述したシート上端接着機構JSが有する溶着ユニット71、72と同様の構成を備え、溶着ユニット101は、図12に示すように、シート体TSより幅広の切欠凹所101cを備え、当該凹所の前面をシート体TSの熱溶着が可能な温度まで昇温させるヒータを内蔵する。また、溶着ユニット101は、支持脚101aで拡張維持ユニット90Bに固定されたシリンダ101bと係合し、図示しない水平の案内シャフトで水平に支持されている。よって、この溶着ユニット101は、拡張維持ユニット90Bの上部において、水平のまま前後退する。
溶着ユニット102も同様に、拡張維持ユニット90Fの上部において、水平のまま前後退するよう構成され、溶着ユニット101の切欠凹所101cに入り込む突部102cと、内蔵ヒータを有する。これら両溶着ユニットは、図13に示すように、包装ステーションHSの側方位置を初期位置とし、その位置から、図示するように包装ステーションHSの中まで前進し、切欠凹所101cに突部102cを入り込ませる。このシート下端接着機構KSによるシート溶着の実行手順については、後述する。
次に、上記した構成を有するパチンコ包装装置30におけるパチンコ機Pの包装手順について説明する。図14はパチンコ機Pの包装手順を示す流れ図である。なお、このパチンコ包装装置30の制御系は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等を備えた論理演算回路装置であるプログラマブルコントローラを中心に構成されるが、これら構成は、本発明の要旨と直接関係しないので、その説明は省略する。
図示しない操作ボタン群の包装開始スイッチが操作されると、パチンコ包装装置30は、図14に示すように、パチンコ機Pを包装ステーションHSに搬入してこれを保持する(ステップS200)。このステップでは、第1ストッパシリンダ37の降下・第2ストッパシリンダ38の上昇に続いて駆動モータ34aを駆動する。これにより、待機位置STのパチンコ機Pは、搬入コンベヤ34から保持ユニット40に搬入され、第2ストッパシリンダ38により位置決めされる。この保持ユニットへの搬入に伴い、パチンコ機Pは、保持台42に保持される。なお、パチンコ機保持後には、第1ストッパシリンダ37の上昇と駆動モータ34aの再駆動を行い、次回の包装対象となるパチンコ機Pを待機位置STまで搬送する。
続いて、シート体TSの拡張(ステップS210)、パチンコ機の収容(ステップS220)、パチンコ機の把持(ステップS230)、シート体下端の接着(ステップS240)、シート体上端の接着・切断(ステップS250)、パチンコ機の搬出(ステップS260)、次回包装の準備(ステップS270)の各手順を行う。以下、各手順を説明する。図15は、シート体拡張手順の詳細を説明する流れ図、図16は図15の詳細手順によるシート体TSの様子と各機器の関係を示す説明図である。
図15に示すように、シート体拡張手順では、初期位置にある吸引パッド61〜64(図6参照)を空気吸引機67により吸着状態として、各吸引パッドによりシート体TSをそのシート体端部TSEで吸着する(ステップS211)。このシート吸着とほぼ同時に、シリンダ61b〜64bによるこれら吸引パッドの後退端位置までの後退・待機(ステップS212)と、空気吹出体85からの空気吹出((ステップS213)を実行する。この場合、前回の包装手順の後半において、空気吹出体85は、図6に示す初期位置に移動済みとされている。これらの処理により、シート体TSは、図16(A)、(B)や図6に示すようにシート体端部TSEにおいて前後・左右に広がり、シート拡張ロッド96L、96Rのシート体内部への入り込みが可能となる。
こうしたシート体端部TSEの拡張は、空気吹出体85からの空気吹出を伴うものであることから、シート体TSをシート体端部TSEにおいて確実に拡張させることができる。しかも、空気吹出と共に吸引パッド61〜64も後退させることから、より確実にシート体を拡張することができる。なお、吸引パッド61〜64の後退の際には、シート体TSの左右外側に位置する吸引パッド65と吸引パッド66についても、シート体吸着と後退を並行して実行する。
先に述べたように、吸引パッド61ないし吸引パッド64を導電性としてこれらパッドによる静電気放電を図るようにしたり、空気吹出体85から帯電エアを吹き出すようにしてこの帯電エアによる静電気放電を図るようにすれば、シート体端部TSEの拡張と共に、シート体TSの静電気を放電させることができる。
シート体端部TSEの拡張後は、拡張維持ユニット90F、90Bの前後退用のシリンダ99L、99Rを駆動してシート拡張ロッド96L、96Rをパチンコ機Pの側に初期位置から前進させる(ステップS214)。この前進完了後にロータリーソレノイド95L、95Rを駆動して、シート拡張ロッド96L、96Rを水平姿勢から正立姿勢に旋回する(ステップS215)。こうすると、シート拡張ロッド96L、96Rは、図16(C)や図6に示すように、拡張したシート体内部への入り込んで、シート体TSを図10に示すような方形形状とし、この状態を維持する。その後、空気吹出体85からの空気吹出を停止すると共に、この空気吹出体85を後方の退避位置まで後退させ、その位置に待避させる(ステップS216)。ここまでのシート体拡張・維持は、包装ステーションHSのパチンコ機Pの上部で行われる。よって、シート体TSは、図16(C)に示すように、上記の方形形状とされたシート体端部TSEを、パチンコ機Pに上方から対向させる。
この場合、シート拡張ロッド96L、96Rを導電性のものとしてこれらロッドによる静電気放電を図るようにすれば、シート体端部TSEの拡張・維持と共に、シート体TSの静電気を放電させることができる。
こうしたシート体TSの拡張に続いて、パチンコ機Pをシート体TSに収容する(ステップS220)。図17はパチンコ機収容手順の詳細を説明する流れ図、図18はパチンコ機収容からシート上端接着・切断までの手順ごとのシート体TSの様子と各機器の関係を示す説明図である。
ステップS220のパチンコ機収容手順では、まず、空気吸引機67を停止して吸引パッド61〜66のシート吸着を解除する(ステップS221)。これにより、シート体TSの送り出しが可能となる。その後、シート体TSとパチンコ機Pを相対移動する(ステップS222)。この相対移動では、シート送り機構SRにおける駆動ローラの回転制御を介したシート体TSの送り出しと、拡張維持ユニット90F、90Bの上下動用のモータ98の回転制御を介したシート拡張ロッド96L、96Rの降下と、保持ユニット40におけるシリンダ44の駆動制御を介した保持台42の上昇とを行う。
上記のシート体送り出し、シート拡張ロッドの降下により、シート体TSは、図18(A)に示すように、上記の方形形状で拡張されたまま降下することになる。その一方、パチンコ機Pは、保持台42の上昇に伴い上昇する。こうした相対移動により、図18(B)に示すように、パチンコ機Pは、拡張したシート体TSの内部に保持台42と共に収容され、シート体TSは、そのシート体端部TSEがパチンコ機Pの下端より所定距離低くなるまで送り出される。この送り出し量は、シート下端接着機構KSによって支障なくシート下端接着ができるようにされている。
このパチンコ機収容の際、本実施例では、図10に示すように、シート拡張ロッド96L、96Rで形成維持するシート体TSの形状を、パチンコ機Pの外郭より大きな方形形状とした。よって、パチンコ機収容に当たり、パチンコ機Pを不用意にシート体TSと接触させないようにできるので、パチンコ機Pをより確実にシート体TSの内部に収容できる。
また、パチンコ機収容の際、本実施例では、シート体の送り出しとシート拡張ロッドの降下を、略同一の速度で起こすように、駆動ローラと上下動用のモータを回転制御した。よって、シート拡張ロッド96L、96Rの先端より上方において、シート体TSに不用意なダレや過大な緊張を起こさないので、拡張ロッド上方においても、著しくシート体TSの方形形状を崩さないようにでき、方形形状を維持できる。このため、パチンコ機Pをより確実にシート体TSの内部に収容できる。
更に、ロッド先端のピン97により各シート拡張ロッドとシート体TSを係合するので、各ロッドとシート体をより確実に一緒に降下させることができる。
このパチンコ機収容の際、シート体の送り出し量(即ち、シート拡張ロッドの降下距離)と保持台42の上昇距離は相違する。よって、本実施例では、シート体の送り出しの様子(具体的には、送り出し速度やロッド降下速度)に併せて保持台42を上昇するようにした。よって、シート拡張ロッド上方での上記したシート体TSの方形形状の維持と相まって、シート体TS内部へのパチンコ機Pの収容の信頼性を高めることができる。
なお、シート体の送り出しとシート拡張ロッドの降下を完了させてから、パチンコ機Pを保持台42と共に上昇させるようにすることもできる。
こうしてパチンコ機Pがシート体TSに収容されると、パチンコ機Pをその両側面で把持する(ステップS230;図14参照)。つまり、パチンコ機収容後には、パチンコ機サイド把持機構SGのシリンダ82を前進駆動して、把持プレート80L、80Rをシート体TSより外側の初期位置(図1参照)から前進させ、各把持プレートをパチンコ機Pの両側面に押し付ける。これにより、パチンコ機Pは、シート体TSに収容された状態のまま、シート体TS共に把持される。次に、このパチンコ機把持完了後に、シリンダ44を後退制御して保持台42を降下させ、保持台42によるパチンコ機Pの保持を解除する。こうすることで、パチンコ機Pは、図18(B)に示すように、その下端をフリー状態とした姿勢で把持され、その姿勢を維持する。
本実施例では、把持プレート80L、80Rの前面にスパイク81を設けたので、上記の把持動作の際に、シート体TSに貫通孔をあけることができる。また、パチンコ機側面へのスパイク押し込みにより、パチンコ機Pを確実に把持できる。
こうしてパチンコ機Pを把持した後は、フリーとなったパチンコ機下端側でシート体の下端を接着する(ステップS240;図14参照)。図19はこのシート下端接着手順の詳細を説明する流れ図である。
図19に示すように、シート下端接着手順では、拡張維持ユニット90F、90Bのロータリーソレノイド95L、95Rを逆転駆動して、シート拡張ロッド96L、96Rを正立姿勢から水平姿勢に旋回復帰させる(ステップS241)。こうすると、シート体TSは、シート拡張ロッド96L、96Rによる拡張が解除された状態となり、シート体端部TSEを自重によりパチンコ機下端で垂れ下げる。この際、シート体TSは、そのシート体端部TSEが開口していることから、シート体内の空気は容易に抜け出す。よって、上記したシート体下端の垂れ下がりを促進でき、パチンコ機下端では、対向するシート体TSは比較的近づくことになる。
このロッドの旋回復帰の完了後にシリンダ99L、99Rを後退駆動して、シート拡張ロッド96L、96Rを水平姿勢のままパチンコ機Pから離れた初期位置に後退復帰させる(ステップS242)。これにより、シート拡張ロッド96L、96Rは、シート体TSより外側に位置することになり、その後、シート体TSと干渉することはない。
シート拡張ロッドの初期位置復帰の完了後は、シート下端接着機構KSの溶着ユニット101、102の前進・加熱並びに後退を行う(ステップS243)。つまり、各溶着ユニットのシリンダを前進駆動して両溶着ユニットを前進させ、図13や図18(C)に示すように、前進端にて切欠凹所101cに突部102cを入り込ませる。これにより、シート体TSは、パチンコ機下方で両溶着ユニットにより挟持される。
シート体TSには、その送り出し時において貫通孔SKが空けられていることから、溶着ユニットによるシート体挟持の際に、シート体内の空気はこの貫通孔から容易に抜け出す。よって、上記したシート体下端の垂れ下がり部分を、パチンコ機P下端で不用意に膨らませないたまま挟持できる。この状態で、所定時間に亘ってヒータを加熱し、溶着ユニット101、102によりシート体TSを幅方向に亘って熱溶着する。その後、シリンダを復帰駆動して、溶着ユニット101、102を図13に示す初期位置に後退復帰させる。これらの動作により、シート体TSは、パチンコ機Pを内部に収容した状態のまま、シート体端部TSEの側で幅方向に亘って接着される。また、パチンコ機Pは、下端が接着されたシート体TSに収容された状態で、パチンコ機サイド把持機構SGに保持されたことになる。
こうしたシート下端接着の完了後は、シート上端接着を行う(ステップS250;図14参照)。図20はこのシート上端接着手順の詳細を説明する流れ図である。
図20に示すように、シート上端接着手順では、まず、シリンダ44を再度前進駆動して保持ユニット40を上昇させ、パチンコ機Pを保持台42でその下端で保持する(ステップS251)。この場合、既に接着済みのシート体端部TSEは、パチンコ機の下端保持に伴って、パチンコ機底面に重なるように、或いは、図18(D)に例示するようにパチンコ機前面側または背面側に折り返されるようにして、折り畳まれる。
こうしたパチンコ機保持の完了後に、パチンコ機サイド把持機構SGのシリンダ82を後退駆動して、把持プレート80L、80Rをシート体TSより外側の初期位置(図1参照)に後退復帰する(ステップS252)。これにより、パチンコ機Pは、保持ユニット40の上昇端で保持台42に保持されただけの状態となる。
把持プレートの初期位置復帰後には、シリンダ44を後退駆動してパチンコ機Pを保持ユニット40ごと初期位置に降下させると共に、パチンコ機Pの降下距離に見合った長さだけシート送り機構SRによりシート体TSを送り出す(ステップS253)。これにより、パチンコ機Pは、シート体TSに収容されたまま、降下する。なお、このパチンコ機降下の際に、シート体TSも一緒に送り出されるが、ステップS242によりシート拡張ロッド96L、96Rは既にシート体TSの外側に位置するので、各ロッドとシート体TSとの干渉は起きない。よって、ロッドとの干渉によるシートの破れ等は確実に回避できる。
続いて、シート上端接着機構JSの溶着ユニット71、72の前進・加熱を行う(ステップS254)。つまり、各溶着ユニットのシリンダを前進駆動して両溶着ユニットを前進させ、図7や図18(D)に示すように、前進端にて切欠凹所71cに突部72cを入り込ませる。これにより、シート体TSは、パチンコ機上方で両溶着ユニットにより挟持される。この状態で、所定時間に亘ってヒータを加熱し、溶着ユニット71、72によりシート体TSをパチンコ機上方で幅方向に亘って熱溶着する。その後、切断ユニット74のロッドレスシリンダを駆動制御して、カッタ73を図7に示す初期位置から往復駆動させると共に、各溶着ユニットのシリンダを復帰駆動して、溶着ユニット71、72を図7に示す初期位置に後退復帰させる(ステップS255)。これらの動作により、シート体TSは、パチンコ機Pを内部に収容した状態のまま、パチンコ機上方で幅方向に亘って接着・切断され、単独の筒状シートとなる。つまり、パチンコ機Pは、上下端で接着・切断された単独の袋状の筒状シートに収容された状態で、保持ユニット40により保持された状態となる。なお、カッタ73によるシート体TSの切断端は、次回の包装の際のシート体端部TSEとなる。
このようにしてシート体TSが上端で切断されると、シート体TSの切断端側は、自重により撓もうとする。本実施例では、シート体TSには、シート送り出し時に円錐突起51aにより貫通孔SKを、パチンコ機P把持時にスパイク81により貫通孔を空けるようにした。よって、シート体TSが切断端側で撓もうとする際に、これら貫通孔から内部の空気が漏れ出るので、シート体のこの撓みを大きなものとできる。
その後は、上記のように筒状シートに収容して包装済みのパチンコ機Pを装置外部に搬出する(ステップS260;図14)。つまり、第2ストッパシリンダ38の降下に続いて、保持ユニット40からのパチンコ機P送り出しのためのシリンダ45を駆動する。これにより、パチンコ機Pは搬出コンベヤ36に乗り移るので、その後、駆動モータ36aを駆動して、パチンコ機Pを搬出する。このパチンコ機搬出に伴い、第2ストッパシリンダ38を上昇させ、次回の包装対象となるパチンコ機Pの包装ステーションHSまでの搬入に備える。
こうして包装済みのパチンコ機Pを搬出した後は、次回の包装のための準備を行う(ステップS270;図14)。即ち、上記のように駆動済みの各機器のうち、各手順で初期位置に復帰していない機器をそれぞれ初期位置に復帰させ、次回に備える。具体的には、拡張維持ユニット90F、90Bは、シート下端接着機構KSによるシート下端接着のためにパチンコ機Pの下方に位置したままである。よって、この拡張維持ユニット90F、90Bを、図2に示すパチンコ機Pの上方の初期位置に上昇復帰する。この際、拡張維持ユニット90F、90Bを、包装ステーションHSからパチンコ機Pを搬出済みの状態で上昇復帰できるので、上昇時にシート体TSとの干渉を考慮する必要がない。よって、速やかにこれらユニットを上昇復帰できるので、サイクルタイムを短縮することができる。
また、吸引パッド61〜66は、ステップS212により、包装ステーションHSの側方に後退待機したままであるので、これら吸引パッドを図6に示すようにシート体TSに近づいた初期位置に復帰させる。更には、空気吹出体85は、ステップS216により、やはり包装ステーションHSの側方に後退待機したままであるので、この空気吹出体85を図6に示すようにシート体端部TSE下方の初期位置に復帰させる。なお、この吸引パッド復帰と空気吹出体復帰は、上記したパチンコ機Pの搬出手順時において実行するようにすることもできる。
以上説明したように本実施例のパチンコ包装装置30は、図16(A)に示す段階において、末端ローラ対54の導電表層54aを経てシート体TSの静電気を放電する。従って、この図16(A)〜(C)のシート体TSの拡張の際に、シート体自体が静電気で密着しているような自体を招かない。よって、シート体TSをその端部から容易に、且つ、確実に拡張させることができると共に、シート体TSをパチンコ機Pの前面に注着させない。この結果、シート体TSへのパチンコ機Pの収容の確実性・信頼性を高めることができる。本実施例では、シート体密着による装置のチョコ停の発生頻度は、0〜5回/日の程度まで低減した。
このように装置停止が少なくなるので、パチンコ機Pを袋状の筒状シートで包装するに当たり、その効率を高めることができる。しかも、パチンコ機Pに組み付け済みの精密機械たる電子機器をシート体の静電気に晒さないようにできるので、電子機器への悪影響をもたらさないようにできる。
末端ローラ対54による静電気放電に加え、導電性とした吸引パッド61ないし吸引パッド64による静電気放電、帯電エアの吹き出す空気吹出体85による静電気放電、導電性としたシート拡張ロッド96L、96Rによる静電気放電を併用した場合には、装置のチョコ停の発生頻度を0〜2回/日まで低減できた。
次に、他の実施例について説明する。図21はその他の実施例で採用した静電気放電機構の要部を説明するための説明図、図22はその変形例を示す説明図である。
この実施例は静電気放電用に特化した部材を有し、図21に示すように、シート体TSの送り出しに関与する第3ローラ53と末端ローラ対54の近傍に、除電ユニット150を有する。除電ユニット150は、シート体TSの上下(表裏)に配設され、基台151にブラシ152を植毛して備える。ブラシ152は、導電性樹脂、金属細線等からなり、基台151内部にてそれぞれ導通が採られている。そして、このブラシ152は、基台端部の端子153から、アース配線154を経て装置架台32(図2参照)に接続され、当該架台を介してアース接地されている。
この実施例であっても、ブラシ152を介してシート体TSの静電気はアース放電され、上記した実施例と同様の効果を奏することができる。また、ブラシ152であるために、その形状的特徴(細線状)からシート体TSの静電気の電荷は容易にブラシ152に移動する。よって、シート体TSの静電気放電の確実性を高めることができる。この場合、除電ユニット150の設置個所は、第3ローラ53と末端ローラ対54の近傍の他、末端ローラ対54の下流とすることもできる。こうすれば、ローラ接触によりシート体TSに静電気が帯電しても、この静電気を確実に放電できる。
図22に示すように、基台151自体を導電性樹脂や金属製とし、基台端部の端子プレート155を経て、この基台151を装置架台32に接続するようにもできる。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、パチンコ機Pを包装する場合について説明したが、スロットルマシーン等の遊技機の包装にも適用できる。
また、帯電エアの吹出は、空気吹出体85から行うほか、シート体TSの搬送経路において当該シートにエアガンから吹き付けるようにすることもできる。例えば、図2において、末端ローラ対54の上流側にエアガンを設置し、このエアガンから帯電エアをシート体TSに吹き付けるようにすることもできる。このようにエアガンを用いる場合には、その設置位置の自由度が高まるので、汎用性が高まる。